説明

釣り用化学発光体

【課題】釣具に発光体を装着時発光液が漏れることのない構造とすること、および多種の竿の径に対応しうる改良された釣り用化学発光体を提供する。
釣具
【解決手段】容器本体の長さ方向に沿って下端縁側に竿を挟持する円弧状断面 の装着溝を設け、かつ容器本体には該装着溝をはさんで左右に空洞部が装着溝に沿って長さ方向に設けられ、前記各空洞部には混合することにより化学発光を呈する2種類の発光液の一方が入ったガラスアンプルを収容し、しかも前記アンプルの外側で空洞内に他方の発光液を充填した光透過性樹脂からなる釣り用化学発光体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状、パイプ状或いは針金が使われた釣具、例えば天秤、ルアー、釣り針の軸等に集魚灯として、あるいは夜釣りなどにおいて釣り竿の動きを察知するために竿先に装着するための釣り用化学発光体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化学発光体は、容器の中にガラスアンプルを封入し、発光液Xを前記ガラスアンプルに充填し、ガラスアンプルの外側で容器内に発光液Yを収容したものであり、容器内のガラスアンプルを割って上記2種類の発光液を混合することにより化学発光を呈するようにしたものであり、釣り具には夜釣り用うき、集魚灯、釣り用ラインの目印などが商品化されている。
【0003】
実開平6−13001号公報、および特開2003−250412号公報が先行技術として公知となっている。
両者とも竿に装着する化学発光体であって、前者は発光部が断面馬蹄形となっておりこの容器の外側にあって中心部に到達する深さの溝に竿を嵌合する構造となっている。後者では細長の容器本体に発光液が封入されこの容器の長さ方向に沿った下端縁側に竿先を挟込み可能な円弧状断面の装着溝が備えられた構造となっている。
【0004】
1、上記のような竿に装着する化学発光体は、装着溝の壁が化学発光容器の壁と共有している構造となっているため、つまりヒンジ部分C(支点)が化学発光容器の壁と共有している(図1の(a)、(b))。竿に装着時装着溝の壁がヒンジ部分に応力を加えつつ広がる。とくに寒冷地における使用時、発光容器の壁の部分が竿挿入時割れて液が漏れ出る事故が発生していた。外気温度の低下と保存時の樹脂自体の劣化および長期保存時に樹脂の壁内に発光液が浸透して強度が低下したなどによるものと考えられる。
【0005】
2、従来の竿に装着する化学発光体は上記の公報にあるように装着する溝が1個のみであり、竿先の直径が約φ1.4〜φ4まで多種類あるため化学発光体は溝の幅を変えた多くの種類を準備しなければならなかった。
【0006】
3、先行技術では発光室はいずれも1つであり、発光面積が限られていたので
釣り人が遠く離れた場合は見にくいこともあった。
【0007】
4、多くの竿が林立した釣り場では、他人の竿との区別が付きにくい問題も指摘されていた。
【0008】
【特許文献1】実開平6−13001号公報
【特許文献1】特開2003−250412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は釣り竿などの釣具に発光体を装着時発光液が漏れることのない構造とすること、および多種の竿の径に対応しうる改良された釣り用化学発光体を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は中央の装着溝に沿って少なくとも左右に発光部を設けることにより、装着時内部応力のかかるヒンジ部分を発光液の入った空洞部の壁と離れた中央付近の壁あるいは中央上部壁の位置としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、釣具などに装着時の液漏れを防止でき、複数の発光部は視認性を向上し、発光部を色違いとすることにより他人の竿との区別がつき、装着溝を複数設けることで竿等の径に幅広く対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0013】
図2〜図6を参照。図1は、本発明の釣り用化学発光体の正面図である。断面楕円状の容器本体1の下端縁側に長さ方向に沿って円弧状断面の装着溝2を設け、この装着溝2を中央にして左右に装着溝2に沿って空洞部3を設けた。二つの空洞部3を有する発光部5は装着溝2の上部で連結している。この連結部分がヒンジ部C(支点)となり竿などに装着する時、ヒンジ部Cを支点として2つの発光部が一時的に開く構造とした。なお容器1はポリエチレンやポリプロピレンの樹脂を使用した。
【0014】
空洞部3には混合することにより化学発光を呈する2種類の発光液の一方が入ったガラスアンプル4を収容し、しかも前記アンプルの外側で空洞内に他方の発光液を充填した。アンプル内の化学発光液を発光液Y、空洞内の化学発光液を発光液Xとして図面に示した。本発明の主体は液漏れしない構造にあるので、化学発光組成物の説明は省略する。なお図中6はストッパーである。
【0015】
容器本体1の一端を流線型にとがらして、釣り糸の絡みを防止し、あるいは水の抵抗を小さくする。
【実施例2】
【0016】
図7〜図9を参照
断面楕円状の容器本体1の下端縁側に長さ方向に沿って円弧状断面の第1装着溝2を設け、さらに該第1装着溝2の円弧と一部分が重なった第2装着溝7を設けて、第1装着溝2と第2装着溝7は細い釣具8が通過できる形態とした。また第1装着溝2の溝の幅は第2装着溝7の幅より広くした。従って直径の大きな装着物は第1装着溝2に装着する(図9)。なお第1装着溝2と第2第着溝7の重なり合った部分は左右に(向かい合わせに)2つのストッパー6が成形される(図7)。容器本体の両端を流線型(容器本体の断面積よりも先端に向かって断面積を小さくした)にしたとき前記ストッパー6が最先端に位置する構造とした。この構造により化学発光体は釣具8に密着する。
【実施例3】
【0017】
図10参照。
断面楕円状の容器本体1の上下端縁側に、長さ方向に沿って釣具を挟持する円弧状断面の装着溝2を上下に設け、かつ容器本体には前記装着溝2の左右に空洞部3を装着溝2に沿って長さ方向に設けた。本実施例では左右の発光部5の連結部分(ヒンジ部)は中央付近に設けた。上部の装着溝2の幅と下部の装着溝2の幅は異なるサイズとする。
【0018】
なお、現状の竿に装着する化学発光体は、竿先の直径により次のように便宜的に分けている。φ1.4〜1.7をSサイズ, φ1.8〜2.3をMサイズ, φ2.4〜2.9をLサイズ,φ3〜3.5をLLサイズ, φ3.6〜4.1を3Lサイズ。
本発明では、実施例2の形態で説明すると、第2装着溝7にSサイズの竿を装着し(図8)、第1装着溝2にはMとLサイズの竿を装着(図9)できるので(支点から離れた位置に装着溝があるので)径に対する適応範囲がひろがり、化学発光体の種類も減らせる利点がある。
【0019】
また、2つの発光部3が竿をはさんで装着されるため発光面積が広がり視認性が向上する。さらに独立した2つの発光部3はそれぞれの発光色を異なる色に設定できるので色のバリエーションが広がり他人との竿の区別化にも役立つ。最後に発光部3を一つのみ発光させ、次の釣行日に他方の発光部を発光させることができるなど時間をずらせる利便性もある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来の竿に装着する化学発光体の断面説明図である。
【図2】本発明の釣り用化学発光体の正面図である(実施例1)。
【図3】本発明の釣り用化学発光体の平面図である(実施例1)。
【図4】本発明の釣り用化学発光体の底面図である(実施例1)。
【図5】図2A-A線の断面説明図である(実施例1)。
【図6】本発明の釣り用化学発光体を竿先に装着した説明図である(実施例1)。
【図7】本発明の釣り用化学発光体の正面図である(実施例2)。
【図8】本発明の釣り用化学発光体を竿先に装着した説明図である(実施例2)
【図9】本発明の釣り用化学発光体を竿先に装着した説明図である(実施例2)。
【図10】本発明の釣り用化学発光体の断面説明図である(実施例3)。
【符号の説明】
【0021】
1 容器本体
2 装着溝
3 空洞部
4 ガラスアンプル
5 発光部
6 ストッパー
7 第2装着溝
8 釣具
C ヒンジ部
X 発光液
Y 発光液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の長さ方向に沿って下端縁側に竿を挟持する円弧状断面の装着溝を設け、かつ容器本体には該装着溝をはさんで左右に空洞部が装着溝に沿って長さ方向に設けられ、前記各空洞部には混合することにより化学発光を呈する2種類の発光液の一方が入ったガラスアンプルを収容し、しかも前記アンプルの外側で空洞内に他方の発光液を充填した光透過性樹脂からなる釣り用化学発光体。
【請求項2】
装着溝を複数設け、各装着溝の円弧状断面の接合部分がつながり開口して通過できる形状とした請求項1記載の釣り用化学発光体。
【請求項3】
各装着溝の円弧状断面の溝幅の距離を互いに異なるサイズとした請求項2記載の釣り用化学発光体。
【請求項4】
容器本体の長さ方向に沿って上下端縁側に竿を挟持する円弧状断面の装着溝を上下に設け、かつ容器本体には前記装着溝の左右に空洞部が装着溝に沿って長さ方向に設けられ、前記各空洞部には混合することにより化学発光を呈する2種類の発光液の一方が入ったガラスアンプルを収容し、しかも前記アンプルの外側で空洞内に他方の発光液を充填した光透過性樹脂からなる釣り用化学発光体。
【請求項5】
長さ方向に沿って設けた上部と下部の装着溝の円弧状断面の溝幅の距離を互いに異なるサイズとした請求項7記載の釣り用化学発光体。
【請求項6】
容器本体の両端あるいは一方の端を流線型にした請求項1,2,3,4,5記載の釣り用化学発光体。
【請求項7】
各空洞部内の発光液を互いに異なる発光色とした請求項1,2,3,4,5、6記載の釣り用化学発光体。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−118762(P2009−118762A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295014(P2007−295014)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000230630)株式会社ルミカ (26)
【Fターム(参考)】