説明

郵便封筒

【課題】 開封後にいわゆるクリアファイルとして利用できる封筒を郵送できるようにした郵便封筒を提供する。
【解決手段】 合成樹脂製シートで製作され、上端又は側端の投入口から被封入体を封入して郵送し得るようにした封筒であって、封筒(10)の上縁及び側縁には逆L字状の開封部(10E)が形成され、該開封部で開封することによってクリアファイル(20)が得られる一方、切手を貼着可能でかつ消印を押印可能とした切手消印シート(12)が封筒の表面又は裏面に剥離可能に貼着されることによって郵送可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は郵便封筒に関し、特に開封後にいわゆるクリアファイルとして利用できる封筒を郵送できるようにした郵便封筒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、書類を収納し保管するのに便利な、いわゆるクリアファイルが種々提案されている(特許文献1、特許文献2)。このクリアファイルでは一枚の合成樹脂製シートを半折するとともに、その半折の部分を左側縁として下縁をシールし、右側縁及び上縁を開放させた構造が基本的に採用されている。
【0003】
ところで、各種のダイレクトメールには封書や葉書がよく利用されている。例えば、少なくとも2枚の紙片を二つ又はZ状に相互に折り重ね、あるいは巻き紙状に折り重ね、少なくとも重ねられた2枚の紙片の周縁又は全面を擬似接着し、受取人が貼り合わせた紙片を剥離して内部の印刷や印字の内容を見れるようにした構造が知られている。
【0004】
しかし、従来のダイレクトメールではその宣伝広告機能が注目され、一人の受取人に多数のダイレクトメールが届くことが多くなったことから、受け取ったダイレクトメールをそのまま廃棄し、あるいは貼り合わせた紙片を剥離しても内部の印刷や印字の内容をよく読まずに廃棄してしまうことが多かった。
【0005】
これに対し、封筒に逆L字状の開封部を設け、開封すると、クリアファイルが得られるように構成し、ダイレクトメールの受取人の注意を喚起することができるようにした封筒が提案されている(特許文献3、特許文献4)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−25779号公報
【特許文献2】特開2003−170687号公報
【特許文献3】特開2005−306431号公報
【特許文献4】特開2006−27652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献3、4記載の封筒では合成樹脂材料で製作されているので、切手を貼ろうとしても剥がれてしまうばかりでなく、郵便局で消印を押すことができず、郵送には使用できないという問題があった。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑み、開封後にいわゆるクリアファイルとして利用できる封筒を郵送できるようにした郵便封筒を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明に係る郵便封筒は、合成樹脂製シートで製作され、上端又は側端の投入口から被封入体を封入して郵送し得るようにした封筒であって、封筒の上縁及び側縁には逆L字状の開封部が形成され、該開封部で開封することによってクリアファイルが得られる一方、切手を貼着可能でかつ消印を押印可能とした切手消印シート部が封筒の表面又は裏面に剥離可能に貼着されることによって郵送可能となっていることを特徴とする。
【0010】
本発明の特徴の1つは開封部で開封することによってクリアファイルが得られるようにした合成樹脂製の封筒の表面又は裏面に、切手消印シート部を剥離可能に貼着するようにした点にある。
【0011】
これにより、切手を封筒に貼ることができるとともに、消印を押すことができるので、郵送することができる。その結果、本発明の封筒は企業におけるダイレクトメールの用途だけでなく、個人ユーザにおける郵便物の用途にも活用できる。
【0012】
上記では封筒に切手消印シート部を剥離可能に貼着するようにしたが、封筒の投入口の周縁に貼着片部を一体に形成し、そこに切手消印シート部を貼り付けあるいは形成すると、上記と同様に郵送することができる。
【0013】
即ち、本発明に係る郵便封筒は、合成樹脂製シートで製作され、上端又は側端の投入口から被封入体を封入して郵送し得るようにした封筒であって、封筒の上縁及び側縁には逆L字状の開封部が形成され、該開封部で開封することによってクリアファイルが得られる一方、封筒の投入口の周縁には貼着片部が連続して形成され、切手を貼着可能でかつ消印を押印可能とした切手消印シート部が上記貼着片に貼着され又は形成されることによって郵送可能となっていることを特徴とする。
【0014】
切手消印シート部は切手を貼ることができるとともに、消印を押印することができる大きさであればよく、具体的には横35mm×縦80mm以上の大きさであればよい。
【0015】
また、切手消印シート部を剥離可能に貼着する場合、切手消印シートの裏面に例えば糊を塗布することによって剥離可能性を付与できるが、他の粘着剤を塗布して粘着することによっても同様に剥離可能性を付与できる。
【0016】
切手消印シート部は切手を貼ることができるとともに、消印を押印することができればよく、例えば紙片を用いることができるが、剥離性が必要ない場合には薬剤、例えばインクジェットプリンタ用記録媒体に用いられる公知のインク定着剤を塗布して切手を貼着でき消印を押印することのできる切手消印シート部を形成するようにしてもよい。
【0017】
封筒は例えば二枚のシートを重ね、周縁をシールし又は貼り合わせることによって製造してもよく、又クリアファイルの製造工程を利用して製造することもできる。即ち、シートを折り線で二つに折り重ね、折り線を左側縁として上側縁、下側縁及び右側縁の全部又は一部をシールし又は貼り合わせて製造することもできる。
【0018】
封筒の材質は合成樹脂材料であればよく、例えば合成紙や紙等に合成樹脂フィルムをラミネートしたシートを用いることもできる。また、封筒は不透明としてもよいが、開封後にクリアファイルとして利用されることを考慮すると、封筒の全部又は一部が透明又は半透明であるのが望ましい。
【0019】
開封部はマイクロミシン目、ミシン目あるいはハーフカットで構成し、切り取るようにしてもよく、又開封部に糸を埋設しておき、糸を引っ張って切り取るようにしてもよく、あるいは擬似接着することによって構成し、擬似接着部位を相互に剥離するようにしてもよい。擬似接着は例えば接着強度を調製した接着剤を用い、接着部位を剥離できるようにすることによって実現できる。
【0020】
さらに、クリアファイルの開放した側縁の全部又は一部を剥離可能なテープで封鎖し、テープを剥離して開封するようにしてもよく、又ホルダー類の側縁を切り裂くことによって開封するようにしてもよい。
【0021】
投入口は剥離可能なテープ、例えば両面粘着テープで貼着してもよく、又投入口に封止舌片を一体に形成し、封止舌片によって封止するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図4は本発明に係る郵便封筒の好ましい実施形態を示す。図において、封筒10は全部が透明又は半透明の表裏のシート部10A、10から構成され、表裏のシート部10A、10Bは中央の折り線10Hで二つに折り重ねられ、右側縁及び下側縁が例えば超音波圧着や熱圧着等で帯状に固着され、上側縁には投入口10Cが設けられ、投入口10Cの一方の内縁の内面には両面接着テープ11が幅方向のほぼ全幅に延びて貼着されている。
【0023】
また、封筒10の上側縁及び右側縁には固着部位の内側にはマイクロミシン目(開封部)10Eが逆L字状に入れられており、マイクロミシン目10Eから開封して内部の被封入体を取り出せ、又マイクロミシン目10Eから上側及び右側の周縁部分を取り去ることにより、クリアファイル20が得られるようになっている。
【0024】
さらに、封筒10の裏面10Bには切手消印シート12が貼着されている。この切手消印シート12には35mm以上×80mm以上の大きさの紙が用いられ、切手を貼着できるとともに、消印を押印できるようになっている。また、切手消印シート12は裏面に糊が塗布されて封筒10の裏面10Bに剥離可能に貼着されている。
【0025】
本例の封筒10を用いる場合、一番上の被封入体に郵送先の住所及び氏名を印字し又は書き、この被封入体を投入口10Cから入れ、両面接着テープ11の剥離紙を剥離し、投入口10Cの両縁を両面接着テープ11で接着するとともに、切手消印シート12に郵便切手を貼着し、投函すると、郵便局で切手消印シート12に消印が押され、相手方に郵送されることとなる。
【0026】
郵便物を受領すると、マイクロミシン目10Eで開封すると、被封入体を取り出すことができる。また、マイクロミシン目10Eを全て開封すると、図4に示されるように、クリアファイル20が得られるので、切手消印シート12を剥離すればクリアファイルや写真立てなどに用いることができる。写真立てに用いる時には裏面に両面粘着テープで壁面等に貼ることができる。
【0027】
図5は第2の実施形態を示し、図において図1ないし図4と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例の封筒10’では封止舌部10Fが投入口10Fの一方の周縁と一体に形成され、封止舌片部10Fに両面接着テープ11が幅方向に延びて接着されており、封止舌片部10Fを折り返して封筒10’に接着するようにしている。
【0028】
図6は第3の実施形態を示し、図において図1ないし図5と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例の封筒10”では貼着片部10Gが周縁の一方と連続して形成され、貼着片部10Gには切手消印シート12’が横方向にして貼着されており、このように貼着片部10Gを設けて切手消印シート12’を貼着するようにしてもよく、この切手消印シート12’はマイクロミシン目10Eから上側及び右側の周縁部分を取り去ることにより取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る郵便封筒の好ましい実施形態を示す正面図である。
【図2】上記実施形態を示す背面図である。
【図3】上記実施形態を示す側面図である。
【図4】上記実施形態にける開封後の状態を示す図である。
【図5】第2の実施形態を示す正面図である。
【図6】第3の実施形態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0030】
10、10’、10” 封筒
10A 表面
10B 裏面
10C 投入口
10E マイクロミシン目(開封部)
12、12’ 切手消印シート
20 クリアファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製シートで製作され、上端又は側端の投入口から被封入体を封入して郵送し得るようにした封筒であって、
封筒の上縁及び側縁には逆L字状の開封部が形成され、該開封部で開封することによってクリアファイルが得られる一方、
切手を貼着可能でかつ消印を押印可能とした切手消印シートが封筒の表面又は裏面に剥離可能に貼着されることによって郵送可能となっていることを特徴とする郵便封筒。
【請求項2】
合成樹脂製シートで製作され、上端又は側端の投入口から被封入体を封入して郵送し得るようにした封筒であって、
封筒の上縁及び側縁には逆L字状の開封部が形成され、該開封部で開封することによってクリアファイルが得られる一方、
封筒の投入口の周縁には貼着片部が連続して形成され、切手を貼着可能でかつ消印を押印可能とした切手消印シート部が上記貼着片に貼着され又は形成されることによって郵送可能となっていることを特徴とする郵便封筒。
【請求項3】
上記切手消印シートが横35mm以上×縦80mm以上の大きさである請求項1記載の郵便用封筒。
【請求項4】
上記封筒の表面の一部が透明な窓部に構成され、郵送後に写真立てに利用できるようにした請求項1又は2記載の記載の郵送封筒。
【請求項5】
上記開封部がマイクロミシン目、ミシン目あるいはハーフカットで構成されている請求項1又は2記載の郵送封筒。
【請求項6】
上記投入口が剥離可能なテープで貼着されている請求項1又は2記載の郵便封筒。
【請求項7】
上記投入口が封止舌片によって封止されている請求項1記載の郵便封筒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−132326(P2010−132326A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310959(P2008−310959)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000101237)アシヤ印刷株式会社 (5)
【Fターム(参考)】