説明

配管用密閉部材、及びその製造方法

【課題】異なる外径の配管に対して用いることができる配管用密閉部材、及びその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、配管Pが挿通可能な第1の貫通孔14を囲う板状をなし、建築用面材Mに固定されるベース部12と、第1の貫通孔14よりも直径の小さな第2の貫通孔22を囲う形状を有し、この第2の貫通孔22が第1の貫通孔14の内側に位置する状態でベース部12の第1の貫通孔14の周縁部分16に一体に重ねられる重合部24を有する板状のシール部20とを備え、このシール部20は、ベース部12よりも軟質の素材で構成され、重合部24及びこの重合部24が重ねられるベース部12の部分16は、互いに密着している密着面24a,16aをそれぞれ有し、これら密着面24a,16aは互いに嵌合する凹凸を含み、これらの凹凸が互いに嵌合した状態で接合されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の壁や構造用合板、床等の建築用面材を貫通する配管と、この配管に貫通された建築用面材との隙間を密閉するための配管用密閉部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から配管用密閉部材としては、特許文献1に記載のものが知られている。この配管用密閉部材は、図10(a)及び図10(b)に示されるように、貫通孔102を囲む板状のベース部104と、このベース部104の貫通孔周縁部から貫通孔102を囲むように立設された筒部106とを備える。配管用密閉部材100は、建築用面材を貫通している配管を貫通孔102に挿通させ、ベース部104を配管の周囲の建築用面材に密接させる。このとき、配管用密閉部材100の貫通孔102の直径(内径)が配管の外径と同一若しくは僅かに小さいものを使用することによって、配管外周面と筒部106内面とが密接し、これにより建築用面材を貫通する配管とその周囲の建築用面材との間隙を密閉することができる。
【特許文献1】特開平8−61508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記の配管用密閉部材100は、筒部106やベース部104の貫通孔周縁部は伸縮性が殆どなく、配管とこの配管が貫通する建築用面材との隙間を密閉するためには、建築用面材を貫通している配管の外径に適合する内径を有する貫通孔102(以下、単に「内径」とも称する。)の配管用密閉部材100を用いる必要があった。
【0004】
ところが、建築用面材を貫通させる配管には種々の外径を有するものがあるため、各外径に適合する内径の配管用密閉部材100をそれぞれ製造すると製造コストが増加する。また、施工業者等においても、種々の外径を有する配管に対応できるよう、各外径の配管に適合する内径の配管用密閉部材100をそれぞれ在庫等として保有しておくと、購入や保管場所の確保等によってコストが増加する。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、異なる外径の配管に対して用いることができる配管用密閉部材、及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記課題を解消すべく、本発明は、建築用面材を貫通する配管と当該建築用面材との隙間を密閉するための配管用密閉部材であって、前記配管が挿通可能な第1の貫通孔を囲う板状をなし、前記建築用面材に固定されるベース部と、前記第1の貫通孔よりも直径の小さな第2の貫通孔を囲う形状を有し、この第2の貫通孔が第1の貫通孔の内側に位置する状態で前記ベース部における第1の貫通孔の周縁部分に一体に重ねられる重合部を有する板状のシール部とを備え、このシール部は、前記ベース部よりも軟質の素材で構成され、前記重合部及びこの重合部が重ねられるベース部の部分は、互いに密着している密着面をそれぞれ有し、これら密着面は互いに嵌合する凹凸を含み、これらの凹凸が互いに嵌合した状態で接合されていることを特徴とする。尚、本発明において、面材とは、一定の広さの面を有する板状部材のことをいう。
【0007】
かかる構成によれば、シール部が軟質であるため、第2の貫通孔が拡径する方向に変形し易く、このように拡径させながら外径が自然状態の第2の貫通孔の直径より大きく且つ第1の貫通孔の直径より小さい配管を第2の貫通孔に挿通することにより、配管の外周面とシール部の第2の貫通孔の周縁部とが密接した状態で当該配管を当該第2の貫通孔に挿通することができる。そして、その拡径のし易さが適用できる配管径の範囲を拡大する。その一方、ベース部は、シール部よりも硬い素材で構成されるため、配管を第2の貫通孔に貫通させてベース部を配管の周囲の構造用面材に密接させ固定するときに、当該ベース部が波打ったりせず作業が行い易い。
【0008】
さらに、シール部の重合部の密着面とベース部の重合部と重なる部分の密着面とには互いに嵌合する凹凸がそれぞれ含まれ、その嵌合状態で一体に接合されるため、平滑な板状体同士を重ねた場合に比べて密着面の面積が大きく、これにより接着力が増大してベース部とシール部とが剥がれ難く、特に径方向に沿う方向のせん断力に対して強くなる。従って、第2の貫通孔に配管を強制的に挿通する際にシール部がベース部から内向きに引っ張られることにより、当該シール部が当該ベース部から前記せん断方向に剥がれることが有効に抑止される。尚、本発明において、接着力とは、単に2つの面がくっつく力の大きさのことをいい、2つの面が接着剤を介してくっつくのに限定されない。
【0009】
本発明に係る配管用密閉部材おいては、前記ベース部と前記シール部との前記密着面を持つ部位では、当該密着面がこれに隣接する面よりも凹んでいるのが好ましい。
【0010】
かかる構成によれば、密着面と隣接する面との境界位置に段差面が生じ、ベース部とシール部との密着面を持つ部位では、前記密着面に加え、ベース部(又はシール部)の前記段差面とシール部(又はベース部)の密着面を持つ部位の先端面とが密着することにより、この密着した面の面積分だけベース部とシール部との密着している面の面積が増加する。そのため、ベース部とシール部との接着力が大きくなりベース部とシール部とがより剥がれ難くなる。
【0011】
前記ベース部と前記シール部とは、それぞれ樹脂で形成されているため、当該配管用密閉部材における錆の発生を防ぐことができる。
【0012】
前記凹凸は、この凹凸を構成する凹又は凸がそれぞれ前記第1の貫通孔を径方向外側から囲むように全周に亘り連続する形状を有するのが好ましい。かかる構成によれば、ベース部とシール部との重なっている部位において、第1の貫通孔の外側全周に亘って密着面積が増加して接着力が大きくなる。また、ベース部とシール部とは、第1の貫通孔の外側全周に亘って径方向に沿った方向のせん断力に対して強くなる。
【0013】
また、上記課題を解決すべく、本発明は、建築用面材を貫通する配管と当該建築用面材との隙間を密閉するための配管用密閉部材を製造する方法であって、前記配管が挿通可能な第1の貫通孔を囲う板状をなし、前記建築用面材に固定されるベース部が形成されるベース部形成工程と、前記第1の貫通孔よりも直径の小さな第2の貫通孔を囲う形状を有し、この第2の貫通孔が第1の貫通孔の内側に位置する状態で前記ベース部における第1の貫通孔の周縁部分に一体に重ねられる重合部を有する板状のシール部が形成されるシール部形成工程とを備え、前記ベース部形成工程では、前記シール部形成工程でシール部が形成されたときに当該シール部の重合部と重なって密着する前記ベース部の密着面が凹凸を含むように当該ベース部が形成され、前記シール部形成工程では、前記ベース部よりも軟質の樹脂が前記ベース部の密着面の凹凸を隙間なく埋めるようにその密着面上に供給され、前記重合部の密着面の凹凸が前記ベース部の密着面の凹凸と嵌合した状態の前記シール部が形成されるのと同時に当該シール部が前記ベース部と接合されることを特徴とする。
【0014】
また、建築用面材を貫通する配管と当該建築用面材との隙間を密閉するための配管用密閉部材を製造する方法であって、前記配管が挿通可能な第1の貫通孔を囲う板状をなし、前記建築用面材に固定されるベース部が形成されるベース部形成工程と、前記第1の貫通孔よりも直径の小さな第2の貫通孔を囲う形状を有し、この第2の貫通孔が第1の貫通孔の内側に位置する状態で前記ベース部における第1の貫通孔の周縁部分に一体に重ねられる重合部を有する板状のシール部が形成されるシール部形成工程とを備え、前記シール部形成工程では、前記ベース部形成工程でベース部が形成されたときに当該ベース部と重なって密着する前記シール部の重合部の密着面が凹凸を含むように前記ベース部よりも軟質な樹脂で当該シール部が形成され、前記ベース部形成工程では、樹脂が前記シール部の重合部の密着面の凹凸を隙間なく埋めるようにその重合部の密着面上に供給され、前記シール部の重合部と重なって密着する前記ベース部の密着面の凹凸が前記シール部の重合部の密着面の凹凸と嵌合した状態の前記ベース部が形成されるのと同時に当該ベース部が前記シール部と接合されることを特徴とする。
【0015】
これらの方法によれば、シール部の形成と当該シール部のベース部への接合(又はベース部の形成と当該ベース部のシール部への接合)とが同時に行われるため、シール部とベース部との互いに密着する密着面の凹凸を嵌合させるための位置合わせが不要となり、前記配管用密閉部材を容易に得ることができる。
【0016】
また、当該製造方法によれば、シール部が軟質であるため、第2の貫通孔が拡径する方向に変形し易く、このように拡径させながら外径が自然状態の第2の貫通孔の直径より大きく且つ第1の貫通孔の直径より小さい配管を第2の貫通孔に挿通することにより、配管の外周面とシール部の第2の貫通孔の周縁部とが密接した状態で当該配管を当該第2の貫通孔に挿通することができる前記配管用密閉部材を得ることができる。そして、この配管用密閉部材では、その拡径のし易さが適用できる配管径の範囲を拡大する。その一方、ベース部は、シール部よりも硬い素材で構成されるため、配管を第2の貫通孔に貫通させてベース部を配管の周囲の構造用面材に密接させ固定するときに、当該ベース部が波打ったりせず作業性がよい。
【0017】
さらに、当該製造方法により得られる配管用密閉部材は、シール部の重合部の密着面とベース部の重合部と重なる部分の密着面とには互いに嵌合する凹凸がそれぞれ含まれ、その嵌合状態で一体に結合されるため、平滑な板状体同士を重ねた場合に比べて密着面の面積が大きく、これにより接着力が増大してベース部とシール部とが剥がれ難く、特に径方向に沿う方向のせん断力に対して強くなる。従って、第2の貫通孔に配管を強制的に挿通する際にシール部がベース部から内向きに引っ張られることにより、当該シール部が当該ベース部から前記せん断方向に剥がれることが有効に抑止される。
【0018】
配管用密閉部材の製造が前記ベース部形成工程と前記シール部形成工程との順に行われる場合には、前記ベース部形成工程では、次のシール部形成工程にも用いられる共通金型に前記ベース部の密着面の凹凸を形成する第1の金型が合わせられ、これら金型内に形成される内部空間に第1の樹脂の原料が射出されることにより前記ベース部が形成され、前記シール部形成工程では、内部に前記ベース部が形成された状態の前記共通金型に第2の金型が合わせられ、これら金型内に形成される内部空間に前記第1の樹脂よりも軟質の第2の樹脂の原料が射出されることにより前記シール部が形成と同時に前記ベース部と接合されるのが好ましい。また、配管用密閉部材の製造が前記シール部形成工程と前記ベース部形成工程との順に行われる場合には、前記シール部形成工程では、この工程と次のベース部形成工程とに共通して用いられる共通金型に、前記シール部の重合部の密着面の凹凸を形成する形状の第1の金型が合わせられ、これら金型内に形成される内部空間に前記ベース部形成工程で用いられる第1の樹脂よりも軟質な第2の樹脂の原料が射出されることにより前記シール部が形成され、前記ベース部形成工程では、第1の金型が取外され、且つ、内部に前記シール部が形成された状態の前記共通金型に第2の金型が合わせられ、これら金型内に形成される内部空間に前記第1の樹脂の原料が射出されることにより前記ベース部が形成されるのと同時に当該ベース部が前記シール部と接合されるのが好ましい。
【0019】
これらの構成によれば、共通金型に第1の金型と第2の金型とを順に合わせてそれぞれ射出成型する、いわゆる2色成形を行うことにより、密着面の形状が複雑であってもベース部の密着面とシール部の重合部の密着面とを少ない工数で容易に密着させることができる。そのため、ベース部とシール部とが重なっている部位において剥離やピンホール等の生じ難い配管用密閉部材を容易に得ることができる。また、得られた配管用密閉部材は、ベース部とシール部とがそれぞれ樹脂で形成されるために錆が生じない。
【発明の効果】
【0020】
以上より、本発明によれば、径の異なる配管に対しても用いることができる配管用密閉部材、及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の第1実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0022】
本実施形態に係る配管用密閉部材(以下、単に「密閉部材」とも称する。)は、住宅等の建築物の壁や構造用合板、床等の建築用面材を貫通する配管とこの配管の周囲の建築用面材との隙間から水等が浸入するのを防ぐため、前記隙間を密閉するのに用いられる。
【0023】
具体的には、図1乃至図2(c)に示されるように、密閉部材10は、板状の部材であるベース部12とシール部20とを備える。
【0024】
ベース部12は、建築用面材Mに固定される部位であり、配管P(図3参照)が挿通可能な第1の貫通孔14が設けられた板状体である。このベース部12は、少なくとも建築用面材Mに固定するときに当該ベース部12が波打つことがない程度の硬さを有している。具体的には、ベース部12は、略正方形の輪郭を有し、中央に第1の貫通孔14が設けられている。そして、この建築用面材Mは、第1の樹脂により形成されている。本実施形態では、ベース部12の輪郭は、四隅が丸くなった略正方形であり、第1の貫通孔14は、ベース部12をその厚み方向に貫通する円形の貫通孔である。
【0025】
また、ベース部12は、シール部20が重ねられるベース部重合部16を有している。このベース部重合部16は、ベース部12の第1の貫通孔の周縁部分に形成される。具体的には、ベース部重合部16は、ベース部12における第1の貫通孔14を囲う端縁を含み、この端縁に沿った一定幅の環状の部分である。
【0026】
シール部20は、第1の貫通孔14よりも直径の小さな第2の貫通孔22が設けられた板状体であり、ベース部12より軟質の素材で構成されている。このシール部20は、第2の貫通孔22が第1の貫通孔14の内側に位置する状態でベース部12に重ねられたときに、このベース部12の第1の貫通孔14の周縁部分(ベース部重合部)16に一体に重ねられるシール部重合部24を有する。換言すると、シール部20は、前記ベース部12に重ねられたときに、その外周部分(シール部重合部)24がベース部12の第1の貫通孔14の周縁部分(ベース部重合部)16に重なるような外径及び輪郭を有する。このシール部重合部24は、第1の貫通孔14に沿った一定幅の環状をなす。
【0027】
具体的には、シール部20は、円形の輪郭を有し、中央に第2の貫通孔22が設けられている。そして、シール部20は、自然状態の第2の貫通孔22よりも直径が大きく且つベース部12の第1の貫通孔14よりも直径の小さな配管Pを第2の貫通孔22に挿通させるときに、当該シール部20が拡径する方向に変形することにより当該配管Pを挿通できるような軟質な素材で形成されている。本実施形態では、シール部20は、ベース部12よりも軟質な第2の樹脂で成形されている。そして、第2の貫通孔22は、シール部20をその厚み方向に貫通し、当該シール部20の円形の輪郭と同心円となるようにシール部20に設けられている。
【0028】
ベース部重合部16とシール部重合部24とは、互いに密着している密着面(ベース部密着面16a,シール部密着面24a)を有している。ベース部重合部16及びシール部重合部24は、前記密着面16a,24aに互いに嵌合する凹凸を含み、これらの凹凸が互いに嵌合した状態で接合されている。具体的には、ベース部重合部16及びシール部重合部24では、密着面16a,24aがこれに隣接する面16b,24bよりも凹んでいる(図2(b)参照)。この凹みにより、ベース部密着面16aと隣接する面と16bの境界位置に段差面17が生じ、シール部密着面24aと隣接する面24bとの境界位置に段差面25が生じている。また、密着面16a,24aの凹凸は、この凹凸を構成する凹又は凸がそれぞれ第1の貫通孔14を径方向外側から囲むように全周に亘り連続する形状を有する。
【0029】
このような密閉部材10は、例えば、図3に示されるように、ベランダのオーバーフロー管(配管)Pと建築用面材Mとの隙間を密閉し、外部から前記隙間を通って雨水等の水が内部に浸入するのを抑止する。具体的に、密閉部材10の第2の貫通孔22に建築用面材Mを貫通した配管Pが挿通され、ベース部12が配管Pの周囲の建築用面材Mに密接するまで配管Pに沿って密閉部材10を移動させる。建築用面材Mに密接したベース部12の周囲にテープtが貼り付けられる。このようにして配管Pと建築用面材Mとの隙間が密閉される。このとき、自然状態の第2の貫通孔22の直径よりも径の大きな配管Pが第2の貫通孔22に挿通されているため、シール部20が配管Pの挿通方向に引っ張られながら第2の貫通孔22が拡径方向に変形している。
【0030】
次に、密閉部材10の製造方法について図4(a)乃至図6も参照しつつ説明する。
【0031】
本実施形態では、密閉部材10は、いわゆる2色成形によって製造される。この2色成形は、ベース部12を形成するベース部形成工程と、シール部20を形成するシール部形成工程とを有し、各工程において金型が用いられる。この金型は、共通金型30と第1の金型32と第2の金型34とである(図4(a)参照)。
【0032】
共通金型30は、ベース部形成工程とシール部形成工程とに共通して用いられる金型である。第1の金型32は、共通金型30に合わせられてベース部12を形成するための金型である。この第1の金型32の内面には、ベース部密着面16aの凹凸を形成するための当該凹凸に対応した形状の面116が含まれる(図4(b)の拡大図参照)。第2の金型34は、内部にベース部12が形成された状態の共通金型30に合わせられてシール部20を形成するための金型である。
【0033】
本実施形態の金型は、共通金型30を左右に2つ並べて連接した下側金型40と、第1の金型32と第2の金型34とを左右に並べて連接した上側金型42とを上下に対向させ、一方の金型(本実施形態では下側金型40)が左右反転可能に構成される。
【0034】
ベース部形成工程では、共通金型30に第1の金型32が合わせられ、これら金型内に第1の樹脂の原料が射出されることによりベース部12が形成される。シール部形成工程では、第1の金型32が取外され、且つ、内部にベース部12が形成された状態の共通金型30に第2の金型34が合わせられ、これら金型内に第1の樹脂よりも軟質な第2の樹脂が射出されることによりシール部20が形成されるのと同時にシール部20がベース部12と接合される。
【0035】
具体的には、初期状態では開いた状態の上側金型42と下側金型40とが閉じられる(ステップ1:図4(a)及び図4(b)参照)。このとき、ベース部形成側(図4(a)乃至図5(c)においては左側)では、共通金型30に第1の金型32が合わせられた状態となっている。
【0036】
閉じた上側金型42と下側金型40とのベース部形成側の内部、即ち、閉じた共通金型30と第1の金型32との内部に形成される内部空間S1(図4(b)の拡大図参照)内に第1の樹脂の原料が充填される(ステップ2:図4(c)参照)。この原料が冷えて固まることによりベース部12が完成する。
【0037】
次に、上側金型42と下側金型40とが開かれ(図4(d)参照)、下側金型40の左右が入れ替わるように当該下側金型40が反転させられる(ステップ3:図5(a)参照)。これにより、内部にベース部12が形成された状態の共通金型30が、シール部形成側に移動する。この状態で上側金型42と下側金型40とが閉じられ、これによりシール部形成側では内部にベース部12が形成された状態の共通金型30に第2の金型34が合わせられた状態となる(ステップ4:図5(b)参照)。
【0038】
閉じた上側金型42と下側金型40とのシール部形成側の内部、即ち、閉じた共通金型30と第2の金型34との内部に形成される内部空間のうちベース部12を除く内部空間S2(図5(b)参照)に第2の樹脂の原料が充填される(ステップ5:図5(b)参照)。このようにベース部12が前記内部空間内に存在する状態で前記ベース部12を除く内部空間S2内に第2の樹脂の原料が充填されることで、ベース部密着面16aの凹凸を隙間なく埋めるように第2の樹脂の原料が当該ベース部密着面16a上に供給される(図5(c)の拡大図参照)。そして、閉じた共通金型30と第2の金型34との内部の内部空間S2内に充填された第2の樹脂の原料が冷えて固まることにより、シール部20が形成されると同時にシール部20がベース部12と接合される。この接合部位においては、ベース部密着面16aの凹凸とシール部密着面24aの凹凸とが嵌合した状態で接合されている。
【0039】
上側金型42と下側金型40とが開かれ、形成された密閉部材10が取り出される(ステップ6)。
【0040】
尚、本実施形態では、金型として、共通金型30が左右に並ぶ下側金型40と、第1の金型32と第2の金型34とが左右に並ぶ上側金型42とが用いられているため、ベース部形成側とシール部形成側とで同時に射出成形をすることができる。その場合、ステップ5において、上側金型42と下側金型40とが閉じられたときに、ベース部形成側において閉じた状態となっている共通金型30と第1の金型32との内部空間S1に(ステップ1)第1の樹脂の原料が射出され、シール部形成側においてシール部20が形成されると同時にベース部形成側においてベース部12が形成される(ステップ2)。そして、ステップ3からステップ6を経る。これを繰り返すことにより、連続して密閉部材10が形成される。
【0041】
以上のような密閉部材10は、シール部20が軟質の第2の樹脂であるため、第2の貫通孔22が拡径する方向に変形し易い。そして、その拡径のし易さが適用できる配管径の範囲を拡大する。その一方、ベース部12は、シール部20よりも硬い第1の樹脂で構成されるため、配管Pを第2の貫通孔22に貫通させてベース部12を配管Pの周囲の建築用面材Mに密接させ固定するときに、当該ベース部12が波打ったりせず作業が行い易い。
【0042】
さらに、シール部密着面24aとベース部密着面16aとには互いに嵌合する凹凸がそれぞれ含まれ、その嵌合状態で一体に接合されるため、平滑な板状体同士を重ねた場合に比べて密着面の面積が大きく、これにより接着力が増大してベース部12とシール部20とが剥がれ難く、特に径方向に沿う方向のせん断力に対して強くなる。従って、第2の貫通孔22に配管Pを強制的に挿通する際にシール部20がベース部12から内向きに引っ張られることにより、当該シール部20が当該ベース部12から前記せん断方向に剥がれることが有効に抑止される。
【0043】
しかも、密着面16a,24aの凹凸は、この凹凸を構成する凹又は凸がそれぞれ第1の貫通孔14を径方向外側から囲むように全周に亘り連続する形状を有するため、ベース部12とシール部20との重なっている部位16,24において、第1の貫通孔14の外側全周に亘って密着面積が増加して接着力が大きくなる。また、ベース部12とシール部20とは、第1の貫通孔14の外側全周に亘って径方向に沿った方向のせん断力に対して強くなる。
【0044】
また、ベース部密着面16aがこれに隣接する面16bよりも凹んでいるため(図2(b)参照)、ベース部密着面16aと隣接する面16bとの境界位置に段差面17が生じている。同様に、シール部密着面24aがこれに隣接する面24bよりも凹んでいるため(図2(b)参照)、シール部密着面24aと隣接する面24bとの境界位置に段差面25が生じている。そのため、ベース部12とシール部20との密着面16a,24aを持つ部位では、前記密着面16a,24aに加え、ベース部12の前記段差面17とシール部20のシール部密着面24aを持つ部位の先端面26とが密着すると共にシール部20の前記段差面25とベース部12のベース部密着面16aを持つ部位の先端面18とが密着することにより、これら密着した面の面積分だけベース部12とシール部20との密着している面の面積が増加する。その結果、ベース部12とシール部20との接着力が大きくなりベース部12とシール部20とがより剥がれ難くなる。
【0045】
また、本実施形態では、ベース部12とシール部20とがそれぞれ樹脂で形成され、即ち、密閉部材10の全体が樹脂で形成されているため、当該密閉部材10における錆の発生を防ぐことができる。
【0046】
本実施形態に係る製造方法によれば、2色成形によって製造されるため、シール部20の形成と当該シール部20のベース部12への接合とが同時に行われ(図5(a)乃至図5(c))、これによりシール部20とベース部12との互いに密着する密着面16a,24aの凹凸を嵌合させるための位置合わせが不要となり、密閉部材10を容易に得ることができる。
【0047】
また、2色成形では、共通金型30に第1の金型32と第2の金型34とを順に合わせてそれぞれ射出成型するため、密着面16a,24aの形状が複雑であってもベース部密着面16aとシール部密着面24aとを少ない工数で容易に密着させることができる。そのため、ベース部12とシール部20とが重なっている部位(ベース部重合部16及びシール部重合部24)において剥離やピンホール等の生じ難い密閉部材10を容易に得ることができる。
【0048】
次に、本発明の第2実施形態について説明するが、本実施形態に係る密閉部材10は、その構成が第1実施形態と同一であるために説明を省略し、その製造方法のみを図7(a)乃至図9を参照しつつ説明する。尚、上記第1実施形態と同様の構成には同一符号を用いると共に詳細な説明を省略する。
【0049】
本実施形態では、第1実施形態と異なり、シール部形成工程とベース部形成工程との順で形成工程が行われる。金型として、共通金型30と第3の金型132と第4の金型134とが用いられる(図7(a)参照)。
【0050】
第3の金型132は、共通金型30に合わせられてシール部20を形成するための金型である。この第3の金型132の内面には、シール部密着面24aの凹凸を形成するための当該凹凸に対応した形状の面224が含まれる(図7(b)の拡大図参照)。第4の金型134は、内部にシール部20が形成された状態の共通金型30に合わせられてベース部12を形成するための金型である。
【0051】
本実施形態において、金型は、共通金型30を左右に2つ並べて接続した下側金型40と、第3の金型132と第4の金型134とを左右に並べて連接した上側金型142とを上下に対向させている。
【0052】
本実施形態のシール部形成工程では、共通金型30に第3の金型132が合わせられ、これら金型内にベース部形成工程で用いられる第1の樹脂よりも軟質な第2の樹脂が射出されることによりシール部20が形成される。また、ベース部形成工程では、第3の金型132が取外され、且つ、内部にシール部20が形成された状態の共通金型30に第4の金型134が合わせられ、これら金型内に第1の樹脂が射出されることによりベース部12が形成されるのと同時にベース部12がシール部20と接合される。
【0053】
具体的には、初期状態では開いた状態の上側金型42と下側金型40とが閉じられ(ステップ11:図7(a)及び図7(b)参照)、閉じた上側金型142と下側金型40とのシール部形成側の内部に形成される内部空間S3(図7(b)の拡大図参照)内に第2の樹脂の原料が充填される(ステップ12:図4(c)参照)。そして、充填された第2の樹脂が冷えて固まった後、上側金型142と下側金型40とが開かれ(図7(d)参照)、下側金型40の左右が入れ替わるように当該下側金型40が反転させられる(ステップ13:図8(a)参照)。この反転した状態で上側金型142と下側金型40とが閉じられる(ステップ14:図5(b)参照)。
【0054】
閉じた上側金型142と下側金型40とのベース部形成側の内部に形成される内部空間のうちシール部20を除く内部空間S4(図8(b)参照)に第1の樹脂の原料が充填される(ステップ15:図8(b)参照)。このようにシール部20が前記内部空間内に存在する状態で前記シール部20を除く内部空間S4内に第1の樹脂の原料が充填されることで、シール部密着面24aの凹凸を隙間なく埋めるように第1の樹脂の原料が当該シール部密着面24a上に供給される(図8(c)の拡大図参照)。そして、内部空間S4内に充填された第1の樹脂の原料が冷えて固まることにより、ベース部12が形成されると同時にベース部12がシール部20と接合される。この接合部位においては、シール部密着面24aの凹凸とベース部密着面16aの凹凸とが嵌合した状態で接合されている。
【0055】
上側金型142と下側金型40とが開かれ、形成された密閉部材10が取り出される(ステップ16)。
【0056】
本実施形態に係る製造方法においても、2色成形による製造であるため、ベース部12の形成と当該ベース部12のシール部20への接合とが同時に行われ(図8(a)乃至図8(c))、これによりベース部12とシール部20との互いに密着する密着面16a,24aの凹凸を嵌合させるための位置合わせが不要となる。
【0057】
また、密着面16a,24aの形状が複雑であってもシール部密着面24aとベース部密着面16aとを少ない工数で容易に密着させることができ、当該密着部位において剥離やピンホール等の生じ難い密閉部材10を容易に得ることができる。
【実施例1】
【0058】
前記の密閉部材10を用い、この密閉部材10の第2の貫通孔22に種々の外径の配管Pを挿通させることにより、以下のような結果が得られた。
【0059】
この密閉部材10は、ベース部12がポリエチレン(PE)で形成され、シール部20がスチレン系熱可塑性エストラマー(TPE)で形成されている。密閉部材10のベース部12は、縦(図1における上下方向)の長さと横(図1における左右方向)長さが185mm、厚さ(図1における前後方向)が0.8mmである。またベース部12の第1の貫通孔14は、ベース部12をその厚さ方向に貫通する直径(内径)が80mmの円形の貫通孔である。一方、シール部20は、外径が90mm、内径(第2の貫通孔22の直径)が40mmの環状で、厚さが0.8mmの板状体である。このようなベース部12とシール部20とは、重なり代(重なり部分の径方向の幅)が10mmとなるようにベース部12の第1の貫通孔14の周縁部分とシール部20の外周部分とが重なるように形成されている。このような密閉部材10における軟質な部位、即ち、シール部20のシール部重合部24を除く部位は、内径が40mmで外径が80mmの環状に形成される。
【0060】
このような形状及び素材で構成される密閉部材10の第2の貫通孔22に種々の外径の配管Pを挿通したところ、当該密閉部材10は、外径が48mm〜65mmの配管Pに適用できることが分かった。即ち、このような範囲内の外径を有する配管Pであれば、当該配管Pを第2の貫通孔22に挿通したときに、第2の貫通孔22が押し広げられることによる(拡径方向の変形による)シール部20の破損が生じることなく、また、挿通後のシール部20の第2の貫通孔周縁部と配管外周面との密接状態が好適に維持されることが分かった。
【0061】
尚、本発明の密閉部材及びその製造方法は、上記第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0062】
密閉部材10において、ベース部12の素材は限定されない。例えば、ベース部12は、実施例では、ポリエチレンで形成されているが、他の樹脂で形成されてもよい。また、密閉部材10の製造において、先にベース部が形成され、その後にシール部が形成される場合には、ベース部12は、金属で形成されてもよい。尚、先にシール部が形成され、その後にベース部が形成される場合には、シール部20とベース部12とは共に樹脂によって形成される。
【0063】
また、密閉部材10において、シール部20の素材は限定されない。例えば、シール部20は、実施例では、スチレン系熱可塑性エストラマーで形成されているが、ベース部12の素材よりも軟質の素材であれば他の樹脂であってもよい。
【0064】
また、密閉部材10の製造方法は限定されない。例えば、第1実施形態では、2色成形により密閉部材10が製造されているが、ベース部形成工程とシール部形成工程とが順に行われる場合には、インサート成形等の他の製造方法により製造されてもよい。
【0065】
また、第1及び第2実施形態のようにベース部12とシール部20とが一体成形される必要もない。例えば、ベース部12とシール部20とを別々に形成し、その後、互いに密着面16a,24a同士を接合させるようにして密閉部材10が形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1実施形態に係る配管用密閉部材の正面図である。
【図2】同実施形態に係る配管用密閉部材における(a)は図1のA−A断面図であり、(b)は図2(a)のベース部とシール部とが重なっている部位の部分拡大図であり、(c)は、密着面の構成を示すために図1のA−A断面において配管用密閉部材の厚さを10倍にした断面図である。
【図3】同実施形態に係る配管用密閉部材の使用状態を示す図である。
【図4】同実施形態に係る配管用密閉部材を製造する際の下側金型反転前の金型の動きを示す図である。
【図5】同実施形態に係る配管用密閉部材を製造する際の下側金型反転後の金型の動きを示す図である。
【図6】同実施形態に係る配管用密閉部材の製造過程のフローを示す図である。
【図7】第2実施形態に係る配管用密閉部材を製造する際の下側金型反転前の金型の動きを示す図である。
【図8】同実施形態に係る配管用密閉部材を製造する際の下側金型反転後の金型の動きを示す図である。
【図9】同実施形態に係る配管用密閉部材の製造過程のフローを示す図である。
【図10】従来の配管用密閉部材において、(a)は正面図であり、(b)は図6(a)のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0067】
10 配管用密閉部材
12 ベース部
14 第1の貫通孔
16 ベース部重合部(第1の貫通孔の周縁部分)
16a ベース部密着面(密着面)
20 シール部
22 第2の貫通孔
24 シール部重合部(重合部)
24a シール部密着面(密着面)
30 共通金型
32 第1の金型
34 第2の金型
M 建築用面材
P 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築用面材を貫通する配管と当該建築用面材との隙間を密閉するための配管用密閉部材であって、
前記配管が挿通可能な第1の貫通孔を囲う板状をなし、前記建築用面材に固定されるベース部と、
前記第1の貫通孔よりも直径の小さな第2の貫通孔を囲う形状を有し、この第2の貫通孔が第1の貫通孔の内側に位置する状態で前記ベース部における第1の貫通孔の周縁部分に一体に重ねられる重合部を有する板状のシール部とを備え、
このシール部は、前記ベース部よりも軟質の素材で構成され、
前記重合部及びこの重合部が重ねられるベース部の部分は、互いに密着している密着面をそれぞれ有し、これら密着面は互いに嵌合する凹凸を含み、これらの凹凸が互いに嵌合した状態で接合されていることを特徴とする配管用密閉部材。
【請求項2】
請求項1に記載の配管用密閉部材において、
前記ベース部と前記シール部との前記密着面を持つ部位では、当該密着面がこれに隣接する面よりも凹んでいることを特徴とする配管用密閉部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の配管用密閉部材において、
前記ベース部と前記シール部とは、それぞれ樹脂で形成されていることを特徴とする配管用密閉部材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の配管用密閉部材において、
前記凹凸は、この凹凸を構成する凹又は凸がそれぞれ前記第1の貫通孔を径方向外側から囲むように全周に亘り連続する形状を有することを特徴とする配管用密閉部材。
【請求項5】
建築用面材を貫通する配管と当該建築用面材との隙間を密閉するための配管用密閉部材を製造する方法であって、
前記配管が挿通可能な第1の貫通孔を囲う板状をなし、前記建築用面材に固定されるベース部が形成されるベース部形成工程と、
前記第1の貫通孔よりも直径の小さな第2の貫通孔を囲う形状を有し、この第2の貫通孔が第1の貫通孔の内側に位置する状態で前記ベース部における第1の貫通孔の周縁部分に一体に重ねられる重合部を有する板状のシール部が形成されるシール部形成工程とを備え、
前記ベース部形成工程では、前記シール部形成工程でシール部が形成されたときに当該シール部の重合部と重なって密着する前記ベース部の密着面が凹凸を含むように当該ベース部が形成され、
前記シール部形成工程では、前記ベース部よりも軟質の樹脂が前記ベース部の密着面の凹凸を隙間なく埋めるようにその密着面上に供給され、前記重合部の密着面の凹凸が前記ベース部の密着面の凹凸と嵌合した状態の前記シール部が形成されるのと同時に当該シール部が前記ベース部と接合されることを特徴とする配管用密閉部材の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の配管用密閉部材を製造する方法であって、
前記ベース部形成工程では、この工程と次のシール部形成工程とに共通して用いられる共通金型に、前記ベース部の密着面の凹凸を形成する形状の第1の金型が合わせられ、これら金型内に形成される内部空間に第1の樹脂の原料が射出されることにより前記ベース部が形成され、
前記シール部形成工程では、第1の金型が取外され、且つ、内部に前記ベース部が形成された状態の前記共通金型に第2の金型が合わせられ、これら金型内に形成される内部空間に前記第1の樹脂よりも軟質の第2の樹脂の原料が射出されることにより前記シール部が形成されるのと同時に当該シール部が前記ベース部と接合されることを特徴とする配管用密閉部材の製造方法。
【請求項7】
建築用面材を貫通する配管と当該建築用面材との隙間を密閉するための配管用密閉部材を製造する方法であって、
前記配管が挿通可能な第1の貫通孔を囲う板状をなし、前記建築用面材に固定されるベース部が形成されるベース部形成工程と、
前記第1の貫通孔よりも直径の小さな第2の貫通孔を囲う形状を有し、この第2の貫通孔が第1の貫通孔の内側に位置する状態で前記ベース部における第1の貫通孔の周縁部分に一体に重ねられる重合部を有する板状のシール部が形成されるシール部形成工程とを備え、
前記シール部形成工程では、前記ベース部形成工程でベース部が形成されたときに当該ベース部と重なって密着する前記シール部の重合部の密着面が凹凸を含むように前記ベース部よりも軟質な樹脂で当該シール部が形成され、
前記ベース部形成工程では、樹脂が前記シール部の重合部の密着面の凹凸を隙間なく埋めるようにその重合部の密着面上に供給され、前記シール部の重合部と重なって密着する前記ベース部の密着面の凹凸が前記シール部の重合部の密着面の凹凸と嵌合した状態の前記ベース部が形成されるのと同時に当該ベース部が前記シール部と接合されることを特徴とする配管用密閉部材の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の配管用密閉部材を製造する方法であって、
前記シール部形成工程では、この工程と次のベース部形成工程とに共通して用いられる共通金型に、前記シール部の重合部の密着面の凹凸を形成する形状の第1の金型が合わせられ、これら金型内に形成される内部空間に前記ベース部形成工程で用いられる第1の樹脂よりも軟質な第2の樹脂の原料が射出されることにより前記シール部が形成され、
前記ベース部形成工程では、第1の金型が取外され、且つ、内部に前記シール部が形成された状態の前記共通金型に第2の金型が合わせられ、これら金型内に形成される内部空間に前記第1の樹脂の原料が射出されることにより前記ベース部が形成されるのと同時に当該ベース部が前記シール部と接合されることを特徴とする配管用密閉部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−151245(P2010−151245A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330469(P2008−330469)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000010065)フクビ化学工業株式会社 (150)