説明

重付加体及び該重付加体を含有するカチオン電着塗料

【課題】 カチオン電着塗料に用いた場合に、仕上がり性、耐油ハジキ性、水跡性などの
塗装作業性、シーラー付着性、防食性、塗料安定性に優れた塗膜を形成する、塗料安定性
が良好で、エマルション中への練り込み及び塗料中への後添加の両方が可能な添加剤を提
供すること。
【解決手段】 ポリオキシアルキレン鎖を有するグリシジルエーテル化合物(a)と活
性水素を有するアミン化合物(a)との重量平均分子量250〜10,000の範囲内
にある重付加体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシアルキレン鎖を有する新規な重付加体、及び仕上り性、耐油ハジ
キ性、耐水跡性などの塗装作業性や上塗り塗膜との付着性などに優れた塗膜を形成しうる
該重付加体を含有するカチオン電着塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
カチオン電着塗料は、主に、自動車ボディや自動車部品を始めとする幅広い用途に使用
されており、従来から種々の特性を有するものが開発されている。
【0003】
カチオン電着塗料に要求される性能として、仕上り性、耐油ハジキ性、耐水跡性、耐コ
ンタミ性などの塗装作業性や上塗り塗膜との付着性などが挙げられ、特に、複雑形状の自
動車ボディをライン塗装する際には、これらの性能は重要項目である。
【0004】
上記の性能を向上させるために、従来、カチオン電着塗料に表面調整剤などを添加する
方法がとられており、例えば、以下に記載する方法(1)、(2)などを挙げることがで
きる。
【0005】
方法(1):表面調整剤を塗料に練り込んでエマルションとする方法。例えば、表面調
整剤をアミン付加エポキシ樹脂などの基体樹脂、ブロックポリイソシアネート化合物など
の硬化剤、その他の添加剤とともに水性媒体中に分散させ、エマルションを作製した後、
そのエマルション及び顔料分散ペーストを用いてカチオン電着塗料を作製する方法。
【0006】
方法(2):エマルション及び顔料分散ペーストを用いて予めカチオン電着塗料の浴を
作製し、その浴に表面調整剤を添加する方法。
【0007】
上記の方法(1)は、表面調整剤を基体樹脂や硬化剤とともにエマルション化するため
、エマルションの分散性が低下し、エマルション粒径が増大することから、塗料安定性を
損なったり、仕上り性や防食性の低下を招くおそれがある。
【0008】
他方、上記の方法(2)では、表面調整剤が、カチオン電着塗料の浴や形成される塗膜
に馴染まず、フィルター濾過機やUF濾過機の閉塞などの設備不具合、シーラーの脱落、
中及び/又は上塗り塗膜の剥がれやハジキなどが生ずる心配がある。
【0009】
これらの問題を改善する手段として、例えば、特許文献1には、加水分解性アルコキシ
シラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物を水分散化することにより得られるカチオ
ン電着性のゲル化微粒子をカチオン電着塗料に配合し、その表面調整効果により形成塗膜
にハジキ防止効果を付与することが提案されている。しかしながら、このカチオン電着性
のゲル化微粒子は、カチオン電着塗料に後添加した場合にはハジキ防止効果があるものの
(前記の方法(2)に適用できる)、カチオン電着塗料を長期間にわたってポンプで循環
又は攪拌して機械的なシェアを与え続けると、塗面の仕上り性の低下や塗料安定性を損な
うなどの問題がある。
【0010】
また、特許文献2には、ポリメチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロ
ピレングリコ−ル、ポリブチレングリコ−ルなどのアルキレン系ポリエ−テルポリオ−ル
や、ビスフェノ−ル単独もしくはビスフェノ−ルとグリコ−ルとを反応させてなる芳香環
含有ポリエ−テルポリオ−ルなどのポリエ−テルポリオ−ルを表面調整剤として含有する
、仕上り性や防食性が低下することがないカチオン電着塗料が記載されている。しかし、
特許文献2に記載の表面調整剤は水分散性がなく、カチオン電着塗料の浴に後添加するこ
とができず、そのため、塗膜のハジキ防止効果を改善するための微調整ができないなどの
問題がある。また、多量に添加すると、形成される電着塗膜とシーラーとの間の付着性が
低下したり、中及び/又は上塗り塗膜との付着性が低下することがある。
【0011】
他方、特許文献3には、カチオン電着塗料中に、疎水性のアクリル樹脂と特定の分子量
分布およびHLBを有する高級アルコールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物を添加することにより、塗膜の油ハジキ、乾きムラおよび水跡の発生を防止することが提案されている。しかし、特許文献3に記載の方法では、エマルションの成分として疎水性のアクリル樹脂又は特定の分子量分布およびHLBを有する高級アルコールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物の2種類を加えなければならず、しかも2種類の配合比率によっては油ハジキ、乾きムラなどが生じ塗装作業性が低下することがある。
【0012】
さらに、特許文献4には、ジエポキシ化合物とアミノポリエーテルとを反応させて得ら
れる数平均分子量が20,000〜100,000のポリエーテル鎖を有するアミノエー
テル変性エポキシ樹脂を表面調整剤として電着塗料に含有させることが提案されている。
この表面調整剤は、前記の方法(2)に示されるような電着塗料への後添加が可能である
ものの、マイルドな塗料攪拌(例えば、ラボの缶や小スケールのタンク)では安定性が良
好であるが、塗装ラインにおいてフィルター濾過機やUF濾過機などのシェアを長期にわ
たって受けたときには、表面調整剤の一部が凝集してフィルター濾過機やUF濾過機の閉
塞、塗面にブツが付着するなどの不具合が生じることがある。
【特許文献1】特公平6−76568号公報
【特許文献2】特開2001−3005号公報
【特許文献3】特開2001−288407号公報
【特許文献4】特開2002−294165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、前記の方法(1)及び(2)のいずれの添加方式にも適用可能であり
、かつ仕上がり性、耐油ハジキ性、耐水跡性、耐コンタミ性などの塗装作業性、上塗り塗
膜との付着性、塗装ラインでの塗料安定性、硬化性、防食性などをバランスよく保持した
カチオン電着塗料用の表面調整剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、今回、ポリオキシアル
キレン鎖を有するグリシジルエーテル化合物と活性水素を有するアミン化合物を反応させ
ることにより得られる重量平均分子量が250〜10,000の範囲内にある重付加体が
、表面調整剤を予め塗料に練り込んでエマルション化する方法、カチオン電着塗料の浴を
作製し、その後に表面調整剤を添加する方法のいずれの添加方法にも利用可能であり、し
かも、該重付加体を含むカチオン電着塗料は、仕上がり性、耐油ハジキ性、耐水跡性、耐
コンタミ性などの塗装作業性、上塗り塗料との付着性、塗装ラインでの塗料安定性、硬化
性、防食性などに優れた塗膜を形成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
かくして、本発明は、ポリオキシアルキレン鎖を有するグリシジルエーテル化合物(a
)と少なくとも1つの活性水素を有するアミン化合物(a)との、重量平均分子量が
250〜10,000の範囲内にある重付加体(A)を提供するものである。
【0016】
本発明は、また、基体樹脂としてエポキシ樹脂にアミノ基含有化合物を付加反応させて
得られるアミン付加エポキシ樹脂及び硬化剤としてブロック化ポリイソシアネート化合物
を含んでなるカチオン電着塗料に、上記重付加体(A)を、基体樹脂と硬化剤の合計固形
分100重量部あたり0.1〜20重量部の範囲内で配合又は添加してなるカチオン電着
塗料を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の重付加体は、表面調整剤として予め塗料に練り込んでエマルション化する方法
、カチオン電着塗料の浴を作製し、その後に重付加体を表面調整剤として添加する方法の
いずれの添加方法にも適用可能であり、しかも本発明の重付加体を含むカチオン電着塗料
は、仕上り性、耐油ハジキ性、耐水跡性、耐コンタミ性などの塗装作業性、上塗り塗料と
の付着性などに加えて、塗装ラインでの塗料安定性、硬化性、防食性などにも優れた塗膜
を形成する。
【0018】
以下、本発明の重付加体及びカチオン電着塗料についてさらに詳細に説明する。
【0019】
重付加体(A):
本発明の重付加体(A)は、ポリオキシアルキレン鎖を有するグリシジルエーテル化合
物(a)と少なくとも1つの活性水素を有するアミン化合物(a)を反応させて得ら
れるものであり、250〜10,000の範囲内の重量平均分子量を有する。
【0020】
ポリオキシアルキレン鎖を有するグリシジルエーテル化合物(a)には、1分子中に
少なくとも1個のグリシジル基と、ポリオキシアルキレン鎖(このポリオキシアルキレン
鎖は1種のオキシアルキレン単位からなるものであってもよく、或いは2種もしくはそれ
以上のオキシアルキレン単位からなるものであってもよい)を有する化合物が包含され、
具体的には、例えば、下記式(1)、(2)、(3)で示される化合物が挙げられる。
【0021】
【化1】

【0022】
式中、n個の繰り返し単位中のRは同一もしくは相異なり、それぞれ直鎖状もしく
は分枝鎖状のC〜Cアルキレン基を表し;RはC〜Cアルキル基又はフェ
ニル基を表し;nは1以上の整数である。
【0023】
【化2】

【0024】
式中、n個の繰り返し単位中のR及びm個の繰り返し単位中のRは同一もしくは
相異り、それぞれ直鎖状もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキレン基を表し;R
〜Cアルキレン基、フェニレン基、−C−CH−C−又は−C
−C(CH−C−を表し;n及びmはそれぞれ1以上の整数であ
る。
【0025】
上記式(2)で示される化合物の具体例としては、デナコールEX−931(ナガセケ
ムテックス社製、商品名、重量平均分子量約940)、グリシエールPP−300(三洋
化成社製、商品名、重量平均分子量約600)などが挙げられる。
【0026】
【化3】

【0027】
式中、n個の繰り返し単位中のR及びm個の繰り返し単位中のR及びp個の繰り
返し単位中のRは同一もしくは相異なり、それぞれ直鎖状もしくは分枝鎖状のC
〜Cアルキレン基を表し;RはC〜Cアルカントリイル基を表し;n、m
及びpは1以上の整数である。
【0028】
他方、活性水素を有するアミン化合物(a)としては、アミノシラン化合物、1級ア
ミノ基及び/又は2級アミノ基を含有するアミン化合物或いは第1級アミノ基及び/又は
第2級アミノ基と水酸基を併有する化合物が挙げられる。
【0029】
アミノシラン化合物には、1分子中に少なくとも1個のアミノ基と少なくとも1個の下
記式(4)の基を有する化合物が包含される。
【0030】
【化4】

【0031】
式中、Q、Q及びQはそれぞれアルキル基、アルコキシ基又はアルキルカル
ボニルオキシ基を表し、ただしQ、Q及びQのうち少なくとも1つはアルキ
ル基以外の基である。
【0032】
具体的には、例えば、下記式(5)〜(7)で示される化合物が挙げられる。
【0033】
【化5】

【0034】
上記式(5)で示される化合物の具体例としては、KBM−903(信越化学社製、商
品名、重量平均分子量約180)が挙げられる。
【0035】
【化6】

【0036】
上記式(6)で示される化合物の具体例としては、X−12−666(信越化学社製、
重量平均分子量約345)が挙げられる。
【0037】
【化7】

【0038】
上記式(7)で示される化合物の具体例としては、 KBM−603(信越化学社製、
重量平均分子量約222)が挙げられる。
【0039】
1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含有するアミン化合物或いは第1級アミノ基及
び/又は第2級アミノ基と水酸基を併有する化合物としては、例えば、ジエチルアミン、
エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエ
チレンヘキサミンなどのモノ−もしくはポリアルキルモノ−もしくはポリアミン類;モノ
エタノールアミン、ジエタノールアミン、モノ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ジ(
2−ヒドロキシプロピル)アミンなどのモノ−もしくはジアルカノールアミン類;1,3
−ビスアミノメチルシクロヘキサノン、イソホロンジアミンなどの脂環族ポリアミン類;
キシリレンジアミン、メタキシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジ
アミンなどの芳香族ポリアミン類;ピペラジンのような含窒素複素環式化合物;これらの
ポリアミン類から誘導される、ポリアミド、ポリアミドアミン、エポキシ化合物とのアミ
ンアダクト、ケチミン、アルジミンなどのその他のアミン化合物を挙げることができる。
【0040】
これらの活性水素を有するアミン化合物(a)は、それぞれ単独で使用することがで
き又は2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0041】
本発明の重付加体(A)は、以上に述べたポリオキシアルキレン鎖を有するグリシジル
エーテル化合物(a)と活性水素を有するアミン化合物(a)との間の開環付加反応
により製造することができる。
【0042】
この開環付加反応は、通常、無溶媒でまたは適当な不活性溶媒中にて、約50〜約13
0℃、好ましくは約80〜約120℃の範囲内の温度で、30分間〜6時間程度、好まし
くは1〜3時間程度攪拌することにより実施することができる。
【0043】
ポリオキシアルキレン鎖を有するグリシジルエーテル化合物(a)に対する活性水素
を有するアミン化合物(a)の使用割合は、厳密に制限されるものではないが、一般に
は、ポリオキシアルキレン鎖を有するグリシジルエーテル化合物(a)のグリシジル基
1モルあたり、活性水素を有するアミン化合物(a)を0.1〜1.0モル、特に0.
5〜1.0モルの範囲内で使用することが好ましい。
【0044】
また、使用しうる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−
ヘキサンなどの炭化水素系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系;ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケト
ン系;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系;メタノール、エタ
ノール、n−プロパノール、iso−プロパノールなどのアルコール系;あるいはこれら
の混合物などが挙げられる。
【0045】
上記のポリオキシアルキレン鎖を有するグリシジルエーテル(a)と活性水素を有す
るアミン(a)との反応を、出発原料として、上記の式(1)の化合物と上記の式(5
)の化合物を用いた場合を例にとって反応式で示せば以下のとおりである。
【0046】
【化8】

【0047】
これにより、重量平均分子量が250〜10,000、好ましくは500〜7,000、さらに好ましくは1,000〜4,000の範囲内にあるポリオキシアルキレン鎖を有する重付加体(A)を製造することができる。得られる重付加体(A)の重量平均分子量が10,000を越えると、塗装ラインにおいて該重付加体に長期にわたってシェアがかかった時の安定性が低下し、逆に、重量平均分子量が250未満であると、塗面の表面調整効果が不足して塗面にハジキが発生し易くなる。
【0048】
他方、重付加体(A)の重量平均分子量が上記の範囲内にあると、塗装ラインにおいて
該重付加体にフィルター濾過機やUF濾過機などのシェアが長期にわたってかかったとき
でも重付加体(A)が安定しており、フィルターやUF膜の閉塞や塗面にブツが付着する
などの不具合が生ずることがない。
【0049】
カチオン電着塗料:
本発明の重付加体(A)は、以下に述べる基体樹脂及び硬化剤、その他の塗料用添加剤
とともに分散してエマルションとした後、カチオン電着塗料とすることができる。
【0050】
また、重付加体(A)を有機酸、例えば、酢酸、ギ酸又はこれらの混合物で中和し、さ
らに水を加えて分散することによって水分散体(A)とすることができる。この水分散
体(A)は、予め調製されたカチオン電着塗料の浴に後添加することができ、例えば、
塗装ラインの休憩時間、休日などに添加することが可能である。上記の有機酸は、重付加
体(A)の樹脂固形分1gあたりのmgKOH換算で、10〜100、好ましくは20〜
70、さらに好ましくは30〜50の範囲内で使用することができる。有機酸の使用量が
樹脂固形分1gあたりのmgKOH換算で、10mgKOH/g未満では、重付加体(A
)を水分散体とすることが困難となり、反対に、100を越えると、添加したカチオン電
着塗料の酸濃度(MEQ)が上昇するためクーロン効率が低下し、通電しても造膜しない
などの不具合や、GA材(合金化溶融亜鉛メッキ鋼板)塗装においてピンホールが発生し
たりするなどの問題が生じやすくなる。
【0051】
本発明に従い重付加体(A)を配合し又は添加することができるカチオン電着塗料は、
好ましくは、基体樹脂として用いられるカチオン性樹脂と硬化剤としてのブロック化ポリ
イソシアネート化合物を基本成分として含有するものである。
【0052】
基体樹脂として使用されるカチオン性樹脂は、分子中にアミノ基、アンモニウム塩基、
スルホニウム塩基、ホスホニウム塩基などのカチオン化可能な基を有する樹脂であり、樹
脂種としては、電着塗料の基体樹脂として通常使用されているもの、例えば、エポキシ系
、アクリル系、ポリブタジエン系、アルキド系、ポリエステル系などのいずれのタイプの
樹脂であってもよい。特に、ポリエポキシド化合物にアミノ基含有化合物を付加反応させ
て得られるアミン付加エポキシ樹脂が好適である。
【0053】
上記のアミン付加エポキシ樹脂としては、例えば、(1)ポリエポキシド化合物と第1
級モノ−もしくはポリアミン、第2級モノ−もしくはポリアミン又は第1、2級混合ポリ
アミンとの付加物(例えば、米国特許第3,984,299号明細書参照);(2)ポリエポキシ
ド化合物とケチミン化された第1級アミノ基を有する第2級モノ−もしくはポリアミンと
の付加物(例えば、米国特許第4,017,438号 明細書参照);(3)ポリエポキシド化合物
とケチミン化された第1級アミノ基を有するヒドロキシ化合物とのエーテル化により得ら
れる反応物(例えば、特開昭59−43013号公報参照)等を挙げることができる。
【0054】
上記のアミン付加エポキシ樹脂の製造に使用されるポリエポキシド化合物は、1分子中
にエポキシ基を1個以上、好ましくは2個以上有する化合物であり、一般に少なくとも2
00、好ましくは400〜4,000、さらに好ましくは800〜2,500の範囲内の数平均分子量、及び少なくとも160、好ましくは180〜2,500、さらに好ましくは400〜1,500の範囲内のエポキシ当量を有するものが適しており、特に、ポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるものが好ましい。
【0055】
該ポリエポキシド化合物の形成のために用い得るポリフェノール化合物としては、例え
ば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン、4,4’−ジヒドロキシベン
ゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−2もしくは3−tert−ブチル
−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4
−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等を挙げることができる。
【0056】
該ポリエポキシド化合物は、ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリ
オール、ポリアミドアミン、ポリカルボン酸、ポリイソシアネート化合物などと一部反応
させたものであってもよく、更にまた、ε−カプロラクトンなどのカプロラクトン、アク
リルモノマーなどをグラフト重合させたものであってもよい。
【0057】
上記(1)のアミン付加エポキシ樹脂の製造に使用される第1級モノ−もしくはポリア
ミン、第2級モノ−もしくはポリアミン又は第1、2級混合ポリアミンとしては、例えば
、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、モノイソプ
ロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミンなどのモノ−
もしくはジアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノ(2−ヒ
ドロキシプロピル)アミン、モノメチルアミノエタノールなどのモノ−もしくはジアルカ
ノールアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのアルキレンポリア
ミンなどを挙げることができる。
【0058】
上記(2)のアミン付加エポキシ樹脂の製造に使用されるケチミン化された第1級アミ
ノ基を有する第2級モノ−もしくはポリアミンとしては、例えば、上記(1)のアミン付
加エポキシ樹脂の製造に使用される第1級モノ−もしくはポリアミン、第2級モノ−もし
くはポリアミン又は第1、2級混合ポリアミンのうち、第1級アミノ基を有する化合物(
例えば、モノメチルアミン、モノエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリ
アミンなど)にケトン化合物を反応させてなるケチミン化物を挙げることができる。
【0059】
上記(3)のアミン付加エポキシ樹脂の製造に使用されるケチミン化された第1級アミ
ノ基を有するヒドロキシ化合物としては、例えば、上記(1)のアミン付加エポキシ樹脂
の製造に使用される第1級モノ−もしくはポリアミン、第2級モノ−もしくはポリアミン
又は第1、2級混合ポリアミンのうち、第1級アミノ基とヒドロキシル基を有する化合物
(例えば、モノエタノールアミン、モノ(2−ヒドロキシプロピル)アミンなど)にケト
ン化合物を反応させてなるヒドロキシル基含有ケチミン化物を挙げることができる。
【0060】
前記アミン付加エポキシ樹脂には、前記ポリエポキシド化合物、1分子中に2個以上の
活性水素含有基を有する化合物にカプロラクトンを付加して得られるポリオール化合物、
又はアミノ基含有化合物を反応させてなるポリオール変性アミン付加エポキシ樹脂も包含
され、好適に使用することができる。
【0061】
上記1分子中に2個以上の活性水素含有基を有する化合物は、一般には、62〜5,0
00の範囲内の分子量を有し、1分子当り2〜30個の活性水素含有基を含有するもので
あることが好ましく、この活性水素含有基としては、例えば、水酸基、第1級アミノ基、
第2級アミノ基などを挙げることができる。
【0062】
上記1分子中に2個以上の活性水素含有基を有する化合物の具体例としては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールな
どの低分子量ポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコール、ビスフェノールAポリエチレングリコールエーテルなどの線状
又は分岐状ポリエーテルポリオール;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸
、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸な
どの有機ジカルボン酸又はその無水物と、上記低分子量ポリオールなどの有機ジオールと
を有機ジオール過剰の条件下で重縮合反応させてなるポリエステルポリオール;ブチレン
ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサ
ミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ(2−
ヒドロキシプロピル)アミン、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、1,3−ビスアミ
ノメチルシクロヘキサノン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、メタキシリレン
ジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミン、エチレンジアミン、プロピ
レンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの アミン化合物;
ピペラジンのような含窒素複素環式化合物;これらのアミン化合物から誘導されるポリア
ミド、ポリアミドアミン、エポキシ化合物とのアミンアダクト、ケチミン、アルジミンな
どを挙げることができる。
【0063】
上記1分子中に2個以上の活性水素含有基を有する化合物に付加反応せしめられるカプ
ロラクトンとしては、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−カプロラクトンな
どが挙げられ、特にε−カプロラクトンが好適である。
【0064】
上記1分子中に2個以上の活性水素含有基を有する化合物とカプロラクトンとの付加反
応は、それ自体既知の方法で行うことができ、この付加反応によってポリオール化合物が
得られる。
【0065】
上記ポリオール変性アミン付加エポキシ樹脂の製造に用いられるアミノ基含有化合物は
、樹脂中にアミノ基を導入して、該樹脂をカチオン性化するためのカチオン性付与成分で
あり、エポキシ基と反応する活性水素を少なくとも1個有するものを使用することができ
る。
【0066】
その具体例としては、例えば、前記(1)のアミン付加エポキシ樹脂の製造に使用され
る第1級モノ−もしくはポリアミン、第2級モノ−もしくはポリアミン又は第1、2級混
合ポリアミン;前記(2)のアミン付加エポキシ樹脂の製造に使用されるケチミン化され
た第1級アミノ基を有する第2級モノ−もしくはポリアミン;前記(3)のアミン付加エ
ポキシ樹脂の製造に使用されるケチミン化された第1級アミノ基を有するヒドロキシ化合
物として使用可能なものなどを挙げることができる。
【0067】
カチオン性樹脂は、一般に、数平均分子量が700〜6,000、特に850〜5,0
00、さらに特に1,000〜4,000の範囲内にあり、カチオン性基を樹脂1kgあ
たり0.5〜3当量、特に0.6〜2.5当量、さらに特に0.7〜2当量の範囲内の量
で有することが好ましい。
【0068】
また、カチオン性樹脂は、カチオン化可能な基としてアミノ基を有する場合には、ギ酸
、酢酸、プロピオン酸、乳酸などの有機カルボン酸;塩酸、硫酸などの無機酸などの酸に
よって中和することにより水溶化ないしは水分散化することができ、他方、カチオン化可
能な基としてアンモニウム塩基、スルホニウム塩基又はホスホニウム塩基などのオニウム
塩基を有する場合には、中和することなく、そのまま水溶化ないしは水分散化することが
できる。
【0069】
カチオン性樹脂は、水溶化ないしは水分散化して使用してもよいし、有機溶剤溶液とし
て使用してもよい。カチオン性樹脂は、酸によって中和し、水性媒体中に溶解ないしは分
散することによって、カチオン電着塗装可能にすることができる。
【0070】
さらに、基体樹脂として、キシレンホルムアルデヒド樹脂変性アミノ基含有エポキシ樹
脂を用いることもできる。キシレンホルムアルデヒド樹脂変性アミノ基含有エポキシ樹脂
には、エポキシ当量が180〜3000のエポキシ樹脂にキシレンホルムアルデヒド樹脂
及びアミノ基含有化合物を反応させて得られるアミノ基含有エポキシ樹脂が包含される。
【0071】
上記アミノ基含有エポキシ樹脂の製造のための出発材料として用いられるエポキシ樹脂
としては、前記のカチオン性樹脂について述べたものと同様のエポキシ樹脂が好適である

【0072】
キシレンホルムアルデヒド樹脂は、エポキシ樹脂の内部可塑化(変性)に役立つもので
あり、例えば、キシレン及びホルムアルデヒドならびにさらに場合によりフェノール類を
酸性触媒の存在下に縮合反応させることにより製造することができる。
【0073】
上記のホルムアルデヒドとしては、工業的に入手容易なホルマリン、パラホルムアルデ
ヒド、トリオキサン等のホルムアルデヒドを発生する化合物などを例示することができる

【0074】
さらに、上記のフェノール類には2個又は3個の反応サイトを持つ1価もしくは2価の
フェノール性化合物が包含され、具体的には、例えば、フェノール、クレゾール、パラ−
オクチルフェノール、ノニルフェノール、ビスフェノールプロパン、ビスフェノールメタ
ン、レゾルシン、ピロカテコール、ハイドロキノン、パラ−tert−ブチルフェノール
、ビスフェノールスルホン、ビスフェノールエーテル、パラ−フェニルフェノール等が挙
げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。この中
で特に、フェノール、クレゾールが好適である。
【0075】
以上に述べたキシレン及びホルムアルデヒドならびにさらに場合によりフェノール類の
縮合反応に使用される酸性触媒としては、例えば、硫酸、塩酸、パラトルエンスルホン酸
、シュウ酸等が挙げられるが、一般的には、特に硫酸が好適である。
【0076】
縮合反応は、例えば、反応系に存在するキシレン、フェノール類、水、ホルマリン等が
還流する温度、通常、約80〜約100℃の温度に加熱することにより行うことができ、
通常、2〜6時間程度で終了させることができる。
【0077】
上記の条件下に、キシレンとホルムアルデヒド及びさらに場合によりフェノール類を酸
性触媒の存在下で加熱反応させることによって、キシレンホルムアルデヒド樹脂を得るこ
とができる。
【0078】
かくして得られるキシレンホルムアルデヒド樹脂は、一般に、20〜50,000セン
チポイズ(25℃)、好ましくは25〜35,000センチポイズ(25℃)、さらに好
ましくは30〜15,000センチポイズ(25℃)の範囲内の粘度を有することができ
、そして一般に100〜50,000、特に150〜30,000、さらに特に200〜
10,000の範囲内の水酸基当量を有していることが好ましい。
【0079】
アミノ基含有化合物はエポキシ樹脂にアミノ基を導入して、該エポキシ樹脂をカチオン
性化するためのカチオン性付与成分であり、前記カチオン性樹脂の製造の際に用いたもの
と同様のものを用いることができる。
【0080】
前記エポキシ樹脂に対する上記のキシレンホルムアルデヒド樹脂及びアミノ基含有化合
物の反応は任意の順序で行うことができるが、一般には、エポキシ樹脂に対して、キシレ
ンホルムアルデヒド樹脂及びアミノ基含有化合物を同時に反応させるのが好適である。
【0081】
上記の付加反応は、通常、適当な溶媒中で、約80〜約170℃、好ましくは約90〜
約150℃の温度で1〜6時間程度、好ましくは1〜5時間程度行うことができる。上記
の溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの炭
化水素系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系;アセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系;ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系;メタノール、エタノール、n−プロ
パノール、iso−プロパノールなどのアルコール系;あるいはこれらの混合物などが挙
げられる。
【0082】
上記の付加反応における各反応成分の使用割合は、厳密に制限されるものではなく、適
宜変えることができるが、エポキシ樹脂、キシレンホルムアルデヒド樹脂及びアミノ基含
有化合物の3成分の合計固形分重量を基準にして以下の範囲内が適当である。すなわち、
エポキシ樹脂は、一般に50〜90重量%、好ましくは50〜85重量%;キシレンホル
ムアルデヒド樹脂は、一般に5〜45重量%、好ましくは6〜43重量%;アミノ基含有
化合物は、一般に5〜25重量%、好ましくは6〜20重量%の範囲内で用いることが好
ましい。
【0083】
以上に述べた基体樹脂と併用される硬化剤としては、ポリイソシアネート化合物とブロ
ック剤とのほぼ化学理論量での付加反応生成物であるブロック化ポリイソシアネート化合
物が硬化性、防食性などの面から好ましい。
【0084】
ここで使用されるポリイソシアネート化合物としては、従来から知られているものを使
用することができ、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、
フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェ
ニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(通常「MDI」と呼ばれる)、クルードMD
I、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ートなどの芳香族、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物;これらのポリイシアネ
ート化合物の環化重合体、イソシアネートビゥレット体;これらのポリイソシアネート化
合物の過剰量にエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、
ヘキサントリオール、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物を反応させて得られる末
端イソシアネート含有化合物などを挙げることができる。これらはそれぞれ単独で又は2
種以上組合わせて使用することができる。
【0085】
一方、ブロック剤は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に付加してブロッ
クするものであり、そして付加によって生成するブロックポリイソシアネート化合物は常
温においては安定であるが、塗膜の焼付け温度(通常約100〜約200℃)に加熱した
際、ブロック剤が解離して遊離のイソシアネート基を再生しうるものであることが望まし
い。
【0086】
このような要件を満たすブロック剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、γ−ブチ
ロラクタムなどのラクタム系化合物;メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキ
シムなどのオキシム系化合物;フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、クレゾールな
どのフェノール系化合物;n−ブタノール、2−エチルヘキサノールなどの脂肪族アルコ
ール類;フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノールなどの芳香族アルキルアル
コール類;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテルなどのエーテルアルコール系化合物等を挙げることができる。
【0087】
これらのブロック剤の他に、互いに反応性の異なる2個の水酸基を有する分子量76〜
150のジオール又は分子量106〜500のカルボキシル基含有ジオールをブロック剤
として用いたブロック化ポリイソシアネートも硬化剤として用いることができる。
【0088】
上記ジオールは、反応性の異なる2個の水酸基、例えば、第1級水酸基と第2級水酸基
、第1級水酸基と第3級水酸基、第2級水酸基と第3級水酸基との組み合わせの2個の水
酸基を有し且つ76〜150の分子量を有するものであることができ、例えば、プロピレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオ
ール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペン
タンジオール、3−メチル−4,3−ペンタンジオール、3−メチル−4,5−ペンタン
ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオ
ール、1,4−ヘキサンジオールなどの反応性の異なる2個の水酸基を有するジオール類
を挙げることができる。
【0089】
なかでもプロピレングリコールがブロック化ポリイシアネートの反応性、加熱減量の低
減、塗料の貯蔵安定性などの観点から好適である。これらのジオールは、通常、反応性の
高いほうの水酸基からイソシアネート基と反応しイソシアネート基をブロックする。
【0090】
上記のカルボキシル基含有ジオールには、分子量106〜500のカルボキシル基含有
ジオールが包含され、分子中にカルボキシル基を有することによって、低温解離性が向上
し低温での硬化性を向上させることができ、特に、硬化触媒として、有機錫化合物を使用
した場合に低温での硬化性を大きく向上させることができる。
【0091】
カルボキシル基含有ジオールとしては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、
2,2−ジメチロールブタン酸、ジメチロール吉草酸、グリセリン酸等を挙げることがで
きる。
【0092】
以上に述べた基体樹脂及び硬化剤は、一般に、両者の合計固形分を基準にして、基体樹
脂は50〜95重量%、特に60〜90重量%、さらに特に65〜85重量%の範囲内、
硬化剤は5〜50重量%、特に10〜40重量%、さらに特に15〜35重量%の範囲内
で使用することができる。
【0093】
また、カチオン電着塗料は、基体樹脂及び硬化剤を合計固形分として、10〜40重量
%、特に10〜30重量%、さらに特に15〜25重量%の範囲内の濃度で含有すること
ができる。
【0094】
カチオン電着塗料は、基体樹脂及び硬化剤の基本的な2成分に加えて、必要に応じて、
他の塗料用添加剤、例えば、着色顔料、体質顔料、防錆顔料、有機溶剤、顔料分散剤、表
面調整剤、界面活性剤、酸、触媒などを、通常使用されている量で含有することができる

【0095】
前述した本発明の重付加体(A)は、カチオン電着塗料の調製の任意の段階で、カチオ
ン電着塗料成分に配合することができ(以下、「前添加法」という)、或いは予め調製さ
れたカチオン電着塗料に添加することもできる(以下、「後添加法」という)。
【0096】
前添加法においては、重付加体(A)を、基体樹脂、硬化剤及び場合によりその他の塗
料用添加剤とともに水性媒体中に分散し、エマルションを形成せしめた後、そのエマルシ
ョンと顔料分散ペーストを用いてカチオン電着塗料を調製することができる。
【0097】
上記のエマルションを製造する場合、重付加体(A)、基体樹脂、硬化剤及び場合によ
りその他の塗料用添加剤を一緒にし、十分に混ぜ合わせて溶解ワニスを作製し、それに、
水性媒体中で、ぎ酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、スルファミン酸
、それらの2種もしくはそれ以上の混合物などから選ばれる中和剤を添加して水分散化し
、カチオン電着塗料用エマルションとすることができる。
【0098】
重付加体(A)の配合量は、固形分として、基体樹脂と硬化剤の合計固形分100重量
部あたり一般に0.1〜20重量部、特に0.5〜15重量部、さらに特に1〜10重量
部の範囲内が塗料安定性などの面から好適である。
【0099】
また、後添加法においては、まず、重付加体(A)に、その固形分1gあたりのmgK
OH換算で、10〜100、好ましくは20〜70、さらに好ましくは30〜50の範囲
内になるようにして、酢酸、ギ酸、乳酸などの有機酸を加えて、重付加体(A)を水分散
化することにより、重付加体(A)の水分散体を調製する。
【0100】
他方、通常の方法に従い、前記の基体樹脂、硬化剤及び場合によりその他の塗料用添加
剤に中和剤を加えて水分散化することによりエマルションを製造し、それに顔料分散ペー
ストを加え、必要により水性媒体で希釈してカチオン電着塗料を調製する。
【0101】
このようにして予め調製されたカチオン電着塗料に上記の重付加体(A)の水分散体を
、固形分として、基体樹脂と硬化剤の合計固形分100重量部あたり一般に0.1〜20
重量部、特に0.5〜15重量部、さらに特に1〜10重量部の範囲内で添加することに
より、本発明に従うカチオン電着塗料を得ることができる。重付加体(A)の添加は、カ
チオン電着塗装の段階で行なうことができる。
【0102】
以上の如くして調製される本発明のカチオン電着塗料は、カチオン電着塗装によって所
望の基材表面に塗装することができる。
【0103】
電着塗装は、一般に、浴固形分濃度が約5〜約40重量%となるように脱イオン水など
で希釈し、さらにpHを5.5〜9.0の範囲内に調整されたカチオン電着塗料浴を用い
、通常、浴温15〜35℃及び負荷電圧100〜400Vの条件下で行うことができる。
【0104】
本発明のカチオン電着塗料を用いて形成されるカチオン電着塗膜の膜厚は、特に制限さ
れるものではないが、一般的には、硬化塗膜に基づいて10〜40μm、特に10〜25
μmの範囲内が好ましい。また、塗膜の焼き付け温度は、被塗物表面で一般に約120〜
約200℃、好ましくは約140〜約180℃の範囲内の温度が適しており、焼き付け時
間は5〜60分、好ましくは10〜30分程度が好ましい。
【0105】
重付加体(A)を含有する本発明のカチオン電着塗料は、塗面の仕上がり性、耐油ハジ
キ性、耐水跡性、耐コンタミ性などの塗装作業性や上塗り塗料との付着性などに優れてお
り、特に、複雑形状の自動車ボディをライン塗装する場合には、本発明の重付加体(A)
は、水分散体として、塗装ラインの稼動停止時(休み時間、勤務交代時の休憩時間、休日
など)に、塗料の槽内へ直接添加することができるので、塗装作業性の改良や調整が極め
て容易になる。
【0106】
また、カチオン電着塗料中の顔料分を5重量%〜18重量%まで下げた場合には、塗料
の沈降性や再分散性は向上するが一般に塗面がハジキ易くなる傾向がみられるが、重付加
体(A)は塗膜の防食性を低下させないので、カチオン電着塗料中に0.1〜20重量部
の範囲内の幅広い量で添加することが可能となり、塗装作業性が大いに改良される。
【実施例】
【0107】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみ
に限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」である。
【0108】
重付加体(A)の製造:
製造例1
反応容器に、下記式(8)
【0109】
【化9】

【0110】
で示される化合物(重量平均分子量 約2,600のグリシジルエーテル化合物)260
部、「KBM−903」(商品名、信越化学社製、γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、分子量 約180)18部及びエチレングリコールモノブチルエーテル70部を加え
、80℃に昇温した。この温度を保ちながら3時間攪拌し、樹脂固形分80%、重量平均
分子量2780、アミン価20mgKOH/gの重付加体No.1を得た。
【0111】
製造例2
反応容器に、下記式(9)
【0112】
【化10】

【0113】
で示される化合物(重量平均分子量 約2,600のグリシジルエーテル化合物)260
部、「KBM−603」(商品名、信越化学社製、N−β(アミノエチル)γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、分子量 約222)2.2部、ジエタノールアミン7.4部
及びエチレングリコールモノブチルエーテル67部を加え、120℃に昇温した。この温
度を保ちながら3時間攪拌し、樹脂固形分80%、重量平均分子量2690、アミン価1
9mgKOH/gの重付加体No.2を得た。
【0114】
製造例3
反応容器に、下記式(10)
【0115】
【化11】

【0116】
で示される化合物(重量平均分子量 約2600のグリシジルエーテル化合物)260部
、X−12−666(信越化学社製、重量平均分子量 約341 ビス[3−(トリメト
キシシリル)プロピル]アミン)34部及びエチレングリコールモノブチルエーテル33
部を加え、120℃に昇温した。この温度を保ちながら3時間攪拌し、樹脂固形分90%
、重量平均分子量2940及びアミン価19mgKOH/gの重付加体No.3を得た。
【0117】
水分散体の製造
製造例4
製造例1で得た重付加体No.1 348部に、酢酸6部(樹脂固形分合計1gあたり
のmgKOH換算で20に相当)及び水1036部を加えて水分散化し、固形分20%の
水分散体No.1を得た。
【0118】
製造例5
製造例2で得た重付加体No.2 336.6部に、酢酸5.5部(樹脂固形分合計1
gあたりのmgKOH換算で19に相当)及び水1006部を加えて水分散化し、固形分
20%の水分散体No.2を得た。
【0119】
製造例6
反応容器に、イソプロピルアルコール320部を入れ、攪拌しながら還流温度(約83
℃)まで昇温した。これに下記のモノマー及び重合開始剤:
スチレン 272部
n−ブチルアクリレート 224部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 80部
ジメチルアミノエチルメタクリレート 144部
KBM−503(信越化学工業製、商品名、
γ−(メタ)アクリロイルキシプロピルトリメトキシシラン、
分子量 約250) 80部
アゾビスイソブチロニトリル 24部
の混合物を還流温度下(約83〜87℃)で約2時間かけて滴下した。
【0120】
ついで、さらに30分間攪拌した後、アゾビスジメチロバレロニトリル8部をイソプロ
ピルアルコール120部に溶解した溶液を約1時間かけて滴下し、約1時間攪拌後、イソ
プロピルアルコール320部を投入し冷却した。かくして、固形分51%、アミン価64
mgKOH/g、水酸基価48mgKOH/g及び数平均分子量 約20,000のアクリル共重合体ワニスを得た。
【0121】
次に、このアクリル共重合体ワニス780部に酢酸6.4部を加え、約30℃で5分間
攪拌した後、脱イオン水1156部を強く攪拌しながら約30分間かけて滴下した。かくして、固形分20%の乳白色の水分散体No.3を得た。
【0122】
製造例7 基体樹脂No.1の製造例
温度計、還流冷却器及び撹拌機を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコに、5
0%ホルマリン240g、フェノール55g、98%工業用硫酸101g及びメタキシレ
ン212gを仕込み、84〜88℃で4時間反応させる。反応終了後、静置して樹脂相と
硫酸水相とを分離し、樹脂相を3回水洗し、20〜30mmHg/120〜130℃の条
件で20分間未反応メタキシレンをストリッピングして、粘度1050センチポイズ(2
5℃)のキシレンホルムアルデヒド樹脂(1)を得た。
【0123】
別のフラスコに、エピコート828EL(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名、
エポキシ樹脂、エポキシ当量190、分子量350)1000g、ビスフェノールA 4
00g及びジメチルベンジルアミン0.2gを加え、130℃でエポキシ当量750にな
るまで反応させた。
【0124】
次に、上記のキシレンホルムアルデヒド樹脂(1)300g、ジエタノールアミン14
0g及びジエチレントリアミンのケチミン化物65gを加え、120℃で4時間反応させ
た後、エチレングリコールモノブチルエーテル420gを加え、アミン価52mgKOH/g及び樹脂固形分80%のキシレンホルムアルデヒド樹脂変性アミノ基含有エポキシ樹脂である基体樹脂No.1を得た。
【0125】
製造例8 基体樹脂No.2の製造例
PP−400(三洋化成社製、商品名、ポリプロピレングリコール、分子量400)4
00gにε−カプロラクトン300gを加えて、130℃まで昇温した。その後、テトラ
ブトキシチタン0.01gを加え、170℃に昇温した。この温度を保ちながら経時でサ
ンプリングし、赤外吸収スペクトル測定にて未反応のε−カプロラクトン量を追跡し、反
応率が98%以上になった時点で冷却し、変性剤1を得た。
【0126】
別に、エピコート828EL(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名、エポキシ樹
脂 エポキシ当量190、分子量350)1000gに、ビスフェノールA 400g及び
ジメチルベンジルアミン0.2gを加え、130℃でエポキシ当量750になるまで反応
させた。
【0127】
その中にノニルフェノール120gを加え、130℃でエポキシ当量が1000になる
まで反応させた。次いで、変性剤1 200g、ジエタノールアミン95g及びジエチレ
ントリアミンのケチミン化物65g加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテル414gを加え、アミン価40mgKOH/g及び樹脂固形分80%のノニルフェノールが付加されたポリオール変性アミノ基含有エポキシ樹脂である基体樹脂No.2を得た。
【0128】
製造例9 硬化剤の製造例
コスモネートM−200(三井化学株式会社製、商品名、クルードMDI)270gに
メチルイソブチルケトン46gを加え70℃に昇温した。さらにジエチレングリコールモ
ノエチルエーテル281gをゆっくり加えた後、90℃に昇温した。
【0129】
この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、赤外吸収スペクトル測定にて未反応の
イソシアネートの吸収がなくなったことを確認して反応を停止させ、溶剤量を調整し、固
形分90%のブロックポリイソシアネート型の硬化剤を得た。
【0130】
製造例10 エマルションNo.1の製造
製造例1で得た重付加体No.1 6.25部(固形分5部)、製造例7で得た基体樹
脂No.1 87.5部(固形分70部)、製造例9で得た硬化剤33.3部(固形分30部)及び10%ギ酸8.2部を配合して均一に攪拌した後、脱イオン水173.8部を強く攪拌しながら約15分かけて滴下し、固形分34%のカチオン電着塗料用のエマルションNo.1を得た。
【0131】
製造例11〜14 エマルションNo.2〜5の製造
表1に示す配合にて、製造例10と同様にしてカチオン電着塗料用のエマルションNo
.2〜5を得た。
【0132】
【表1】

【0133】
(注1)サンニックスPP−1000:三洋化成社製、商品名、ポリプロピレ
ングリコール

製造例15 顔料分散ペーストの製造例
60%の第4級アンモニウム塩型エポキシ樹脂5.83部(固形分3.5部)、チタン
白14.5部、カーボンブラック0.3部、体質顔料7.0部、水酸化ビスマス1.0部
、ジオクチル錫オキサイト1部及び脱イオン水 20部を混合し、固形分55.0重量%の顔料分散ペーストを得た。
【0134】
実施例及び比較例
実施例1 カチオン電着塗料No.1の製造例
カチオン電着塗料用エマルションNo.1 309部(固形分105部)に、製造例1
6で得た顔料分散ペースト49.6部(固形分27.3部)及び脱イオン水173.8部
を加え、固形分20%のカチオン電着塗料No.1を得た。
【0135】
実施例2〜5及び比較例1〜3
表2に示す配合にて、実施例1と同様にして、実施例2〜5及び比較例1〜3のカチオ
ン電着塗料No.2〜No.8を得た。
【0136】
【表2】

【0137】
試験板の作成
上記実施例及び比較例で得た各カチオン電着塗料を用い、パルボンド#3020(日本
パーカライジング社製、商品名、リン酸亜鉛処理剤)で化成処理した150mm×70m
m×0.8mmの冷延ダル鋼板及び亜鉛メッキ鋼板に電着塗装を施した。塗膜を電気熱風
乾燥機中にて170℃で20分間焼き付け、試験板を得た。
【0138】
得られた試験板を以下の試験条件に従い試験した。その結果を表3に示す。
【0139】
【表3】

【0140】
(注2)仕上り性:電着塗膜の外板面の表面粗度を、サーフテスト301(M
ITSUTOYO社製、商品名、表面粗度計)で測定し、Ra値を決
定した。
○はRa値が0.25μm未満、
△はRaの値が0.25以上でかつ0.35μm未満、
×はRaの値が0.35μmを越える、ことを示す。
【0141】
(注3)耐油ハジキ性:電着塗装後のウェット板上に、王冠に1mlの機械油
を入れたものを置いた。その後、170℃−20分焼き付け塗面の状
態を観察した。
○はヘコミ、ハジキがなく良好、
△は塗面の一部にヘコミが散見される、
×は塗面の全体に素地まで達するハジキがみられる、ことを示す。
【0142】
(注4)水跡性:電着塗装後のウェット板に脱イオン水を1ml滴らし、その
後焼き付けた。
○は水跡がほとんど見えず、仕上がり問題なし、
△は水跡が確認でき、仕上がり性に低下が見られる、
×は水跡がはっきり確認でき、仕上がり性の低下が著しい、こと
を示す。
【0143】
(注5)シーラー付着性:各試験板の上に、サンスター1065T(サンスタ
ー社製、商品名、シーラー)を10mm×6mm×6mm(縦×横×
厚)で塗布し、塗板を垂直に吊るして12時間後のシーラーのづれを
測定した。
○はずれがなく、問題なし、
△はシーラーのずれが5mm以下である、
×は塗板からシーラーがずり落ちて落下した、ことを示す。
【0144】
(注6)防食性:焼き付け温度170℃−20分間で得られた各電着塗板(化
成処理亜鉛メッキ鋼板を使用)の電着塗膜に、素地に達するようにナ
イフでクロスカット傷を入れた後、JISZ−2371に準じて840時間耐
塩水噴霧試験を行い、ナイフ傷からの錆、フクレ幅(片側)の長さを
評価した。
○は錆・フクレ幅が3mm未満(片側)、
△は錆・フクレ幅が3〜4mm未満(片側)、
×は錆・フクレ幅が4mmを越える(片側)、ことを示す。
【0145】
(注7)塗料安定性:ラボポンプを用いて、塗料を30℃にて12時間循環
した後、400メッシュ濾過網を用いて濾過残さを測定した。
○は10mg/L以下、
△は11〜20mg/L、
×は20mg/Lを越える、ことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシアルキレン鎖を有するグリシジルエーテル化合物(a)と少なくとも1つ
の活性水素を有するアミン化合物(a)との、重量平均分子量が250〜10,000
の範囲内にある重付加体。
【請求項2】
ポリオキシアルキレン鎖を有するグリシジルエーテル化合物化合物(a)が下記式(
1)
【化1】

式中、n個の繰り返し単位中のRは同一もしくは相異なり、それぞれ直鎖状もしく
は分枝鎖状のC〜Cアルキレン基を表し;RはC〜Cアルキル基又はフェ
ニル基を表し;nは1以上の整数である、
で示される請求項1に記載の重付加体。
【請求項3】
ポリオキシアルキレン鎖を有するグリシジルエーテル化合物化合物(a)が下記式(
2)
【化2】

式中、n個の繰り返し単位中のR及びm個の繰り返し単位中のRは同一もしくは
相異り、それぞれ直鎖状もしくは分枝鎖状のC〜Cアルキレン基を表し;R
〜Cアルキレン基、フェニレン基、−C−CH−C−又は−C
−C(CH−C−を表し;n及びmはそれぞれ1以上の整数であ
る、
で示される請求項1に記載の重付加体。
【請求項4】
ポリオキシアルキレン鎖を有するグリシジルエーテル化合物化合物(a)が下記式(
3)
【化3】

式中、n個の繰り返し単位中のR及びm個の繰り返し単位中のR及びp個の繰り
返し単位中のRは同一もしくは相異なり、それぞれ直鎖状もしくは分枝鎖状のC
〜Cアルキレン基を表し;RはC〜Cアルカントリイル基を表し;n、m及
びpは1以上の整数である、
で示される請求項1に記載の重付加体。
【請求項5】
活性水素を有するアミン化合物(a)がアミノシラン化合物である請求項1に記載の
重付加体。
【請求項6】
活性水素を有するアミン化合物(a)が1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含有
するアミン化合物或いは第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基と水酸基を併有するア
ミン化合物である請求項1に記載の重付加体。
【請求項7】
基体樹脂としてエポキシ樹脂にアミノ基含有化合物を付加反応させて得られるアミン付
加エポキシ樹脂、及び硬化剤としてブロック化ポリイソシアネート化合物を含んでなるカ
チオン電着塗料に、その調製の任意の段階で、請求項1〜6のいずれか1項に記載の重付
加体を、基体樹脂と硬化剤の合計固形分100重量部あたり0.1〜20重量部の範囲内
で配合してなるカチオン電着塗料。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の重付加体に、固形分1g当りのmgKOH換算で
10〜100となるように有機酸を加え、水分散化してなる水分散体を、カチオン電着塗
料の調整の任意の段階において、基体樹脂と硬化剤の合計固形分100重量部あたり0.
1〜20重量部の範囲内で添加してなるカチオン電着塗料。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のカチオン電着塗料を用いて電着塗装された塗装物品。

【公開番号】特開2006−45560(P2006−45560A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−200742(P2005−200742)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】