説明

野球用またはソフトボール用捕球具の保形具

【課題】 本発明は、捕球具の受球部が閉じる方向に形付けされるのを防ぎ、使用者の捕球動作を容易にし、また、使用前に捕球具の形付けを補正しなくても済むように、十分に開いた形状を維持できるようにするための保形具を提供することを目的とする。
【解決手段】 少なくとも前記捕球具の使用者の第二指から第五指を受け入れる指袋の付根部と接触する第一区域と、ウエブの下部付近の受球部と接触する第二区域と、使用者の第一指を受け入れる指袋部付根に接触する第三区域で規定される本体部と、前記第一区域に設けられ、前記使用者の第二指から第五指を受け入れる指袋のいずれかの間に挿入される少なくとも2以上の突起部とで構成されることを特徴とする保形具であある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球用またはソフトボール用捕球具の保形具に関するものであって、捕球具の非使用時に使用し、捕球具が閉じた状態に形付けされないようにするための保形具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、捕球具本体のウエブ部や各指袋の状態を使用者の好みに合わせて形付けするために様々な保形具が提案されている。例えば本件出願人は特許文献1、特許文献2に記載の保形ベルトを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−135645号公報
【特許文献2】特開2007−202711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の保形具は受球部が閉じる方向に作用する力を利用するものであり、捕球具全体としては受球部が閉じた方向に形付けされることになる。特許文献2の保形具は、指袋部の一部に受球部が開く方向に作用する力を利用し、複雑な形状の保形を可能にしているが、捕球具全体で見れば受球部は閉じた方向に形付けされることに変わりはない。
【0005】
ところで、捕球する際には捕球具の受球部が十分に開いていることが望ましい。受球部が閉じた状態で形付けされた捕球具は、使用前に捕球具を開くように力を加えて形付けを補正するか、捕球動作の前に捕球具を意識して開くなどの処置が必要で、扱いづらいという課題を有していた。これら課題を解決する為、これまでは保形具利用時に内部にボールを入れる等の対処を施すこともあるが、実際に捕球具を利用する上で十分な形状を維持することは実現できていないのが現状である。そこで本発明では、このような課題を解決し、受球部が閉じた方向に形付けされず、十分に開いた形状を維持できるようにするための保形具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の野球またはソフトボール用捕球具の保形具は、少なくとも捕球具の使用者の第二指から第五指を受け入れる指袋の付根部と接触する第一区域と、ウエブの下部付近の受球部と接触する第二区域と、使用者の第一指を受け入れる指袋部付根に接触する第三区域で規定される本体部と、第一区域に設けられ、捕球具の使用者の第二指から第五指を受け入れる指袋のいずれかの間に挿入される少なくとも2以上の突起部とで構成される保形具である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の保形具は、捕球具の内側に配置し捕球具を開くように形付するので、使用前に捕球具の形付けを補正する手間がなく、また捕球動作時に使用者が意識的に捕球具を開く必要がない、取扱いの容易な捕球具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の保形具である。
【図2】本発明の別の保形具である。
【図3】本発明の保形具の使用例である。
【図4】従来(特許文献2)の保形具である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の保形具の実施の形態を図1を用いて説明する。本発明の保形具1は、少なくとも捕球具10の使用者の第二指から第五指を受け入れる指袋13の付根部と接触する第一区域7と、ウエブの下部付近の受球部11と接触する第二区域8と、使用者の第一指を受け入れる指袋14の付根部に接触する第三区域9で規定される本体部3と、前記第一区域7に設けられ、前記捕球具10の使用者の第二指から第五指を受け入れる指袋のいずれかの間15に挿入される少なくとも2以上の突起部2とで構成される。
【0010】
前記捕球具10の指袋部13の付根部、受球部11、指袋14の付根部と保形具の第一区域、第二区域、第三区域はおのおの接触する。接触形態は線状であることが望ましいが、保形具のおのおのの区域内において、1以上の点で接触していれば形付けを行うことができる。
【0011】
図1の例では、保形具は板状で、本体部と突起部は一体に設けられる。また、保形具はアクリル等の樹脂材料や鉄、アルミ等の金属材料、ホワイトアッシュ、アオダモ等の木材が使用可能であるが、捕球具の形付けに必要な剛性を有する材料であれば適宜選択可能であり、これらの材料に限定されない。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施例を図1で説明する。実施例1の保形具1は厚さ2.2mmのアクリル板からなり、本体は、第一区域、第二区域、第三区域、及び第一区域と第三区域を接続する部分で規定される。また、第一区域と第二区域、第二区域と第三区域は捕球具に接触しないようにそれぞれ接続され、第一区域と第三区域を接続する部分は凸状の曲線で構成されている。さらに前記第一区域には2本の突起2が前記本体3一体に設けられる。
【0013】
本保形具の使用形態を、図3を用いて説明する。保形具1の前記2本の突起のうち一方の突起2aは、捕球具10の使用者の第二指を受け入れる指袋と第三指を受け入れる指袋の間に挿入され、もう一方の突起2bは、使用者の第三指を受け入れる指袋と第四指を受け入れる指袋の間に挿入される。このとき、保形具1の第一区域7が捕球具10の指袋部13の付根に接触するようにする。
【0014】
次に、保形具1の第二区域8が捕球具10のウエブ12の下部と隣接する受球部11と接触するように保形具の位置を調整し、さらに保形具の第三区域9が捕球具10の指袋部14の付根と接触するように捕球具の形付けする。
【実施例2】
【0015】
本発明の別の実施例を図2で説明する。実施例2の保形具は厚さ2.0mmのCFRP(炭素繊維強化樹脂)からなり、マトリックス樹脂にはエポキシ樹脂を使用した。本体は、第一区域、第二区域、第三区域、及び第一区域と第三区域を接続する部分で規定される。また、第一区域と第二区域、第二区域と第三区域は捕球具に接触しないようにそれぞれ接続され、第一区域と第三区域を接続する部分は凹状の曲線で接続されている。
【0016】
さらに、前記第一区域には3本の突起2が本体3と一体成形され、おのおの捕球具10の使用者の第二指を受け入れる指袋と第三指を受け入れる指袋の間、第三指を受け入れる指袋と第四指を受け入れる指袋の間、第四指を受け入れる指袋と第五指を受け入れる指袋の間に挿入される。
【符号の説明】
【0017】
1 保形具、2 突起、3 本体、7 第一区域、8 第二区域、9 第三区域、10 捕球具、11 受球部、12ウエブ、13 指袋、14 第一指指袋、15 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野球またはソフトボール用捕球具の保形具であって、
前記保形具は、
少なくとも前記捕球具の使用者の第二指から第五指を受け入れる指袋の付根部と接触する第一区域と、ウエブの下部付近の受球部と接触する第二区域と、使用者の第一指を受け入れる指袋部付根に接触する第三区域で規定される本体部と、
前記第一区域に設けられ、前記使用者の第二指から第五指を受け入れる指袋のいずれかの間に挿入される少なくとも2以上の突起部と、
で構成されることを特徴とする保形具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−36299(P2011−36299A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184072(P2009−184072)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)