金属多孔体とその製造方法
【課題】多数独立の通孔6を有する本体プレート2と、該本体プレート2を囲むように装着された補強用の枠体3とからなる金属多孔体において、本体プレート2と枠体3との良好な接合状態を長期にわたって維持することができるようにする。
【解決手段】本体プレート2の外周縁と枠体3とを、電鋳法により形成された電着金属層9を介して不離一体的に接合する。これにて、従来例のように、本体プレート2と枠体3とを樹脂で接合する形態では不可避であった、洗浄処理等において使用される有機溶媒が樹脂に作用することに起因する樹脂の変質などの不具合は一切生じず、本体プレート2と枠体3との間の良好な接合状態を長期にわたって確実に維持できる。本発明に係る金属多孔体は、印刷用メタルマスク版や塵埃除去用フィルターに好適に適用できる。
【解決手段】本体プレート2の外周縁と枠体3とを、電鋳法により形成された電着金属層9を介して不離一体的に接合する。これにて、従来例のように、本体プレート2と枠体3とを樹脂で接合する形態では不可避であった、洗浄処理等において使用される有機溶媒が樹脂に作用することに起因する樹脂の変質などの不具合は一切生じず、本体プレート2と枠体3との間の良好な接合状態を長期にわたって確実に維持できる。本発明に係る金属多孔体は、印刷用メタルマスク版や塵埃除去用フィルターに好適に適用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数独立の通孔を有する電鋳製の本体プレートと、該本体プレートを囲むように配置された該本体プレートの補強用の枠体とからなる金属多孔体、およびこの金属多孔体の製造方法に関する。この金属多孔体は、例えば印刷用メタルマスクや塵埃除去用フィルターなどに適用できる。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る金属多孔体は、多数独立の通孔を有する電鋳製の本体プレートと、該本体プレートを囲むように配置された補強用の枠体とからなるものであるが、この種の金属多孔体の分野では、本体プレートと枠体とを如何にして作業効率良く、しかも確りと接合するかが重要な課題である。例えば特許文献1に係る印刷用メタルマスク版では、枠体に弾力布を緊張状態に貼着したうえで、紫外線硬化形樹脂により弾力布の中央開口部に電鋳製の本体プレートを貼着している。すなわち、紫外線硬化形樹脂を、本体プレート−枠体間の貼着要素としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57−138991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、紫外線硬化形樹脂を貼着剤として採用しているため、一般的な接着剤を用いた場合に比べて、印刷用のメタルマスク版を短時間に効率良く製造することができ、その点で当該発明は有用なものではある。
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る接合方法によれば、貼着剤である樹脂がメタルマスク版の洗浄時に使用される有機溶剤により変質されやすく、本体プレートと弾力布との間の接合強度が低下するおそれがある。このように接合強度が低下すると、枠体の本体プレートに対する形状抑制機能が良好に発揮されず、印刷精度が低下する。最悪の場合には本体プレートが弾力布から剥がれ落ちるおそれもある。
【0006】
さらに上記公報に記載の形態によれば、枠体に張られた弾力布に対して本体プレートを貼着固定するには、弾力布の中央開口部上に本体プレートを位置ずれや角度ずれなく載置したうえで貼着作業を進めることが必要であるが、各別個に作製された本体プレートと、弾力布の中央開口部とを適正に位置決めすることは極めて困難な作業である。このため、製造作業を迅速かつ容易に行うことができず、金属多孔体の製造コストが上昇することが避けられない点にも不利があった。
【0007】
本発明の目的は、本体プレートと枠体との位置合わせを簡単・迅速に行うことができて、製造コストの低減化を図ることができ、しかも本体プレートと枠体との良好な接合状態を長期にわたって維持することができる金属多孔体と、その製造方法を得るにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、図1、図5、図6および図10に示すごとく、多数独立の通孔6を有する電鋳製の本体プレート2と、該本体プレート2を囲むように配置された該本体プレート2の補強用の枠体3とからなる金属多孔体1であって、本体プレート2の外周縁と枠体3とが、電鋳法により形成された電着金属層9を介して不離一体的に接合されていることを特徴とする。なお、図1、図5および図6に係る図示例は、本発明に係る金属多孔体を印刷用メタルマスク版に適用した例を示しており、図10は、当該金属多孔体を塵埃除去用のフィルターに適用した例を示している。
【0009】
図1、図5、図6、図10に示すごとく、電着金属層9は、本体プレート2を枠体3側に引き寄せる、引っ張り応力F1が作用するようなテンションを加えた状態で形成することが好ましい。かかる引っ張り応力F1の付与は、電着金属層9を作製する際の電鋳槽中に添加する第2種光沢剤のカーボン及びイオウ比率の含有比率を調製することで実現できる。
【0010】
図1、図5、図6に示すごとく、本体プレート2は、それ自体に内方に収縮する方向の応力F2が作用するようなテンションを加えた状態で、電着金属層9を介して枠体3に保持されている形態を採ることが好ましい。かかる応力F2の付与は、本体プレート2となる一次電着層16等を作成する際の電鋳槽中に添加する第2種光沢剤中のカーボン及びイオウの含有比率を調製することで実現できる。さらに、母型10を42アロイやインバー、SUS430(ステンレス)その他の低熱線膨張係数の材質からなるものとしたうえで、一次電着層16等の形成時における電鋳槽内の温度が高くなることで、かかる温度差に起因して、母型10と母型上に形成されるニッケルやニッケル合金等の電着金属との熱膨張係数の差によって、母型から剥離した一次電着層16等が常温時には内方側に収縮するように設定することによっても実現できる。
【0011】
図10に示すごとく、本体プレート2と枠体3とが、該本体プレート2を構成する一次電着層16と一体的に形成された電着金属層9を介して、不離一体的に接合された形態としてもよい。
【0012】
金属多孔体1は、印刷用メタルマスク版とすることができる。この場合には、図5および図6に示すごとく、本体プレート2は、被印刷物に接する印刷面となる下層側の一次電着層22と、該一次電着層22上に形成されてスキージ面となる上層側の二次電着層23とからなる二層構造をなすものとし、そのうえで二次電着層23を一次電着層22よりも硬い材質で形成することが好ましい。
【0013】
特に、本発明に係る金属多孔体を印刷用メタルマスク版とする場合には、図6に示すごとく、本体プレート2と枠体3との接合部における、二次電着層23の上面と電着金属層9の上面とが、段差のない面一状とすることが好ましい。
【0014】
また本発明は、図1に示すような多数独立の通孔6を有する電鋳製の本体プレート2と、該本体プレート2を囲むように配置された該本体プレート2の補強用の枠体3とを、電着金属層9を介して接合してなる金属多孔体の製造方法において、図2(c)に示すごとく、母型10の表面に、レジスト体15aを有する一次パターンレジスト15を設ける第1のパターンニング工程と、図2(d)に示すごとく、一次パターンレジスト15を用いて、母型10上に電着金属を電鋳して、本体プレート2に対応する一次電着層16を形成する第1の電鋳工程と、図3(c)に示すごとく、一次電着層16を囲むように母型10上に枠体3を配する枠体配設工程と、図3(e)に示すごとく、枠体3の表面と、一次電着層16の外周縁、すなわち多数個の通孔6からなる本体プレート2の通孔形成領域5の外周縁5aの表面とを覆うように、電鋳法により電着金属層9を形成して、該電着金属層9により一次電着層16と枠体3とを不離一体的に接合する第2の電鋳工程と、母型10から一次電着層16、枠体3および電着金属層9を一体に剥離する剥離工程とを含む。
【0015】
これによれば、レジスト体15aの除去に伴い、一次電着層16に通孔6が形成される。また、通孔形成領域5の外周縁5aに電鋳形成された電着金属層9によって、通孔形成領域5と枠体3とを不離一体的に接合することができる。パターンレジスト15は、フォトレジスト等を使用したリソグラフィー法その他の任意の方法で形成でき、パターンレジスト15の形成手段は問わない。
【0016】
図3(a)・(b)に示すごとく、母型10上に形成された一次電着層16の表面に、通孔形成領域5を覆うレジスト体17aを形成するためのフォトレジスト層17を形成する工程を含み、前記枠体配設工程においては、未露光のフォトレジスト層17bの粘着性を利用して、母型10上に枠体3を仮止め固定しており、かかる仮止め固定状態で、図3(e)に示すような第2の電鋳工程を行うようにしてもよい。
【0017】
また本発明は、図6に示すごとく、多数独立の通孔6を有し、下層側の一次電着層22と上層側の二次電着層23とからなる二層構造の電鋳製の本体プレート2と、該本体プレート2を囲むように配置された該本体プレート2の補強用の枠体3とを、電着金属層9を介して接合してなる金属多孔体の製造方法であって、図7(c)に示すごとく、母型10の表面に、通孔6に対応するレジスト体15aを有する一次パターンレジスト15を設ける第1のパターンニング工程と、図7(d)に示すごとく、一次パターンレジスト15を含む母型10の上面の全面に、フィルム状の接着レジスト25を貼り付けたうえで、図7(e)に示すごとく、該接着レジスト25の粘着性を利用して、一次パターンレジスト15を囲むように、母型10上に枠体3を仮止め固定する枠体配設工程と、図8(a)に示すごとく、接着レジスト25上に、枠体3との境界部に透光孔26aを有するパターンフィルム26を密着させたのち、露光、現像、乾燥の各処理を行ったのち、未露光部分を溶解除去することにより、図8(b)に示すごとく、枠体3の開口の内周縁に係る母型10上に、レジスト体27aを有する二次パターンレジスト27を形成する第2のパターニング工程と、図8(c)に示すごとく、一次および二次パターンレジスト15・27を用いて、接着レジスト25の厚み寸法と同等の厚み寸法を有する一次電着層22を、母型10上に電鋳形成する第1の電鋳工程と、図8(e)に示すごとく、一次電着層10の外周縁に、所定幅のレジスト体31aを有する三次パターンレジスト31を形成する第3のパターニング工程と、図9(a)に示すごとく、母型10および一次電着層22上のレジスト体31aで覆われていない表面に電着金属を電鋳して、接着レジスト25の厚み寸法と同等の厚み寸法を有する二次電着層23を形成する第2の電鋳工程と、レジスト体31aを除去したのち、図9(b)に示すごとく、一次および二次電着層22・23の通孔形成領域5を覆うようなレジスト体32aからなる四次パターンレジスト32を形成する第4のパターニング工程と、図9(c)に示すごとく、通孔形成領域5の外周縁5aに係る表面に露出する一次・二次電着層22・23の上面、および枠体3の表面上に電着金属を電鋳して、二次電着層23と同等の厚み寸法を有する電着金属層9を形成し、該電着金属層9を介して一次・二次電着層22・23と枠体3とを不離一体的に接合する第3の電鋳工程と、図9(d)に示すごとく、母型10から一次・二次電着層22・23、枠体3および電着金属層9を一体に剥離する剥離工程とを含むものである。当該製造方法により、図6に示すごとく、本体プレート2と枠体3との接合部における、二次電着層23の上面と電着金属層9の上面とを、段差のない面一状とすることができる。
【0018】
また本発明は、図10に示すごとく、多数独立の通孔6を有する電鋳製の本体プレート2と、該本体プレート2を囲むように配置された該本体プレート2の補強用の枠体3とを、電着金属層9を介して接合してなる金属多孔体の製造方法であって、図12(b)に示すごとく、母型10の表面に、通孔6に対応するレジスト体15aを有する一次パターンレジスト15を設ける第1のパターンニング工程と、図12(c)に示すごとく、一次パターンレジスト15を含む母型10の上面の全面に、フィルム状の接着レジスト25を貼り付けたうえで、図12(d)に示すごとく、該接着レジスト25の粘着性を利用して、一次パターンレジスト15を囲むように、母型10上に枠体3を仮止め固定する枠体配設工程と、図13(a)に示すごとく、枠体3の下面に存する接着レジスト25を除いて、接着レジスト25を除去する工程と、図13(b)に示すごとく、レジスト体15aを除く母型10の表面上、および枠体3の表面上を覆うように、電着金属を電鋳して、本体プレート2を構成する一次電着層16と、該本体プレート2と枠体3とを接合する電着金属層9とを形成する工程と、図13(c)に示すごとく、母型10から一次電着層16、枠体3および電着金属層9を一体に剥離する剥離工程とを含むものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、本体プレート2の通孔形成領域5の外周縁5aと枠体3とを、電鋳法により形成された電着金属層9で接合してあるので、従来例のように、本体プレート2と枠体3とを樹脂で接合する形態では不可避であった、洗浄処理等において使用される有機溶媒が樹脂に作用することに起因する、樹脂の変質などの不具合は一切生じず、本体プレート2と枠体3との間の良好な接合状態を長期にわたって確実に維持できる。
【0020】
また、電着金属層9で本体プレート2と枠体3とを接合するようにしてあると、該電着金属層9を形成する際の母型10を利用して枠体3を位置決めできるため、当該位置決め作業を容易且つ迅速に行うことができる。これにて、金属多孔体を安価に製造できるとともに、本体プレート2の位置ずれや角度ずれを確実に防止できるため、高精度にしかも歩留まり良く、金属多孔体を製造することが可能となる。
【0021】
加えて、レーザ溶接や電気抵抗溶接による接合方法よりも、容易且つ迅速に本体プレート2と枠体3とを接合できるため、安価に接合強度に優れた金属多孔体を製造できる。レーザ溶接や電気抵抗溶接する形式に比べて、熱反応によるうねりが一切生じず、通孔6を精度良く形成できる点でも優れている。
【0022】
電着金属層9を本体プレート2を枠体3側に引き寄せるような引っ張り応力F1が作用するようなテンションを加えた状態で形成したり、本体プレート2をそれが内方に収縮する方向の応力F2が作用するようなテンションを加えた状態で、枠体3に該本体プレート2を保持するようにしてあると、周囲温度の変化に伴う本体プレート2の膨張分を、当該引っ張り応力や収縮方向へのテンションで吸収できる。これにて、膨張による枠体3に対する本体プレート2の位置ずれや皺の発生を防ぐことができる。
【0023】
本発明に係る金属多孔体は印刷用メタルマスク版に適用できる。この場合に、図5および図6に示すごとく、本体プレート2を、被印刷物に接する印刷面となる下層側の一次電着層22と、該一次電着層22上に形成されてスキージ面となる上層側の二次電着層23とからなる二層構造体としたうえで、二次電着層23を一次電着層22よりも硬い材質で形成することが好ましい。これによれば、一次電着層22を軟らかい材質で形成したことにより、被印刷物との密着度を良好に確保でき、しかも二次電着層23を硬い材質で形成したことにより、印圧が加わるスキージ面の強度を良好に担保することができる。
【0024】
加えて、図6に示すごとく、本体プレート2の二次電着層23と電着金属層9との段差をなくして、それらの上面と面一状にしてあると、印刷作業時にスキージが電着金属層9に接触して、電着金属層9が剥がれるような不具合が生じることがない。これにて、本体プレート2と枠体3との良好な接合状態を長期にわたって確保できるため、その点で実用利便性に優れた印刷用メタルマスクが得られる。スキージ面となる上面に段差がなく、図5に示す形態に比べて、スキージによる印刷作業が容易である点でも優れている。
【0025】
本発明に係る金属多孔体の製造方法によれば、電鋳方法により、本体プレート2と枠体3とを接合する電着金属層9を形成するので、高精度にしかも生産性を確保してつくれる利点を有する。
【0026】
図3(c)および図4に示すごとく、本体プレート2となる一次電着層16が母型10上に形成された状態で、該本体プレート2と枠体3とを一体化して金属多孔体を作製するようにしてあると、母型10を利用して枠体を適正に位置決めすることが容易となる。したがって、本体プレート2を別個に作製してから、これを枠体3と一体化する形態に比べて、本体プレート2の位置ずれや角度ずれを確実に防止でき、金属多孔体1の歩留まりが向上する。
【0027】
図3(c)に示すごとく、枠体配設工程において、フォトレジスト層17bの粘着性を利用して、母型10上に枠体3を仮止め固定し、かかる仮止め固定状態で第2の電鋳工程を行う形態を採れば、枠体3を仮止めするために接着剤等を使用する形態に比べて、安価に生産性を確保して製造できる利点がある。
【0028】
図10に示すごとく、本体プレート2と枠体3とが、該本体プレート2を構成する一次電着層16と一体的に形成された電着金属層9を介して、不離一体的に接合された形態としてあると、フィルター本体2を構成する一次電着層16と電着金属層9とを各々別個の工程で作成する場合に比べて、製造工程が少なくて済むため、金属多孔体を安価に製造できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る金属多孔体(印刷用メタルマスク)の縦断側面図
【図2】本発明の第1実施形態に係る金属多孔体の製造方法の工程説明図
【図3】本発明の第1実施形態に係る金属多孔体の製造方法の工程説明図
【図4】本発明の第1実施形態に係る金属多孔体の斜視図
【図5】本発明の第2実施形態に係る金属多孔体(印刷用メタルマスク)の縦断側面図
【図6】本発明の第3実施形態に係る金属多孔体(印刷用メタルマスク)の縦断側面図
【図7】本発明の第3実施形態に係る金属多孔体の製造方法の工程説明図
【図8】本発明の第3実施形態に係る金属多孔体の製造方法の工程説明図
【図9】本発明の第3実施形態に係る金属多孔体の製造方法の工程説明図
【図10】本発明の第4実施形態に係る金属多孔体(塵埃除去用フィルター)の縦断側面図
【図11】本発明の第4実施形態に係る金属多孔体の斜視図
【図12】本発明の第4実施形態に係る金属多孔体の製造方法の工程説明図
【図13】本発明の第4実施形態に係る金属多孔体の製造方法の工程説明図
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
図1および図4は、本発明に係る金属多孔体を印刷用メタルマスク版に適用した第1実施形態を示す。図1において印刷用メタルマスク版1は、ニッケルやニッケルコバルト等のニッケル合金、その他の電着金属を素材として、電鋳方法により形成されたマスク本体(本体プレート)2と、このマスク本体2を囲むように装着された枠体3とを含む。図4においてマスク本体2は、400×400mmの四角形状の母型領域の中に、例えば310×310mmの正方形状に形成されており、その内部に通孔形成領域5を備える。図1に示すように、通孔形成領域5には、多数独立の印刷用通孔(通孔)6からなるマスクパターン7が形成されている。
【0031】
マスク本体2の厚みは、好ましくは20μm以上の範囲として、本実施形態では25μmに設定した。各通孔6は、例えば平面視で30×30μmの四角形状を有しており、これら通孔6は、前後方向に直線状に並ぶ複数個の通孔群を列とし、複数個の列が左右方向に並列状に配設されたマトリクス状のマスクパターン7を構成した。なお、図1の縦断面図は、実際のマスクパターン7の様子を示したものではなく、それを模式的に示している。さらに言うと、図1等における通孔6の開口寸法やマスク本体2等の厚み寸法等は、図面作成の便宜上、そのような寸法に示したものであって実寸法とは大きく異なる。また、通孔6の開口数も実際とは大きく異なる。
【0032】
マスク本体2の上面側には、マスク本体2の補強用の枠体3が装着される。この枠体3は、42アロイ、インバー材、SUS430等からなる平板体であり、その盤面中央に、マスク本体2に対応する一つの四角形状の開口3aを備えており、図4に示すごとく、1枚のマスク本体2を1枚の枠体3で保持している。枠体3は、マスク本体2よりも肉厚の成形品であり、電鋳法により形成された電着金属層9によりマスク本体2の通孔形成領域5の外周縁5aと不離一体的に接合される。ここでは、枠体3の厚み寸法は、例えば0.4〜1.0mm程度とし、本実施形態においては0.4mmに設定した。
【0033】
電着金属層9は、ニッケルやニッケル−コバルト合金等を素材とするものであり、通孔形成領域5の外周縁5aに係るマスク本体2の上面に電鋳法により積層されている。詳しくは、電着金属層9は、通孔形成領域5の外周縁5aの上面と、枠体3の上面および通孔形成領域5に臨む側面と、マスク本体2と枠体3との間隙部分に形成されており、これで通孔形成領域5の外周縁5aと開口3aの開口周縁とを不離一体的に接合する。
【0034】
以上のような構成からなる印刷用メタルマスク版1は、例えば各種電子部品等を実装する配線パターンプリント基板や半導体ウェハー等の被印刷体上に、半田ペーストなどの印刷物をスクリーン印刷する際に使用される。すなわち、プリント基板などの不図示の被印刷物に印刷用メタルマスク版1を押し付け、マスク本体2の上面であるスキージ面にクリーム半田ペーストなどの印刷ペーストを載せたうえで、スキージで印刷ペーストを各通孔6内に順にスキージングして充填する。最後に、被印刷物からメタルマスク版1を離して、被印刷物上に印刷ペーストを転写させる。
【0035】
図2および図3は本実施形態に係る印刷用メタルマスク版1の製造方法を示す。まず、図2(a)に示すごとく、導電性を有する例えばステンレス製や真ちゅう鋼製の母型10の表面にフォトレジスト層11を形成する。このフォトレジスト層11は、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成した。
【0036】
次いで、図2(b)に示すごとくフォトレジスト層11の上に、前記の通孔6に対応する透光孔12aを有するパターンフィルム12(ガラスマスク)を密着させたのち、紫外光ランプ13で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図2(c)に示すごとく、通孔6に対応するストレート状のレジスト体15aを有する一次パターンレジスト15を母型10上に形成した。
【0037】
続いて、上記母型10を所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、図2(d)に示すごとく先のレジスト体15aの高さの範囲内で、母型10のレジスト体15aで覆われていない表面にニッケル合金等の電着金属を好ましくは20μm以上の範囲、本実施形態では25μm厚で一次電鋳して、一次電着層16、すなわち前記マスク本体2となる層を形成した。ここでは、母型10の略全面にわたって、一次電着層16を形成した。次に、レジスト体15aの溶解除去することにより、図2(e)に示すごとく、多数独立の通孔6からなるマスクパターン7を備えるマスク本体2を得た。
【0038】
図3(a)に示すごとく、一次電着層16(マスク本体2)の形成部分を含む母型10の表面全体に、フォトレジスト層17を形成した。このフォトレジスト層17は、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成したものであり、ここでは28μm厚にフォトレジスト層17を形成した。続いて、図3(b)に示すように、前記通孔形成領域5に対応する透光孔19aを有するパターンフィルム19を密着させたのち、紫外光ランプ13で紫外線光を照射して露光を行った。かくして、図3(c)に示すごとく、通孔形成領域5に係る部分が露光されており(17a)、それ以外の部分が未露光(17b)のフォトレジスト層17を得た。
【0039】
続いて、図3(c)に示すごとく、母型10上に一次電着層16を囲むように、枠体3を配した。ここでは、未露光のフォトレジスト層17bの粘着性を利用して、母型10上に枠体3を仮止め固定した。
【0040】
次に、図3(d)に示すごとく、表面に露出している未露光のフォトレジスト層17bを溶解除去して、通孔形成領域を覆うレジスト体21aを有する二次パターンレジスト21を形成した。なお、このとき、枠体3の下面に存する未露光のフォトレジスト層17bは、母型10上に残留している。
【0041】
次に図3(e)に示すごとく、通孔形成領域5の外周縁5aに係る表面に露出する一次電着層16の上面、枠体3と一次電着層16との間で表面に露出する母型10の表面、および枠体3の表面上に電着金属を電鋳して電着金属層9を形成し、この電着金属層9により一次電着層16と枠体3とを接合した。ここでは通孔形成領域5の外周縁5aに係る表面に露出する一次電着層16の上面、および枠体3とレジスト体21aとの間で表面に露出する母型10の表面に、層厚が30μmとなるように電着金属層9を形成した。このとき、枠体3の表面に形成される一次電着層16の層厚は20μmとなっていた。このように、母型10の表面等に形成される電着金属層と枠体3の表面に形成される電着金属層9との間で層厚が異なるのは、電着金属層9は、母型10の表面から順次積層されていき、そして、電着金属層9が未露光のフォトレジスト層17bの高さ部分を越えて枠体3に至ると、枠体3が導通状態となって、該枠体3の表面に電着金属層9が形成されることによる。
【0042】
最後に、二次パターンレジスト21を除去してから、母型10から電着金属層16・9および枠体3を剥離し、さらに未露光のフォトレジスト層17bを除去することにより、図1に示すような印刷用メタルマスク版1を得た(図3(f))。
【0043】
電着金属層9は、一次電着層16、すなわちマスク本体2を枠体3側に引き寄せる、引っ張り応力F1(図1参照)が作用するようなテンションを加えた状態で形成する。かかる引っ張り応力F1の付与は、電鋳槽中に添加する第2種光沢剤中のカーボン及びイオウの含有比率を調整することによって実現できる。これにより一次電着層16は、電着金属層9を介して枠体3に対してピンと張った引っ張り応力が作用した状態で張設されるため、印刷作業時の寸法制度のばらつきが生じ難く、印刷精度の向上に寄与できる。
【0044】
また、マスク本体2は、それ自体に内方に収縮する方向の応力F2(図1参照)が作用するようなテンションを加えた状態で、電着金属層9を介して枠体3に保持されている。かかる応力F2の付与は、マスク本体2となる一次電着層16を作製する際の電鋳槽中に添加する第2種光沢剤中のカーボン及びイオウの含有比率を調整することで実現できる。さらに母型10を42アロイやインバー、SUS430(ステンレス)その他の低熱線膨張係数の材質からなるものとしたうえで、一次電着層16の形成時における電鋳槽内の温度が高くなることで、かかる温度差に起因して、母型10と母型10上に形成されるニッケルやニッケル合金等の電着金属との熱膨張係数との差によって、母型10から剥離した一次電着層16が常温時には内方側に収縮するように設定することによっても実現できる。
【0045】
(第2実施形態)
図5は、本発明に係る金属多孔体を印刷用メタルマスク版に適用した第2実施形態を示す。この第2実施形態に係る印刷用メタルマスク版1では、マスク本体2を下層側の一次電着層と、該一次電着層上に形成された二次電着層とからなる二層構造としてある点が、先の第1実施形態と相違する。すなわち、マスク本体2を印刷面となる一次電着層22と、スキージ面となる二次電着層23とからなる二層構造としてある。それ以外については、第1実施形態と同等であるので、同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
そのうえで、本実施形態では、二次電着層を一次電着層よりも硬い材質で形成してある点が着目される。本実施例では、下層側の一次電着層22をニッケルで、上層側の二次電着層23をニッケル−コバルト合金で形成した。
【0047】
このように、二次電着層23を一次電着層22よりも硬い材質で形成してあると、一次電着層22を軟らかい材質で形成したことにより、被印刷物との密着度を良好に確保でき、しかも二次電着層23を硬い材質で形成したことにより、印圧が加わるスキージ面の強度を良好に担保することができるため、かかる金属多孔体1は、印刷用メタルマスク版として好適なものとなる。
【0048】
(第3実施形態)
図6は、本発明に係る金属多孔体を印刷用メタルマスク版に適用した第3実施形態を示す。当該実施形態では、マスク本体2を一次電着層22と二次電着層23とからなる二層構造体としたうえで、マスク本体2−電着金属層9間の段差をなくしている点、すなわち、二次電着層23の上面と電着金属層9の上面とを面一状となるようにしてある点が着目される。それ以外については、上記実施形態と同様であるので、同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0049】
図7ないし図9に、本実施形態に係る印刷用メタルマスク版1の製造方法を示す。まず、図7(a)に示すごとく、導電性を有する例えばステンレス製や真ちゅう鋼製の母型10の表面にフォトレジスト層11を形成する。このフォトレジスト層11は、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成した。
【0050】
次いで、図7(b)に示すごとくフォトレジスト層11の上に、前記の通孔6に対応する透光孔12aを有するパターンフィルム12(ガラスマスク)を密着させたのち、紫外光ランプ13で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図7(c)に示すごとく、通孔6に対応するストレート状のレジスト体15aを有する一次パターンレジスト15を母型10上に形成した。
【0051】
図7(d)に示すごとく、一次パターンレジスト15を含む母型10の上面の全面に、フィルム状の接着レジスト25を貼り付けたうえで、図7(e)に示すごとく、接着レジスト25上に枠体3との境界部に透光孔26aを有するパターンフィルム26を密着させたのち、紫外線ランプ13で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行った。その後、図8(a)に示すごとく、接着レジスト25の粘着性を利用して、一次パターンレジスト15を囲むように、母型10上に枠体3を仮止め固定したのち、接着レジスト25の未露光部分を溶解除去した。これにて、図8(b)に示すごとく、枠体3の開口の内周縁にレジスト体27aを有する二次パターンレジスト27を母型10上に形成した。
【0052】
続いて、上記母型10を所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、図8(c)に示すごとく、母型10のレジスト体15a・27aで覆われていない表面に、ニッケル等の比較的軟らかい電着金属を電鋳して、一次電着層22を形成した。このときの一次電着層22の厚み寸法は、先の接着レジスト25の厚み寸法と同じとした。次に、表面に露出しているレジスト体27aを溶解除去した。なおこのとき、枠体3の下面に存する接着レジスト25、およびレジスト体15aは、母型10上に残留するようにした。すなわち、かかるレジスト体27aの溶解除去作業では、該レジスト体27aのみを溶解除去でき、レジスト体15aには作用しない除去剤を用いた。
【0053】
次に図8(d)に示すごとく、枠体3の開口内の全体にフォトレジスト層28を形成した。かかるフォトレジスト層28は、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成したものであり、その厚み寸法は、先の接着レジスト25の厚み寸法と同等とした。続いて、フォトレジスト層28上に、枠体3に臨む一次電着層22の外周縁に、所定幅の透光孔30aを有するパターンフィルム30を密着させたのち、紫外光ランプ13で紫外線光を照射して露光を行った。未露光のフォトレジスト層28を除去することにより、図8(e)に示すごとく、一次電着層22の外周縁に、所定幅のレジスト体31aを有する三次パターンレジスト31を得た。
【0054】
続いて、上記母型10を所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、図9(a)に示すごとく、母型10および一次電着層22上のレジスト体15a・31aで覆われていない表面に、ニッケル−コバルト等の一次電着層22を構成する電着金属よりも硬い電着金属を電鋳して、二次電着層23を形成した。このときの二次電着層23の厚み寸法は、先のレジスト体31aの厚み寸法と同じとした。
【0055】
次に、レジスト体31aを溶解除去した。なおこのとき、枠体3の下面に存する接着レジスト25、およびレジスト体15aは、母型10上に残留するようにした。すなわち、かかるレジスト体31aの溶解除去作業では、該レジスト体31aのみを溶解除去でき、レジスト体15a等には作用しない除去剤を用いた。
【0056】
次に、図9(b)に示すごとく、四次パターンレジスト32を形成した。ここでは、先の図8(a)や図8(d)に示したのと同じ手順で、枠体3の開口内部に形成されたフォトレジスト層に対して、パターンフィルムを介して紫外線光を照射することで、図9(b)に示すごとく、一次および二次電着層の通孔形成領域を覆うようなレジスト体32aからなる四次パターンレジスト32を形成した。
【0057】
次に、図9(c)に示すごとく、通孔形成領域5aの外周に係る表面に露出する一次電着層22および二次電着層23の上面、および枠体3の表面上に電着金属を電鋳して電着金属層9を形成し、この電着金属層9により一次・二次電着層22・23と枠体3とを接合した。すなわち、この電着金属層9により、一次・二次電着層22・23からなるマスク本体2と枠体3とを接合した。ここでは、二次電着層22の厚み寸法と同様の厚み寸法を有するように電着金属層9を電鋳形成するようにし、これにて、マスク本体2と電着金属層9との段差を無くすことができた。
【0058】
最後に、一次・四次のパターンレジスト15・32を除去してから、母型10から一次・二次電着層22・23、および枠体3を剥離し、さらに接着レジスト25を除去することにより、図9(d)および図6に示すような印刷用メタルマスク版1を得た。
【0059】
このように、マスク本体2と電着金属層9との段差をなくして、それらの上面と面一状にしてあると、印刷作業時にスキージが電着金属層9に接触することがなくなり、したがって電着金属層9を剥がれ難くなるため、マスク本体2と枠体3との良好な接合状態を長期にわたって確保できる利点がある。また、二次電着層23を一次電着層22よりも硬い材質で形成してあると、一次電着層22を軟らかい材質で形成したことにより、被印刷物との密着度を良好に確保でき、しかも二次電着層23を硬い材質で形成したことにより、印圧が加わるスキージ面の強度を良好に担保することができるため、かかるメタルマスク版は、印刷版として好適なものとなる。
【0060】
上記第1ないし第3実施形態以外に、各通孔6は、被印刷物側に向かって下窄まりのテーパー状に形成することが好ましい。これは、通孔6がストレート状になっていると、被印刷物からメタルマスク版1を離すときの版離れ性が悪くなるために、被印刷物上に移転付着させた印刷ペーストが型崩れを起こし、形状が不安定となりやすいことによる。これに対して、上述のように各通孔6を下広がりテーパー状に形成してあると、版離れ性は良好なものとなる。
【0061】
(第4実施形態)
図10および図11は、本発明に係る金属多孔体を塵埃除去用のフィルターに適用した第4実施形態を示す。このフィルター1は、ニッケルやニッケルコバルト等のニッケル合金、その他の電着金属を素材として、電鋳方法により形成されたフィルター本体(プレート本体)2と、このフィルター本体2を囲むように装着された枠体3とを含む。図11においてフィルター本体2は、左右両端が円弧状に面取り形成された横長の略四角形状を呈しており、その盤面内に多数独立の通孔6(図10)を備える。
【0062】
フィルター本体2の厚み寸法は、好ましくは20μm以上の範囲として、本実施形態では25μmに設定した。各通孔6は、例えば平面視で33×33μmの四角形状を有しており、これら通孔6は、前後方向に直線状に並ぶ複数個の通孔群を列とし、複数個の列が左右方向に並列状に配設されたマトリクス状に構成した。なお、図10の縦断面図は、実際の通孔パターンの様子を示したものではなく、それを模式的に示している。さらに言うと、図10等における通孔6の開口寸法やフィルター本体2等の厚み寸法等は、図面作成の便宜上、そのような寸法に示したものであって実寸法とは大きく異なる。また、通孔6の開口数も実際とは大きく異なる。
【0063】
枠体3は、42アロイ、インバー材、SUS430等からなる平板体であり、その盤面中央に、フィルター本体2に対応する一つの開口を備える。枠体3は、フィルター本体2よりも肉厚の成形品である。枠体3の好適な厚み寸法は、0.4〜1.0mm程度であり、本実施形態においては0.4mmに設定した。
【0064】
そのうえで、本発明においては、フィルター本体2と枠体3とが、該フィルター本体2を構成する一次電着層16と一体的に形成された電着金属層9を介して、不離一体的に接合されている点が着目される。すなわち、フィルター本体2を構成する一次電着層16を電鋳形成する際に、同時的に該フィルター本体2と枠体3とを接合する電着金属層9を電鋳形成するようにしてある。これによれば、フィルター本体2を構成する一次電着層16と電着金属層9とを各々別個の工程で作成する場合に比べて、製造工程が少なくて済むため、塵埃除去用フィルター1の製造コストの低減化に貢献できる。
【0065】
図12および図13に、本実施形態に係る塵埃除去用フィルター1の製造方法を示す。まず、図12(a)に示すごとく、導電性を有する例えばステンレス製や真ちゅう鋼製の母型10の表面にフォトレジスト層11を形成する。このフォトレジスト層11は、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成した。
【0066】
次いで、図12(a)に示すごとくフォトレジスト層11の上に、前記の通孔6に対応する透光孔12aを有するパターンフィルム12(ガラスマスク)を密着させたのち、紫外光ランプ13で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図12(b)に示すごとく、通孔6に対応するストレート状のレジスト体15aを有する一次パターンレジスト15を母型10上に形成した。
【0067】
図12(c)に示すごとく、一次パターンレジスト15を含む母型10の上面の全面に、フィルム状の接着レジスト25を貼り付けたうえで、図12(d)に示すごとく、接着レジスト25の粘着性を利用して、一次パターンレジスト15を囲むように、母型10上に枠体3を仮止め固定した。次に、図13(a)に示すごとく、枠体3の下面に存する接着レジスト25を除いて、該接着レジスト25を溶解除去した。
【0068】
続いて、上記母型10を所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、図13(b)に示すごとく、母型10のレジスト体15aで覆われていない表面、および枠体3の表面に、電着金属を電鋳して、フィルター本体2を構成する一次電着層16と、該フィルター本体2と枠体3とを接合する電着金属層9とを一体的に形成した。このときの一次電着層16の厚み寸法は、先のレジスト体15aの厚み寸法以下とした。
【0069】
最後に、一次パターンレジスト15を除去してから、母型10から一次電着層16、電着金属層9および枠体3を剥離し、さらに接着レジスト25を除去することにより、図13(c)および図10に示すような塵埃除去用のフィルターを得た。
【0070】
電着金属層9は、一次電着層16、すなわちフィルター本体2を枠体3側に引き寄せる、引っ張り応力F1(図10参照)が作用するようなテンションを加えた状態で形成する。かかる引っ張り応力F1の付与は、電鋳槽中に添加する第2種光沢剤中のカーボン及びイオウの含有比率を調整することによって実現できる。これにより一次電着層16は、電着金属層9を介して枠体3に対してピンと張った引っ張り応力が作用した状態で張設される。
【0071】
フィルターや印刷用メタルマスク版の形態は、上記実施形態に示したものに限られない。
【符号の説明】
【0072】
1 金属多孔体(印刷用メタルマスク版、フィルター)
2 本体プレート(マスク本体、フィルター本体)
3 枠体
5 通孔形成領域
6 通孔
9 電着金属層
15 一次パターンレジスト
15a レジスト体
16 一次電着層
22 一次電着層
23 二次電着層
25 接着レジスト
27 二次パターンレジスト
27a レジスト体
31 三次パターンレジスト
31a レジスト体
32 四次パターンレジスト
32a レジスト体
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数独立の通孔を有する電鋳製の本体プレートと、該本体プレートを囲むように配置された該本体プレートの補強用の枠体とからなる金属多孔体、およびこの金属多孔体の製造方法に関する。この金属多孔体は、例えば印刷用メタルマスクや塵埃除去用フィルターなどに適用できる。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る金属多孔体は、多数独立の通孔を有する電鋳製の本体プレートと、該本体プレートを囲むように配置された補強用の枠体とからなるものであるが、この種の金属多孔体の分野では、本体プレートと枠体とを如何にして作業効率良く、しかも確りと接合するかが重要な課題である。例えば特許文献1に係る印刷用メタルマスク版では、枠体に弾力布を緊張状態に貼着したうえで、紫外線硬化形樹脂により弾力布の中央開口部に電鋳製の本体プレートを貼着している。すなわち、紫外線硬化形樹脂を、本体プレート−枠体間の貼着要素としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57−138991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、紫外線硬化形樹脂を貼着剤として採用しているため、一般的な接着剤を用いた場合に比べて、印刷用のメタルマスク版を短時間に効率良く製造することができ、その点で当該発明は有用なものではある。
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る接合方法によれば、貼着剤である樹脂がメタルマスク版の洗浄時に使用される有機溶剤により変質されやすく、本体プレートと弾力布との間の接合強度が低下するおそれがある。このように接合強度が低下すると、枠体の本体プレートに対する形状抑制機能が良好に発揮されず、印刷精度が低下する。最悪の場合には本体プレートが弾力布から剥がれ落ちるおそれもある。
【0006】
さらに上記公報に記載の形態によれば、枠体に張られた弾力布に対して本体プレートを貼着固定するには、弾力布の中央開口部上に本体プレートを位置ずれや角度ずれなく載置したうえで貼着作業を進めることが必要であるが、各別個に作製された本体プレートと、弾力布の中央開口部とを適正に位置決めすることは極めて困難な作業である。このため、製造作業を迅速かつ容易に行うことができず、金属多孔体の製造コストが上昇することが避けられない点にも不利があった。
【0007】
本発明の目的は、本体プレートと枠体との位置合わせを簡単・迅速に行うことができて、製造コストの低減化を図ることができ、しかも本体プレートと枠体との良好な接合状態を長期にわたって維持することができる金属多孔体と、その製造方法を得るにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、図1、図5、図6および図10に示すごとく、多数独立の通孔6を有する電鋳製の本体プレート2と、該本体プレート2を囲むように配置された該本体プレート2の補強用の枠体3とからなる金属多孔体1であって、本体プレート2の外周縁と枠体3とが、電鋳法により形成された電着金属層9を介して不離一体的に接合されていることを特徴とする。なお、図1、図5および図6に係る図示例は、本発明に係る金属多孔体を印刷用メタルマスク版に適用した例を示しており、図10は、当該金属多孔体を塵埃除去用のフィルターに適用した例を示している。
【0009】
図1、図5、図6、図10に示すごとく、電着金属層9は、本体プレート2を枠体3側に引き寄せる、引っ張り応力F1が作用するようなテンションを加えた状態で形成することが好ましい。かかる引っ張り応力F1の付与は、電着金属層9を作製する際の電鋳槽中に添加する第2種光沢剤のカーボン及びイオウ比率の含有比率を調製することで実現できる。
【0010】
図1、図5、図6に示すごとく、本体プレート2は、それ自体に内方に収縮する方向の応力F2が作用するようなテンションを加えた状態で、電着金属層9を介して枠体3に保持されている形態を採ることが好ましい。かかる応力F2の付与は、本体プレート2となる一次電着層16等を作成する際の電鋳槽中に添加する第2種光沢剤中のカーボン及びイオウの含有比率を調製することで実現できる。さらに、母型10を42アロイやインバー、SUS430(ステンレス)その他の低熱線膨張係数の材質からなるものとしたうえで、一次電着層16等の形成時における電鋳槽内の温度が高くなることで、かかる温度差に起因して、母型10と母型上に形成されるニッケルやニッケル合金等の電着金属との熱膨張係数の差によって、母型から剥離した一次電着層16等が常温時には内方側に収縮するように設定することによっても実現できる。
【0011】
図10に示すごとく、本体プレート2と枠体3とが、該本体プレート2を構成する一次電着層16と一体的に形成された電着金属層9を介して、不離一体的に接合された形態としてもよい。
【0012】
金属多孔体1は、印刷用メタルマスク版とすることができる。この場合には、図5および図6に示すごとく、本体プレート2は、被印刷物に接する印刷面となる下層側の一次電着層22と、該一次電着層22上に形成されてスキージ面となる上層側の二次電着層23とからなる二層構造をなすものとし、そのうえで二次電着層23を一次電着層22よりも硬い材質で形成することが好ましい。
【0013】
特に、本発明に係る金属多孔体を印刷用メタルマスク版とする場合には、図6に示すごとく、本体プレート2と枠体3との接合部における、二次電着層23の上面と電着金属層9の上面とが、段差のない面一状とすることが好ましい。
【0014】
また本発明は、図1に示すような多数独立の通孔6を有する電鋳製の本体プレート2と、該本体プレート2を囲むように配置された該本体プレート2の補強用の枠体3とを、電着金属層9を介して接合してなる金属多孔体の製造方法において、図2(c)に示すごとく、母型10の表面に、レジスト体15aを有する一次パターンレジスト15を設ける第1のパターンニング工程と、図2(d)に示すごとく、一次パターンレジスト15を用いて、母型10上に電着金属を電鋳して、本体プレート2に対応する一次電着層16を形成する第1の電鋳工程と、図3(c)に示すごとく、一次電着層16を囲むように母型10上に枠体3を配する枠体配設工程と、図3(e)に示すごとく、枠体3の表面と、一次電着層16の外周縁、すなわち多数個の通孔6からなる本体プレート2の通孔形成領域5の外周縁5aの表面とを覆うように、電鋳法により電着金属層9を形成して、該電着金属層9により一次電着層16と枠体3とを不離一体的に接合する第2の電鋳工程と、母型10から一次電着層16、枠体3および電着金属層9を一体に剥離する剥離工程とを含む。
【0015】
これによれば、レジスト体15aの除去に伴い、一次電着層16に通孔6が形成される。また、通孔形成領域5の外周縁5aに電鋳形成された電着金属層9によって、通孔形成領域5と枠体3とを不離一体的に接合することができる。パターンレジスト15は、フォトレジスト等を使用したリソグラフィー法その他の任意の方法で形成でき、パターンレジスト15の形成手段は問わない。
【0016】
図3(a)・(b)に示すごとく、母型10上に形成された一次電着層16の表面に、通孔形成領域5を覆うレジスト体17aを形成するためのフォトレジスト層17を形成する工程を含み、前記枠体配設工程においては、未露光のフォトレジスト層17bの粘着性を利用して、母型10上に枠体3を仮止め固定しており、かかる仮止め固定状態で、図3(e)に示すような第2の電鋳工程を行うようにしてもよい。
【0017】
また本発明は、図6に示すごとく、多数独立の通孔6を有し、下層側の一次電着層22と上層側の二次電着層23とからなる二層構造の電鋳製の本体プレート2と、該本体プレート2を囲むように配置された該本体プレート2の補強用の枠体3とを、電着金属層9を介して接合してなる金属多孔体の製造方法であって、図7(c)に示すごとく、母型10の表面に、通孔6に対応するレジスト体15aを有する一次パターンレジスト15を設ける第1のパターンニング工程と、図7(d)に示すごとく、一次パターンレジスト15を含む母型10の上面の全面に、フィルム状の接着レジスト25を貼り付けたうえで、図7(e)に示すごとく、該接着レジスト25の粘着性を利用して、一次パターンレジスト15を囲むように、母型10上に枠体3を仮止め固定する枠体配設工程と、図8(a)に示すごとく、接着レジスト25上に、枠体3との境界部に透光孔26aを有するパターンフィルム26を密着させたのち、露光、現像、乾燥の各処理を行ったのち、未露光部分を溶解除去することにより、図8(b)に示すごとく、枠体3の開口の内周縁に係る母型10上に、レジスト体27aを有する二次パターンレジスト27を形成する第2のパターニング工程と、図8(c)に示すごとく、一次および二次パターンレジスト15・27を用いて、接着レジスト25の厚み寸法と同等の厚み寸法を有する一次電着層22を、母型10上に電鋳形成する第1の電鋳工程と、図8(e)に示すごとく、一次電着層10の外周縁に、所定幅のレジスト体31aを有する三次パターンレジスト31を形成する第3のパターニング工程と、図9(a)に示すごとく、母型10および一次電着層22上のレジスト体31aで覆われていない表面に電着金属を電鋳して、接着レジスト25の厚み寸法と同等の厚み寸法を有する二次電着層23を形成する第2の電鋳工程と、レジスト体31aを除去したのち、図9(b)に示すごとく、一次および二次電着層22・23の通孔形成領域5を覆うようなレジスト体32aからなる四次パターンレジスト32を形成する第4のパターニング工程と、図9(c)に示すごとく、通孔形成領域5の外周縁5aに係る表面に露出する一次・二次電着層22・23の上面、および枠体3の表面上に電着金属を電鋳して、二次電着層23と同等の厚み寸法を有する電着金属層9を形成し、該電着金属層9を介して一次・二次電着層22・23と枠体3とを不離一体的に接合する第3の電鋳工程と、図9(d)に示すごとく、母型10から一次・二次電着層22・23、枠体3および電着金属層9を一体に剥離する剥離工程とを含むものである。当該製造方法により、図6に示すごとく、本体プレート2と枠体3との接合部における、二次電着層23の上面と電着金属層9の上面とを、段差のない面一状とすることができる。
【0018】
また本発明は、図10に示すごとく、多数独立の通孔6を有する電鋳製の本体プレート2と、該本体プレート2を囲むように配置された該本体プレート2の補強用の枠体3とを、電着金属層9を介して接合してなる金属多孔体の製造方法であって、図12(b)に示すごとく、母型10の表面に、通孔6に対応するレジスト体15aを有する一次パターンレジスト15を設ける第1のパターンニング工程と、図12(c)に示すごとく、一次パターンレジスト15を含む母型10の上面の全面に、フィルム状の接着レジスト25を貼り付けたうえで、図12(d)に示すごとく、該接着レジスト25の粘着性を利用して、一次パターンレジスト15を囲むように、母型10上に枠体3を仮止め固定する枠体配設工程と、図13(a)に示すごとく、枠体3の下面に存する接着レジスト25を除いて、接着レジスト25を除去する工程と、図13(b)に示すごとく、レジスト体15aを除く母型10の表面上、および枠体3の表面上を覆うように、電着金属を電鋳して、本体プレート2を構成する一次電着層16と、該本体プレート2と枠体3とを接合する電着金属層9とを形成する工程と、図13(c)に示すごとく、母型10から一次電着層16、枠体3および電着金属層9を一体に剥離する剥離工程とを含むものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、本体プレート2の通孔形成領域5の外周縁5aと枠体3とを、電鋳法により形成された電着金属層9で接合してあるので、従来例のように、本体プレート2と枠体3とを樹脂で接合する形態では不可避であった、洗浄処理等において使用される有機溶媒が樹脂に作用することに起因する、樹脂の変質などの不具合は一切生じず、本体プレート2と枠体3との間の良好な接合状態を長期にわたって確実に維持できる。
【0020】
また、電着金属層9で本体プレート2と枠体3とを接合するようにしてあると、該電着金属層9を形成する際の母型10を利用して枠体3を位置決めできるため、当該位置決め作業を容易且つ迅速に行うことができる。これにて、金属多孔体を安価に製造できるとともに、本体プレート2の位置ずれや角度ずれを確実に防止できるため、高精度にしかも歩留まり良く、金属多孔体を製造することが可能となる。
【0021】
加えて、レーザ溶接や電気抵抗溶接による接合方法よりも、容易且つ迅速に本体プレート2と枠体3とを接合できるため、安価に接合強度に優れた金属多孔体を製造できる。レーザ溶接や電気抵抗溶接する形式に比べて、熱反応によるうねりが一切生じず、通孔6を精度良く形成できる点でも優れている。
【0022】
電着金属層9を本体プレート2を枠体3側に引き寄せるような引っ張り応力F1が作用するようなテンションを加えた状態で形成したり、本体プレート2をそれが内方に収縮する方向の応力F2が作用するようなテンションを加えた状態で、枠体3に該本体プレート2を保持するようにしてあると、周囲温度の変化に伴う本体プレート2の膨張分を、当該引っ張り応力や収縮方向へのテンションで吸収できる。これにて、膨張による枠体3に対する本体プレート2の位置ずれや皺の発生を防ぐことができる。
【0023】
本発明に係る金属多孔体は印刷用メタルマスク版に適用できる。この場合に、図5および図6に示すごとく、本体プレート2を、被印刷物に接する印刷面となる下層側の一次電着層22と、該一次電着層22上に形成されてスキージ面となる上層側の二次電着層23とからなる二層構造体としたうえで、二次電着層23を一次電着層22よりも硬い材質で形成することが好ましい。これによれば、一次電着層22を軟らかい材質で形成したことにより、被印刷物との密着度を良好に確保でき、しかも二次電着層23を硬い材質で形成したことにより、印圧が加わるスキージ面の強度を良好に担保することができる。
【0024】
加えて、図6に示すごとく、本体プレート2の二次電着層23と電着金属層9との段差をなくして、それらの上面と面一状にしてあると、印刷作業時にスキージが電着金属層9に接触して、電着金属層9が剥がれるような不具合が生じることがない。これにて、本体プレート2と枠体3との良好な接合状態を長期にわたって確保できるため、その点で実用利便性に優れた印刷用メタルマスクが得られる。スキージ面となる上面に段差がなく、図5に示す形態に比べて、スキージによる印刷作業が容易である点でも優れている。
【0025】
本発明に係る金属多孔体の製造方法によれば、電鋳方法により、本体プレート2と枠体3とを接合する電着金属層9を形成するので、高精度にしかも生産性を確保してつくれる利点を有する。
【0026】
図3(c)および図4に示すごとく、本体プレート2となる一次電着層16が母型10上に形成された状態で、該本体プレート2と枠体3とを一体化して金属多孔体を作製するようにしてあると、母型10を利用して枠体を適正に位置決めすることが容易となる。したがって、本体プレート2を別個に作製してから、これを枠体3と一体化する形態に比べて、本体プレート2の位置ずれや角度ずれを確実に防止でき、金属多孔体1の歩留まりが向上する。
【0027】
図3(c)に示すごとく、枠体配設工程において、フォトレジスト層17bの粘着性を利用して、母型10上に枠体3を仮止め固定し、かかる仮止め固定状態で第2の電鋳工程を行う形態を採れば、枠体3を仮止めするために接着剤等を使用する形態に比べて、安価に生産性を確保して製造できる利点がある。
【0028】
図10に示すごとく、本体プレート2と枠体3とが、該本体プレート2を構成する一次電着層16と一体的に形成された電着金属層9を介して、不離一体的に接合された形態としてあると、フィルター本体2を構成する一次電着層16と電着金属層9とを各々別個の工程で作成する場合に比べて、製造工程が少なくて済むため、金属多孔体を安価に製造できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る金属多孔体(印刷用メタルマスク)の縦断側面図
【図2】本発明の第1実施形態に係る金属多孔体の製造方法の工程説明図
【図3】本発明の第1実施形態に係る金属多孔体の製造方法の工程説明図
【図4】本発明の第1実施形態に係る金属多孔体の斜視図
【図5】本発明の第2実施形態に係る金属多孔体(印刷用メタルマスク)の縦断側面図
【図6】本発明の第3実施形態に係る金属多孔体(印刷用メタルマスク)の縦断側面図
【図7】本発明の第3実施形態に係る金属多孔体の製造方法の工程説明図
【図8】本発明の第3実施形態に係る金属多孔体の製造方法の工程説明図
【図9】本発明の第3実施形態に係る金属多孔体の製造方法の工程説明図
【図10】本発明の第4実施形態に係る金属多孔体(塵埃除去用フィルター)の縦断側面図
【図11】本発明の第4実施形態に係る金属多孔体の斜視図
【図12】本発明の第4実施形態に係る金属多孔体の製造方法の工程説明図
【図13】本発明の第4実施形態に係る金属多孔体の製造方法の工程説明図
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
図1および図4は、本発明に係る金属多孔体を印刷用メタルマスク版に適用した第1実施形態を示す。図1において印刷用メタルマスク版1は、ニッケルやニッケルコバルト等のニッケル合金、その他の電着金属を素材として、電鋳方法により形成されたマスク本体(本体プレート)2と、このマスク本体2を囲むように装着された枠体3とを含む。図4においてマスク本体2は、400×400mmの四角形状の母型領域の中に、例えば310×310mmの正方形状に形成されており、その内部に通孔形成領域5を備える。図1に示すように、通孔形成領域5には、多数独立の印刷用通孔(通孔)6からなるマスクパターン7が形成されている。
【0031】
マスク本体2の厚みは、好ましくは20μm以上の範囲として、本実施形態では25μmに設定した。各通孔6は、例えば平面視で30×30μmの四角形状を有しており、これら通孔6は、前後方向に直線状に並ぶ複数個の通孔群を列とし、複数個の列が左右方向に並列状に配設されたマトリクス状のマスクパターン7を構成した。なお、図1の縦断面図は、実際のマスクパターン7の様子を示したものではなく、それを模式的に示している。さらに言うと、図1等における通孔6の開口寸法やマスク本体2等の厚み寸法等は、図面作成の便宜上、そのような寸法に示したものであって実寸法とは大きく異なる。また、通孔6の開口数も実際とは大きく異なる。
【0032】
マスク本体2の上面側には、マスク本体2の補強用の枠体3が装着される。この枠体3は、42アロイ、インバー材、SUS430等からなる平板体であり、その盤面中央に、マスク本体2に対応する一つの四角形状の開口3aを備えており、図4に示すごとく、1枚のマスク本体2を1枚の枠体3で保持している。枠体3は、マスク本体2よりも肉厚の成形品であり、電鋳法により形成された電着金属層9によりマスク本体2の通孔形成領域5の外周縁5aと不離一体的に接合される。ここでは、枠体3の厚み寸法は、例えば0.4〜1.0mm程度とし、本実施形態においては0.4mmに設定した。
【0033】
電着金属層9は、ニッケルやニッケル−コバルト合金等を素材とするものであり、通孔形成領域5の外周縁5aに係るマスク本体2の上面に電鋳法により積層されている。詳しくは、電着金属層9は、通孔形成領域5の外周縁5aの上面と、枠体3の上面および通孔形成領域5に臨む側面と、マスク本体2と枠体3との間隙部分に形成されており、これで通孔形成領域5の外周縁5aと開口3aの開口周縁とを不離一体的に接合する。
【0034】
以上のような構成からなる印刷用メタルマスク版1は、例えば各種電子部品等を実装する配線パターンプリント基板や半導体ウェハー等の被印刷体上に、半田ペーストなどの印刷物をスクリーン印刷する際に使用される。すなわち、プリント基板などの不図示の被印刷物に印刷用メタルマスク版1を押し付け、マスク本体2の上面であるスキージ面にクリーム半田ペーストなどの印刷ペーストを載せたうえで、スキージで印刷ペーストを各通孔6内に順にスキージングして充填する。最後に、被印刷物からメタルマスク版1を離して、被印刷物上に印刷ペーストを転写させる。
【0035】
図2および図3は本実施形態に係る印刷用メタルマスク版1の製造方法を示す。まず、図2(a)に示すごとく、導電性を有する例えばステンレス製や真ちゅう鋼製の母型10の表面にフォトレジスト層11を形成する。このフォトレジスト層11は、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成した。
【0036】
次いで、図2(b)に示すごとくフォトレジスト層11の上に、前記の通孔6に対応する透光孔12aを有するパターンフィルム12(ガラスマスク)を密着させたのち、紫外光ランプ13で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図2(c)に示すごとく、通孔6に対応するストレート状のレジスト体15aを有する一次パターンレジスト15を母型10上に形成した。
【0037】
続いて、上記母型10を所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、図2(d)に示すごとく先のレジスト体15aの高さの範囲内で、母型10のレジスト体15aで覆われていない表面にニッケル合金等の電着金属を好ましくは20μm以上の範囲、本実施形態では25μm厚で一次電鋳して、一次電着層16、すなわち前記マスク本体2となる層を形成した。ここでは、母型10の略全面にわたって、一次電着層16を形成した。次に、レジスト体15aの溶解除去することにより、図2(e)に示すごとく、多数独立の通孔6からなるマスクパターン7を備えるマスク本体2を得た。
【0038】
図3(a)に示すごとく、一次電着層16(マスク本体2)の形成部分を含む母型10の表面全体に、フォトレジスト層17を形成した。このフォトレジスト層17は、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成したものであり、ここでは28μm厚にフォトレジスト層17を形成した。続いて、図3(b)に示すように、前記通孔形成領域5に対応する透光孔19aを有するパターンフィルム19を密着させたのち、紫外光ランプ13で紫外線光を照射して露光を行った。かくして、図3(c)に示すごとく、通孔形成領域5に係る部分が露光されており(17a)、それ以外の部分が未露光(17b)のフォトレジスト層17を得た。
【0039】
続いて、図3(c)に示すごとく、母型10上に一次電着層16を囲むように、枠体3を配した。ここでは、未露光のフォトレジスト層17bの粘着性を利用して、母型10上に枠体3を仮止め固定した。
【0040】
次に、図3(d)に示すごとく、表面に露出している未露光のフォトレジスト層17bを溶解除去して、通孔形成領域を覆うレジスト体21aを有する二次パターンレジスト21を形成した。なお、このとき、枠体3の下面に存する未露光のフォトレジスト層17bは、母型10上に残留している。
【0041】
次に図3(e)に示すごとく、通孔形成領域5の外周縁5aに係る表面に露出する一次電着層16の上面、枠体3と一次電着層16との間で表面に露出する母型10の表面、および枠体3の表面上に電着金属を電鋳して電着金属層9を形成し、この電着金属層9により一次電着層16と枠体3とを接合した。ここでは通孔形成領域5の外周縁5aに係る表面に露出する一次電着層16の上面、および枠体3とレジスト体21aとの間で表面に露出する母型10の表面に、層厚が30μmとなるように電着金属層9を形成した。このとき、枠体3の表面に形成される一次電着層16の層厚は20μmとなっていた。このように、母型10の表面等に形成される電着金属層と枠体3の表面に形成される電着金属層9との間で層厚が異なるのは、電着金属層9は、母型10の表面から順次積層されていき、そして、電着金属層9が未露光のフォトレジスト層17bの高さ部分を越えて枠体3に至ると、枠体3が導通状態となって、該枠体3の表面に電着金属層9が形成されることによる。
【0042】
最後に、二次パターンレジスト21を除去してから、母型10から電着金属層16・9および枠体3を剥離し、さらに未露光のフォトレジスト層17bを除去することにより、図1に示すような印刷用メタルマスク版1を得た(図3(f))。
【0043】
電着金属層9は、一次電着層16、すなわちマスク本体2を枠体3側に引き寄せる、引っ張り応力F1(図1参照)が作用するようなテンションを加えた状態で形成する。かかる引っ張り応力F1の付与は、電鋳槽中に添加する第2種光沢剤中のカーボン及びイオウの含有比率を調整することによって実現できる。これにより一次電着層16は、電着金属層9を介して枠体3に対してピンと張った引っ張り応力が作用した状態で張設されるため、印刷作業時の寸法制度のばらつきが生じ難く、印刷精度の向上に寄与できる。
【0044】
また、マスク本体2は、それ自体に内方に収縮する方向の応力F2(図1参照)が作用するようなテンションを加えた状態で、電着金属層9を介して枠体3に保持されている。かかる応力F2の付与は、マスク本体2となる一次電着層16を作製する際の電鋳槽中に添加する第2種光沢剤中のカーボン及びイオウの含有比率を調整することで実現できる。さらに母型10を42アロイやインバー、SUS430(ステンレス)その他の低熱線膨張係数の材質からなるものとしたうえで、一次電着層16の形成時における電鋳槽内の温度が高くなることで、かかる温度差に起因して、母型10と母型10上に形成されるニッケルやニッケル合金等の電着金属との熱膨張係数との差によって、母型10から剥離した一次電着層16が常温時には内方側に収縮するように設定することによっても実現できる。
【0045】
(第2実施形態)
図5は、本発明に係る金属多孔体を印刷用メタルマスク版に適用した第2実施形態を示す。この第2実施形態に係る印刷用メタルマスク版1では、マスク本体2を下層側の一次電着層と、該一次電着層上に形成された二次電着層とからなる二層構造としてある点が、先の第1実施形態と相違する。すなわち、マスク本体2を印刷面となる一次電着層22と、スキージ面となる二次電着層23とからなる二層構造としてある。それ以外については、第1実施形態と同等であるので、同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
そのうえで、本実施形態では、二次電着層を一次電着層よりも硬い材質で形成してある点が着目される。本実施例では、下層側の一次電着層22をニッケルで、上層側の二次電着層23をニッケル−コバルト合金で形成した。
【0047】
このように、二次電着層23を一次電着層22よりも硬い材質で形成してあると、一次電着層22を軟らかい材質で形成したことにより、被印刷物との密着度を良好に確保でき、しかも二次電着層23を硬い材質で形成したことにより、印圧が加わるスキージ面の強度を良好に担保することができるため、かかる金属多孔体1は、印刷用メタルマスク版として好適なものとなる。
【0048】
(第3実施形態)
図6は、本発明に係る金属多孔体を印刷用メタルマスク版に適用した第3実施形態を示す。当該実施形態では、マスク本体2を一次電着層22と二次電着層23とからなる二層構造体としたうえで、マスク本体2−電着金属層9間の段差をなくしている点、すなわち、二次電着層23の上面と電着金属層9の上面とを面一状となるようにしてある点が着目される。それ以外については、上記実施形態と同様であるので、同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0049】
図7ないし図9に、本実施形態に係る印刷用メタルマスク版1の製造方法を示す。まず、図7(a)に示すごとく、導電性を有する例えばステンレス製や真ちゅう鋼製の母型10の表面にフォトレジスト層11を形成する。このフォトレジスト層11は、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成した。
【0050】
次いで、図7(b)に示すごとくフォトレジスト層11の上に、前記の通孔6に対応する透光孔12aを有するパターンフィルム12(ガラスマスク)を密着させたのち、紫外光ランプ13で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図7(c)に示すごとく、通孔6に対応するストレート状のレジスト体15aを有する一次パターンレジスト15を母型10上に形成した。
【0051】
図7(d)に示すごとく、一次パターンレジスト15を含む母型10の上面の全面に、フィルム状の接着レジスト25を貼り付けたうえで、図7(e)に示すごとく、接着レジスト25上に枠体3との境界部に透光孔26aを有するパターンフィルム26を密着させたのち、紫外線ランプ13で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行った。その後、図8(a)に示すごとく、接着レジスト25の粘着性を利用して、一次パターンレジスト15を囲むように、母型10上に枠体3を仮止め固定したのち、接着レジスト25の未露光部分を溶解除去した。これにて、図8(b)に示すごとく、枠体3の開口の内周縁にレジスト体27aを有する二次パターンレジスト27を母型10上に形成した。
【0052】
続いて、上記母型10を所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、図8(c)に示すごとく、母型10のレジスト体15a・27aで覆われていない表面に、ニッケル等の比較的軟らかい電着金属を電鋳して、一次電着層22を形成した。このときの一次電着層22の厚み寸法は、先の接着レジスト25の厚み寸法と同じとした。次に、表面に露出しているレジスト体27aを溶解除去した。なおこのとき、枠体3の下面に存する接着レジスト25、およびレジスト体15aは、母型10上に残留するようにした。すなわち、かかるレジスト体27aの溶解除去作業では、該レジスト体27aのみを溶解除去でき、レジスト体15aには作用しない除去剤を用いた。
【0053】
次に図8(d)に示すごとく、枠体3の開口内の全体にフォトレジスト層28を形成した。かかるフォトレジスト層28は、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成したものであり、その厚み寸法は、先の接着レジスト25の厚み寸法と同等とした。続いて、フォトレジスト層28上に、枠体3に臨む一次電着層22の外周縁に、所定幅の透光孔30aを有するパターンフィルム30を密着させたのち、紫外光ランプ13で紫外線光を照射して露光を行った。未露光のフォトレジスト層28を除去することにより、図8(e)に示すごとく、一次電着層22の外周縁に、所定幅のレジスト体31aを有する三次パターンレジスト31を得た。
【0054】
続いて、上記母型10を所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、図9(a)に示すごとく、母型10および一次電着層22上のレジスト体15a・31aで覆われていない表面に、ニッケル−コバルト等の一次電着層22を構成する電着金属よりも硬い電着金属を電鋳して、二次電着層23を形成した。このときの二次電着層23の厚み寸法は、先のレジスト体31aの厚み寸法と同じとした。
【0055】
次に、レジスト体31aを溶解除去した。なおこのとき、枠体3の下面に存する接着レジスト25、およびレジスト体15aは、母型10上に残留するようにした。すなわち、かかるレジスト体31aの溶解除去作業では、該レジスト体31aのみを溶解除去でき、レジスト体15a等には作用しない除去剤を用いた。
【0056】
次に、図9(b)に示すごとく、四次パターンレジスト32を形成した。ここでは、先の図8(a)や図8(d)に示したのと同じ手順で、枠体3の開口内部に形成されたフォトレジスト層に対して、パターンフィルムを介して紫外線光を照射することで、図9(b)に示すごとく、一次および二次電着層の通孔形成領域を覆うようなレジスト体32aからなる四次パターンレジスト32を形成した。
【0057】
次に、図9(c)に示すごとく、通孔形成領域5aの外周に係る表面に露出する一次電着層22および二次電着層23の上面、および枠体3の表面上に電着金属を電鋳して電着金属層9を形成し、この電着金属層9により一次・二次電着層22・23と枠体3とを接合した。すなわち、この電着金属層9により、一次・二次電着層22・23からなるマスク本体2と枠体3とを接合した。ここでは、二次電着層22の厚み寸法と同様の厚み寸法を有するように電着金属層9を電鋳形成するようにし、これにて、マスク本体2と電着金属層9との段差を無くすことができた。
【0058】
最後に、一次・四次のパターンレジスト15・32を除去してから、母型10から一次・二次電着層22・23、および枠体3を剥離し、さらに接着レジスト25を除去することにより、図9(d)および図6に示すような印刷用メタルマスク版1を得た。
【0059】
このように、マスク本体2と電着金属層9との段差をなくして、それらの上面と面一状にしてあると、印刷作業時にスキージが電着金属層9に接触することがなくなり、したがって電着金属層9を剥がれ難くなるため、マスク本体2と枠体3との良好な接合状態を長期にわたって確保できる利点がある。また、二次電着層23を一次電着層22よりも硬い材質で形成してあると、一次電着層22を軟らかい材質で形成したことにより、被印刷物との密着度を良好に確保でき、しかも二次電着層23を硬い材質で形成したことにより、印圧が加わるスキージ面の強度を良好に担保することができるため、かかるメタルマスク版は、印刷版として好適なものとなる。
【0060】
上記第1ないし第3実施形態以外に、各通孔6は、被印刷物側に向かって下窄まりのテーパー状に形成することが好ましい。これは、通孔6がストレート状になっていると、被印刷物からメタルマスク版1を離すときの版離れ性が悪くなるために、被印刷物上に移転付着させた印刷ペーストが型崩れを起こし、形状が不安定となりやすいことによる。これに対して、上述のように各通孔6を下広がりテーパー状に形成してあると、版離れ性は良好なものとなる。
【0061】
(第4実施形態)
図10および図11は、本発明に係る金属多孔体を塵埃除去用のフィルターに適用した第4実施形態を示す。このフィルター1は、ニッケルやニッケルコバルト等のニッケル合金、その他の電着金属を素材として、電鋳方法により形成されたフィルター本体(プレート本体)2と、このフィルター本体2を囲むように装着された枠体3とを含む。図11においてフィルター本体2は、左右両端が円弧状に面取り形成された横長の略四角形状を呈しており、その盤面内に多数独立の通孔6(図10)を備える。
【0062】
フィルター本体2の厚み寸法は、好ましくは20μm以上の範囲として、本実施形態では25μmに設定した。各通孔6は、例えば平面視で33×33μmの四角形状を有しており、これら通孔6は、前後方向に直線状に並ぶ複数個の通孔群を列とし、複数個の列が左右方向に並列状に配設されたマトリクス状に構成した。なお、図10の縦断面図は、実際の通孔パターンの様子を示したものではなく、それを模式的に示している。さらに言うと、図10等における通孔6の開口寸法やフィルター本体2等の厚み寸法等は、図面作成の便宜上、そのような寸法に示したものであって実寸法とは大きく異なる。また、通孔6の開口数も実際とは大きく異なる。
【0063】
枠体3は、42アロイ、インバー材、SUS430等からなる平板体であり、その盤面中央に、フィルター本体2に対応する一つの開口を備える。枠体3は、フィルター本体2よりも肉厚の成形品である。枠体3の好適な厚み寸法は、0.4〜1.0mm程度であり、本実施形態においては0.4mmに設定した。
【0064】
そのうえで、本発明においては、フィルター本体2と枠体3とが、該フィルター本体2を構成する一次電着層16と一体的に形成された電着金属層9を介して、不離一体的に接合されている点が着目される。すなわち、フィルター本体2を構成する一次電着層16を電鋳形成する際に、同時的に該フィルター本体2と枠体3とを接合する電着金属層9を電鋳形成するようにしてある。これによれば、フィルター本体2を構成する一次電着層16と電着金属層9とを各々別個の工程で作成する場合に比べて、製造工程が少なくて済むため、塵埃除去用フィルター1の製造コストの低減化に貢献できる。
【0065】
図12および図13に、本実施形態に係る塵埃除去用フィルター1の製造方法を示す。まず、図12(a)に示すごとく、導電性を有する例えばステンレス製や真ちゅう鋼製の母型10の表面にフォトレジスト層11を形成する。このフォトレジスト層11は、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成した。
【0066】
次いで、図12(a)に示すごとくフォトレジスト層11の上に、前記の通孔6に対応する透光孔12aを有するパターンフィルム12(ガラスマスク)を密着させたのち、紫外光ランプ13で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図12(b)に示すごとく、通孔6に対応するストレート状のレジスト体15aを有する一次パターンレジスト15を母型10上に形成した。
【0067】
図12(c)に示すごとく、一次パターンレジスト15を含む母型10の上面の全面に、フィルム状の接着レジスト25を貼り付けたうえで、図12(d)に示すごとく、接着レジスト25の粘着性を利用して、一次パターンレジスト15を囲むように、母型10上に枠体3を仮止め固定した。次に、図13(a)に示すごとく、枠体3の下面に存する接着レジスト25を除いて、該接着レジスト25を溶解除去した。
【0068】
続いて、上記母型10を所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、図13(b)に示すごとく、母型10のレジスト体15aで覆われていない表面、および枠体3の表面に、電着金属を電鋳して、フィルター本体2を構成する一次電着層16と、該フィルター本体2と枠体3とを接合する電着金属層9とを一体的に形成した。このときの一次電着層16の厚み寸法は、先のレジスト体15aの厚み寸法以下とした。
【0069】
最後に、一次パターンレジスト15を除去してから、母型10から一次電着層16、電着金属層9および枠体3を剥離し、さらに接着レジスト25を除去することにより、図13(c)および図10に示すような塵埃除去用のフィルターを得た。
【0070】
電着金属層9は、一次電着層16、すなわちフィルター本体2を枠体3側に引き寄せる、引っ張り応力F1(図10参照)が作用するようなテンションを加えた状態で形成する。かかる引っ張り応力F1の付与は、電鋳槽中に添加する第2種光沢剤中のカーボン及びイオウの含有比率を調整することによって実現できる。これにより一次電着層16は、電着金属層9を介して枠体3に対してピンと張った引っ張り応力が作用した状態で張設される。
【0071】
フィルターや印刷用メタルマスク版の形態は、上記実施形態に示したものに限られない。
【符号の説明】
【0072】
1 金属多孔体(印刷用メタルマスク版、フィルター)
2 本体プレート(マスク本体、フィルター本体)
3 枠体
5 通孔形成領域
6 通孔
9 電着金属層
15 一次パターンレジスト
15a レジスト体
16 一次電着層
22 一次電着層
23 二次電着層
25 接着レジスト
27 二次パターンレジスト
27a レジスト体
31 三次パターンレジスト
31a レジスト体
32 四次パターンレジスト
32a レジスト体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数独立の通孔(6)を有する電鋳製の本体プレート(2)と、該本体プレート(2)を囲むように配置された該本体プレート(2)の補強用の枠体(3)とからなる金属多孔体であって、
本体プレート(2)の外周縁と枠体(3)とが、電鋳法により形成された電着金属層(9)を介して不離一体的に接合されていることを特徴とする金属多孔体。
【請求項2】
電着金属層(9)が、本体プレート(2)を枠体(3)側に引き寄せる、引っ張り応力(F1)が作用するようなテンションを加えた状態で形成されている請求項1記載の金属多孔体。
【請求項3】
本体プレート(2)が、それ自体に内方に収縮する方向の応力(F2)が作用するようなテンションを加えた状態で、電着金属層(9)を介して枠体(3)に保持されている請求項1又は2記載の金属多孔体。
【請求項4】
本体プレート(2)と枠体(3)とが、該本体プレート(2)を構成する一次電着層(16)と一体的に形成された電着金属層(9)を介して、不離一体的に接合されている請求項1ないし3のいずれかに記載の金属多孔体。
【請求項5】
前記金属多孔体は、印刷用のメタルマスク版であり、
前記本体プレート(2)は、被印刷物に接する印刷面となる下層側の一次電着層(22)と、該一次電着層(22)上に形成されてスキージ面となる上層側の二次電着層(23)とからなる二層構造をなしており、
二次電着層(23)が、一次電着層(22)よりも硬い材質で形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の金属多孔体。
【請求項6】
本体プレート(2)と枠体(3)との接合部における、二次電着層(23)の上面と電着金属層(9)の上面とが、段差のない面一状とされている請求項5記載の金属多孔体。
【請求項7】
多数独立の通孔(6)を有する電鋳製の本体プレート(2)と、該本体プレート(2)を囲むように配置された該本体プレート(2)の補強用の枠体(3)とを、電着金属層(9)を介して接合してなる金属多孔体の製造方法であって、
母型(10)の表面に、レジスト体(15a)を有する一次パターンレジスト(15)を設ける第1のパターンニング工程と、
一次パターンレジスト(15)を用いて、母型(10)上に電着金属を電鋳して、本体プレート(2)に対応する一次電着層(16)を形成する第1の電鋳工程と、
一次電着層(16)を囲むように母型(10)上に枠体(3)を配する枠体配設工程と、
枠体(3)の表面と、一次電着層(16)の外周縁、すなわち多数個の通孔(6)からなる本体プレート(2)の通孔形成領域(5)の外周縁(5a)の表面とを覆うように、電鋳法により電着金属層(9)を形成して、該電着金属層(9)により一次電着層(16)と枠体(3)とを不離一体的に接合する第2の電鋳工程と、
母型(10)から一次電着層(16)、枠体(3)および電着金属層(9)を一体に剥離する剥離工程とを含むことを特徴とする金属多孔体の製造方法。
【請求項8】
母型(10)上に形成された一次電着層(16)の表面に、通孔形成領域(5)を覆うレジスト体(17a)を形成するためのフォトレジスト層(17)を形成する工程を含み、
前記枠体配設工程においては、未露光のフォトレジスト層(17b)の粘着性を利用して、母型(10)上に枠体(3)を仮止め固定しており、
かかる仮止め固定状態で、第2の電鋳工程を行うようにしてある請求項7記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項9】
多数独立の通孔(6)を有し、下層側の一次電着層(22)と上層側の二次電着層(23)とからなる二層構造の電鋳製の本体プレート(2)と、該本体プレート(2)を囲むように配置された該本体プレート(2)の補強用の枠体(3)とを、電着金属層(9)を介して接合してなる金属多孔体の製造方法であって、
母型(10)の表面に、通孔(6)に対応するレジスト体(15a)を有する一次パターンレジスト(15)を設ける第1のパターンニング工程と、
一次パターンレジスト(15)を含む母型(10)の上面の全面に、フィルム状の接着レジスト(25)を貼り付けたうえで、該接着レジスト(25)の粘着性を利用して、一次パターンレジスト(15)を囲むように、母型(10)上に枠体(3)を仮止め固定する枠体配設工程と、
接着レジスト(25)上に、枠体(3)との境界部に透光孔(26a)を有するパターンフィルム(26)を密着させたのち、露光、現像、乾燥の各処理を行ったのち、未露光部分を溶解除去することにより、枠体(3)の開口の内周縁に係る母型(10)上に、レジスト体(27a)を有する二次パターンレジスト(27)を形成する第2のパターニング工程と、
一次および二次パターンレジスト(15・27)を用いて、接着レジスト(25)の厚み寸法と同等の厚み寸法を有する一次電着層(22)を、母型(10)上に電鋳形成する第1の電鋳工程と、
一次電着層(22)の外周縁に、所定幅のレジスト体(31a)を有する三次パターンレジスト(31)を形成する第3のパターニング工程と、
母型(10)および一次電着層(22)上のレジスト体(31a)で覆われていない表面に電着金属を電鋳して、接着レジスト(25)の厚み寸法と同等の厚み寸法を有する二次電着層(23)を形成する第2の電鋳工程と、
レジスト体(31a)を除去したのち、一次および二次電着層(22・23)の通孔形成領域(5)を覆うようなレジスト体(32a)からなる四次パターンレジスト(32)を形成する第4のパターニング工程と、
通孔形成領域(5)の外周縁(5a)に係る表面に露出する一次・二次電着層(22・23)の上面、および枠体(3)の表面上に電着金属を電鋳して、二次電着層(23)と同等の厚み寸法を有する電着金属層(9)を形成し、該電着金属層(9)を介して一次・二次電着層(22・23)と枠体(3)とを不離一体的に接合する第3の電鋳工程と、
母型(10)から一次・二次電着層(22・23)、枠体(3)および電着金属層(9)を一体に剥離する剥離工程とを含むことを特徴とする金属多孔体の製造方法。
【請求項10】
多数独立の通孔(6)を有する電鋳製の本体プレート(2)と、該本体プレート(2)を囲むように配置された該本体プレート(2)の補強用の枠体(3)とを、電着金属層(9)を介して接合してなる金属多孔体の製造方法であって、
母型(10)の表面に、通孔(6)に対応するレジスト体(15a)を有する一次パターンレジスト(15)を設ける第1のパターンニング工程と、
一次パターンレジスト(15)を含む母型(10)の上面の全面に、フィルム状の接着レジスト(25)を貼り付けたうえで、該接着レジスト(25)の粘着性を利用して、一次パターンレジスト(15)を囲むように、母型(10)上に枠体(3)を仮止め固定する枠体配設工程と、
枠体(3)の下面に存する接着レジスト(25)を除いて、接着レジスト(25)を除去する工程と、
レジスト体(15a)を除く母型(10)の表面上、および枠体(3)の表面上を覆うように、電着金属を電鋳して、本体プレート(2)を構成する一次電着層(16)と、該本体プレート(2)と枠体(3)とを接合する電着金属層(9)とを形成する工程と、
母型(10)から一次電着層(16)、枠体(3)および電着金属層(9)を一体に剥離する剥離工程とを含むことを特徴とする金属多孔体の製造方法。
【請求項1】
多数独立の通孔(6)を有する電鋳製の本体プレート(2)と、該本体プレート(2)を囲むように配置された該本体プレート(2)の補強用の枠体(3)とからなる金属多孔体であって、
本体プレート(2)の外周縁と枠体(3)とが、電鋳法により形成された電着金属層(9)を介して不離一体的に接合されていることを特徴とする金属多孔体。
【請求項2】
電着金属層(9)が、本体プレート(2)を枠体(3)側に引き寄せる、引っ張り応力(F1)が作用するようなテンションを加えた状態で形成されている請求項1記載の金属多孔体。
【請求項3】
本体プレート(2)が、それ自体に内方に収縮する方向の応力(F2)が作用するようなテンションを加えた状態で、電着金属層(9)を介して枠体(3)に保持されている請求項1又は2記載の金属多孔体。
【請求項4】
本体プレート(2)と枠体(3)とが、該本体プレート(2)を構成する一次電着層(16)と一体的に形成された電着金属層(9)を介して、不離一体的に接合されている請求項1ないし3のいずれかに記載の金属多孔体。
【請求項5】
前記金属多孔体は、印刷用のメタルマスク版であり、
前記本体プレート(2)は、被印刷物に接する印刷面となる下層側の一次電着層(22)と、該一次電着層(22)上に形成されてスキージ面となる上層側の二次電着層(23)とからなる二層構造をなしており、
二次電着層(23)が、一次電着層(22)よりも硬い材質で形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の金属多孔体。
【請求項6】
本体プレート(2)と枠体(3)との接合部における、二次電着層(23)の上面と電着金属層(9)の上面とが、段差のない面一状とされている請求項5記載の金属多孔体。
【請求項7】
多数独立の通孔(6)を有する電鋳製の本体プレート(2)と、該本体プレート(2)を囲むように配置された該本体プレート(2)の補強用の枠体(3)とを、電着金属層(9)を介して接合してなる金属多孔体の製造方法であって、
母型(10)の表面に、レジスト体(15a)を有する一次パターンレジスト(15)を設ける第1のパターンニング工程と、
一次パターンレジスト(15)を用いて、母型(10)上に電着金属を電鋳して、本体プレート(2)に対応する一次電着層(16)を形成する第1の電鋳工程と、
一次電着層(16)を囲むように母型(10)上に枠体(3)を配する枠体配設工程と、
枠体(3)の表面と、一次電着層(16)の外周縁、すなわち多数個の通孔(6)からなる本体プレート(2)の通孔形成領域(5)の外周縁(5a)の表面とを覆うように、電鋳法により電着金属層(9)を形成して、該電着金属層(9)により一次電着層(16)と枠体(3)とを不離一体的に接合する第2の電鋳工程と、
母型(10)から一次電着層(16)、枠体(3)および電着金属層(9)を一体に剥離する剥離工程とを含むことを特徴とする金属多孔体の製造方法。
【請求項8】
母型(10)上に形成された一次電着層(16)の表面に、通孔形成領域(5)を覆うレジスト体(17a)を形成するためのフォトレジスト層(17)を形成する工程を含み、
前記枠体配設工程においては、未露光のフォトレジスト層(17b)の粘着性を利用して、母型(10)上に枠体(3)を仮止め固定しており、
かかる仮止め固定状態で、第2の電鋳工程を行うようにしてある請求項7記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項9】
多数独立の通孔(6)を有し、下層側の一次電着層(22)と上層側の二次電着層(23)とからなる二層構造の電鋳製の本体プレート(2)と、該本体プレート(2)を囲むように配置された該本体プレート(2)の補強用の枠体(3)とを、電着金属層(9)を介して接合してなる金属多孔体の製造方法であって、
母型(10)の表面に、通孔(6)に対応するレジスト体(15a)を有する一次パターンレジスト(15)を設ける第1のパターンニング工程と、
一次パターンレジスト(15)を含む母型(10)の上面の全面に、フィルム状の接着レジスト(25)を貼り付けたうえで、該接着レジスト(25)の粘着性を利用して、一次パターンレジスト(15)を囲むように、母型(10)上に枠体(3)を仮止め固定する枠体配設工程と、
接着レジスト(25)上に、枠体(3)との境界部に透光孔(26a)を有するパターンフィルム(26)を密着させたのち、露光、現像、乾燥の各処理を行ったのち、未露光部分を溶解除去することにより、枠体(3)の開口の内周縁に係る母型(10)上に、レジスト体(27a)を有する二次パターンレジスト(27)を形成する第2のパターニング工程と、
一次および二次パターンレジスト(15・27)を用いて、接着レジスト(25)の厚み寸法と同等の厚み寸法を有する一次電着層(22)を、母型(10)上に電鋳形成する第1の電鋳工程と、
一次電着層(22)の外周縁に、所定幅のレジスト体(31a)を有する三次パターンレジスト(31)を形成する第3のパターニング工程と、
母型(10)および一次電着層(22)上のレジスト体(31a)で覆われていない表面に電着金属を電鋳して、接着レジスト(25)の厚み寸法と同等の厚み寸法を有する二次電着層(23)を形成する第2の電鋳工程と、
レジスト体(31a)を除去したのち、一次および二次電着層(22・23)の通孔形成領域(5)を覆うようなレジスト体(32a)からなる四次パターンレジスト(32)を形成する第4のパターニング工程と、
通孔形成領域(5)の外周縁(5a)に係る表面に露出する一次・二次電着層(22・23)の上面、および枠体(3)の表面上に電着金属を電鋳して、二次電着層(23)と同等の厚み寸法を有する電着金属層(9)を形成し、該電着金属層(9)を介して一次・二次電着層(22・23)と枠体(3)とを不離一体的に接合する第3の電鋳工程と、
母型(10)から一次・二次電着層(22・23)、枠体(3)および電着金属層(9)を一体に剥離する剥離工程とを含むことを特徴とする金属多孔体の製造方法。
【請求項10】
多数独立の通孔(6)を有する電鋳製の本体プレート(2)と、該本体プレート(2)を囲むように配置された該本体プレート(2)の補強用の枠体(3)とを、電着金属層(9)を介して接合してなる金属多孔体の製造方法であって、
母型(10)の表面に、通孔(6)に対応するレジスト体(15a)を有する一次パターンレジスト(15)を設ける第1のパターンニング工程と、
一次パターンレジスト(15)を含む母型(10)の上面の全面に、フィルム状の接着レジスト(25)を貼り付けたうえで、該接着レジスト(25)の粘着性を利用して、一次パターンレジスト(15)を囲むように、母型(10)上に枠体(3)を仮止め固定する枠体配設工程と、
枠体(3)の下面に存する接着レジスト(25)を除いて、接着レジスト(25)を除去する工程と、
レジスト体(15a)を除く母型(10)の表面上、および枠体(3)の表面上を覆うように、電着金属を電鋳して、本体プレート(2)を構成する一次電着層(16)と、該本体プレート(2)と枠体(3)とを接合する電着金属層(9)とを形成する工程と、
母型(10)から一次電着層(16)、枠体(3)および電着金属層(9)を一体に剥離する剥離工程とを含むことを特徴とする金属多孔体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−42877(P2011−42877A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223860(P2010−223860)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【分割の表示】特願2004−355589(P2004−355589)の分割
【原出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【分割の表示】特願2004−355589(P2004−355589)の分割
【原出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】
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