説明

遮熱シート

【課題】遮熱シートの表面温度を低く抑えることができ、且つ遮熱シートで仕切られた内側の空間の温度上昇を抑えることができ、濃色系の色味を付与することができ、単層のシートで生産コストを低く抑えることができる。
【解決手段】熱可塑性樹脂の基材中に赤外線透過顔料及び赤外線反射材を練り込んだ組成物を、シート状に成形加工した遮熱シートであり、赤外線反射材を金属酸化物被覆雲母にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮熱シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱(赤外線)を遮蔽する遮熱シートは、テント、パラソル、屋根材、外壁材などに用いられ、遮熱シートで仕切られた空間への熱の侵入を防ぐ目的で使用されるものである。このような遮熱シートとしては、白色顔料や金属化合物顔料を基材樹脂に含有させた赤外線反射シートが知られている。これによると、赤外線を反射させる機能を有する白色顔料や金属化合物顔料などによってシートの色が単調になり、所望の色味が得られず、シートのデザイン性を高めることができない問題がある。一方、シートに色味を付けるために濃色系の顔料を含有させると、このような顔料には一般にカーボンブラックが含まれているので、カーボンブラックの蓄熱作用によってシートの表面温度が高くなり、シート表面からの輻射熱によってシートで仕切られた空間の温度が高くなってしまう問題があった。
【0003】
下記特許文献1には、シートの表面温度を低く抑えることができる遮熱性カラーフィルムが記載されている。これは、混合顔料と熱可塑性樹脂とを含有する組成物をフィルム状に成形して得られるフィルムであって、混合顔料が、赤外線波長域における日射反射率が40%以上ある白色顔料、赤外線波長域における日射反射率が7〜10%以上の青,赤,緑,黄,黒から選ばれた原色顔料を組み合わせたものである。
【0004】
また、下記特許文献2には、少なくとも反射層と吸収層の2層を積層した構造の熱線遮蔽シートであって、反射層が波長350〜1600nmの日射反射率が75%以上で日射吸収率が10%以上であり、吸収層が波長800〜1600nmの日射吸収率が60%以上であり、吸収層の比熱容量が反射層の比熱容量より10%以上大きいものなどが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−12679号公報
【特許文献2】特開2006−231869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1に記載のものは、遮熱性を有すると共に、意図する美観を得るのに必要な色彩や色相を有するフィルムを提供することができるものであり、蓄熱顔料(カーボンブラック)を含まないので、熱の遮蔽時にフィルムの表面温度を低く抑えることができる利点がある。しかしながら、このフィルムは赤外線が透過しやすい構成になっており、テントやパラソル等に用いることを考えた場合には、透過した赤外線で仕切られた空間の温度が高くなって、有効な遮熱機能が得られない問題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載のものは、シートで仕切られた空間の温度と表面温度を共に抑えることができる利点はあるものの、反射層と吸収層の2層構造であるため、シート形成時にコーティング工程やダブリング工程が必要になり、生産コストが非常に高くなる問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、遮熱シートの表面温度を低く抑えることができ、且つ遮熱シートで仕切られた内側の空間の温度上昇を抑えることができること、濃色系の色味を付与することができること、単層のシートにすることで多工程の加工を必要とせず、生産コストを低く抑えることができること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明による遮熱シートは、以下の特徴を少なくとも具備するものである。
【0010】
熱可塑性樹脂の基材中に赤外線透過顔料及び赤外線反射材としての金属酸化物被覆雲母を練り込んだ組成物を、シート状に成形加工したことを特徴とする遮熱シート。
【発明の効果】
【0011】
このような特徴を有する遮熱シートは、カーボンブラックのような蓄熱顔料を含まないので、遮熱シートの表面温度を低く抑えることができ、且つ赤外線反射材で赤外線を反射するので、遮熱シートで仕切られた内側の空間の温度上昇を抑えることができる。また、赤外線透過顔料の選択・混合によって遮熱シートに濃色系の色味を付与することができる。また、単層のシートにすることで多工程の加工を必要とせず、生産コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係る遮熱シートの遮熱性能を計測するために試験機の模式図である。
【図2】実施例(例1〜例3)と比較例(例4〜例6)における表面温度と内部温度の計測結果を示したグラフである(同図(a)が例1と例4、同図(b)が例2と例5、同図(c)が例3と例6の計測結果を示している)。
【図3】緑,青,グレーのシートで実施例(例1〜例3)と比較例(例4〜例6)の赤外線反射率を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る遮熱シートは、熱可塑性樹脂の基材中に赤外線透過顔料及び赤外線反射材としての金属酸化物被覆雲母を練り込んだ組成物を、シート状に成形加工したものであって、遮熱シート自体が蓄熱することなく、赤外線を適度に反射させることで、遮熱シートの表面温度の上昇を抑制し、遮熱シートで仕切られた熱源と逆側の空間の温度上昇を抑制するものである。
【0014】
基材となる熱可塑性樹脂は、シート状に成形加工可能なものであれば特に限定されないが、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合樹脂、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリエステル系共重合樹脂、フッソ系共重合樹脂などの単独、もしくは、2種以上の混合樹脂からなるものが好ましい。特にこれらの熱可塑性樹脂のなかでは、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合樹脂が、樹脂物性、樹脂特性、成形加工性、コスト性などに優れているので好ましい。しかし、環境上の理由からハロゲン非含有の樹脂が要望される場合には、特にオレフィン樹脂、及びオレフィン系共重合樹脂が、好適に用いられる。
【0015】
このような熱可塑性樹脂の基材中に練り込まれる赤外線透過顔料とは、赤外線の吸収機能と反射機能が少ない顔料であり、特には蓄熱機能が高いカーボンブラックを含まない顔料である。ここでの赤外線透過顔料は、無機顔料であっても有機顔料であってもよい。無機顔料としては、カーボブラックを除いた天然無機顔料、クロム、酸化クロム、酸化亜鉛(亜鉛華)、合成酸化鉄赤、カドミウム黄、ニッケルチタン黄、ストロンチウム黄、アルミン酸コバルト、合成ウルトラマリン青などの合成無機顔料などを用いることができる。特には、赤外線透過機能が高いクロム及び酸化クロムが適する。有機顔料としては、多環式系、アゾ系の顔料があり、多環系顔料としては、ペリレン、ペリノン、フタロシアニン、カルボニウムなど、アゾ系顔料としては、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、縮合アゾ顔料などを用いることができる。本発明の実施形態に係る遮熱シートは、所望の色味を得るために、カーボンブラックを含まない各種の調色顔料を適量含有させることができる。
【0016】
また、前述した熱可塑性樹脂の基材中に練り込まれる赤外線反射材は、少量で赤外線反射機能の高いものが適する。一般に、白色系又は光沢系の顔料は赤外線反射機能を有するが、高い赤外線反射性能を得ようとするとこれらの顔料を多量に含有させる必要があり、シートの着色に与える影響が大きくなって、所望の色味を得ることができなくなる。そこで、所望の色味を得るために、少量で赤外線反射機能の高いものとして、金属酸化物被覆雲母が適する。金属酸化物被覆雲母の金属酸化物には、酸化チタン、酸化スズ、酸化鉄などがある。赤外線透過顔料や調色顔料の色味に影響を与えにくく、高い赤外線反射性能を有するものとして、金属酸化物被覆雲母の金属酸化物は酸化チタン及び/又は酸化スズが適する。
【0017】
樹脂組成物の成形加工では、カレンダー成形加工、T−ダイ押出成形加工などによってシート状に成形される。成形加工方法に限定はないが、生産性等の面でカレンダー成形加工が適する。カレンダー成形加工によって本発明の実施形態に係る遮熱シートを得る場合には、熱可塑性樹脂に練り込んだ赤外線透過顔料や赤外線反射材が加熱ロールにプレートアウトしてその加工性を悪化させる場合がある。これに対して、一般的なシリカ系のプレートアウト防止剤では大きな改善効果が無く、炭酸カルシウムを添加することでこの加工性の悪化に対する改善効果が得られた。また、カレンダー成形加工によって本発明の実施形態に係る遮熱シートを得る場合には、バンク回りが不安定になって加工性が悪化する場合がある。これに対しては、加工助剤としてアクリル系改質剤を適量含有させることで、バンク回りを改善することができる。
【実施例】
【0018】
[表面温度と内部温度の計測方法]
図1は、本発明の実施例に係る遮熱シートの遮熱性能を計測するために試験機の模式図である。このような試験機によって、実施例に係る遮熱シートと比較例の従来シートの表面温度と内部温度(遮熱シートで仕切られた熱源と逆側の空間の温度)を計測した。試験機は、上面を開放した発泡スチロール製の箱1(底面30cm×30cm、高さ30cm)を用い、その箱1の開放された上面を試験体Mであるシート(実施例及び比較例)で覆い、試験体Mの上方(試験体から30cm離れた位置)に配置した赤外線電球(熱源)2から赤外線を試験体Mに向けて照射するものである。試験体Mの表面に温度計3の検知部を配置し、箱1の内部(底面から5cm離れた位置)に熱電対4の検知部を配置して、試験体Mの表面温度と箱1内の内部温度を計測した。計測開始から30分後(2分毎に計測)の計測値を表面温度及び内部温度とした(試験環境は、室温23℃、湿度65%)。試験体Mは、各例ともに厚さ0.3mmとした。
【0019】
[表面温度と内部温度の計測結果]
図2及び表1は、実施例(例1〜例3)と比較例(例4〜例6)における表面温度と内部温度の計測結果を示したものである。
【0020】
【表1】

【0021】
例1〜例6は、基材となる熱可塑性樹脂が塩化ビニル樹脂であり、可塑剤(DOP)及びBa−Zn系安定剤が適量添加されている。また、例1〜3は、カレンダー成形加工性の改善のために、炭酸カルシウム、加工助剤としてアクリル系改質剤、滑剤が適量添加されている。
【0022】
そして、例1は、基材樹脂100重量部に対して、赤外線透過顔料としてのクロム及び酸化クロム化合物(Sicopal Black K0095;BASFジャパン(株))を3重量部、赤外線反射材としての金属酸化物被覆雲母(Solar flair 875;メルク(株))を2重量部、調色顔料としての顔料1(チタン)を3重量部,顔料4(F−0510:大日精化工業(株))を1.10重量部含有させることで、緑色のシートを形成している。
【0023】
例2は、基材樹脂100重量部に対して、赤外線透過顔料としてのクロム及び酸化クロム化合物(Sicopal Black K0095;BASFジャパン(株))を3重量部、赤外線反射材としての金属酸化物被覆雲母(Solar flair 875;メルク(株))を2重量部、調色顔料としての顔料1(チタン)を3重量部,顔料2(TVM-NGブルー2T:東洋インキ製造(株))を1.38重量部含有させることで、青色のシートを形成している。
【0024】
例3は、基材樹脂100重量部に対して、赤外線透過顔料としてのクロム及び酸化クロム化合物(Sicopal Black K0095;BASFジャパン(株))を0.7重量部、赤外線反射材としての金属酸化物被覆雲母(Solar flair 875;メルク(株))を2重量部、調色顔料としての顔料1(チタン;OR−440)を3.5重量部含有させることで、グレー色のシートを形成している。
【0025】
一方、例4は、基材樹脂100重量部に対して、カーボンブラック(VTM−8431;大日精化工業(株))を0.46重量部、調色顔料としての顔料1(チタン)を2.37重量部,顔料2(TVM-NGブルー2T:東洋インキ製造(株))を0.25重量部,顔料4(F−0510:大日精化工業(株))を0.31重量部含有させることで、緑色のシートを形成している。
【0026】
例5は、基材樹脂100重量部に対して、カーボンブラック(VTM−8431;大日精化工業(株))を0.3重量部、調色顔料としての顔料1(チタン)を2.82重量部,顔料2(TVM-NGブルー2T:東洋インキ製造(株))を0.84重量部,顔料3(Z−8308EB:大日本インキ化学工業(株))を0.16重量部、顔料7(Z−4485EB:大日本インキ化学工業(株))を0.16重量部含有させることで、青色のシートを形成している。
【0027】
例6は、基材樹脂100重量部に対して、カーボンブラック(VTM−8431;大日精化工業(株))を0.16重量部、調色顔料としての顔料1(チタン)を3.04重量部,顔料5(Z−817EB:大日本インキ化学工業(株))を0.4重量部,顔料6(Z−480:大日本インキ化学工業(株))を0.18重量部含有させることで、グレー色のシートを形成している。
【0028】
図2及び表1に示すように、同じ緑色シートの例1と例4を比較すると、例1の方が例4より表面温度が20℃程度低く、内部温度が7℃程度低くなっており(図2(a)参照)、同じ青色シートの例2と例5を比較すると、例2の方が例5より表面温度が18℃程度低く、内部温度が8℃程度低くなっており(図2(b)参照)、同じグレー色シートの例3と例6を比較すると、例3の方が例6より表面温度が19℃程度低く、内部温度が6℃程度低くなっている(図2(c))。この計測結果から明らかなように、本発明の実施例(例1〜例3)は、従来のカーボンブラックを含むシート(例4〜例6)と比較して、表面温度と内部温度の両方で高い遮熱機能を有しており、しかも、従来のカーボンブラックを含むシートと同様に様々な色味を有するシートを形成することができる。
【0029】
[赤外線反射率の評価]
図3は、緑,青,グレーのシートで実施例(例1〜例3)と比較例(例4〜例6)の赤外線反射率を比較したグラフである。同図(a)が緑色シートを形成した例1と例4の比較であり、同図(b)が青色シートを形成した例2と例5の比較であり、同図(c)がグレー色シートを形成した例3と例6の比較である。各図においては太線が実施例(例1〜例3)であり、細線が比較例(例4〜例6)を示している。
【0030】
各図の比較から明らかなように、本発明の実施例(例1〜例3)は、赤外線の波長域(特に800〜2400nm)において比較例と比べて反射率が非常に大きくなっている。本発明の実施例は、金属酸化物被覆雲母を用いることで少量の赤外線反射材で図示のように40〜60%の赤外線反射率が得られるところに特徴があり、少量の赤外線反射材によってシートの色味に過度な影響を与えないことで、赤外線透過顔料や調色顔料によって様々な濃色系の色を付与することができる。
【0031】
[カレンダー加工性の評価]
表2に示した例1A,例7〜例16は、いずれも、基材樹脂が塩化ビニル樹脂であり、基材樹脂100重量部に対して、赤外線透過顔料としてのクロム及び酸化クロム化合物(Sicopal Black K0095;BASFジャパン(株))を3重量部、赤外線反射材としての金属酸化物被覆雲母(Solar flair 875;メルク(株))を0.5〜4重量部、調色顔料としての顔料1(チタン)を3重量部,顔料4(F−0510:大日精化工業(株))を0.365重量部含有しており、更に、可塑剤(DOP)と安定剤を適量含有している。
【0032】
そして、炭酸カルシウムを基材樹脂100重量部に対して40重量部含む例1A,例7〜例11の中で、赤外線反射材としての金属酸化物被覆雲母が基材樹脂100重量部に対して3重量部以下の例(例1A,例7〜例10)では、プレートアウトの不具合がないが、赤外線反射材としての金属酸化物被覆雲母が基材樹脂100重量部に対して4重量部以上の例(例11)では、プレートアウトの不具合が若干確認された。
【0033】
一方、炭酸カルシウムの含有量(基材樹脂100重量部に対して20以下)が少ない(基材樹脂100重量部に対して20以下)又は炭酸カルシウムを含まない例12〜例16は、いずれも、プレートアウトの不具合が確認された。更に、炭酸カルシウムの含有量が十分な場合にも、バンク回りが不安定になる場合があり(例7)、これに対しては、加工助剤としてのアクリル系改質剤を適量含有させることで、バンク回りを改善させることができた(例1A)。炭酸カルシウムの含有量が十分な例(例1A,例7参照)は、いずれも良好な離型性を有していることが確認できた。
【0034】
【表2】

【0035】
[非塩ビ基材樹脂での遮熱性評価結果]
表3は、非塩ビ基材樹脂を用いる場合の遮熱性評価結果を示したものである。基材樹脂をPP樹脂(FHX20EI;住友化学(株))にした例(例20と例27)、基材樹脂をEMMA樹脂(WH−206;住友化学(株))にした例(例21と例28)、基材樹脂をEVA樹脂(NUC−3765D;日本ユニカー(株))にした例(例22と例29)、基材樹脂を高密度ポリエチレン(HDPE)(ニポロンハード4020;東ソー(株))にした例(例23と例30)、基材樹脂をウレタン樹脂(ET−385−10C2;BASFジャパン(株))にした例(例24と例31)、基材樹脂をPET樹脂(GS−2;イーストマンケミカルジャパン(株))にした例(例25と例32)、基材樹脂をABS樹脂(ET−70;日本エイ アンド エル(株))にした例(例26と例33)をそれぞれ示している。
【0036】
各基材樹脂において、本発明の実施例(例20〜例26)は、基材樹脂100重量部に対して、赤外線透過顔料としてのクロム及び酸化クロム化合物(Sicopal Black K0095;BASFジャパン(株))を3重量部、赤外線反射材としての金属酸化物被覆雲母(Solar flair 875;メルク(株))を2重量部含有しており、比較例(例27〜例32)は、基材樹脂100重量部に対して、カーボブラック(VTM−8431;大日精化工業(株))を1重量部含有している。表面温度と内部温度の計測方法は前述したとおりである。
【0037】
表3に示した計測結果から明らかなように、本発明の実施例(例20〜例26)では、表面温度が67〜71℃で内部温度が42〜45℃であるのに対して、比較例(例27〜例32)は、表面温度が89〜92℃で内部温度が51〜54℃となっており、同じ基材樹脂の実施例と比較例を比較してみても、表面温度で21〜26℃実施例の方が低く、内部温度で7〜12℃実施例の方が低い結果になっている。この結果から、各種の基材樹脂に対して赤外線透過顔料と赤外線反射材を含有させた遮熱シートは、カーボブラックを含む従来のシートに比べて高い遮熱性能を示している。
【0038】
【表3】

【符号の説明】
【0039】
1:箱,2:赤外線電球,3:温度計,4:熱電対,M:試験体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂の基材中に赤外線透過顔料及び赤外線反射材としての金属酸化物被覆雲母を練り込んだ組成物を、シート状に成形加工したことを特徴とする遮熱シート。
【請求項2】
前記金属酸化物被覆雲母は、金属酸化物として酸化チタン及び/又は酸化スズを含有させることを特徴とする請求項1に記載の遮熱シート。
【請求項3】
前記赤外線透過顔料は、カーボンブラックを含まない顔料であることを特徴とする請求項1又は2に記載された遮熱シート。
【請求項4】
前記組成物は、炭酸カルシウムを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された遮熱シート。
【請求項5】
前記組成物は、加工助剤としてのアクリル系改質剤を含むことを特徴とする請求項4記載の遮熱シート。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂は塩化ビニル樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された遮熱シート。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂はオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された遮熱シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−148923(P2011−148923A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12098(P2010−12098)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【Fターム(参考)】