説明

選択的重量分布を伴うゴルフボール用の多層コア

【課題】選択的な質量の配置を行うことにより、良好な飛行特性、およびスピン制御性を備えたゴルフボールの提供。
【解決手段】マルチ層コア14またはデュアルコアを含むマルチピースゴルフボール12が提供される。コア14は選択的重み付け構造(SWC)を伴う。具体的には、複数のコア層14a、14b、14cは異なる比重レベルまたは密度を伴う異なる組成物から製造される。好ましくは、ゴムおよび高中和エチレン酸コポリマー組成物を使用してコア14中の少なくとも1つの層を形成する。ゴムおよびアイオノマー組成物はフラーが充填されて比重レベルが調整されて良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は全般的には少なくとも2つの層を伴うソリッドコアと少なくとも1つの層を伴うカバーとを具備するマルチピースゴルフボールに関する。具体的には、このボールは、内側コア、中間コア層、および外側コア層を具備するマルチ層コア、または内側コアおよびこれを包囲する外側コア層を具備するデュアルコアを含む。コアは選択的重み付け構造(SWC)を伴い、コアの層の各々の密度が異なっている。このコアは、大きな弾力性とスピン制御特性を伴う完成ボールを実現するために使用される。
【背景技術】
【0002】
ソリッドの内側コアをカバーで防御したマルチピース、ソリッドゴルフボールが、現在、リクリエーションおよびプロのゴルファーに使用されている。ゴルフボールは単一層またはマルチ層のコアを伴ってよい。すなわち、コア層は、弾力性が大きな、天然ゴムまたは合成ゴム材料、例えば、スチレンブタジエン、ポリブタジエン、ポリ(シス−イソプレン)、またはポリ(トランス−イソプレン)のようなもの、または高度に中和されたエチレン酸コポリマー(HNP)から製造される。カバーは単一またはマルチ層であり、耐久性のある材料、例えば、HNP、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、またはポリ尿素のようなものから製造される。ゴルフボール製造業者は、特別の特性および特徴を実現するために異なる構造(例えばスリーピース、フォーピース、およびファイブピースボール)を採用する。
【0003】
コアはゴルフボールの弾力性の主たる源泉であり、しばしばボールの「エンジン」と呼ばれる。ゴルフボール(またはゴルフボールの部品、例えばコア)の弾力性または反発係数(「COR」)は、ボールを空気砲で堅固な板に発射したときの、ボールの跳ね返り速度の初期入射速度に対する比を意味する。ゴルフボールのCORはゼロから1の間の少数として記述される。ゴルフボールは異なる初期速度に応じて異なるCOR値を伴って良い。合衆国ゴルフ協会(USGA)はゴルフボールの初期速度の限界を設定しており、ゴルフボール製造業者の1つの目標はこれら条件の下でCORを最大化することである。大きな跳ね返り速度を伴うボール(またはコア)は大きなCOR値を伴う。そのようなゴルフボールがより速く跳ね返ると、クラブでたたいたときの総合エネルギーがより多く保持され、飛行距離がより長くなる。一般的には、ボールのCORはボールの硬度が大きくなると大きくなる。CORを測定するテスト方法は、以下により詳細に説明される。いくつかの慣用的なゴルフボールでは、コアの硬度を大きくする材料が採用されてコアの弾力性を大きくし、この結果、コアの圧縮が大きくなる。
【0004】
一般的には、圧縮は、ゴルフボール(またはゴルフボールの部品、例えばコア)が圧縮荷重を受けたときの偏差を指す。いくつかの異なる方法がゴルフボールおよびその部品の圧縮を測定するのに使用されて良い。圧縮は慣用的にはAttiまたはRiele圧縮ゲージを用いて測定される。Atti方法では、さらに以下に説明されるように、ピストンを用いてボールをバネに抗して圧縮する。ピストンの移動距離および荷重は固定であり、バネの偏位が測定される。コアが比較的柔らかい場合には、バネは最小限の量しか撓まない。他方、コアが比較的硬い場合には、バネは顕著な量、撓む。圧縮を測定するテスト方法は以下に詳細に説明される。
【0005】
コアの圧縮が大きくなればなるほどコアは硬くなり良好な耐久性および弾力性を保持する傾向がある。プレーヤは、このようなゴルフボールを使用したときにより長い飛行距離を実現でき、これはとくにボールをティーから打撃するときに好ましい。いくつかの高圧縮ボールは比較的堅固であり、これは有害な効果をもたらす。例えば、そのようなボールは小さな初期スピンレートを伴いがちであり、これによりボールの制御がより困難になる。これは、グリーン近くのアプローチショットのときにとくに問題となる。他方、ボールがより大きなスピンレートを伴うと、飛行距離が犠牲になる。あるプレーヤはティーから長距離そのようなボールを打ち出すのに困難を感じる。
【0006】
ゴルフボール製造業者はゴルフボールの多数の層の間の密度すなわち比重を統制してスピンレートを制御することを目指していた。一般的には、ゴルフボールの総重量は合衆国ゴルフ協会(「USGA」)が設定した重量制限に適合しなくてはならない。ゴルフボールの総重量は制御されるけれども、ボール内の重量の分布は可変できる。ゴルフボールの重量すなわち質量をボールの中心に向けて再分散させ、またはボールの外側表面に向けて再分散させてボールの飛行およびスピン特性を変化させることができる。
【0007】
例えば、重量をゴルフボールの中心にシフトさせてスピンを増大させることができ、これは米国特許第4,625,964号(Yamada)に記載され、ここでは、ゴルフボールは、コア、中間層、およびカバーを含み、コアの比重は少なくとも1.50であり、その径は32mm未満であり、中間層の比重はコアより小さい。米国特許第5,048,838号(Chikaraishi、その他)はツーピースコアおよびカバーを含む他のスリーピースゴルフボールを開示している。高密度の内側コアの径は15〜25mmの範囲で、その比重は1.2〜4.0であり、外側コア層の比重は内側コアの比重より0.1〜3.0だけ小さい。米国特許第5,104,126号(Gentiluomo)は、鋼、鉛、真鍮、亜鉛、銅、および充填エラストマーから製造された高密度の内側コアを具備するボールを開示し、ここでは、コアの比重は少なくとも1.25である。内側コアは例密度のシンタクチックフォーム組成物により包囲され、この構造体はアイオノマーのカバーにより包囲される。米国特許第5,482,285号(Yabuki、その他)は内側コアおよび外側コアを具備しアイオノマーのカバーで包囲されるスリーピースゴルフボールを開示している。外側コアの比重は削減されて0.2〜1.0の範囲に収まるようになっている。内側コアの比重は、内側/外側コアの総重量が32.0〜39.0gの範囲に収まるように調整される。他の例では、重量はボールの外側部分へ中心から遠ざかるようにシフトさせることができる。例えば、米国特許第6,120,393号(SullivanおよびNesbitt)は低スピンレートのゴルフボールを開示する。このボールは、比較的柔らかなマルチピースコアと堅固なカバーとを有する。内側コアは空洞であり、ガスで充填されて良く、その一方で、外側コア層は柔らかで、弾力性がある材料から製造される。米国特許第6,142,887号(SullivanおよびNesbitt)は、コア、薄い球状層、およびポリマーの外側カバーを含むゴルフボールを開示している。薄い球状層は、金属、セラミック、または複合材料、例えば、シリコンカーバイドグラス、カーボン、ボロンカーバイド、およびアラミド材料を有する。
【0008】
いくつかの慣用的な多層コア構造は一般的には高弾力性のゴルフボールを実現する上で有効であるけれども、ゴルフボールにおいて改善されたコア構造に対して依然として要望がある。具体的には、選択的な重み付け構造(SWC)を伴ってボールに良好な飛行距離とともにスピン制御性を付与できるようにする多層コア構造が望まれる。この発明はそのような特性とともに他の有益な特徴、利点を伴うコア構造およびゴルフボールを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,625,964号明細書
【特許文献2】米国特許第5,048,838号明細書
【特許文献3】米国特許第5,104,126号明細書
【特許文献4】米国特許第5,482,285号明細書
【特許文献5】米国特許第6,120,393号明細書
【特許文献6】米国特許第6,142,887号明細書
【発明の開示】
【0010】
この発明は、少なくとも1つの層を具備するソリッドコアと、少なくとも1つの層を具備するカバーとを有するマルチピースゴルフボールを提供する。ゴルフボールは種々の構造を伴って良い。例えば、1つのバージョンにおいては、3つの層の(「マルチ層」)のコアを具備するゴルフボールが製造され、他のバージョンでは、2層(「デュアル」)のコアを具備するゴルフボールが製造される。以下にさらに検討されるように、この発明のゴルフボールにおいては、コアの全体の密度は全般的にバランスしている。いくつかの質量の部分がボールの中心の比較的近くに位置決めされ、他方、他の質量の部分がボールの中心から離れて位置づけられる。そのため、ボールは比較的大きなまたは小さな慣性モーメントを持たない。むしろ、ボールは比較的「中くらいの慣性モーメント」を伴うと記述することができる。そのため、ボールは全体として良好な飛行距離およびスピン制御性を伴う。
【0011】
第1の好ましい実施例において、ゴルフボールは、内側コア、中間コア層、および外側コア層を具備するマルチ層コアを、コアの回りに配されたカバーとともに有する。内側コアは、好ましくは、その直径が約0.015から約0.900インチの範囲であり、その比重は約1.18から約5.00g/ccの範囲である。中間コア層は、好ましくは、その厚さが約0.010から約0.200インチの範囲であり、その比重が約1.18から約5.00g/ccの範囲である。好ましくは内側コアの比重(SGinner)は中間コアの比重(SGintermediate)より大きく、SGintermediateは、外側コアの比重(SGouter)より小さい。
【0012】
1つのバージョンにおいて、コア層の少なくとも1つは、例えばポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリアルケナマ、ブチルゴム、ハロブチルゴム、またはポリスチレンエラストマーのようなゴム材料から製造される。また、コア層の少なくとも1つは、酸基を有しその70%より多くが中和されているエチレン酸コポリマーを有するアイオノマー組成物から製造される。より具体的には、ゴム組成物から製造された内側コア;高度に中和されたアイオノマー組成物から製造された中間コア;および、ゴム組成物から製造された外側コア層を有するマルチ層コアが準備されて良い。ゴムおよびアイオノマー組成物は対応する層の密度を調整するために比重フィラーを含んで良い。例えば、これらのフィラーは、金属粉末、金属合金粉末、金属酸化物、金属ステアリン酸塩、粒子、炭質材料、およびこれらの混合物からなるグループから選択されて良い。
【0013】
第2の好ましい実施例において、ゴルフボールは、内側コア、および外側コア層を具備するデュアルコアを、コアの回りに配されたカバーとともに有する。内側コアは、好ましくは、その直径が約0.015から約0.900インチの範囲であり、その比重は約1.18から約5.00g/ccの範囲である。外側コア層は、好ましくは、その厚さが約0.100から約0.600インチの範囲であり、その比重が約0.080から約1.20g/ccの範囲であり、内側コアの比重(SGinner)は、外側コアの比重(SGouter)より大きい。
【0014】
この発明を特徴付ける新規な特徴は添付の特許請求の範囲に示される。しかしながら、この発明の好ましい実施例が、その目的および付随する効果とともに、添付図面と関連してなわれる以下の詳細な説明を参照して最も良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明に従って製造されるマルチ層コアを具備するフォーピースゴルフボールの断面図である。
【図2】この発明に従って製造されるデュアルコアを具備するフォーピースゴルフボールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[ゴルフボール構造]
種々の構造を具備するゴルフボールがこの発明に従って製造されて良い。例えば、スリーピース、フォーピース、ファイブピース構造で単一またはマルチ層カバーを伴うゴルフボールが製造されて良い。用語「層」は、ここで使用されるように、一般的には、ゴルフボールの任意の球状部分を意味する。より具体的には、1つのバーションにおいて、デュアルコアおよび1つのカバーを具備するスリーピースゴルフボールが製造される。デュアルコアは、内側コア(センタ)と包囲外側コア層とを含む。他のバージョンにおいて、デュアルコアと、内側カバーおよび外側カバーを有するデュアルカバーを有するフォーピースゴルフボールが製造される。さらに他の構造においては、内側コア(センタ)、中間コア層、および外側コア層を有するマルチ層コアを具備するフォーピースまたはファイブピースのゴルフボールが製造されて良い。この発明のゴルフボールは中間層をさらに含んで良い。ここで使用されるように、用語「中間層」はコアおよびカバー尾相田に配されるゴルフボールの層を意味する。中間層は、ケーシングまたはマントル層と呼ばれても良い。種々の層の直径および厚さは、その特性、例えば硬度および圧縮と同様に、構造、およびゴルフボールの所望の競技性能特性に応じて変化して良い。
【0017】
図1を参照すると、この発明に従って製造できるゴルフボールの1つのバージョンが全体的に符号(12)によって示される。ボール(12)は、内側コア(センタ)(14a)、中間コア層(14b)、および外側コア層(14c)を具備するマルチ層コア(14)を含み、これは単一層カバー(16)により包囲される。内側コア(14a)は、その体積が比較的小さく、一般的には、その直径は、下限が約0.15、または0.25、または0.35、または0.45、または0.55インチで、上限は約0.60、または0.70、または0.80、または0.90インチの範囲である。1つの好ましいバージョンでは、内側コアの直径は約0.025インチから約0.080インチの範囲であり、より好ましくは、約0.030から約0.075インチの範囲である。他方、中間層(14b)は、その体積が比較的大きく、一般的には、その厚さが、下限が約0.100、または0.200、または0.300で、上限が約0.400、または0.500、または0.600インチの範囲である。1つの好ましいバージョンでは、中間コア層の厚さは、約0.150から約0.550インチ、より好ましくは、約0.250から約0.450インチの範囲である。外側コア層(14c)の厚さは、一般的には、下限が約0.010、または0.020、または0.025、または0.030インチで、上限が約0.070、または0.080、または0.100、または0.200インチの範囲である。1つの好ましいバージョンでは、外側コア層の厚さは、約0.040から約0.170インチ、より好ましくは、約0.060から約0.150インチの範囲である。
【0018】
この発明に従って製造されるゴルフボールは任意の寸法で良いけれども、USGAは競技用のゴルフボールの直径が少なくとも1.68インチであることを要求する。合衆国ゴルフ協会(USGA)の規則に下側なり競技については、ゴルフボールの寸法はより小さくても良い。通常、ゴルフボールはUSGA要件に従って製造され、その直径は約1.68から約1.80インチである。一般的には、マルチ層コアの全体直径は、下限が約1.00、または1.20、または1.30、または1.40インチで、上限が約1.58、または1.60、または1.62、または1.64インチの範囲である。図2は他のバージョンであり、これを参照すると、ゴルフボール(18)は、内側コア(センタ)(20a)、および外側コア層(20b)を具備するデュアルコア(20)を含み、中間コア層は存在しない。デュアルコアは単一層カバー(22)により包囲される。
【0019】
マルチ層コアのバージョンでは、図1に示されるように、内側コア(14a)の比重は、好ましくは、比較的大きい。一般的には、内側コア(14a)の比重は、下限が約1.18、または1.50、または2.00、または2.50g/ccで、上限が約3.00、または3.50、または4.00、または4.50、または5.00g/ccの範囲である。好ましい実施例では、内側コアの比重は約1.20から約3.50g/cc、より好ましくは、約1.25から約3.00g/ccである。他方、中間コア層(14b)の比重は、好ましくは、比較的小さく。一般的には、中間コア層(14b)の比重は、下限が約0.080、または0.100、または0.400、または0.600、または0.800g/ccで、上限が約1.00、または1.10、または1.20g/ccの範囲である。好ましい実施例では、中間コア層の比重は約0.090から約1.18g/cc、より好ましくは、約0.095から約1.15g/ccである。内側コアと類似の態様で、外側コア層(14c)の比重は、下限が約1.18、または1.50、または2.00、または2.50g/ccで、上限が約3.00、または3.50、または4.00、または4.50、または5.00g/ccの範囲である。とくに好ましい実施例において、センタおよび外側コア層の比重は等しいか、実質的に同一である。この発明の目的において、比重が相互に同一または0.1g/cc内であれば、それらは実質的に同一である。デュアル層コアのバージョンにおいて、図2に示すように、内側コア(20a)の比重は好ましくは約1.18から約5.00g/ccの範囲であり、外側コア層(20b)の比重は好ましくは約0.080から約1.20g/ccの範囲である。
【0020】
好ましくは、内側コアの比重(SGinner)は中間コア層(SGintermediate)の比重より大きい。また、中間コア層の比重(SGintermediate)は、外側コアの比重(SGouter)より小さい。内側コアの比重(SGinner)および外側コア層の比重(SGouter)は実質的に同一で良い。
【0021】
以下にされに検討するように、種々のポリマー組成物を用いてこの発明のマルチ層およびデュアルコアの構造のゴルフボールを製造して良い。ゴルフボールはコア層の重量を調整するために比重フィラーを必要なだけ含んで良い。この組成物中に使用されるフィラーおよび他の成分の量は、ゴルフボールがUSGAの設定している制限を超えないように調整される。USGA規則からはずれた競技では、ゴルフボールはより重くて良い。1つの好ましい実施例において、マルチ層コアの重量は約28から約38gの範囲である。
【0022】
[コア構造]
先に検討したように、コアは好ましくはマルチ層またはデュアル層構造を具備する。好ましくは、内側コアの中央硬度(CH)は下限が約38、または45、または52で、上限が約55、または60、または62ショアDの範囲である。他方、中間コア層の表面硬度(ICLSH)は好ましくは下限が約46、または50、または54ショアDで、上限が約60、または64、または68ショアDの範囲である。外側コア層の表面硬度(OCLSH)は好ましくは下限が約40、または44、または48、または52ショアDで、上限が約56、または60、または64ショアDの範囲である。1実施例において、中間コア層の表面硬度は内側コアの中央硬度および外側コア層の表面硬度より大きい。代替的な実施例において、中間コア層の表面硬度は内側コアの中央硬度および外側コア層の表面硬度より小さい。
【0023】
1つの好ましい実施例において、内側コア(センタ)は「正」の硬度勾配(すなわち、内側コアの外側表面は幾何中心より硬い)を伴い、外側コア層は「正」の硬度勾配(すなわち、外側コア層の外側表面は外側コア層の内側表面より硬い)を伴う。内側コアおよび外側コア層の相応が「正」の硬度勾配を伴う場合、外側コア層の外側表面は好ましくは内側コア(センタ)の材料硬度より大きい。代替的なバージョンでは、内側コアが「負」の硬度勾配(すなわち、外側コア層の外側表面が外側コア層の内側表面より柔らかい)を伴って良く、外側コアは正の硬度勾配を伴って良い。他のバージョンでは、内側コア(センタ)が正の硬度勾配を伴い、他方、外側コア層が負の硬度勾配を伴う。さらに他のバージョンでは、外側コア層が「ゼロ」の硬度勾配(すなわち外側コア層の外側表面の硬度値と、外側コア層の内側表面の硬度値が実質的に同一である)を伴って良い。そのような硬度勾配は、米国特許第7,537,529号、同第7,410,429号(ともにBulpett、その他)、米国特許第7,255,656号、および同第6,852,044号(ともにSulivan、その他)に、さらに説明され、その内容は参照してここに組み入れる。
【0024】
具体的には、用語「ゼロ硬度勾配」は、ここで使用されるように、表面から中央(または第2の表面)のショアC硬度勾配が8より小さく、より好ましくは5より小さく、最も好ましくは3より小さいことを意味し、ゼロ、または負の1から負の25の値であって良い。用語「負硬度勾配」は、ここで使用されるように、表面から中央(または第2の表面)のショアC硬度勾配がゼロより小さいことを意味する。用語「ゼロ硬度郊外」および「負硬度勾配」はここでは、負の1から負の20の硬度勾配を指すために交換可能に使用されて良い。用語「正硬度勾配」は、ここで使用されるように、表面から中央(または第2の表面)のショアC硬度勾配が8以上、より好ましくは10以上、最も好ましくは20以上であることを意味する。ここで使用されるように、用語「急な正硬度勾配」により、表面から中央(または第2の表面)のショアC硬度勾配が20以上、より好ましくは25以上、最も好ましくは30以上であることが意味される。例えば、コアは、35、40、または45ショアC、またはそれ以上の急な正硬度勾配を伴って良い。
【0025】
好ましくは、内側コアの幾何中心から外側コア層の表面までの硬度勾配は正の硬度勾配である。すなわち、外側コア層の外側表面は内側コアの中央より硬い。コアおよびカバー層の硬度を測定し硬度勾配を決定する方法は以下に詳細に説明される。
【0026】
以下にさらに検討するように、マルチ層コアにおいて、内側コアおよび外側コア層は、その比重レベルが比較的大きく、高度に充填された熱可塑性または熱硬化性の材料から生成されて良い。他方、中間コア層は熱可塑性または熱硬化性の材料から形成されて良く、それは実質的にフィラーを含まない。好ましくは、少なくとも1つのコア層は、ゴムまたはエチレン酸コポリマー・アイオノマーの組成物から形成される。上述したコア構造を伴うこの発明のゴルフボールは、良好なフィーリングを維持しつつ良好な弾力性(距離)を実現する。製造されたゴルフボールは、比較的大きなCORを伴い、この結果、ゴルフクラブで打撃されたときの初速度が大きくなる。このため、ボールはより長い距離だけ飛行する傾向となり、これはティーからのドライバショットには特に重要である。同時に、ソフトなフィーリングを伴い良好なスピン制御を伴う。マルチ層コアにおいては、コアの密度の一部がボールの中心へと分散され、すなわち、ボールの質量のいくらかの部分が回転軸の比較的近くに配置される。しかしながら、コアの密度のすべてがボールの中心に向かって分散されるわけではない。むしろ、ボールの質量のいくらかの部分は回転軸から離れて位置決めされる。全般的には、所与の軸の回りのボール(または他の物体)の慣性モーメントはその軸のまわりの回転運動が変化するのがどのくらい困難かを指し示す。ボールの質量が中心に向かって集中されられていると、回転速度を変化させるのに必要な力はより小さくなり、ボールの慣性モーメントは比較的小さくなる。したがって、ボールの初期スピンレートは増大する。逆に、ボールの質量が外側表面に集中させられていると、回転速度を変化させるのに必要な力はより大きくなり、ボールの慣性モーメントは比較的大きくなる。したがって、ボールの初期スピンレートは減少する。
【0027】
この発明のゴルフボールにおいては、コアの全体の密度は全般的にバランスしている。質量のいくつかの部分はボールの中心に比較的近くに位置づけられ、他方質量の他の部分はボールの中心から離れて位置決めされる。したがって、ボールの慣性モーメントは比較的大きくなったり、小さくなったりしない。むしろ、ボールは破格的「中間的」な慣性モーメントを伴うと記述できる。そのため、ボールは全般的には良好なスピン制御を有する。中間的なスピンレートでは、プロの(またはかなり熟練した)ゴルファーはボールのスピンを生成し制御できる。そのようなゴルファーはバックスピンにより良好なアプローチショットを打ち、グリーン上でボールを即座に停止させることができる。同時に、遊びの(またはあまり熟練していない)ゴルファーはクラブでボールを打ち制御を維持でき、比較的まっすぐな線上にボールを飛行させることができる。中間的なスピンレートであるので、ボールのサイドスピンは少なくなり、ドリフトしてコースを完全に外れてしまうことがより少なくなる。ゴルファーはボールをフックさせたりスライスさせたりするときにその競技にフラストレーションがとくに溜まりやすく、サイドスピンレートが大きいとフェアウェイの隣に着地することになる。平均的なゴルフプレーヤは、この発明のゴルフボールを良好な距離および制御感覚を伴って打撃できる。
【0028】
より具体的には、米国特許第6,494,795号(Sullivan)および米国特許第7,651,415号(Ladd、その他)に説明されるように、任意の直径の球体の慣性モーメントの公式はCRC標準数学表、24エディション、1976の20(以下、CRC参考文献)に与えられている。上の数式に従うと、直径が約1.68インチで任意の径に渡って重量が均等に分散されている1.62オンスのゴルフボールの慣性モーメントは0.4572オンス/inch(83.6g/cm)である。この値よりかなり大きな慣性モーメントを伴うゴルフボールは比較的大きな慣性モーメントのゴルフボールと考えられ、他方、かなり小さな値を伴うゴルフボールは、比較的小さな慣性モーメントのゴルフボールと考えられる。他方、実質的に同一の値を伴うゴルフボールは「中間的な」慣性モーメントのゴルフボールと考えられる。一般的には、中間的な慣性モーメントを伴うゴルフボールは約0.3000オンス/inchから約0.6000オンス/inchの範囲の値を伴う。
【0029】
さらに、この発明のコアは典型的には約0.75以上、好ましくは約0.80以上のCORを伴う。コアの圧縮は好ましくは約50から約130であり、より好ましくは約70から約110の範囲である。
【0030】
[ゴム組成物]
好ましくはコア層の少なくとも1つはゴム組成物から形成され、天然および合成ゴムのグループから選択され、これは、非限定的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレンプロピレンゴム(「EPR」)、エチレン−プロピレン−ジエン(「EPDM」)ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレンブロックコポリマーゴム(例えば、SI、SIS、SB、SBS、SIBS、その他、ただし「S」はスチレン、「I」はイソブチレン、「B」はブタジエンである)、ポリアルケナマ、例えば、ポリオクテナマー、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ポリスチレンエラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリ尿素エラストマー、メタローセン触媒エラストマー、およびプラストマー、イソブチレンおよびp−アルキルスチレンのコポリマー、イソブチレンおよびp−アルキルスチレンのハロゲン化コポリマー、ブタジエンのアクリロニトリルとのコポリマー、ポリクロロプレン、アルキルアクリレートゴム、塩化イソプレンゴム、アクリロニトリル塩化イソプレンゴム、およびこれらの2以上の組み合わせを含む。
【0031】
より具体的には、ゴム組成物はポリブタジエンを有する。一般的にはポリブタジエンは1,3−ブタジエンのホモポリマーである。1,3−ブタジエンモノマーは触媒にアタックされて、ポリマー鎖を伸ばし所望の分離量のポリブタジエンポリマーを形成する。所望の特性に応じて任意の適切な触媒を用いてポリブタジエンゴムを形成して良い。通常は、遷移金属錯体(例えば、ネオジム、ニッケル、またはコバルト)またはアルキル金属、例えばアルキルリチウムを触媒として用いる。他の触媒は、これに限定されないが、アルミニウム、ホウ素、リチウム、チタン、およびこれらの組み合わせを含む。触媒は、種々の化学構造のポリブタジエンゴムを生成する。シス結合構造では、ポリブタジエンの主内部ポリマー鎖が、ポリブタジエン中に含まれる炭素間二重結合の同一サイドに表れる。トランス結合構造では、ポリブタジエンの主内部ポリマー鎖が、ポリブタジエン中に含まれる炭素間二重結合の反対サイドに表れる。ポリブタジエンゴムはシス結合構造およびトランス結合構造の種々の組み合わせを伴って良い。好ましいポリブタジエンゴムは、少なくとも40%、好ましくは、80%より多く、より好ましくは90%より多くの1,4−シス結合成分を伴う。一般的には、高1,4−シス結合成分のポリブタジエンゴムは大きな引張強度を有する。ポリブタジエンゴムは比較的大きな、または小さなムーニー粘度を有して良い。
【0032】
この発明に従って利用することができる商業的に入手可能なポリブタジエンゴムの例は、これに限定されないが、タイ王国、バンコクのBSTエラストマーズから入手可能なBR01およびBR1220、ミシガン州ミッドランドのDOWケミカル社から入手可能なSE BR1220LA、およびSE BR1203、オハイオ州、アクロンのGoodyear社から入手可能なBUDENE1207、1207s、1208、および1280、日本国、東京の日本合成ゴム社(JSR)から入手可能なBR 01、51、および730、ペンシルバニア州、ピッツバーグのLanxess社から入手可能なBuna CB21、CB22、CB23、CB24、CB25、CB29 MES、CB60、CBNd60、CB55NF、CB70B、CBKA8967、およびCB1221、韓国、ソウルのLGケミカル社から入手可能なBR1208、日本国、東京のUBE Industry社から入手可能なUBEPOL BR130B、BR150、BR150B、BR150L、BR230、BR360L、BR710、およびBCR617、イタリア、ローマのPolimeri Europaから入手可能なEUROPRENE NEOCIS BR60、INTENE 60AF、およびP30AF、南アフリカ、BrumaのKarbochem(PTY)社から入手可能なAFDENE 50およびNEODENE BR40、BR45、BR50、およびBR60、韓国、ソウルのKumho Petrochemical社から入手可能なKBR 01、NdBr40、NdBr−45、NdBr60、NdBr710S、KBR710H、およびKBR750、オハイオ州、アクロンのFirestone社から入手可能なDIENE 55NF、70AC、および320AC、およびタタールスタン共和国のニゼネカムスキのNizhnecamskneftekhim社から入手可能なPBR−Nd グループII、およびグループIIIを含む。
【0033】
ポリブタジエンゴムは、組成物の総重量を基にして、重量で、少なくとも約5%の量だけ使用され、一般的には、約5%から約100%の量だけ、または、下限が5%、または10%、または20%、または30%、または40%、または50%で、上限が55%、または60%、または70%、または80%、または90%、または95%、または100%の範囲の量だけ存在する。好ましくは」、ポリブタジェンゴムの濃度は約40から約95重量%である。より少ない量の他の熱硬化性材料をベースゴムに組み入れても良い。そのような材料は、先に検討したゴム、例えば、シス−ポリイソプレン、トランス−ポリイソプレン、バラタ、ポリクロロプレン、ポリノルボルネン、ポリオクタナマ、ポリペンテナマ、ブチルゴム、EPR、EPDM、スチレン−ブタジエン、その他を含む。
【0034】
この発明のゴムは、慣用的な硬化プロセスを用いて硬化して良い。適切な硬化剤は、例えば、過酸化物硬化剤、硫黄硬化剤、高エネルギー照射、およびこれらの組み合わせを含む。好ましくはゴム組成物は、有機過酸化物、遊離基を生成できる高エネルギー照射源、およびこれらの組み合わせから選択された遊離基開始剤を含む。1つの好ましいバージョンでは、ゴム組成物は過酸化物硬化処理される。適切な有機過酸化物は、これに限定されないが、ジクミルペルオキシド;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート;1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン;ジ−t−ブチルペルオキシド;ジ−t−アミルペルオキシド;t−ブチルペルオキシド;t−ブチルクミルペルオキシド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3;ジ(2−t−ブチル−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン;ジラウリルペルオキシド;ジベンゾイルペルオキシド;t−ブチルヒドロペルオキシド;およびそれらの組み合わせを含む。好ましい実施例においては、遊離基開始剤はジクミルペルオキシドであり、これは、非限定的には、Akzo Nobel社から商業的に入手可能なPerkadox(商標)BCである。過酸化物遊離基開始剤は、一般的には、ゴム組成物注に、ゴム全体の重量で100部に対して少なくとも0.05部の量だけ存在し、または、下限がゴム全体の重量で100部に対して0.05部、または0.1部、または1部、または1.25部、または1.5部、または2.5部、または5部で、上限がゴム全体の重量で100部に対して2.5部、または3部、または5部、または6部、または10部、または15部の範囲の量だけ存在する。濃度は、とくに断らない限り、パーツパーハンドレッド(100部に対する部、phr)である。ここで使用されるように、用語「パーツパーハンドレッド」は、ポリマー成分の重量100部に対する、混合物中に存在する特定の成分の重量部の数として定義される。数学的には、ポリマーの総重量で成分の重量を割って、100のファクタを掛けたものとして表される。
【0035】
ゴム組成物はさらに反応性架橋コエージェントを含んで良い。適切な反応性コエージェントは、これに限定されないが、3〜8この炭素原子を具備する不飽和カルボン酸の金属塩;不飽和ビニル化合物および多価モノマー(例えばトリメチロールプロパントリメタクリレート);フェニレンビスマレイミド;およびこれらの組み合わせを含む。適切な金属塩の具体的な例は、これに限定されないが、アクリレート、ジアクリレート、メタクリレート、およびジメタクリレートの1または複数の金属塩であり、ここで、金属がマンガン、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、およびニッケルである。具体的な実施例では、コエージェントはアクリレート、ジアクリレート、メタクリレート、およびジメタクリレートの亜鉛塩から選択される。他の具体的な実施例では、エージェントは亜鉛ジアクリレート(ZDA)である。コエージェントが亜鉛ジアクリレートおよび/または亜鉛ジメタクリレートであるときには、コエージェントは典型的にはゴム組成物中に、下限がゴムの総重量100部に対して5、または10、または15、または19、または20部で、上限がゴムの総重量100部に対して24、または25、または30、または35、または40、または40、または50、または60部の範囲で存在する。
【0036】
ハロゲン化有機硫黄、有機ジスルフィド、または無機ジスルフィド化合物のような遊離基捕捉剤がゴム組成物中に添加されて良い。これら化合物は「柔軟化および高速化剤」として機能しても良い。ここで用いられるように「柔軟化および高速化剤」はコアを(1)一定の「反発係数」(COR)においてより柔軟にできる、および/または(2)柔軟化および高速化剤なしで透過に準備されたコアと較べたときにより高速にできる(等しい圧縮でより大きなCORを得る)任意のエージェントまたはそれらのブレンドを意味する。好ましいハロゲン化硫黄化合物は、これに限定されないが、ペンタクロロチオフェノール(PCTP)およびPCTPの塩、例えばZnPCTPである。ゴルフボールの内部コアにPCTPおよびZNPCTPを採用することにより柔らかくて速い内部コアを実現する。PCTPおよびZnPCTP化合物はコアの弾力性および反発係数を増大させるのに役立つ。具体的な実施例では、柔軟化および高速化剤は、ZnPCTP、PCTP、ジトリルジスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジキシルジスルフィド、2−ニトロリソルシノールおよびこれらの組み合わせである。
【0037】
先に検討したように、この発明の組成物は、ゴルフボールの複数のコア成分を形成するために用いることができるような比重レベルをともなうように調合される。具体的には、組成物は「フィラー」を含んで必要なだけ比重を調整して良い。ここで用いられるように用語「フィラー」は、ゴルフボールの選択された部分の密度すなわち比重を変更するために使用できる任意の化合物または組成物を含む。フィラーは高密度および低密度フィラーを含む。
【0038】
適切な比重フィラーは、約2から約19の範囲の比重の値を有し、例えば、金属(または金属合金)粉末、金属酸化物、金属ステアリン酸塩、粒子、炭質材料、その他、またはこれらのブレンドを含む。有益な金属(または金属合金)粉末は、これに限定されないが、ビスマス粉末、ホウ素粉末、真鍮粉末、青銅粉末、コバルト粉末、銅粉末、Inconel(商標)金属粉末、鉄金属粉末、モリブデン粉末、ニッケル粉末、ステンレス鋼粉末、チタン金属粉末、ジルコニウム酸化物粉末、アルミニウムフレーク、タングステン金属粉末、ベリリウム金属粉末、亜鉛金属粉末、または錫金属粉末を含む。金属酸化物の例は、これに限定されないが、亜鉛酸化物、鉄酸化物、アルミニウム酸化物、二酸化チタン、マンガン酸化物、ジルコニウム酸化物、およびタングステン酸化物を含む。粒子状炭質材料は、これに限定されないが、グラフファイトおよびカーボンブラックを含む。他の有益なフィラーの例は、これに限定されないが、グラファイト繊維、沈降水和シリカ、クレイ、タルク、ガラス繊維、アラミド繊維、雲母、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、亜鉛硫化物、シリケート、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リグリンド(サイクルされた未硬化のセンタ材料を混合し30メッシュの粒子サイズに粉砕したもの)、マンガン粉末、およびマグネシウム粉末、コットンフロック、天然ビチューメン、セルロースフロック、レザー繊維を含む。マイクロバルーン、例えば、ガラス、セラミック、および、フライアッシュも使用できる。
【0039】
この実施例の具体的な即弁では、ゴム組成物は、カーボンブラック、ナノクレイ(例えば、Southern Clay Product社から商業的に入手可能なCloisite(商標)およびNanofil(商標)ナノクレイ、Nanocor社から商業的に入手可能なNanomax(商標)およびNanomer(商標)ナノクレイ)、タルク(例えばLuzenac America社から商業的に入手可能なLuzenacHAR(商標)高アスペクト比タルク)、ガラス(例えば、ガラスフレーク、粉砕ガラス、およびマイクロガラス)、雲母および雲母ベースの顔料(例えばThe Merck Groupから商業的に入手可能なIriodin蛍光発色顔料)およびこれらの組み合わせから選択されるフィラーを含む。
【0040】
さらに、ゴム組成物はエラストマーの破壊を阻止するために酸化防止剤を含んで良い。また、プロセス助剤、例えば、高分子量の有機酸またはその塩を組成物に添加してよい。適切な有機酸は、脂肪族有機酸、芳香族有機酸、飽和モノ−官能性有機酸、不飽和モノ−官能性有機酸、マルチ不飽和モノ−官能性有機酸、およびそれらのダイマー化された誘導体である。適切な有機酸の例は、これに限定されないが、カプロン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸、ミリスチン酸、安息香酸、パルミチン酸、フェニルアセチル酸、ナフタレン酸、およびこれらのダイマー化された誘導体を含む。有機酸は、脂肪族、モノ−官能性(飽和した、不飽和の、又は多不飽和の)有機酸である。これらの有機酸の塩も使用することができる。この発明の有機酸の塩は、バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、又はカルシウムの塩、脂肪酸の塩、特にステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸又はこれらのダイマー化された誘導体の塩を含む。この発明の有機酸及び塩は相対的に非移行性(常圧下でポリマーの表面にブルーミングを生じないこと)でありかつ非揮発性(メルトブレンドに必要な温度で蒸発しないこと)であることが好ましい。
【0041】
他の含有物、例えば、促進剤(例えば、テトラメチルチウラム)、プロセス助剤、染料および顔料、湿潤剤、表面活性剤、可塑剤、発色剤、蛍光剤、化学膨張および発泡剤、消泡剤、安定化剤、柔軟化剤、衝撃改質剤、酸化防止剤、抗オゾン剤、その他、当業界で知られえいる他の添加物とともに、ゴム組成物に添加してよい。
【0042】
他の添加物およびフィラーは、これに限定されないが、化学膨張および発泡剤、光学的光沢剤、発色剤、蛍光剤、白色化剤、UV吸収剤、光安定化剤、消泡剤、プロセス助剤、酸化防止剤、安定化剤、柔軟化剤、香料成分、可塑剤、衝撃改質剤、チタン酸化物顔料、酸コポリマーワックス、表面活性剤、およびフィラー、例えば、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、タングステン、タングステンカーバイド、シリカ、珪酸鉛、リグリンド(リサイクル材料)、クレイ、雲母、タルク、ナノフィラー、カーボンブラック、ガラスフレーク、粉砕ガラス、およびこれらの混合物を含む。適切な添加剤は、例えば、米国特許出願公開第2003/0225197号(Rajagopalan、その他)により充分に説明されており、その内容は参照してここに組み入れる。具体的な実施例において、ゴム組成物中に存在する添加物およびフィラーの量は、ゴム組成物の総重量を基礎にして15重量%以下、または12重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下である。
【0043】
[エチレン酸コポリマー]
好ましくは、複数のコア層の少なくとも1つは、少なくとも部分的に中和された酸基を含むエチレン酸コポリマーを有するアイオノマー組成物から製造される。以下にされに検討するように、好ましくは、中和レベルは、70%より大きく、より好ましくは少なくとも90%であり、さらに好ましくは少なくとも100%である。この発明の組成物を形成するために使用して良い適切なエチレン酸コポリマーは、エチレン;CからCのα,β−エチレン系不飽和モノ−またはジ−カルボン酸;およびオプションの柔軟化モノマーのコポリマーと一般的には呼ばれる。コポリマーは、非制約的には、エチレン酸コポリマー、例えば、エチレン/(メタ)アクリル酸、エチレン/(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物、エチレン/(メタ)アクリル酸/マレイン酸モノ−エステル、エチレン/マレイン酸、エチレン/マレイン酸モノ−エステル、エチレン/(メタ)アクリル酸/n−ブチル(メタ)アクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/イソ−ブチル(メタ)アクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/エチル(メタ)アクリレートターポリマー、その他を含む。用語「コポリマー」はここで用いられるように二種類のモノマーを伴うポリマー、三種類のモノマーを伴うポリマー、4以上の種類のモノマーを伴うポリマーを含む。好ましい、α,β−エチレン系不飽和モノ−またはジ−カルボン酸は、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、である。(メタ)アクリル酸が最も好ましい。ここで用いられるように「(メタ)アクリル酸」はメタクリル酸および/またはアクリル酸を意味し、同様に、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートおよび/またはアクリレートを意味する。
【0044】
柔軟化モノマーが含まれるときには、そのようなコポリマーはここではE/X/Y−タイプコポリマーと呼ばれ、ここで、Eはエチレン、XはCからCのα,β−エチレン系不飽和モノ−またはジ−カルボン酸、かつYは柔軟化コモノマーである。柔軟化モノマーは典型的にはアクリル(メタ)アクリレートであり、ここでアクリル基は1から8個の炭素原子を含む。好ましいE/X/Y−タイプコポリマーは、Xが(メタ)アクリル酸であり、および/または、Yが(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、およびエチル(メタ)アクリレートから選択された場合のE/X/Y−タイプコポリマーである。より好ましい、E/X/Y−タイプコポリマーは、エチレン/(メタ)アクリル酸/n−ブチルアクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/メチルアクリレート、およびエチレン/(メタ)アクリル酸/エチルアクリレートである。
【0045】
酸コポリマー中のエチレンの量は、典型的には、コポリマーの総重量を基礎にして、少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも25重量%、さらに好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも60重量%である。酸コポリマー中のα,β−エチレン系不飽和モノ−またはジ−カルボン酸の量は、典型的には、コポリマーの総重量を基礎にして、0重量%から50重量%、好ましくは、5重量%から40重量%、より好ましくは、10重量%から35重量%、さらに好ましくは20重量%から30重量%である。酸コポリマー中のオプションの柔軟化コモノマーの量は、典型的には、コポリマーの総重量を基礎にして、1重量%から35重量%、好ましくは、5重量%から30重量%、より好ましくは、5重量%から25重量%、さらに好ましくは10重量%から20重量%である。「低酸」および「高酸」アイオノマー系ポリマーは、それらアイオノマのブレンドとともに、採用できる。一般的には、低酸アイオノマーは16重量%以下の酸部分を含むものであり、他方、高酸アイオノマーは16重量%より多くの酸部分を含むものであ
【0046】
コポリマー性アイオノマー中の酸基はカチオン源により部分的にまたは充分に中和される。適切なカチオン源は金属カチオン、その塩、有機アミン化合物、アンモニウム、およびこれらの組み合わせを含む。好ましいカチオン源は金属カチオンおよびその塩であり、ここで、金属は好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、錫、亜鉛、アルミニウム、マンガン、ニッケル、クロム、銅、またはこれらの組み合わせである。金属カチオン塩はエチレン酸コポリマー中のカルボン酸、および、存在する場合には脂肪酸を、以下にさらに検討するように中和する(種々のレベルで)ことができるカチオンを供給する。これらは、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、錫、亜鉛、アルミニウム、マンガン、ニッケル、クロム、銅の硫酸塩、炭酸塩、アセテート、酸化物、または水酸化物、または、これらの組み合わせを含む。大表面面積カチオン粒子、例えば、マイクロまたはナノ−スケールのカチオン粒子が好ましい。この組成物で使用されるカチオンの量は所望の中和レベルに基づいて容易に決定できる。
【0047】
例えば、約10%から約100%酸基が中和されているアイオノマー系樹脂を用いて良い。1つのアイオノマー組成物において、酸基は部分的に中和される。すなわち、中和レベルは、約10%kら約70%、より好ましくは20%から60%、最も好ましくは30から50%である。これらアイオノマー組成物は、70%以下だけ中和された酸基を含み、これは比較的低い中和レベルのアイオノマーと呼ばれて良い。
【0048】
他方、アイオノマー組成物は高度に、または充分に中和された酸基を含んでも良い。これら高度に中和されたポリマー(Highly Neutralized Polymers、HNP)はこの発明の少なくとも1つのコア層を形成するうえで好ましい。これらHNPにおいて、中和レベルは70%より大きく、好ましくは少なくとも90%であり、より好ましくは少なくとも100%である。他の実施例において、過剰な量の中和剤、すなわち、酸基を中和するのに必要とされる化学量論的量より多くの量が用いられて良い。すなわち、酸基は、100%以上、例えば110%または120%以上まで中和されてよい。1つの好ましい実施例において、約19から20重量%のメタクリル酸またはアクリル酸を含む高酸エチレン酸コポリマーは亜鉛およびナトリウムで95%の中和レベルまで中和される。
【0049】
「イオン性可塑剤」、例えば、有機酸または有機酸の塩、具体的には脂肪酸が、必要に応じて、アイオノマー樹脂に添加されて良い。そのようなイオン性可塑剤は慣用的なアイオノマー組成物をより処理可能なようにするために使用され、これは米国特許第6,756,436号(Rajagopalan、その他)に説明され、その内容は参照してここに組み入れる。1つの好ましい実施例において、熱可塑性アイオノマー組成物は、70%以下だけ中和された酸基を含み、これは、脂肪酸、またはその塩、またはどのような他のイオン性可塑剤も含まない。他方、70%を超える分だけ中和された酸基を含む可塑性アイオノマー組成物は、イオン性可塑剤、具体的には、脂肪酸またはその塩を含む。イオン性可塑剤は、0.5から10pphの量だけ、さらに好ましくは1から5pphの量だけ添加されて良い。有機酸は、脂肪族、モノ−またはマルチ−官能性(飽和した、不飽和の、又はマルチ不飽和の)有機酸である。これらの有機酸の塩も使用することができる。適切な脂肪酸塩は、例えば、金属ステアリン酸エステル、ラウリン酸エステル、オレイン酸エステル、パルチミン酸エステル、ペラルゴン酸エステル、および、その他を含む。例えば、脂肪酸塩、具体的には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、その他が利用できる。脂肪酸の塩は一般的には金属イオンで中和された脂肪酸である。金属カチオン塩は、脂肪酸のカルボン酸基を中和する(種々のレベルで)ことが可能なカチオンを供給する。例は、バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、又はカルシウムのような金属の硫酸塩、炭酸塩、アセテート、および水酸化塩、およびこれらのブレンドを含む。有機酸及び塩は相対的に非移行性(常圧下でポリマーの表面にブルーミングを生じないこと)でありかつ非揮発性(メルトブレンドに必要な温度で蒸発しないこと)であることが好ましい。
【0050】
先に記述したように、最終的なアイオノマー組成物は、例えば、少量のイオン性可塑剤のような付加的な材料を含んでよく、これは高度に中和されたアイオノマーの加工性を改良するのに特に有益である。例えば、イオン性可塑剤は0.5から10pphの量だけ、より好ましくは、1から5pphの量だけ添加されて良い。上述の脂肪酸および脂肪酸の塩に加えて、他の適切なイオン性可塑剤は、例えば、ポリエチレングリコール、ワックス、ビス−ステアリン酸アミド、ミネラル、および、フタル酸エステルを含む。他の実施例において、アミンおよびピリジン化合物が、好ましくは、金属カチオンに加えて用いられて良い。適切な例は、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、タート−ブチルアミン、ドデシルアミン、および、その他を含む。
【0051】
先に検討したように、アイオノマー組成物は幅広い種類の比重フィラーを含んで必要に応じて組成物の比重を調整して良い。アイオノマー中の酸基と親和性がある大表面面積フィラーを採用して良い。具体的には、アイオノマーの中和にも貢献するようなカチオン性を伴う、粒子、繊維、またはフレークのようなフィラーが適切である。例えば、アルミニウム酸化物含有のフィラーを採用して良い。また、シリカ、フームドシリカ、または沈降シリカ、例えばPPG Industries社からHISILの商標で販売されているもの、カーボンブラック、およびナノ−スケール材料、例えば、ナノチューブ、ナノフレーク、ナノフィラーmまたはナノクレイが使用されて良い。
【0052】
他の添加物およびフィラーは、これに限定されないが、化学膨張および発泡剤、光学的光沢剤、発色剤、蛍光剤、白色化剤、UV吸収剤、光安定化剤、消泡剤、プロセス助剤、酸化防止剤、安定化剤、柔軟化剤、香料成分、可塑剤、衝撃改質剤、TiO、酸コポリマーワックス、表面活性剤、およびフィラー、例えば、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、タングステン、タングステンカーバイド、シリカ、珪酸鉛、リグリンド(リサイクル材料)、クレイ、雲母、タルク、ナノフィラー、カーボンブラック、ガラスフレーク、粉砕ガラス、およびこれらの混合物を含む。適切な添加剤は、例えば、米国特許出願公開第2003/0225197号(Rajagopalan、その他)により充分に説明されており、その内容は参照してここに組み入れる。具体的な実施例において、最終的な熱可塑性アイオノマー組成物中に存在する添加物およびフィラーの量は、アイオノマー組成物の総重量を基礎にして15重量%以下、または12重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下である。
【0053】
他のバーションでは、アイオノマー組成物はカーボン繊維、または、薄いカーボン繊維の織物を樹脂中に一緒に保持するカーボン繊維シートを含んで良い。さらに他のバージョンでは、アイオノマー組成物は、樹脂中に一緒に保持された顕微鏡サイズのカーボン繊維の束からなる鍛造複合材料を含んで良い。鍛造複合材料の構造は伝統的なカーボン繊維シートと異なる。鍛造複合材料は樹脂中で絡み合う不連続な繊維を含み、これに対して、通常のカーボン繊維シートは織り込まれており、織物の繊維を含む。この結果、鍛造複合材料は非常に軽量であり、機械強度が大きい。
【0054】
この発明のゴムまたはエチレン酸コポリマーアイオノマー組成物に含まれて良い他の適切な熱可塑性ポリマーは、これに限定されないが、以下のポリマー(ホモポリマー、コポリマー、およびその誘導体を含む)を含む。
(a) ポリエステル、具体的には相溶化基、例えば、スルホン酸塩で改質したポリエステル。これは、改質ポリ(エチレンテレフタレート)、改質ポリ(ブチレンテレフタレート)、改質ポリ(プロピレンレフタレート)、改質ポリ(トリメチレンテレフタレート)、改質ポリ(エチレンナフテネート)、および、米国特許第6,353,050号および同第6,001,930号に開示されたもの、それらの2つ以上のブレンド。当該特許の内容は参照してここに組み入れる。
(b) ポリアミド、ポリアミド−エーテル、およびポリアミド−エステル、および、米国特許第6,187,864号、同第6,001,930号、および同第5,981,654号に開示されたもの、それらの2つ以上のブレンド。当該特許の内容は参照してここに組み入れる。
(c) ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン−ポリ尿素ハイブリッド、およびそれらの2以上のブレンド。
(d) フルオロポリマー例えば米国特許第5,691,066号、同第6,747,110号、および、同第7,009,002号に開示されたもの。当該特許の内容は参照してここに組み入れる。
(e) ポリスチレン、例えば、ポリ(スチレン−コ−無水マレイン酸)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリ(スチレンスルホネート)、ポリエチレンスチレン、およびこれらの2以上のブレンド。
(f) ポリビニルクロライド、およびグラフト化ポリビニルクロライドおよびそれらの2以上のブレンド。
(g) ポリカーボネート、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンのブレンド、ポリカーボネート/ポリウレタンのブレンド、ポリカーボネート/ポリエステルのブレンド、およびこれらの2以上のブレンド。
(h) ポリエーテル、例えば、ポリアリーレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、ビニル芳香族化合物およびポリアミセスターを伴うアルケニル芳香化合物、およびこれらの2以上のブレンド。
(i) ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、およびこれらの2以上のブレンド。
(j) ポリカーボネート/ポリエステルコポリマーおよびブレンド。
【0055】
アイオノマー組成物は2以上のアイオノマーを含んで良いことも認識されている。例えば、組成物は、2つの異なる高度に中和されたエチレン/メタクリル酸コポリマーの50/50重量%のブレンドを含んで良い。他のバージョンでは、組成物は、1以上のアイオノマーとマレイン酸無水物グラフト化非アイオノマー性ポリマーとのブレンドを含んで良い。非アイオノマー性ポリマーはメタローセン触媒ポリマーであって良い。他のバージョンでは、組成物は、高度に中和されたエチレン/メタクリル酸コポリマーとマレイン酸無水物グラフト化メタローセン触媒ポリエチレンとのブレンドを含んで良い。さらに他のバージョンでは、組成物は、マレイン酸無水物グラフト化非アイオノマー性ポリマー;ポリエステルエラストマー;ポリアミドエラストマー;およびこれらの2以上の組み合わせをオプションでブレンドした高度に中和されたアイオノマーからなるグループから選択された材料を含む。
【0056】
[カバー構造]
この発明のゴルフボールコアは1または複数のカバー層で包まれて良い。広範囲の種類の材料を用いて外側カバーを形成して良く、これは、例えば、ポリウレタン;ポリ尿素;ポリウレタンおよびポリ尿素のコポリマー、ブレンドおよびハイブリッド;エチレン酸コポリマーアイオノマー樹脂(例えば、DuPont社から商業的に入手可能なSurlyn(商標)アイオノマー樹脂、およびHPF(商標)1000およびHPF(商標)2000、ExxonMobil Chemical社から商業的に入手可能なIotek(商標)アイオノマー;The Dow Chemical Company社から商業的に入手可能なAmplify(商標)IOエチレンアクリル酸コポリマーのアイオノマー;および、A. Schulman Incから商業的に入手可能なClarix(商標)アイオノマー樹脂);例えば低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、および高密度ポリエチレンを含むポリエチレン;ポリプロピレン;ゴム強化オレフィンポリマー;アイオノマー性コポリマーの部分を構成しない、酸コポリマー、例えばポリアクリル(メタクリル)酸;プラストマー;フレクソマー;スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー;スチレン/エチレン−ブチレン/スチレンブロックコポリマー;動的に加硫したエラストマー;エチレンおよびビニルアセテートのコポリマー;エチレンおよびメチルアクリレートのコポリマー;ポリビニルクロライド樹脂;ポリアミド、ポリ(アミド−エステル)エラストマー、および、例えば、Arkema社から商業的に入手可能なPebax(商標)熱可塑性ポリエーテルブロックアミドを含むアイオノマーとポリアミドのグラフトコポリマー;架橋トランスポリイソプレンおよびそのブレンド;ポリエステルベースの熱可塑性エラストマー、例えば、DuPont社から商業的に入手可能なHytel(商標);ポリウレタンベースの熱可塑性エラストマー、例えば、BASF社から商業的に入手可能なElastollan(商標);合成または天然の加硫ゴム;およびこれらの組み合わせを含む。キャスタブルポリウレタン、ポリ尿素、およびポリウレタン−ポリ尿素のハイブリッドは、弾力性および柔らかなフィーリングを伴うゴルフボールを製造する上で役立つように使用できるので、とくに好ましい。用語「ポリウレタンおよびポリ尿素のハイブリッド」はそれらのコポリマーおよびブレンドを含むような意味を有する。
【0057】
ポリウレタン、ポリ尿素、およびポリウレタン/ポリ尿素のブレンド、コポリマー、およびハイブリッドもとくにカバー層を形成するのに適している。カバー層材料として用いられるときには、ポリウレタンおよびポリ尿素は熱可塑性でも熱硬化性でもよい。熱硬化性材料は、慣用的なキャスティング、または反応性射出成型技術によりゴルフボール層へと形成できる。熱可塑性材料は慣用的な圧縮または射術成型技術でゴルフボール層へと形成できる。
【0058】
1つの好ましい実施例において、ボールは内側及び外側カバー層を有するデュアルカバーを含む。内側カバー層は好ましくは1つのアイオノマーまたは2以上のアイオノマーのブレンドを有してボールに硬度を付与するのを支援する組成物から形成される。内側カバー層の材料硬度は、好ましくは、95ショアC以下、または92ショアC以下、または90ショアC以下であり、または、下限が60、または65、または70、または75、または80、または84、または85ショアCで、上限が90、または92、または95ショアCの範囲である。内側カバー層の厚さは、好ましくは、下限が、0.010、または0.015、または0.020、または0.030インチで、上限が0.035、または0.045、または0.080、または0.120インチの範囲である。外側カバー層の材料硬度は、好ましくは、85ショアC以下である。外側カバー層の厚さは、好ましくは、下限が、0.010、または0.015、または0.025インチで、上限が0.035、または0.040、または0.055、または0.080インチの範囲である。
【0059】
具体的な実施例において、内側カバー層は高酸アイオノマーを有する組成物から形成される。とくに適切な高酸アイオノマーはSurlyn8150(商標、DuPont)である。Surlyn8150(商標)は、エチレンおよびメタクリル酸のコポリマーであり、19重量%の酸成分を伴い、その45%がナトリウムで中和されているものである。他の実施例において、内側カバー層は、高酸アイオノマーおよびマレイン酸無水物グラフト化非アイオノマー性ポリマーを有する組成物から形成される。とくに適切なマレイン酸無水物グラフト化ポリマーは、Fusabond 525D(DuPont)であり、これは約0.9重量%のマレイン酸無水物をコポリマーにドラフト化させたマレイン酸無水物ドラフト化、メタローセン触媒のエチレン−ブテンコポリマーである。高酸アイオノマーおよびマレイン酸無水物グラフト化ポリマーのとくに好ましいブレンドは、Surlyn8150(商標)およびFusabond525Dの84重量%/16重量%のブレンドである。高酸アイオノマーのマレイン酸無水物グラフト化ポリマーとのブレンドはさらには例えば米国特許第6,992,135号および同第6,677,401号に開示されており、その内容は参照してここに組み入れる。
【0060】
1つの実施例において、内側カバー層は、Surlyn(商標)8940/Surlyn(商標)9650/Nucrel(商標)960の50/45/5のブレンドを有する組成物から形成され、とくに好ましい実施例では、その材料硬度は80から85ショアCである。他の具体的な実施例では、内側カバー層は、Surlyn(商標)8940/Surlyn(商標)9650/Surlyn(商標)9910の50/25/25のブレンドを有する組成物から形成され、好ましくは、その材料硬度は約90ショアCである。他のバージョンでは、50%のSurlyn(商標)7940と50%のSurlyn(商標)8940とのブレンドを用いて内側カバーが形成される。さらに他の実施例では、内側カバー層は、好ましくは、Surlyn(商標)8940/Surlyn(商標)9650の50/50のブレンドを有する組成物から形成され、好ましくは、その材料硬度は約86ショアCである。Surlyn(商標)8940は、MAA酸基がナトリウムイオンで部分的に中和されている、エチレン/メタクリル酸コポリマーである。Surlyn(商標)9650およびSurlyn(商標)9910は、MAA酸基が亜鉛イオンで部分的に中和されている、2つの異なるグレードのエチレン/メタクリル酸コポリマーである。Surlyn(商標)7940は、リチウムイオンで中和された、約85%のエチレンおよび15%のメタクリル酸のコポリマーである。Nucrel(商標)960は、名目上、15重量%のメタクリル酸とともに製造されたエチレン/メタクリル酸コポリマー樹脂であり、DuPont社から入手できる。
【0061】
先に検討したように、ゴルフボールのデュアルコアはシングル層またはマルチ層のカバーで包まれる。1実施例において、厚さが約0.020から約0.090インチ、より好ましくは約0.030から約0.070インチのシングル層のカバーが形成される。カバーの硬度は約ショアD80以下、より好ましくは70以下、最も好ましくは約60以下である。他の実施例において、内側および外側カバー層を有するマルチ層カバーが形成され、内側カバー層の厚さは、約0.01インチから約0.06インチ、より好ましくは約0.015インチから約0.040インチ、最も好ましくは約0.02インチから約0.035インチである。このバージョンにおいて、内側カバー層は、ショアD硬度が約55より大きく、より好ましくは約60より大きく、最も好ましくは約65より大きい、部分的にまたは充分に中和されたアイオノマーから形成される。この実施例において、外側カバー層の厚さは、好ましくは、約0.015インチから約0.055インチ、より好ましくは約0.02インチから約0.04インチ、最も好ましくは約0.025インチから約0.035インチで、その硬度は、ショアDで約80以下、より好ましくは70以下、最も好ましくは約60以下である。このバージョンでは、内側カバー層は外側カバー層より硬い。好ましい外側カバー層は、キャスタブルまたは反応性射出成型性のポリウレタンまたはポリ尿素、または、これらのコポリマー、ブレンドまたはハイブリッドであり、そのショアD硬度は約40から約50である。他のマルチ層カバー、デュアルコアの実施例において、外側カバーおよび内側カバー層の材料および厚さは同一であるけれども、硬度範囲が反転されている。すなわち、外側カバー層が内側カバー層より硬い。
【0062】
[製造方法]
先に検討したように、この発明のゴムおよびアイオノマー組成物はモールドされて、種々のボール構造において使用できるマルチ層コアを形成し、この構造は、例えば、スリーピース、フォーピース、およびファイブピースのボールデザインを含む。例えば、フォーピースボールは図1に示され、ここでは、ボール(12)は、内側コア(センタ)(14a)、中間コア層(14b)、および外側コア層(14c)を具備するマルチ層コア(14)を含み、これは単一層カバー(16)により包囲される。図2において、ゴルフボール(18)は、内側コア(センタ)(20a)、および外側コア層(20b)を具備するデュアルコア(20)を含み、中間コア層は存在しない。デュアルコアは単一層カバー(22)により包囲される。先に検討したように、複数のコア層の少なくとも1つは、70%より多くの酸基が中和されるように酸基を含むエチレン酸コポリマーを有するHNP組成物から形成される。1つのとくに好ましいバージョンでは、内側コアがゴム組成物から形成され、中間コアがHNP組成物から形成され、外側コアがゴム組成物から形成される。他の代替的なバージョンでは、ゴム組成物が各コア層を形成するのに用いられる。
【0063】
図1および図2に示されるゴルフボールの表面は種々のディンプルパターンを伴ってボールの空気力学的な特性を修正して良い。図1および図2に示されるゴルフボールは単に説明目的のものであり、制約的であることを意味しない点に留意されたい。他のゴルフボール構造もこの発明に従って製造できる。例えば、ゴルフボールはマルチ層カバーを含んで良く、具体的には、比較的硬い内側カバーが、より柔らかい外側カバーに包囲されるものである。この発明のゴルフボールは、コアへの水蒸気の透過を阻止するのに役立つ層のような、特別な特性を伴うように調合された中間層をさらに含んで良い。
【0064】
コアおよびカバー組成物は慣用的な混合技術を用いて準備されて良い。コア組成物は、例えば、射出または圧縮成型のような通常的な技術によって、内側コア構造へと成型できる。成型の後、コア構造は金型から外され、その表面は、コロナ放電、サンドバスト、またはグラインドのような手法を用いて処理されて包囲コアそうの接着性を改善させてよい。射出成型または圧縮成型は中間および外側コア層を形成して中間的なゴルフボールを形成するのに採用されて良い。カバー層が、その後、コアの上に成型され最終的なゴルフボールを形成する。
【0065】
圧縮成型においては、外側コアおよび/または内側カバーの組成物が平滑表面化された球状の殻へと形成され、これが、所望の内側カバー厚さを伴う金型内において内側コアの回りに位置づけられ、その後、熱の下で、圧縮成型処理され、その後、冷却される。この処理は、複数の殻を一緒に溶かして単一性のある中間ボールを形成する。代替的には、中間ボールは射出成型によって製造されて良く、ここでは、外側コアおよび/または内側カバーが、熱および圧力の下で、中間ボール金型の中心に配置されたコアの回りに直接に射出される。成型後、生成されたゴルフボールは種々のさらなる処理ステップ、例えば、研磨、ペインティング、マーキング等を慣用的な手法で施される。
【0066】
[テスト方法]
硬度
コアの中心硬度は以下の手順に従って得られる。コアは、コアの直径より近似的に若干小さな内部直径の半球ホルダーに静かに押し込まれる、この際、コアは半球ホルダー中に配置され、同時にコアの幾何中心面が露出されるようにする。コアは摩擦でホルダー内に固着され、切断および削り取りステップにおいて移動しないようにし、それでいて、摩擦は、コアの自然な形状が乱されないよう過剰なものでない。コアは、コアの分離線がホルダーの頂部とおおよそ平行になるように取り付けられる。コアの直径は、取り付けに先立って、この方位と80度の角度で測定される。さらに、ホルダーの底からコアの頂部までの測定もなされ、これは将来の計算の基準点を実現する。また、ホルダーの底からコアの頂部までの距離を測定して将来の較正のための基準点を得る。コアの露出された幾何中心の若干上で、コアがこのステップ中にホルダー内で動かないようにしながら、帯ノコまたは他の適切な切断ツールを用いて、大まかに切断する。ホルダー内に依然として保持されているコアの残りの部分が表面研磨機のベース板に固定される。露出されている「粗い」コア表面が平滑で平坦な表面に研磨され、コアの幾何中心が現れるようにし、この幾何中心はホルダーの底からコアの露出表面までの高さを測定して検証できる。これによりコアのオリジナルの高さのちょうど半分が、+−0.004インチの範囲内で除去されたことを確実にする。コアをホルダー内に保持して、コアの中心を芯出し定規で見いだし、注意して印付けし、この中心印で硬度をASTM−D2240に従って測定する。コアの中心から任意の距離での硬度測定を、中心マークから径方向外側に伸びる線を引き、中心から典型的には2mmの増分の距離位置で硬度を測定することにより行う。中心からの具体的な距離における硬度は、180°または90°それぞれ離れる、少なくとも2つ、好ましくは4つ半径の線分に知って測定すべきであり、その後平均がとられる。幾何中心を通る面の上ですべての硬度測定が実行されても、コアは依然としてホルダーの中にあり、その配位が乱されないようにし、測定面がホルダーの底に常に平行になるようにし、また、それゆえに、デュロメータの足に正確に整合するようにする。
【0067】
ゴルフボール層の外側表面の硬度は、当該層の実際の外側表面上で測定され、対面する半球から取った多数の測定の平均から取得され、コアの分離線または表面欠陥、例えば穴または突起の上の測定を行わないように配慮する。硬度の測定はASTM D−2240「デュロメータによるゴムおよびプラスチックの凹み硬度」に従ってなされる。曲面ゆえに、表面硬度が読み取られる前にゴルフボールまたはゴルフボールアッセンブリをデュロメータインデンタの真下に中心づけられるように配慮する必要がある。0.1単位まで読みとることが可能な較正済みの1つのデジタルデュロメータを硬度測定に用いる。デジタルデュロメータはその脚部を平行にし自動スタンドの基部に取り付けなければならない。デュロメータ上の重量およびアタック速度がASTM D−2240に適合するようにしなければならない。
【0068】
ある実施例では、「正」または「負」の勾配に沿って測定される1点または複数の点はその勾配に適合する線の上または下にあってよく、その最も外側および最も内側の値であってよい。他の好ましい実施例において、具体的なスティープな「正」または「負」の勾配に沿う最も硬い点は、内側コアの最も内側の部分(すなわち幾何中心)または外側コア層(内側表面)の値より大きくても良いけれども、最も外側の点(すなわち内側コアの外側表面)が最も内側の点(すなわち内側コアの幾何中心または外側コア層の内側表面)より大きく(「正」のとき)、または小さく(「負」のとき)、「正」および「負」の勾配を損なわずに維持できるようになっていなければならない。
【0069】
上述したように、ゴルフボール層の硬度勾配の方向は、具体的な層の外側および内側表面において取られた硬度測定値に相違によって定義される。内側コアの中心硬度、および、単一コアボールの内側コアまたは外側コア層の外側表面の硬度は、先に説明されたテスト手順に従って容易に決定される。二重コアボールの内側コア層(または他のオプションの中間コア層)の外側表面も、当該層を付加的な層を包囲する前に測定を行えば、ゴルフボール層の外側表面を測定するためにここで説明した手順に従って容易に測定される。対象の層を付加的なコア層で一旦包囲すると、いずれの内側または中間層の内側または外側表面の硬度を決定することは困難となるであろう。したがって、この発明の目的の範囲では、コア層の内側または外側表面の硬度が、内側層が他のコアそうにより包囲された後に、必要なときには、インターフェースから1mmの位置で測定するために先に説明したテスト手順が採用される。
【0070】
「材料硬度」および「ゴルフボール上で直接測定される硬度」の間には基本的な相違があることに留意されたい。この発明の説明の範囲では、材料硬度はASTM D2240に従って測定され、材料から製造された平らな「スラブ」または「ボタン」の硬度を測定することに一般的に関連する。「材料硬度」と「ゴルフボールの表面で直接に測定した硬度」とは、基本的に異なることを理解されたい。ゴルフボール(または他の球面)の表面で直接に測定されるような硬度は、典型的には材料硬度と異なる硬度値をもたらす。硬度値におけるこの相違は、限定するものではないが、ボール構造(即ち、コアのタイプ、コアおよび/またはカバー層の数等)、ボール(または球体)直径、および隣接各層の素材組成のようないくつかの要因に由来する。また、2つの測定方法は直線的には相関せず、従って、一方の硬度値が他方の硬度値と容易に相関し得ないことも理解すべきである。ショアC硬度(例えばショアCまたはショアD硬度)はテスト方法D−2240で測定された。
【0071】
圧縮
Jeff Dalton's Compression by Any Other Name、Science and Golf IV、Proceeding of World Science Congress of Golf(Eric Thain ed.,Routledge、2002)(「J.Dalton」)に開示されるように、いくつかの異なる手法が圧縮を測定するのに用いられ、その中に、Atti圧縮、Riehle圧縮、種々の固定荷重およびオフセットでの荷重/偏向の測定、および実効弾性係数が含まれる。この発明の目的に関しては、「圧縮」はAtti圧縮を指し、Atti圧縮試験装置を用いて既知の手順で測定される。ピストンの移動を固定して、スプリングの偏位を測定する。スプリングの偏位の測定はボールと接触しても始まらない。そうでなくて、スプリングの偏居の最初のほぼ1.25mm(0.05インチ)がオフセットである。非常に剛性が小さなコアはスプリングを1.25mmより多く撓まさず、ゼロのAtti圧縮が測定される。Atti圧縮テスタは42.7mm(1.68インチ)の径の物体を測定するように設計されているので、コアの圧縮をこれらテスタで測定するためには、コアは隙間を埋めて42.7mm(1.68インチ)の高さとなるようにしなければならない。Atti圧縮を、Riehle(コア)、Riehle(ボール)、100kg偏向、130−10kg偏向または実効弾性係数に変換するには「J.Dalton」に示された式を用いて行うことができる。圧縮は米国特許第7,777,871号(McNamara、その他)に説明されるように測定して良く、その内容は参照してここに組み入れる。
【0072】
反発係数(COR、Coefficient of Restitution)
CORは既知の手順で決定され、ここで、ゴルフボールまたはゴルフボールサブアッセンブリ(例えば、ゴルフボールコア)を空気砲から2つの所定の速度で打ち出し、125ft/sの速度でのCORを計算することにより決定される。複数の弾道光スクリーンがボール速度を測定するために固定距離で空気砲およびスチール板の間に配置される。ボールがスチール板へ移動するときに、各光スクリーンが活性化され、各光スクリーンにおける時間を測定する。これにより、ボールの入射速度に反比例した入射移行時間が得られる。ボールはスチール板と衝突して複数の光スクリーンを通り抜けてリバウンドし、これが光スクリーン間を移行するのに要する時間間隔を測定する。これにより、ボールの飛び出し速度に反比例した飛び出し移行時間が得られる。CORは飛び出し移行時間間隔の入射移行時間間隔に対する比、COR=Vout/Vin=Tin/Toutとして計算される。
【0073】
数値の下限および数値の上限がここで示されるときには、それらの数値の任意の組み合わせが利用できることに留意されたい。作業例における場合を除き、または、とくに明言しなない限り、すべての数値範囲、量、値、百分率、例えば材料の量についてのこれら、および明細書中の他のものは、たとえその値、量または範囲に関連して用語「約」が表示されていなくとも、「約」がその前に配置されているように読むことができる。したがって、そうでないと示されていない限り、明細書および特許請求の範囲に表される数のパラメータは近似的であり、これは、この発明により得られることが企図される所望の特性に応じて変化する。最低限でも、もちろん均等論の適用を制約するものではないが、各数のパラメータは記録されている有効数字の数や通常の丸め処理に照らして解釈されるべきである。
【0074】
ここに引用したすべての特許、刊行物、テスト手順書、および他の参考文献は、さらに優先権ドキュメントも含んで、参照してここに組み入れる。ただし、それは、そのような開示がこの発明と一貫性を有する範囲であり、そのような参照による組み込みを法令が許容する範囲である。
【0075】
ここで説明し図説した組成物およびゴルフボール製品はこの発明のいくつかの実施例にすぎないことを理解されたい。この発明の趣旨および範囲から逸脱することなく種々の変更および追加を当該組成物および製品に対して行えることは、当業者が理解するところである。そのような実施例は添付の特許請求の範囲によりカバーされることを留意されたい。
【符号の説明】
【0076】
12 ボール
14 マルチ層コア
14a 内側コア(センタ)
14b 中間コア層
14c 外側コア層
16 単一層カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)直径が約0.015から約0.900インチの範囲で、比重が約1.18から約5.00g/cc(SGinner)の範囲の内側コアと、
(ii)厚さが約0.100から約0.600インチの範囲で、比重が約0.080から約1.20g/cc(SGintermediate)の範囲の中間コア層と、
(iii)厚さが約0.010から約0.200インチの範囲で、比重が約1.18から約5.00g/cc(SGouter)の範囲の外側コア層とを具備し、
SGinnerがSGintermediateより大きく、かつ、SGintermediateがSGouterより小さい、マルチ層コアと、
少なくとも1つの層を具備するカバーとを有するゴルフボール。
【請求項2】
上記マルチ層コアの重量は約28から約38グラムの範囲である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】
複数の上記コア層の少なくとも1つは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリアルケナマ、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ポリスチレンエラストマー、ポリエチレンエラストマー、イソブチレンおよびp−アルキルスチレンのコポリマー、イソブチレンおよびp−アルキルスチレンのハロゲン化コポリマー、ポリクロロプレン、アルキルアクリレートゴム、塩化イソプレンゴム、アクリロニトリル塩化イソプレンゴム、およびこれらの2以上の組み合わせからなるグループから選択されたゴム材料を有数rゴム組成物から形成される請求項1記載のゴルフボール。
【請求項4】
上記ゴム組成物はポリブタジエンを有する請求項3記載のゴルフボール。
【請求項5】
上記ポリブタジエンゴム組成物は上記中間コア層を形成するのに使用され、上記層の比重は約1.03から約1.18g/ccの範囲である請求項4記載のゴルフボール。
【請求項6】
複数の上記コア層の少なくとも1つは、70%を超える部分が中和されるように酸基を含むエチレン酸コポリマーを有するアイオノマー組成物から形成される請求項1記載のゴルフボール。
【請求項7】
上記アイオノマー組成物は上記中間コア層を形成するのに使用され、上記層の比重は約0.93から約0.97g/ccの範囲である請求項6記載のゴルフボール。
【請求項8】
複数の上記コア層の少なくとも1つは、金属粉末、金属合金粉末、金属酸化物、金属ステアリン酸塩、粒子、炭質材料、およびこれらの混合物からなるグループから選択された比重フィラーを有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項9】
上記比重フィラーは、ビスマス粉末、ホウ素粉末、真鍮粉末、青銅粉末、コバルト粉末、銅粉末、Inconel金属粉末、鉄金属粉末、モリブデン粉末、ニッケル粉末、ステンレス鋼粉末、チタン粉末、ジルコニウム酸化物粉末、アルミニウムフレーク、タングステン金属粉末、ベリリウム金属粉末、亜鉛金属粉末、錫金属粉末、亜鉛酸化物、鉄酸化物、アルミニウム酸化物、二酸化チタン、マンガン酸化物、ジルコニウム酸化物、およびタングステン酸化物からなるグループから選択される請求項8記載のゴルフボール。
【請求項10】
上記内側コアの直径は約0.025から約0.080インチの範囲であり、その比重は約1.20から約3.50g/ccの範囲である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項11】
上記内側コアの直径は約0.030から約0.075インチの範囲であり、その比重は約1.25から約3.25g/ccの範囲である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項12】
上記中間コア層の直径は約0.025から約0.080インチの範囲であり、その比重は約0.090から約1.18g/ccの範囲である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項13】
上記外側コア層の厚さは約0.040から約0.170インチの範囲であり、その比重は約1.10から約3.75g/ccの範囲である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項14】
上記内側コアの中心および上記中間コア層の表面および上記外側コア層の表面はそれぞれ硬度を伴い、上記中間コア層の表面硬度は上記内側コアの中心硬度および上記外側コア層の表面硬度より大きい請求項1記載のゴルフボール。
【請求項15】
上記内側コアの中心硬度は約38ショアDから約62ショアDの範囲である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項16】
上記中間コア層の表面硬度は約46ショアDから約68ショアDの範囲である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項17】
上記外側コア層の表面硬度は約40ショアDから約64ショアDの範囲である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項18】
上記カバーはシングル層であり、その厚さが約0.015から約0.090インチであり、熱可塑性または熱硬化性材料から形成される請求項1記載のゴルフボール。
【請求項19】
上記カバーは2以上の層を有し、全体の厚さが約0.020から約0.140インチであり、各カバー層は熱可塑性または熱硬化性材料から形成される請求項1記載のゴルフボール。
【請求項20】
上記カバーは1の内側カバー層および1の外側カバー層を有し、上記内側カバー層の表面硬度は60ショアD以上であり、外側カバー層の表面硬度は約20から約70ショアDの範囲である請求項19記載のゴルフボール。
【請求項21】
上記内側カバー層および外側カバー層は、エチレン酸コポリマーアイオノマー;ポリエステル;ポリアミド;ポリアミド−エーテル;ポリアミド−エステル;ポリウレタン;ポリ尿素;フルオロポリマー;ポリスチレン;ポリプロピレンおよびポリエチレン;ポリビニルクロライド;ポリビニルアセテート;ポリカーボネート;ポリビニルアルコール;ポリエーテル;ポリイミド;ポリエーテルケトン;ポリアミドイミド;およびこれらの混合物から成るグループから選択されるポリマーを有する組成物から形成される請求項20記載のゴルフボール。
【請求項22】
(i)直径が約0.015から約0.900インチの範囲で、比重が約1.18から約5.00g/cc(SGinner)の範囲の内側コアと、
(ii)厚さが約0.100から約0.600インチの範囲で、比重が約0.080から約1.20g/cc(SGouter)の範囲の外側コア層とを具備し、
SGinnerがSGouterより大きい、マルチ層コアと、
少なくとも1つの層を具備するカバーとを有するゴルフボール。
【請求項23】
上記マルチ層コアの重量は約28から約38グラムの範囲である請求項22記載のゴルフボール。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−39361(P2013−39361A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−165375(P2012−165375)
【出願日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY