説明

遊技機用施錠装置

【課題】遊技機に電源が供給されずとも解錠操作可能であるとともに、不正操作に対してより一層信頼性の高い防犯性能を有する遊技機用施錠装置を提供する。
【解決手段】施錠手段と、規制手段と、電源オン時に前記規制手段を駆動して前記施錠手段の解錠操作を禁止し電源オフ時に該規制手段を解除して該施錠手段の該解錠操作を許容する電気的解除手段と、を備える。前記施錠手段2は外枠に設けられた被係止部材(911)と、中枠に設けられた係止部材(21)と、シリンダ錠24と、連結部材(23)とを有し、前記規制手段(ロッキングレバー4)は該連結部材(23)に係脱する規制ピン42を有し、前記電気的解除手段(スライダロック機構5)は突出あるいは吸引される駆動軸52を有し、該規制手段(4)と該駆動軸52の一方はガイド溝43を有し、他方(4あるいは52)は該ガイド溝43に移動可能に嵌合するガイドピン53を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ台などの遊技機の施錠装置に関し、より詳細には防犯性能を高めた施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技店に設置されるパチンコ台などの遊技機は、遊技機本体の外枠と、外枠に開閉可能に枢支された中枠及びガラス枠と、を主要部材として構成されるのが一般的である。遊技面を備えた中枠には電子制御装置や表示装置などが多数搭載されており、遊技者が勝手に触れられないように、外枠と中枠との間及び、中枠とガラス枠との間は常時施錠されている。一方、遊技中の不具合への対応や閉店後の調整の際には、錠を解いて中枠やガラス枠を開閉する必要が生じる。したがって、遊技機用施錠装置には、不特定者の不正な解錠操作を確実に防止するとともに、係員が容易に解錠できる構造が必要とされてきた。
【0003】
従来の遊技機用施錠装置では、施錠する一方の枠に「受け」と呼ばれる被係止部材が設けられ、他方の枠に「フック」と呼ばれて被係止部材を係脱する係止部材が設けられ、さらに係止部材を駆動するスライダ部材及びシリンダ錠が設けられるのが、一般的な構造とされていた。そして、係員は鍵を用いてシリンダ錠を操作することにより解錠を行うようになっていた。しかしながら、この構造では、合い鍵による解錠や枠の隙間からの不正操作のおそれがあるため、防犯性能を高めた施錠装置が各種発明されてきた。例えば、特許文献1に開示される遊技機の解錠ロック装置では、スライダ部材に相当するロッドに規制ピンを設け、さらに規制ピンをロックするロック手段を設けて、セキュリティー対策としている。すなわち、ロック手段を解除しない限りロッドが動かない構造とされ、仮に合い鍵や不正操作によってロッドに外力が加えられても解錠できないようになっている。
【特許文献1】特開平11−235451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の解錠ロック装置では、ロック手段をロックピンと付勢手段とで構成し、その解除手段としてソレノイドを用いている。すなわち、常時は付勢手段によってロックピンを突出させて規制ピンをロックし、解錠時はソレノイドに通電することによりロックピンを吸引してロックを解除している。しかしながら、この態様では、遊技機に電源が供給されていないときに解錠を行うことができず、取り扱い上著しく不便であった。また、付勢手段によるロックピンの突出は単なる直線動作であり、例えば針金などを枠の隙間から差し込む不正操作に対して、十分な防犯性能を有しているとは言えなかった。
【0005】
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、遊技機に電源が供給されずとも解錠操作可能であるとともに、不正操作に対してより一層信頼性の高い防犯性能を有する遊技機用施錠装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技機用施錠装置は、遊技機の外枠と該外枠に開閉可能に枢支される中枠とを機械的に施錠する施錠手段と、該施錠手段の解錠操作を機械的に禁止あるいは許容する規制手段と、該規制手段により該施錠手段の解錠操作を禁止された禁止状態を電気的に解除する電気的解除手段と、を備える施錠装置において、前記電気的解除手段は、電源オン時に前記規制手段を駆動して前記施錠手段の前記解錠操作を禁止し、電源オフ時に該規制手段を解除して該施錠手段の該解錠操作を許容する、ことを特徴とする。
【0007】
前記施錠手段は、前記外枠と前記中枠の一方に設けられた被係止部材と、該外枠と該中枠の他方に設けられて該被係止部材を係止あるいは解放する係止部材と、機械的な操作により駆動するシリンダ錠と、該シリンダ錠の操作に連動して該係止部材を駆動する連結部材と、を有し、前記規制手段は該連結部材に係脱して該連結部材の駆動を禁止あるいは許容する規制ピンをもつ規制部材を有し、前記電気的解除手段は突出あるいは吸引される駆動軸を有し、該規制部材と該駆動軸の一方はガイド溝を有し、該規制部材と該駆動軸の他方は該ガイド溝に移動可能に嵌合するガイドピンを有する、ことが好ましい。
【0008】
本発明は、シリンダ錠などの機械的施錠手段の解錠操作の可否を制御する機械的規制手段を備え、この規制手段の解錠禁止状態を電気的解除手段の電源オフ時に解除するようにしたことを特徴とする。したがって、常時は電気的解除手段の電源オンによって解錠操作を禁止して高い防犯性能を維持しつつ、電源が供給されない場合に解錠禁止状態での操作不能、いわゆるロック状態を回避するようになっている。
【0009】
施錠手段自体には従来の構造を適用することができ、「受け」と呼ばれる被係止部材と、「フック」と呼ばれて被係止部材と係脱する係止部材と、機械的な操作を行うシリンダ錠と、「スライダ部材」と呼ばれシリンダ錠の操作力を伝達して係止部材を駆動する連結部材と、で構成することができる。例えば、被係止部材を外枠に設け、係止部材を中枠に設けて、両者の係止により施錠するように構成することができる。さらには、連結部材を中枠の裏面に設け、シリンダ錠を中枠の前面に配設して、係員が容易に操作できるようにすることができる。また、逆に被係止部材を中枠に設け、その他の部材を外枠に設けるようにすることもできる。なお、連結部材はシリンダ錠と係止部材とを機械的に連結するものであり、各種の機構部品を適宜組み合わせて構成することもできる。
【0010】
規制手段は、施錠手段の解錠操作を機械的に禁止あるいは許容する手段である。規制手段には、例えば、連結部材に係脱する規制ピンをもつとともに揺動可能に枢支される規制部材を用いることができる。規制ピンは、例えば、連結部材の規制溝に嵌入または規制孔に挿入、あるいは連結部材に当接して、解錠操作を禁止するように構成することができる。
【0011】
規制手段あるいは規制部材を電源オン時に駆動し電源オフ時に解除する手段として、電気的解除手段を備えることができる。電気的解除手段には、例えば、電源オン時に吸引され電源オフ時に突出する駆動軸を有する電磁ソレノイドを用いることができる。また、電気的解除手段の電源をオン及びオフする電源スイッチを設けることができる。さらに、生体認証や電子キーを応用したセキュリティー認証装置を組み合わせて、電源のオン、オフ制御に用いることもできる。
【0012】
駆動軸が規制部材を駆動する機構として、規制部材と駆動軸の一方にガイド溝を設け、他方にはガイド溝に移動可能に嵌合するガイドピンを設けることができる、そして、駆動軸の吸引により、ガイドピンがガイド溝を誘導案内して規制部材が揺動し、規制ピンが連結部材を係止するように、ガイド溝を適宜形成することができる。
【0013】
上述のように構成された本発明の遊技機用施錠装置によれば、電源の供給されている常時は電源スイッチをオンすることによって規制手段が駆動されて解錠操作が禁止されるため、高い防犯性能を維持することができる。ここで中枠を開ける必要が生じた場合には、電源スイッチをオフすることにより、解錠禁止状態が解除されて、シリンダ錠の操作による解錠操作が行えるようになる。セキュリティー認証装置を組み合わせた態様では、不特定者による電源の制御を防止して、正当な係員の操作のみを許容することができるため、さらに防犯性能は向上する。また、電源が供給されなくなったときには、電源スイッチオフ時と同様に解錠禁止状態が解除されるため、解錠操作を行うことができ、操作不能には陥らない。
【0014】
前記規制部材の前記ガイド溝は、前記駆動軸が突出あるいは吸引される移動方向に傾斜して設けられる揺動ガイド溝部と、該規制部材が前記連結部材を係止した状態で該駆動軸の該移動方向に平行して設けられる係止ガイド溝部と、が連なって形成されている、ことが好ましい。
【0015】
ガイド溝は、揺動ガイド溝部と係止ガイド溝部とを連ねた、途中で屈折する溝形状とすることが好ましく、規制部材を駆動するだけでなく、さらに解錠禁止状態の堅固化を図ることができる。詳述すると、電源オンによって電気的解除手段の駆動軸が吸引されると、ガイドピンとガイド溝とが相対変位し、ガイドピンは傾斜する揺動ガイド溝部内を移動する。このとき、傾斜した溝の作用によって誘導案内される規制部材は、駆動軸の移動方向とは異なる斜めの方向に揺動される。揺動によって、規制部材の規制ピンは、連結部材を解放した位置から係止する位置にまで到達し、解錠操作を禁止する。ここで、ガイドピンは揺動ガイド溝部の終端の屈折点から係止ガイド溝部に移り、さらに進む。係止ガイド溝部の溝の方向と駆動軸の移動方向とは平行しているため、規制部材は揺動せず、ガイドピンが係止ガイド溝部の終端に到達して、駆動軸の吸引が終了する。
【0016】
ガイドピンが係止ガイド溝部の終端に到達した状態では、規制ピンを解除する方向に外力を加えて連結部材を解除しようと試みても、規制部材は揺動せず、不正操作は行えない。なぜなら、外力は、ガイドピンと係止ガイド溝部との間に溝方向と直交する押圧力を誘起し、ガイドピンが係止ガイド溝部から抜ける方向には力が加えられないからである。これに対して、係止ガイド溝部がなく揺動ガイド溝部のみの態様では、外力により、ガイドピンが揺動ガイド溝部に斜め方向から押圧されるため、ガイドピンと揺動ガイド溝部とが相対移動して規制部材が揺動するおそれがある。したがって、ガイドピンが係止ガイド溝部内に保持されることにより、外力による規制部材の揺動が阻止され、解錠禁止状態はより一層堅固化される。
【0017】
前記外枠または前記中枠に開閉可能に枢支されるガラス枠と該中枠とを機械的に施錠する第二施錠手段を備え、前記規制手段は該第二施錠手段の解錠操作を機械的に禁止あるいは許容する第二規制手段を兼用する、ことが好ましい。
【0018】
ガラス枠と中枠とを機械的に施錠する第二施錠手段を備える場合に、規制手段は兼用とすることができる。例えば、第二施錠手段を施錠手段と類似の被係止部材と係止部材とで構成し、共通の規制部材が2つの施錠手段の係止部材を一括して係止するようにして、実現することができる。このとき、電気的解除手段も兼用され、2つの施錠手段は同等の高い防犯性能を有することになる。
【発明の効果】
【0019】
上述の本発明の遊技機用施錠装置によれば、常時は電源オンによって規制手段が駆動されて解錠操作が禁止されるため、高い防犯性能を維持することができ、電源が供給されなくなったときには、解錠禁止状態が解除されて解錠操作が可能となり、操作不能には陥らない。
【0020】
また、規制部材と駆動軸の一方にガイドピンを有し、他方に揺動ガイド溝部と係止ガイド溝部とが連なったガイド溝を有する態様では、外力による規制部材の揺動が阻止され、解錠禁止状態はより一層堅固化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態を、図1〜図5を参考にして説明する。まず、図1を参考にして、遊技機の一般的な構造を説明する。図示されるように、遊技機9は、立設された略矩形枠状の外枠91と、遊技面や遊技ハンドルなどを備えた中枠92と、常時中枠92を覆うガラス枠93と、を主にして構成されている。中枠92及びガラス枠93は、外枠91の左端前面に設けられた枢支部94により、開閉可能に枢支されている。すなわち、中枠92は、図中左側の一辺部を軸心として回動することにより、外枠91に対して開閉するようになっている。また、ガラス枠93は、図中奥側の一辺部を軸心として回動することにより、中枠92に対して開閉するようになっている。ここで、中枠92とガラス枠93とは独立して開閉するため、別々に施錠することが必要である。そして、施錠装置の主要部材は、中枠92の右側面にねじを用いて取り付けられた取付板929に配設されている。
【0022】
次に、本発明の実施例の遊技機用施錠装置について、図2を参考にして説明する。図2は、実施例の遊技機用施錠装置を右側方からみた説明図であり、施錠状態を示しており、中間高さ部分は省略されている。実施例の施錠装置1は、中枠92を外枠91に施錠する中枠用施錠手段2と、ガラス枠93を中枠92に施錠するガラス枠用施錠手段3と、規制手段に相当するロッキングレバー4と、電気的解除手段に相当するスライダロック機構5と、で構成されている。なお、以降の説明では、中枠用施錠手段2に関する部材には「中枠用」を、ガラス枠用施錠手段3に関する部材には「ガラス枠用」を付し、区別して記載する。
【0023】
中枠用施錠手段2は、上方と下方の2箇所で施錠されるようになっている。上方では、外枠91の上方寄りに設けられた中枠用受け部材911と、中枠92右側面の取付板929の上方寄りに枢支されて中枠用受け部材911を係止及び解放する中枠用フック21と、で施錠されるように構成されている。中枠用フック21の中央は、取付板929に枢支される枢支部211であり、外枠91に向かう一端には係止爪212が形成され、他端にはリンク部213が形成されている。係止爪212は、上昇することにより中枠用受け部材911を係止し、下降することにより解放するようになっている。中枠用フック21の上側には、中枠用受け部材911の有無を検出する中枠用スイッチ29が設けられている。
【0024】
中枠用フック21のリンク部213には、下方に延設される中枠用リンク棒22が接続されている。中枠用リンク棒22の下端には、さらに中枠用スライダ23が接続されている。一方、取付板929の前面下方寄りにはシリンダ錠24が設けられ、係員の回動操作によりレバー241が上下に揺動するようになっている。そして、レバー241が上方に揺動すると、中枠用スライダ23の操作爪231を押し上げ、係止爪212が下降して解錠されるようになっている。中枠用リンク棒22及び中枠用スライダ23は、中枠用の連結部材に相当するものである。
【0025】
また、取付板929の下方には、外枠91に設けられたストライカ912を係止あるいは解放する係止手段25が設けられている。係止手段25は、中枠用スライダ23に連動して動作し、構造は異なるものの、上方と同様の施錠機能を有している。
【0026】
ガラス枠用施錠手段3は、ガラス枠93の上方寄りと下方寄りとに設けられた2個のガラス枠用受け部材931と、取付板929に枢支されてガラス枠用受け部材931を係止及び解放する2個のガラス枠用フック31と、で施錠されるように構成されている。ガラス枠用フック31の中央は取付板929に枢支される枢支部311であり、ガラス枠93に向かう一端には係止爪312が形成され、他端にはリンク部313が形成されている。係止爪312は、下降することによりガラス枠用受け部材931を係止し、上昇することにより解放するようになっている。上方寄りのガラス用フック31の下側には、ガラス枠用受け部材931の有無を検出するガラス枠用スイッチ39が設けられている。
【0027】
上側のガラス枠用フック31のリンク部313には、下方に延設されるガラス枠用リンク棒32が接続されている。ガラス枠用リンク棒32の下端には、さらにガラス枠用スライダ33が接続され、中枠用スライダ23の紙面手前側に配設されている。下側のガラス枠用フック31のリンク部は、ガラス枠用スライダ33に直結されている。取付板929とガラス枠用スライダ33との間には、テンションスプリング38が設けられ、ガラス枠用スライダ33を常時上方に付勢して安定した施錠状態としている。そして、兼用とされたシリンダ錠24のレバー241が下方に揺動すると、ガラス枠用スライダ33の操作爪331を押し下げ、係止爪312が上昇して解錠されるようになっている。ガラス枠用リンク棒32及びガラス枠用スライダ33は、ガラス枠用の連結部材に相当するものである。
【0028】
次に、ロッキングレバー4及びスライダロック機構5の構造について、図3を参考にして説明する。図3は、実施例の施錠装置1の下方の要部を説明する図であり、(A)は解錠禁止状態、(B)は解錠許容状態を示している。なお、収納ケース921の内部を見易くするためにケースカバーは省略されている。図示されるように、ロッキングレバー4及びスライダロック機構5は、2個の取付孔922によって取付板929に固定された収納ケース921内に配設されている。
【0029】
ロッキングレバー4は、図示されるように、板状の部材に枢支部41、規制ピン42、ガイド溝43が付設されて形成されている。枢支部41は、ロッキングレバー4の図中上部に設けられて収納ケース921に枢支され、ロッキングレバー4を揺動可能としている。規制ピン42は、ロッキングレバー4の図中左下部に配置され紙面手前側に向かって突設され、収納ケース921のケースカバーの案内窓から突出している。ガイド溝43は、ロッキングレバー4の図中中央部に穿鑿されており、左上から右下に向かう揺動ガイド溝部431と、揺動ガイド溝部431に連なって下方に屈折する係止ガイド溝部432とで形成されている。
【0030】
スライダロック機構5には、電磁ソレノイド51が適用され、図略の電源スイッチによって電源がオン及びオフされるように配線されている。電磁ソレノイド51の駆動軸52には、図中手前側に突出するガイドピン53が設けられ、ガイドピン53は、ガイド溝43に移動可能に嵌入している。駆動軸52の根本側は細径とされて、圧縮ばね部材54が配設されている。圧縮ばね部材54は、駆動軸52を上方へ突出するように付勢している。電磁ソレノイド51の電源がオフのとき、図3(B)に示されるように、駆動軸52は圧縮ばね部材54に付勢されて上方に突出し、ガイドピン53はガイド溝の上方の揺動ガイド溝部431内に位置して、ロッキングレバー4を反時計回りに駆動している。電磁ソレノイド51の電源がオンされると、図3(A)に示されるように、駆動軸52は圧縮ばね部材54にうちかって下方に吸引され、ガイドピン53はガイド溝43の上方の揺動ガイド溝部431内を下方に移動して、係止ガイド溝部432に進み、最後には係止ガイド溝部432の下端に当接する。このとき、ロッキングレバー4は時計回りに駆動され、規制ピン42は図中左方に駆動される。
【0031】
次に、図2に戻って、ロッキングレバー4と、中枠用スライダ23及びガラス枠用スライダ33との関係について説明する。図示されるように、ガラス枠用スライダ33の下端は被規制端部332とされ、また中枠用スライダ23の下部寄りには図中右方に突出する被規制突部232が設けられている。そして、電磁ソレノイド51の電源がオンされると、ロッキングレバー4の規制ピン42は被規制端部332の下方でかつ被規制突部232の上方の位置に駆動され、両者を係止するので解錠禁止状態となる。すなわち、規制ピン42によって、ガラス枠用スライダ33の下降と、中枠用スライダ23の上昇と、の両方が一括して禁止されている。
【0032】
ここで、電源が供給されなくなった場合、及び係員が解錠を意図して電源スイッチをオフした場合には、電磁ソレノイド51の駆動軸52の吸引が解かれて突出する。すると、ロッキングレバー4が反時計回りに揺動され、規制ピン42が図中右方向に移動して係止が解かれ、解錠操作が許容される。したがって、図4及び図5に示されるように解錠することができる。
【0033】
図4は中枠92の解錠状態を、図5はガラス枠93の解錠状態を、それぞれ示している。図4に示されるように、規制ピン42による中枠用スライダ23及びガラス枠用スライダ33の係止が解かれた状態では、シリンダ錠24を回動操作することができ、レバー241が中枠用スライダ23の操作爪231をスライド寸法D1だけ押し上げることにより、上方の中枠用フック21が開いて、中枠用受け部材911が離脱する。と同時に、下方の係止手段25でもストライカ912が離脱して、中枠92を開けることができる。
【0034】
同様に、図5に示されるように、シリンダ錠24を反対方向に回動操作することにより、レバー241がガラス枠用スライダ33の操作爪331をスライド寸法D2だけ押し下げるので、上下両方のガラス枠用フック31が開いて、ガラス枠用受け部材931が離脱する。したがって、ガラス枠93を開けることができる。
【0035】
実施例の遊技機用施錠装置1において、外力Fを加えて規制ピン42を右方に解除しようと試みても、図3(A)に示されるように、外力Fはガイドピン53を係止ガイド溝部432に対して真横から押圧することになる。このため、ガイドピン53は係止ガイド溝部432から抜けず、ロッキングレバー4は揺動せず、不正操作はできない。また、ロッキングレバー4やスライダロック機構5は、収納ケース921内に配設されており、外部からの接触は困難となっている。したがって、解錠禁止状態は堅固に保持され、一層信頼性の高い防犯性能が実現されている。
【0036】
なお、実施例とは逆に、受け部材を中枠92に設け、フック、連結部材、シリンダ錠を外枠91に設ける態様とすることもできる。さらに、ロッキングレバー4にガイドピンを設け、駆動軸5にガイド溝を設けた態様としても、同様の作用、効果を実現することができる。また、外枠91に対する中枠92の閉操作もしくは中枠92に対するガラス枠93の閉操作をアシストするアシスト装置を適宜設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】遊技機の一般的な構造を説明する図である。
【図2】本発明の実施例の遊技機用施錠装置を右側方からみた説明図であり、施錠状態を示している。
【図3】図2の実施例において下方の要部を説明する図であり、(A)は解錠禁止状態、(B)は解錠許容状態を示している。
【図4】図2の実施例において中枠の解錠状態を説明する図である。
【図5】図2の実施例においてガラス枠の解錠状態を説明する図である
【符号の説明】
【0038】
1:施錠装置
2:中枠用施錠手段
21:中枠用フック 22:中枠用リンク棒
23:中枠用スライダ 24:シリンダ錠
25:係止手段
3:ガラス枠用施錠手段
31:ガラス枠用フック 32:ガラス枠用リンク棒
33:ガラス枠用スライダ
4:ロッキングレバー
41:枢支部 42:規制ピン
43:ガイド溝 431:揺動ガイド溝部 432:係止ガイド溝部
5:スライダロック機構
51:電磁ソレノイド 52:駆動軸
53:ガイドピン 54:圧縮ばね部材
9:遊技機
91:外枠 911:中枠用受け部材 912:ストライカ
92:中枠 921:収納ケース 929:取付板
93:ガラス枠 931:ガラス枠用受け部材
94:枢支部
F:外力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の外枠と該外枠に開閉可能に枢支される中枠とを機械的に施錠する施錠手段と、該施錠手段の解錠操作を機械的に禁止あるいは許容する規制手段と、該規制手段により該施錠手段の解錠操作を禁止された禁止状態を電気的に解除する電気的解除手段と、を備える施錠装置において、
前記電気的解除手段は、電源オン時に前記規制手段を駆動して前記施錠手段の前記解錠操作を禁止し、電源オフ時に該規制手段を解除して該施錠手段の該解錠操作を許容する、ことを特徴とする遊技機用施錠装置。
【請求項2】
前記施錠手段は、前記外枠と前記中枠の一方に設けられた被係止部材と、該外枠と該中枠の他方に設けられて該被係止部材を係止あるいは解放する係止部材と、機械的な操作により駆動するシリンダ錠と、該シリンダ錠の操作に連動して該係止部材を駆動する連結部材と、を有し、前記規制手段は該連結部材に係脱して該連結部材の駆動を禁止あるいは許容する規制ピンをもつ規制部材を有し、前記電気的解除手段は突出あるいは吸引される駆動軸を有し、
該規制部材と該駆動軸の一方はガイド溝を有し、該規制部材と該駆動軸の他方は該ガイド溝に移動可能に嵌合するガイドピンを有する、
請求項1に記載の遊技機用施錠装置。
【請求項3】
前記規制部材の前記ガイド溝は、前記駆動軸が突出あるいは吸引される移動方向に傾斜して設けられる揺動ガイド溝部と、該規制部材が前記連結部材を係止した状態で該駆動軸の該移動方向に平行して設けられる係止ガイド溝部と、が連なって形成されている、請求項2に記載の遊技機用施錠装置。
【請求項4】
前記外枠または前記中枠に開閉可能に枢支されるガラス枠と該中枠とを機械的に施錠する第二施錠手段を備え、前記規制手段は該第二施錠手段の解錠操作を機械的に禁止あるいは許容する第二規制手段を兼用する請求項1〜3に記載の遊技機用施錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−86486(P2008−86486A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269551(P2006−269551)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000100827)アイシン機工株式会社 (122)
【出願人】(598023126)エィ・ケィ・ケィ・エム株式会社 (23)
【Fターム(参考)】