説明

配線板の製造方法

【課題】導体層とフィルド導体との間のシーム発生を抑制する。又は、小さな環境負荷又は低コストで良質の給電層を得る。又は、高い生産性でフィルド導体を形成する。
【解決手段】配線板の製造方法が、絶縁層と該絶縁層上に形成されている導体層とを有する基材を準備することと、導体層上及び絶縁層上に層間絶縁層を形成することと、層間絶縁層上に金属箔を形成することと、層間絶縁層及び金属箔に、導体層を底とする有底孔を形成することと、有底孔の壁面に給電層を形成することと、給電層が形成された基材を、めっき金属のイオンを含む溶液に浸し、めっき金属を析出させる析出電圧とめっき金属を分離させる分離電圧とを交互に印加しながら、有底孔をめっき金属で充填することと、を含み、給電層は、めっき金属よりも溶液に溶けにくい材料からなり、分離電圧は、めっき金属が溶液に溶け、且つ、給電層が溶液に溶けない範囲に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、層間絶縁層に孔を形成することと、その孔の壁面に無電解銅めっき膜を形成することと、その孔内に電気銅めっきを充填することと、を含む配線板の製造方法(詳しくは、層間接続としてのフィルドビアの形成方法)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−31952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される配線板の製造方法においては、下記のような条件で、孔内に電気銅めっきが充填される。すなわち、銅のめっき液として「液組成が硫酸銅170〜240g/L,硫酸30〜80g/L,塩素イオン20〜60mg/Lであり、更にここに、例えばキューブライトVF−II(商品名、荏原ユージライト社製)を添加剤としたもの」(特許文献1の段落「0035」を参照)を用い、めっき条件として「浴温20〜30℃,電流密度2〜5A/dm、好ましくは2〜3A/dmに設定し、エアー方式または噴流方式でめっき液を攪拌する」(特許文献1の段落「0036」を参照)。
【0005】
しかしながら、こうした電気めっきでは、導体層上に形成された小径のビアホール内にめっき金属を充填してフィルド導体を形成する場合に、導体層とフィルド導体との間にシームが発生し易い。また、給電層として良質の無電解銅めっき膜を得るためには、還元剤としてはホルマリン等が、また、触媒としてレアメタルであるパラジウム(Pb)等が必要になるため、環境負荷又はコストの面で不利になり易い。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、導体層とフィルド導体との間のシーム発生を抑制することを目的とする。また、本発明は、小さな環境負荷又は低コストで良質の給電層を得ることを他の目的とする。また、本発明は、高い生産性でフィルド導体を形成することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る配線板の製造方法は、
絶縁層と、該絶縁層上に形成されている導体層と、を有する基材を準備することと、
前記導体層上及び絶縁層上に、層間絶縁層を形成することと、
前記層間絶縁層上に、金属箔を形成することと、
前記層間絶縁層及び前記金属箔に、前記導体層を底とする有底孔を形成することと、
前記有底孔の壁面に、給電層を形成することと、
前記給電層が形成された基材を、めっき金属のイオンを含む溶液に浸し、前記めっき金属を析出させる析出電圧と前記めっき金属を分離させる分離電圧とを交互に印加しながら、前記有底孔を前記めっき金属で充填することと、
を含み、
前記給電層は、前記めっき金属よりも前記溶液に溶けにくい材料からなり、
前記分離電圧は、前記めっき金属が前記溶液に溶け、且つ、前記給電層が前記溶液に溶けない範囲に設定される。
【0008】
前記給電層は、非金属の導電性材料からなる、ことが好ましい。
【0009】
前記給電層は、炭素を含む非金属の導電性材料からなる、ことが好ましい。
【0010】
前記給電層は、グラファイトからなる、ことが好ましい。
【0011】
前記給電層を形成することでは、前記給電層が、前記有底孔の壁面のみに選択的に形成される、ことが好ましい。
【0012】
前記給電層を形成することには、
前記有底孔の壁面、前記導体層上、及び前記金属箔上に一体的に、前記めっき金属よりも前記溶液に溶けにくい材料からなる導体膜を形成することと、
前記導体層及び前記金属箔のエッチャントを用いたエッチングにより、前記導体層及び前記金属箔と共に、前記導体層上及び前記金属箔上の前記導体膜を除去することと、
が含まれる、ことが好ましい。
【0013】
前記導体膜の形成と前記導体膜の除去とを交互にそれぞれ2回以上行う、ことが好ましい。
【0014】
前記給電層の最小厚みは、0.3〜0.6μmの範囲にある、ことが好ましい。
【0015】
前記有底孔のアスペクト比は、0.7〜1.0の範囲にある、ことが好ましい。
【0016】
前記析出電圧及び前記分離電圧の印加により、前記有底孔を前記めっき金属で充填するのと同時に、前記金属箔上に前記めっき金属を析出させて、前記層間絶縁層上に、最小厚みが10〜30μmの範囲にある上層導体層を形成する、ことが好ましい。
【0017】
前記めっき金属のイオンを含む前記溶液には、抑制剤及び促進剤が含まれる、ことが好ましい。
【0018】
前記導体層及び前記金属箔はそれぞれ、前記めっき金属と同じ金属からなり、前記給電層は、前記導体層及び前記金属箔のいずれとも異なる導体材料からなる、ことが好ましい。
【0019】
前記析出電圧及び前記分離電圧の印加は、パルス制御される、ことが好ましい。
【0020】
前記析出電圧及び前記分離電圧の印加では、一定の周期で極性が入れ替わる、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、導体層とフィルド導体との間のシーム発生を抑制することができる。また、本発明によれば、この効果に加えて又はこの効果に代えて、小さな環境負荷で又は低コストで良質の給電層を得ることが可能になる場合がある。また、本発明によれば、これらの効果に加えて又はこれらの効果に代えて、高い生産性でフィルド導体を形成することが可能になる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】本発明の実施形態に係る配線板の製造方法により製造される配線板の第1の例を示す断面図である。
【図1B】本発明の実施形態に係る配線板の製造方法により製造される配線板の第2の例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る配線板の製造方法において、絶縁層と、その絶縁層上に形成されている導体層と、を有する基材を準備する第1の工程を説明するための断面図である。
【図3】図2の工程の後の第2の工程を説明するための断面図である。
【図4】図3の工程により形成された導体層の形態の例を示す平面図である。
【図5A】本発明の実施形態に係る配線板の製造方法において、導体層上に層間絶縁層を形成するとともに、その層間絶縁層上に金属箔を形成する第1の工程を説明するための断面図である。
【図5B】図5Aの工程の後の第2の工程を説明するための断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る配線板の製造方法において、図5A及び図5Bの工程により形成された層間絶縁層及び金属箔に、図3の工程により形成された導体層を底とする有底孔を形成する工程を説明するための断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る配線板の製造方法において、有底孔の壁面に、給電層を形成する第1の工程を説明するための断面図である。
【図8】図7の工程の後の第2の工程を説明するための断面図である。
【図9】図7及び図8の工程により形成された給電層の形態の例を示す平面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る配線板の製造方法において、パルス電源により電気めっきを行うための装置の構成例を模式的に示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る配線板の製造方法において、パルス電源により電気めっきを行う場合の、第1電極と第2電極との間の電圧波形の例を模式的に示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る配線板の製造方法において、電気めっきにより有底孔がめっき金属で充填される様子を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る配線板の製造方法において、有底孔がめっき金属で充填された状態を示す図である。
【図14】無電解めっき(化学銅)からなる給電層を有する配線板に直流電源により電気めっきを行う比較例において、第1電極と第2電極との間の電圧を示す図である。
【図15】図14の比較例において、電気めっきにより有底孔がめっき金属で充填される様子を示す図である。
【図16】異なる材料からなる各給電層についての電気めっき特性を示す図である。
【図17】本発明の実施形態に係る配線板の製造方法において、エッチングレジストを形成する工程を説明するための断面図である。
【図18】本発明の実施形態に係る配線板の製造方法において、図17に示すエッチングレジストを用いてエッチングする工程を説明するための断面図である。
【図19A】本発明の実施形態において、パルス電源により電気めっきを行う場合の電圧波形の第1の変形例を示す図である。
【図19B】本発明の実施形態において、パルス電源により電気めっきを行う場合の電圧波形の第2の変形例を示す図である。
【図20】本発明に係る実施形態の製造方法により、電子部品の電極に接続されるフィルドビアが形成される例を示す平面図である。
【図21A】本発明に係る実施形態の製造方法により形成されるフィルドビアの形状の第1の変形例を示す図である。
【図21B】本発明に係る実施形態の製造方法により形成されるフィルドビアの形状の第2の変形例を示す図である。
【図21C】本発明に係る実施形態の製造方法により形成されるフィルドビアの形状の第3の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図中、矢印Z1、Z2は、それぞれ配線板の主面(表裏面)の法線方向に相当する配線板の積層方向(又は配線板の厚み方向)を指す。一方、矢印X1、X2及びY1、Y2は、それぞれ積層方向に直交する方向(又は各層の側方)を指す。配線板の主面は、X−Y平面となる。また、配線板の側面は、X−Z平面又はY−Z平面となる。積層方向において、配線板のコアに近い側を下層(又は内層側)、コアから遠い側を上層(又は外層側)という。
【0024】
導体層は、一乃至複数の導体パターンで構成される層である。導体層は、電気回路を構成する導体パターン、例えば配線(グランドも含む)、パッド、又はランド等を含む場合もあれば、電気回路を構成しない面状の導体パターン等を含む場合もある。
【0025】
孔内に形成される導体のうち、孔に充填された導体をフィルド導体という。また、ビアホール内(壁面又は底面)に形成される導体をビア導体という。
【0026】
本実施形態において製造される配線板100は、例えば図1Aに示すような多層プリント配線板(両面リジッド配線板)である。以下、配線板100の表裏面(2つの主面)の一方(Z1側)を第1面F1、他方(Z2側)を第2面F2という。
【0027】
配線板100は、基板101(コア基板)と、絶縁層102、103、104、105(層間絶縁層)と、導体層111a、112a、113a、114a、115aと、ビア導体111、112、113、114、115と、ソルダーレジスト106と、を有する。
【0028】
導体層111aは、基板101の両面に形成される。基板101の両面の導体層(導体層111a同士)は、基板101に形成された孔内の導体(ビア導体111)によって相互に電気的に接続される。
【0029】
導体層112aは絶縁層102上に形成され、導体層113aは絶縁層103上に形成され、導体層114aは絶縁層104上に形成され、導体層115aは絶縁層105上に形成される。各導体層は、層間絶縁層に形成された孔内の導体(例えばビア導体112、113、114、115)によって相互に電気的に接続される。図1Aに示す配線板100では、全層のビア導体111、112、113、114、115がスタックされることにより、スタック導体Sが形成されている。
【0030】
最外の導体層115a上には、ソルダーレジスト106が設けられている。ソルダーレジスト106には開口部106aが形成され、開口部106aで露出する導体層115aがパッドP1、P2(外部接続端子)となる。パッドP1は第1面F1に形成され、パッドP2は第2面F2に形成される。配線板100の片面又は両面に他の配線板や電子部品等が実装されることで、配線板100は、例えば携帯機器(携帯電話等)の回路基板として使用することができる。
【0031】
配線板100は、例えば基板101に、絶縁層102、103、104、105(層間絶縁層)と導体層112a、113a、114a、115aとを交互にビルドアップした後、最外層にソルダーレジスト106を設けることで、製造することができる。
【0032】
本実施形態に係る配線板の製造方法は、基板101(コア基板)に形成されたビア導体111に適用してもよいし、基板101上の導体層111aとその上層の導体層112aとを接続するビア導体112に適用してもよいし、より上層のビア導体113、114、115に適用してもよい。また、本実施形態に係る配線板の製造方法は、全層に適用してもよいし、外層又は内層のみに適用してもよい。
【0033】
また、本実施形態の製造方法により、図1Bに示すような、コア基板を有さないコアレス配線板を製造することもできる。図1Bに示す配線板100は、電子部品200の再配線に用いられる多層プリント配線板である。
【0034】
図1Bの例では、配線板100の第1面F1に電子部品200が実装される。最外の導体層114a上には、ソルダーレジスト107が設けられている。ソルダーレジスト107には開口部107aが形成され、開口部107aで露出する導体層114aがパッドP1(外部接続端子)となる。
【0035】
導体層114aは、絶縁層102(層間絶縁層)上(詳しくは、第1面F1側の面)に形成され、絶縁層102には、ビア導体112が形成されている。また、絶縁層102の反対側(第2面F2側の面)には、絶縁層103(層間絶縁層)が形成され、絶縁層103には、ビア導体113が形成されている。そして、絶縁層103上には導体層113aが形成され、導体層113a上には、ソルダーレジスト106が設けられている。ソルダーレジスト106には開口部106aが形成され、開口部106aで露出する導体層113aがパッドP2(外部接続端子)となっている。各導体層は、層間絶縁層に形成された孔内の導体(ビア導体112、113)によって相互に電気的に接続される。
【0036】
パッドP1は第1面F1に形成され、パッドP2は第2面F2に形成される。そして、パッドP1に電子部品200が実装され、封止樹脂200aで封止されることによって、電子デバイスとなっている。パッドP1と電子部品200の電極とは、例えば半田を介して、相互に電気的に接続される。配線板100と電子部品200との間には、熱膨張率のミスマッチ緩和のため、絶縁性のアンダーフィル材200bが充填されている。
【0037】
図1Bに示す配線板100の端子ピッチは、電子部品200側のパッドP1から反対側のパッドP2へファンアウトする。これにより、端子ピッチの密な電子部品200を、端子ピッチの疎なプリント配線板(例えばマザーボード)等と電気的に接続することが可能になる。
【0038】
以下、図1Aに示す配線板100のコア部を形成する場合を例にとって、本実施形態に係る配線板の製造方法について説明する。
【0039】
まず、絶縁層と、この絶縁層上に形成されている導体層と、を有する基材を準備する。
【0040】
具体的には、図2に示すように、絶縁層11を準備する。絶縁層11は、例えば図1Aに示す配線板100のコア基板(基板101)に相当する。
【0041】
絶縁層11は、例えば心材を樹脂に含浸させてなる。心材は、樹脂よりも小さい熱膨張率を有する。好ましい一例では、心材を絶縁層11の略全体に概ね均一に分散させる。また、絶縁層11を構成する樹脂は、熱硬化性のエポキシ樹脂からなり、心材は、ガラス繊維からなる。ただしこれに限られず、絶縁層11の材質は任意である。
【0042】
続けて、図3に示すように、絶縁層11上に、導体層12を形成する。導体層12は、例えば図1Aに示す配線板100の導体層111aに相当する。
【0043】
導体層12は、例えば銅箔(下層)及び銅のめっき膜(上層)からなる。導体層12は、例えばサブトラクティブ法により形成することができる。具体的には、銅張積層板によって絶縁層11を準備し、絶縁層11上の銅箔をシードとして、銅箔上に銅の電気めっき膜を形成する。そして、エッチングにより、銅箔及び電気めっき膜をパターニングする。これにより、所定のパターンを有する導体層12が形成される。そしてその結果、絶縁層11と、絶縁層11上に形成されている導体層12と、を有する基材1000aが完成する。なお、導体層12は、下層から、銅箔と、無電解銅めっき(化学銅めっき)と、電解銅めっき(電気銅めっき)とが積層される3層構造でもよい。
【0044】
導体層12は、例えば図4に示すように、円形状のランド12aと、ランド12aに接続される配線12bと、を含む。ただしこれに限られず、導体層12のパターンは任意である。
【0045】
導体層12の形成方法は任意である。例えばパネルめっき法、パターンめっき法、フルアディティブ法、セミアディティブ(SAP)法、転写法、及びテンティング法のいずれか1つ、又はこれらの2以上を任意に組み合わせた方法で、導体層12を形成してもよい。
【0046】
続けて、絶縁層11上及び導体層12上に、層間絶縁層13(下層)及び金属箔14(上層)を形成する。層間絶縁層13は、例えば図1Aに示す配線板100の絶縁層102に相当する。
【0047】
具体的には、図5Aに示すように、プレスにより、絶縁層11上及び導体層12上に層間絶縁層13を接着し、さらに層間絶縁層13上に金属箔14を接着する。その後、加熱により層間絶縁層13を硬化させる。これにより、図5Bに示すように、基材1000a(絶縁層11及び導体層12)上に、層間絶縁層13及び金属箔14が形成される。以下、これら絶縁層11、導体層12、層間絶縁層13、及び金属箔14から構成される積層体を、積層体1000bという。なお、プレス及び加熱処理は、複数回に分けて行ってもよい。また、加熱処理とプレスとは別々に行っても、同時に行ってもよい。
【0048】
層間絶縁層13は、例えば熱硬化性のプリプレグ(半硬化状態の接着シート)からなる。詳しくは、層間絶縁層13は、例えば心材を樹脂に含浸させてなる。心材は、樹脂よりも小さい熱膨張率を有する。心材は、例えば層間絶縁層13の略全体に概ね均一に分散させる。本実施形態では、層間絶縁層13を構成する樹脂が、エポキシ樹脂からなる。心材としては、例えばガラス繊維又はアラミド繊維等を用いる。ただし、プリプレグに代えて、RCF(Resin Coated copper Foil)などを用いることもできる。
【0049】
層間絶縁層13を構成する樹脂は任意であり、例えばフェノール樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、フッ素系樹脂、LCP(液晶ポリマー)、ポリエステル樹脂、イミド樹脂(ポリイミド)、BT樹脂、アリル化フェニレンエーテル樹脂(A−PPE樹脂)、又はアラミド樹脂などの熱硬化性樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂であれば、加熱により容易に樹脂を硬化させることができる。
【0050】
金属箔14は、例えば厚さ7μmの銅箔からなる。7μmの銅箔は、例えば12μmの銅箔を層間絶縁層13上に接着した後、その銅箔を全面エッチングで7μmまで薄くすることによって、準備することができる。厚い銅箔を層間絶縁層13上に接着し、接着後にその銅箔を薄くすることで、接着の際に銅箔のハンドリングが容易になる。ただしこれに限定されず、最初から7μmの銅箔を層間絶縁層13上に接着してもよい。また、金属箔14は、例えば銅箔以外の金属箔からなってもよい。
【0051】
続けて、例えば黒色酸化処理法により、金属箔14の表面(例えば全面)を黒化処理する。これにより、レーザの吸収性が高まり、レーザ工程の処理効率を向上させることができると考えられる。
【0052】
続けて、図6に示すように、例えばCOレーザによりレーザ光を照射することによって、層間絶縁層13及び金属箔14に、導体層12を底とする孔13a(有底孔)を形成する。これにより、導体層12上に配置される層間絶縁層13及びその上の金属箔14の所定の部位が除去される。孔13aは、導体層12を露出させる。また、孔13aは、例えば図1Aに示す配線板100におけるビア導体112のビアホールに相当する。孔13aの形成後、必要に応じて、孔13aのデスミアを行う。
【0053】
孔13aの形状は、例えば絶縁層11に向かって縮径されるようにテーパしたテーパ円柱(円錐台)であり、孔13aの平面形状(X−Y平面)は例えば真円である。しかしこれに限定されず、孔13aの形状は任意である。
【0054】
孔13a(有底孔)のアスペクト比(深さ/径)は、0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。アスペクト比が0.7未満であると、フィルドビア表面にリセスが残り易い。アスペクト比が1.0を超えると、開口付近がめっきで塞がれてビアの深部にシーム又はボイドが残り易い。
【0055】
続けて、図7及び図8に示すように、給電層15を形成する。本実施形態では、図8に示すように、孔13aの壁面F21のみに選択的に給電層15を形成する。
【0056】
具体的には、給電層15の形成に先立って、孔13aが形成された積層体1000bの表面(特に、孔13aの壁面F21)のコンディショニングを行う。コンディショニングの好ましい一例では、例えば積層体1000bを所定の時間コンディショナー溶液に浸漬した後、脱イオン水で水洗する。
【0057】
続けて、図7に示すように、コンディショニングされた積層体1000bに、グラファイトからなる導体膜15aをコーティングする。コーティングの好ましい一例では、積層体1000bを所定の時間グラファイト分散液に浸漬して、図7に示すように、コロイド状のグラファイト(導体膜15a)を積層体1000bの孔13aの壁面F21、底面F22、及び金属箔14の上面F23に付着させる。その後、積層体1000bを例えば硫酸溶液に浸漬して、導体膜15aを固定する。これにより、孔13aの壁面F21、孔13aの底面F22(導体層12上)、及び金属箔14の上面F23(金属箔14上)に一体的に、導体膜15aが形成される。
【0058】
続けて、導体層12及び金属箔14のエッチャント(例えば塩化第二銅又は塩化第二鉄)を用いたエッチング(ソフトエッチング)により、導体層12及び金属箔14と共に、導体層12上及び金属箔14上の導体膜15aを除去する。エッチャントは、導体膜15a下に入り込んで、導体膜15a下の導体層12及び金属箔14と共に、その上の導体膜15aを除去する。エッチャントは、グラファイト分子の隙間から導体膜15a下に入り込むと考えられる。これにより、図8及び図9(図4に対応する平面図)に示すように、孔13aの壁面F21のみに導体膜15a(給電層15)が残る。樹脂からなる層間絶縁層13とグラファイトからなる給電層15とは、密着性(接続強度)が高い。本実施形態では、導体層12及び金属箔14の表面を、約0.2μm〜約3.0μmの範囲でエッチングする。以下、給電層15が形成された積層体1000bを、積層体1000cという。
【0059】
給電層15を厚く(例えば約0.3μm以上)形成する場合には、1回で形成せずに、上記コンディショニング、導体膜15aのコーティング(導体膜15aの形成)、及び導体層12及び金属箔14のソフトエッチング(導体膜15aの除去)を、2回以上繰り返す(導体膜15aの形成及び除去を交互に2回以上行う)ことで、段階的に形成することが好ましい。こうすることで、良質の(例えば抵抗の小さい)グラファイト膜が得られる。
【0060】
図9中、給電層15の厚みD1(最小厚み)は、0.3〜0.6μmの範囲にあることが好ましい。給電層15の厚みD1がこうした範囲にあれば、電気めっき時の電気抵抗が下がることによって、製造効率が向上する。
【0061】
続けて、銅のパネルめっきにより、金属箔14上及び孔13a内に、銅の電気めっきを形成する。
【0062】
具体的には、図10に示すように、積層体1000c(給電層15が形成された基材)と第1電極1001とを、容器1002a内の溶液1002に浸し、電源1003(パルス電源)の一端に、積層体1000c(詳しくは、金属箔14、導体層12、及び給電層15の各々)を接続し、他端に第1電極1001を接続する。
【0063】
第1電極1001は、例えばめっきする金属(以下、めっき金属という)からなり、溶出極となる。ただしこれに限られず、第1電極1001は、不溶性極であってもよい。本実施形態では、第1電極1001が銅からなる。
【0064】
積層体1000cにおいて、金属箔14、導体層12、及び給電層15はそれぞれ、第1電極1001と対をなす第2電極となる。第2電極は、被めっき材に相当する。
【0065】
溶液1002は、めっき金属のイオンを含む。本実施形態では、溶液1002が硫酸銅溶液であり、めっき金属が銅であり、めっき金属のイオンがCu2+である。また、溶液1002には、必要に応じて、抑制剤又は促進剤等の添加剤が添加される。本実施形態の溶液1002には、抑制剤としてレベラーが添加され、促進剤としてブライトナーが添加される。
【0066】
電源1003は、図11に示すように、第1電極1001と第2電極(金属箔14、導体層12、及び給電層15)との間の電圧波形をパルス制御して、一定周期で極性を切り替える。電源1003は、整流器等から構成される。本実施形態では、第1電極1001と第2電極との間の電圧波形が、図11に示すような矩形波からなる。
【0067】
時間T1では、第2電極において下記のような析出反応R1が進み、時間T2では、第2電極において下記のような分解反応R2が進む。
(析出反応R1)Cu2+ + 2e → Cu
(分解反応R2)Cu → Cu2+ + 2e
【0068】
時間T1においては、第1電極1001と第2電極との間に析出電圧V1(>0V)が印加され、析出反応R1が進み、第2電極にめっき金属(例えば銅)が析出する。
【0069】
時間T2においては、第1電極1001と第2電極との間に分離電圧V2(<0V)が印加され、分解反応R2が進み、第2電極からめっき金属(例えば銅)が分離(離脱)する。
【0070】
本実施形態では、一定の周期T3(=時間T1+時間T2)で、第1電極1001及び第2電極の極性が入れ替わる。
【0071】
本実施形態では、図12に示すように、第1電極1001(図10)と第2電極との間に析出電圧V1と分離電圧V2とを交互に印加しながら、第2電極(金属箔14、導体層12、及び給電層15)の各々にめっき金属16を析出させていく。これにより、図13に示すように、孔13a(有底孔)がめっき金属16で充填される。その結果、フィルド導体30が形成される。また、孔13aをめっき金属16で充填するのと同時に、金属箔14上にめっき金属16を析出させる。なお、フィルド導体30は、例えば図1Aに示す配線板100のビア導体112に相当する。
【0072】
フィルド導体30は、導体層12(詳しくは、図9に示すランド12a)に接続される。フィルド導体30の形状は、例えば絶縁層11に向かって縮径されるようにテーパしたテーパ円柱(円錐台)であり、フィルド導体30の平面形状(X−Y平面)は例えば真円である。しかしこれに限定されず、フィルド導体30の形状は任意である。
【0073】
電圧印加時の電位分布は、図12に示すように、孔13aの壁面F21及び底面F22が低電位部R11となり、金属箔14の上面F23(表層及び肩)が高電位部R12となる。本実施形態では、第1電極1001(図10)と第2電極との間に析出電圧V1と分離電圧V2とを交互に印加しながらめっき金属16を析出させるため、低電位部R11に厚いめっきを形成し、高電位部R12に薄いめっきを形成することが可能になる。詳しくは、分解反応時には高析出部分(高電位部R12)ほど分解が速く進むことになるため、析出、分解を繰り返すうちに、めっきの付きまわりの部分差が小さくなり、ビア内部でも適正なめっき(めっき金属16の析出)が可能となる。
【0074】
図14及び図15に、銅の無電解めっき(化学銅)からなる給電層15bを有する配線板に直流電源により電気めっきを行う比較例について、第1電極と第2電極との間の電圧(図14)、及び、電気めっきにより孔13a(有底孔)がめっき金属16で充填される様子(図15)を示す。
【0075】
この比較例では、図14に示すように、陽極(アノード)と給電層15b(陰極:カソード)との間に一定の電圧V0を印加し、図15に示すように、電気めっきにより給電層15b上にめっき金属16(銅)を析出させる。このため、低電位部R11に薄いめっき(銅)が形成され、高電位部R12に厚いめっき(銅)が形成される。
【0076】
本実施形態では、給電層15が、めっき金属16よりも溶液1002に溶けにくい材料からなる。溶け易さは、例えば標準電極電位で比較することができる。詳しくは、標準電極電位が大きいほど溶けにくい。本実施形態では、給電層15がグラファイトからなり、めっき金属16が銅からなる。なお、グラファイト、カーボン、パラジウム、及び銅の標準電極電位を比較すると、標準電極電位の大きい方から、グラファイト、パラジウム、銅となり、カーボンの標準電極電位は、グラファイトの標準電極電位と略等しい(グラファイト、カーボン>パラジウム>銅)。
【0077】
本実施形態における分離電圧V2(図11)は、めっき金属16が溶液1002に溶け、且つ、給電層15が溶液1002に溶けない範囲に設定される。これにより、給電層15をほとんど溶かすことなく、分解反応R2が進むことになる。
【0078】
給電層15が溶けて薄くなると、抵抗値が高くなって電気めっきの速度が遅くなったり、めっき金属16の析出が均一でなくなったりするおそれがある。また、給電層15が完全に溶けて無くなると、電気めっきを行うことができなくなる。このため、給電層15が溶け易い場合は、分離電圧V2を高くすること、又はめっき金属の離脱時間(時間T2)を長くすることが難しい。この点、本実施形態では、給電層15が、めっき金属よりも溶液1002に溶けにくい材料からなる。これにより、分離電圧V2を高くすること、又はめっき金属の離脱時間(時間T2)を長くすることが可能になる。その結果、高い生産性でフィルド導体を形成することが可能になる。また、分離電圧V2を高くすることで、導体層12とフィルド導体30との間のシーム発生を抑制することが可能になる。このため、小径のビアホールに電気めっきする場合でも、シームレスになり易くなる。
【0079】
図16に、電気めっきの給電層として化学銅を用いた場合の特性と、電気めっきの給電層として銅よりも標準電極電位の大きい各導電性材料を用いた場合の特性と、を対比して示す。
【0080】
図16に示されるように、厚さ50nmの化学銅の抵抗値は0.008Ωであり、厚さ300nmのグラファイトの抵抗値は0.08Ωであり、厚さ50nmのカーボンブラックの抵抗値は5Ωであり、厚さ約1nmのパラジウムの抵抗値は3Ωであり、厚さ約1nmの導電性ポリマの抵抗値は50Ωである。
【0081】
本実施形態では、孔13aの壁面F21のみに選択的に給電層15を形成する。このため、給電層15を介在させず、導体層12上に直接、めっき金属16を析出させることが可能になる。これにより、導体層12とめっき金属16との結合が金属同士の結合になるため、接合強度が向上する。
【0082】
しかしながら、導体層12とフィルド導体30との間に給電層15の材料が残留すると、シームが発生し易くなる。この点、導体層12を構成する材料(銅箔及び銅の電気めっき膜)と同じ金属である化学銅は、実質的に、導体層12と区別がつかない(又は同一視できる)ため、導体層12上に残留しないと考えられる。また、非金属であるグラファイト及びカーボンブラックは、完全に除去し易いため、導体層12上に残留しにくい。一方、パラジウム及び導電性ポリマは、導体層12上に残留し易い。
【0083】
本実施形態では、給電層15がグラファイトからなる。グラファイトは、導体層12上に残留しにくいため、導体層12とフィルド導体30との間のシーム発生を抑制するのに適している。
【0084】
図16に示されるように、グラファイトは、カーボンブラック、パラジウム、及び導電性ポリマに比べて、抵抗が小さい。このため、グラファイトからなる給電層15は、電気めっきの第2電極(被めっき材)として適している。
【0085】
また、給電層15を化学銅で形成する場合には、良質の無電解銅めっき膜を得るために、還元剤としてはホルマリン等が、また、触媒としてレアメタルであるパラジウム(Pb)等が必要になる。この点、本実施形態では、給電層15をグラファイトで形成するため、ホルマリン及びパラジウムを使用することなく、良質の給電層を得ることができる。その結果、環境負荷の低減(例えば廃液量の低減)又は材料コストの低減が可能になる。
【0086】
本実施形態では、導体層12及び金属箔14がそれぞれ、めっき金属16と同じ金属(銅)からなる。これにより、めっき界面の不整合が抑制され、導体層12及び金属箔14とフィルド導体30との間のシーム発生が抑制される。また、本実施形態では、給電層15が、導体層12及び金属箔14のいずれとも異なる導体材料からなる。具体的には、給電層15をグラファイトで形成することで、環境負荷の低減又は材料コストの低減を図っている。
【0087】
続けて、リソグラフィ技術により、層間絶縁層13上の導体層(金属箔14及びめっき金属16)をパターニングする。
【0088】
具体的には、図17に示すように、めっき金属16上に、開口部1004aを有するエッチングレジスト1004を形成する。開口部1004aは、導体層(金属箔14及びめっき金属16)をエッチングすべき部分に配置される。
【0089】
続けて、図18に示すように、例えば塩化第二銅又は塩化第二鉄により、層間絶縁層13上の導体層(金属箔14及びめっき金属16)をエッチングする。層間絶縁層13上の導体層のうち、エッチングレジスト1004で覆われている部分は、エッチングされずに残り、開口部1004aから露出する部分は、エッチングにより除去される。これにより、金属箔14(下層)及びめっき金属16(上層)から構成される導体層20(上層導体層)が形成される。フィルド導体30は、導体層12(詳しくは、図9に示すランド12a)と導体層20とを相互に電気的に接続する。導体層20は、例えば図1Aに示す配線板100の導体層112aに相当する。
【0090】
導体層20の最小厚みは、10〜30μmの範囲にあることが好ましい。本実施形態では、前述した析出電圧及び分離電圧の印加により、孔13a(有底孔)をめっき金属16で充填するのと同時に、金属箔14上にめっき金属16を析出させて、層間絶縁層13上に、最小厚みが10〜30μmの範囲にある導体層20(上層導体層)を形成する。導体層20の最小厚みが下限値(10μm)より小さいと、ビアのリセスが解消できずに平坦性を損ね易くなる。
【0091】
以上説明した工程により、図1Aに示す配線板100の基板101(コア基板)、絶縁層102(層間絶縁層)、ビア導体112、及び導体層111a、112aを形成することができる。基板101の第1面F1側も、基板101の第2面F2側も、同じ様に(例えば同時に)形成することができる。また、絶縁層103、104、105(層間絶縁層)、ビア導体113、114、115、及び導体層113a、114a、115aも、上記工程(図2〜図13、図17、及び図18参照)により形成することができる。そして、コア基板、各層間絶縁層、各ビア導体、及び各導体層の形成後、例えばスクリーン印刷、スプレーコーティング、ロールコーティング、又はラミネート等によりソルダーレジスト106を形成することで、図1Aに示す配線板100は完成する。
【0092】
また、本実施形態の製造方法(図2〜図13、図17、及び図18参照)により、図1Bに示す配線板100を製造してもよい。この場合、絶縁層11は、図1Bに示す絶縁層102に相当し、導体層12は、図1Bに示す導体層112aに相当し、層間絶縁層13は、図1Bに示す絶縁層103に相当し、導体層20は、図1Bに示す導体層113aに相当し、フィルド導体30は、図1Bに示すビア導体113に相当する。
【0093】
本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば以下のように変形して実施することもできる。
【0094】
給電層15の材料は、グラファイトに限られない。めっき金属16よりも溶液1002に溶けにくい材料であれば、分離電圧V2を高くすること、又はめっき金属の離脱時間(時間T2)を長くすることが可能になる。
【0095】
また、給電層15の材料が、非金属の導電性材料であれば、金属からなる導体層12上に残留しがちな不要な給電層15の材料を完全に除去し易くなる。また、給電層15の材料が、グラファイト又はカーボンブラックなど、炭素を含む非金属の導電性材料であれば、高い導電性を付与し易くなり、樹脂からなる層間絶縁層13との間で高い密着性が得られ易い。
【0096】
フィルド導体30を形成するための電気めっきにおいて第1電極1001と第2電極との間に印加される電圧波形は、図11に示すような矩形波に限られず任意である。電圧波形は、例えば図19Aに示すように、正弦波又は余弦波であってもよいし、例えば図19Bに示すように、ノコギリ波であってもよい。また、電圧波形の析出電圧V1、分離電圧V2、及び周期は、一定でなくてもよい。
【0097】
上記実施形態では、ランド12a(導体層20)に接続されるフィルド導体30を形成した(図9及び図18参照)。しかしこれに限られず、例えば図20(図9に対応する平面図)に示すように、電子部品内蔵配線板において、上記実施形態の製造方法(図2〜図13、図17、及び図18参照)により、配線板に内蔵される電子部品300の電極300aに接続されるフィルド導体を形成してもよい。
【0098】
フィルド導体30及びその孔13aの形状は、テーパ円柱(円錐台)に限られず任意である。フィルド導体30及びその孔13aの平面形状は、例えば図21Aに示されるように、略正方形であってもよい。また、略正六角形、略正八角形など、略正方形以外の略正多角形であってもよい。なお、多角形の角の形状は任意であり、例えば略直角でも、鋭角でも、鈍角でも、丸みを帯びていてもよい。ただし、熱応力の集中を防止する上では、角が丸みを帯びていた方が好ましい。
【0099】
さらに、フィルド導体30及びその孔13aの平面形状は、略楕円であっても、略長方形又は略三角形等であってもよいし、図21Bに示す略十字形又は図21Cに示す略正多角星形など、中心から放射状に直線を引いた形(複数の羽根を放射状に配置した形)であってもよい。
【0100】
また、孔13aの壁面は、テーパしていなくてもよい。例えばフィルド導体30及びその孔13aの形状は、円柱であってもよい。
【0101】
本発明に係る配線板の製造方法が製造対象とする配線板は、図1A又は図1Bに示したものに限られず任意であり、本実施形態の方法により、他の配線板を製造してもよい。例えば図1Aの配線板において、基板101(コア基板)に開口部を形成し、その開口部に電子部品を配置することで、電子部品内蔵配線板にしてもよい。また、リジッド配線板であっても、フレキシブル配線板であってもよい。また、両面配線板であっても、片面配線板であってもよい。導体層及び絶縁層の寸法、層数等も任意である。
【0102】
本発明に係る配線板の製造方法は、実施形態で示した順序及び内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に順序や内容を変更することができる。また、用途等に応じて、必要ない工程を割愛してもよい。
【0103】
上記実施形態及び変形例は、任意に組み合わせることができる。用途等に応じて適切な組み合わせを選ぶことが好ましい。
【0104】
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、「請求項」に記載されている発明や「発明を実施するための形態」に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明に係る配線板の製造方法は、携帯機器などの回路基板として用いられる配線板の製造に適している。
【符号の説明】
【0106】
11 絶縁層
12 導体層
12a ランド
12b 配線
13 層間絶縁層
13a 孔
14 金属箔
15 給電層
15a 導体膜
15b 給電層
16 金属
20 導体層
30 フィルド導体
100 配線板
101 基板
102〜105 絶縁層
106、107 ソルダーレジスト
106a、107a 開口部
111、112、113、114、115 ビア導体
111a、112a、113a、114a、115a 導体層
200 電子部品
200a 封止樹脂
300 電子部品
300a 電極
1000a 基材
1000b、1000c 積層体
1001 第1電極
1002 溶液
1002a 容器
1003 電源
1004 エッチングレジスト
1004a 開口部
F1 第1面
F2 第2面
F21 壁面
F22 底面
F23 上面
P1 パッド
P2 パッド
R1 析出反応
R2 分解反応
R11 低電位部
R12 高電位部
S スタック導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、該絶縁層上に形成されている導体層と、を有する基材を準備することと、
前記導体層上及び前記絶縁層上に、層間絶縁層を形成することと、
前記層間絶縁層上に、金属箔を形成することと、
前記層間絶縁層及び前記金属箔に、前記導体層を底とする有底孔を形成することと、
前記有底孔の壁面に、給電層を形成することと、
前記給電層が形成された基材を、めっき金属のイオンを含む溶液に浸し、前記めっき金属を析出させる析出電圧と前記めっき金属を分離させる分離電圧とを交互に印加しながら、前記有底孔を前記めっき金属で充填することと、
を含み、
前記給電層は、前記めっき金属よりも前記溶液に溶けにくい材料からなり、
前記分離電圧は、前記めっき金属が前記溶液に溶け、且つ、前記給電層が前記溶液に溶けない範囲に設定される、
ことを特徴とする配線板の製造方法。
【請求項2】
前記給電層は、非金属の導電性材料からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の配線板の製造方法。
【請求項3】
前記給電層は、炭素を含む非金属の導電性材料からなる、
ことを特徴とする請求項2に記載の配線板の製造方法。
【請求項4】
前記給電層は、グラファイトからなる、
ことを特徴とする請求項3に記載の配線板の製造方法。
【請求項5】
前記給電層を形成することでは、前記給電層が、前記有底孔の壁面のみに選択的に形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の配線板の製造方法。
【請求項6】
前記給電層を形成することには、
前記有底孔の壁面、前記導体層上、及び前記金属箔上に一体的に、前記めっき金属よりも前記溶液に溶けにくい材料からなる導体膜を形成することと、
前記導体層及び前記金属箔のエッチャントを用いたエッチングにより、前記導体層及び前記金属箔と共に、前記導体層上及び前記金属箔上の前記導体膜を除去することと、
が含まれる、
ことを特徴とする請求項5に記載の配線板の製造方法。
【請求項7】
前記導体膜の形成と前記導体膜の除去とを交互にそれぞれ2回以上行う、
ことを特徴とする請求項6に記載の配線板の製造方法。
【請求項8】
前記給電層の最小厚みは、0.3〜0.6μmの範囲にある、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の配線板の製造方法。
【請求項9】
前記有底孔のアスペクト比は、0.7〜1.0の範囲にある、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の配線板の製造方法。
【請求項10】
前記析出電圧及び前記分離電圧の印加により、前記有底孔を前記めっき金属で充填するのと同時に、前記金属箔上に前記めっき金属を析出させて、前記層間絶縁層上に、最小厚みが10〜30μmの範囲にある上層導体層を形成する、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の配線板の製造方法。
【請求項11】
前記めっき金属のイオンを含む前記溶液には、抑制剤及び促進剤が含まれる、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の配線板の製造方法。
【請求項12】
前記導体層及び前記金属箔はそれぞれ、前記めっき金属と同じ金属からなり、
前記給電層は、前記導体層及び前記金属箔のいずれとも異なる導体材料からなる、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の配線板の製造方法。
【請求項13】
前記析出電圧及び前記分離電圧の印加は、パルス制御される、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の配線板の製造方法。
【請求項14】
前記析出電圧及び前記分離電圧の印加では、一定の周期で極性が入れ替わる、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の配線板の製造方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19A】
image rotate

【図19B】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21A】
image rotate

【図21B】
image rotate

【図21C】
image rotate


【公開番号】特開2013−89779(P2013−89779A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229207(P2011−229207)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】