説明

野球トレーニングシステム

【課題】 従来の野球分析映像は、投球フォームのチェックや球軌道のチェックは可能なものの、実際のバッターの視点から見た映像とは異なるという問題があった。
本発明は上記問題点を解決し、同一投球に対して左右バッターの視点から見た映像を比較可能な撮影・表示装置を提供する事を課題としている。
【解決手段】 本発明の野球トレーニングシステムは、複数のカメラにより左右のバッター視点でピッチャーの投球を撮影し、同一画面内に同期表示して投球フォームや球軌道の見え方の差異を分析出来る様にしているので、より実践的なトレーニングが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラを利用した野球のトレーニングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のビデオカメラを利用したピッチャーの投球分析は、投手の側面、後方または捕手後方からの単独撮影映像によるものであり、バッターのバットスイングの分析も後方、側面、背面等の単独撮影映像によるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−111940号公報
【特許文献2】特開2003−018589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の単独撮影映像は、ピッチャーの基礎的な投球動作のチェックや球軌道のチェックは可能なものの、実際のバッターの視点から見た映像とは異なるという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決し、同一投球に対して左右のバッターの視点から見た映像を比較可能な撮影・表示装置を提供する事を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決する為に、本発明の野球トレーニングシステムは、複数のカメラにより左右のバッター視点でピッチャーの投球を撮影し、同一画面内に同期表示し、投球フォームや球軌道の見え方の差異が分析出来る事を特徴としている。
【0007】
またこの発明によれば、同一ピッチャーでも球種の違いによる投球フォーム及び球軌道の差異をバッター視点で表示・分析する事が可能であるし、多視点バッター映像の同期表示によりバットスイングの差異分析も可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、対右打者用及び対左打者用の投球フォーム及び球軌道の差異を有効に分析する事が出来、より実践的な投球術や打撃術を向上させる有効な練習をする事が出来るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来の野球分析方法のブロック図である。
【図2】本発明によるピッチャー分析方法のブロック図である。
【図3】本発明によるピッチャー分析方法の表示画面図である。
【図4】本発明によるバッター撮影方法を示す図である。
【図5】本発明によるバッター分析方法のブロック図である。
【図6】本発明によるバッター分析方法の表示画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下従来の野球分析方法について図1を用いて説明する。
【0011】
コントローラ115の制御により、カメラ101で撮影されたピッチャーやバッターの被験者映像は記録装置111に記録され、表示装置112に表示される。分析者は表示装置112の表示映像を参照して、身体特徴点データや基準映像データとの比較により被験者にアドバイスを与える事になる。
【0012】
次に本発明によるピッチング分析の撮影方法を図2を用いて説明する。
【0013】
右バッター202の頭部位置に設置された左カメラ201と、左バッター204の頭部位置に設置された右カメラ203とで同期連続撮影されたピッチャーの投球映像は、コントローラ215の制御により1投球毎に個別の映像ファイルとして記録装置211に記録され、1台以上の表示装置212,213で表示される。例えば表示装置212はキャッチャー側の指導者の視聴用であり、表示装置213はピッチャーの視聴用と使い分けても良い。
【0014】
連続撮影された投球映像を1投球毎の個別ファイルに区切る方法としては、例えば特開2006-238393号公報に開示されている様に、ピッチャーの投じたボールを画像認識したり、捕球音等の音声を検出して自動実行する。
【0015】
次に本発明によるピッチング分析の表示方法を図3を用いて説明する。
【0016】
図3は図2における表示装置212の表示画面214を左右に2分割した例で、向かって左半分に左カメラ201で撮影された左カメラ映像201aを表示し、向かって右半分に右カメラで撮影された右カメラ映像203aを同期表示する。分析者は表示画面214の表示映像をスロー再生やコマ送り再生しながら両者の視差を比較して、被験者にアドバイスを与える事になる。
【0017】
また本分析方法では、同一ピッチャーによる異なる球種(含球速/コース)の映像や異なるピッチャーによる同一球種の映像を同期表示して分析する事も可能である。この場合の同期方法は、同一被写体を同時撮影する先の場合と異なるので、例えばピッチャーがボールをリリースした瞬間を同期ポイントとして両映像を編集する事で達成される。
【0018】
次に本発明によるバッティング分析の方法を図4から図6を用いて説明する。
【0019】
図4はバッティング分析をするバッターの撮影方法を示す図である。バッター視点で撮影されたピッチャーの投球映像を表示装置213に表示し、被験者のバッターがこの再生映像に合わせて素振りをする様子を前方カメラ205(マウンド側から撮影)、正面カメラ206(反対打席側から撮影)、上面カメラ207(ホームプレート上空側から撮影)、後方カメラ208(キャッチャー側から撮影)の4方向から同期撮影する。この場合、トレーニング効果を上げる為に球種をランダムに変化させても良い。
【0020】
図5は本発明によるバッター分析方法のブロック図であり、本例ではコントローラ215を制御して4台のカメラ205,206,207,208の各映像、または映像201aか映像203aを併せた多視点映像として表示装置212の表示画面214に表示する。
【0021】
図6は図5における表示装置212の表示画面214を4分割した例で、左上に上面カメラ207の映像207aを表示し、左下に正面カメラ206の映像206aを表示し、右下に前方カメラ205の映像205aを表示し、右上に映像201aを表示する。分析者は表示画面214の4分割映像をスロー再生やコマ送り再生しながら参照して被験者にアドバイスを与える事になる。また分割同期表示する映像を選択する事で投球種やバッターボックス内の立ち位置の違いによるスイングの差異も容易に識別出来る。
【0022】
尚、上記各分析方法において、コントローラ215を制御して表示画面214内に格子線やストライクゾーンを合成表示させたり、スピードガンで測定した球速等の付帯情報を同時表示すれば分析が更にやり易くなる事は言うまでもない。
【符号の説明】
【0023】
101 カメラ
111 記録装置
112 表示装置
115 コントローラ
201 左カメラ
201a 左カメラ映像球種a
202 右バッター
203 右カメラ
203a 右カメラ映像球種a
204 左バッター
205 前方カメラ
205a 前方カメラ映像球種a
206 正面カメラ
206a 正面側面カメラ映像球種a
207 上面カメラ
207a 上面カメラ映像球種a
208 後方カメラ
208a 後方カメラ映像球種a
211 記録装置
212 表示装置
213 表示装置
214 表示画面
215 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野球トレーニングにおいて、
バッター視点でピッチャーの投球を連続撮影する複数のカメラと、
該カメラで撮影した映像を投球毎に複数の映像ファイルとして記録する記録装置と、
該記録装置に記録された複数映像を同一画面内に同期表示する表示装置と、
これらを制御するコントローラとを含む事を特徴とする野球トレーニングシステム。
【請求項2】
上記同期映像が、左右のバッターボックスのバッター視点で同時撮影した物であり、視点の違いによる投球フォームや球軌道の視差が分析出来る事を特徴とする請求項1に記載の野球トレーニングシステム。
【請求項3】
上記同期映像が、同一ピッチャーの異なる球種の投球を撮影した物であり、球種の違いによる投球フォームや球軌道の差異が分析出来る事を特徴とする請求項1に記載の野球トレーニングシステム。
【請求項4】
上記同期映像が、異なるピッチャーの同一球種の投球を撮影した物であり、ピッチャーの違いによる投球フォームや球軌道の差異が分析出来る事を特徴とする請求項1に記載の野球トレーニングシステム。
【請求項5】
上記撮影映像の1つを選択表示し、再生映像に合わせたバッターのバットスイングを複数のカメラにより多視点映像として同時撮影し、同期表示して球種やピッチャーの違いによるバットスイングの差異が分析出来る事を特徴とする請求項1に記載の野球トレーニングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−40071(P2012−40071A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181690(P2010−181690)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(000101330)アストロデザイン株式会社 (28)