説明

運動機能評価システム

【課題】介護予防等に必要な被検者の運動機能の測定、評価を、多くの人手を要することなくスピーディに実行することができる運動機能評価システムを提供する。
【解決手段】測定器30と電気的に接続され測定値を読み込む機能および識別コードを入力する機能と読み込んだ測定値および識別コードをコンピュータへ送信する機能とを有する第1端末ユニット20Aと、タイマおよびストップウォッチ機能とデータ入力機能と入力された値および識別コードをコンピュータへ送信する機能を有する第2端末ユニットと、上記第1端末ユニットおよび第2端末ユニットから送信されてくるデータを受信して識別コードごとに集計してデータベースとして保存したり評価する機能を有するコンピュータとにより構成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の運動機能評価システムに関し、例えば被検者の各部の筋力や身体機能、バランス機能、持久力など様々な運動機能を測定し評価することが可能なシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療保険制度の見直しに伴い、高齢者の介護予防の重要性が高まってきている。介護予防では、トレーニングに先立ってまず被検者の運動機能の測定、評価が必要であり、その後、各被検者に応じたトレーニングメニューが決定される。また、トレーニングの実効性を確かめるためにも運動機能の測定、評価が行なわれる。
【0003】
従来、被検者の運動機能の測定、評価は、握力計や筋力計、リーチテスト計、長座位計など個別の測定器を用いて得られた測定値をカルテに記載し、医師や介護医療士などの専門家が統計値と比較して評価するのが一般的であり、経験に依存するところが大きかった。また、近年においては、個別の測定器を用いて得られた測定値をコンピュータに入力して、自動的に評価することができるようにしたシステムも提供されるようになってきている。
コンピュータを利用した運動機能の評価システムとしては、例えば特許文献1に開示されている発明がある。
【特許文献1】特開2004−057357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のコンピュータを利用した運動機能評価システムにあっては、各種の測定器で得られた測定値をいちいちコンピュータに入力する必要があったため多くの人手と時間を要するという課題があった。しかも、対象となる高齢者の人数は膨大である上、評価を行う施設やスタッフの数が少ないため、充分な評価や介護予防トレーニングが実施できないのが現状であった。また、上記特許文献1に記載の運動機能の評価システムは、特定の身体機能を評価するシステムであり、介護予防のための運動機能の評価には利用できないという課題がある。
【0005】
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、介護予防等に必要な被検者の運動機能の測定、評価を、多くの人手を要することなくスピーディに実行することができる運動機能評価システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る運動機能評価システムは、測定した値を電気信号として出力可能な測定器と、該測定器と電気的に接続され測定値を読み込む機能および被検者の識別コードを入力する機能と読み込んだ測定値および識別コードをコンピュータへ送信する機能とを有する第1端末ユニットと、タイマおよびストップウォッチ機能とデータ入力機能と入力された値もしくはタイマまたはストップウォッチの計数値および識別コードをコンピュータへ送信する機能を有する第2端末ユニットと、上記第1端末ユニットおよび第2端末ユニットから送信されてくるデータを受信して識別コードごとに集計してデータベースとして保存する機能および被検者の運動機能を評価する機能を有するコンピュータとにより構成するようにしたものである。
【0007】
この発明によれば、各種測定器により測定された値をいちいちコンピュータに入力する必要がないため、介護予防等に必要な被検者の運動機能の測定、評価を、多くの人手を要することなくスピーディに実行することができる。また、人為的な入力ミスをなくすことができ、それによってより正確な運動機能の測定、評価が行なえる。さらに、異なる機能を有する端末ユニットを2つのグループに分けて構成しているため、それぞれの端末ユニットの機能が合理化され、操作が簡単になる。
【0008】
ここで、望ましくは、上記第1および第2端末ユニット並びにコンピュータには無線LANのような無線通信機能を設け、ワイヤレスで測定値や識別コードなどのデータをコンピュータへ送信できるようにする。これにより、高齢者の移動を妨げたり転倒の原因となるケーブル等の敷設の必要がなくなり、安全な環境を構築することが可能となる。
また、望ましくは、上記第1および第2端末ユニットには、被検者が保有するICタグやICカードから識別コードを読み取る機能を設けるようにする。これにより、識別コードの入力が簡略化され、スピーディなデータ収集が可能になる。
【0009】
さらに、望ましくは、上記第1および第2端末ユニットは、本体ケースと、該本体ケースの前面に設けられたテンキーを含む入力操作部と、数値表示部と、モード表示部とを備え、上記本体ケースは上記第1端末ユニットおよび第2端末ユニットとも同じ大きさとし、上記入力操作部と数値表示部とモード表示部は、上記第1端末ユニットと第2端末ユニットとで本体ケースの同一位置にそれぞれ設けるようにする。これにより、部品の共通化が容易とコストダウンを図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に従うと、介護予防等に必要な被検者の運動機能の測定、評価を、多くの人手を要することなくスピーディに実行することができる運動機能評価システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明に係る運動機能評価システムの実施の形態を詳細に説明する。
図1には、本発明を適用して有効な運動機能評価システムの一実施形態が示されている。この実施形態の運動機能評価システムは、無線通信機能およびデータ収集、評価機能を有するパーソナルコンピュータ10と、握力計や筋力計などと被検者の運動機能に関する測定値もしくは計測値および識別コードをコンピュータへ送信する機能を有する複数の端末ユニット20の集合グループ#1,#2・・・#nとによって構成されている。この実施形態では、パーソナルコンピュータ10と端末ユニット20との間の通信を行う手段として無線LANを使用しているが、ブルートゥースと呼ばれる規格の無線通信あるいはイーサネット(登録商標)などの有線LANを使用しても良い。
【0012】
パーソナルコンピュータ10には、無線通信ユニット11およびプリンタ12が接続されているとともに、各端末ユニットから送信されてくるデータを受信して識別コードごとに集計してデータベースとして保存したり評価する機能が設けられている。データベース化する機能や評価機能は、パーソナルコンピュータ10が実行するプログラムによって実現される。
【0013】
この実施形態の運動機能評価システムで測定、評価する被検者の運動機能は、握力、脚部の筋力(膝を伸展させる力)、足を伸ばして座った状態で手を伸ばし膝を曲げずに腰を曲げて手の先がどの位まで前方へ移動できるか調べる長座位体前屈、立ち上がった状態で手を伸ばし手の先がどの位まで前方へ移動できるか調べるファンクションリーチ(FRT)、椅子に座っている状態から立ち上がって3m歩行して方向転換し、3m戻って椅子に座るまでの所要時間(タイムアップゴー)、片足立ち時間、5m歩行速度、6分間歩行距離、規定時間内の椅子立上がり回数などである。
【0014】
この実施形態で用いられる端末ユニット20は、2つのタイプに分けることができる。第1のタイプの端末ユニット20Aは、握力計や筋力計、リーチテスト計、長座位計など測定器と電気的に接続され測定値を読み込む機能および識別コードを入力する機能と読み込んだ測定値および識別コードをコンピュータへ送信する機能とを有する端末ユニットである。
【0015】
第2のタイプの端末ユニット20Bは、タイマおよびストップウォッチ機能およびデータ入力機能と入力された値および識別コードをコンピュータへ送信する機能を有する端末ユニットである。第2のタイプの端末ユニット20Bは、1つのユニットで、タイムアップゴー時間測定、片足立ち時間測定、5m歩行速度測定、6分間歩行距離測定、規定時間内の椅子立上がり回数測定をこなすことができるように構成される。
【0016】
図2には、第1のタイプの端末ユニット20Aの構成例が示されている。ここでは、一例として、握力計30とケーブル40を介して電気的に接続される端末ユニット20Aが示されている。この端末ユニット20Aは、箱型の本体ケース21の表面に、ドットマトリックス型の表示部22と、各種入力キーからなる入力操作部23と、現在の測定モードを示すモード表示部24が設けられている。表示部22は例えば液晶パネルからなり、モード表示部24は複数のLEDランプからなる。各ランプは、例えば左右いずれの側の測定かを示すランプ、1回目の測定を示すランプ、2回目の測定を示すランプなどからなる。
【0017】
また、本体ケース21の下部には、握力計30と電気的に接続するためのケーブル40の一端が結合されているとともに、本体ケース21の内部には、入力操作部23や握力計30からの信号を処理する信号処理回路や、得られた測定値や識別コードなどのデータを送信する通信回路などが内蔵されている。さらに、本体ケース21の上部には、通信回路により生成された信号を電波として出力するアンテナ25が設けられている。
【0018】
入力操作部23には、識別コードなどの数値を入力するのに使用するテンキーの他、電源のオン/オフキー、握力計30による測定が右手か左手かを切り換える切換えキー、測定の開始/終了を指示するキー、測定されたデータの消去(測定のやり直し)を指示するキー、無線通信によるデータの送信を指示するキーがある。ケーブル40は、その先端にプラグを設け、本体ケース21にはコネクタを設けることで本体ケース21に対して着脱可能に構成することができる。
【0019】
図3には、リーチ測定計と電気的に接続される端末ユニット20A’が示されている。図2の握力計用の端末ユニット20Aとの差異は、入力操作部23に左右の切換えキーがない点と、モード表示部24のランプの数が少ない点である。2つのランプのうち一方は1回目の測定を示し、他方は2回目の測定を示す。
【0020】
図4には、第2のタイプの端末ユニット20Bの構成例が示されている。図2の握力計用の端末ユニット20Aとの差異は、入力操作部23に左右の切換えキーの代わりに測定項目選択のためのシフトキーSFが設けられている点と、モード表示部24のランプの数が多い点、および測定器と接続されるケーブルがない点である。シフトキーSFが押されると、測定モードが、タイムアップゴー時間測定→片足立ち時間測定→5m歩行速度測定→6分間歩行距離測定→規定時間内の椅子立上がり回数測定のように順繰りに切り換わるとともに、モード表示部24の点灯ランプがシフトするように構成されている。
【0021】
筋力計と接続される端末ユニットは握力計と接続される端末ユニット20Aとほぼ同様の構成、長座位計と接続される端末ユニットはリーチ測定計と接続される端末ユニット20A’とほぼ同様の構成を有するので、図示および詳細な説明は省略する。このように、本実施形態の端末ユニットは、接続される測定器によって構成が異なるものの、それぞれは非常に類似した構成を備えるので、大多数の部品を共用することができ、それによってコストの増加を抑えることができるという利点がある。
【0022】
第2のタイプの端末ユニット20Bは、シフトキーの代わりに、各測定項目に対応した複数の選択キーを設けることも可能であるが、シフトキーとすることによりキーの数を減らすことができる。また、シフトキーが押されるとモード表示部24の点灯ランプをシフトさせる代わりに、表示部22に測定項目を順次表示させるように構成しても良い。
【0023】
図5〜図9には、上記端末ユニット20を使用した握力測定等具体的な運動機能測定の手順が示されている。
【0024】
図5の握力測定では、先ず握力計に接続されている端末ユニット20の電源を入れてから、被検者のIDコードを入力操作部23のテンキーを使用して入力する。次に、入力操作部23のテンキーの下の左右切換えキーを操作して左または右のいずれの測定を行うかを選択する。どちらが選択状態にあるかは、モード表示部24の左側または右側のランプの点灯により知ることができる。続いて、入力操作部23上部の開始/終了キーを押して測定を開始する。すると、モード表示部24の1回目のランプが点滅して測定値の読込みが終了したことを知らせるので、開始/終了キーを押して1回目の測定を終了する。このとき、読み込まれた測定値は、表示部22に表示されるとともに、内部メモリに記憶される。
【0025】
次に、左右切換えキーを操作して再度左または右のいずれの測定を行うかを選択して開始/終了キーを押して測定を開始し、モード表示部24の2回目のランプの点滅により測定値の読込み終了報知を受けて、開始/終了キーを押して2回目の測定を終了する。その後、上記のような操作を2回繰り返して、左右2回ずつ握力測定を行なったのち、送信キーを押して測定値をパーソナルコンピュータ10へ送信して終了する。脚部の筋力測定の手順も、上記握力測定と同じであるので、フローチャートと説明は省略する。
【0026】
図6の長座位体前屈測定では、先ず長座位計に接続されている端末ユニット20の電源を入れてから、被検者のIDコードを入力操作部23のテンキーを使用して入力する。次に、入力操作部23上部の開始/終了キーを押して測定を開始する。すると、モード表示部24の1回目のランプが点滅して測定値の読込みが終了したことを知らせるので、開始/終了キーを押して1回目の測定を終了する。このとき、読み込まれた測定値は、表示部22に表示される。
【0027】
続いて、開始/終了キーを押して測定を開始し、モード表示部24の2回目のランプの点滅により測定値の読込み終了報知を受けて、開始/終了キーを押して2回目の測定を終了する。その後、送信キーを押して測定値をパーソナルコンピュータ10へ送信して終了する。リーチ測定の手順も、上記長座位体前屈測定と同じであるので、フローチャートと説明は省略する。
【0028】
図7の片足立ち時間測定では、測定機器と接続されない第2タイプの端末ユニット20Bを用意し、その電源を入れてから、入力操作部23のテンキーの下のシフトキーSFを操作して測定項目を選択する。シフトキーSFを1回押すごとにモード表示部24の点灯ランプが1つずつずれるので、所望の測定項目に対応するランプが点灯している状態でシフトキーの操作を停止することで測定項目を選択することができる。それから、被検者のIDコードを入力操作部23のテンキーを使用して入力する。
【0029】
次に、被検者に右足で片足立ちをするように指示を与え、入力操作部23上部の開始/終了キーを押して測定を開始する。すると、端末ユニット20Bはストップウォッチとして機能し、表示部22に開始時点からの経過時間が表示される。被検者が上げていた左足を床についてしまった時点で開始/終了キーを押して測定を終了すると、表示部22の経過時間の更新が停止し、そのときの経過時間が内部メモリに記憶される。
【0030】
続いて、被検者に左足で片足立ちをするように指示を与え、開始/終了キーを押して測定を開始し、被検者が上げていた右足を床についてしまった時点で開始/終了キーを押して測定を終了する。その後、送信キーを押して測定値をパーソナルコンピュータ10へ送信して終了する。タイムアップゴー測定は、手順は上記片足立ち時間測定と同じであり、同じ測定を2回繰り返す点が異なるだけであるので、フローチャートと説明は省略する。
【0031】
図8の5m歩行速度測定は、第2タイプの端末ユニット20Bを使用し、その電源を入れてから、入力操作部23のテンキーの下のシフトキーSFを操作して測定項目を選択する。それから、被検者のIDコードを入力操作部23のテンキーを使用して入力する。
【0032】
次に、被検者に歩行を開始するように指示を与え、入力操作部23上部の開始/終了キーを押して測定を開始し、端末ユニット20Bをストップウォッチとして機能させ、表示部22に開始時点からの経過時間を表示させる。被検者が5mに達した時点で開始/終了キーを押して測定を終了すると、表示部22の経過時間の更新が停止し、そのときの経過時間が内部メモリに記憶される。その後、送信キーを押して測定値をパーソナルコンピュータ10へ送信して終了する。
【0033】
図9の6分間歩行距離測定では、第2タイプの端末ユニット20Bを使用し、その電源を入れてから、入力操作部23のテンキーの下のシフトキーSFを操作して測定項目を選択する。それから、被検者のIDコードを入力操作部23のテンキーを使用して入力する。
【0034】
次に、被検者に歩行を開始するように指示を与え、入力操作部23上部の開始/終了キーを押して測定を開始する。すると、端末ユニット20Bはタイマとして機能し、表示部22には6分からカウントダウンで経過時間が表示される。表示部22の経過時間が0になった時点で被検者に歩行停止を指示し、それまで歩行した距離を入力操作部23のテンキーを使用して入力する。入力された値は内部メモリに記憶される。その後、送信キーを押して測定値をパーソナルコンピュータ10へ送信して終了する。椅子立上がり回数測定の手順も、上記6分間歩行距離測定と同じであるので、フローチャートと説明は省略する。
【0035】
図10には、上記のようにして測定されて、パーソナルコンピュータ10へ送信され、被検者ごとにデータベース化された後、パーソナルコンピュータ10によって行われる被検者の運動機能評価結果の出力の仕方の一例を示す。
【0036】
この実施形態で出力される評価結果レポートは、大きく分けると3つの部分からなる。1番上の欄は、被検者のIDコードや名前、年齢、身長、体重などの固有情報を記載した欄である。これらの情報は、パーソナルコンピュータ10に設けられているキーボードなどの入力装置を使用して入力される。身長や体重、血圧などの身体情報は、それらの測定機器と接続され前述した端末ユニット20と同様な機能を有する端末ユニットから送信されてくる情報をパーソナルコンピュータ10が被検者ごとにデータベースとして記憶したものであっても良い。
【0037】
真中の欄は、各被検者の運動機能をグラフとして表示する欄である。図10の例では、今回の測定結果を前回の測定結果と共にレーダーグラフとして表示することで、トレーニングによる効果が順調に出ているか視覚的に判断できるようにしている。
【0038】
1番下の欄は、端末ユニット20によって得られた被検者の握力等の実測値を表形式で記載した欄である。この欄により、正確な測定値を確認することができる。なお、図10では、一例として、今回と前回の測定結果をレーダーグラフとして表示する場合を示したが、各項目ごとに時系列データとしてグラフおよび表に表わすようにすることも可能である。さらに、測定結果のみに限定されず、測定結果に基づいてコンピュータが各被検者に適したトレーニングメニューを自動的に作成して出力するようにプログラムを構成することも可能である。
【0039】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前記実施形態では、握力計や筋力計など測定器ごとに異なる端末ユニット20を用意して提供するようにした場合を説明したが、すべての測定器およびタイマを使用した機能測定に使用できる多機能の共通端末ユニットとして構成することも可能である。
【0040】
その場合、共通端末ユニットには握力計や筋力計など異なる機能の測定器が接続されることとなるので、測定器から端末ユニットへ機器の種別を示すコードを送信して端末ユニットが自動的に測定項目を認識できるように構成するのが望ましい。このような構成をとれば、端末ユニットは1種類となるため、コストダウンが可能となる一方、多機能であるがゆえに操作が複雑になるというデメリットがある。
【0041】
また、前記実施形態では、測定する被検者の運動機能として、握力、脚部の筋力、長座位体前屈、ファンクションリーチ、タイムアップゴー、片足立ち時間、5m歩行速度、6分間歩行距離、椅子立上がり回数の9種類を扱う場合を説明したが、測定対象はこれらに限定されるものでなく、それらの一部あるいは上記以外の機能を追加測定するようにしても良いことはいうまでもない。
【0042】
さらに、前記実施形態では、コンピュータによる評価結果をレーダーグラフの形式で出力するようにしているが、棒グラフや折れ線グラフなどの他の形式のグラフで表示するようにすることも可能である。レポート全体の形式も図10に示されているものに限定されるものでない。
【0043】
また、各端末ユニットに測定結果を不揮発的に記憶するフラッシュメモリのような記憶媒体を挿脱可能に設けておいて、通信手段が故障したり電波障害などで端末ユニットからコンピュータへデータをうまく送信できないような場合に、測定結果を記憶した記憶媒体を端末ユニットから抜いてコンピュータに接続してデータを直接読み取るバックアップの機能を持たせるように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明を適用して有効な運動機能評価システムの一実施形態が示す概略構成図である。
【図2】握力計と接続される第1タイプの端末ユニットの構成例を示す構成説明図である。
【図3】リーチ計と接続される端末ユニットの構成例を示す正面図である。
【図4】タイマ、ストップウォッチ機能を有する第2タイプの端末ユニットの構成例を示す正面図である。
【図5】実施例の端末ユニットを使用した握力の測定手順を示すフローチャートである。
【図6】実施例の端末ユニットを使用した長座位体前屈の測定手順を示すフローチャートである。
【図7】実施例の端末ユニットを使用した片足立ち時間の測定手順を示すフローチャートである。
【図8】実施例の端末ユニットを使用した5m歩行速度の測定手順を示すフローチャートである。
【図9】実施例の端末ユニットを使用した6分間歩行距離の測定手順を示すフローチャートである。
【図10】コンピュータによって行われる被検者の運動機能評価結果の出力の仕方の一例を示す出力説明図である。
【符号の説明】
【0045】
10 コンピュータ
20 端末ユニット
21 本体ケース
22 表示部
23 入力操作部
24 モード表示部
25 アンテナ
30 測定器(握力計)
40 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定した値を電気信号として出力可能な測定器と、
該測定器と電気的に接続され測定値を読み込む機能および被検者の識別コードを入力する機能と読み込んだ測定値および識別コードをコンピュータへ送信する機能とを有する第1端末ユニットと、
タイマおよびストップウォッチ機能とデータ入力機能と入力された値もしくはタイマまたはストップウォッチの計数値および識別コードをコンピュータへ送信する機能を有する第2端末ユニットと、
上記第1端末ユニットおよび第2端末ユニットから送信されてくるデータを受信して上記識別コードごとに集計してデータベースとして保存する機能および被検者の運動機能を評価する機能を有するコンピュータとを備えることを特徴とする運動機能評価システム。
【請求項2】
上記第1および第2端末ユニット並びにコンピュータは無線通信機能を備え、データをコンピュータへ送信可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の運動機能評価システム。
【請求項3】
上記第1および第2端末ユニットは、ICタグやICカードから識別コードを読み取る機能を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の運動機能評価システム。
【請求項4】
上記第1および第2端末ユニットは、本体ケースと、該本体ケースの前面に設けられたテンキーを含む入力操作部と、数値表示部と、モード表示部とを備え、
上記本体ケースは上記第1端末ユニットおよび第2端末ユニットとも同じ大きさであり、
上記入力操作部と数値表示部とモード表示部は、上記第1端末ユニットと第2端末ユニットとで本体ケースの同一位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の運動機能評価システム。
【請求項5】
上記第1および第2端末ユニットは、上記入力操作部に、テンキーと、電源オン/オフキーと、測定開始/終了キーと、データ送信指令キーとを共通に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の運動機能評価システム。
【請求項6】
上記第2端末ユニットは、上記入力操作部に、測定項目を選択するためのシフトキーを備えることを特徴とする請求項5に記載の運動機能評価システム。
【請求項7】
上記第1端末ユニットは測定器に応じて複数種類あり、複数の第1端末ユニットのうち一部は、上記入力操作部に、測定対象が右か左かを指令するための左右切換えキーを備えることを特徴とする請求項5に記載の運動機能評価システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−284116(P2008−284116A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131170(P2007−131170)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000101558)アニマ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】