説明

遊技機等の施錠装置

【課題】
例えばパチンコ機やスロットマシンの前扉の施錠装置に好適で、その防御能力を強化し、不正行為やその隠蔽ないし偽装を容易かつ速やかに発見できるとともに、不正行為に伴なう強力な破壊力に対抗でき、しかも既設の遊技機の後付けに対応できる、遊技機等の施錠装置を提供すること。
【解決手段】
枠体8に扉体11を開閉可能に取り付ける。
前記扉体11側に第1の錠前39と、該第1の錠前39の施解錠作動に連動可能な複数のフック片26,27とを設ける。
前記枠体8側に前記フック片26,27と係合可能な複数の係止片9,10を設けた、遊戯機等の施錠装置であること。
前記扉体11側に前記第1の錠前39の施解錠作動に連動可能な第2の錠前45を設ける。
前記枠体8側の前記第2の錠前45と対応位置にロックピ−ス46を設ける。
前記ロックピ−ス46を前記第1の錠前39の施解錠作動に連係して、前記第2の錠前45に着脱可能に連結すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパチンコ機やスロットマシンの前扉の施錠装置に好適で、その防御能力を強化し、不正行為やその隠蔽ないし偽装を容易かつ速やかに発見できるとともに、不正行為に伴なう強力な破壊力に対抗でき、しかも既設の遊技機の後付けに対応できるようにした、遊技機等の施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機やスロットマシン等の遊技機の前扉は、外枠ないし筐体に開閉可能に取り付けられ、その開閉をシリンダ−錠で制御し、該シリンダ−錠にリンク機構を連係して施錠装置を構成している。
【0003】
例えば前記施錠装置として、シリンダ−錠の錠軸に固定したカム板と、前扉の裏面に上下方向に配置した基枠と、該基枠に上下に摺動可能に装着した操作杆とを備え、前記カム板の変位に操作杆を連係し、また操作杆の上下端部に係止鉤片を突設し、該係止鉤片を外枠の内側に取り付けた係止金具に係合可能に配置していた。
【0004】
そして、前記前扉を開放する際は、キ−操作を介してシリンダ−錠を解錠し、カム板を回動して操作杆を上動するとともに、これに係止鉤片を同動させて、係止鉤片と係止金具との係合を解除し、前扉を開放したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかし、前扉の裏面と外枠の端面との間に多少の隙間があるため、その隙間から薄厚の不正器具を挿入して前記係止鉤片を吊り上げると、係止鉤片と係止金具との係合が解除されて前扉が開放され、遊技機内部が不正操作されて出玉の不正行為が行なわれる惧れがある、という問題があった。
【0006】
このような問題を解決するものとして、前扉の裏面にフレ−ムを上下方向に配置し、該フレ−ムの上下端部に爪状の突出部の基部を回動可能に連結するとともに、上下端部に長孔を形成した連結リンクを設け、該リンクの上下端部を前記突出部に重合し、かつ前記長孔と突出部にフレ−ムから突設したピンを挿通して、突出部とリンクの上下端部を揺動可能に連結し、一方、連結リンクの中間部に係合孔を設け、該孔の口縁部を起立してストッパを形成するとともに、錠軸に係合突起を突設し、該係合突起をストッパと係合孔の口縁部とに係合可能に配置していた。
【0007】
そして、不正器具によって一方の突出部が押し下げられた場合、該突出部のみを下向きに回動し、これに連結リンクを同動させないで、他方の突出部と板状部材との係止状態を維持し、不正器具による前扉の開放を阻止するようにしていた。
【0008】
また、不正解錠操作によって連結リンクが押し下げられた場合、前記ストッパが係合突起に係合し、連結リンクの下動を阻止して、キ−操作によるシリンダ−錠の正常な解錠によってのみ、連結リンクの下動を可能にしていた。
したがって、不正器具による突出部の押し下げ操作や、不正解錠による連結リンクの押し下げ操作を阻止し、不正解錠に対し二重の安全性を確保するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
しかし、前記施錠装置は、不正解錠操作による破壊力が、連結リンクを押し下げる程度の比較的小さな場合に有効であるが、前記破壊力が非常に大きい場合に対応できなかった
【0010】
このため、大きな破壊力に対抗可能な施錠装置として、上下パネル用の主錠と副錠を連結して一体化し、これを一の前扉に設置したものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
しかし、前記の施錠装置は、前扉の狭小なスペ−スに複数または長尺のベ−ス基板を取り付け、これらに多数の鍵片を設けるとともに、外枠の内側に鍵片を係合可能な複数の係留片を設けているため、構成が複雑化し製作費が上昇するとともに、鍵片の作動に確実性を欠いて安定した作動を得られず、実用的ではなかった。
また、前述した施錠装置は、不正に前扉が開放された後に閉扉された場合、不正事実を容易かつ速やかに発見することができず、そのまま遊技機が使用されて、不正操作の横行を阻止できなかった。
【0012】
【特許文献1】実公昭58−4538号公報
【特許文献2】特開2003−19330号公報
【特許文献3】特開2005−312914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明はこのような問題を解決し、例えばパチンコ機やスロットマシンの前扉の施錠装置に好適で、その防御能力を強化し、不正行為やその隠蔽ないし偽装を容易かつ速やかに発見できるとともに、不正行為に伴なう強力な破壊力に対抗でき、しかも既設の遊技機の後付けに対応できるようにした、遊技機等の施錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、枠体に扉体を開閉可能に取り付け、前記扉体側に第1の錠前と、該第1の錠前の施解錠作動に連動可能な複数のフック片とを設け、前記枠体側に前記フック片と係合可能な複数の係止片を設けた遊戯機等の施錠装置において、前記扉体側に前記第1の錠前の施解錠作動に連動可能な第2の錠前を設け、前記枠体側の前記第2の錠前と対応位置にロックピ−スを設け、該ロックピ−スを前記第1の錠前の施解錠作動に連係して、前記第2の錠前に着脱可能に連結し、既設の遊技機の後付けに容易に対応できるとともに、フック片と係止片との係合解除後でも扉体の開扉を阻止し、扉体の閉扉状態を強固に防護し、その不正行為やその偽装を阻止し得るとともに、扉体の開閉を第1および第2の錠前の施解錠作動に連係して、確実かつ円滑に行なえるようにしている。
請求項2の発明は、前記第2の錠前に前記ロックピ−スの一端部を連結可能なロックプレ−トを設け、該ロックプレ−トを前記第1の錠前の施解錠作動に連係して連結作動可能にし、第1および第2の錠前の施解錠作動の連係を実現し得るようにしている。
【0015】
請求項3の発明は、前記ロックピ−スを、前記扉体側に複数位置で支持し、ロックピ−スの支持の安定化を図るとともに、ロックピ−スの段階的な変位を実現し、不正行為による破壊活動を検証し得るようにしている。
請求項4の発明は、前記ロックピ−スに、前記第2の錠前に連結可能な装着部と、該装着部に作用する引張り力に変位可能な変位部とを設け、それぞれ固有の機能を持たせるとともに、不正行為の破壊活動による引張り力に合理的な対応を実現し得るようにしている
請求項5の発明は、前記扉体の閉扉時で、かつ前記第1および第2の錠前の施錠時に、前記ロックピ−スに引張り力を作用可能にし、扉体の閉扉時における不正行為に対応し得るようにしている。
【0016】
請求項6の発明は、前記複数位置で前記引張り力に対抗させ、その支持位置に応じてロックピ−スの変位を設定し、その変位に応じて不正行為を段階的に設定して、不正行為に対する措置を合理的に行なえるようにしている。
請求項7の発明は、前記ロックピ−スの変位部を、一定の引張り力以上で前記扉体側へ変位可能にし、該変位によって扉体と枠体との隙間を形成可能にし、該隙間によって不正行為やその隠蔽ないし偽装を容易に見分けられるようにし、不正行為を容易かつ速やかに発見し得るようにしている。
請求項8の発明は、前記ロックピ−スの変位部の扉体側への変位によって、前記扉体と枠体との隙間を拡大し、または前記フック片と係止片とを係合不能にして、不正行為やその隠蔽ないし偽装を容易に見分けられ、不正行為を容易かつ速やかに発見し得るようにしている。
【0017】
請求項9の発明は、前記ロックピ−スの装着部を、一定の引張り力以上によって、摩滅または破断可能にし、前記ロックピ−スと前記第2の錠前とを連結不能、または前記フック片と係止片とを係合不能にして、ロックピ−スの装着部が破断される程度に扉体の破壊活動が激化した際は、扉体の閉扉を不可能にして、不正行為を容易かつ確実に発見し得るようにしている。
【0018】
請求項10の発明は、前記ロックピ−スの第2の錠前に対する装着部と、枠体側への装着部との間に長孔を形成し、該長孔にロックピ−スを支持する係止ピンを挿入するとともに、前記長孔の前端部に前記係止ピンと係合可能な係合突起を設け、前記引張り力による係合突起の破断または摩滅によって、前記ロックピ−スの変位部を変位可能にし、係合突起の破断または摩滅を不正行為による破壊活動の段階を規定し、該段階で扉体と枠体との隙間を拡大させ、不正行為やその隠蔽ないし偽装を容易に見分けられるようにし、係合突起の破断または摩滅後は、前記ロックピ−スの変位部の変位を漸増させ、不正行為ないし破壊活動のレベルを知得し、不正行為の発見を更に容易かつ速やかに行なえるようにしている。
【0019】
請求項11の発明は、前記ロックピ−スの変位部を、鋼板を刳り貫いて閉合形の略ハ−ト形に形成し、その変位の形成を促すとともに、不正行為による破壊活動の程度と状況を容易に検証し得るようにしている。
請求項12の発明は、前記枠体を挟持可能な一対のホルダ−を設け、該ホルダ−にブラケットを移動可能に連結し、該ブラケットに前記ロックピ−スを設置し、一対のホルダ−によってロックピ−スを所望の位置に容易に取り付けられ、種々の遊戯機に対応可能にしている。
【0020】
請求項13の発明は、前記係止ピンを突設した補強板と前記ブラケットとの間にロックピ−スを配置し、前記ブラケットに複数の凸部を上下に離間して配置し、該凸部の間に前記ロックピ−スを裕度を持って係合可能に配置するとともに、前記ロックピ−スを前記ブラケットに回動可能に枢着し、該枢軸を中心に前記ロックピ−スを上下に回動可能に配置し、第2の錠前の位置に応じてロックピ−スの位置を加減可能にし、それらの連結を円滑に行なえるようにしている。
請求項14の発明は、前記変位部の内側に前記枢軸を配置し、変位部の変位を容易に形成可能にしている。
請求項15の発明は、前記枠体にガイドレ−ルを上下方向に設け、該ガイドレ−ルに前記係止片を移動可能に収容し、該ガイドレ−ルをその所定位置で固定可能にし、係止片を所望の位置に容易に取り付けられ、種々の遊戯機に対応可能にしている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明は、扉体側に前記第1の錠前の施解錠作動に連動可能な第2の錠前を設け、前記枠体側の前記第2の錠前と対応位置にロックピ−スを設け、該ロックピ−スを前記第1の錠前の施解錠作動に連係して、前記第2の錠前に着脱可能に連結したから、既用の遊技機の後付けに容易に対応できるとともに、フック片と係止片との係合解除後でも扉体の開扉を阻止し、扉体の閉扉状態を強固に防護し、その不正行為を阻止できるとともに、扉体の開閉を、第1および第2の錠前の施解錠作動に連係して、確実かつ円滑に行なうことができる。
【0022】
請求項2の発明は、前記第2の錠前に前記ロックピ−スの一端部を連結可能なロックプレ−トを設け、該ロックプレ−トを前記第1の錠前の施解錠作動に連係して連結作動可能にしたから、第1および第2の錠前の施解錠作動の連係を実現することができる。
請求項3の発明は、前記ロックピ−スを、前記扉体側に複数位置で支持したから、ロックピ−スの支持の安定化を図れるとともに、ロックピ−スの段階的な変位を実現し、不正行為を段階的に阻止し、それらの破壊活動を検証することができる。
【0023】
請求項4の発明は、前記ロックピ−スに、前記第2の錠前に連結可能な装着部と、該装着部に作用する引張り力に変位可能な変位部とを設けたから、各部に固有の機能を持たせ、不正行為の破壊活動による引張り力に合理的な対応を実現することができる。
請求項5の発明は、前記扉体の閉扉時で、かつ前記第1および第2の錠前の施錠時に、前記ロックピ−スに引張り力を作用可能にしたから、扉体の閉扉時における不正行為に対応することができる。
【0024】
請求項6の発明は、前記複数位置で前記引張り力に対抗させ、その支持位置に応じてロックピ−スの変位を設定したから、その変位に応じて不正行為を段階的に設定し、不正行為に対する措置を合理的に行なうことができる。
請求項7の発明は、前記ロックピ−スの変位部を、一定の引張り力以上で前記扉体側へ変位可能にし、該変位によって扉体と枠体との隙間を形成可能にしたから、該隙間によって不正行為を受けた遊戯機を容易に見分けられ、不正行為やその隠蔽ないし偽装を容易かつ速やかに発見することができる。
【0025】
請求項8の発明は、前記ロックピ−スの変位部の扉体側への変位によって、前記扉体と枠体との隙間を拡大し、または前記フック片と係止片とを係合不能にしたから、不正行為を受けた遊戯機を容易に見分けられ、不正行為やその隠蔽ないし偽装を容易かつ速やかに発見することができる。
請求項9の発明は、前記ロックピ−スの装着部を、一定の引張り力以上によって、摩滅または破断可能にし、前記ロックピ−スと前記第2の錠前とを連結不能、または前記フック片と係止片とを係合不能にしたから、ロックピ−スの装着部が破断される程度に扉体の破壊活動が激化した際、扉体の閉扉を不可能にして、不正行為を容易かつ確実に発見することができる。
【0026】
請求項10の発明は、前記ロックピ−スの第2の錠前に対する装着部と、枠体側への装着部との間に長孔を形成し、該長孔にロックピ−スを支持する係止ピンを挿入するとともに、前記長孔の前端部に前記係止ピンと係合可能な係合突起を設け、前記引張り力による係合突起の破断または摩滅によって、前記ロックピ−スの変位部を変位可能にしたから、係合突起の破断または摩滅を不正行為による破壊活動の段階を規定し、該段階で扉体と枠体との隙間を拡大させ、不正行為を受けた遊戯機を容易に見分けられるとともに、係合突起の破断または摩滅後は、前記ロックピ−スの変位部の変位を漸増させ、不正行為ないし破壊活動の程度を知得し、不正行為の発見を更に容易かつ速やかに行なうことができる。
【0027】
請求項11の発明は、前記ロックピ−スの変位部を、鋼板を刳り貫いて閉合形の略ハ−ト形に形成したから、その変位の形成を促すとともに、不正行為による破壊活動の程度と状況を容易に検証することができる。
請求項12の発明は、前記枠体を挟持可能な一対のホルダ−を設け、該ホルダ−にブラケットを移動可能に連結し、該ブラケットに前記ロックピ−スを設置したから、一対のホルダ−によって、ロックピ−スを所望の位置に容易に取り付けられ、種々の遊戯機に対応することができる。
【0028】
請求項13の発明は、前記係止ピンを突設した補強板と前記ブラケットとの間にロックピ−スを配置し、前記ブラケットに複数の凸部を上下に離間して配置し、該凸部の間に前記ロックピ−スを裕度を持って係合可能に配置するとともに、前記ロックピ−スを前記ブラケットに回動可能に枢着し、該枢軸を中心に前記ロックピ−スを上下に回動可能に配置したから、第2の錠前の位置に応じてロックピ−スの位置を加減でき、それらの連結を円滑に行なうことができる。
【0029】
請求項14の発明は、前記変位部の内側に前記枢軸を配置したから、変位部の変位を容易に形成することができ、不正行為を容易かつ速やかに発見することができる。
請求項15の発明は、前記枠体にガイドレ−ルを上下方向に設け、該ガイドレ−ルに前記係止片を移動可能に収容し、該ガイドレ−ルの所定位置で前記係止片を固定可能にしたから、係止片を所望の位置に容易に取り付けられ、種々の遊戯機に対応することができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を遊技機としてパチンコ機に適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図12において1,2はパチンコホ−ル等の屋内遊技室の所定位置に設けた、島を構成する上下一対の木製の固定枠で、該固定枠1,2の間にパチンコ機3を構成する枠体である外枠4が複数並設して設置されている。
【0031】
前記外枠4は実施形態の場合、木製の上下枠5,6と、木製の左右の側枠7,8とを縦長矩形に枠組みして構成され、このうち前記枠体を構成する側枠8の戸当り側内面に段状の凹部8aが形成され、該凹部8aに後述するロックリンクと第2の錠前を配置可能にしている。
前記側枠8の内面の上下位置に、係止片である略L字形断面の係止金具9,10が取り付けられ、その下側の係止金具10の直上に後述するロックピ−スが取り付けられている
【0032】
前記外枠4に、パチンコ機3の扉体である前扉11の一側端部が、蝶番(図示略)を介して回動可能に取り付けられ、その他側端部の裏面にロックリンク12が上下方向に配置され、前記前扉11の裏面と側枠8の戸当り側端面との間に、若干の隙間Cが形成されている。
図中、C(C<C)は前扉11が不正行為を受けて破壊され、後述のロックピ−スが変形した際の前扉11の裏面と側枠8の戸当り側端面との間の隙間である。
【0033】
前記ロックリンク12は、鋼板を略L字形断面に屈曲して形成され、その一方の屈曲片12aを前扉11の裏面にビス止めし、その他方の屈曲片12bの内面に、鋼板製の細長のスライドリンク13を上下に摺動可能に装着している。
【0034】
前記スライドリンク13の上端部と中間部に、略L字形断面の同様なスライダ−14,15が上下に摺動可能に装着され、それらの各屈曲片に長孔16,17、18,19が形成されている。
前記一方の長孔16,17に、屈曲片12aに突設した係止ピン20,21が挿入され、また他方の長孔17,19にスライドリンク13に突設した係止ピン22,23が挿入され、これらでスライドリンク13とスライダ−14,15の上下動位置を規制している。
【0035】
前記屈曲片12aの上端部と、スライダ−14との間にスプリング24が掛け渡され、また前記屈曲片12aの中間部と、スライダ−15との間にスプリング25が掛け渡され、該スプリング24,25の弾性を介して、スライダ−14,15を上方へ付勢し、常時はその上動位置を保持させている。
【0036】
前記スライドリンク13の上下端部に、フック片26,27が上下に摺動可能に装着され、該フック片26,27は鋼板を略L字形状に形成し、その先端に尖端形状のフック26a,27aを形成していて、そのフック26a,27aを前記係止金具9,10に係合可能にしている。
前記フック片26,27と屈曲片12aの上下端部に、スプリング28,29が掛け渡され、該スプリング28,29の弾性を介して、フック片26,27を下方へ付勢し、常時は屈曲片12bの端縁を折曲した係止溝30,31に係合させている。
【0037】
図中、32,33はフック片26,27の基部に突設した係止ピンで、スライドリンク13と屈曲片12bに形成した長孔34,35に係入している。36はスライドリンク13の中間部に突設した非常解錠用摘みで、その押し上げ操作時にフック片26,27を上動可能にし、前記係止金具9,10との係合を解除可能にしている。
【0038】
前記屈曲片12aの下端部に異形の錠取付孔37が形成され、該孔37の内側に形成した取付ステ−(図示略)に、施錠装置38を構成する第1の錠前であるシンリダ−錠39が、錠フランジ40を介して後述する第2の錠前の外殻である錠本体41と共締めされている。
図中、42は前記取付ステ−にねじ込んだ共締め用のビス、43は前記シンリダ−錠39に形成した鍵孔で、該鍵孔43に解錠用のキ−44を差し込み可能にしている。
【0039】
前記施錠装置38は係止金具10の直上に設けられ、該施錠装置38は第1の錠前である亜鉛ダイカスト製のシンリダ−錠39と、該シンリダ−錠39に連係する第2の錠前45と、該第2の錠前45に着脱可能に連結したロックピ−ス46を備えている。
このうち、前記シンリダ−錠39の後端面に錠軸47が突出され、該錠軸47はシンリダ−錠39に内蔵したシンリダ−(図示略)と同期回動可能に設けられ、該錠軸47の先端部に角軸48が形成されている。
【0040】
前記角軸48にロックカム49の角孔50が嵌合して取り付けられ、該カム49の周面に二つの係合爪51,52が突設され、このうち一方の係合爪52が、スライドリンク13の下端部に形成した係合孔53に係合可能に配置されている。
そして、前記キ−44によるシンリダ−錠39の解錠時に、スライドリンク13を押し上げ、これにフック片26,27を同動させて、フック26a,27aと前記係止金具9,10との係合を解除し、前扉11を開放可能にしている。
【0041】
前記ロックカム49の表面に位置決めピン54が突設され、該ピン54を介してロックピン55が所定位置に配置されている。前記ロックピン55に角軸56が突設され、該角軸56が錠本体41の通孔57に挿入されている。
前記錠本体41は第2の錠前45の外殻を構成し、これは亜鉛ダイカストによって前記錠フランジ40の平面形状と略同形の肉厚の板体に成形され、その一側に錠フランジ40の端面に接合可能な脚58,58を突設している。
【0042】
前記脚58,58は錠フランジ40に形成したビス孔59,59と同ピッチに形成され、該脚58にビス孔60が形成されていて、これらのビス孔59,60にビス42,42を挿入可能にしている。
前記錠本体41の他側面の中央に略矩形の凹部61が形成され、該凹部61は周囲を周壁62で囲繞され、その長辺側の周壁62の中間部に、一対の透孔または凹部(図示略)が形成され、この反対側に細長矩形の開口部63が形成されていて、該周壁62の間に一対のロックプレ−ト64が揺動可能に取り付けられている。
【0043】
前記ロックプレ−ト64は鋼板を打ち抜いて角形に形成され、その基部側の突起64aを前記透孔(図示略)に差し込み、その他端のグリップ部64bを前記開口部63に臨ませて配置し、このグリップ部64bの内側をエッヂ状に形成していて、シンリダ−錠39の施錠時、前記グリップ部64b, 64bの間にロックピ−ス46の頸部を挟持可能にしている。
【0044】
前記ロックプレ−ト64,64は通孔57を挟んで対称に配置され、その中間部の外面と周壁62との間にスプリング65が介挿され、該スプリング65の弾性を介して、ロックプレ−ト64,64を前記突起64aを支点に内側へ回動可能に付勢している。
【0045】
前記ロックプレ−ト64,64の間にロックピン55の角軸56が係合可能に配置され、該角軸56の回動角度によって、ロックプレ−ト64,64を互いに近接離反回動可能にしている。
すなわち、シンリダ−錠39の施錠時には、図10のようにロックプレ−ト64,64が角軸56の平行端面に係合して互いに平行に配置され、そのグリップ部64b, 64bの間隔を狭小に形成して、ロックピ−ス46の頸部78を挟持し、第2の錠前45を施錠して、前扉11を閉扉可能にしている。
【0046】
一方、シンリダ−錠39の解錠時には、図11のように角軸56が所定角度回動して、ロックプレ−ト64,64がスプリング65の弾性に抗して外側へ拡開回動し、グリップ部64b, 64bの間隔を拡開して、ロックピ−ス46の頸部78の挟持を解除し、第2の錠前45を解錠して、該ピ−ス46を引き抜き可能にし前扉11を開放可能にしている
【0047】
図中、66はロックプレ−ト64の基部側内面に突設した係止突起で、ロックプレ−ト64の内側への回動角度を規制可能にしており、67は前記スプリング65を収容可能な浅底のバネ受溝、68は凹部61の略四隅に突設したカシメ用のガイドピンである。
69は前記凹部61を閉塞可能な鋼板製の略矩形のカバ−で、その四隅にガイドピン68を挿入可能な通孔70が形成され、これにガイドピン68に挿入後、該ピン68をカシメてカバ−69をカシメ連結可能にしている。
【0048】
71は前記カバ−69の一側に形成した切欠孔で、前記開口部63と略同形に形成されている。72は前記カバ−69の中央に形成したビス孔で、その外側からビス73を挿入可能にしており、該ビス73を通孔57に挿入し、これをロックピン55に形成した貫通孔74に挿通して、錠軸47のネジ孔75にねじ込み可能にしている。
【0049】
一方、前記ロックピ−ス46は第2の錠前45のデッドボルトに相当し、これは鋼板を打ち抜き、かつその一部を折り曲げて成形され、その一側に前記錠本体41に装着可能なフック片76を形成し、他側に変位部である変位片77を形成し、該変位部77を後述のブラケットを介して側枠8に装着可能にしている。
【0050】
このうち、前記フック片76の先端部は、前記切欠孔71と開口部63に挿入可能な略屋根形に形成され、その内側に幅員を若干縮径した頸部78が形成され、該頸部78を前記グリップ部64b, 64bの間に挟持可能にされている。
図中、79は頸部78に隣接して形成した係止突起で、前記カバ−69に係合可能に配置されている。
【0051】
前記変位片77は、細幅の鋼板で略ハ−ト形の閉合形に形成され、その内側に環状の装着部80を離間して設け、該装着部80にOリング等の弾性リング81を介して、枢軸であるボルト等の螺軸82を挿入し、該螺軸82を側枠8に取り付けたブラケット83のネジ孔にねじ込み、そのねじ込み後、螺軸端部を圧潰して抜け止め処理されている。
前記変位片77は、前扉11が不正行為によって破壊力を受け、フック片76が前扉11側へ引張られた際、同方向へ伸長し変形可能にされている。
【0052】
一方、第1および第2のフック片76,77は連結片84で接続され、該連結片84の内側に軸方向に沿って長孔85が形成され、該長孔85の一側端部に係合突起86が対向して形成されている。
前記長孔85の長さは、遊技機が不正行為により破壊力を受ける際の変位片77の伸長変位に略相当し、該変位によってフック26,27と係止金具9,10との係合を実質的に不可能にし、前扉11の閉扉を不可能にしている。
【0053】
前記ロックピ−ス46の表面に補強板87が配置され、該補強板87の一端部に前記螺軸82を挿入可能な通孔88が形成され、この他端部に前記長孔85に挿入可能な係止ピン89が突設されていて、該ピン89を前記係合突起86に係合可能に配置されている。したがって、ロックピ−ス46は補強板87とブラケット83の間に配置されている。
【0054】
そして、前扉11が不正操作を受け、フック片76が前扉11側へ引張られ、その引張力が係合突起86による係合力の規定値を超えた際、係合突起86の尖端部を破壊し、変位片77を前記引張り方向へ伸長し変形可能にしている。
実施形態では、係合突起86の係合力の規定値として、腕力による最大破壊力に設定している。
【0055】
前記ブラケット83の直上位置に第1ホルダ−90と第2ホルダ−91とが配置され、これらのホルダ−90,91を側枠8の所望位置に固定し、該第2ホルダ−91に前記ブラケット83を連結して、前記ロックピ−ス46をシンリダ−錠39の位置に応じて、取り付け位置調節可能にしている。
前記第1ホルダ−90は鋼板を略L字形断面に折曲した一対の掛止片92を備え、該掛止片92,92を側枠8の内端面の所望位置に掛け止め可能にしている。
前記掛止片92,92の間に略逆L字形状の屈曲片93を形成し、該屈曲片93の先端部にビス94を挿入可能なビス孔95を形成している。
【0056】
前記第2ホルダ−91は鋼板を内側に折曲した掛止片96を備え、該掛止片96を側枠8の外端面の所望位置に掛け止め可能にしており、該掛止片96の他側端部に略L字形断面の連結片97を形成している。
前記連結片97の端面に通孔が形成され、該通孔の内側口縁部がバ−リング加工され、該バ−リング加工部98の内面にネジ9部9が形成され、該ネジ部99に前記ビス94がねじ込まれている。
そして、前記ビス94をねじ込んで第1および第2ホルダ−90,91を連結し、前記掛止片92と掛止片96を介して、側枠8の内外端面を挟持可能にしている。
【0057】
前記第2ホルダ−91にバネ受100が切り起し形成され、その下端部に二つの透孔101が形成され、該透孔101上に前記ブラケット83の上端部が重合して配置されている。
前記ブラケット83の上端部に二つの長孔102が上下方向に形成され、該長孔102と透孔101にピン103が挿入されてカシメられ、前記ブラケット83を長孔102の長さの範囲内で上下に位置調節可能に連結している。
【0058】
実施形態では、前記ブラケット83の最上位置におけるロックピ−ス46ないしそのフック片76の高さ位置を、前扉11の閉扉時、つまり前扉11の下端面が下枠6に突設した凸状片6aを乗り上げて閉扉した際の、前記錠本体41の切欠孔71ないし開口部63の高さに設定している。
したがって、前扉11が経時的に沈下し凸状片6aが磨耗した場合であっても、フック片76と切欠孔71ないし開口部63の高さを調整でき、ロックピ−ス46の確実かつ円滑な作動を確保し得るようにしている。
【0059】
前記ブラケット83の上端部に、半円筒状にカ−リング成形した軸筒部104が設けられ、該軸筒部104にスプリング105が収容され、該スプリング105の上端部が前記バネ受100に当接していて、該スプリング105の弾性を介してブラケット83を下方へ付勢している。
【0060】
前記ブラケット83の下側半部は、前記ロックピ−ス46の裏面を重合可能な平坦面に形成され、該平坦面に前記螺軸82をねじ込み可能なネジ孔106が形成され、また前記平坦面の外側端部に二つの凸部107が設けられ、該凸部107,107の間に前記連結87を係合可能に収容している。
【0061】
したがって、前記ロックピ−ス46は、螺軸82を中心に凸部107,107の範囲内で、上下に回動可能に装着されているから、前記ブラケット83の上下位置調節に加えて、切欠孔71との高さ位置調節を複合的かつ多様に行なえる。
【0062】
このように構成した本発明の遊技機等の施錠装置は、従来の係止金具10,11、ロックリンク12、スライドリンク13、フック片26,27、第1の錠前であるシンリダ−錠39と、その錠軸47の構成を利用し、前記シンリダ−錠39に第2の錠前45を組み付け、該錠前45にロックピ−ス46を着脱可能に装着している。したがって、本発明は既設のパチンコ機に対する後付けが可能である。
【0063】
前記第2の錠前45は、その錠本体41を亜鉛ダイカストで成形し、該錠本体41に組み込むロックカム49と、ロックピン55と、ロックプレ−ト64と、カバ−69を、鋼板をプレス成形して製作し、ロックピン55をヘッダ加工する。
また、前記ロックピ−ス46と、ブラケット83、補強板87、第1および第2ホルダ−90,91を、鋼板をプレス成形して製作する。
【0064】
次に、前記シンリダ−錠39に第2の錠前45を組み付ける場合は、予め第2の錠前45にロックプレ−ト64を組み込み、該第2の錠前45をシンリダ−錠39と一緒にロックリンク12に組み付ける。
先ず、第2の錠前45にロックプレ−ト64を組み込む場合は、錠本体41に設けた凹孔61に一対のロックプレ−ト64を対向配置し、その基部側の突起64aを周壁62に設けた一対の透孔(図示略)に差し込んで取り付ける。
【0065】
そして、前記ロックプレ−ト64のグリップ部64bを開口部63上に位置付け、ロックプレ−ト64の外周部と周壁62との間にスプリング65を介挿して、該スプリング65の弾性を介し、前記ロックプレ−ト64を内側へ回動可能に付勢する。
この後、凹孔61にカバ−69を装着して閉塞し、該カバ−69の通孔70をガイドピン68に挿入し、該ピン68の先端部をカシメて、カバ−69を錠本体41にカシメ連結する。この状況は図5のようである。
【0066】
こうして、第2の錠前45にロックプレ−ト64を組み込み後、シンリダ−錠39とロックリンク12を用意し、錠フランジ40をロックリンク12の錠取付孔37の内側に位置付け、錠軸47の角軸48にロックカム49の角穴50を嵌合する。
【0067】
そして、ロックカム49の表面に突設した位置決めピン54に、ロックピン55の凹部(図示略)を差し込み、その角軸56を錠本体41の通孔57に挿入し、これをロックプレ−ト64,64の間に係入する。この状況は図10のようである。
【0068】
その際、ロックプレ−ト64,64をスプリング65の弾性に抗して拡開し、その間に角軸56を挿入して、カバ−69のビス孔72にビス73を挿入する。
そして、ビス73をロックピン55の通孔74に挿通し、錠軸47のネジ孔75にねじ込んで、第2の錠前45とシンリダ−錠39とをロックリンク12に固定後、前記ロックリンク12のアセンブリを前扉11の側端部の裏面に取り付ける。
【0069】
一方、前扉11に取り付けたロックリンク12のフック片26,27と、第2の錠前45の位置に対応して、側枠8の内面の対応位置に、係止片9,10とロックピ−ス46を取り付ける。
実施形態では側枠8の内面の上下位置に係止片9,10を取り付け、下側の係止片10の直上位置にロックピ−ス46を取り付けている。この状況は図2のようである。
【0070】
前記ロックピ−ス46の取り付けに際しては、該ロックピ−ス46を取り付けるブラケット83を側枠8の所定位置に配置し、該ブラケット83を連結する第2ホルダ−91と、該ホルダ−91を連結する第1ホルダ−90とを、側枠8の所定位置に固定する。
その際、前記第2ホルダ−91の下端部に、予めブラケット83を連結して置き、該ブラケット83にロックピ−ス46を取り付けて置く。
【0071】
先ず、第2ホルダ−91にブラケット83を連結する場合は、前記第2ホルダ−91の下端部にブラケット83の上端部を重合し、その長孔102と透孔101にピン103を挿入し、その軸端をカシメて、第2ホルダ−91とブラケット83を、長孔102に沿って移動可能に連結する。
次に、軸筒部104内にスプリング105を収容し、その上端部をバネ受100に当接し、該スプリング105の弾性を介してブラケット83を下方へ付勢させる。
【0072】
前記ブラケット83の連結と前後して、該ブラケット83上にロックピ−ス46を重合し、該ロックピ−ス46の連結片87を凸部107,107の間に配置する。
そして、前記ロックピ−ス46上に補強板87を重合し、その裏面に突設した係止ピン89を長孔85の端部に挿入し、該ピン89を係止突起86,86に係合する。
この後、補強板87の通孔88にOリング81を介して螺軸82を挿入し、該螺軸82をロックピ−ス46の装着部80を挿通して、ブラケット83のネジ孔106にねじ込み、その螺軸端を圧潰して抜け止め処理する。
【0073】
こうして、ロックピ−ス46とブラケット83を取り付けた第2ホルダ−90と、第1ホルダ−90を側枠8に固定する場合は、それらを側枠8の内面の内外位置に配置し、掛止片92,92を側枠8の内側端面に掛け止め、掛止片96を側枠8の段部8aの端面に掛け止める。
そして、ビス94をビス孔95に挿入し、これを連結片97のネジ部99にねじ込んで緊締する。この状況は図2および図4のようである。
【0074】
このように第2の錠前45は、第1の錠前であるシリンダ−錠39の後端部、すなわち前扉11の裏面側に取り付け、前扉11の開閉に伴なう前記第2の錠前45の回動域に臨ませて、ロックピ−ス46を取り付け、そのフック片76を側枠8の段部8aに臨ませて配置している。
したがって、シリンダ−錠39や係止金具9,10の取り付け位置が区々な種々の遊技機の取り付けに容易に応じられる。
【0075】
このような遊戯機等の施錠装置38は、遊戯時には前扉11が閉扉され、第1および第2の錠前38,45が施錠される。
前記第1の錠前であるシリンダ−錠39は、キ−44操作によって解錠され、第2の錠前45はシリンダ−錠39の解錠作動に連係して解錠され、ロックピ−ス46は第2の錠前45のデッドボルトに相当する。
したがって、前扉11は第1および第2の錠前38,45と、シリンダ−錠39に連係するロックリンク12によって、三重に防御されている。
【0076】
すなわち、前扉11が閉扉され、シリンダ−錠39がキ−44の操作で施錠されると、ロックリンク12に設けたフック片26,27のフック26a,27aが、側枠8に取り付けた係止金具9,10の上端縁を滑動して係合し、これがスプリング28,29により下方へ引かれて強固に係合し、前扉11の閉扉状態を保持する。
【0077】
一方、前記前扉11の閉扉時に、第2の錠前45の切欠孔71と開口部63に、ロックピ−ス46のフック片76が差し込まれ、閉扉後、シリンダ−錠39が施錠されると、内部のシリンダ−(図示略)が回動し、該シリンダ−に錠軸47が同動して、錠軸47に係合したロックカム49が回動し、これに角軸56が同動する。
【0078】
その際、第2の錠前45の内部では、一対のロックプレ−ト64が突起64aを支点に内側へ回動し、それらが角軸56の両側面に係合し、そのグリップ64b, 64bの間にロックピ−ス46の頸部78が挟持される。この状況は図8および図10のようである。
【0079】
このような前扉11の閉扉時には、前扉11の裏面と側枠8の前端面との間に若干の隙間Cが存在し、該隙間Cに薄厚の不正工具(図示略)を差し入れ、スライドリンク13を押し上げてフック片26,27を上動し、係止金具9,10との係合を解除する、不正行為を受ける惧れがある。
【0080】
このような不正行為は従来多発し、これによって前扉11が開放可能になったが、本発明は前述のように、第2の錠前45にロックピ−ス46が連結され、該ロックピ−ス46が側枠8に装着されているから、前記不正行為では前扉11は開放されない。
【0081】
そこで、前記従来の不正行為に加えて、薄厚の不正工具を側枠8の前端面を支点に揺動し、前扉11をこじ開ける複合的な不正行為ないし破壊を受ける事態が考えられる。
このような複合的な不正行為を受けると、前扉11が正面前方、すなわち図8の矢視方向へ変位し、これに前扉11に取り付けたシリンダ−錠39と、該シリンダ−錠39に連結した第2の錠前45とが同動する。
一方、ロックプレ−ト64のグリップ64b, 64bに挟持されたロックピ−ス46は、ブラケット83を介して側枠8に固定されているため、前記ロックピ−ス46が前扉11の変位相当分の引張り力を受ける。
【0082】
すなわち、前記ロックピ−ス46はフック片76で前記引張り力を受け、これを側枠8側で係止ピン89と軸部82とで支持する。このうち、前記引張り力は、当初は係合突起86を介して、第2の錠前45寄りに位置する係止ピン89に作用し、その係合力によって係合突起86が剪断力を受ける。
【0083】
そして、前扉11に対する不正行為が次第に強大になり、ロックピ−ス46に作用する引張り力が増加して、前記係合突起86の剪断力が該突起86の材質の許容剪断力を越えると、係合突起86の尖端部が破断する。
【0084】
このため、係止ピン89と係合突起86との係合が解除され、係止ピン89が係合突起86を乗り越え、長孔85の他端側へ移動する。実施形態では、係合突起86の破断強さとして、人力で負荷可能な平均ないし最大剪断力に設定している。
【0085】
こうして、係合突起86の尖端部が破断すると、前記引張り力に対する係止ピン89の支持機能が失われ、ロックピ−ス46の引張り力が軸部82に作用し、前記引張り力によってフック片76と軸部82との間が引張り力を受ける。
そして、前扉11に対し不正行為による破壊力が更に激化し、前記前扉11に前記剪断力以上の引張り力が作用すると、変位片77がその弾性、つまり引張り強度に抗して変形し、前扉11が更にこじ開けられる。
【0086】
この結果、変位片77が軸部82を基点に前方へ伸長し、その伸長分、係止ピン89が長孔85に沿って後方へ移動する。
この後、不正行為が更に続行され、引張り力が増大すると、変位片77が更に伸長し、その伸長分、係止ピン89が長孔85に沿って後方へ移動し、係止ピン89が長孔85の後端部に係合したところで、変位片77の変形が停止する。
この状況は図12のようで、前扉11の裏面と側枠8の前端面との間の隙間Cが拡大して形成される。
【0087】
このような状況で前記不正行為が中断されると、前扉11は開放されないから、遊技機の内部が実質的に不正操作される惧れは少ない。
この場合、前記隙間Cによって前扉11が前方へ突出しているから、不正行為を受けない他の遊技機と比較して、不正行為の形跡ないし事実を容易に見分けられ、前記不正行為途中の遊技機を容易に発見でき、その修理や遊技機の交換に速やかに対応できる。
【0088】
一方、前記不正行為が更に続行されると、グリップ64bと係合するロックピ−ス46の前端部が破断ないしテ−パ状に削られ、その前端部がグリップ64b, 64bの間から抜け出て、第2の錠前45から離脱する。
この場合、前述のようにフック片26,27と係止金具9,10との係合が既に解除されていれば、事実上、キ−44操作を要することなく前扉11を開放でき、遊技機内部の不正操作が可能になる。
【0089】
しかし、ロックピ−ス46のフック片76が第2の錠前45から離脱しても、ロックピ−ス46は螺軸82を介してブラケット83に固定され、かつその連結片84は凸部107,107間に位置して、フック片76を前扉11側へ突出した伸長状態を維持している
また、第2の錠前45は依然として施錠状態に置かれ、ロックプレ−ト64のグリップ64b, 64bの間隔は狭小状態に置かれているから、前扉11を強制的に閉鎖し、不正操作の形跡を隠蔽し偽装しようとしても、フック片76はグリップ64b, 64bの間に係入できず、第2の錠前45との連結が不可能になって前扉11を閉扉できない。
したがって、前記不正操作の形跡や事実を容易に発見でき、その後の対応を速やかに行なえる。
【0090】
なお、仮に前扉11を勢い良く閉め、或いは前扉11を強力に閉めて、フック片76をグリップ64b, 64bの間に押し込み、ロックピ−ス46を第2の錠前45に連結し得たとしても、ロックピ−ス46の伸長によって前扉11の裏面と側枠8の端面との間には、長孔85の長さ以上の隙間Cが形成されている。
【0091】
したがって、フック26,27と係止金具9,10との係合は不可能であるから、前扉11を閉扉して不正操作を偽装することもできず、前扉11が隙間C分前方へ突出して、不正行為を受けない他の遊技機と容易に見分けられるから、前記不正操作された遊技機を容易に発見できる。
【0092】
一方、不正操作されない遊戯機の前扉11を正常に開放する場合は、キ−44をシリンダ−錠39のキ−孔43に差し込み、これを解錠方向に回動して、内部のシリンダ−(図示略)を回動し、該シリンダ−に錠軸47を同動させて、ロックカム49を回動する。
そして、ロックカム49の一方の係合爪52を、スライドリンク13の下端部に形成した係合孔53に係合し、スライドリンク13を押し上げて、これにフック片26,27を同動させ、フック26a,27aと前記係止金具9,10との係合を解除すれば、前扉11が開放可能になる。
【0093】
前記ロックカム49を解錠方向に回動すると、これにロックピン55が同動し、その角軸56が両側のロックプレ−ト64,64を押し開き、該プレ−ト64,64をスプリング65に抗して互いに外側へ同動させ、グリップ64b, 64bをロックピ−ス46の頸部78から離間させる。この状況は図11のようである。
こうしてロックピ−ス46と第2の錠前45との連結を実質的に解除することで、第2の錠前45が解錠され、この後、前扉11を外側へ引き回せば、前扉1が開放される。
【0094】
一方、前記開放した前扉11を閉扉し、これを施錠する場合は、シリンダ−錠39にキ−44を差し込んで解錠操作し、前述のようにフック26,27と前記係止金具9,10との係合を解除するとともに、第2の錠前45を解錠してロックプレ−ト64,64を拡開する。
【0095】
このような状況を維持して前扉11を閉回動し、その下端部を凸部6aに乗り上げて前扉11を押し上げる。
このようにすると、大重量の前扉11の沈下を修正し、前扉11に取り付けた第2の錠前45と、側枠8側のロックピ−ス46の位置を調整し、それらの円滑な連結と動作を実現する。
その際、ロックピ−ス46は凸部107,107と連結片87との量感の範囲で、螺軸82を中心に上下に回動し得るから、前記位置調整を円滑に行なえる。
【0096】
こうして、前扉11を閉回動すると、第2の錠前45がロックピ−ス46に接近し、そのフック片76がカバ−69に設けた切欠孔71に差し込まれ、これが前記拡開したロックプレ−ト64,64のグリップ部64b,64bの間に移動したところで、キ−44を施錠操作し、シリンダ−錠39を施錠する。
【0097】
このようにすると、シリンダ−錠39内のシリンダ−が回動し、該シリンダ−に錠軸47が同動し、これにロックカム49が同動する。
このため、ロックカム49の係合爪52と、スライドリンク13の係合孔53との係合が解除され、前記スライドリンク13がスプリング28,29に引かれて下動し、フック26,27が係止金具9,10に係合して、前扉11の閉扉状態を保持する。
【0098】
また、前記ロックカム49の回動によってロックピン55が同動し、これに角軸56が同動してロックプレ−ト64,64が互いに内側へ回動し、そのグリップ部64b,64bの間にロックピ−ス46のフック片76の頸部78を挟持する。すなわち、第2の錠前45にロックピ−ス46が連結され、該錠前45が施錠される。
したがって、前扉11は、この後、シリンダ−錠39と、ロックリンク12と、第2の錠前45と、ロックピ−ス46の連係によって、強力に防御される。
【0099】
図13乃至図16は本発明の第2の実施形態を示し、前述の実施形態と対応する構成部に同一の符号を用いている。
すなわち、この実施形態では外枠4を木製の代わりにアルミニウム製とし、その上下枠5,6と左右の側枠7,8を、押し出し成形したアルミニウム枠で製作し、これらを縦長矩形に枠組みし、その隅角部をコ−ナ金具110で連結している。
【0100】
このうち、一方の側枠8の内面に、略C字形断面の中空のガイドレ−ル111を上下方向に突出成形し、該レ−ル111に沿って係止金具9,10を摺動可能に装着し、その所定位置で係止金具9,10を固定可能にしている。
図中、112はガイドレ−ル111の内側端面に開口形成したガイド溝で、該溝112に連結金具113が摺動可能に係合している。
【0101】
前記係止金具9,10の主要部は略L字形断面に形成され、その一端に前記フック26,27と係合可能な係止片9a,10aを内側に屈曲形成し、その両側に係合片114を外側に屈曲形成し、該係合片114をガイドレ−ル111の側端面に係合可能に配置している。図中、115は係止金具9,10に形成したビス孔である。
【0102】
前記連結金具113の両側に脚片116が屈曲形成され、該脚片116がガイドレ−ル111の内部に移動可能に配置され、また連結金具113の所定位置にバ−リング加工部117が形成され、該バ−リング加工部117に形成したネジ部にビス118がねじ込まれている。
【0103】
この実施形態によって係止金具9,10を取り付ける場合は、ガイドレ−ル111の外側に係止金具9,10を配置し、またガイドレ−ル111の内部に連結金具113と脚片116を配置し、それらのビス孔115とバ−リング加工部117の位置を合わせ、それらにビス118をねじ込み、これを緊締して係止金具9,10を所望位置に取り付けている。
【産業上の利用可能性】
【0104】
このように本発明の遊技機等の施錠装置は、防御能力を強化し、不正行為やその隠蔽ないし偽装を容易かつ速やかに発見できるとともに、不正行為に伴なう強力な破壊力に対抗でき、しかも既設の遊技機の後付けに対応できるようにしたから、例えばパチンコ機やスロットマシンの前扉の施錠装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明を適用したパチンコ機の取り付け状況を示す正面図で、島の固定枠にパチンコ機の外枠を取り付けている。
【図2】本発明を適用した前扉の裏面にロックリンクを取り付け、外枠の側枠に係止片とロックピ−スを取り付けた状況を拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明に適用したロックリンクを拡大して示す斜視図である。
【図4】図2の要部を拡大して示す斜視図で、ロックリンクのフック片と、側枠に取り付けたロックピ−スの取り付け状況を示している。
【図5】本発明に適用した第1および第2の錠前と、ロックピ−スの取り付け状況を分解し拡大して示す斜視図である。
【0106】
【図6】本発明に適用した第2の錠前の錠本体を示す平面図である。
【図7】本発明に適用したロックピ−スを拡大して示す斜視図である。
【図8】本発明に適用した第1および第2の錠前と、ロックピ−スを取り付けた状況を示す断面図で、不正行為による破壊活動前のロックピ−スの変位前の状況を示している
【図9】本発明を適用した第1および第2ホルダ−による側枠への取り付け状況と、ロックピ−スの取り付け状況を分解して示す斜視図である。
【0107】
【図10】本発明を適用した第2の錠前の施錠時における作動状況を、カバ−を取り外して拡大して示す斜視図で、ロックプレ−トが互いに内側へ回動している。
【図11】本発明を適用した第2の錠前の解錠時における作動状況を、カバ−を取り外して拡大して示す斜視図で、ロックプレ−トが互いに外側へ拡開して回動している
【図12】本発明に適用した第1および第2の錠前と、ロックピ−スを取り付けた状況を示す断面図で、不正行為による破壊活動後にロックピ−スが前扉側へ伸長変位し、前扉の裏面と側枠との隙間が拡大している。
【図13】本発明の大2の実施形態を示す斜視図で、外枠をアルミニウム枠で構成している。
【0108】
【図14】図13の要部を拡大して示す斜視図である。
【図15】図14の要部を拡大して示す斜視図である。
【図16】図13のA−A線に沿う拡大断面図である。
【符号の説明】
【0109】
3 遊技機(パチンコ機)
8 枠体(側枠)
9,10 係止片(係止金具)
11 扉体(前扉)
26,27 フック片
【0110】
39 第1の錠前(シリンダ−錠)
45 第2の錠前
46 ロックピ−ス
64 ロックプレ−ト
76 装着部(フック片)
77 変位部(変位片)
【0111】
82 枢軸(螺軸)
83 ブラケット
85 長孔
86 係合突起
89 係止ピン
【0112】
90 第1ホンダ−
91 第2ホンダ−
107 凸部
111 ガイドレ−ル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に扉体を開閉可能に取り付け、前記扉体側に第1の錠前と、該第1の錠前の施解錠作動に連動可能な複数のフック片とを設け、前記枠体側に前記フック片と係合可能な複数の係止片を設けた遊戯機等の施錠装置において、前記扉体側に前記第1の錠前の施解錠作動に連動可能な第2の錠前を設け、前記枠体側の前記第2の錠前と対応位置にロックピ−スを設け、該ロックピ−スを前記第1の錠前の施解錠作動に連係して、前記第2の錠前に着脱可能に連結したことを特徴とする遊戯機等の施錠装置。
【請求項2】
前記第2の錠前に前記ロックピ−スの一端部を連結可能なロックプレ−トを設け、該ロックプレ−トを前記第1の錠前の施解錠作動に連係して連結作動可能にした請求項1記載の遊技機等の施錠装置。
【請求項3】
前記ロックピ−スを、前記扉体側に複数位置で支持した請求項1記載の遊技機等の施錠装置。
【請求項4】
前記ロックピ−スに、前記第2の錠前に連結可能な装着部と、該装着部に作用する引張り力に変位可能な変位部とを設けた請求項1記載の遊技機等の施錠装置。
【請求項5】
前記扉体の閉扉時で、かつ前記第1および第2の錠前の施錠時に、前記ロックピ−スに引張り力を作用可能にした請求項1記載の遊技機等の施錠装置。
【請求項6】
前記複数位置で前記引張り力に対抗させた請求項3または請求項4記載の遊技機等の施錠装置。
【請求項7】
前記ロックピ−スの変位部を、一定の引張り力以上で前記扉体側へ変位可能にした請求項5記載の遊技機等の施錠装置。
【請求項8】
前記ロックピ−スの変位部の扉体側への変位によって、前記扉体と枠体との隙間を拡大し、または前記フック片と係止片とを係合不能にした請求項7記載の遊技機等の施錠装置
【請求項9】
前記ロックピ−スの装着部を、一定の引張り力以上によって、摩滅または破断可能にし、前記ロックピ−スと前記第2の錠前とを連結不能、または前記フック片と係止片とを係合不能にした請求項73または請求項8記載の遊技機等の施錠装置。
【請求項10】
前記ロックピ−スの第2の錠前に対する装着部と、枠体側への装着部との間に長孔を形成し、該長孔にロックピ−スを支持する係止ピンを挿入するとともに、前記長孔の前端部に前記係止ピンと係合可能な係合突起を設け、前記引張り力による係合突起の破断または摩滅後、前記ロックピ−スの変位部を変位可能にした請求項5記載の遊技機等の施錠装置
【請求項11】
前記ロックピ−スの変位部を、鋼板を刳り貫いて閉合形の略ハ−ト形に形成した請求項4記載の遊技機等の施錠装置。
【請求項12】
前記枠体を挟持可能な一対のホルダ−を設け、該ホルダ−にブラケットを移動可能に連結し、該ブラケットに前記ロックピ−スを設置した請求項1記載の遊技機等の施錠装置。
【請求項13】
前記係止ピンを突設した補強板と前記ブラケットとの間にロックピ−スを配置し、前記ブラケットに複数の凸部を上下に離間して配置し、該凸部の間に前記ロックピ−スを裕度を持って係合可能に配置するとともに、前記ロックピ−スを前記ブラケットに回動可能に枢着し、該枢軸を中心に前記ロックピ−スを上下に回動可能に配置した請求項1記載の遊技機等の施錠装置。
【請求項14】
前記変位部の内側に前記枢軸を配置した請求項10または請求項12項記載の遊技機等の施錠装置。
【請求項15】
前記枠体にガイドレ−ルを上下方向に設け、該ガイドレ−ルに前記係止片を移動可能に収容し、該ガイドレ−ルの所定位置に前記係止片を固定可能にした請求項1記載の遊技機等の施錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−289356(P2007−289356A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119797(P2006−119797)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(301073990)株式会社キヤッツ (5)
【Fターム(参考)】