過電流通過表示器
【課題】他相の電線による磁界の影響が防止された過電流通過表示器を提供する。
【解決手段】過電流通過表示器1は、電線2を挟持して吊り下げ状態で取り付けられ、電線2に流れる電流を検出し、過電流の発生時に表示体25を正常表示状態から異常表示状態へ回転軸24a,24bを中心として反転させる。過電流通過表示器1は、表示体25の回転軸24a,24bの両側に固定される磁気回転素子26a,26bと、磁気回転素子26a,26bに対向するとともに電線2の軸方向に対してその中心軸が平行となるように設けられる電磁石27a,27bとを備える。
【解決手段】過電流通過表示器1は、電線2を挟持して吊り下げ状態で取り付けられ、電線2に流れる電流を検出し、過電流の発生時に表示体25を正常表示状態から異常表示状態へ回転軸24a,24bを中心として反転させる。過電流通過表示器1は、表示体25の回転軸24a,24bの両側に固定される磁気回転素子26a,26bと、磁気回転素子26a,26bに対向するとともに電線2の軸方向に対してその中心軸が平行となるように設けられる電磁石27a,27bとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、過電流通過表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
過電流通過表示器は、配電線路等の電線に吊り下げ状態で支持され、その電線に地絡や短絡等の事故に起因して過電流が流れたときに、それを速やかに表示するようにしたものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の過電流通過表示器では、コア及びコイル等よりなる検出部が、電線を取り囲むように配設され、この検出部によって電線に流れる電流が検出されるようになっている。また、検出部には表示部が隣接して配設され、その表示部には表示体及びそれを駆動するための電磁石と磁気回転素子からなる駆動手段が設けられている。そして、電線に過電流が流れたとき、検出部から検出信号が出力されて、その検出信号により駆動手段が作動され、表示体が正常状態から異常表示状態に反転されるようになっている。
【特許文献1】特開平11−142443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の過電流通過表示器は、図8に示されるように、左からU相102u、V相102v、W相102wの3相の電線のうち、両端のU相102uとW相102wとの2相に取り付けられ、配電線路の故障箇所を検出するように用いられていた。しかしながら、図9に示されるように、左からU相102u、V相102v、W相102wの3相の電線すべてに過電流通過表示器101を取り付け、配電線路の故障箇所を検出するとともに、故障相を発見するように用いることが考えられる。
【0005】
このように3相の電線102u,102v,102wすべてに過電流通過表示器101が取り付けられた場合に、例えば両端のU相102uとW相102wとが短絡すると、U相102uとW相102wとに正常の電流値より大きな短絡電流が流れる。すなわち、U相102uに紙面奥方向への過電流が流れ、W相102wに紙面手前方向への過電流が流れる。すると、U相102uとW相102wとには、図中破線のような磁界が発生する。そして、図9に示されるように、V相102vに取り付けられた過電流通過表示器101には、上方から下方への外部磁界が通過する。よって、過電流通過表示器101内の表示体125を駆動する駆動手段を構成する電磁石127のコア128内を通過する下方から上方への磁界方向に対して異なるため、V相102vに取り付けられた過電流通過表示器101の磁気回転素子126が回転されたり、不安定になったりするおそれがあった。また、中央のV相102vに限らず、U相102uやW相102wに取り付けられた過電流通過表示器101においてもV相102vに取り付けられた過電流通過表示器101ほどではないが、他相の電線による磁界の影響が考えられる。
【0006】
そこで、特許文献1に記載の過電流通過表示器では、電磁石127の周囲を取り巻くように、電磁石127を固定した支持部材123を取り付けた取付板の下面に、ケイ素鋼板等の金属材料からなる磁界遮蔽板が取り付けられている。しかしながら、このように取り付けた磁界遮蔽板では、横方法及び斜め方向からの外部磁界については遮蔽でき有効であるが、上方から下方への外部磁界については遮蔽できず有効ではなかった。また、同磁界遮蔽版を取り付けると、部品点数及び作業工数が増加し、費用の増加を招いていた。
【0007】
このため、他相の電線による磁界の影響が防止された過電流通過表示器が求められていた。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、他相の電線による磁界の影響が防止された過電流通過表示器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、配電線路を挟持して吊り下げ状態で取り付けられ、同配電線路に流れる電流を検出し、過電流の発生時に駆動手段により、表示体を正常表示状態から異常表示状態へ回転軸を中心として反転させるようにした過電流通過表示器において、前記駆動手段は、前記表示体の前記回転軸の両側のうち少なくとも一方に固定される磁気回転素子と、同磁気回転素子に対向するとともに前記配電線路の軸方向に対してその中心軸が平行となるように設けられる電磁石とを備えることをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、駆動手段は表示体に設けられる回転軸の両側のうち少なくとも一方に固定される磁気回転素子と、磁気回転素子に対向するとともに電線の軸方向に対して平行となるように設けられる電磁石とを備える。そのため、取り付けられた電線とは異なる他相の電線に過電流が流れたときに他相の電線による磁界が発生しても、同磁界の方向と電磁石の磁界の方向は略垂直となり、影響を受けない。その結果、他相の電線による磁界の影響を防止することができる。
【0010】
表示体の回転軸の両側に磁気回転素子を設けた場合には、以下のように電磁石を配置することができる。請求項2に記載のように、同一方向を向くとともに平行に配置する。また、請求項3に記載のように、反対方向を向くとともに平行に配置する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、過電流通過表示器において、他相の電線による磁界の影響を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図5を参照して説明する。
図1に示されるように、過電流通過表示器1は、配電線路等の電線2に吊り下げ状態で取り付けられて、電線2に流れる電流を検出する検出部10と、電線2に過電流が流れたときに、それを表示する表示部20とを備えている。
【0013】
検出部10は、コア及びコイル等よりなり、電線2を取り囲むように配設され、電線2を挟持した状態で、ボルト及びナットにより締め付け固定されている。
表示部20は、検出部10の下部に装着されている。この表示部20の筐体としてのケース21は、合成樹脂により筒状に形成され、その下部に透明カバー30が取り付けられている。
【0014】
ケース21内には、取付板22が配設され、その下面左右両側には一対の合成樹脂製の支持部材23a,23bが取り付けられている。取付板22の上面には、基板が配設され、この基板上には検出制御部を含む制御回路が実装されている。
【0015】
表示体25は合成樹脂により円板状に形成され、表示体25の両端には回転軸24a,24bが両支持部材23a,23bの軸受孔に挿通した状態で、電線2の延長方向と直交する方向へ延びる水平軸線の周りで回転可能に支持されている。また、表示体25の外面は、正常表示部25a及び異常表示部25bの2つに分けられている。そして、通常の送電時には白色の正常表示部25aが下側に配置されるとともに、赤色の異常表示部25bが上側に配置されるようになっている。
【0016】
図2に示される図1のA矢視図のように、両支持部材23a,23bには、右側電磁石27aと左側電磁石27bとが電線2の軸方向に対してその中心軸が平行となるように表示体25の中心軸よりも後側にそれぞれ配設されている。右側電磁石27aは、右側コア28aと右側コイル29aとを備えている。左側電磁石27bは、左側コア28bと左側コイル29bとを備えている。両電磁石27a,27bは、磁性保持型になっており、コイル29a,29bに一旦電流が流れて、コア28a,28bに前後方向の磁極が発生すると、コイル29a,29bへの通電が停止された後でも、コア28a,28bの磁極が保持されるようになっている。なお、本実施形態では、通常の送電時において、右側コア28aの前側がS極、後側がN極の磁極となるように設定されているとともに、左側コア28bの前側がS極、後側がN極の磁極となるように設定されている。また、過電流の通過検出時には、右側コイル29aが励磁されて、右側コア28aの前側がN極、後側がS極の磁極に転換されるとともに、左側コイル29bが励磁されて、左側コア28bの前側がN極、後側がS極の磁極に転換されるようになっている。すなわち、両電磁石27a,27bは、左右両側で磁極が同じとなるように設定されている。
【0017】
図1に示されるように、表示体25の両側の回転軸24a,24bには、右側電磁石27aの右側コア28aに近接対向するように、右側磁気回転素子26aが固定されるとともに、左側電磁石27bの左側コア28bに近接対向するように、左側磁気回転素子26bが固定される。図3に示されるように、磁気回転素子26a(26b)の外周には、極性の異なる一対の半円弧状の磁石層が形成されている。そして、本実施形態においては、図1に示されるように、電磁石27a,27b及び磁気回転素子26a,26bにより、表示体25を正常表示状態から異常表示状態に反転させるための駆動手段としての駆動部が構成されている。
【0018】
すなわち、通常の送電時には、右側電磁石27aの右側コア28aの前側S極と吸引しあった右側磁気回転素子26aがN極の磁石層を後側とする位置に設定されているとともに、左側電磁石27bの左側コア28bの前側S極と吸引しあった左側磁気回転素子26bがN極の磁石層を後側とする位置に設定されている。これにより、表示体25上の白色の正常表示部25aが、透明カバー30側へ露出した下側位置に配置されている。
【0019】
一方、短絡等によって所定値を超える過電流の通過検出時には、右側電磁石27aの右側コイル29aが励磁されて、その右側コア28aの前側がN極、後側がS極に磁極転換され、右側磁気回転素子26aのN極の磁石層が右側コア28aの前側の磁極と反発して、右側磁気回転素子26aに回転力が誘起される。また、左側電磁石27bの左側コイル29bが励磁されて、その左側コア28bの前側がN極、後側がS極に磁極転換され、左側磁気回転素子26bのN極の磁石層が左側コア28bの前側の磁極と反発して、左側磁気回転素子26bに回転力が誘起される。これにより、磁気回転素子26a,26b及び表示体25が回転されて、右側磁気回転素子26aのS極の磁石層が後側に配置されるとともに、左側磁気回転素子26bのS極の磁石層が後側に配置される。すなわち、右側電磁石27aの右側コア28aの前側N極と吸引しあった右側磁気回転素子26aがS極の磁石層を後側とする位置に保持されるようになるとともに、左側電磁石27bの左側コア28bの前側N極と吸引しあった左側磁気回転素子26bがS極の磁石層を後側とする位置に保持されるようになる。よって、表示体25上の赤色の異常表示部25bが透明カバー30側へ露出した状態に配置される。
【0020】
次に、前記のように構成された過電流通過表示器1の動作を具体的に説明する。図4に示されるように、過電流通過表示器1は、左からU相2u、V相2v、W相2wの3相の電線すべてに吊り下げ状態で取り付けられている。通常の送電時には、図2に示されるように、右側磁気回転素子26aのN極と右側電磁石27aのS極とが吸引しあうとともに、左側磁気回転素子26bのN極と左側電磁石27bのS極とが吸引しあった状態にある。このため、表示体25上の白色の正常表示部25aが、透明カバー30側へ露出した状態に保持されて、正常状態が表示されている。
【0021】
ここで、図4に示されるように、短絡等によってU相2uとW相2wとに所定値を超える過電流が流れると、U相2uとW相2wとの周囲には磁界が発生する。図中では、U相2uに紙面奥方向(後側)への過電流が流れ、W相2wに紙面手前方向(前側)への過電流が流れている。そして、U相2uに流れる過電流により時計方向回りの磁界が発生し、V相2vに取り付けられた過電流通過表示器1には上方から下方への磁界が通過している。また、W相2wに流れる過電流により反時計回りの磁界が発生し、V相2vに取り付けられた過電流通過表示器1には上方から下方への外部磁界が通過している。よって、図5に示されるように、両側の電磁石27a,27bのコア28a,28b内を通過する紙面手前方向(前側)から紙面奥方向(後側)への磁界方向と電線U相2u及び電線W相2wによって発生する上方から下方への外部磁界の方向とは、垂直となる。すなわち、電線U相2u及び電線W相2wによって発生する上方から下方への外部磁界の方向には、両側の電磁石27a,27bのコア28a,28b内を通過する紙面手前方向(前側)から紙面奥方向(後側)への磁界方向の成分はない。この結果、磁気回転素子26a,26bは電線U相2u及び電線W相2wによって発生する外部磁界の影響を受けないため、表示体25は回転せず安定する。
【0022】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)表示体25に設けられる回転軸24a,24bの両側に固定される磁気回転素子と、磁気回転素子26a,26bに対向するとともに電線2の軸方向に対して平行となるように設けられる電磁石27a,27bとを備える。そのため、取り付けられた電線V相2vとは異なる電線U相2uと電線W相2wとに過電流が流れたときに電線U相2uと電線W相2wとによる磁界が発生しても、過電流通過表示器1内を通過する同磁界の方向と電磁石27a,27bのコア28a,28b内を通過する磁界の方向は略垂直となり、影響を受けない。その結果、他相の電線による磁界の影響を防止することができる。
【0023】
また、このように構成したため、外部磁界の影響を受けず、磁界遮蔽板を取り付ける必要がない。よって、磁界遮蔽板の取り付けによる部品点数及び作業工数の増加もない。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について、図7を参照して説明する。この実施形態の過電流通過表示器1は、右側電磁石27aが磁気回転素子26aよりも前側に位置している点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0024】
図7に示されるように、両支持部材23a,23bには、右側電磁石27aと左側電磁石27bとが電線2の軸方向に対してその中心軸が平行となるとともに、それぞれが反対方向、すなわち前後方向それぞれに向くように配設されている。詳しくは、右側電磁石27aが右側磁気回転素子26aよりも前側に配置されているとともに、左側電磁石27bが左側磁気回転素子26bよりも後側に配置されている。なお、本実施形態では、通常の送電時において、右側コア28aの前側がS極、後側がN極の磁極となるように設定されているとともに、左側コア28bの前側がS極、後側がN極の磁極となるように設定されている。また、過電流の通過検出時には、右側コイル29aが励磁されて、右側コア28aの前側がN極、後側がS極の磁極に転換されるとともに、左側コイル29bが励磁されて、左側コア28bの前側がN極、後側がS極の磁極に転換されるようになっている。すなわち、両電磁石27a,27bは、左右両側で磁極が同じとなるように設定されている。
【0025】
このように、電磁石27a、27bを前後方向に一つずつ、且つ左右方向に一つずつ配置することによって、前後方向及び左右方向において重量バランスを良くすることができる。
【0026】
通常の送電時には、右側電磁石27aの右側コア28aの後側N極と吸引しあった右側磁気回転素子26aがS極の磁石層を前側とする位置に設定されているとともに、左側電磁石27bの左側コア28bの前側S極と吸引しあった左側磁気回転素子26bがN極の磁石層を後側とする位置に設定されている。これにより、表示体25上の白色の正常表示部25aが、透明カバー30側へ露出した下側位置に配置されている。
【0027】
一方、短絡等によって所定値を超える過電流の通過検出時には、右側電磁石27aの右側コイル29aが励磁されて、その右側コア28aの前側がN極、後側がS極に磁極転換され、右側磁気回転素子26aのS極の磁石層が右側コア28aの後側の磁極と反発して、右側磁気回転素子26aに回転力が誘起される。また、左側電磁石27bの左側コイル29bが励磁されて、その左側コア28bの前側がN極、後側がS極に磁極転換され、左側磁気回転素子26bのN極の磁石層が左側コア28bの前側の磁極と反発して、左側磁気回転素子26bに回転力が誘起される。これにより、磁気回転素子26a,26b及び表示体25が回転されて、右側磁気回転素子26aのN極の磁石層が前側に配置されるとともに、左側磁気回転素子26bのS極の磁石層が後側に配置される。すなわち、右側電磁石27aの右側コア28aの後側S極と吸引しあった右側磁気回転素子26aがN極の磁石層を前側とする位置に保持されるようになるとともに、左側電磁石27bの左側コア28bの前側N極と吸引しあった左側磁気回転素子26bがS極の磁石層を後側とする位置に保持されるようになる。よって、表示体25上の赤色の異常表示部25bが透明カバー30側へ露出した状態に配置される。
【0028】
このような構成においても、第1の実施形態と同様に、両側の電磁石27a,27bのコア28a,28b内を通過する紙面手前方向(前側)から紙面奥方向(後側)への磁界方向と電線U相2u及び電線W相2wによって発生する上方から下方への外部磁界の方向とは、垂直となる。すなわち、電線U相2u及び電線W相2wによって発生する上方から下方への外部磁界の方向には、両側の電磁石27a,27bのコア28a,28b内を通過する紙面手前方向(前側)から紙面奥方向(後側)への磁界方向の成分はない。この結果、磁気回転素子26a,26bは電線U相2u及び電線W相2wによって発生する外部磁界の影響を受けないため、表示体25は回転せず安定する。
【0029】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
(2)電磁石27a,27bを前後方向に一つずつ、且つ左右方向に一つずつ配置したため、前後方向及び左右方向において重量バランスを良くすることができる。
【0030】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・第1の実施形態では、電磁石27a,27bを表示体25の中心軸よりも後側にそれぞれ配設するようにしたが、電磁石27a,27bを表示体25の中心軸よりも前側にそれぞれ配設するようにしてもよい。
【0031】
・第2の実施形態では、右側電磁石27aを右側磁気回転素子26aよりも前側に配設するとともに、左側電磁石27bを左側磁気回転素子26bよりも後側に配設するようにしたが、右側電磁石27aを右側磁気回転素子26aよりも後側に配設するとともに、左側電磁石27bを左側磁気回転素子26bよりも前側に配設するようにしてもよい。
【0032】
・上記実施形態では、電磁石27a,27b及び磁気回転素子26a,26bを表示体25の両側に設けるようにしたが、電磁石27a,27b及び磁気回転素子26a,26bを表示体25の左右両側のうち片側にのみ設けるようにしてもよい。例えば、図6に示されるように、第1の実施形態の左側電磁石27bを設けないようにする。
【0033】
・上記実施形態では、右側電磁石27aと左側電磁石27bとの磁極を通常時に前側をS極、後側をN極としたが、右側電磁石27aと左側電磁石27bとの磁極を通常時に前側をN極、後側をS極としてもよい。
【0034】
・上記実施形態では、右側電磁石27aと左側電磁石27bとの磁極を通常時に前側をS極、後側をN極として同じ向きとなるようにしたが、右側電磁石27aと左側電磁石27bとの磁極を異なる向きとなるようにしてもよい。
【0035】
・上記実施形態では、片側において一つの電磁石と磁気回転素子とを設けるようにしたが、片側において複数の電磁石と複数の磁気回転素子とを設けるようにしてもよい。
・上記実施形態では、過電流通過表示器1を3相の電線すべてに取り付けるようにしたが、3相のいずれかの2相に取り付けて使用することが可能である。このようにしても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】過電流通過表示器の部分破断正面図。
【図2】過電流通過表示器の表示部のA矢視図。
【図3】磁気回転素子の斜視図。
【図4】過電流通過表示器の配電線路への取り付け時の磁界を示す斜視図。
【図5】過電流通過表示器の配電線路への取り付け時の磁界を示す側面図。
【図6】過電流通過表示器の表示部を示す図。
【図7】過電流通過表示器の表示部を示す図。
【図8】過電流通過表示器の配電線路への取り付けを示す斜視図。
【図9】過電流通過表示器の配電線路への取り付け時の磁界を示す図。
【符号の説明】
【0037】
1,101…過電流通過表示器、2,2u,2v,2w,102u,102v,102w…電線、10…検出部、20…表示部、21…ケース、22…取付板、23a,23b,123…支持部材、24a,24b,124…回転軸、25,125…表示体、26a,26b,126…磁気回転素子、27a,27b,127…電磁石、28a,28b,128…コア、29a,29b,129…コイル、30…透明カバー。
【技術分野】
【0001】
この発明は、過電流通過表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
過電流通過表示器は、配電線路等の電線に吊り下げ状態で支持され、その電線に地絡や短絡等の事故に起因して過電流が流れたときに、それを速やかに表示するようにしたものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の過電流通過表示器では、コア及びコイル等よりなる検出部が、電線を取り囲むように配設され、この検出部によって電線に流れる電流が検出されるようになっている。また、検出部には表示部が隣接して配設され、その表示部には表示体及びそれを駆動するための電磁石と磁気回転素子からなる駆動手段が設けられている。そして、電線に過電流が流れたとき、検出部から検出信号が出力されて、その検出信号により駆動手段が作動され、表示体が正常状態から異常表示状態に反転されるようになっている。
【特許文献1】特開平11−142443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の過電流通過表示器は、図8に示されるように、左からU相102u、V相102v、W相102wの3相の電線のうち、両端のU相102uとW相102wとの2相に取り付けられ、配電線路の故障箇所を検出するように用いられていた。しかしながら、図9に示されるように、左からU相102u、V相102v、W相102wの3相の電線すべてに過電流通過表示器101を取り付け、配電線路の故障箇所を検出するとともに、故障相を発見するように用いることが考えられる。
【0005】
このように3相の電線102u,102v,102wすべてに過電流通過表示器101が取り付けられた場合に、例えば両端のU相102uとW相102wとが短絡すると、U相102uとW相102wとに正常の電流値より大きな短絡電流が流れる。すなわち、U相102uに紙面奥方向への過電流が流れ、W相102wに紙面手前方向への過電流が流れる。すると、U相102uとW相102wとには、図中破線のような磁界が発生する。そして、図9に示されるように、V相102vに取り付けられた過電流通過表示器101には、上方から下方への外部磁界が通過する。よって、過電流通過表示器101内の表示体125を駆動する駆動手段を構成する電磁石127のコア128内を通過する下方から上方への磁界方向に対して異なるため、V相102vに取り付けられた過電流通過表示器101の磁気回転素子126が回転されたり、不安定になったりするおそれがあった。また、中央のV相102vに限らず、U相102uやW相102wに取り付けられた過電流通過表示器101においてもV相102vに取り付けられた過電流通過表示器101ほどではないが、他相の電線による磁界の影響が考えられる。
【0006】
そこで、特許文献1に記載の過電流通過表示器では、電磁石127の周囲を取り巻くように、電磁石127を固定した支持部材123を取り付けた取付板の下面に、ケイ素鋼板等の金属材料からなる磁界遮蔽板が取り付けられている。しかしながら、このように取り付けた磁界遮蔽板では、横方法及び斜め方向からの外部磁界については遮蔽でき有効であるが、上方から下方への外部磁界については遮蔽できず有効ではなかった。また、同磁界遮蔽版を取り付けると、部品点数及び作業工数が増加し、費用の増加を招いていた。
【0007】
このため、他相の電線による磁界の影響が防止された過電流通過表示器が求められていた。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、他相の電線による磁界の影響が防止された過電流通過表示器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、配電線路を挟持して吊り下げ状態で取り付けられ、同配電線路に流れる電流を検出し、過電流の発生時に駆動手段により、表示体を正常表示状態から異常表示状態へ回転軸を中心として反転させるようにした過電流通過表示器において、前記駆動手段は、前記表示体の前記回転軸の両側のうち少なくとも一方に固定される磁気回転素子と、同磁気回転素子に対向するとともに前記配電線路の軸方向に対してその中心軸が平行となるように設けられる電磁石とを備えることをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、駆動手段は表示体に設けられる回転軸の両側のうち少なくとも一方に固定される磁気回転素子と、磁気回転素子に対向するとともに電線の軸方向に対して平行となるように設けられる電磁石とを備える。そのため、取り付けられた電線とは異なる他相の電線に過電流が流れたときに他相の電線による磁界が発生しても、同磁界の方向と電磁石の磁界の方向は略垂直となり、影響を受けない。その結果、他相の電線による磁界の影響を防止することができる。
【0010】
表示体の回転軸の両側に磁気回転素子を設けた場合には、以下のように電磁石を配置することができる。請求項2に記載のように、同一方向を向くとともに平行に配置する。また、請求項3に記載のように、反対方向を向くとともに平行に配置する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、過電流通過表示器において、他相の電線による磁界の影響を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図5を参照して説明する。
図1に示されるように、過電流通過表示器1は、配電線路等の電線2に吊り下げ状態で取り付けられて、電線2に流れる電流を検出する検出部10と、電線2に過電流が流れたときに、それを表示する表示部20とを備えている。
【0013】
検出部10は、コア及びコイル等よりなり、電線2を取り囲むように配設され、電線2を挟持した状態で、ボルト及びナットにより締め付け固定されている。
表示部20は、検出部10の下部に装着されている。この表示部20の筐体としてのケース21は、合成樹脂により筒状に形成され、その下部に透明カバー30が取り付けられている。
【0014】
ケース21内には、取付板22が配設され、その下面左右両側には一対の合成樹脂製の支持部材23a,23bが取り付けられている。取付板22の上面には、基板が配設され、この基板上には検出制御部を含む制御回路が実装されている。
【0015】
表示体25は合成樹脂により円板状に形成され、表示体25の両端には回転軸24a,24bが両支持部材23a,23bの軸受孔に挿通した状態で、電線2の延長方向と直交する方向へ延びる水平軸線の周りで回転可能に支持されている。また、表示体25の外面は、正常表示部25a及び異常表示部25bの2つに分けられている。そして、通常の送電時には白色の正常表示部25aが下側に配置されるとともに、赤色の異常表示部25bが上側に配置されるようになっている。
【0016】
図2に示される図1のA矢視図のように、両支持部材23a,23bには、右側電磁石27aと左側電磁石27bとが電線2の軸方向に対してその中心軸が平行となるように表示体25の中心軸よりも後側にそれぞれ配設されている。右側電磁石27aは、右側コア28aと右側コイル29aとを備えている。左側電磁石27bは、左側コア28bと左側コイル29bとを備えている。両電磁石27a,27bは、磁性保持型になっており、コイル29a,29bに一旦電流が流れて、コア28a,28bに前後方向の磁極が発生すると、コイル29a,29bへの通電が停止された後でも、コア28a,28bの磁極が保持されるようになっている。なお、本実施形態では、通常の送電時において、右側コア28aの前側がS極、後側がN極の磁極となるように設定されているとともに、左側コア28bの前側がS極、後側がN極の磁極となるように設定されている。また、過電流の通過検出時には、右側コイル29aが励磁されて、右側コア28aの前側がN極、後側がS極の磁極に転換されるとともに、左側コイル29bが励磁されて、左側コア28bの前側がN極、後側がS極の磁極に転換されるようになっている。すなわち、両電磁石27a,27bは、左右両側で磁極が同じとなるように設定されている。
【0017】
図1に示されるように、表示体25の両側の回転軸24a,24bには、右側電磁石27aの右側コア28aに近接対向するように、右側磁気回転素子26aが固定されるとともに、左側電磁石27bの左側コア28bに近接対向するように、左側磁気回転素子26bが固定される。図3に示されるように、磁気回転素子26a(26b)の外周には、極性の異なる一対の半円弧状の磁石層が形成されている。そして、本実施形態においては、図1に示されるように、電磁石27a,27b及び磁気回転素子26a,26bにより、表示体25を正常表示状態から異常表示状態に反転させるための駆動手段としての駆動部が構成されている。
【0018】
すなわち、通常の送電時には、右側電磁石27aの右側コア28aの前側S極と吸引しあった右側磁気回転素子26aがN極の磁石層を後側とする位置に設定されているとともに、左側電磁石27bの左側コア28bの前側S極と吸引しあった左側磁気回転素子26bがN極の磁石層を後側とする位置に設定されている。これにより、表示体25上の白色の正常表示部25aが、透明カバー30側へ露出した下側位置に配置されている。
【0019】
一方、短絡等によって所定値を超える過電流の通過検出時には、右側電磁石27aの右側コイル29aが励磁されて、その右側コア28aの前側がN極、後側がS極に磁極転換され、右側磁気回転素子26aのN極の磁石層が右側コア28aの前側の磁極と反発して、右側磁気回転素子26aに回転力が誘起される。また、左側電磁石27bの左側コイル29bが励磁されて、その左側コア28bの前側がN極、後側がS極に磁極転換され、左側磁気回転素子26bのN極の磁石層が左側コア28bの前側の磁極と反発して、左側磁気回転素子26bに回転力が誘起される。これにより、磁気回転素子26a,26b及び表示体25が回転されて、右側磁気回転素子26aのS極の磁石層が後側に配置されるとともに、左側磁気回転素子26bのS極の磁石層が後側に配置される。すなわち、右側電磁石27aの右側コア28aの前側N極と吸引しあった右側磁気回転素子26aがS極の磁石層を後側とする位置に保持されるようになるとともに、左側電磁石27bの左側コア28bの前側N極と吸引しあった左側磁気回転素子26bがS極の磁石層を後側とする位置に保持されるようになる。よって、表示体25上の赤色の異常表示部25bが透明カバー30側へ露出した状態に配置される。
【0020】
次に、前記のように構成された過電流通過表示器1の動作を具体的に説明する。図4に示されるように、過電流通過表示器1は、左からU相2u、V相2v、W相2wの3相の電線すべてに吊り下げ状態で取り付けられている。通常の送電時には、図2に示されるように、右側磁気回転素子26aのN極と右側電磁石27aのS極とが吸引しあうとともに、左側磁気回転素子26bのN極と左側電磁石27bのS極とが吸引しあった状態にある。このため、表示体25上の白色の正常表示部25aが、透明カバー30側へ露出した状態に保持されて、正常状態が表示されている。
【0021】
ここで、図4に示されるように、短絡等によってU相2uとW相2wとに所定値を超える過電流が流れると、U相2uとW相2wとの周囲には磁界が発生する。図中では、U相2uに紙面奥方向(後側)への過電流が流れ、W相2wに紙面手前方向(前側)への過電流が流れている。そして、U相2uに流れる過電流により時計方向回りの磁界が発生し、V相2vに取り付けられた過電流通過表示器1には上方から下方への磁界が通過している。また、W相2wに流れる過電流により反時計回りの磁界が発生し、V相2vに取り付けられた過電流通過表示器1には上方から下方への外部磁界が通過している。よって、図5に示されるように、両側の電磁石27a,27bのコア28a,28b内を通過する紙面手前方向(前側)から紙面奥方向(後側)への磁界方向と電線U相2u及び電線W相2wによって発生する上方から下方への外部磁界の方向とは、垂直となる。すなわち、電線U相2u及び電線W相2wによって発生する上方から下方への外部磁界の方向には、両側の電磁石27a,27bのコア28a,28b内を通過する紙面手前方向(前側)から紙面奥方向(後側)への磁界方向の成分はない。この結果、磁気回転素子26a,26bは電線U相2u及び電線W相2wによって発生する外部磁界の影響を受けないため、表示体25は回転せず安定する。
【0022】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)表示体25に設けられる回転軸24a,24bの両側に固定される磁気回転素子と、磁気回転素子26a,26bに対向するとともに電線2の軸方向に対して平行となるように設けられる電磁石27a,27bとを備える。そのため、取り付けられた電線V相2vとは異なる電線U相2uと電線W相2wとに過電流が流れたときに電線U相2uと電線W相2wとによる磁界が発生しても、過電流通過表示器1内を通過する同磁界の方向と電磁石27a,27bのコア28a,28b内を通過する磁界の方向は略垂直となり、影響を受けない。その結果、他相の電線による磁界の影響を防止することができる。
【0023】
また、このように構成したため、外部磁界の影響を受けず、磁界遮蔽板を取り付ける必要がない。よって、磁界遮蔽板の取り付けによる部品点数及び作業工数の増加もない。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について、図7を参照して説明する。この実施形態の過電流通過表示器1は、右側電磁石27aが磁気回転素子26aよりも前側に位置している点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0024】
図7に示されるように、両支持部材23a,23bには、右側電磁石27aと左側電磁石27bとが電線2の軸方向に対してその中心軸が平行となるとともに、それぞれが反対方向、すなわち前後方向それぞれに向くように配設されている。詳しくは、右側電磁石27aが右側磁気回転素子26aよりも前側に配置されているとともに、左側電磁石27bが左側磁気回転素子26bよりも後側に配置されている。なお、本実施形態では、通常の送電時において、右側コア28aの前側がS極、後側がN極の磁極となるように設定されているとともに、左側コア28bの前側がS極、後側がN極の磁極となるように設定されている。また、過電流の通過検出時には、右側コイル29aが励磁されて、右側コア28aの前側がN極、後側がS極の磁極に転換されるとともに、左側コイル29bが励磁されて、左側コア28bの前側がN極、後側がS極の磁極に転換されるようになっている。すなわち、両電磁石27a,27bは、左右両側で磁極が同じとなるように設定されている。
【0025】
このように、電磁石27a、27bを前後方向に一つずつ、且つ左右方向に一つずつ配置することによって、前後方向及び左右方向において重量バランスを良くすることができる。
【0026】
通常の送電時には、右側電磁石27aの右側コア28aの後側N極と吸引しあった右側磁気回転素子26aがS極の磁石層を前側とする位置に設定されているとともに、左側電磁石27bの左側コア28bの前側S極と吸引しあった左側磁気回転素子26bがN極の磁石層を後側とする位置に設定されている。これにより、表示体25上の白色の正常表示部25aが、透明カバー30側へ露出した下側位置に配置されている。
【0027】
一方、短絡等によって所定値を超える過電流の通過検出時には、右側電磁石27aの右側コイル29aが励磁されて、その右側コア28aの前側がN極、後側がS極に磁極転換され、右側磁気回転素子26aのS極の磁石層が右側コア28aの後側の磁極と反発して、右側磁気回転素子26aに回転力が誘起される。また、左側電磁石27bの左側コイル29bが励磁されて、その左側コア28bの前側がN極、後側がS極に磁極転換され、左側磁気回転素子26bのN極の磁石層が左側コア28bの前側の磁極と反発して、左側磁気回転素子26bに回転力が誘起される。これにより、磁気回転素子26a,26b及び表示体25が回転されて、右側磁気回転素子26aのN極の磁石層が前側に配置されるとともに、左側磁気回転素子26bのS極の磁石層が後側に配置される。すなわち、右側電磁石27aの右側コア28aの後側S極と吸引しあった右側磁気回転素子26aがN極の磁石層を前側とする位置に保持されるようになるとともに、左側電磁石27bの左側コア28bの前側N極と吸引しあった左側磁気回転素子26bがS極の磁石層を後側とする位置に保持されるようになる。よって、表示体25上の赤色の異常表示部25bが透明カバー30側へ露出した状態に配置される。
【0028】
このような構成においても、第1の実施形態と同様に、両側の電磁石27a,27bのコア28a,28b内を通過する紙面手前方向(前側)から紙面奥方向(後側)への磁界方向と電線U相2u及び電線W相2wによって発生する上方から下方への外部磁界の方向とは、垂直となる。すなわち、電線U相2u及び電線W相2wによって発生する上方から下方への外部磁界の方向には、両側の電磁石27a,27bのコア28a,28b内を通過する紙面手前方向(前側)から紙面奥方向(後側)への磁界方向の成分はない。この結果、磁気回転素子26a,26bは電線U相2u及び電線W相2wによって発生する外部磁界の影響を受けないため、表示体25は回転せず安定する。
【0029】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
(2)電磁石27a,27bを前後方向に一つずつ、且つ左右方向に一つずつ配置したため、前後方向及び左右方向において重量バランスを良くすることができる。
【0030】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・第1の実施形態では、電磁石27a,27bを表示体25の中心軸よりも後側にそれぞれ配設するようにしたが、電磁石27a,27bを表示体25の中心軸よりも前側にそれぞれ配設するようにしてもよい。
【0031】
・第2の実施形態では、右側電磁石27aを右側磁気回転素子26aよりも前側に配設するとともに、左側電磁石27bを左側磁気回転素子26bよりも後側に配設するようにしたが、右側電磁石27aを右側磁気回転素子26aよりも後側に配設するとともに、左側電磁石27bを左側磁気回転素子26bよりも前側に配設するようにしてもよい。
【0032】
・上記実施形態では、電磁石27a,27b及び磁気回転素子26a,26bを表示体25の両側に設けるようにしたが、電磁石27a,27b及び磁気回転素子26a,26bを表示体25の左右両側のうち片側にのみ設けるようにしてもよい。例えば、図6に示されるように、第1の実施形態の左側電磁石27bを設けないようにする。
【0033】
・上記実施形態では、右側電磁石27aと左側電磁石27bとの磁極を通常時に前側をS極、後側をN極としたが、右側電磁石27aと左側電磁石27bとの磁極を通常時に前側をN極、後側をS極としてもよい。
【0034】
・上記実施形態では、右側電磁石27aと左側電磁石27bとの磁極を通常時に前側をS極、後側をN極として同じ向きとなるようにしたが、右側電磁石27aと左側電磁石27bとの磁極を異なる向きとなるようにしてもよい。
【0035】
・上記実施形態では、片側において一つの電磁石と磁気回転素子とを設けるようにしたが、片側において複数の電磁石と複数の磁気回転素子とを設けるようにしてもよい。
・上記実施形態では、過電流通過表示器1を3相の電線すべてに取り付けるようにしたが、3相のいずれかの2相に取り付けて使用することが可能である。このようにしても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】過電流通過表示器の部分破断正面図。
【図2】過電流通過表示器の表示部のA矢視図。
【図3】磁気回転素子の斜視図。
【図4】過電流通過表示器の配電線路への取り付け時の磁界を示す斜視図。
【図5】過電流通過表示器の配電線路への取り付け時の磁界を示す側面図。
【図6】過電流通過表示器の表示部を示す図。
【図7】過電流通過表示器の表示部を示す図。
【図8】過電流通過表示器の配電線路への取り付けを示す斜視図。
【図9】過電流通過表示器の配電線路への取り付け時の磁界を示す図。
【符号の説明】
【0037】
1,101…過電流通過表示器、2,2u,2v,2w,102u,102v,102w…電線、10…検出部、20…表示部、21…ケース、22…取付板、23a,23b,123…支持部材、24a,24b,124…回転軸、25,125…表示体、26a,26b,126…磁気回転素子、27a,27b,127…電磁石、28a,28b,128…コア、29a,29b,129…コイル、30…透明カバー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電線路を挟持して吊り下げ状態で取り付けられ、同配電線路に流れる電流を検出し、過電流の発生時に駆動手段により、表示体を正常表示状態から異常表示状態へ回転軸を中心として反転させるようにした過電流通過表示器において、
前記駆動手段は、前記表示体の前記回転軸の両側のうち少なくとも一方に固定される磁気回転素子と、同磁気回転素子に対向するとともに前記配電線路の軸方向に対してその中心軸が平行となるように設けられる電磁石とを備える
ことを特徴とする過電流通過表示器。
【請求項2】
請求項1に記載の過電流通過表示器において、
前記磁気回転素子は前記表示体の前記回転軸の両側に設けられ、
同磁気回転素子に対向して配置されるそれぞれの電磁石は同一方向を向くとともに平行に配置される
ことを特徴とする過電流通過表示器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の過電流通過表示器において、
前記磁気回転素子は前記表示体の前記回転軸の両側に設けられ、
同磁気回転素子に対向して配置されるそれぞれの電磁石は反対方向を向くとともに平行に配置される
ことを特徴とする過電流通過表示器。
【請求項1】
配電線路を挟持して吊り下げ状態で取り付けられ、同配電線路に流れる電流を検出し、過電流の発生時に駆動手段により、表示体を正常表示状態から異常表示状態へ回転軸を中心として反転させるようにした過電流通過表示器において、
前記駆動手段は、前記表示体の前記回転軸の両側のうち少なくとも一方に固定される磁気回転素子と、同磁気回転素子に対向するとともに前記配電線路の軸方向に対してその中心軸が平行となるように設けられる電磁石とを備える
ことを特徴とする過電流通過表示器。
【請求項2】
請求項1に記載の過電流通過表示器において、
前記磁気回転素子は前記表示体の前記回転軸の両側に設けられ、
同磁気回転素子に対向して配置されるそれぞれの電磁石は同一方向を向くとともに平行に配置される
ことを特徴とする過電流通過表示器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の過電流通過表示器において、
前記磁気回転素子は前記表示体の前記回転軸の両側に設けられ、
同磁気回転素子に対向して配置されるそれぞれの電磁石は反対方向を向くとともに平行に配置される
ことを特徴とする過電流通過表示器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2009−69060(P2009−69060A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239428(P2007−239428)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000102636)エナジーサポート株式会社 (51)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000102636)エナジーサポート株式会社 (51)
【Fターム(参考)】
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