説明

運搬車におけるリヤフェンダ支持構造

【課題】運搬車におけるリヤフェンダの劣化を抑制することが可能なリヤフェンダ支持構造を提供することである。
【解決手段】上記した目的を達成するために、本発明の課題解決手段は、積載設備Tを支持するシャシフレーム1と、シャシフレーム1の側方に設置されて車両の後輪Wを覆うリヤフェンダ4を支持する一対のステー2,2とを備えた粉粒体運搬車におけるリヤフェンダ支持構造において、ステー2,2間にピン接合されて架け渡される一対の支持梁3,3を設け、当該支持梁3,3でリヤフェンダ4を支持することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、運搬車におけるリヤフェンダ支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種、運搬車としては、シャシフレームに積載設備としてのタンクを搭載して、セメント、小麦粉、その他の粉粒体を運搬する粉粒体運搬車や、シャシフレームに積載設備としてのミキサドラムを搭載して、モルタルやレディミクストコンクリート等を運搬するミキサ車などがある。
【0003】
このような粉粒体運搬車やミキサ車に使用される車両の場合、タンク等の積載設備の架装前には後輪の泥除けとなるリヤフェンダを搭載していない場合が多く、このリヤフェンダを搭載するには、シャシフレーム後方の側部の前後に一対のステーを設けて、当該各ステーでリヤフェンダを支持するようにしている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平5−64072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして、上述のような運搬車は、特に大容量の積載設備を備えるものにあっては、前後方向に長くなり後輪が二軸となるものが多く、二軸の後輪を覆うリヤフェンダも必然的に前後方向に長尺となる。
【0005】
ここで、運搬車におけるシャシフレームは前後方向に長尺であるため、走行中の振動などによってシャシフレームに撓みや捩れが生じる。また、リヤフェンダを支持する前後のステーはリヤフェンダの前後を支持するため、リヤフェンダの長さに併せてステー間隔も長くなり、シャシフレームの撓み等によってリヤフェンダに曲げ応力が作用し、この曲げ応力はリヤフェンダが長尺になればなるほど大きくなる。
【0006】
これに対して従来の運搬車にあっては何ら手当てがなされておらず、大きな曲げ応力が継続的にリヤフェンダに作用し、リヤフェンダの劣化を早めてしまう虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、運搬車におけるリヤフェンダの劣化を抑制することが可能なリヤフェンダ支持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明の課題解決手段は、積載設備を支持するシャシフレームと、シャシフレームの側方に設置されて車両の後輪を覆うリヤフェンダを支持する一対のステーとを備えた運搬車におけるリヤフェンダ支持構造において、ステー間にピン接合されて架け渡される一対の支持梁を設け、当該支持梁でリヤフェンダを支持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リヤフェンダは、ステーに直接支持されるのではなく、ステーにピン結合される支持梁によって支持されるようになっており、シャシフレームに撓みや捩れが生じても、支持梁が強度部材として機能するとともに、ピン結合によってシャシフレームの撓みや捩れの支持梁への伝達が緩和されるので、リヤフェンダに曲げ応力が作用することを抑制することができ、また、当該曲げ応力を小さくすることができる。
【0010】
したがって、この運搬車におけるリヤフェンダ支持構造によれば、リヤフェンダの劣化を抑制することが可能となり、リヤフェンダを長寿命とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、図示した実施の形態に基づいて、本発明を説明する。図1は、一実施の形態におけるリヤフェンダ支持構造が具現化した粉粒体運搬車の後部における側面図である。図2は、一実施の形態におけるリヤフェンダ支持構造が具現化した粉粒体運搬車の後部における斜視図である。図3は、一実施の形態の一変形例におけるリヤフェンダ支持構造が具現化した粉粒体運搬車の後部における斜視図である。
【0012】
一実施の形態におけるリヤフェンダ支持構造は、図1および図2に示すように、粉粒体運搬車の後輪W,Wを覆うリヤフェンダ部分に具現化されており、粉粒体を貯留する積載設備としてのタンクTを支持する車両のシャシフレーム1と、シャシフレーム1の側方にそれぞれ前後に配置されて設置される一対のステー2,2と、各ステー2,2間にピン接合されて架け渡される一対の支持梁3,3と、上記支持梁3,3に下方から支持されるリヤフェンダ4とを備えて構成されている。なお、本発明の当該リヤフェンダ支持構造の説明に当たり、粉粒体運搬車の車両進行方向に対し左側の後輪部分のリヤフェンダ構造を例にして説明するが、右側の後輪を覆うリヤフェンダにも具現化されてよいことは当然である。
【0013】
なお、タンクTは、図1および図2に示すように、車両の左右のシャシフレーム1,10にタンクフレーム5を介して搭載支持されており、タンクフレーム5も積載設備の一部を構成している。また、シャシフレーム1には、側部から車両進行方向に対して左方へ向けて一対の角パイプ形状のステー2,2が前後に配置されて取付けられている。
【0014】
そして、このステー2,2には、支持梁3,3が架け渡されている。この支持梁3は、両端部3a,3bがリヤフェンダ4の形状に沿うよう下方へ傾斜しており、その両端部3a,3bの先端は、それぞれ鉛直方向への回転を許容するピン結合によってステー2,2に固定されている。
【0015】
具体的には、ステー2,2は、それぞれ一対の図示しない孔を備えた取付片2a,2aを備え、支持梁3,3の両端部3a,3bにも図示しない横孔が設けられ、取付片2aの孔と支持梁3に設けた横孔にピン6を挿通して、ステー2と支持梁3とをピン結合してある。
【0016】
また、支持梁3,3は、互いに5つの連結梁7で連結されて梯子状の枠体を形成している。そして、この支持梁3,3と連結梁7で構成される枠体の上に、複数のパネル状の板材が貼られて溶接等によって固定され、これら板材で後輪Wの上部を覆うリヤフェンダ4が構成されている。
【0017】
このようにリヤフェンダ4は、実際にはいくつかに分割されたパネル状の板材を支持梁3と連結梁7でなる枠体上に貼り付けて一体化して構成されるが、リヤフェンダ4をあらかじめ製造しておき、支持梁3と連結梁7でなる枠体上に取り付けるようにしてもよい。
【0018】
このように、この運搬車にあっては、リヤフェンダ4は、ステー2,2に直接支持されるのではなく、ステー2,2にピン結合される支持梁3,3によって支持されるようになっており、シャシフレーム1に撓みや捩れが生じても、支持梁3,3が強度部材として機能するとともに、ピン結合によってシャシフレーム1の撓みや捩れの支持梁3,3への伝達が緩和されるので、リヤフェンダ4に曲げ応力が作用することを抑制することができ、また、当該曲げ応力を小さくすることができる。
【0019】
したがって、この運搬車におけるリヤフェンダ支持構造によれば、リヤフェンダ4の劣化を抑制することが可能となり、リヤフェンダ4を長寿命とすることができる。
【0020】
また、本実施の形態におけるリヤフェンダ支持構造によれば、支持梁3,3が連結梁7と協働して枠体を構成しているので、リヤフェンダ4を直接支持する部材である支持梁3の変形に対する強度が向上するので、リヤフェンダ4に曲げ応力が作用することを抑制する効果がより一層高まり、リヤフェンダ4の劣化をより一層抑制することができる。
【0021】
なお、連結梁7を少なくとも二つ以上設ければ、支持梁3,3と連結梁7とで枠体を構成することができ、リヤフェンダ4の劣化の抑制効果を高めることができる。また、連結梁7の数が多ければ多いほど、支持梁3,3と連結梁7とでなる枠体の強度が向上することになり、その分、リヤフェンダ4の劣化抑制効果を向上することができる。
【0022】
なお、ステー2は、本実施の形態では、角パイプ形状に形成されているが、支持梁3,3にピン結合可能であればよいので、上記形状に限定されないことは当然である。さらに、支持梁3,3の断面その他の形状についても任意に設定することができるが、本実施の形態のように、支持梁3,3をリヤフェンダ4の形状に沿う形状としておくことで、リヤフェンダ4を裏打ちしてリヤフェンダ4の撓みを抑制できる、リヤフェンダ4の劣化をより一層防止できる利点がある。
【0023】
さらに、上述した実施の形態においては、ステー2,2をシャシフレーム1,10に直接設置しているが、図3に示すように、タンクフレーム5が強度補償等の理由からシャシフレーム1に積層される角型パイプやC型チャンネル等のサブフレーム8を備えている場合には、ステー2,2をサブフレーム8に取り付け、ステー2,2をサブフレーム8を介してシャシフレーム1に設置するようにしてもよい。このようにすることで、シャシフレーム1に生じる撓みや捩れのリヤフェンダ4への伝播をサブフレーム8を介することで緩和でき、リヤフェンダ4の劣化防止効果を向上することができる。
【0024】
また、サブフレーム8ではなくタンクフレーム5にステー2,2を取り付けるようにしてもよい。すなわち、シャシフレーム1の側方に一対のステー2,2を設置することには、シャシフレーム1に直接に取付けること以外にも、シャシフレーム1に搭載支持される積載設備を介して間接的に取付けることも含まれる概念である。
【0025】
また、この実施の形態においては、リヤフェンダ支持構造が粉粒体運搬車に具現化された例を用いて説明しているが、当該リヤフェンダ支持構造は、タンクローリーや積載設備をミキサドラムとしたミキサ車にも具現化することが可能である。
【0026】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】一実施の形態におけるリヤフェンダ支持構造が具現化した粉粒体運搬車の後部における側面図である。
【図2】一実施の形態におけるリヤフェンダ支持構造が具現化した粉粒体運搬車の後部における斜視図である。
【図3】一実施の形態の一変形例におけるリヤフェンダ支持構造が具現化した粉粒体運搬車の後部における斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1,10 シャシフレーム
2 ステー
2a 取付片
3 支持梁
4 リヤフェンダ
5 タンクフレーム
6 ピン
7 連結梁
8 サブフレーム
T タンク
W 粉粒体運搬車における後輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載設備を支持するシャシフレームと、シャシフレームの側方に設置されて車両の後輪を覆うリヤフェンダを支持する一対のステーとを備えた運搬車におけるリヤフェンダ支持構造において、ステー間にピン接合されて架け渡される一対の支持梁を設け、当該支持梁でリヤフェンダを支持することを特徴とするリヤフェンダ支持構造。
【請求項2】
支持梁同士を連結する二つ以上の連結梁を設けたことを特徴とする請求項1に記載のリヤフェンダ支持構造。
【請求項3】
支持梁はリヤフェンダに沿う形状とされることを特徴とする請求項1または2に記載のリヤフェンダ支持構造。
【請求項4】
ステーは、積載設備を介してシャシフレームに設置されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のリヤフェンダ支持構造。
【請求項5】
ステーは、サブフレームを介してシャシフレームに設置されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のリヤフェンダ支持構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−149205(P2009−149205A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328920(P2007−328920)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】