説明

配電機器の取付装置

【課題】電柱上の腕金への取り付け作業が容易な配電機器の取付装置を提供する。
【解決手段】配電機器としての開閉器1の取付装置3は、本体取付部材20と、一対の吊下げボルト22と、一対の吊下げボルト22の間に架設される支え部材23と、吊下げボルト22に螺合されるナット24とを備え、本体取付部材20及び支え部材23、ナット24により開閉器1本体が電柱上の腕金15に取り付けられる。本体取付部材20には、開閉器1本体を吊り上げる際に吊り上げられる吊部33が設けられる。吊部33は支え部材23の上方、且つ一対の吊下げボルト22の間隙に位置するとともに、吊部33の上部が一対の吊下げボルト22の先端以下の高さに位置する。これにより、配電機器を吊り上げる際に電線が既に架設されている場合でも所定の位置に配置することのでき、電柱上の腕金への取り付け作業が容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開閉器等の配電機器を電柱上に設けられた腕金に取り付ける取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開閉器等の配電機器を電柱上に設けられた腕金に取り付ける際は、配電機器の本体上面に設けられた取付装置の吊部にワイヤー等を掛けてクレーン等により吊り上げて装着していた。(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の配電機器の取付装置は、本体上面に取付金具が取り付けられ、同取付金具の両端部に吊下げボルト(計4本)が吊上フックの軸部にそれぞれ回動可能に取り付けられている。片側の各吊下げボルトには支え部材が水平状にそれぞれ取り付けられ、各吊下げボルトと支え部材とにより配電機器が吊下げ状態で腕金に取り付けられる。配電機器を電柱に取り付ける際には、2箇所もしくは4箇所の吊上フックにワイヤー等を係止してクレーン等で吊り上げて上昇させている。
【0004】
また、特許文献2に記載の配電機器の取付装置は、本体上面に取付金具が取り付けられ、同取付金具の両端部に吊下げボルト(計4本)がそれぞれ回動可能に取り付けられている。取付金具には、取付金具に係合する係合子及び先端に吊上部を有する略コ字状に形成された吊上金具が設けられている。片側の各吊下げボルトには支え部材が水平状にそれぞれ取り付けられ、各吊下げボルトと支え部材とにより配電機器が吊下げ状態で腕金に取り付けられる。配電機器を電柱に取り付ける際には、吊上金具の吊上部にワイヤー等を係合してクレーン等で吊り上げて上昇させている。
【特許文献1】特開2001−23481号公報
【特許文献2】実開昭54−135659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の配電機器の取付装置は、吊り上げ時に配電機器が傾斜すると、不安定であり、電柱上の腕金への取り付け作業が煩雑となっていた。また、上記特許文献2に記載の配電機器の取付装置は、吊上金具が吊下げボルト、支え部材、ナット等を囲むように大きな略コ字状に形成されているため、吊り上げ時に電線が既に架設されている場合には、電線が邪魔になって所定の位置に配置するには支障が生じ、電柱上の腕金への取り付け作業が煩雑となっていた。そこで、吊り上げる際に配電機器が傾斜せず、また、電線が既に架設されている場合でも所定の位置に配置することのできる配電機器の取付装置、すなわち電柱上の腕金への取り付け作業が容易な配電機器の取付装置が求められていた。
【0006】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電柱上の腕金への取り付け作業が容易な配電機器の取付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、配電機器の上面に取り付けられた本体取付部材と、同本体取付部材の両側部に起伏可能に軸支された一対の吊下げボルトと、一対の同吊下げボルトの間にそれらの軸方向に変位可能に架設される支え部材と、同支え部材が架設された同吊下げボルトに螺合されるナットとを備え、電柱上の腕金を前記本体取付部材及び前記支え部材により挟持し、前記ナットを締め付けることにより配電機器本体が電柱上の腕金に取り付けられる配電機器の取付装置において、前記本体取付部材には配電機器を吊り上げる際に吊り上げられる吊部が設けられ、同吊部は前記支え部材の上方、且つ一対の前記吊下げボルトの間隙に位置するとともに、同吊部の上部が一対の同吊下げボルトの先端以下の高さに位置することをその要旨としている。
【0008】
同構成によれば、配電機器本体が吊り上げる際に吊り上げる吊部を支え部材の上方、且つ一対の吊下げボルトの間隙に位置するとともに、吊部の上部が一対の吊下げボルトの先端以下の高さに位置する。このため、吊部の高さを抑えることができるので、配電機器の高さが高くなることはない。よって、配電機器を吊り上げる際に電線が既に架設されている場合でも所定の位置に配置することのでき、電柱上の腕金への取り付け作業が容易となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配電機器の取付装置において、前記吊部と、一対の前記吊下げボルトを軸支する軸部と、同吊部及び同軸部を接続する接続部とが一体形成されてなる吊部材を備えることをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、配電機器の取付装置は、吊部と、一対の吊下げボルトを軸支する軸部と、吊部及び軸部を接続する接続部とが一体に形成されてなる吊部材を備えるため、吊部と軸部とを別部材で設ける必要がない。よって、部品点数を少なくすることができる。また、吊部材は軸部により起伏可能に軸支されるため、使用しない際には倒しておくことができ、小型化することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の配電機器の取付装置において、前記吊部材の吊部及び接続部は、吊下げた際に前記吊下げボルトに接触しないよう吊下げボルトに対して傾いて形成されることをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、吊部材の吊部及び接続部が吊下げた際に吊下げボルトに接触しないよう吊下げボルトに対して傾いて形成されるため、吊下げた際に吊部材の吊部及び接続部が吊下げボルトと接触することを抑制することができる。これにより、吊部材と吊下げボルトとの接触による損傷を抑制することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の配電機器の取付装置において、前記吊部材の接続部は前記吊下げボルトに対して配電機器の後方へ傾いて形成され、前記吊部材の吊部は同吊下げボルトに対して配電機器の前方へ傾いて形成されることをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、吊部材の接続部が吊下げボルトに対して配電機器の後方へ傾いて形成され、吊部材の吊部が吊下げボルトに対して配電機器の前方へ傾いて形成される。このため、例えば吊下げボルトを立設させた際に吊部材と吊下げボルトとの接触を抑制することができる。これにより、吊部材と吊下げボルトとの接触による損傷を抑制することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の配電機器の取付装置において、前記吊部と、前記吊部及び前記吊下げボルトの間を連結する接続部とが一体形成されてなる吊部材を備えることをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、配電機器の取付装置は、吊部と、吊部及び吊下げボルトの間を連結する接続部とが一体形成されてなる吊部材を備えるため、部品点数を少なくすることができる。また、吊部材は吊下げボルトとともに起伏可能に軸支されるため、電柱上の腕金への取り付け作業時に吊部にて吊り上げるだけで、吊下げボルトを容易に立設させることができ、配電機器の取り付け作業が容易となる。そして、使用しない際には吊下げボルトとともに倒しておくことができ、小型化することができる。
【0017】
吊部材の接続部の吊部と反対側の端部の吊下げボルトへの連結場所は、請求項6に記載されるように、吊下げボルトの支え部材より上部や、請求項7に記載されるように、吊下げボルトの支え部材より下部としてもよい。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の配電機器の取付装置において、前記吊部と、一端が同吊部に連結されるとともに、他端が前記吊下げボルトを軸支する軸部材に起伏可能に軸支される接続部とが一体に形成されてなる吊部材を備えることをその要旨としている。
【0019】
同構成によれば、吊部材の接続部の吊部と反対側の端部が一対の吊下げボルトとともに軸部材によって起伏可能に軸支されるため、使用しない際には倒しておくことができ、小型化することができる。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項2〜8のいずれか一項に記載の配電機器の取付装置において、前記吊下げボルトの前記支え部材と前記ナットとの間には、下端が前記支え部材の上面に接し、上端が前記吊部材の接続部より上方に位置するスペーサが環装されることをその要旨としている。
【0021】
同構成によれば、吊下げボルトの支え部材とナットとの間には、下端が支え部材の上面に接し、上端が吊部材の接続部より上方に位置するスペーサが環装されているため、ナットの取り付け位置が吊部材の接続部より上方に位置する。これにより、配電機器を電柱上の腕金に取り付けたり、取り外したりする際にナットを回動するラチェット工具が吊部材の接続部に接触することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電柱上の腕金への取り付け作業が容易な配電機器の取付装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる配電機器の取付装置を開閉器に具体化した第1の実施形態について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1及び図2(a)は、開閉器を電柱上の腕金に取り付けた状態を示している。
【0024】
図1に示されるように、開閉器1の内部には図示しない固定電極と可動電極とが備えられるとともに、開閉器1の正面1aには前記固定電極に対して前記可動電極を接離させるべく操作される操作ハンドル10が設けられている。操作ハンドル10には、開閉器1の正面1a下部に表記された前記可動電極の接離状態を示す「入」、「切」表示を指す下方に突出した指針が設けられている。開閉器1の操作ハンドル10が設けられている正面1aに対して垂直方向の両側面1d,1eには、ブッシング11,12がそれぞれ突設されている。
【0025】
図2(a)、(b)に示されるように、開閉器1本体の上面1bには、同開閉器1をクレーン等により吊り上げられる際に用いるとともに、電柱上の腕金15に取り付けられる際に用いる取付装置3が上面1bに沿って配置されて、開閉器1本体に取り付けられた4本のボルト27と4つのナット28とにより開閉器1本体に固定されている。
【0026】
取付装置3は、開閉器1の上面1bに固定された本体取付部材20、吊部材32、本体取付部材20に回動可能に軸支される2本の吊下げボルト22、両吊下げボルト22の間に架設される板状の支え部材23、円筒状のスペーサ25、座金24a、ナット24を備えている。右側の吊下げボルト22の支え部材23とスペーサ25との間には、固定金具29が取り付けられている。
【0027】
本体取付部材20は、両側部としての両側壁20aが長方形板材の両端部が上方へ折り曲げられることにより形成され、両側壁20aに軸受孔20bがそれぞれ形成されている。本体取付部材20の上面において前端寄りの部位には、電柱上の腕金15を保持する凹部20dが形成された前側腕金保持部材20cが立設されている。本体取付部材20の前端には、前方、すなわち正面1a側へ延出した規制片20eが形成されている。規制片20eは、吊下げボルト22を前側へ吊部材32の軸部31を中心として回動させた際に支え部材23若しくは吊下げボルト22が当接し、回動を規制する。本体取付部材20の上面において後端寄りの部位には、電柱上の腕金15を保持する凹部20gが形成された後側腕金保持部材20fが立設され、本体取付部材20の両側壁20aに固定されている。
【0028】
左側の吊下げボルト22と右側の吊下げボルト22との間には、支え部材23が両吊下げボルト22に沿って上下動可能に架設されている。支え部材23には、左側の吊下げボルト22を挿通する孔23aと右側の吊下げボルト22を挿入する溝23bとが形成されている。支え部材23の左側の吊下げボルト22の上方には、円筒状のスペーサ25、座金24a、ナット24が取り付けられている。支え部材23の右側の吊下げボルト22の上方には、固定金具29、円筒状のスペーサ25、座金24a、ナット24が取り付けられている。すなわち、吊下げボルト22の支え部材23とナット24との間にスペーサ25が環装されている。
【0029】
開閉器1が電柱上の腕金15に取り付けられる際には、本体取付部材20の前側腕金保持部材20c、後側腕金保持部材20fの各凹部20d,20gに腕金15を位置させ、左側の吊下げボルト22を中心に支え部材23を回動させ、支え部材23の溝23b内に右側の吊下げボルト22を挿入し、固定金具29を支え部材23に係合させる。そして、両吊下げボルト22に環装されたスペーサ25を介してナット24を締め付けることにより、支え部材23が開閉器1の本体側へ変位され、吊下げ状態で電柱上の腕金15に取り付けられる。
【0030】
図2(b)に二点鎖線で示されるように、収納される際には、支え部材23は規制片20eに当接されるとともに、スペーサ25を介してナット24を締め付けることにより、前側腕金保持部材20cに当接固定されている。なお、両側壁20a、前側腕金保持部材20c、後側腕金保持部材20fの高さ寸法は、支え部材23の幅寸法と同一寸法に形成されている。
【0031】
図2(a)に示されるように、吊部材32は、本体取付部材20の両軸受孔20bに吊下げボルト22を回動可能に軸支する軸部31と、その右端部に連結される接続部34と、接続部34に連結されて吊下げボルト22の先端面よりも下方に位置する環状の吊部33とから構成され、単一の棒材が湾曲されることにより一体に形成されている。
【0032】
具体的には、吊部材32の軸部31は、本体取付部材20の両側壁20aの両軸受孔20bに挿通するとともに、両側壁20aの内側に両吊下げボルト22が回動可能に軸支されている。吊部材32の吊部33は、先端部が吊下げボルト22と同一直線上に位置するとともに、両吊下げボルト22の間隙の中央に位置している。また、吊部材32の吊部33は、支え部材23の上方に位置するとともに、吊部材32の頂部、すなわち吊部33の上部は、両吊下げボルト22の上方先端以下の高さに設定されている。
【0033】
吊部材32の接続部34は、軸部31の右側端部に連結し、同右側端部から右側の吊下げボルト22に沿って支え部材23より上方へ延びる鉛直部34aと、鉛直部34aの上端から支え部材23より上部で、且つナット24より下部の間で左側へ水平に延び、両吊下げボルト22の中間位置で吊部33へ連結する水平部34bとから構成されている。なお、吊部材32の水平部34bは仮置部を構成する。前述のスペーサ25の長さは、上端が吊部材32の接続部34より上方に位置するようになっている。
【0034】
図2(b)に示されるように、吊部材32の吊部33及び接続部34は、電柱上の腕金15を本体取付部材20及び支え部材23により吊下げ挟持した際、吊下げボルト22に接触しないよう吊下げボルト22に対して傾いて形成されている。具体的には、接続部34の鉛直部34aは、吊下げボルト22と接触しないように吊下げボルト22に対して開閉器1の後方、すなわち開閉器1本体の正面1aの反対側にあたる開閉器1本体の電柱に取り付けられた際に電柱側となる面である背面1c側へ傾いている。そして、吊部材32の吊部33は、先端部が吊下げボルト22と同一直線上に位置するように吊下げボルト22に対して開閉器1の前方、すなわち開閉器1本体の正面1a側へ傾いている。
【0035】
図1に示されるように、吊部33は、操作ハンドル10(正面1a)から見て、吊部33の円の中心Pが開閉器1本体の重心Gの鉛直上方に位置している。
なお、図2(b)に示されるように、吊部33の円の中心Pが開閉器1本体の重心Gの鉛直上方に位置している。これにより、開閉器1を水平に保持でき安定して吊下げることができるため最良である。しかしながら、吊部33の円の中心Pを開閉器1本体の重心Gから多少偏移させて開閉器1を任意の方向に傾斜させてもよい。また、両軸受孔20bに挿通された軸部31は、両側壁20aの外側にピン等を設けて抜け防止されている。
【0036】
次に、前述のように構成された開閉器1の取付装置3の操作態様について説明する。
図2(b)に二点鎖線で示されるように、開閉器1の輸送時には、取付装置3は、両側の吊下げボルト22及び吊部材32が本体取付部材20の上面に対して平行となるように軸部31を回動中心として回動し、収納された状態とされる。この際、吊下げボルト22に取り付けられている支え部材23は、本体取付部材20の規制片20eに当接し、前側腕金保持部材20cよりも外側に位置している。そして、支え部材23は、両側のナット24が手で締め付けられることで、スペーサ25により前側腕金保持部材20cの外側面に押し付けられ固定されている。また、吊部材32は、支え部材23の上方に位置して、両側のナット24が手で締め付けられることにより、軸部31が両吊下げボルト22により両軸受孔20bの内面に押し付けられ固定されている。
【0037】
開閉器1を電柱上の腕金15に取り付ける際には、両側のナット24を緩め、吊部材32と両吊下げボルト22とが軸部31に対して回動可能な状態とする。また、固定金具29を支え部材23から外すとともに、右側の吊下げボルト22から支え部材23の溝23bを外し、支え部材23を左側の吊下げボルト22に対して回動可能な状態とする。その後、吊部材32を開閉器1の背面1c側へ回動させ、吊部材32を立設させる。そして、クレーン等のフックを吊部材32の吊部33に引っ掛け電柱上の腕金15まで持ち上げる。この際、図1に示されるように、開閉器1本体の重心Gの上方に吊部33の中心Pが位置するため、開閉器1が開閉器1の正面1aに対して垂直方向となるブッシング11,12がそれぞれ突設された両側面1d,1eの方向すなわち左右方向に傾くことはなく水平の状態となる。
【0038】
図2(a)に示されるように、電柱上の腕金15を本体取付部材20の凹部20d,20gに当接させる。そして、右側の吊下げボルト22を開閉器1の背面1c側へ回動させ、右側の吊下げボルト22を吊部材32の水平部34bに当接させ仮置きする。また、左側の吊下げボルト22を開閉器1の背面1c側へ回動させた後、支え部材23を回動させ、支え部材23の溝23b内に右側の吊下げボルト22を挿入し、固定金具29を支え部材23に係合させる。これにより、本体取付部材20の凹部20d,20gと支え部材23との間に腕金15を挟み、ナット24をラチェット工具により締め付けることにより開閉器1が電柱上の腕金15に取り付けられる。この際、スペーサ25が両吊下げボルト22の支え部材23とナット24との間に環装されているため、ラチェット工具の回動範囲に吊部材32の接続部34等がない。よって、ラチェット工具により締め付ける際に、吊部材32に接触することがないので、作業性がよい。その後、クレーン等のフックを吊部材32の吊部33から外し、吊部材32の吊部33を開閉器1の背面1c方へ回動し、腕金15に当接して倒しておく。
【0039】
開閉器1を電柱上の腕金15から取り外す際には、ナット24をラチェット工具により緩め、吊部材32を立設させる。そして、吊部材32の吊部33にクレーン等のフックを引っ掛け、開閉器1を持ち上げ、ナット24を完全に緩め、支え部材23の溝23bと右側の吊下げボルト22との係合を解除し、開閉器1を腕金15から取り外す。そして、開閉器1が地面に下ろされると、図2(b)に二点鎖線で示されるように、吊下げボルト22及び吊部材32は開閉器1の正面1a側へ回動され、本体取付部材20の規制片20eに支え部材23が当接した状態で、本体取付部材20に収納される。吊部材32は、支え部材23の上方に当接させて、両側のナット24を手で締め付けると、支え部材23が前側腕金保持部材20cに接触し、吊部材32とともに固定される。また、吊部材32の軸部31が両軸受孔20bの内面に当接固定される。
【0040】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)吊部材32の吊部33が支え部材23の上方、且つ一対の吊下げボルト22の間隙の中央に位置するとともに、吊部33の上部が一対の吊下げボルト22の先端以下の高さに位置する。このため、吊部材32の吊部33の高さを抑えることができるので、開閉器1の高さが高くなることはない。よって、開閉器1を吊り上げる際に電線が既に架設されている場合でも所定の位置に配置することができ、電柱上の腕金への取り付け作業が容易となる。
【0041】
(2)操作ハンドル10(正面1a)から見て、吊部材32の吊部33の中心Pが開閉器1本体の重心Gの鉛直上方に位置する。このため、電柱上の腕金15への取り付け作業時に開閉器1の左右方向、すなわち開閉器1の正面1aに対して垂直方向となるブッシング11,12がそれぞれ突設された両側面1d,1e方向に傾くことを抑制することができ、安定して吊下げることができる。よって、開閉器1を容易に取り付けることができる。
【0042】
(3)吊部材32が吊部33、両吊下げボルト22を軸支する軸部31、吊部33及び軸部31を接続する接続部34を一体に形成されてなるようにしたため、吊部33と軸部31を別部材で設ける必要がない。よって、部品点数を少なくすることができ、安価にすることができる。また、吊部材32は軸部31により起伏可能に軸支されるため、使用しない際には収容することができ、小型化することができる。
【0043】
(4)本体取付部材20の両側壁20aの両軸受孔20bに挿通するとともに、2本の吊下げボルト22は回動可能に吊部材32の軸部31に取り付けるようにした。これにより、部品点数を削減できるので、安価にでき、軽量化することもできる。
【0044】
(5)吊部材32の吊部33及び接続部34は、電柱上の腕金15を本体取付部材20及び支え部材23により吊下げ挟持した際、吊下げボルト22に接触しないよう吊下げボルト22に対して傾いて形成されているため、吊下げた際に吊部材32の吊部33及び接続部34が吊下げボルト22と接触することを抑制することができる。これにより、吊部材32と吊下げボルト22との接触による損傷を抑制することができる。
【0045】
具体的には、接続部34の鉛直部34aが吊下げボルト22に対して開閉器1の後方へ傾くとともに、吊部33を、吊下げボルト22に対して開閉器1の前方へ傾くように形成したため、開閉器1を腕金15に取り付けた際の吊下げボルト22の立設時に、吊部材32の鉛直部34aと右側の吊下げボルト22との接触を抑制することができる。よって、右側の吊下げボルト22及び吊部材32の接触による損傷を抑制できるとともに、開閉器1の取り付け作業が容易となる。
【0046】
また、吊部材32の吊部33の先端部を吊下げボルト22と同一直線上に位置させるとともに、両吊下げボルト22の間隙の中央に位置させているため、電柱上の腕金15への取り付け作業時に吊下げボルト22を容易に立設させることができる。よって、開閉器1の腕金15への取り付け作業が容易となる。
【0047】
(6)吊下げボルト22の支え部材23とナット24との間には、下端が支え部材23の上面に接し、上端が吊部材32の接続部34より上方に位置するスペーサ25が環装されているため、ナット24の取り付け位置が吊部材32の接続部34より上方に位置する。これにより、開閉器1を電柱上の腕金15に取り付けたり、取り外したりする際にナット24を回動するラチェット工具が吊部材32の接続部34に接触することを抑制することができる。
【0048】
(7)両側壁20a、前側腕金保持部材20c、後側腕金保持部材20fの高さ寸法を支え部材23の幅寸法と同一寸法に形成したため、本体取付部材20に収納した際、本体取付部材20から上方へ突出しない。よって、開閉器1の全高寸法を抑えることができるので、小型化することができる。
【0049】
(8)本体取付部材20の前端に規制片20eが前方へ延出するようにし吊下げボルト22及び支え部材23を当接するようにし、吊部材32を支え部材23の上方に位置して収納するようにした。このため、吊部材32、吊下げボルト22、及び支え部材23が開閉器1に当接することがない。よって、開閉器1を損傷することがない。
【0050】
(9)収納時において支え部材23を規制片20eに当接するようにし、ナット24を手で締め付けることにより、前側腕金保持部材20cに当接固定するようにしたため、支え部材23を容易に固定できるとともに、輸送時に外れることを防止できる。
【0051】
(10)収納時においてナット24を手で締め付けることにより、吊部材32の軸部31が両軸受孔20bの内面に当接固定するようにしたため、輸送時に吊部材32が揺動することがない。
【0052】
(11)本体取付部材20の前側腕金保持部材20c及び後側腕金保持部材20fに凹部20dと凹部20gとをそれぞれ形成したため、開閉器1を腕金15に取り付ける際に、腕金15を位置決めでき容易に取り付けできるとともに、開閉器1のずれを防止できる。
【0053】
(12)吊部材32の水平部34bを支え部材23より上部で、且つナット24より下部の間で水平に延びるように形成したため、開閉器1を腕金15に取り付ける際に、右側の吊下げボルト22を水平部34bに当接させて仮置きしておくことができる。このため、右側の吊下げボルト22を立設に近い状態に保持しておくことができるので、支え部材23の係合が容易となる。よって、開閉器1の腕金15への取り付け作業が容易となる。
【0054】
(第2の実施形態)
以下、本発明にかかる配電機器の取付装置を開閉器に具体化した第2の実施形態について、図3を参照して説明する。この実施形態の開閉器1の取付装置4は、吊部材42の形状と、吊部材42の連結構造が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0055】
図3(a)に示されるように、吊部材42は、環状の吊部43と、吊部43及び右側の吊下げボルト22に連結される接続部44とから構成されてなる。接続部44の吊部43と反対側の端部は、右側の吊下げボルト22の支え部材23より上部で、且つナット24より下部に連結固定されている。吊部材42は、単一の棒材が湾曲されることにより一体に形成されている。
【0056】
詳しくは、吊部材42の接続部44は、一端が右側の吊下げボルト22と左側の吊下げボルト22とが対向する部位に接続され、左側へ水平に延び、他端が両吊下げボルト22の中間位置で吊部43に連結されている。吊部材42の吊部43は、先端部が吊下げボルト22と同一直線上に位置するとともに、両吊下げボルト22の間隙の中央に位置している。また、吊部材42の吊部43は、支え部材23の上方に位置するとともに、吊部材42の吊部43の頂部、すなわち吊部43の上部は、両吊下げボルト22の上方先端以下の高さに設定されている。
【0057】
これに伴い、右側のスペーサ26は、接続部44を避けるように接続部44の径に合わせた開口部が形成され、横断面形状がC字状の管となっている。右側のスペーサ26の長さは、上端が吊部材42の接続部44より上方に位置するようになっている。右側のナット24が締め付けられることにより右側のスペーサ26が移動する際は、接続部44の接続部分が右側のスペーサ26の隙間を通過することができる。なお、左側のスペーサ25は、円筒状で右側のスペーサ26と同じ長さとなっている。吊部材42は、右側の吊下げボルト22とともに軸部材41を回動中心として回動する。
【0058】
本体取付部材20は、両側部としての両側壁20aが形成され、両側壁20aに軸受孔20bがそれぞれ形成されている。2本の吊下げボルト22は、本体取付部材20の両側壁20aの両軸受孔20bに挿通された軸部材41に回動可能に取り付けられている。
【0059】
図3(a)、(b)に示されるように、操作ハンドル10(正面1a)及び側面1dから見て、吊部43の円の中心Pが開閉器1本体の重心Gの鉛直上方に位置している。
次に、前述のように構成された開閉器1の取付装置4の操作態様について説明する。
【0060】
図3(b)に二点鎖線で示されるように、開閉器1の輸送時には、取付装置4は、両側の吊下げボルト22及び吊部材42が本体取付部材20の上面に対して平行となるように軸部材41を回動中心として回動し、収納された状態とされる。この際、吊下げボルト22に取り付けられている支え部材23は、本体取付部材20の規制片20eに当接し、前側腕金保持部材20cよりも外側に位置している。そして、支え部材23は、両側のナット24が手で締め付けられ、前側腕金保持部材20cの外側面に押し付けられることにより固定されている。
【0061】
開閉器1を電柱上の腕金15に取り付ける際には、両側のナット24を緩め、吊部材42とともに吊下げボルト22が軸部材41に対して回動可能な状態とする。また、固定金具29を支え部材23から外すとともに、右側の吊下げボルト22から支え部材23の溝23bを外し、支え部材23を吊下げボルト22に対して回動可能な状態とする。吊下げボルト22及び吊部材42を開閉器1の背面1c側へ回動させ、吊部材42、すなわち右側の吊下げボルト22を立設させる。そして、クレーン等のフックを吊部材42の吊部43に引っ掛け電柱上まで持ち上げる。図3(a)に示されるように、腕金15を本体取付部材20の凹部20d,20gと支え部材23との間に挟み、ナット24をラチェット工具により締め付けることにより開閉器1が電柱上の腕金15に取り付けられる。この際、スペーサ25,26が吊下げボルト22の支え部材23とナット24との間に環装されているため、ラチェット工具の回動範囲に吊部材42の接続部44がなく、接触することを抑制することができる。
【0062】
開閉器1を電柱上の腕金15から取り外す際には、吊部材42の吊部43にクレーン等のフックを引っ掛け、開閉器1を持ち上げ、ナット24をラチェット工具により緩め、開閉器1を腕金15から取り外す。そして、開閉器1が地面に下ろされると、図3(b)に二点鎖線で示されるように、吊下げボルト22及び吊部材42は開閉器1の前側へ回動され、本体取付部材20の規制片20eに支え部材23が当接した状態で、本体取付部材20に収納される。両側のナット24を手で締め付けると、支え部材23が前側腕金保持部材20cに接触し固定される。
【0063】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(2)、(7)、(8)、及び(11)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
(13)吊部材42の吊部43を支え部材23の上方、且つ一対の吊下げボルト22の間隙の中央に位置するとともに、吊部43の上部が一対の吊下げボルト22の先端以下の高さに位置する。このため、吊部材42の吊部43の高さを抑えることができるので、開閉器1の高さが高くなることはない。よって、開閉器1を吊り上げる際に電線が既に架設されている場合でも所定の位置に配置することのでき、電柱上の腕金への取り付け作業が容易となる。
【0064】
(14)吊部43と、吊部43及び吊下げボルト22の間を連結する接続部44とが一体形成されてなる吊部材42を備えるため、部品点数を少なくすることができる。また、吊部材42を起伏可能に軸部材41に軸支された吊下げボルト22の支え部材23より上部に一体に連結固定するようにし、吊部材42の吊部43の先端部を吊下げボルト22と同一直線上に位置させているため、電柱上の腕金15への取り付け作業時に吊部43にて吊り上げるだけで、右側の吊下げボルト22を容易に立設させることができる。よって、開閉器1の取り付け作業が容易となる。そして、使用しない際には右側の吊下げボルト22とともに倒しておくことができ、小型化することができる。
【0065】
(15)吊下げボルト22の支え部材23とナット24との間には、下端が支え部材23の上面に接し、上端が吊部材42の接続部44より上方に位置するスペーサ25,26が環装されているため、ナット24の取り付け位置が吊部材42の接続部44より上方に位置する。これにより、開閉器1を電柱上の腕金15に取り付けたり、取り外したりする際にナット24を回動するラチェット工具が吊部材42の接続部44に接触することを抑制することができる。
【0066】
(第3の実施形態)
以下、本発明にかかる配電機器の取付装置を開閉器に具体化した第3の実施形態について、図4を参照して説明する。この実施形態の開閉器1の取付装置5は、吊部材52の形状と、吊部材52の連結構造が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0067】
図4(a)に示されるように、吊部材52は、環状の吊部53と、吊部53及び右側の吊下げボルト22に連結される接続部54とから構成されてなる。接続部54の吊部53と反対側の端部は、右側の吊下げボルト22の支え部材23より下部に連結固定されている。吊部材52は、単一の棒材が湾曲されることにより一体に形成されている。
【0068】
詳しくは、吊部材52の接続部54は、下端が右側の吊下げボルト22の背面1c側の部位に接続され、同接続部位から背面1c側へ水平に延び、右側の吊下げボルト22に沿って支え部材23よりも上方へ延び、続いて支え部材23より上部で、且つナット24より下部の間で左側へ水平に延び、両吊下げボルト22の中間位置で吊部53へ連結する。吊部材52の吊部53は、支え部材23の上方に位置するとともに、両吊下げボルト22の間隙の中央に位置している。また、吊部材52の吊部53の頂部、すなわち吊部53の上部は、両吊下げボルト22の上端以下の高さに設定されている。吊部材52は、右側の吊下げボルト22とともに軸部材51を回動中心として回動する。
【0069】
図4(a)及び(b)に示されるように、操作ハンドル10(正面1a)及び側面1dから見て、吊部53の円の中心Pが開閉器1本体の重心Gの鉛直上方に位置している。
次に、前述のように構成された開閉器1の取付装置5の操作態様について説明する。
【0070】
図4(b)に二点鎖線で示されるように、開閉器1の輸送時には、取付装置5は、両側の吊下げボルト22及び吊部材52が本体取付部材20の上面に対して平行となるように軸部材51を回動中心として回動し、収納された状態とされる。この際、吊下げボルト22に取り付けられている支え部材23は、本体取付部材20の規制片20eに当接し、前側腕金保持部材20cよりも外側に位置している。そして、支え部材23は、両側のナット24が手で締め付けられることにより、前側腕金保持部材20cの外側面に押し付けられることにより固定されている。
【0071】
開閉器1を電柱上の腕金15に取り付ける際には、吊下げボルト22及び吊部材52を開閉器1の背面1c側へ回動させ、吊部材52を立設させる。そして、クレーン等のフックを吊部材52の吊部53に引っ掛け電柱上まで持ち上げる。図4(a)に示されるように、腕金15を本体取付部材20と支え部材23との間に挟み、ナット24をラチェット工具により締め付けることにより開閉器1が電柱上の腕金15に取り付けられる。この際、スペーサ25が吊下げボルト22の支え部材23とナット24との間にあるため、ラチェット工具の回動範囲に吊部材52の接続部54がなく、接触することを防止することができる。
【0072】
開閉器1を電柱上の腕金15から取り外す際には、吊部材52の吊部53にクレーン等のフックを引っ掛け、開閉器1を持ち上げ、ナット24をラチェット工具により緩め、開閉器1を腕金15から取り外す。そして、開閉器1が地面に下ろされると、図4(b)に二点鎖線で示されるように、吊下げボルト22及び吊部材52は開閉器1の前側へ回動され、本体取付部材20の規制片20eに支え部材23が当接した状態で、本体取付部材20に収納される。両側のナット24を手で締め付けると、支え部材23が前側腕金保持部材20cに接触し固定される。
【0073】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(2)、(6)、(7)、(8)、及び(11)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
(16)吊部材52の吊部53を支え部材23の上方、且つ一対の吊下げボルト22の間隙の中央に位置するとともに、吊部53の上部が一対の吊下げボルト22の先端以下の高さに位置する。このため、吊部材52の吊部53の高さを抑えることができるので、開閉器1の高さが高くなることはない。よって、開閉器1を吊り上げる際に電線が既に架設されている場合でも所定の位置に配置することのでき、電柱上の腕金への取り付け作業が容易となる。
【0074】
(17)吊部53と、吊部53及び吊下げボルト22の間を連結する接続部54とが一体形成されてなる吊部材52を備えるため、部品点数を少なくすることができる。また、吊部材52を起伏可能に軸部材51に軸支された吊下げボルト22の支え部材23より下部に一体に連結固定するようにしたため、電柱上の腕金15への取り付け作業時に吊部53にて吊り上げるだけで、右側の吊下げボルト22を容易に立設させることができる。よって、開閉器1の取り付け作業が容易となる。そして、使用しない際には右側の吊下げボルト22とともに倒しておくことができ、小型化することができる。
【0075】
(第4の実施形態)
以下、本発明にかかる配電機器の取付装置を開閉器に具体化した第4の実施形態について、図5を参照して説明する。この実施形態の開閉器1の取付装置6は、吊部材62の形状と、吊部材62の連結構造が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0076】
図5(a)に示されるように、吊部材62は、孔が形成された吊部63と、一端が吊部63に連結されるとともに、他端が両吊下げボルト22を軸支する軸部材61に起伏可能に軸支される接続部64とから構成されてなる。接続部64の吊部63と反対側の端部には、軸部材61を挿通可能な軸孔64aが形成され、軸孔64aに軸部材61が挿通され軸支されている。本体取付部材20の各側壁20aの内側に2本の吊下げボルト22は回動可能に軸部材61で取り付けられ、吊部材62は接続部64の左側方向へ折り曲げられた部分が右側の吊下げボルト22の背面1c側に位置するように取り付けられている。本体取付部材20の側壁20aの両軸受孔20bに挿通された軸部材61は、両側壁20aの外側にピン等の金具とナット65が螺合されることにより抜け防止されている。
【0077】
吊部材62は、単一の板材が折曲されることにより一体に形成されている。詳しくは、吊部材62の接続部64は、長方形の板材が前側方向と左側方向との90度に折り曲げられ、接続部64の頂部64bは、支え部材23より上部で、且つナット24より下部の位置に形成されている。接続部64は、前側方向へ折り曲げられた部分の下側に軸孔64aが形成され、左側方向へ折り曲げられた部分の頂部64bの上側に吊部63が接続されている。吊部材62の吊部63は、吊下げボルト22の背面1c側で、支え部材23の上方に位置するとともに、両吊下げボルト22の間隙の中央に位置している。また、吊部材52の吊部53の頂部、すなわち吊部53の上部は、両吊下げボルト22の上端以下の高さに設定されている。吊部材62は、軸部材61を回動中心として回動する。
【0078】
図5(b)に示されるように、本体取付部材20の右側の側壁20aには、接続部64の左側方向へ折り曲げられた部分の下部が収容される溝部20hが形成されている。図(a)、(b)に示されるように、操作ハンドル10(正面1a)及び側面1dから見て、吊部63の孔の中心Pが開閉器1本体の重心Gの鉛直上方に位置している。
【0079】
次に、前述のように構成された開閉器1の取付装置6の操作態様について説明する。
図5(b)に二点鎖線で示されるように、開閉器1の輸送時には、取付装置6は、両側の吊下げボルト22及び吊部材62が本体取付部材20の上面に対して平行となるように軸部材61を回動中心として回動し、収納された状態とされる。この際、吊下げボルト22に取り付けられている支え部材23は、本体取付部材20の規制片20eに当接し、前側腕金保持部材20cよりも外側に位置している。そして、支え部材23は、両側のナット24が手で締め付けられることにより、前側腕金保持部材20cの外側面に押し付けられることにより固定されている。
【0080】
開閉器1を電柱上の腕金15に取り付ける際には、吊下げボルト22及び吊部材62を開閉器1の背面1c側へ回動させ、吊部材62を立設させる。そして、クレーン等のフックを吊部材62の吊部63に引っ掛け電柱上まで持ち上げる。
【0081】
図5(a)に示されるように、腕金15を本体取付部材20の凹部20d,20gに当接させ、右側の吊下げボルト22を開閉器1の背面1c側へ回動させる。この時、右側の吊下げボルト22を吊部材62の接続部64の頂部64bに当接させ仮置きしておく。なお、接続部64の頂部64bは仮置部を構成する。そして、左側の吊下げボルト22を開閉器1の背面1c側へ回動させた後、支え部材23を回動させ、支え部材23の溝23b内に右側の吊下げボルト22を挿入し、固定金具29を支え部材23に係合させる。これにより、本体取付部材20の凹部20d,20gと支え部材23との間に腕金15を挟み、ナット24をラチェット工具により締め付けることにより開閉器1が電柱上の腕金15に取り付けられる。この際、スペーサ25が吊下げボルト22の支え部材23とナット24との間にあるため、ラチェット工具の回動範囲に吊部材62の接続部64がなく、接触することを防止することができる。
【0082】
開閉器1を電柱上の腕金15から取り外す際には、吊部材62の吊部63にクレーン等のフックを引っ掛け、開閉器1を持ち上げ、ナット24をラチェット工具により緩め、開閉器1を腕金15から取り外す。そして、開閉器1が地面に下ろされると、図5(b)に二点鎖線で示されるように、吊下げボルト22及び吊部材62は開閉器1の前側へ回動され、本体取付部材20の規制片20eに支え部材23が当接した状態で、本体取付部材20に収納される。両側のナット24を手で締め付けると、支え部材23が前側腕金保持部材20cに接触し固定される。
【0083】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(2)、(6)、(7)、(8)、及び(11)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
(18)吊部材62の吊部63を支え部材23の上方、且つ一対の吊下げボルト22の間隙の中央に位置するとともに、吊部63の上部が一対の吊下げボルト22の先端以下の高さに位置する。このため、吊部材62の吊部63の高さを抑えることができるので、開閉器1の高さが高くなることはない。よって、開閉器1を吊り上げる際に電線が既に架設されている場合でも所定の位置に配置することのでき、電柱上の腕金への取り付け作業が容易となる。
【0084】
(19)吊部材62の接続部64の吊部63と反対側の端部は、一対の吊下げボルト22とともに軸部材61によって起伏可能に軸支されるため、使用しない際には倒しておくことができ、小型化することができる。
【0085】
(20)吊部材62は、接続部64の左側方向へ折り曲げられた部分を吊下げボルト22の背面1c側に位置するように取り付け、且つ本体取付部材20の前端に規制片20eが前方へ延出するようにして吊下げボルト22及び支え部材23を当接するようにした。このため、吊部材62、吊下げボルト22及び支え部材23が開閉器1に当接することがない。よって、開閉器1を損傷することがなくなる。
【0086】
(21)吊部材62の接続部64の頂部64bを支え部材23より上部で、且つナット24より下部の位置に形成したため、開閉器1を腕金15に取り付ける際に、右側の吊下げボルト22を頂部64bに当接させて仮置きしておくことができる。このため、右側の吊下げボルト22を立設に近い状態に保持しておくことができるので、支え部材23の係合が容易となる。よって、開閉器1の腕金15への取り付け作業が容易となる。
【0087】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・第1の実施形態では、吊部材32の下端部を軸部31の右端部に一体に連結したが、吊部材32の下端部を左側端部に一体に連結するようにしてもよい。
【0088】
・第2の実施形態では、吊部材42を右側の吊下げボルト22に連結固定するようにしたが、吊部材42を左側の吊下げボルト22に連結固定するようにしてもよい。
・第3の実施形態では、吊部材52を右側の吊下げボルト22に連結固定するようにしたが、吊部材52を左側の吊下げボルト22に連結固定するようにしてもよい。
【0089】
・第4の実施形態では、吊部材62を軸部材61の右端部に軸支されるようにしたが、吊部材62を軸部材61の左端部に軸支されるようにしてもよい。
・上記実施形態では、左右両側のスペーサ25(26)を同じ長さとしたが、吊部材32,42,52,62の接続部34,44,54,64が存在しない側のスペーサを短くしてもよい。また、スペーサをなくしてもよい。このようにすれば、コストダウンが図れる。
【0090】
・上記実施形態では、本体取付部材20の前側腕金保持部材20c及び後側腕金保持部材20fの両部材に凹部20d,20gを形成したが、いずれか一方の腕金保持部材だけに凹部を形成してもよい。このようにしても、開閉器1を腕金15に取り付ける際に、腕金15を位置決めでき容易に取り付けできるとともに、開閉器1のずれを防止できる。
【0091】
・上記実施形態では、本体取付部材20の前側腕金保持部材20c及び後側腕金保持部材20fの両部材に凹部20d,20gを1段形成したが、腕金15のサイズに合わせて複数段の凹部を形成してもよい。このようにすれば、どのようなサイズの腕金15にも取り付けることが可能となる。
【0092】
・上記実施形態では、支え部材23、座金24a、スペーサ25(26)を別体で構成したが、スペーサと座金、左側においては支え部材とスペーサまたは支え部材と座金とスペーサのように一体に構成してもよい。このようにすれば、開閉器1を腕金15に取り付ける際に、取り付け作業が容易になり、作業時間が短縮できる。
【0093】
・上記実施形態では、開閉器に具体化したが、遮断器等の配電機器に適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】開閉器及び取付装置の正面図。
【図2】(a)取付装置の正面図、(b)取付装置の側面図。
【図3】(a)取付装置の正面図、(b)取付装置の側面図。
【図4】(a)取付装置の正面図、(b)取付装置の側面図。
【図5】(a)取付装置の正面図、(b)取付装置の側面図。
【符号の説明】
【0095】
1…開閉器、1a…正面、1b…上面、1c…背面、1d,1e…側面、3,4,5,6…取付装置、10…操作ハンドル、11,12…ブッシング、15…腕金、20…本体取付部材、20a…側壁、20b…軸受孔、20c…前側腕金保持部材、20d…凹部、20e…規制片、20f…後側腕金保持部材、20g…凹部、20h…溝部、22…吊下げボルト、23…支え部材、23a…孔、23b…溝、24…ナット、24a…座金、25,26…スペーサ、27…ボルト、28…ナット、29…固定金具、31…軸部、32,42,52,62…吊部材、33,43,53,63…吊部、34,44,54,64…接続部、34a…鉛直部、34b…水平部、41,51,61…軸部材、64a…軸孔、64b…頂部、65…ナット、G…重心、P…中心。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電機器の上面に取り付けられた本体取付部材と、
同本体取付部材の両側部に起伏可能に軸支された一対の吊下げボルトと、
一対の同吊下げボルトの間にそれらの軸方向に変位可能に架設される支え部材と、
同支え部材が架設された同吊下げボルトに螺合されるナットとを備え、
電柱上の腕金を前記本体取付部材及び前記支え部材により挟持し、前記ナットを締め付けることにより配電機器本体が電柱上の腕金に取り付けられる配電機器の取付装置において、
前記本体取付部材には配電機器を吊り上げる際に吊り上げられる吊部が設けられ、
同吊部は前記支え部材の上方、且つ一対の前記吊下げボルトの間隙に位置するとともに、同吊部の上部が一対の同吊下げボルトの先端以下の高さに位置する
ことを特徴とする配電機器の取付装置。
【請求項2】
請求項1に記載の配電機器の取付装置において、
前記吊部と、一対の前記吊下げボルトを軸支する軸部と、同吊部及び同軸部を接続する接続部とが一体形成されてなる吊部材を備える
ことを特徴とする配電機器の取付装置。
【請求項3】
請求項2に記載の配電機器の取付装置において、
前記吊部材の吊部及び接続部は、吊下げた際に前記吊下げボルトに接触しないよう吊下げボルトに対して傾いて形成される
ことを特徴とする配電機器の取付装置。
【請求項4】
請求項3に記載の配電機器の取付装置において、
前記吊部材の接続部は前記吊下げボルトに対して配電機器の後方へ傾いて形成され、
前記吊部材の吊部は同吊下げボルトに対して配電機器の前方へ傾いて形成される
ことを特徴とする配電機器の取付装置。
【請求項5】
請求項1に記載の配電機器の取付装置において、
前記吊部と、前記吊部及び前記吊下げボルトの間を連結する接続部とが一体形成されてなる吊部材を備える
ことを特徴とする配電機器の取付装置。
【請求項6】
請求項5に記載の配電機器の取付装置において、
前記吊部材の接続部の前記吊部と反対側の端部は、一方の前記吊下げボルトの前記支え部材より上部に連結される
ことを特徴とする配電機器の取付装置。
【請求項7】
請求項5に記載の配電機器の取付装置において、
前記吊部材の接続部の前記吊部と反対側の端部は、一方の前記吊下げボルトの前記支え部材より下部に連結される
ことを特徴とする配電機器の取付装置。
【請求項8】
請求項1に記載の配電機器の取付装置において、
前記吊部と、一端が同吊部に連結されるとともに、他端が前記吊下げボルトを軸支する軸部材に起伏可能に軸支される接続部とが一体に形成されてなる吊部材を備える
ことを特徴とする配電機器の取付装置。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか一項に記載の配電機器の取付装置において、
前記吊下げボルトの前記支え部材と前記ナットとの間には、下端が前記支え部材の上面に接し、上端が前記吊部材の接続部より上方に位置するスペーサが環装される
ことを特徴とする配電機器の取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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