説明

釣糸係止具

【課題】回転体が釣竿の長手方向を回転軸としているため、釣糸係止具に結ばれて垂れ下がった釣糸の縒れを解消したり、防止することができなかった。
【解決手段】釣竿係止具は、ステンレス、真鍮、アルミニウム等錆びにくい金属でできており、釣竿1の穂先側先端に装着された、本体部としての係止具本体2と、その係止具本体2の穂先側端部に突出して取付けられた、柱状部としての円筒管3と、その円筒管3に回転自在に嵌められて取付けられた、回転体部としての球体4と、その球体4に設けられ、釣糸を係止するための係止手段としての結着具5とを備えている。これにより、従来の釣糸係止具と比較して、さらに、釣糸が釣竿1に絡むのを防止し、また、釣糸の縒れを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿の先端に備えられ、釣糸を結着する釣糸係止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
うきや釣針,おもり等の付いた仕掛け(以下、単に釣糸と呼ぶ)を直接釣竿の先端に取付けて使用する釣竿には、釣糸を釣竿に係止するための釣糸係止具が備わっている。特開平07−274779号公報、特開平11−276025号公報に示されるのように、最近の釣糸係止具には、釣糸の結ばれた部分を回転させるための回転体が備えられている。これは、釣糸が釣竿に絡みついた状態を解消したり、絡みつくのを防止したりするためのものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特開平11−276025号公報の釣糸係止具では、回転体が釣竿の長手方向を回転軸としているため、釣糸係止具に結ばれて垂れ下がった釣糸の縒れを解消したり、防止することができない。また、特開平07−274779号公報の釣糸係止具では、釣糸係止具に結ばれた状態のとき、釣糸と釣竿とのなす角が小さいとき、例えば、釣針を握って餌を釣針に付けているときや、釣り人のすぐ近くに釣糸を垂らして魚を釣っているときには、釣糸の結ばれた部分よりも円筒部を突出させて備えているために、釣糸が円筒部に架かった後に下方に垂れ下がった状態となる。そのため、円筒管が回転体の回転を妨害し、釣糸の縒れを解消したり、釣糸が釣竿に絡みつくのを防止しにくくなる。
【0004】
そこで、さらに、釣糸が釣竿に絡みにくく、絡みついた状態を容易に解消し、釣糸の縒れを防止することのできる釣糸係止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の第1の発明は、釣糸を係止するために穂先竿の穂先側先端に配置され、釣糸を係止する釣糸係止具であって、穂先竿の穂先側先端に装着された本体部と、前記本体部の穂先側端部に突出して取付けられた柱状部と、その柱状部に回転自在に嵌められて取付けられた球体からなる、またはその球体の一部を加工した形状からなる回転体部と、その回転体部に設けられ、釣糸を係止するための係止手段とを少なくとも備えている。
【0006】
したがって、請求項1に記載の発明によれば、回転体部が球体からなる、またはその球体の一部を加工した形状からなっているため、回転体部の回転軸を一定としないで回転体部は自由に回転する。釣糸が縒れると、回転体部は縒れを解消するように回転する。また、釣糸が釣竿に絡みついたとき、係止手段に係止された釣糸を軽く引っ張る、または、釣糸の自重により下向きに力が加わると、回転体部がその力の加わった方向へ回転し、係止手段がその方向へ向きを変える。次に、釣竿の長手方向を軸として回転体部が回転し、釣糸の絡みつきを解消する。
【0007】
請求項2に記載の第2の発明は、第1の発明に加え、前記回転体部の一部は、穂先側先端方向に前記柱状部から突出させて備えられている。
【0008】
したがって、請求項2に記載の発明によれば、回転体部の一部が、穂先側先端方向に柱状部から突出して備えられているため、回転体部に設けられた係止手段の移動範囲が広がる。そのため、係止手段は、釣糸にかかる力の方向に可能な限り傾く。そのため、釣糸が縒れると、回転体部は縒れを解消するように、係止手段の方向を軸として回転しやすくなる。また、釣糸が釣竿に絡みついたとき、釣糸を張ると、係止手段が釣糸にかかる力の方向に可能な限り傾くため、回転体部が回転しやすくなり、釣糸の絡みつきをさらに解消しやすくする。
【0009】
請求項3に記載の第3の発明は、第1または第2の発明に加え、前記柱状部は、側壁端部に形成され、前記回転体部を前記柱状部に回転自在に嵌めて取付けるための複数の突片を備えている。
【0010】
したがって、請求項3に記載の発明によれば、回転体部は柱状部側壁全体だけでなく複数の突片によっても回転自在に取付けられている。各突片の間には、係止手段や結び付けられた釣糸の移動を阻害するものがない。そのため、回転体部に設けられた係止手段の移動範囲が広がる。そのため、釣糸が縒れると、係止手段が釣糸にかかる力の方向に可能な限り傾くため、回転体部はさらに回転しやすくなる。
【0011】
請求項4に記載の第4の発明は、第1、第2または第3の発明に加え、前記係止手段が、前記回転体部に一端を取付けられ、釣糸を結び付けるための結着部と、その結着部の他端に設けられ、前記結着部に結び付けられた釣糸の移動を制限する係止部とを少なくとも備える乙種係止手段からなっている。
【0012】
したがって、請求項4に記載の発明によれば、釣糸を乙種係止手段に係止する場合には、釣糸に投げ縄結びを作り、その輪に係止部を通過させてから結着部に位置させる。そして、釣糸を引っ張ると投げ縄結びの輪が締まり結着部に結び付けられ釣糸が係止される。このとき、釣糸の結び目が結着部をずれて移動しても係止部が結び目の移動を制限し、釣糸が乙種係止手段から外れるのを防ぐ。次に、釣糸を乙種係止手段から取外す場合には、投げ縄結びの輪を広げ、取付ける場合とは逆の手順で結着部から外す。
【0013】
請求項5に記載の第5の発明は、第1、第2または第3の発明に加え、前記係止手段が、前記回転体部を形成する球体の中心を貫通して形成された孔部と、前記柱状部の側面に形成された開口部と、前記孔部を貫通した釣糸を前記開口部に導く通路部とを少なくとも備える甲種係止手段からなっている。
【0014】
したがって、請求項5に記載の発明によれば、釣糸を甲種係止手段に取付ける場合には、孔部に釣糸を貫通させ、通路部を通し、開口部を通過させる。そして、通過した釣糸の先端に結び目を作って逆方向へ引くと、結び目が回転体部の孔部に引っ掛かって釣糸が係止される。釣糸を甲種係止手段から取外す場合には、釣糸を孔部へ押し込んで結び目を通路を通して開口部から出させる。そして、結び目を解く、または露出した釣糸を切断して釣糸を逆方向へ引っ張ると釣糸が外れる。
【0015】
請求項6に記載の第6の発明は、第5の発明に加え、前記回転体部が、前記甲種係止手段に加え、前記乙種係止手段をさらに備えている。
【0016】
したがって、請求項6に記載の発明によれば、甲種係止手段または乙種係止手段のどちらかを選択して釣糸を係止する。甲種係止手段、または、乙種係止手段には、前述したように釣糸を係止したり取外したりする。
【0017】
請求項7に記載の第7の発明は、第6の発明に加え、前記回転体部に螺孔が形成され、前記乙種係止手段が、前記結着部の一端に形成された雄螺子部を備え、その雄螺子部を前記螺孔に着脱自在に螺嵌して取付けられている。
【0018】
したがって、請求項7に記載の発明によれば、乙種係止手段を用いて釣糸を係止する場合には、結着部の一端に形成された雄螺子部を回転体部の螺孔に螺嵌して乙種係止手段を取付ける。そして、前述したように乙種係止手段に釣糸を取付ける。甲種係止手段を用いて釣糸を係止する場合には、回転体部から乙種係止手段を取外して、前述したように甲種係止手段に釣糸を係止する。
【0019】
請求項8に記載の第8の発明は、第4、第6または第7の発明に加え、前記乙種係止手段が、釣糸を貫通させて結び付けることのできる輪部、開口部、または孔部を有する結着部を少なくとも備えている。ここで、輪部、開口部、または孔部とは、釣糸を通過させて結着部に結び付けることのできる全ての形状のことである。
【0020】
したがって、請求項8に記載の発明によれば、釣糸を結び付けるときは、輪部、開口部、または孔部に釣糸を貫通させて結び付ける。また、釣糸を結び付けたスナップ金具を輪部、開口部、または孔部に引っ掛けることにより係止することもできる。
【0021】
請求項9に記載の第9の発明は、第4、第6、第7、または第8の発明に加え、前記乙種係止手段は、前記回転体部に回転自在に取付けられ、または回転する機能を備えている。
【0022】
したがって、請求項9に記載の発明によれば、回転体部の回転に加え、乙種係止手段も回転体部の回転を補うように回転する。そのため、回転体部のみでは釣糸の縒れや絡みつきを解消しにくい状態であっても、乙種係止手段が釣糸の縒れや絡みつきを解消するように回転する。
【0023】
請求項10に記載の第10の発明は、第1乃至第9の発明のいずれか1つに加え、前記柱状部は、前記本体部に回転自在に取付けられている。
【0024】
したがって、請求項10に記載の発明によれば、回転体部の回転に加え、柱状部も回転体部の回転を補うように回転する。そのため、回転体部のみでは釣糸の縒れや絡みつきを解消しにくい状態であっても、柱状部が釣糸の縒れや絡みつきを解消するように回転する。
【発明の効果】
【0025】
第1の発明によると、釣糸係止具に結び付けられた釣糸を張ることにより容易に釣糸の絡み、釣糸の縒れを解消することができる。また、釣竿の使用中でも、釣糸が釣竿に絡むのを防止しするとともに、釣糸の縒れを防止することができる。
【0026】
第2の発明によると、第1の発明の効果に加え、回転体部に設けられた係止手段の移動範囲が広がり、釣糸係止具に結び付けられた釣糸を張ると、さらに、容易に釣糸の絡み、釣糸の縒れを解消することができる。また、釣竿の使用中でも、釣糸が釣竿に絡むのを防止しするとともに、釣糸の縒れを防止することができる。
【0027】
第3の発明によると、第1または第2の発明の効果に加え、さらに回転体部に設けられた係止手段の移動範囲が広がり、釣糸係止具に結び付けられた釣糸を張ると、さらに、釣糸の縒れを解消することができる。また、釣竿の使用中でも、さらに、釣糸の縒れを防止することができる。
【0028】
第4または第5の発明によると、第1、第2または第3の発明の効果に加え、釣糸を容易に取付け、取外すことができる。
【0029】
第6または第7の発明によると、第5の発明の効果に加え、甲種係止手段と乙種係止手段とを状況に応じて、または、自分の好みにより使い分けることができる。
【0030】
第8の発明によると、第4、第6または第7の発明の効果に加え、釣糸係止具に頑丈に釣糸を結び付けることができる。スナップ金具を使用することにより、さらに容易に釣糸を取付け、取外すことができる。
【0031】
第9の発明によると、第4、第6または第8の発明の効果に加え、さらに、回転体部と独立して乙種係止手段も回転するため、さらに効果的に釣糸が釣竿に絡むのを防止し、釣糸の縒れを防止することができる。
【0032】
第10の発明によると、第1乃至第9の発明のいずれか1つの効果に加え、さらに、回転体部と独立して柱状部も回転するため、さらに効果的に釣糸が釣竿に絡むのを防止し、釣糸の縒れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1及び図2に従って説明する。
図1に示すように釣竿係止具は、ステンレス、真鍮、アルミニウム等錆びにくい金属でできており、釣竿1の穂先側先端に装着された、本体部としての係止具本体2と、その係止具本体2の穂先側端部に突出して取付けられた、柱状部としての円筒管3と、その円筒管3に回転自在に嵌められて取付けられた、回転体部としての球体4と、その球体4に設けられ、釣糸を係止するための係止手段としての結着具5とを備えている。
【0034】
係止具本体2は、円柱形状に形成されている。その一方には、3列の溝6が形成され、釣竿1の穂先側先端に装着されて取付けられている。係止具本体2の他方には係止具本体2の穂先側端部に突出するように円筒管3が嵌められて取付けられている。円筒管3の側壁には、開口部としての、円形の開口7が形成されている。円筒管3の穂先側端部は、丸められたり、ラッパ形状に形成されていてもよい。係止具本体2には、断面が円形であり、係止具本体2の一端から軸方向へ向かい開口7へ繋がる、通路部としての通路孔8が形成されている。通路孔8は釣糸が通りやすいように緩やかに曲がっている。開口7と、通路孔8の断面形状とは、同じ大きさの円形形状に形成されている。通路孔8、その経路の形状及び開口7は、釣糸が通り易い形状であればどのように形成されていてもよい。
【0035】
円筒管3の端部内壁周囲には、円筒管3から穂先側先端方向に一部を可能な限り突出させて、球体4を回転自在に嵌めこんで取付けることができるように、湾曲して形成された球体うけ溝9を備えている。その球体うけ溝9に球体4が回転自在に取付けられている。球体4には、その中心を貫通するように、孔部としての係止孔10が形成されている。係止孔10の直径は、取付けられる釣糸の直径より大きく釣糸の結び目の直径より小さい。また、球体4には、前記係止孔10と中心軸を同じくして螺刻された螺孔11が形成されている。螺孔11の位置は、特に係止孔10の位置と同じ位置に形成されていなくてもよい。
【0036】
結着具5は、U字状に曲折された棒状の結着部12と、その結着部12の一端に設けられ、雄螺子部としての、螺刻された螺子棒13と、その結着部12の他端に形成された球形の係止部14とからなっている。そして、球体4の螺孔11に螺子棒13が着脱可能に螺挿されて取付けられている。結着部12は、棒状に限らず、例えば、細い板状のもので形成されていてもよい。結着部12の形状も直線状に形成されたり、円を描くように曲げられて形成されたり、円を描いた後捩れるように形成されていてもよい。係止部14は、球形に限らず、結び付けられた釣糸の移動を制限することができる、つまり、結ばれた釣糸が結着部12から外れないようにする形状であれば、どのような形状に形成されてもよい。
【0037】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用及び効果について説明する。
釣糸を結着具5に取付ける場合には、釣糸に投げ縄結びを作り、その輪に係止部14を通過させてから曲折された結着部12に位置させる。そして、釣糸を引っ張ると投げ縄結びの輪が締まり結着部12に結び付けられる。このとき、釣糸の結び目が結着部12をずれて移動しても係止部14が結び目の移動を制限し、釣糸が結着具5から外れない。次に、釣糸を結着具5から取外す場合には、投げ縄結びの輪を広げ、取付ける場合とは逆の手順で結着具5から外す。
【0038】
図2に示すように釣糸を球体4の係止孔10に取付ける場合には、係止孔10に釣糸16を貫通させ、通路孔8を通して、開口7から出させる。このとき、釣糸が細く、結び目を作ったとき、係止孔10の直径よりも結び目が小さくなる場合には、結び目より小さい孔を有するもの、ここではビーズを釣糸16に通す。そして、釣糸16の先端に結び目15を作って逆方向へ引くと、結び目15またはビーズが係止孔10に引っ掛かって釣糸16が係止される。釣糸16を係止孔10から取外す場合には、釣糸16を係止孔10へ押し込む。そして、係止孔10に係止されていた結び目15を通路孔8に通過させ開口7から出させる。そして、出てきた結び目15を解く、または切断して釣糸を逆方向へ引っ張ると外れる。
【0039】
球体4は、回転軸を一定としないで球体4は自在に回転する。釣糸が縒れると、釣糸による縒れを解消しようとする力をうけて、釣糸の垂れ下がった方向を軸として球体4は回転する。そして、釣糸の縒れは解消される。また、釣糸が釣竿1に絡みついたとき、結着具5に係止された釣糸を引っ張ると、球体4がその方向へ回転し、結着具5が引っ張られた方向へ向きを変える。そして、さらに引っ張られると、その張力によって釣竿1の長手方向を軸として球体4が回転し、釣糸の絡みつきを解消する。また、従来の釣竿で行なわれているように、釣竿1を釣糸の絡みつきを解消する方向へ回すように煽ることにより、釣糸の縒れが解消する方向に球体4が回転し、容易に絡みつきを解消することができる。
【0040】
したがって、本実施形態の釣糸係止具を利用すれば、従来の釣糸係止具と比較して、さらに、釣糸が釣竿1に絡むのを防止し、また、釣糸の縒れを防止することができる。また、結着具5に取付けるか、または球体4の係止孔10に取付けるかどちらか好きな方を選択して使用することができる。結着具5や係止孔10を使用することにより釣糸を容易に取付け、取外すことができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、別の一実施形態について図3及び図4を用いて説明する。
図3に示すように釣竿係止具は、金属製であり、釣竿1の穂先側先端に装着された、本体部としての係止具本体2と、その係止具本体2の穂先側端部に突出して取付けられた、柱状部としての円筒管3と、その円筒管3に回転自在に嵌められて取付けられた、回転体部としての球体4と、その球体4に設けられ、釣糸を係止するための係止手段としての結着具5とを備えている。
【0042】
係止具本体2は、円柱形状をしており、一方には、釣竿1に嵌められて取付けられている。係止具本体2の他方には1列の係止溝20が形成されている。円筒管3の内壁には、リング状の突起21が形成されおり、この突起21が前記係止溝20に嵌められ、円筒管3が回転可能に係止具本体2に取付けられている。円筒管3の穂先側端部には、突片としての、内側に湾曲した3つの支持片22が形成されている。支持片22は3つに限定されず、複数であればいくつであってもよい。
【0043】
円筒管3の端部内壁周囲、及び前記3つの支持片22には、円筒管から穂先側先端方向に一部を可能な限り突出させて球体4を回転自在に嵌めこんで取付けることができるように、湾曲して形成された球体うけ溝9を備えている。その球体うけ溝9に、一部を切断された球体4が回転自在に取付けられている。球体4の切断面中心から球体4の中心を貫くように孔23が形成され、切断面の孔23の入口には、その孔23の部分より小さい径の孔を有する結着具止め24が備わっている。
【0044】
結着具5は、前記球体4の切断された部分から形成され、結着部12と、係止部14とを備えている。結着具5と球体4とは切断面が合わされて、結着具止め24の孔にリベット形状の止め具25を通され、結着具5の切断面中心に接着されている。そのため、結着具5は球体4に対して止め具25を軸として回転可能である。結着具5と球体4とは回転可能であればどのような取付け方で取付けられてもよい。したがって、一部を切断された球体4と、球体4に取付けられた結着具5とは、全体として球体形状になっており、結着具5が円筒管3に引っ掛かることなく球体4は回転自在である。
【0045】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用及び効果について説明する。
球体4は、回転軸を一定としないで回転する。また、一部を切断された球体4と、球体4に取付けられた結着具5とは、全体として球体形状になっているため、球体4の回転範囲が広がる。さらに、球体4は円筒管3の側壁のみでなく3つの支持片22によっても円筒管から穂先側先端方向に一部を可能な限り突出させて回転自在に取付けられている。また、各支持片22の間には、結着具5や結び付けられた釣糸の移動を阻害するものがない。そのため、球体4に設けられた結着具5の移動範囲がさらに広がる。
【0046】
釣糸が縒れると、釣糸による縒れを解消しようとする力をうけて、釣糸の垂れ下がった方向を軸として球体4は回転する。さらに、球体4を補って結着具5も回転する。そして、釣糸の縒れは解消される。また、釣糸が釣竿1に絡みついたとき、結着具5に係止された釣糸を引っ張ると、球体4が引っ張られた方向へ回転し、結着具5がその方向へ向きを変える。そして、さらに、その張力によって釣竿1の長手方向を軸として球体4または円筒管3が回転し、釣糸の絡みつきを解消する。また、従来の釣竿1で行なわれているように、釣竿1を釣糸の絡みつきを解消する方向へ回すように煽ることにより、釣糸の縒れが解消する方向に円筒管3が回転し、容易に絡みつきを解消することができる。
【0047】
したがって、本実施形態の釣糸係止具を利用すれば、球体4と独立して、結着具5と円筒管3とが回転するため、さらに効果的に釣糸が釣竿1に絡むのを防止し、釣糸の縒れを防止することができる。また、結着具5に結び付けられた釣糸を張ることにより、さらに、容易に釣糸の絡み、釣糸の縒れを解消することができる。釣竿の使用中でも、釣糸が釣竿1に絡むのを防止しするとともに、釣糸の縒れを防止することができる。
【0048】
本発明の釣糸係止具は、上述した2つの実施形態に限定されない。例えば、釣糸を貫通させて結び付けることのできる輪部、開口部、または孔部を有する結着部としての結着具を用いてもよい。例として、結着具としてU字状の金属棒の両端を球体に取付けたもの、結着具としてP字状に形成された金属棒の一端を球体に取付けたもの、球体に結着具として孔を有する金属板を取付けたもの、それら結着具を回転自在に球体に取付けたもの等である。また、球体は、円筒管の穂先側端部に形成された、内側に湾曲した複数の突片と、係止具本体とに回転自在にはさみ付けて取付けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1実施形態における一部断面を含む釣糸係止具を示す斜視図
【図2】第1実施形態における釣糸係止具を示す断面図
【図3】第2実施形態における釣糸係止具を示す断面図
【図4】第2実施形態における一部断面を含む釣糸係止具を示す斜視図
【符号の説明】
【0050】
2 係止具本体
3 円筒管
4 球体
5 係止具
7 開口
8 通路孔
10 係止孔
11 螺孔
12 結着部
13 螺子棒
14 係止部
20 係止溝
21 突起
22 支持片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣糸を係止するために穂先竿の穂先側先端に装着され、釣糸を係止する釣糸係止具であって、
穂先竿の穂先側先端に装着された本体部と、
前記本体部の穂先側端部に突出して取付けられたた柱状部と、
その柱状部に回転自在に嵌められて取付けられた球体からなる、またはその球体の一部を加工した形状からなる回転体部と、
その回転体部に設けられ、釣糸を係止するための係止手段と
を少なくとも備えていることを特徴とする釣糸係止具。
【請求項2】
前記回転体部の一部は、穂先側先端方向に前記柱状部から突出させて備えられていることを特徴とする請求項1に記載の釣糸係止具。
【請求項3】
前記柱状部は、その側壁端部に形成され、前記回転体部を回転自在に嵌めて取付けるための複数の突片を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の釣糸係止具。
【請求項4】
前記係止手段は、前記回転体部に一端を取付けられ、釣糸を結び付けるための結着部と、
その結着部の他端に設けられ、前記結着部に結び付けられた釣糸の移動を制限する係止部と
を少なくとも備える乙種係止手段からなることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の釣糸係止具。
【請求項5】
前記係止手段は、前記回転体部を形成する球体の中心を貫通して形成された孔部と、
前記柱状部の側壁に形成された開口部と、
前記孔部を貫通した釣糸を前記開口部に導く通路部と
を少なくとも備える甲種係止手段からなることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の釣糸係止具。
【請求項6】
前記回転体部は、前記甲種係止手段に加えて、前記乙種係止手段をさらに備えていることを特徴とする請求項5に記載の釣糸係止具。
【請求項7】
前記回転体部には、螺孔が形成され、
前記乙種係止手段は、前記結着部の一端に雄螺子部を備え、その雄螺子部を前記螺孔に着脱自在に螺嵌して取付けられていることを特徴とする請求項6記載の釣糸係止具。
【請求項8】
前記乙種係止手段は、釣糸を貫通させて結び付けることのできる輪部、開口部、または孔部を有する結着部を少なくとも備えることを特徴とする請求項4、請求項6または請求項7に記載の釣糸係止具。
【請求項9】
前記乙種係止手段は、前記回転体部に回転自在に取付けられ、または、回転する機能を備えることを特徴とする請求項4、請求項6、請求項7または請求項8に記載の釣糸係止具。
【請求項10】
前記柱状部は、前記本体部に回転自在に取付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載の釣糸係止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−262881(P2006−262881A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−120296(P2005−120296)
【出願日】平成17年3月21日(2005.3.21)
【出願人】(505093219)
【Fターム(参考)】