説明

金融情報流通方法

【課題】 金融情報を利用する投資家の端末に対して、投資判断の材料として用いる金融情報の遅延の有無を、簡易且つ確実に伝達すること。
【解決手段】 エンティティ20は、金融情報報道装置10から金融情報を取得すると、その金融情報に所定の加工を施すことによって、新たな金融情報を取得する。そして、取得した金融情報に、時刻を表わす時刻情報と自らを識別するエンティティ識別子を内包させた上で、下流のエンティティ20又は金融情報サービス検索端末30へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融情報流通方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、有価証券市場に代表される各種金融商品の取引の多くは、ネットワークを利用して電子的に行なわれている。この種の取引では、投資家の各々が、ネットワークに自らの端末を接続し、その端末に証券取引所等から随時供給される金融情報の内容を基に、注文処理をかけるタイミングやその注文処理にかかる取引の内容を判断している。
【0003】
各投資家の判断は、各々の端末へ証券取引所等から供給される金融情報の内容に依存している。従って、端末に到達する金融情報に遅延が生じた場合、投資家は、陳腐化した古い情報に依存した判断を下してしまうことになり、金融取引上大きな損失が生まれてしまうことがある。特許文献1には、このような金融情報の遅延に起因する問題の発生を回避するシステムが開示されている。同文献によると、このシステムは、金融証券取引所から提供される金融情報を格納するデータソースと、このデータソースから金融情報を取得して投資家の端末へ供給するデータ収集システムとからなる。そして、データ収集システムは、データソースからある金融情報を取得する際、その金融情報が実時間に従ったものか、それとも古いものかを検出し、後者である場合は、その旨を示す状態コード更新信号を金融情報と併せて端末へ送信するようになっている。このような処理を行うことによって、投資家は、自らの端末に表示されている金融情報が自らの投資判断の材料たりうるべきものか否かを確実に判断することができる。
【特許文献1】特開平11−161715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した形態の金融取引では、金融証券取引所によって提供される金融情報がデータソースから投資家の端末へそのまま到達するわけではなく、「エンティティ」と呼ばれる複数のコンピュータ装置を順次経由してから投資家の端末へ到達するのが一般的である。各エンティティは、自らを経由する金融情報をより利用価値の高い情報に加工するための各種ソフトウェアコンポーネントを各々実装しており、これらの各エンティティの加工処理によって利用価値が高められた金融情報が、その利用主体たる投資家の端末へ最終的に伝送されることになる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたシステムは、最も上流のコンピュータ装置がデータソースから金融情報を取得する際の遅延を検出して投資家の端末へ伝達するに止まり、その後、各エンティティが金融情報に加工を施す際の遅延までは投資家に伝達し得なかった。従って、投資家の側を含む下流に属するエンティティでは、金融情報の遅延の原因となっているエンティティを突き止め、そのエンティティを回避したデータ伝送経路を選択して金融情報を取得するといった対処を取り得なかった。
【0006】
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、金融情報を利用する投資家の端末に対して、自らが投資判断の材料として用いる金融情報の遅延の有無を、その金融情報が経由してきたエンティティ単位で了解させることができる金融情報流通方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好適な態様である金融情報流通方法は、金融情報を発信する発信装置と、金融情報を受信してその内容を表示する端末装置と、前記発信装置と前記端末装置との間に介在して金融情報を中継する複数の中継装置とを有するシステムによる金融情報流通方法であって、前記発信装置が、金融情報を発信する工程と、第1の中継装置が、前記発信装置から金融情報を受信すると、受信した金融情報に、自らがその金融情報を受信してから現在時刻までの間の特定の時刻を表わす時刻情報と自らを識別する中継装置識別子の対を内包させて、前記端末装置又は第2の中継装置へ送信する工程と、前記第1の中継装置から金融情報を受信した端末装置又は第2の中継装置が、その金融情報に内包されている時刻情報と中継装置識別子の対の内容を基に、第1の中継装置を経由した際における情報の遅延の有無を判断する工程とを有する。
【0008】
この態様において、前記金融情報を受信した端末装置又は第2の中継装置が、自らが受信した金融情報に中継装置識別子と対応付けて内包されている時刻情報が示す時刻と、現在時刻との間の時間長を計算することにより、前記第1の中継装置を経由した際における情報の遅延の有無を判断するようにしてもよい。
【0009】
前記金融情報を受信した第2の中継装置が、受信した金融情報に、自らがその金融情報を受信してから現在時刻までの間の特定の時刻を表す時刻情報と自らを識別する中継装置識別子の対を内包させて、前記端末装置又は第3の中継装置へ送信する工程と、前記第2の中継装置から金融情報を受信した端末装置又は第3の中継装置が、その金融情報に内包されている時刻情報と中継装置識別子の各対の内容を基に、第1の中継装置又は第2の中継装置を経由した際における情報の遅延の有無をそれぞれ判断する工程とを更に有してもよい。
【0010】
また、前記金融情報を受信した第2の中継装置が、その金融情報に加工を施して新たな派生金融情報を生成すると共に、生成した新たな派生金融情報に、自らが金融情報を受信してから現在時刻までの間の特定の時刻を表わす時刻情報と自らを識別する中継装置識別子の対を内包させて、前記端末装置又は第3の中継装置へ送信する工程と、前記第2の中継装置から新たな派生金融情報を受信した端末装置又は第3の中継装置が、その新たな派生金融情報に内包されている時刻情報と中継装置識別子の各対の内容を基に、第1の中継装置又は第2の中継装置を経由した際における情報の遅延の有無をそれぞれ判断する工程とを更に有してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金融情報を利用する投資家の端末あるいは下流に属するエンティティに対して、投資判断の材料として用いる金融情報の遅延の有無を、簡易且つ確実に伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(発明の実施の形態)
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施形態にかかる金融情報流通システムの全体構成を示す図である。同図に示すように、このシステムは、金融情報報道装置10と、エンティティ20と、金融情報サービス検索端末30とを接続してなる。
これらの各ノードは、インターネット時刻などを相互に利用することによって、許容範囲内の誤差での時刻あわせがなされている。
【0013】
金融情報報道装置10は、有価証券取引所に設置され、同取引所における取引の内容を実時間の金融情報としてネットワークへ配信する。各エンティティ20は、金融情報報道装置10と金融情報サービス検索端末30との間に介在して金融情報を中継する役割を担う。また、金融情報サービス探索端末30は、自らが選択したエンティティ20から金融情報を取得してその内容を提示すると共に、有価証券取引所に対する取引の注文を指示する。図に示すように、本システムでは、金融情報報道装置10と金融情報サービス探索端末30との間に複数のエンティティ20が介在し、これらエンティティ20の組み合わせによって、相異なる複数のデータ伝送経路が形成されうる。
以降の説明では、あるエンティティ20から見て、自らとは別のあるエンティティ20が金融情報報道装置10側に位置していることを、「上流に位置する」と記し、金融情報サービス探索端末30側に位置していることを、「下流に位置する」と記す。
【0014】
図2は、金融情報報道装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。同図に示すように、この金融情報報道装置10は、IPL(initial program loader)を記憶したROM11、ワークメモリとなるRAM12、OS(operating system)や金融情報報道プログラム13aを記憶したハードディスク13、現在時刻を生成するタイマ14、コンピュータディスプレイ15、通信インターフェース16、及びこれら各部を制御するCPU17などを備えている。
CPU17が、RAM12をワークメモリとして利用しつつこの金融情報報道プログラム13aを実行することにより、実時間の金融情報を所定の時間長毎に順次生成してネットワークへ発信する処理が実現する。
【0015】
図3は、金融情報サービス検索端末30のハードウェア構成を示すブロック図である。同図に示すように、この装置は、ROM31、RAM32、ハードディスク33、タイマ34、コンピュータディスプレイ35、通信インターフェース36、CPU37などを備えており、ハードディスク33は、金融情報探索プログラム33aを記憶している。CPU37が、RAM32をワークメモリとして利用しつつこの金融情報探索プログラム33aを実行することにより、エンティティ20から金融情報を取得してコンピュータディスプレイ35に表示させる処理が実現する。
【0016】
図4は、エンティティ20のハードウェア構成を示すブロック図である。同図に示すように、各エンティティ20は、ROM21、RAM22、ハードディスク23、タイマ24、コンピュータディスプレイ25、通信インターフェース26、CPU27などを備えており、ハードディスク23は、自らが取得した金融情報に対して所定の加工処理を施すための加工処理プログラム23aを記憶している。
【0017】
各エンティティ20は、金融情報への加工処理を行うものと加工処理を行なわないものの2種類に分けることができる。
前者に分類されるエンティティ20は、金融情報報道装置10、又は自らの上流に位置する別のエンティティ20から金融情報を受信すると、その金融情報に対して所定の加工処理を施すことで、新たな派生金融情報を生成する。そして、その新たな派生金融情報に、現在時刻を表わす時刻情報と、自らを識別するエンティティ識別子とを内包させた上で、自らの下流に位置する別のエンティティ20又は金融情報サービス探索端末30に送信する。これら各エンティティ20によって行なわれる加工処理の内容は、各々が実装している加工処理プログラム23aの内容に応じて異なるが、例えば、取得した全金融情報から、予め設定されていた属性を有する金融情報のみを抽出して下流に送信するといった処理、取得した金融情報の内容から全銘柄の株価の前日からの上昇比率を算出し、算出した上昇比率が高い順番に全銘柄を配列したランキングデータを生成して下流に送信するいった処理、あるいは多数の金融情報を統合して株式指数情報を生成するといった処理、相互の金融情報の値から他の金融情報の理論値を計算するといった処理などがある。
一方、後者に分類されるエンティティ20は、金融情報報道装置10、又は自らの上流に位置する別のエンティティ20から金融情報(派生金融情報を含む)を受信すると、受信した金融情報に加工処理を施すことなく、時刻情報とエンティティ識別子を内包させた上で、自らの下流に位置する複数のエンティティ20に送信する。
【0018】
次に、本実施形態の動作を説明する。
上述したように、本実施形態では、金融情報報道装置10から発信された金融情報が、データ伝送経路となる複数のエンティティ20を経由して金融情報サービス探索端末30に到達するようになっている。ここでは、説明の便宜上、それら複数のエンティティ20のうち、図5に示す20a乃至20dの4つのエンティティ20の関係のみに着目する。図5において、最も上流に位置するエンティティ20aは、エンティティ20bとエンティティ20cにパラレルに情報を送信する。そして、エンティティ20b及びエンティティ20cの下流に位置するエンティティ20dは、自らの判断によってエンティティ20b又はエンティティ20cのいずれか一方を選択し、情報を受信する。ここでは、エンティティ20dが、自らが情報を受信する上流のノードとしてエンティティ20bを選択している状態にあると想定する。また、エンティティ20dは、金融情報サービス探索端末30とHTTP(hyper text transfer protocol)や独自のネットワーク・プロトコルによるコネクションが確立された状態にある。
【0019】
このような条件下において、金融情報報道装置10は、有価証券取引所における取引の変動があると、その内容を表わす金融情報D0をエンティティ20aに直ちに送信する。
エンティティ20aは、金融情報報道装置10から金融情報D0を受信すると、その金融情報D0に現在時刻を表わす時刻情報t1と自らを識別するエンティティ識別子s1の対を内包させた金融情報D1を、エンティティ20bとエンティティ20cとにそれぞれ送信する。この時点における金融情報D1の内容は図6(a)のようになっている。図6(a)に示すように、金融情報D1には、時刻情報t1とエンティティ識別子s1が内包されている。
【0020】
エンティティ20bは、エンティティ20aから受信した金融情報D1に対し自らの加工処理プログラム23aに応じた加工処理を施すことで、新たな派生金融情報である金融情報D2を取得する。そして、金融情報D2に、時刻情報t2とエンティティ識別子s2の対を追加してエンティティ20dに送信する。この時点における金融情報D2の内容は図6(b)のようになっている。図6(b)に示すように、金融情報D2には、時刻情報t1とエンティティ識別子s1、及び時刻情報t2とエンティティ識別子s2が内包されている。
【0021】
エンティティ20cは、エンティティ20aから受信した金融情報D1に対し自らの加工処理プログラム23aに応じた加工処理を施すことで、新たな派生金融情報である金融情報D3を取得する。但し、エンティティ20cは、情報を提供すべき下流のエンティティ20がないので、取得した金融情報D3を自らのRAM22あるいはハードディスク23に蓄積するに止まる。
【0022】
エンティティ20dは、エンティティ20bから受信した金融情報D2に対し自らの加工処理プログラム23aに応じた加工処理を施すことで、新たな派生金融情報である金融情報D4を取得する。そして、金融情報D4に時刻情報t4とエンティティ識別子s4の対を追加して金融情報サービス探索端末30に送信する。この時点における金融情報D4の内容は図6(c)のようになっている。図6(c)に示すように、金融情報D4には、時刻情報t1とエンティティ識別子s1、時刻情報t2とエンティティ識別子s2、及び時刻情報t4とエンティティ識別子s4が内包されている。
【0023】
上述したように、エンティティ20dと金融情報サービス探索端末30とはHTTPや独自のネットワーク・プロトコルによるコネクションが確立された状態にあるため、エンティティ20bから金融情報D2を受信しない時間帯が一定の時間長以上に渡って続いた場合、エンティティ20dは、その間、keep alive信号を送信することによって、金融情報サービス探索端末30側からコネクションが一方的に切断される事態を回避する。
【0024】
また、エンティティ20dは、エンティティ20bから金融情報D2を受信するたびにその金融情報D2から時刻情報t1を抽出し、抽出した時刻情報t1が示す時刻と現在時刻との間の時間長を計算して自らのRAM22あるいはハードディスク23に順次蓄積する。そして、それら蓄積した各時間長の間に、いわゆる遅延のばらつきがあると判断したとき、および遅延が閾値を超えたときは、自らがデータを受信する上流のノードをエンティティ20bからエンティティ20cに切り替える。
【0025】
金融情報サービス探索端末30は金融情報D4を受信すると、その金融情報D4に内包されている時刻情報とエンティティ識別子の各対の内容から、その金融情報D4が遅延された情報であるか否かを判断する。具体的には、金融情報D4から、最も上流に位置するエンティティ20aのエンティティ識別子と対をなす時刻情報を抽出し、抽出した時刻情報が示す時刻と現在時刻との間の時間長が予め設定された許容時間長よりも大きい場合には、遅延された情報であると判断する。金融情報D4に遅延があると判断した場合、その旨を表わすメッセージが金融情報Dの内容と共にコンピュータディスプレイ35に表示される。
【0026】
更に、金融情報サービス探索端末30は、ある金融情報D4について遅延があったと判断し、その原因が自身の情報処理能力や通信能力の不足に起因していると判断したときは、例えば、独自のネットワーク・プロトコルによるPUSH型データ伝送方式からHTTPによるPULL型データ伝送方式へといったように、ネットワークへの負担がより少ない代替データ伝送方式への切り替えを行なう。
【0027】
なお、図5及び図6では、エンティティ20aの下流に位置するエンティティ20b乃至20dが、各々が受信した金融情報に加工処理を施すものとして説明したが、これらの一部又は全部が加工処理を施さないものである場合も同様に、自らを経由した金融情報にエンティティ識別子と時刻情報の対を内包させた上で下流に送信する。
【0028】
以上説明したように、本実施形態では、各エンティティ20が、自らを金融情報が経由する際に、時刻情報とエンティティ識別子の対を金融情報に内包させてから下位のノードへ送信する。従って、金融情報を取得した金融情報サービス探索端末30は、その金融情報から抽出した時刻情報が示す時刻と現在時刻との間の時間長を計算するだけで、自らが取得した金融情報が遅延されたものであるかを容易に判断することができる。
【0029】
また、エンティティ20自身も、自らが受信した金融情報から抽出した時刻情報が示す時刻と現在時刻との間の時間長を計算することによって、自らの上流に位置する特定のエンティティ20を金融情報が経由した際に遅延が生じていたか否かを容易に判断できる。そして、自らの上流に位置する特定のエンティティ20を経由する際に遅延が生じていた場合、その特定のエンティティ20とは別のエンティティ20を選択することでデータ伝送路を切り替え、より安定したデータ伝送路を形成することができる。
【0030】
(他の実施の形態)
本願にかかる発明は、種々の変形実施が可能である。
例えば、上記実施形態では、各エンティティ20を経由する際に金融情報に付加される時刻情報とエンティティ識別子の対の内容は、金融情報の受け取り手である金融情報サービス探索端末30に到達されるまでそのまま維持されるものであった。これに対し、金融情報を受信したあるエンティティ20が、自らの上流に位置するエンティティ20によって内包されたエンティティ識別子と時刻情報の対が不要であると判断した場合は、それまでその金融情報に内包されていたエンティティ識別子と時刻情報の対を消去した上で、その金融情報に自らのエンティティ識別子と時刻情報の対を内包させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態全体構成を示す図である。
【図2】金融情報報道装置のハードウェア構成図である。
【図3】金融情報サービス検索端末のハードウェア構成図である。
【図4】エンティティのハードウェア構成図である。
【図5】エンティティ間の関係を表わす図である。
【図6】金融情報の内容を表わす図である。
【符号の説明】
【0032】
10…金融情報報道装置、20…エンティティ、30…金融情報サービス検索端末、11、21、31…ROM、12、22、32…RAM、13、23、33…ハードディスク、14、24、34…タイマ、15、25、35…コンピュータディスプレイ、16、26、36…通信インターフェース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融情報を発信する発信装置と、
金融情報を受信してその内容を表示する端末装置と、
前記発信装置と前記端末装置との間に介在して金融情報を中継する複数の中継装置と
を有するシステムによる金融情報流通方法であって、
前記発信装置が、金融情報を発信する工程と、
第1の中継装置が、前記発信装置から金融情報を受信すると、受信した金融情報に、自らがその金融情報を受信してから現在時刻までの間の特定の時刻を表わす時刻情報と自らを識別する中継装置識別子の対を内包させて、前記端末装置又は第2の中継装置へ送信する工程と、
前記第1の中継装置から金融情報を受信した端末装置又は第2の中継装置が、その金融情報に内包されている時刻情報と中継装置識別子の対の内容を基に、第1の中継装置を経由した際における情報の遅延の有無を判断する工程と
を有する金融情報流通方法。
【請求項2】
請求項1に記載の金融情報流通方法において、
前記金融情報を受信した端末装置又は第2の中継装置が、自らが受信した金融情報に中継装置識別子と対応付けて内包されている時刻情報が示す時刻と、現在時刻との間の時間長を計算することにより、前記第1の中継装置を経由した際における情報の遅延の有無を判断する
金融情報流通方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の金融情報流通方法において、
前記金融情報を受信した第2の中継装置が、受信した金融情報に、自らがその金融情報を受信してから現在時刻までの間の特定の時刻を表す時刻情報と自らを識別する中継装置識別子の対を内包させて、前記端末装置又は第3の中継装置へ送信する工程と、
前記第2の中継装置から金融情報を受信した端末装置又は第3の中継装置が、その金融情報に内包されている時刻情報と中継装置識別子の各対の内容を基に、第1の中継装置又は第2の中継装置を経由した際における情報の遅延の有無をそれぞれ判断する工程と
を更に有する金融情報流通方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の金融情報流通方法において、
前記金融情報を受信した第2の中継装置が、その金融情報に加工を施して新たな派生金融情報を生成すると共に、生成した新たな派生金融情報に、自らが金融情報を受信してから現在時刻までの間の特定の時刻を表わす時刻情報と自らを識別する中継装置識別子の対を内包させて、前記端末装置又は第3の中継装置へ送信する工程と、
前記第2の中継装置から新たな派生金融情報を受信した端末装置又は第3の中継装置が、その新たな派生金融情報に内包されている時刻情報と中継装置識別子の各対の内容を基に、第1の中継装置又は第2の中継装置を経由した際における情報の遅延の有無をそれぞれ判断する工程と
を更に有する金融情報流通方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融情報を発信する発信装置と、
金融情報を受信してその内容を表示する端末装置と、
前記発信装置と前記端末装置との間に介在して金融情報を中継する複数の中継装置と
を有するシステムによる金融情報流通方法であって、
前記発信装置が、金融情報を発信する工程と、
前記発信装置から金融情報を受信した第1の中継装置が、自らの内蔵するタイマが生成する現在時刻を取得し、取得した現在時刻を表す時刻情報と自らを識別する中継装置識別子の対を当該受信した金融情報に内包させて前記端末装置又は第2の中継装置へ送信する工程と、
前記第1の中継装置から金融情報を受信した端末装置又は第2の中継装置が、その金融情報に第1の中継装置の中継装置識別子と対応付けて内包されている時刻情報が示す時刻と自らの内蔵するタイマが生成する現在時刻との間の時間長を計算し、計算した時間長と自らに予め設定されていた許容時間長とを比較することにより、前記第1の中継装置を経由した際における情報の遅延の有無を判断する工程と
を有する金融情報流通方法。
【請求項2】
請求項1に記載の金融情報流通方法において、
前記金融情報を受信した第2の中継装置が、自らの内蔵するタイマが生成する現在時刻を取得し、取得した現在時刻を表す時刻情報と自らを識別する中継装置識別子の対を当該受信した金融情報に内包させて前記端末装置又は第3の中継装置へ送信する工程と、
前記第2の中継装置から金融情報を受信した端末装置又は第3の中継装置が、その金融情報に各中継装置の中継装置識別子と対応付けて内包されている時刻情報が示す時刻と自らの内蔵するタイマが生成する現在時刻との間の時間長をそれぞれ計算し、計算した各時間長と自らに予め設定されていた許容時間長とを比較することにより、前記第1の中継装置及び第2の中継装置を経由した際における情報の遅延の有無をそれぞれ判断する工程と
を更に有する金融情報流通方法。
【請求項3】
請求項1に記載の金融情報流通方法において、
前記金融情報を受信した第2の中継装置が、その金融情報に加工を施して新たな派生金融情報を生成すると共に、自らの内蔵するタイマが生成する現在時刻を取得し、取得した現在時刻を表す時刻情報と自らを識別する中継装置識別子の対を前記生成した新たな派生金融情報に内包させて前記端末装置又は第3の中継装置へ送信する工程と、
前記第2の中継装置から新たな派生金融情報を受信した端末装置又は第3の中継装置が、その新たな派生金融情報に各中継装置の中継装置識別子と対応付けて内包されている時刻情報が示す時刻と自らの内蔵するタイマが生成する現在時刻との間の時間長をそれぞれ計算し、計算した各時間長と自らに予め設定されていた許容時間長とを比較することにより、前記第1の中継装置及び第2の中継装置を経由した際における情報の遅延の有無をそれぞれ判断する工程と
を更に有する金融情報流通方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−31371(P2006−31371A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208804(P2004−208804)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(301007308)株式会社イースティル (3)
【Fターム(参考)】