釣り靴
【課題】 本発明は釣り靴に係り、地面や川底等の状態を感知し易くした釣り靴を提供することを目的とする。
【解決手段】 請求項１に係る釣り靴は、ゴム製のソールの上面に複数の柱状の突起を互いに間隙を空けて突設し、前記ソールの上面に、前記突起で支持して靴本体を取り付けたことを特徴とする。そして、請求項２に係る発明は、請求項１に記載の釣り靴に於て、複数の前記突起は、夫々、独立して撓むことを特徴とし、請求項３に係る発明は、請求項１または請求項２に記載の釣り靴に於て、複数の前記突起の上面は、平面状に形成されていることを特徴とする。更に、請求項４に係る発明は、請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載の釣り靴に於て、複数の前記突起は、ソールの踵側へと順次高く形成されていることを特徴とする。
【解決手段】 請求項１に係る釣り靴は、ゴム製のソールの上面に複数の柱状の突起を互いに間隙を空けて突設し、前記ソールの上面に、前記突起で支持して靴本体を取り付けたことを特徴とする。そして、請求項２に係る発明は、請求項１に記載の釣り靴に於て、複数の前記突起は、夫々、独立して撓むことを特徴とし、請求項３に係る発明は、請求項１または請求項２に記載の釣り靴に於て、複数の前記突起の上面は、平面状に形成されていることを特徴とする。更に、請求項４に係る発明は、請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載の釣り靴に於て、複数の前記突起は、ソールの踵側へと順次高く形成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は釣り靴に係り、詳しくは地面や川底等の状態を感知し易くした釣り靴に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来から釣りに於て水辺や水中を歩行する際に釣り靴が使用されているが、水辺や水中では石の上に泥や苔が付着して滑り易いため、多くの釣り靴は接地面側（ソール）にフェルトやスパイクが取り付けられて滑り止めが図られている。
【０００３】
そして、フェルトやスパイクを確実に支持するため、釣り靴のソールはゴム（合成ゴムを含む）等で硬く形成され、足を保護するため、靴本体が動かないように該靴本体がソールに確実に取り付けられている。
【０００４】
また、従来、この種の釣り靴には、特許文献１に開示されたソール部材と同様、格子状の補強リブをソールの上面に設けて、例えば川底の尖った岩を踏みつけた際に、下からの突き上げによる足の痛みを軽減させた構造も知られている。
【特許文献１】特開２０００−３５０６０１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし乍ら、斯様にソールを硬く形成しまうと、地面や川底等の形状に応じてソールが変形し難いため接地する範囲が狭く、また、ソールを通して接地する地面や川底等の状態が足裏に伝わらず、川底等の状態を感知し難いのが実情であった。
【０００６】
従って、特に川底の状態を視認し難い水中を歩行する際には、踏み場の選択や体重のかけ具合がコントロールし難くなっていた。
【０００７】
同様に、格子状の補強リブをソールの上面に設けて補強を図った従来構造にあっても、ソールが撓み難いために地面や川底等の状態が十分に伝わらず、地面や川底等の状態を感知し難い欠点が指摘されていた。
【０００８】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、地面や川底等の状態を感知し易くした釣り靴を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
斯かる目的を達成するため、請求項１に係る釣り靴は、ゴム製のソールの上面に複数の柱状の突起を互いに間隙を空けて突設し、前記ソールの上面に、前記突起で支持して靴本体を取り付けたことを特徴とする。
【００１０】
そして、請求項２に係る発明は、請求項１に記載の釣り靴に於て、複数の前記突起は、夫々、独立して撓むことを特徴とし、請求項３に係る発明は、請求項１または請求項２に記載の釣り靴に於て、複数の前記突起の上面は、平面状に形成されていることを特徴とする。
【００１１】
更に、請求項４に係る発明は、請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載の釣り靴に於て、複数の前記突起は、ソールの踵側へと順次高く形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１２】
請求項１に係る発明によれば、ソールは撓み易いため、接地する川底や地面の状態がソールを通して足に伝わり易く、ソールの上面に設けた複数の柱状の突起が、川底や地面の接地面に対応して靴本体の底部を押圧するため、釣人は接地する川底や地面の状態が足で感知し易くなり、踏み場の選択や体重の掛け加減が容易となる利点を有する。
【００１３】
そして、請求項２に係る発明によれば、ソールの上面に設けた複数の柱状の突起が、夫々独立して撓んで変形し乍ら靴本体の底部を押圧するため、釣人は更に接地面の状態が足で感知し易くなる利点を有する。
【００１４】
また、請求項３に係る発明の如く突起の上面を平面状に形成することで、各突起の上面の広い領域によって靴本体の底部を押圧することができる。
【００１５】
更に、請求項４に係る発明の如く突起を踵側へ順次高く形成することで、一般的な釣り靴と同様、踵側が高くなるため、釣人は装着時に違和感がない利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【００１７】
図１乃至図６は請求項１乃至請求項４の一実施形態に係る釣り靴を示し、本実施形態に係る釣り靴１は、靴本体３と、該靴本体３のつま先側から側周面に亘って取り付く補強シート（補強ゴム）５と、靴本体３の下部に取り付くゴム製のミッドソール７と、該ミッドソール７の底部（後述する下面２１）に取り付く天然繊維や合成樹脂繊維を加圧して板状に形成したフェルト底９とで構成されている。そして、ミッドソール７とフェルト底９が釣り靴１のソールＳを形成している。
【００１８】
尚、前記釣り靴１は右足用のもので、該釣り靴１と左右対称に形成された左足用の釣り靴（図示せず）とで本実施形態に係る釣り靴が構成されるが、説明を簡略化するため、本明細書では右足用の釣り靴１について説明する。
【００１９】
図１乃至図３に示すように靴本体３は、透水性の織布や、非透水性で伸縮自在なクロロプレーンゴムシート，ウレタンシート等のゴムや合成樹脂のシート材の両面に伸縮自在なナイロン繊維等の織布を添着して足袋状に形成したもので、常に足にぴったり密着した状態となるように形成されている。そして、その側部に形成した切欠きと切欠きを開閉するサイドファスナ１１が足の出入れ口１３から踝方向へ縫着され、底部３ａ側を除きそのつま先側から側周面に亘り薄肉な補強シート５が表面に貼着されて、靴本体３の補強が図られている。
【００２０】
一方、図１乃至図４に示すように前記ミッドソール７は、周縁に立ち上がり部（周壁）１５が延設されたカップソールタイプで、一例として天然ゴムやウレタンゴム等の合成ゴム等、可撓性，弾力性を有するゴム材料で形成されている。
【００２１】
そして、立ち上がり部１５で囲繞されたミッドソール７の上面１７に、平面視正方形状，平面視矩形状，平面視三角形状等からなる複数の独立した柱状の突起１９が上方へ突設されており、これらの突起１９は互いに間隙を有し、夫々が独立して撓むように釣り靴１の前後左右方向に並設されている。そして、各突起１９の上端の上面１９ａは平面状に形成されている。
【００２２】
更に、ミッドソール７のつま先側中央には、その上面１７から下面２１に連通する平面視円形形状の水抜き孔２３が設けられており、ミッドソール７の上面１７は、ミッドソール７の踵側から水抜き孔２３に向けて下りの傾斜面が形成されているが、その他、つま先側先端２５やミッドソール７のイン側，アウト側から前記水抜き孔２３に向けて下りの傾斜面が形成され、上面１７の水抜き孔２３の周囲が水抜き孔２３に向けて下りの傾斜面となっている。このため、ミッドソール７はつま先側に比し踵側が肉厚に形成されている。
【００２３】
そして、図２及び図３に示すように独立した柱状の前記突起１９は、ミッドソール７のつま先側先端２５から踵側へ順次高く形成されて、各突起１９の平坦な上面１９ａで靴本体３をミッドソール７の上面１７から離間させて支持しており、独立した突起１９相互の間隙が水抜き孔２３に向けての水路を形成している。尚、前記突起１９は、ミッドソールの原形全体に熱をかけ乍ら金型でプレスすることで形成されている。
【００２４】
而して、前記ミッドソール７と靴本体３の取付けは、ミッドソール７の立ち上がり部１５内に前記靴本体３を収納，配置した後、熱をかけてこれらを加硫することで、立ち上がり部１５の内周と該立ち上がり部１５で囲繞されたミッドソール７の各突起１９の上面１９ａに靴本体３が溶着され、靴本体３の側周面は、前記補強シート５を介して立ち上がり部１５に溶着される。そして、このミッドソール７と靴本体３との溶着の際に、靴本体３の底部３ａとミッドソール７の上面１７，ミッドソール７の立ち上がり部１５とで囲繞された空間内のエアが前記水抜き孔２３から排気される。このように水抜き孔２３は、ミッドソール７と靴本体３との溶着の際にエア抜きとして機能する。
【００２５】
そして、ミッドソール７の下面２１に、従来と同様、１．０〜２．０ｃｍ程の厚みのフェルト底９が取り付けられており、フェルト底９はミッドソール７の下面２１との間にゴム板を挟み、これを加硫することでミッドソール７の下面２１に溶着固定されている。尚、接着剤を用いてミッドソール７の下面２１にフェルト底９を接着してもよい。このように、前記水抜き孔２３は靴本体３の底部３ａとフェルト底９に挟まれている。
【００２６】
本実施形態に係る釣り靴１はこのように構成されているから、釣り靴１を履くには、前記サイドファスナ１１を操作して靴本体３の出入れ口１３を広げればよく、独立した柱状の前記突起１９は、ミッドソール７のつま先側先端２５から踵側へ順次高く形成されて、各突起１９の平坦な上面１９ａで靴本体３をミッドソール７の上面１７から離間させて支持しているため、一般的な釣り靴と同様、釣人は踵側が高くなって装着時に違和感がない。
【００２７】
そして、ミッドソール７は可撓性，弾力性を有する柔らかな天然ゴムや合成ゴムで形成されて撓み易く、ミッドソール７の上面１７に設けた突起１９は、夫々、互いに間隙を有する独立した構造でミッドソール７やフェルト底９の撓りを損なうものではないため、フェルト底９が十分に撓って苔岩や川床での滑りを防止する。
【００２８】
また、図５に示すように、例えば川底２７の尖った岩２９を釣り靴１の踵側で踏みつけた場合、フェルト底９を通して下から突き上げられる（図中、矢印Ａ方向への突き上げ）が、ソールＳ（ミッドソール７とフェルト底９）は撓み易く、而も、ミッドソール７の上面１７に設けた突起１９は夫々が独立して撓むように形成されているため、図６の如く川底２７の接地面に対応して踵側の突き上げ中心Ｐを中心に、突き上げ力に応じ所定の領域Ｑ内のソールＳが上方へ変形すると同時に、踵側の突起１９が突き上げ力に応じ川底２７の接地面に対応して前記中心Ｐを中心に放射状に撓んで変形し乍ら、靴本体３の踵側の底部３ａを上方へ押圧する。特に、本実施形態は突起１９の上面１９ａを平面状に形成しているため、各突起１９の上面１９ａの広い領域によって靴本体３の底部３ａを上方へ押圧することができる。
【００２９】
このため、釣人はソールＳ（ミッドソール７とフェルト底９）と靴本体３の底部３ａを通して踵側に川底２７からの突き上げを感知することができ、接地する川底２７の状態が感知できることとなる。
【００３０】
また、靴本体３の表面にはナイロン繊維等の織布が添着されているため、この織布に染み込んだ水が補強シート５と靴本体３の間から靴本体３の底部３ａの裏面側に染み出し、また、補強シート５とミッドソール７の立ち上がり部１５との間に僅かな隙間が空いていた場合には、この隙間からも水が靴本体３の底部３ａの裏面側へと浸入してしまうが、斯様に底部３ａの裏面側に浸入した水は、各突起１９に沿ってミッドソール７の上面１７に流下し、ミッドソール７の上面１７の独立した突起１９相互間の傾斜した傾斜面を伝わって流れて水抜き孔２３に達し、水抜き孔２３から排水される。そして、排水された水はフェルト底９に染み込んで地面側に流れるか、フェルト底９の繊維間で蒸発して後に乾いてしまう。
【００３１】
このように本実施形態は、ソールＳ（ミッドソール７とフェルト底９）が撓み易いため、接地する川底２７や地面の状態がソールＳを通して足に伝わり易く、また、ミッドソール７の上面１７に設けた複数の柱状の突起１９が、川底２７や地面の接地面に対応して撓んで変形し乍ら靴本体３の底部３ａを上方へ押圧するため、本実施形態に係る釣り靴１によれば、釣人は接地する川底２７や地面の状態が足で感知し易くなり、踏み場の選択や体重の掛け加減が容易となる利点を有する。
【００３２】
そして、既述したように本実施形態は、特に突起１９の上面１９ａを平面状に形成したため、各突起１９の上面１９ａの広い領域によって靴本体３の底部３ａを上方へ押圧することができる。
【００３３】
また、独立した柱状の前記突起１９は、ミッドソール７のつま先側先端２５から踵側へ順次高く形成されて、各突起１９の平坦な上面１９ａで靴本体３をミッドソール７の上面１７から離間させて支持しているため、一般的な釣り靴と同様、踵側が高くなって釣人は装着時に違和感がない。
【００３４】
更にまた、本実施形態によれば、ミッドソール７にフェルト底９と連通する水抜き孔２３を設けた結果、靴本体３とミッドソール７との間に浸入した水が靴本体３の底部３ａとミッドソール７との間に溜まることがなくなった。そして、特に、本実施形態は、複数の独立した柱状の突起１９で靴本体３をミッドソール７の上面１７から離間させて支持したので、靴本体３の底部３ａとミッドソール７間に水路となる間隙が形成され、而も、該間隙は水抜き孔２３に向かって下った傾斜面となっているため、水がこの傾斜面を伝わって水抜き孔２３の方へ流れ易いという利点を有している。
【００３５】
加えて、本実施形態によれば、ミッドソール７と靴本体３との溶着の際に、靴本体３の底部３ａとミッドソール７の上面１７，ミッドソール７の立ち上がり部１５とで囲繞された空間内のエアが前記水抜き孔２３から排気されるので、エア抜きを別途設ける必要がない利点を有する。
【００３６】
尚、前記実施形態は、ミッドソール７の下面２１にフェルト底９を取り付けた釣り靴１に本発明を適用したが、本発明はソールにスパイクを取り付けた釣り靴にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【００３７】
【図１】請求項１乃至請求項４の一実施形態に係る釣り靴の右足用釣り靴の側面図である。
【図２】釣り靴の断面図である。
【図３】釣り靴の断面図である。
【図４】ミッドソールの平面図である。
【図５】川底の尖った岩を踏みつけた際のミッドソールの変形状態を示す釣り靴の断面図である。
【図６】川底の尖った岩を踏みつけた際のミッドソールの変形状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【００３８】
１ 釣り靴
３ 靴本体
３ａ 靴本体の底部
５ 補強シート
７ ミッドソール
９ フェルト底
１５ 立ち上がり部
１７ ミッドソールの上面
１９ 突起
１９ａ 突起の上面
２１ ミッドソールの下面
２３ 水抜き孔
２７ 川底
２９ 川底の尖った岩
Ｐ 突き上げ中心
Ｑ 突き上げで変形する領域
【技術分野】
【０００１】
本発明は釣り靴に係り、詳しくは地面や川底等の状態を感知し易くした釣り靴に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来から釣りに於て水辺や水中を歩行する際に釣り靴が使用されているが、水辺や水中では石の上に泥や苔が付着して滑り易いため、多くの釣り靴は接地面側（ソール）にフェルトやスパイクが取り付けられて滑り止めが図られている。
【０００３】
そして、フェルトやスパイクを確実に支持するため、釣り靴のソールはゴム（合成ゴムを含む）等で硬く形成され、足を保護するため、靴本体が動かないように該靴本体がソールに確実に取り付けられている。
【０００４】
また、従来、この種の釣り靴には、特許文献１に開示されたソール部材と同様、格子状の補強リブをソールの上面に設けて、例えば川底の尖った岩を踏みつけた際に、下からの突き上げによる足の痛みを軽減させた構造も知られている。
【特許文献１】特開２０００−３５０６０１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし乍ら、斯様にソールを硬く形成しまうと、地面や川底等の形状に応じてソールが変形し難いため接地する範囲が狭く、また、ソールを通して接地する地面や川底等の状態が足裏に伝わらず、川底等の状態を感知し難いのが実情であった。
【０００６】
従って、特に川底の状態を視認し難い水中を歩行する際には、踏み場の選択や体重のかけ具合がコントロールし難くなっていた。
【０００７】
同様に、格子状の補強リブをソールの上面に設けて補強を図った従来構造にあっても、ソールが撓み難いために地面や川底等の状態が十分に伝わらず、地面や川底等の状態を感知し難い欠点が指摘されていた。
【０００８】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、地面や川底等の状態を感知し易くした釣り靴を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
斯かる目的を達成するため、請求項１に係る釣り靴は、ゴム製のソールの上面に複数の柱状の突起を互いに間隙を空けて突設し、前記ソールの上面に、前記突起で支持して靴本体を取り付けたことを特徴とする。
【００１０】
そして、請求項２に係る発明は、請求項１に記載の釣り靴に於て、複数の前記突起は、夫々、独立して撓むことを特徴とし、請求項３に係る発明は、請求項１または請求項２に記載の釣り靴に於て、複数の前記突起の上面は、平面状に形成されていることを特徴とする。
【００１１】
更に、請求項４に係る発明は、請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載の釣り靴に於て、複数の前記突起は、ソールの踵側へと順次高く形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１２】
請求項１に係る発明によれば、ソールは撓み易いため、接地する川底や地面の状態がソールを通して足に伝わり易く、ソールの上面に設けた複数の柱状の突起が、川底や地面の接地面に対応して靴本体の底部を押圧するため、釣人は接地する川底や地面の状態が足で感知し易くなり、踏み場の選択や体重の掛け加減が容易となる利点を有する。
【００１３】
そして、請求項２に係る発明によれば、ソールの上面に設けた複数の柱状の突起が、夫々独立して撓んで変形し乍ら靴本体の底部を押圧するため、釣人は更に接地面の状態が足で感知し易くなる利点を有する。
【００１４】
また、請求項３に係る発明の如く突起の上面を平面状に形成することで、各突起の上面の広い領域によって靴本体の底部を押圧することができる。
【００１５】
更に、請求項４に係る発明の如く突起を踵側へ順次高く形成することで、一般的な釣り靴と同様、踵側が高くなるため、釣人は装着時に違和感がない利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【００１７】
図１乃至図６は請求項１乃至請求項４の一実施形態に係る釣り靴を示し、本実施形態に係る釣り靴１は、靴本体３と、該靴本体３のつま先側から側周面に亘って取り付く補強シート（補強ゴム）５と、靴本体３の下部に取り付くゴム製のミッドソール７と、該ミッドソール７の底部（後述する下面２１）に取り付く天然繊維や合成樹脂繊維を加圧して板状に形成したフェルト底９とで構成されている。そして、ミッドソール７とフェルト底９が釣り靴１のソールＳを形成している。
【００１８】
尚、前記釣り靴１は右足用のもので、該釣り靴１と左右対称に形成された左足用の釣り靴（図示せず）とで本実施形態に係る釣り靴が構成されるが、説明を簡略化するため、本明細書では右足用の釣り靴１について説明する。
【００１９】
図１乃至図３に示すように靴本体３は、透水性の織布や、非透水性で伸縮自在なクロロプレーンゴムシート，ウレタンシート等のゴムや合成樹脂のシート材の両面に伸縮自在なナイロン繊維等の織布を添着して足袋状に形成したもので、常に足にぴったり密着した状態となるように形成されている。そして、その側部に形成した切欠きと切欠きを開閉するサイドファスナ１１が足の出入れ口１３から踝方向へ縫着され、底部３ａ側を除きそのつま先側から側周面に亘り薄肉な補強シート５が表面に貼着されて、靴本体３の補強が図られている。
【００２０】
一方、図１乃至図４に示すように前記ミッドソール７は、周縁に立ち上がり部（周壁）１５が延設されたカップソールタイプで、一例として天然ゴムやウレタンゴム等の合成ゴム等、可撓性，弾力性を有するゴム材料で形成されている。
【００２１】
そして、立ち上がり部１５で囲繞されたミッドソール７の上面１７に、平面視正方形状，平面視矩形状，平面視三角形状等からなる複数の独立した柱状の突起１９が上方へ突設されており、これらの突起１９は互いに間隙を有し、夫々が独立して撓むように釣り靴１の前後左右方向に並設されている。そして、各突起１９の上端の上面１９ａは平面状に形成されている。
【００２２】
更に、ミッドソール７のつま先側中央には、その上面１７から下面２１に連通する平面視円形形状の水抜き孔２３が設けられており、ミッドソール７の上面１７は、ミッドソール７の踵側から水抜き孔２３に向けて下りの傾斜面が形成されているが、その他、つま先側先端２５やミッドソール７のイン側，アウト側から前記水抜き孔２３に向けて下りの傾斜面が形成され、上面１７の水抜き孔２３の周囲が水抜き孔２３に向けて下りの傾斜面となっている。このため、ミッドソール７はつま先側に比し踵側が肉厚に形成されている。
【００２３】
そして、図２及び図３に示すように独立した柱状の前記突起１９は、ミッドソール７のつま先側先端２５から踵側へ順次高く形成されて、各突起１９の平坦な上面１９ａで靴本体３をミッドソール７の上面１７から離間させて支持しており、独立した突起１９相互の間隙が水抜き孔２３に向けての水路を形成している。尚、前記突起１９は、ミッドソールの原形全体に熱をかけ乍ら金型でプレスすることで形成されている。
【００２４】
而して、前記ミッドソール７と靴本体３の取付けは、ミッドソール７の立ち上がり部１５内に前記靴本体３を収納，配置した後、熱をかけてこれらを加硫することで、立ち上がり部１５の内周と該立ち上がり部１５で囲繞されたミッドソール７の各突起１９の上面１９ａに靴本体３が溶着され、靴本体３の側周面は、前記補強シート５を介して立ち上がり部１５に溶着される。そして、このミッドソール７と靴本体３との溶着の際に、靴本体３の底部３ａとミッドソール７の上面１７，ミッドソール７の立ち上がり部１５とで囲繞された空間内のエアが前記水抜き孔２３から排気される。このように水抜き孔２３は、ミッドソール７と靴本体３との溶着の際にエア抜きとして機能する。
【００２５】
そして、ミッドソール７の下面２１に、従来と同様、１．０〜２．０ｃｍ程の厚みのフェルト底９が取り付けられており、フェルト底９はミッドソール７の下面２１との間にゴム板を挟み、これを加硫することでミッドソール７の下面２１に溶着固定されている。尚、接着剤を用いてミッドソール７の下面２１にフェルト底９を接着してもよい。このように、前記水抜き孔２３は靴本体３の底部３ａとフェルト底９に挟まれている。
【００２６】
本実施形態に係る釣り靴１はこのように構成されているから、釣り靴１を履くには、前記サイドファスナ１１を操作して靴本体３の出入れ口１３を広げればよく、独立した柱状の前記突起１９は、ミッドソール７のつま先側先端２５から踵側へ順次高く形成されて、各突起１９の平坦な上面１９ａで靴本体３をミッドソール７の上面１７から離間させて支持しているため、一般的な釣り靴と同様、釣人は踵側が高くなって装着時に違和感がない。
【００２７】
そして、ミッドソール７は可撓性，弾力性を有する柔らかな天然ゴムや合成ゴムで形成されて撓み易く、ミッドソール７の上面１７に設けた突起１９は、夫々、互いに間隙を有する独立した構造でミッドソール７やフェルト底９の撓りを損なうものではないため、フェルト底９が十分に撓って苔岩や川床での滑りを防止する。
【００２８】
また、図５に示すように、例えば川底２７の尖った岩２９を釣り靴１の踵側で踏みつけた場合、フェルト底９を通して下から突き上げられる（図中、矢印Ａ方向への突き上げ）が、ソールＳ（ミッドソール７とフェルト底９）は撓み易く、而も、ミッドソール７の上面１７に設けた突起１９は夫々が独立して撓むように形成されているため、図６の如く川底２７の接地面に対応して踵側の突き上げ中心Ｐを中心に、突き上げ力に応じ所定の領域Ｑ内のソールＳが上方へ変形すると同時に、踵側の突起１９が突き上げ力に応じ川底２７の接地面に対応して前記中心Ｐを中心に放射状に撓んで変形し乍ら、靴本体３の踵側の底部３ａを上方へ押圧する。特に、本実施形態は突起１９の上面１９ａを平面状に形成しているため、各突起１９の上面１９ａの広い領域によって靴本体３の底部３ａを上方へ押圧することができる。
【００２９】
このため、釣人はソールＳ（ミッドソール７とフェルト底９）と靴本体３の底部３ａを通して踵側に川底２７からの突き上げを感知することができ、接地する川底２７の状態が感知できることとなる。
【００３０】
また、靴本体３の表面にはナイロン繊維等の織布が添着されているため、この織布に染み込んだ水が補強シート５と靴本体３の間から靴本体３の底部３ａの裏面側に染み出し、また、補強シート５とミッドソール７の立ち上がり部１５との間に僅かな隙間が空いていた場合には、この隙間からも水が靴本体３の底部３ａの裏面側へと浸入してしまうが、斯様に底部３ａの裏面側に浸入した水は、各突起１９に沿ってミッドソール７の上面１７に流下し、ミッドソール７の上面１７の独立した突起１９相互間の傾斜した傾斜面を伝わって流れて水抜き孔２３に達し、水抜き孔２３から排水される。そして、排水された水はフェルト底９に染み込んで地面側に流れるか、フェルト底９の繊維間で蒸発して後に乾いてしまう。
【００３１】
このように本実施形態は、ソールＳ（ミッドソール７とフェルト底９）が撓み易いため、接地する川底２７や地面の状態がソールＳを通して足に伝わり易く、また、ミッドソール７の上面１７に設けた複数の柱状の突起１９が、川底２７や地面の接地面に対応して撓んで変形し乍ら靴本体３の底部３ａを上方へ押圧するため、本実施形態に係る釣り靴１によれば、釣人は接地する川底２７や地面の状態が足で感知し易くなり、踏み場の選択や体重の掛け加減が容易となる利点を有する。
【００３２】
そして、既述したように本実施形態は、特に突起１９の上面１９ａを平面状に形成したため、各突起１９の上面１９ａの広い領域によって靴本体３の底部３ａを上方へ押圧することができる。
【００３３】
また、独立した柱状の前記突起１９は、ミッドソール７のつま先側先端２５から踵側へ順次高く形成されて、各突起１９の平坦な上面１９ａで靴本体３をミッドソール７の上面１７から離間させて支持しているため、一般的な釣り靴と同様、踵側が高くなって釣人は装着時に違和感がない。
【００３４】
更にまた、本実施形態によれば、ミッドソール７にフェルト底９と連通する水抜き孔２３を設けた結果、靴本体３とミッドソール７との間に浸入した水が靴本体３の底部３ａとミッドソール７との間に溜まることがなくなった。そして、特に、本実施形態は、複数の独立した柱状の突起１９で靴本体３をミッドソール７の上面１７から離間させて支持したので、靴本体３の底部３ａとミッドソール７間に水路となる間隙が形成され、而も、該間隙は水抜き孔２３に向かって下った傾斜面となっているため、水がこの傾斜面を伝わって水抜き孔２３の方へ流れ易いという利点を有している。
【００３５】
加えて、本実施形態によれば、ミッドソール７と靴本体３との溶着の際に、靴本体３の底部３ａとミッドソール７の上面１７，ミッドソール７の立ち上がり部１５とで囲繞された空間内のエアが前記水抜き孔２３から排気されるので、エア抜きを別途設ける必要がない利点を有する。
【００３６】
尚、前記実施形態は、ミッドソール７の下面２１にフェルト底９を取り付けた釣り靴１に本発明を適用したが、本発明はソールにスパイクを取り付けた釣り靴にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【００３７】
【図１】請求項１乃至請求項４の一実施形態に係る釣り靴の右足用釣り靴の側面図である。
【図２】釣り靴の断面図である。
【図３】釣り靴の断面図である。
【図４】ミッドソールの平面図である。
【図５】川底の尖った岩を踏みつけた際のミッドソールの変形状態を示す釣り靴の断面図である。
【図６】川底の尖った岩を踏みつけた際のミッドソールの変形状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【００３８】
１ 釣り靴
３ 靴本体
３ａ 靴本体の底部
５ 補強シート
７ ミッドソール
９ フェルト底
１５ 立ち上がり部
１７ ミッドソールの上面
１９ 突起
１９ａ 突起の上面
２１ ミッドソールの下面
２３ 水抜き孔
２７ 川底
２９ 川底の尖った岩
Ｐ 突き上げ中心
Ｑ 突き上げで変形する領域
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ゴム製のソールの上面に複数の柱状の突起を互いに間隙を空けて突設し、前記ソールの上面に、前記突起で支持して靴本体を取り付けたことを特徴とする釣り靴。
【請求項２】
複数の前記突起は、夫々、独立して撓むことを特徴とする請求項１に記載の釣り靴。
【請求項３】
複数の前記突起の上面は、平面状に形成されていることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の釣り靴。
【請求項４】
複数の前記突起は、ソールの踵側へと順次高く形成されていることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載の釣り靴。
【請求項１】
ゴム製のソールの上面に複数の柱状の突起を互いに間隙を空けて突設し、前記ソールの上面に、前記突起で支持して靴本体を取り付けたことを特徴とする釣り靴。
【請求項２】
複数の前記突起は、夫々、独立して撓むことを特徴とする請求項１に記載の釣り靴。
【請求項３】
複数の前記突起の上面は、平面状に形成されていることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の釣り靴。
【請求項４】
複数の前記突起は、ソールの踵側へと順次高く形成されていることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載の釣り靴。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００９−１９５５５０（Ｐ２００９−１９５５５０Ａ）
【公開日】平成２１年９月３日（２００９．９．３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−４１５４８（Ｐ２００８−４１５４８）
【出願日】平成２０年２月２２日（２００８．２．２２）
【出願人】（０００００２４９５）ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年９月３日（２００９．９．３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年２月２２日（２００８．２．２２）
【出願人】（０００００２４９５）ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Ｆターム（参考）】
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