説明

配線機能付きシール部材

【課題】配線がなされる中空部が潰れることを防止できる配線機能付きシール部材を提供する。
【解決手段】所定の部材4,4’の間に挟み込まれて所定の部材4,4’の間をシールすることができるとともに、内部に形成された中空部26に配線21を行うことができる長尺状の配線機能付きシール部材19において、中空部26が剛性を有する配線部27に形成されるとともに、配線部27の外周の少なくとも一部に、所定の部材4’が当接される柔軟性を有する緩衝部28が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の部材の間に挟み込まれて該所定の部材の間をシールすることができるとともに、内部に形成された中空部に配線を行うことができる長尺状の配線機能付きシール部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、展示什器等において、配線の容易さと見栄えの良さを両立させるために、ケーブルが配線される中空部を有するエッジ部材(シール部材)を、前板及び側板の端面の間に挟み込ませるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、このような展示什器では、扉部の戸当部に可撓性を有する合成樹脂等からなる戸当部材(シール部材)を設け、この戸当部材内に電力線を配線するようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−142445号公報(第4頁、第2図)
【特許文献2】特開2011−19682号公報(第6頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載の戸当部材(シール部材)にあっては、戸当部に配線を行えるため、戸当部材に対して電力線の出し入れがし易くメンテナンス性に優れているものの、戸当部は、扉部が繰り返し当接される部位であるため、扉部の閉鎖時に電力線の配線スペース(中空部)が潰れてしまう場合がある。そして、長年の使用により潰れた状態で固定化されてしまい、電力線の出し入れがし難くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、配線がなされる中空部が潰れることを防止できる配線機能付きシール部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の配線機能付きシール部材は、
所定の部材の間に挟み込まれて該所定の部材の間をシールすることができるとともに、内部に形成された中空部に配線を行うことができる長尺状の配線機能付きシール部材において、
前記中空部が剛性を有する配線部に形成されるとともに、該配線部の外周の少なくとも一部に、前記所定の部材が当接される柔軟性を有する緩衝部が設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、シール部材に所定の部材が当接された際に、柔軟性を有する緩衝部が変形されて当接力を吸収し、かつ電力線が配線される中空部は、剛性を有している配線部により保護されて変形されずに済むようになり、配線がなされる中空部が潰れることを防止できる。
【0008】
本発明の配線機能付きシール部材は、
前記配線部と前記緩衝部とがそれぞれ硬度が異なる材質で形成されており、前記配線部が硬質材で形成されるとともに、前記緩衝部が少なくとも前記硬質材よりも軟質な軟質材で形成されることを特徴としている。
この特徴によれば、配線部と緩衝部の材質の違いにより、配線部を変形し難くさせることができるとともに、緩衝部を変形し易くさせることができ、シール部材に所定の部材が当接された際に、配線部に当接力が加わる前に緩衝部が変形され、当接力の殆どが緩衝部によって吸収されるようになる。
【0009】
本発明の配線機能付きシール部材は、
前記緩衝部の内部には、第2の中空部が形成されることを特徴としている。
この特徴によれば、シール部材に所定の部材が当接された際に、第2の中空部が潰れることにより緩衝部が変形し易くなり、当接力を吸収することができる。
【0010】
本発明の配線機能付きシール部材は、
前記配線部には、その外周が長手方向に沿って切断された開口条が形成されることを特徴としている。
この特徴によれば、配線部の開口条から電力線等を配線部の中空部に挿設させることができる。
【0011】
本発明の配線機能付きシール部材は、
前記緩衝部の外面は、湾曲形状をなしていることを特徴としている。
この特徴によれば、緩衝部の外面に対していかなる方向から所定の部材が当接しても、同じような変形がなされて当接力を吸収することができ、配線部が緩衝部の変形の影響を受け難くなる。
【0012】
本発明の配線機能付きシール部材は、
前記配線部の中空部の少なくとも内面が摺動性を有することを特徴としている。
この特徴によれば、配線部を摺動性を有する材質で成形する、若しくは、配線部の中空部の内面を摺動性を有する樹脂でコーティングする等の処置を施し、配線部の中空部の少なくとも内面が摺動性を有する構成にすることで、配線部の中空部に電力線等をスムーズに挿設させることができる。
【0013】
本発明の配線機能付きシール部材は、
前記緩衝部の少なくとも外面が摺動性を有することを特徴としている。
この特徴によれば、緩衝部を摺動性を有する材質で成形する、若しくは、緩衝部の外面を摺動性を有する樹脂でコーティングする等の処置を施し、緩衝部の少なくとも外面が摺動性を有する構成にすることで、所定の部材とシール部材とが擦れるような当接の仕方をする場合であっても、所定の部材とシール部材との相対移動がスムーズに行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における展示ケースを示す斜視図である。
【図2】展示ケースを示す縦断正面図である。
【図3】発光パネルユニットを示す縦断正面図である。
【図4】展示ケースを示す平面図である。
【図5】戸当部を示す横断平面図である。
【図6】シール部材を示す斜視図である。
【図7】実施例2におけるシール部材を示す横断平面図である。
【図8】実施例3におけるシール部材を示す横断平面図である。
【図9】実施例4におけるシール部材を示す横断平面図である。
【図10】実施例5におけるシール部材を示す横断平面図である。
【図11】実施例6におけるシール部材を示す横断平面図である。
【図12】実施例7におけるシール部材を示す横断平面図である。
【図13】変形例における戸当部を示す横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る配線機能付きシール部材を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0016】
実施例1に係る配線機能付きシール部材につき、図1から図6を参照して説明する。図1の符号1は、本発明の適用された展示ケースである。この展示ケース1は、主に美術館や博物館等に設置され、展示ケース1内に配置された展示品2を、鑑賞者が展示ケース1の周囲から鑑賞できるようになっている。
【0017】
図1に示すように、展示ケース1は、床面に設置されて平面視で略四角形状をなす展示台3を有し、展示台3の四方の各側面の外周を取り囲むように、床面から立設されたガラス等の材質で形成された透明な側面パネル4が4枚配置されている。この側面パネル4によって展示台3の上方に展示空間5が形成されている。そして、展示品2を展示台3の上面に配置でき、展示品2を展示空間5内に収容するようになっている。
【0018】
図2に示すように、各側面パネル4の上面開口部は、ガラス等の材質で形成された透明な天井パネル6で閉塞されており、この天井パネル6の上面側の中央部には、発光パネルユニット7が配置されている。また、天井パネル6は、平面視で略四角形状をなし、発光パネルユニット7も平面視で略四角形状をなし、かつこの発光パネルユニット7は、天井パネル6よりも小さく形成されている(図4参照)。
【0019】
図3及び図4に示すように、発光パネルユニット7の周辺部における天井パネル6の上面には、非透光性を有して天井パネル6の下方側から上方を見えなくするための薄板状(シート状)の天井枠部材8天井枠部材8(枠部)が配置されている。なお、本実施例では、天井枠部材8として黒色の塩化ビニール板を用いている。この天井枠部材8は、鋼板やアルミ板などの金属材料により形成してもよいし、ガラスや樹脂などの非金属板により形成してもよく、さらには、PETなどを用いてフィルム状に形成してもよい。
【0020】
そして、この天井枠部材8により、天井パネル6における発光パネルユニット7の周辺部が非透光性の部位にできる。また、天井枠部材8には、発光パネルユニット7から照射される光を通過させる中央開口部22が形成されている。なお、本実施例では、展示台3と側面パネル4と天井パネル6とによりケース本体が構成されている。
【0021】
図3に示すように、発光パネルユニット7は、アクリル樹脂等の材質で形成された導光板9を有している。この導光板9は、その上面の全面に渡って微細な凹凸が形成されている。この微細な凹凸は、シルク印刷加工やV溝カット加工や成形加工やレーザー加工等の所定の加工方法により形成されている。
【0022】
また、導光板9の上面には、光を反射させる反射シート10が設けられている。導光板9の下面には、光を拡散させる拡散シート11が設けられている。平面視で略四角形状をなす導光板9の左右二辺のそれぞれには、照明手段としての複数のLED12を有する照明基板13が設けられている。この照明基板13は、導光板9の端面に沿って延設されており、複数のLED12は、照明基板13の長手方向に沿って並設されており、このLED12は導光板9の端面側に向いている。
【0023】
図3及び図4に示すように、照明基板13は、薄い板部材が断面視で略コ字形状をなすように屈曲成形された枠筐体14に装着されており、この枠筐体14が導光板9の左右二辺に設けられている。また、導光板9の照明基板13が設けられた2辺以外の他の辺は、断面視で略コ字形状をなす枠筐体14に嵌合されている。さらに、四つの枠筐体14で囲まれた上面側は、カバー材15により閉塞されている。なお、四つの枠筐体14で囲まれた下面側は、開口されて下面開口部16が形成されている。
【0024】
また、発光パネルユニット7の下面開口部16は、天井枠部材8の中央開口部22と同一の寸法に形成されており、発光パネルユニット7が天井枠部材8の上面に配置された状態では、発光パネルユニット7の下面開口部16と天井枠部材8の中央開口部22との配置位置が同一になっている。そして、天井枠部材8の中央開口部22を介して発光パネルユニット7の下面が露呈されている。
【0025】
また、天井パネル6の上面において、発光パネルユニット7の下面開口部16及び天井枠部材8の中央開口部22に対応する位置には、ゲルテープ23(位置規制手段)が貼り付けられている。このゲルテープ23は、略平板のテープ状をなして上下面及び左右面の全ての面が粘着性を有する粘着部材となっており、透光性を有するシリコンを主材としたゲル状の材質から構成される特殊エラストマー樹脂のゲル状組成物となっている。なお、ゲルテープ23は、電磁誘導加熱機により接着・解体できる熱可塑テープなどの解体性接着剤を用いた材質であってもよい。
【0026】
また、シリコンを主材としたゲル状の材質により容易に適度な粘着力を有するゲルテープ23を製造することができる。そして、このゲルテープ23は、発光パネルユニット7から照射される光を下方に透光させることができる。
【0027】
また、ゲルテープ23は、発光パネルユニット7の下面開口部16を構成する枠筐体14の内縁辺及び天井枠部材8の内縁辺に沿って配置されている。なお、ゲルテープ23の厚み寸法は、枠筐体14の内縁辺の厚み寸法と、天井枠部材8の内縁辺の厚み寸法とを合わせた寸法となっている。
【0028】
そして、発光パネルユニット7の枠筐体14の内縁辺及び天井枠部材8の内縁辺がゲルテープ23に係止されることで、発光パネルユニット7及び天井枠部材8が天井パネル6の上面で水平方向に移動不能に固定された状態となっている。
【0029】
図4に示すように、複数のLED12が導光板9の端面側にのみ配置されており、発光パネルユニット7は、その上下幅を小さくして薄型に形成し、かつ軽量化することができるとともに、LED12の使用個数を減らして製造コストを低減させることができる。また、薄型の発光パネルユニット7を用いることにより、圧迫感が少ない展示ケース1とすることができる。
【0030】
また、照明基板13のLED12を点灯させると、LED12より発せられた光は、導光板9の端面に向かって入射される。この入射された光は、導光板9内部で広がり、導光板9の上面に達した光は、導光板9の上面に形成された微細な凹凸で拡散されつつ、反射シート10により反射され、導光板9の下面側に向かうようになっている。
【0031】
また、導光板9の下面に達した光は、拡散シート11により拡散され、導光板9の下面側全体から均一に照射されるようになっている。LED12から発せられる光は直接展示品2に照射されるのではなく導光板9を介して照射されるため、紫外線や赤外線を低減させた光を展示品2に照射させることができ、長時間照射しても、紫外線によって展示品2が色褪せたり、赤外線による熱で展示品2を傷めたりせずに済むようになる。
【0032】
前述したように、天井パネル6は、平面視で略四角形状をなし、発光パネルユニット7も平面視で略四角形状をなし、かつこの発光パネルユニット7は、天井パネル6よりも小さく形成されているが、発光パネルユニット7から照射される光は、発光パネルユニット7から外側斜め下方向に向かって広がるようになっており、この発光パネルユニット7の大きさは、照射される光が展示台3の形状にまんべんなく照射される程度の大きさに形成されている。
【0033】
そのため、展示台3よりも外方側に光が照射されないように、発光パネルユニット7による照射領域を展示台3の上面に限定することにより発光パネルユニット7の消費電力を低減できる。また、展示ケース1の外周に居る鑑賞者の目に光が直接入り込まないようにすることができる。
【0034】
また、天井パネル6における発光パネルユニット7の周辺部には、非透光性の天井枠部材8が設けられているため、展示ケース1の上方にある室内の天井の照明装置等から光が照射された際に、展示ケース1の上方から展示ケース1内に入り込む光が遮られることとなる。そのため、発光パネルユニット7から発せられる光のみで展示品2を照らすことができ、展示ケース1による照明効果を高められる。
【0035】
さらに、発光パネルユニット7は、天井パネル6の上方に配置されているため、別途、発光パネルユニット7を支持するための部材を用いることなく、天井パネルを利用して発光パネルユニットを支持することができる。また、LED12から発生する熱によって暖められた空気が展示空間5内に入り込まないようになり、展示空間5内の温度上昇を防止することができる。
【0036】
なお、従来の一般的な照明装置のように、照射面全体にLEDを配置して照射されるようにすると、LEDは点発光するようになっているため、その点発光が目立ってしまい、照射面全体にLEDの光のムラができてしまうようになっている。しかしながら本実施例の発光パネルユニット7では、LED12から照射された光が、一旦、導光板9に入射した後、拡散シート11を介して発光パネルユニット7の下面側から照射されるようになっており、その照射面全体がムラなく一様に発光するようになっている。
【0037】
図4に示すように、4枚の側面パネル4のうち背面側の一枚は、その端縁に設けられたヒンジ17によって外方向に揺動されて開放される扉部となっている。この背面側の側面パネル4’を開放することで展示品2を展示空間5内に収容できるようになっている。さらに、背面側の側面パネル4’を閉塞させる際に、この側面パネル4’の端縁が当接する戸当部18には、合成樹脂等からなるシール部材19が設けられている(図5参照)。
【0038】
図3に示すように、LED12が配置される照明基板13から電力線20が発光パネルユニット7の外部に延びている。この電力線20は、天井枠部材8の上面に設けられた配線カバー24内に挿設されて、発光パネルユニット7の角部から天井パネル6の角部に向かって延びるフラットケーブルとなっている。そして、天井枠部材8の戸当部18に対応する位置には、電力線20が着脱されるコネクタ25が設けられている。
【0039】
図4及び5に示すように、コネクタ25には、戸当部18に沿って下方に延びる電力線21が接続されており、この電力線21が前述したシール部材19に挿設されている。そして、この電力線21は、展示台3内部に配置された制御回路(図示略)に接続されている。この制御回路は、室内に設けられたコンセント等から電力を供給されるようになっている。
【0040】
そして、本実施例の展示ケース1は、一般的な鑑賞者の身長よりも大きく形成されており、鑑賞者が天井パネルを下方から見上げた際に、この電力線20は天井枠部材8により鑑賞者から見えないようになっている。さらに、発光パネルユニット7の枠筐体14も、天井枠部材8の上面側に配置されているため、鑑賞者が天井パネルを下方から見上げた際に、枠筐体14が鑑賞者から見えないようになっている。
【0041】
さらに、電力線21が挿設されるシール部材19について図5及び図6を用いて詳述する。このシール部材19は、合成樹脂等の材質で形成された長尺状の部材でとなっている。このシール部材19は、扉部としての側面パネル4’(所定の部材)の端面と側面パネル4(所定の部材)の端面との隙間に挟み込まれて、この隙間をシールするシール機能を有するとともに、内部に形成された第1の中空部26に電力線21を挿設できる配線機能を有する。
【0042】
そのため、シール部材19によって展示空間5の気密性が保てるとともに、電力線21が露呈しないようにシール部材19に保持させることができ、電力線21が展示品2の鑑賞を妨げないようになっている。なお、本実施例では、電力線21がシール部材19の端部の開口から第1の中空部26内に挿入されるようになっている。
【0043】
そして、シール部材19は、前述の配線がなされる第1の中空部26が形成された配線部27を有し、この配線部27は、断面視で四角形状をなしている。また、シール部材19は、配線部27の部位が側面パネル4の端面に接着剤等により取り付けられている。また、シール部材19は、扉部としての側面パネル4’の端面が当接される部位に、柔軟性を有する緩衝部28が設けられている。
【0044】
また、シール部材19の緩衝部28は、配線部27の外周の一部に設けられており、緩衝部28は断面視でドーム形状をなしており、緩衝部28の外面が湾曲されている。さらに、緩衝部28の内部には、第2の中空部29が形成されている。
【0045】
また、シール部材19の配線部27と緩衝部28とは、それぞれ硬度が異なる材質で形成されており、配線部27が硬質材で形成されるとともに、緩衝部28が配線部27よりも軟質な軟質材で形成される。この配線部27及び緩衝部28は、異なる樹脂材を一体的に成形した2色成形により作製されている。そして、配線部27が剛性を有するとともに、緩衝部28が柔軟性を有するようになっている。さらに、シール部材19を形成する合成樹脂は、ポリオレフィン系エラストマーを用いている。
【0046】
なお、本実施例におけるシール部材19は、半透明の樹脂材を用いて作製されており、電力線21の被覆が白やグレーなどの淡い色であれば、シール部材19の色調により目立たなくすることができ、かつ側面パネル4,4’とシール部材19との色合いの差異を少なくして、美観に直ぐれた展示ケース1とすることができる。
【0047】
さらに、配線部27を形成する硬質材及び緩衝部28を形成する軟質材は、摺動性を有する材質となっている。そして、配線部27の第1の中空部26の内面が摺動性を有するようになっており、配線部27の第1の中空部26に電力線21等をスムーズに挿設させることができる。また、緩衝部28の外面が摺動性を有するようになっており、側面パネル4’の端面とシール部材19とが擦れるような当接の仕方をする場合であっても、側面パネル4’の端面とシール部材19との相対移動がスムーズに行えるようになり、シール部材19の耐摩耗性が向上される。
【0048】
なお、配線部27の第1の中空部26の内面を摺動性を有する樹脂でコーティングする等の処置を施すことで、配線部27の第1の中空部26の少なくとも内面が摺動性を有する構成にしてもよい。同様に、緩衝部28の外面を摺動性を有する樹脂でコーティングする等の処置を施すことで、緩衝部28の少なくとも外面が摺動性を有する構成にしてもよい。
【0049】
以上説明したように、本実施例におけるシール部材19にあっては、第1の中空部26が剛性を有する配線部27に形成されるとともに、配線部27の外周の一部に、側面パネル4’の端面が当接される柔軟性を有する緩衝部28が設けられることで、シール部材19に側面パネル4’の端面が当接された際に、柔軟性を有する緩衝部28が変形されて当接力を吸収し、かつ電力線21が配線される第1の中空部26は、剛性を有している配線部27により保護されて変形されずに済むようになり、配線がなされる第1の中空部26が潰れることを防止できる。そして、電力線21が圧迫される虞もなく、断線等も防止できる。
【0050】
また、配線部27と緩衝部28の材質の違いにより、配線部27を変形し難くさせることができるとともに、緩衝部28を変形し易くさせることができ、シール部材19に側面パネル4’の端面が当接された際に、配線部27に当接力が加わる前に緩衝部28が変形され、当接力の殆どが緩衝部28によって吸収されるようになる。さらに、緩衝部28が変形されることで、シール機能が向上され、展示空間5の気密性が高められるようになる。
【0051】
また、緩衝部28の内部に第2の中空部29が形成されることで、シール部材19に側面パネル4’の端面が当接された際に、第2の中空部29が潰れることにより緩衝部28が変形し易くなり、当接力を吸収することができる。さらに、配線部27の第1の中空部26と緩衝部28の第2の中空部29とがそれぞれ別室となって仕切られていることで、電力線21が不用意に緩衝部28の第2の中空部29内に移動されることもなくなる。
【0052】
また、緩衝部28の外面は、湾曲形状をなしていることで、緩衝部28の外面に対していかなる方向から側面パネル4’等の部材が当接しても、同じような変形がなされて当接力を吸収することができ、配線部27が緩衝部28の変形の影響を受け難くなる。
【実施例2】
【0053】
図7に示すように、実施例2に係るシール部材19aでは、配線部27の外周が長手方向に沿って切断されて開口された開口条30が形成されているとともに、配線部27の第1の中空部26の内面の角部に、長手方向に沿って凹設された凹条31が形成されている。そのため、開口条30を広げることで、前述した電力線21を開口条30から第1の中空部26内に挿入して配線できるようになっている。
【実施例3】
【0054】
図8に示すように、実施例3に係るシール部材19bでは、配線部27に配線を行える2つの第1の中空部26が形成されている。そして、それぞれの第1の中空部26に異なる電力線(図示略)や信号線(図示略)等を配線できるようになっている。
【実施例4】
【0055】
図9に示すように、実施例4に係るシール部材19cでは、緩衝部28の一部が長手方向に沿って切断されて開口されたスリット条32が形成されている。このスリット条32が形成されることにより、緩衝部28が潰れ易くなっており、シール部材19cに側面パネル4’の端面が当接された際に、当接力を吸収することができる。
【実施例5】
【0056】
図10に示すように、実施例5に係るシール部材19dでは、配線部27の一面側からT字状に突設された緩衝部28が形成されている。この緩衝部28は、その外面が湾曲されており、緩衝部28の湾曲された部位が配線部27に向かって撓み易くなっている。そのため、シール部材19dに側面パネル4’の端面が当接された際に、当接力を吸収することができる。なお、配線部27と緩衝部28は同一材質で形成されているが、緩衝部28はその形状により柔軟性を有するようになっている。
【実施例6】
【0057】
図11に示すように、実施例6に係るシール部材19eでは、配線部27の一面からI字状に突設された緩衝部28が形成されている。この緩衝部28は、配線部27から突出された凸条となっており、その幅方向に向かって撓み易くなっている。そのため、シール部材19eに側面パネル4’の端面が当接された際に、当接力を吸収することができる。なお、配線部27と緩衝部28は同一材質で形成されているが、緩衝部28はその形状により柔軟性を有するようになっている。
【実施例7】
【0058】
図12に示すように、実施例7に係るシール部材19fでは、配線部27の一面には、配線部27と別部材で構成されたスポンジ状の緩衝部28が貼り付けられている。このスポンジ状をなす緩衝部28によって、シール部材19fに側面パネル4’の端面が当接された際に、当接力を吸収することができる。
【0059】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0060】
例えば、扉部としての側面パネル4’(所定の部材)が揺動されて開放されるようになっているが、図13の変形例に示すように、側面パネル4’を引戸式のスライド扉として構成してもよい。そして、この引戸式の側面パネル4’の端面とシール部材19とが擦れるような当接の仕方をする場合であっても、緩衝部28の外面が摺動性を有することで、側面パネル4’の端面とシール部材19との相対移動がスムーズに行えるようになる。
【0061】
また、前記実施例では、シール部材19の緩衝部28は、配線部27の外周の一部に設けられているが、配線部27の外周の全面に緩衝部28を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 展示ケース
2 展示品
3 展示台
4 側面パネル(透明パネル,所定の部材)
4’ 側面パネル(扉部,所定の部材)
5 展示空間
6 天井パネル
7 発光パネルユニット
8 天井枠部材(枠部)
9 導光板
10 反射シート
11 拡散シート
12 LED(照明手段)
13 照明基板(照明手段)
14 枠筐体
15 カバー材
16 下面開口部
17 ヒンジ
18 戸当部
19 シール部材
20 電力線
21 電力線
22 中央開口部
23 ゲルテープ
24 配線カバー
25 コネクタ
26 第1の中空部
27 配線部
28 緩衝部
29 第2の中空部
30 開口条
31 凹条
32 スリット条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の部材の間に挟み込まれて該所定の部材の間をシールすることができるとともに、内部に形成された中空部に配線を行うことができる長尺状の配線機能付きシール部材において、
前記中空部が剛性を有する配線部に形成されるとともに、該配線部の外周の少なくとも一部に、前記所定の部材が当接される柔軟性を有する緩衝部が設けられることを特徴とする配線機能付きシール部材。
【請求項2】
前記配線部と前記緩衝部とがそれぞれ硬度が異なる材質で形成されており、前記配線部が硬質材で形成されるとともに、前記緩衝部が少なくとも前記硬質材よりも軟質な軟質材で形成されることを特徴とする請求項1に記載の配線機能付きシール部材。
【請求項3】
前記緩衝部の内部には、第2の中空部が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の配線機能付きシール部材。
【請求項4】
前記配線部には、その外周が長手方向に沿って切断された開口条が形成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の配線機能付きシール部材。
【請求項5】
前記緩衝部の外面は、湾曲形状をなしていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の配線機能付きシール部材。
【請求項6】
前記配線部の中空部の少なくとも内面が摺動性を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の配線機能付きシール部材。
【請求項7】
前記緩衝部の少なくとも外面が摺動性を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の配線機能付きシール部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−99157(P2013−99157A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241164(P2011−241164)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】