説明

遮光性ボトル

【課題】 遮光性ボトルにおいて、ボトル本体のリサイクルが容易であり、ボトル本体の底部を遮光するためのカップ状の底部材がボトル本体から外れることを防止することのできる遮光性ボトルを提供する。
【解決手段】 胴部22が遮光性の筒状ラベル5で被覆された透明なプラスチック製のボトル本体2と、該ボトル本体2の底部20に被せられた遮光性を有するカップ状の底部材3とを備え、筒状ラベル5が底部材3の上端部を被覆することにより底部材3はボトル本体2の底部20に保持され、ボトル本体2の底部20には、接地用突起25がボトル本体2の接地部分となるように下方に向けて突設され、底部材3の内面には、ボトル本体2の接地用突起25を支持するフラット面32が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光性ボトルに関し、特に、ボトル本体の胴部が遮光性の筒状ラベルで被覆され、ボトル本体の底部には遮光性のカップ状の底部材が被せられた底部材付きの遮光性ボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
ビールや牛乳、ビタミン入り飲料などのように光によって変色や変質が起こりやすい飲料を入れるボトルは、光から飲料を保護するために、通常、遮光性を有している。一般には、ボトル自体に遮光性を持たせるために着色剤を含有したボトルが使用されているが、含有する着色剤が原因となって使用済みのボトルの回収、再利用が行いにくいという問題がある。
【0003】
そこで、ボトルを着色されていない透明のプラスチック製やガラス製とし、その胴部を遮光性の筒状ラベルで覆ったものが考えられる。しかしながら、ボトルの底部が遮光されずに露出しているために、例えばボトルを透明なガラス棚や網板等の上に陳列すると、その露出した底部から光が入ってビール等の飲料が変質等する可能性がある。そのためボトルの底部に遮光性を有するカップ状の底部材を被せて底部からの光の侵入を阻止することが考えられる。カップ状の底部材は、その側壁部の上端部が筒状ラベルで被覆されることでボトル本体の底部に保持されているが、側壁部を有することでボトル本体(ボトル)に対する水平方向の相対的な位置ずれが抑制され、例えばフラットな板状の底部材と比較した場合において、ボトル本体から外れるおそれが少なく好ましいものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなボトル本体からのカップ状の底部材の外れを防止するためには、カップ状の底部材の内面形状をボトル本体の底部の形状に合わせると共に、両者間の隙間を可能な限り小さくすることが考えられる。従って、ボトル本体の底部に接地用突起が下方に向けて突設されてその接地用突起がボトル本体の接地部分となる構成においては、カップ状の底部材の内面もボトル本体の接地用突起と係合する凹形状とし、その間の隙間を小さく設計することが、両者の相対ずれを防止する点では好ましい。
【0005】
しかしながら本発明者らがカップ状の底部材の内面を凹形状としてボトル本体の接地用突起と係合するように試みたところ、ボトル本体の底部が大きく膨張した場合に両者の係合状態が外れるおそれのあることが判明した。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされ、遮光性ボトルにおいて、ボトル本体のリサイクルが容易であり、ボトル本体の底部を遮光するためのカップ状の底部材がボトル本体から外れることを防止することのできる遮光性ボトルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係る遮光性ボトルは、遮光性ボトルであって、胴部が遮光性の筒状ラベルで被覆された透明なプラスチック製のボトル本体と、該ボトル本体の底部に被せられた遮光性を有するカップ状の底部材とを備え、筒状ラベルが底部材の上端部を被覆することにより底部材はボトル本体の底部に保持され、ボトル本体の底部には、接地用突起がボトル本体の接地部分となるように下方に向けて突設され、底部材の内面には、ボトル本体の接地用突起を支持するフラット面が形成されていることを特徴とする。尚、フラット面は完全なフラットに限らず実質的にフラットであればよい。
【0008】
該構成の遮光性ボトルにあっては、筒状ラベルをボトル本体から外すことでボトル本体とカップ状の底部材とが分離され、ボトル本体が透明なプラスチック製であって着色剤が含有されていないので、分離したボトル本体をリサイクル用として回収できる。そして、底部材の内面にフラット面が形成されていてそのフラット面がボトル本体の接地用突起に当接し支持する構成であるので、プラスチック製のボトル本体の底部が大きく膨張しても、ボトル本体の接地用突起が底部材のフラット面上を横滑りする。
【0009】
特に、フラット面の下方位置における底部材の外面には、接地用突起が底部材の接地部分となるように下方に向けて突設されていることが好ましい。ボトル本体の重量はボトル本体の接地用突起を介して底部材のフラット面によって支えられているが、底部材の接地用突起をフラット面の下方位置に形成することにより、フラット面に対して底部材の接地用突起が水平方向に位置ずれしている場合に比して底部材の変形が防止されて遮光性ボトルの安定した起立状態が得られる。特に、遮光性ボトルをベルトコンベヤで搬送する場合においては、遮光性ボトルの倒れが防止されて安定した搬送状態が得られる。
【0010】
また、底部材の側壁部には、所定長の垂直壁部が設けられていることが好ましい。遮光性ボトルの製造工程において底部材を整列し供給するためのパーツフィーダにおいてそのガイド部材が底部材の側壁部を水平方向に押しながら所定箇所から他の箇所に受け渡す際に、底部材の垂直壁部をガイド部材で押すことができる。従って、底部材が浮き上がることなく所定箇所から他の箇所に受け渡すことができる。
【0011】
また更に、ボトル本体の底部には、ボトル本体の内方に凹んだ凹部が接地用突起の内側に形成され、底部材のフラット面は底部材の側壁部に沿って周設され、該フラット面の内側には、前記ボトル本体の凹部に入るようにフラット面よりも上方に突出した凸部が形成されていることが好ましい。ボトル本体に対する底部材の水平方向の位置ずれは底部材の側壁部によって防止されているが、フラット面の内側に凸部を形成してボトル本体の凹部に凸部が入る構成とすることにより、底部材の側壁部が外側から位置ずれを防止すると共に、底部材の凸部が内側から位置ずれを防止することになり、より一層確実に位置ずれが防止できる。
【0012】
更に、底部材に通気孔が形成されていることが好ましい。底部材はカップ状であるために、ボトル本体の底部に底部材が被せられた状態において底部材の内側即ち底部材とボトル本体との間に水が入った場合には、その水を通気孔から外部に排出したり、蒸発した水分を通気孔から外部に排出したりすることができ、底部材の内側において良好な通気性が確保される。特に筒状ラベルがシュリンクラベルの場合には蒸気を使用したシュリンクトンネルを通過させることが多いために通気孔を設けて通気性を確保することのメリットが大きい。
【0013】
また、底部材の内面又は外面に補強用リブが設けられていることが好ましく、補強用リブによって底部材のねじれが防止されると共に、底部材同士を上下に複数重ね合わせた際には補強用リブを設けていることで底部材同士の分離が容易となり、遮光性ボトルの製造時において底部材の供給をスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明に係る遮光性ボトルにあっては、ボトル本体が透明なプラスチック製であるのでボトル本体のリサイクルに適し、しかも、ボトル本体が膨張した際にボトル本体の底部の接地用突起がカップ状の底部材のフラット面上を水平方向に横滑りするので、ボトル本体に対してカップ状の底部材が水平方向に外れることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る遮光性ボトルの一実施形態について図面を参酌しつつ説明する。
図1及び図2に示すように本実施形態における遮光性ボトル1は、種々の飲料が入れられるボトル本体2と、該ボトル本体2の底部20に被せられたカップ状の底部材3と、ボトル本体2の口部21に螺着されたキャップ4と、ボトル本体2の胴部22に装着された筒状ラベル5とを備えている。尚、図1、図2においてハッチングは省略している。また、飲料としては、ビール、発泡酒やスパークリングワイン等のアルコールを含む炭酸飲料や炭酸入りジュースに代表されるアルコールを含まない炭酸飲料などの種々の炭酸飲料、その他、牛乳やビタミン入り飲料などのような炭酸を含まない飲料などがある。尚、ボトル本体2は、たとえば、直径68mm程度、高さ210mm程度のもので、底部材3は、例えば、直径66mm程度、高さ10mm程度のものである。
【0016】
前記ボトル本体2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるプラスチック製であって、着色剤を含有しない無色透明のものである。該ボトル本体2は例えば横断面が円形の円筒状のものであって、例えば、胴部22が0.3mm程度の肉厚で、底部20が0.45mm程度の肉厚のものが使用される。底部材3が被せられた底部20には下方に向けて接地用突起25が突設され、該接地用突起25はボトル本体2自体の接地部分となっている。該接地用突起25はボトル本体2の軸線Aを中心として周設されている。即ち、接地用突起25は環状である。但し、接地用突起25は、いわゆるペタロイド形状等のように環状でなくてもよい。そして、接地用突起25の先端は弧状に形成されているが、弧状でなくてもよく、例えば、鍋底状で先端にフラット部があるもの等でもよい。また、接地用突起25の内側(ボトル本体2の中心側)にはボトル本体2の内方(上方)に凹んだ凹部26が形成されている。凹部26は、中央に形成された平坦部26aと、該平坦部26aの外側に環状に形成されて外側に向けて徐々に下方に向かう内側傾斜部26bとから構成されている。尚、内側傾斜部26bの外面は僅かに外側凸に湾曲している。また、接地用突起25の外側には胴部22にかけて徐々に径大となった外側傾斜部27が形成され、該外側傾斜部27の外面も僅かに外側凸に湾曲している。
【0017】
かかるボトル本体2の底部20に下側から被せられた底部材3は、ボトル本体2の底部20に被せる構成から基本的にはボトル本体2の底部20に沿った薄肉のカップ状であり、ボトル本体2が円筒状であることから底部材3も平面視円形となっている。底部材3の形状はボトル本体2の外形ラインを崩さないように配慮したものである。具体的には、底部材3は、外面に接地部分を有する基部30と、該基部30から上方に立ち上がった側壁部31とから構成される。より詳細には、基部30の内面(上面)の周縁部には、所定幅を有する環状のフラット面32が形成されている。即ち、フラット面32は底部材3の側壁部31に沿って周設されている。該フラット面32はボトル本体2の接地用突起25と当接してボトル本体2を支持する支持面となっており、ボトル本体2の軸線Aに対して直交している。また、フラット面32の内側には、ボトル本体2の底部20における凹部26に入り込むようにフラット面32から上方に突出した凸部33が形成されている。尚、該凸部33とボトル本体2の凹部26との間には隙間が形成されるように設定されている。また、凸部33は、フラット面32から斜め上方に立ち上がる下方部33aと、底部材3の中心を頂点とし下方部33aよりも傾斜角度の小さい略円錐状の上方部33bとから構成される。そして、底部材3の基部30の外面(下面)には、フラット面32の下方位置に底部材3自体の接地部分として接地用突起34、35が環状に形成されている。該接地用突起34、35は複数、具体的には図4(イ)のように内外二本同軸状に形成されており、何れもその先端が弧状に形成されている。但し、接地用突起34,35の先端は弧状でなくてもよく、例えば、鍋底状で先端にフラット部があるもの等でもよい。また、接地用突起34,35は環状には限られず、例えば、円周上に突起が点在するものや環状のうちの一部が分断されたものなどでもよい。底部材3の内側の接地用突起34はボトル本体2の接地用突起25の直下に位置する。また、底部材3の基部30の外面において接地用突起34,35の内側には、前記凸部33に対応して凹部36が形成され、該凹部36には下方に向けて補強用リブ37が十字状に突設されている(図4参照)。該補強用リブ37は前記凸部33における上方部33bの下端位置に略対応した高さまで突設されている。尚、底部材3の基部30には通気孔38が一箇所形成されており、具体的には、凸部33の上方部33bに開口するように底部材3の中心に近い位置に形成されている。
【0018】
一方、底部材3の側壁部31は、基部30の周縁部から上方に略垂直に立ち上がる所定長(例えば2mm以上)の垂直壁部311と、該垂直壁部311の上端から外側に向けて斜め上方に立ち上がる傾斜壁部312とから構成される。垂直壁部311は円筒形状に限らず多角形の筒状としてもよい。また、該傾斜壁部312は、ボトル本体2の外側傾斜部27に沿った形状であって僅かに外側凸に湾曲し、ボトル本体2の外側傾斜部27との間には所定の隙間を形成するように設定されている。尚、底部材3の基部30と側壁部31との間の角には弧状の面取り部39が形成され、該面取り部39は上述した外側の接地用突起35から外側に向けて延設されている。
【0019】
尚、底部材3は遮光性を有しており、従ってその材質は遮光性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、プラスチックや金属、紙、木材等が使用され、特に、黒色や赤色や白色等の着色剤を含有した着色のプラスチックが好ましく、特に、適度な剛性およびボトル本体2のPETとの分離が容易であることから高密度ポリエチレンが好ましい。また、肉厚は例えば0.8mm程度である。
尚、底部材3の外径はボトル本体2の胴部22の外径よりも小さい。即ち、ボトル本体2の底部20の外周は下方に向けて内側に傾斜しておりその部分(外側傾斜部27)に底部材3が位置して底部材3の外周がボトル本体2の胴部22より外側に出ないようになっている。従って、筒状ラベル5を装着する際に底部材3がひっかかることがない。
【0020】
また、ボトル本体2の胴部22に装着された筒状ラベル5も遮光性を有していてボトル本体2の胴部22全体を被覆し、更には、底部材3の側壁部31の上端部(傾斜壁部312)を被覆していて底部材3がボトル本体2の底部20から外れないように保持している。該筒状ラベル5は、例えば、シュリンクラベルやストレッチラベルであるが、特に、シュリンクラベルが好ましい。該筒状ラベル5は、例えば、透明フィルムの片面に黒色や赤色や白色等のような遮光性のインキを印刷することで遮光性が付与されている。尚、筒状ラベル5の上端部はキャップ4まで達している。また、筒状ラベル5は、ボトル本体2に装着される前において筒状であるもの以外に、枚葉のものがボトル本体2に装着される際に筒状とされるものも含まれる。また、筒状ラベル5には、ボトル本体2から分離しやすいようにミシン目等の切離部を形成することが好ましい。
【0021】
尚、ボトル本体2の底部20と底部材3と間には図3に示すように各所において所定の隙間a,b,c,d,e,f,g,h,iが形成されているが、ボトル本体2が膨張したときにおける寸法を例示すると、それぞれ0.1mm(30℃60分保管),0.37mm(30℃60分保管),1.53mm(25℃室温10分保管),0.99mm(25℃室温10分保管),0.43mm(30℃60分保管),0.28mm(30℃60分保管),0.1mm(30℃60分保管),0.46mm(30℃60分保管),2.8mm(30℃60分保管)である。尚、かっこ内は保管条件である。尚、図3においてハッチングは省略されている。
【0022】
以上のように構成された遮光性ボトル1は例えば次のようにして製造される。即ち、ボトル本体2に飲料を充填しキャップ4でその口部21を封止した後、底部材3の上側にボトル本体2を載置するようにしてボトル本体2の底部20に底部材3を被せ、しかる後に、シュリンクラベルからなる筒状ラベル5を上方から被せて、蒸気雰囲気のシュリンクトンネル内を通過させて筒状ラベル5を熱収縮させ、ボトル本体2の胴部22を筒状ラベル5で被覆すると共にその筒状ラベル5の収縮力を利用して底部材3をボトル本体2の底部20に保持させる。尚、底部材3に通気孔38を形成しているので、仮に底部材3とボトル本体2との間に水が残存しても、その通気孔38から水を排水したり、蒸発した水分を通気孔38から外部に排出したりすることができ、底部材3の内面やボトル本体2の底部20におけるカビ等の発生を防止できる。
【0023】
そして、このような遮光性ボトル1にあっては、筒状ラベル5と底部材3に遮光性を持たせてボトル本体2は透明なプラスチック製としているからボトル本体2のリサイクルが容易であるという利点がある。
【0024】
また、底部材3が平坦な板状ではなくカップ状であるため、その側壁部31によって底部材3のボトル本体2に対する水平方向の位置ずれが容易に防止される。しかも、底部材3の内面にボトル本体2の底部20の凹部26に入り込む凸部33を形成しているので、その凸部33と側壁部31の相互作用によってボトル本体2に対する水平方向の位置ずれを効果的に抑制する。そして、筒状ラベル5によって底部材3を保持する構成であるので底部材3をボトル本体2に保持させる別途の手段が不要となるという利点もあるうえに、底部材3の側壁部31の上端部とボトル本体2との間の境界部分が筒状ラベル5で覆われることから、その境界部分から光が侵入するというおそれもない。即ち、底部材3と筒状ラベル5とが一体となってボトル本体2を覆い包むこととなるので確実な遮光性が得られる。
【0025】
一方、ボトル本体2はプラスチック製であるため保管条件によってはボトル本体2が大きく膨張することがあり、炭酸ガスを含む飲料を入れた場合において顕著である。この場合、仮に底部材3の内面をボトル本体2の底部20の接地用突起25に合わせた凹形状とした場合には、ボトル本体2の底部20の接地用突起25が下方向のみならず水平方向(径方向)にも変形し移動することで底部材3がボトル本体2の底部20から外れやすくなる。しかしながら、本実施形態のようにボトル本体2の接地用突起25を支持する部分がフラット面32であるため、ボトル本体2の膨張によってその接地用突起25が水平方向に移動しても接地用突起25はフラット面32上を横滑りするだけであり、ボトル本体2から底部材3が外れるということがない。しかも、ボトル本体2の接地用突起25の先端は弧状であるため、フラット面32上をスムーズに移動できる。
【0026】
また、フラット面32の下方位置において底部材3の外面には内外二本の接地用突起34,35が形成されているので、フラット面32に作用するボトル本体2の重量を二本の接地用突起34,35で確実に支えることができる。そして、フラット面32の下方位置に底部材3の接地用突起34,35が形成されていることにより、底部材3の接地用突起34,35がフラット面32に対して水平方向に位置ずれしている場合に比して底部材3の変形が抑制される結果、遮光性ボトル1の起立状態が安定化する。特に、内側の接地用突起34がボトル本体2の接地用突起25の直下に位置する構成であるため、ボトル本体2の重量による底部材3の変形が極めて少なく、ボトル本体2の重量が遮光性ボトル1の設置箇所Bにダイレクトに伝えられて遮光性ボトル1の姿勢が安定する。更には、その内側の接地用突起34の外側に更に外側の接地用突起35を設けているので、遮光性ボトル1の安定度合いが増し、特に、ベルトコンベヤでの搬送時における安定性に優れているという利点がある。しかも、底部材3の接地用突起34,35の先端が弧状であるため、搬送時において引っかかりが少なくスムーズに搬送できるという利点がある。かかる搬送時には、底部材3の基部30と側壁部31との間の角に弧状の面取り部39を設けているので、倒れることなく確実に搬送できる。
【0027】
更に、遮光性ボトル1の製造過程においては、底部材3同士を重ね合わせた際に補強用リブ37によって互いの分離が容易となる。また、補強用リブ37を形成することによって底部材3の剛性が高まり、特に十字状に形成しているため捻れに対する強度が増し、底部材3の変形が少ないという利点がある。しかも、側壁部31に所定長の垂直壁部311を設けているので、パーツフィーダにおけるガイド部材がその垂直壁部311を水平方向に押すことができ、それにより底部材3が浮き上がることなく所定箇所から他の箇所に確実に底部材3を受け渡すことができる。
【0028】
尚、底部材3の形状については種々な変形が可能である。例えば、本実施形態では、底部材3の接地用突起25を内外二本形成したが、一本であっても逆に三本以上であってもよい。一本にする場合には特に上記内側の接地用突起25のようにボトル本体2の接地用突起25の直下に形成することにより姿勢の安定化が図れる。
【0029】
また、図5及び図6のように、補強用リブ37を底部材3の内面側に形成したり、垂直壁部311を側壁部31の上端部に形成してもよい。尚、図5及び図6(ロ)においてハッチングは省略されている。この底部材3にあっては、フラット面32の下方位置において底部材3の接地用突起41が一本環状に形成されている。尚、垂直壁部311を側壁部31の上端部に形成する場合、側壁部31とボトル本体2の底部20との間の隙間が大きくなりやすいため、同図のように側壁部31の上端部の内面側に上下方向に伸びる縦リブ40を周方向に間隔をおいて形成することが好ましい。また、内面又は外面に形成した十字状の補強用リブ37も十字状とするほか、一本のみ形成したり、放射状に複数本形成したりしてもよい。尚、図5においては、接地用突起41の外側部分が側壁部31となっているが、その側壁部31の外面も僅かに外側凸に湾曲しているので、搬送時にスムーズに搬送(走行)させることができる。
【0030】
更に、ボトル本体2の底部20の形状等についても適宜設計変更可能であり、横断面が円形のものについて説明したが、矩形の横断面を有するものであってもよく、その場合には底部材3もそれに合わせて平面視矩形とする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る遮光性ボトルを示す断面図。
【図2】図1の要部拡大断面図。
【図3】同遮光性ボトルにおけるボトル本体と底部材との間の隙間の状態を示す断面図。
【図4】同遮光性ボトルに使用される底部材を示し、(イ)は底面図、(ロ)は断面図。
【図5】他の実施形態に係る遮光性ボトルの要部拡大断面図。
【図6】同遮光性ボトルに使用される底部材を示し、(イ)は平面図、(ロ)は断面図。
【符号の説明】
【0032】
1…遮光性ボトル、2…ボトル本体、3…底部材、4…キャップ、5…筒状ラベル、20…底部、21…口部、22…胴部、25…ボトル本体の接地用突起、26…凹部、26a…平坦部、26b…内側傾斜部、27…外側傾斜部、30…基部、31…側壁部、32…フラット面、33…凸部、33a…下方部、33b…上方部、34,35,41…底部材の接地用突起、36…凹部、37…補強用リブ、38…通気孔、39…面取り部、40…縦リブ、311…垂直壁部、312…傾斜壁部、A…軸線、B…遮光性ボトルの設置箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮光性ボトルであって、胴部が遮光性の筒状ラベルで被覆された透明なプラスチック製のボトル本体と、該ボトル本体の底部に被せられた遮光性を有するカップ状の底部材とを備え、筒状ラベルが底部材の上端部を被覆することにより底部材はボトル本体の底部に保持され、ボトル本体の底部には、接地用突起がボトル本体の接地部分となるように下方に向けて突設され、底部材の内面には、ボトル本体の接地用突起を支持するフラット面が形成されていることを特徴とする遮光性ボトル。
【請求項2】
フラット面の下方位置における底部材の外面には、接地用突起が底部材の接地部分となるように下方に向けて突設されている請求項1記載の遮光性ボトル。
【請求項3】
底部材の側壁部には、所定長の垂直壁部が設けられている請求項1又は2記載の遮光性ボトル。
【請求項4】
ボトル本体の底部には、ボトル本体の内方に凹んだ凹部が接地用突起の内側に形成され、底部材のフラット面は底部材の側壁部に沿って周設され、該フラット面の内側には、前記ボトル本体の凹部に入るようにフラット面よりも上方に突出した凸部が形成されている請求項1乃至3の何れかに記載の遮光性ボトル。
【請求項5】
底部材に通気孔が形成されている請求項1乃至4の何れかに記載の遮光性ボトル。
【請求項6】
底部材の内面又は外面に補強用リブが設けられている請求項1乃至5の何れかに記載の遮光性ボトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−168741(P2006−168741A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360112(P2004−360112)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】