説明

鉄塔周辺の工事ユニット及び工事方法

【課題】従来の仮工事工法では対応が困難であった許容電流が大きい架空送電線路や2方向分岐型の架空送電線路に対しても、既設の架空送電線の弛度を大幅に調整する必要がなく、多種多様な仮工事の態様に対しても簡易な手法で複数の金属遮蔽付ケーブルを並列して配置することができる鉄塔周辺の工事ユニット及び工事方法を提供する。
【解決手段】工事ユニット10は、架空送電線2同士を電気的に接続する金属遮蔽付ケーブル21A、21Bを有するジャンパーユニット20と、連結ヨーク42A、42Bを上下方向から挟み込んで取り付けられる一対のヨーク挟み込み部材311A、311Bによりジャンパーユニット20を吊架する吊架ユニット30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空送電線路の鉄塔周辺の工事に際して用いられる鉄塔周辺の工事ユニット及び工事方法に関し、特に、架空送電線路の鉄塔周辺の工事に先立って鉄塔周辺に電気的に安全な作業領域を確保するための仮工事に用いられる鉄塔周辺の工事ユニット及び工事方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、架空送電線路の老朽化や市街地化の拡大による架空送電線と地上建造物との距離が接近する、いわゆる地上高不足などの理由から、架空送電線路を含む鉄塔周辺の工事、すなわち、補修工事(鉄塔建替・改造、電線張替、鉄塔の保守、塗装作業、腕金の改造・交換など)が増加している。
【0003】
従来、これらの補修工事を行う際は、補修工事に先立って鉄塔周辺に電気的に安全な領域、すなわち、作業安全スペースを確保しつつ停電期間を短縮するために、架空送電線路を仮鉄塔、仮鉄柱、仮腕金などに一時的に移設し、鉄塔から架空送電線路を離間させる仮工事が行われている。
【0004】
しかし、この仮工事には、仮鉄塔などの建設・撤去や用地交渉などに多くの費用と時間が掛るという問題がある。更に都市部においては仮鉄塔などを建設するスペースが無く、仮工事ひいては補修工事が実施困難な場所も存在する。
【0005】
そこで、本出願人は気中終端部を有する金属遮蔽付ケーブルを架空送電線路のジャンパー部として利用し、金属遮蔽付ケーブルと架空送電線との接続部を鉄塔から十分に離間させることにより、仮鉄塔、仮鉄柱、仮腕金を用いなくとも鉄塔周辺に作業安全スペースを確保することができる仮工事工法を考案し、実用化している(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0006】
本出願人が考案・実用化している仮工事工法を図6(a)、(b)に示す。なお、図6(b)では、片側の架空送電線路を実線で示し、もう一方の架空送電線路は架空送電線のみを一点鎖線で示している。
【0007】
この仮工事工法では、架空送電線101の鉄塔側端部に設けられた碍子103を、鉄塔100の腕金104に連結された鋼撚線などの支持線105によって、鉄塔100から10〜15m程度引き離し、鉄塔100を挟んで配置させた架空送電線101間を、両端にケーブルヘッド106を備え、絶縁被覆された金属遮蔽付ケーブル102を用いて電気的に接続することで鉄塔100周辺を無電圧化している。
【0008】
これにより、既設の架空送電線101が通電状態においても鉄塔100周辺に作業安全スペースを確保することができ、鉄塔建替などの補修工事が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−270454号公報
【特許文献2】特開2010−166640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような従来の仮工事工法は、上記したとおり、簡易な手法により、仮鉄塔などを用いなくても鉄塔付近に安全な無電圧領域を確保することができるという点において利点があるが、この仮工事工法も適用上の問題がないわけではない。
【0011】
つまり、従来より、幹線道路や学校などの大型施設周辺の架空送電線では、許容電流が大きく設定されているため、このような架空送電線に対しては、従来の仮工事工法のように1本の既設の架空送電線路に1本の金属遮蔽付ケーブル(直径400mmのCVケーブル)を適用したのでは許容電流に限界があり、対応できない場合がある。
【0012】
また、鉄塔を境に架空送電線の供給先が2方向に分かれる2本分岐型の架空送電線路もあり、このような2本分岐型の架空送電線路に対しては、従来の仮工事工法のように1本の既設の架空送電線路に1本の金属遮蔽付ケーブルを適用したのでは、2方向に電力を供給することができないという欠点がある。
【0013】
これらの技術課題に対しては、1本の既設の架空送電線に対して複数の金属遮蔽付ケーブルを適用することで対処することが考えられるが、施工作業時にケーブルヘッド同士が接触し破損しないように、これらを一定の距離以上に離間して設置することが必要になる。
【0014】
また、本工事の種別やその規模に応じて無電力化すべき領域の広さや位置が決定し、それにより使用する金属遮蔽付ケーブルの長さも決まる。通常は、図6に示すように、作業上の安全なスペースをより広く確保するため、金属遮蔽付ケーブルを設置するにあたり、鉄塔の架空送電線の長手方向の両側において、既設の架空送電線や碍子連を鉄塔から撤去し、仮工事用の支持線や碍子連を用意して使用する。
【0015】
一方で、仮工事の態様は色々にあり、鉄塔を中心とした一方側に広く、鉄塔の他方側にはそれに比べて狭く無電圧化すべき領域を形成する場合や、鉄塔を中心とした両側に比較的狭く無電圧化すべき領域を形成する場合がある。
【0016】
このような場合には、鉄塔に設置されている既設の架空送電線や碍子連などをそのまま仮工事においても使用するため、多種多様な工事に適用させるためには、既設構造に対しても複数の金属遮蔽付ケーブルを吊架させる技術が望まれている。
【0017】
この場合に、金属遮蔽付ケーブルを吊り下げるための新規な中間部材を緊線状態を保つ既設の架空送電線路の長手方向に組み込むことが考えられるが、これを実施すると既設の架空送電線の弛度のバランスが大幅に崩れてしまい、設置後に既設の架空送電線の弛度を調整しなければならない作業上の煩雑さがある。
【0018】
そこで本発明の目的は、従来の仮工事工法では対応が困難であった許容電流が大きい架空送電線路や2方向分岐型の架空送電線路に対しても、既設の架空送電線の弛度を大幅に調整する必要がなく、多種多様な仮工事の態様に対しても簡易な手法で複数の金属遮蔽付ケーブルを並列して配置することができる鉄塔周辺の工事ユニット及び工事方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記目的を達成するため、以下の鉄塔周辺の工事ユニット及び工事方法を提供する。
【0020】
[1]鉄塔を挟んで配置された複数の架空送電線のそれぞれの前記鉄塔の側の端部が、互いに並列に配置された複数の碍子連を介して前記鉄塔の側に緊線状態に支持され、前記複数の碍子連の両端部を一対の連結ヨークによりそれぞれ連結してなる架空送電線路の鉄塔周辺の工事に用いられる工事ユニットであって、前記架空送電線同士を電気的に接続する複数の金属遮蔽付ケーブルを有するジャンパーユニットと、前記一対の連結ヨークをそれぞれ上下方向から挟み込んで取り付けられる一対の挟み込み部材を有し、前記一対の挟み込み部材により前記ジャンパーユニットを吊架する吊架ユニットとを備えた鉄塔周辺の工事ユニット。
【0021】
[2]前記一対の挟み込み部材は、互いに平行に配置される第1の部分と、前記第1の部分に略直交する第2の部分とを備え、前記一対の挟み込み部材のうち下側の挟み込み部材の前記第2の部分は、前記ジャンパーユニットを吊架するための連結穴を有する前記[1]に記載の鉄塔周辺の工事ユニット。
【0022】
[3]前記一対の連結ヨークは、複数の貫通穴を有し、前記一対の挟み込み部材の前記第1の部分は、前記連結ヨークの前記複数の貫通穴に対応する位置にボルトを挿通するための複数の挿通穴を有し、前記吊架ユニットは、前記ボルトと螺合可能なネジが内面に形成され、前記連結ヨークの前記複数の貫通穴に挿入される複数のカラーを、さらに備えた前記[2]に記載の鉄塔周辺の工事ユニット。
【0023】
[4]前記複数の碍子連及び前記一対の連結ヨークは、既設のものとは異なる碍子連及び一対の連結ヨークを有し、前記複数の架空送電線を前記鉄塔の側に緊線状態に支持する支持ユニットを、さらに備えた前記[1]乃至[3]のいずれかに記載の鉄塔周辺の工事ユニット。
【0024】
[5]鉄塔を挟んで配置された複数の架空送電線のそれぞれの前記鉄塔の側の端部が、互いに並列に配置された複数の碍子連を介して前記鉄塔の側に緊線状態に支持され、前記複数の碍子連の両端部を一対の連結ヨークによりそれぞれ連結してなる架空送電線路の鉄塔周辺の工事方法であって、一対の挟み込み部材により前記一対の連結ヨークをそれぞれ上下方向から挟み込んで固定し、前記架空送電線同士を複数の金属遮蔽付ケーブルにより電気的に接続し、前記一対の挟み込み部材により前記金属遮蔽付ケーブルを有するジャンパーユニットを吊架する鉄塔周辺の工事方法。
【0025】
[6]前記一対の挟み込み部材は、互いに平行に配置される第1の部分と、前記第1の部分に略直交する第2の部分とを備え、前記一対の挟み込み部材のうち下側の挟み込み部材の前記第2の部分は、前記ジャンパーユニットを吊架するための連結穴を有し、前記ジャンパーユニットの吊架は、前記下側の挟み込み部材の前記連結穴を用いて行う前記[5]に記載の鉄塔周辺の工事方法。
【0026】
[7]前記一対の連結ヨークは、複数の貫通穴を有し、前記一対の挟み込み部材の前記第1の部分は、前記連結ヨークの前記複数の貫通穴に対応する位置にボルトを挿通するための複数の挿通穴を有し、前記一対の挟み込み部材の前記一対の連結ヨークへの取付けは、前記一対の挟み込み部材のうち一方の挟み込み部材の前記第1の部分の前記複数の挿通穴にそれぞれボルトを挿通し、複数の前記ボルトに内面にネジが形成された複数のカラーをそれぞれ螺合させ、前記複数のカラーを前記連結ヨークの前記複数の貫通穴に挿入し、前記一対の挟み込み部材のうち他方の挟み込み部材の前記第1の部分の前記複数の挿通穴に前記複数のボルトを挿通させ、前記複数のボルトに複数のナットを締結することで行う前記[6]に記載の鉄塔周辺の工事方法。
【0027】
[8]前記一対の挟み込み部材の前記第1の部分に形成された前記複数の挿通穴は、長手方向に沿って形成され、前記一対の挟み込み部材の前記一対の連結ヨークへの取付けは、前記一対の挟み込み部材の一方の挟み込み部材の前記第1の部分の前記複数の挿通穴に前記複数のボルトを挿通し、前記複数のボルトに前記複数のカラーを締結し、前記一対の挟み込み部材のうち他方の挟み込み部材の前記複数の挿通穴に前記複数のボルトを挿通させ、前記複数のボルトのうち最も端に位置する前記ボルトにナットを緩く締結し、前記複数のカラーを前記連結ヨークの前記複数の貫通穴に挿入し、前記一対の挟み込み部材のうち他方の挟み込み部材の他方の端を閉じて前記複数のボルトを前記他方の挟み込み部材の前記第1の部分の前記複数の挿通穴を挿通させ、前記複数のボルトに前記複数のナットを締結する前記[7]に記載の鉄塔周辺の工事方法。
【0028】
[9]前記一対の挟み込み部材の固定、前記金属遮蔽付ケーブルの電気的な接続、及び前記ジャンパーユニットの吊架は、既設の前記碍子連及び前記一対の連結ヨークを外さずに行う前記[5]乃至[8]のいずれかに記載の鉄塔周辺の工事方法。
【0029】
[10]前記一対の挟み込み部材の固定、前記金属遮蔽付ケーブルの電気的な接続、及び前記金属遮蔽付ケーブルの吊架は、既設の前記碍子連及び前記一対の連結ヨークとは異なる新たな前記碍子連及び前記一対の連結ヨークを用いて行う前記[5]乃至[8]のいずれかに記載の鉄塔周辺の工事方法。
【0030】
[11]前記ジャンパーユニットの吊架は、前記既設の架空送電線を前記鉄塔と連結するための支持ユニットと一体とした前記ジャンパーユニットを吊架する前記[5]乃至[10]のいずれかに記載の鉄塔周辺の工事方法。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、従来の仮工事工法では対応が困難であった許容電流が大きい架空送電線路や2方向分岐型の架空送電線路に対しても、既設の架空送電線の弛度を大幅に調整する必要がなく、多種多様な仮工事の態様に対しても簡易な手法で複数の金属遮蔽付ケーブルを並列して配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、仮工事を行う前の鉄塔周辺の架空送電線路の一例を示す正面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施に形態に係る鉄塔周辺の工事ユニットを用いて仮工事を行った後の鉄塔周辺の架空送電線路の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図3】図3は、一対のヨーク挟み込み部材の構造の一例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(b)のA−A断面図である。
【図4】図4は、図3に示す一対のヨーク挟み込み部材の他の取り付け例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施に形態に係る鉄塔周辺の工事ユニットを用いて仮工事を行った後の鉄塔周辺の架空送電線路の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図6】図6は、従来の仮工事工法を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0034】
[実施の形態の要約]
本実施の形態の鉄塔周辺の工事ユニットは、鉄塔を挟んで配置された複数の架空送電線のそれぞれの鉄塔の側の端部が、互いに並列に配置された複数の碍子連を介して鉄塔の側に緊線状態に支持され、複数の碍子連の両端部を一対の連結ヨークによりそれぞれ連結してなる架空送電線路の鉄塔周辺の工事に用いられる工事ユニットにおいて、架空送電線同士を電気的に接続する複数の金属遮蔽付ケーブルを有するジャンパーユニットと、一対の連結ヨークをそれぞれ上下方向から挟み込んで取り付けられる一対の挟み込み部材を有し、一対の挟み込み部材によりジャンパーユニットを吊架する吊架ユニットとを備える。
【0035】
架空送電線同士を複数の金属遮蔽付ケーブルで接続することで、1本の金属遮蔽付ケーブルで接続する場合よりも許容電流が大きくなる。
【0036】
図1は、仮工事を行う前の鉄塔周辺の架空送電線路の一例を示す正面図である。図1に示すように、鉄塔1を挟んで配置された複数の架空送電線2の鉄塔1側の端部にある圧縮引留クランプ3が、鉄塔側取付金具4A、互いに並列に配置された複数の碍子連5A、5B、及び電線側取付金具4Bを介して鉄塔1の腕金(アーム)1aに緊線状態に支持されている。鉄塔1両側の圧縮引留クランプ3、3のジャンパー用端子8a、8a間は、ジャンパー線8が接続されている。
【0037】
ここで「仮工事」とは、鉄塔1の保守塗装、碍子連金具の塗装、碍子の交換、腕金1aの改造、交換、その他鉄塔1の建替、改造、架空送電線の張替などの工事(以下、「本工事」という。)に先立って鉄塔1周辺に電気的に安全な作業領域を確保するための工事をいう。
【0038】
[第1の実施の形態]
図2は、本発明の第1の実施に形態に係る鉄塔周辺の工事ユニットを用いて仮工事を行った後の鉄塔周辺の架空送電線路の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。なお、図2には、鉄塔1を図示していないが、図2においては右側に鉄塔1が位置している。また、図2には、鉄塔1の一方の側の架空送電線路だけを図示しているが、鉄塔1の両側に鉄塔1の中心線に対して略対称的に架空送電線路が設けられている。
【0039】
図2に示す架空送電線路のうち、圧縮引留クランプ3、鉄塔側取付金具4A、一対の碍子連5A、5B、及び電線側取付金具4Bは、既設の部材であり、それ以外の部材が仮工事のなかで新に設置する部材である。
【0040】
鉄塔側取付金具4Aは、Uクレビス40、直角クレビス41、連結ヨーク42A、直角クレビスリンク43を備える。電線側取付金具4Bは、連結ヨーク42B、直角平行クレビス44、直角クレビス45を備える。
【0041】
連結ヨーク42A、42Bは、例えば略五角形状の耐張装置用2連ヨーク(JEC規格のY−HT、Y−HSC、Y−HS)等の汎用の連結ヨークを用いることができる。
【0042】
図2において碍子連5A、5Bは、鉄塔1周辺の工事の前から鉄塔1の腕金1aに連結された既設の碍子連である。また、図2において架空送電線2は、鉄塔1周辺の工事前から設置された既設の架空送電線である。
【0043】
鉄塔1側の連結ヨーク42Aは、その一方側がUクレビス40及び直角クレビス41を介して鉄塔1側に接続されており、他方側が両碍子連5A、5Bの一方端に直角クレビスリンク43を介して取り付けられている。
【0044】
架空送電線2側の連結ヨーク42Bは、その一方側が両碍子連5A、5Bの他方端に直角クレビス45を介して取り付けられ、他方側が直角平行クレビス44を介して架空送電線2の端部に設けられた圧縮引留クランプ3に接続されている。このような構成により、一方の鉄塔側取付金具4Aから既設の架空送電線2に至るまでの全ての部材が緊線状態で支持されていることになる。
【0045】
本実施の形態の工事ユニット10は、複数の碍子連5A、5Bの両端部を一対の連結ヨーク42A、42Bによりそれぞれ連結してなる架空送電線路の鉄塔1周辺の工事に用いられ、架空送電線2の鉄塔1の腕金1aにそれぞれ圧縮引留クランプ3、鉄塔側取付金具4A、4B、碍子連5A、5Bを介して接続された架空送電線2同士を電気的に接続する複数の金属遮蔽付ケーブル21A、21Bを有するジャンパーユニット20と、一対の連結ヨーク42A、42Bをそれぞれ上下方向から挟み込んで取り付けられる一対のヨーク挟み込み部材311A、311Bを有し、一対のヨーク挟み込み部材311A、311Bによりジャンパーユニット20を架空送電線路から吊架する吊架ユニット30とを備える。
【0046】
〔ジャンパーユニットの構成〕
ジャンパーユニット20は、金属遮蔽層(図示せず)を有する第1及び第1の金属遮蔽付ケーブル21A、21Bと、第1及び第2の金属遮蔽付ケーブル21A、21Bの両端にそれぞれ設けられた第1及び第2のケーブルヘッド22A、22Bと、第1及び第2のケーブルヘッド22A、22Bに一対の端子アダプター23を介して電気的に接続される第1及び第2のジャンパー線24A、24Bと、第1及び第2のジャンパー線24A、24Bを緊線状態にある架空送電線2に電気的に接続する第1及び第2のPGクランプ25A、25Bとを備える。
【0047】
第1及び第2の金属遮蔽付ケーブル21A、21Bは、例えばCVケーブルを用いることができる。CVケーブルとしては、汎用のCVケーブルを用いることができ、例えば、中心導体(可撓撚り線導体、外径26.0mm)と、中心導体の周囲を覆う絶縁体(内部半導体層と外部半導体層とから構成され、厚さ13.0mmを有する。)と、編組構造遮蔽層(軟銅線編組シースから構成され、厚さ4.0mmを有する。)とを備え、編組構造遮蔽層の外周に押さえテープを巻き付けたケーブル(全ケーブルの外周、66mm)を用いることが好ましい。
【0048】
(ジャンパー線)
第1のジャンパー線24Aは、第2のジャンパー線24Bよりも長く設定されている。第1のジャンパー線24Aの一端は第1のPGクランプ25Aにより架空送電線2に電気的に接続され、他端は端子アダプター23を介して第1のケーブルヘッド22Aに電気的に接続される。第2のジャンパー線24Bの一端は第2のPGクランプ25Bにより第1のジャンパー線24Aに電気的に接続され、他端は端子アダプター23を介して第2のケーブルヘッド22Bに電気的に接続される。
【0049】
第1のPGクランプ25Aは、架空送電線2及び第1のジャンパー線24Aの外周を把持することで架空送電線2と第1のジャンパー線24Aとを電気的に接続できる構成になっている。第2のPGクランプ25Bは、第1及び第2のジャンパー線24A、24Bの外周を把持することで第1及び第2のジャンパー線24A、24B同士を電気的に接続できる構成になっている。
【0050】
第1及び第2のジャンパー線24A、24Bと端子アダプター23とは、ジャンパー線24A、24Bのケーブルヘッド22A、22B側の端部に取り付けられた圧縮端子24aと端子アダプター23の他方の端部に設けられた板状端子23bとを4箇所ねじ止めすることによって固定される。
【0051】
ジャンパー線24A、24Bとしては、特に限定するものではなく、裸線、絶縁被覆線、又は遮蔽層付きケーブルのいずれであってもよい。
【0052】
(ケーブルヘッド)
第1及び第2のケーブルヘッド22A、22Bと端子アダプター23とは、ケーブルヘッド22A、22Bの中心導体に接続されて外部に露出している板状端子22aと端子アダプター23の一方の端部に設けられた板状端子23aとを4箇所ねじ止めすることによって固定される。
【0053】
ケーブルヘッド22A、22Bには、一般的な電力設備に使用されている77kV用気中磁器碍子ケーブルヘッド(例えば、重量約200kg)や、軽量で取り扱い性の良好な77kV移動用モールドケーブルヘッドなどを用いることができる。また、ケーブルヘッド22A、22Bの周辺に設置されたアース線26は、鉄塔1側に設置された図示しない接続板に接続される。また、一対の連結ヨーク42A、42B間に、それぞれアークホーン5a、5bを設置してもよい。
【0054】
(吊架ユニット)
吊架ユニット30は、鉄塔側吊架金具31と、電線側吊架金具32とを備える。
【0055】
鉄塔側吊架金具31は、一対のヨーク挟み込み部材311A、311B、接続プレート312、ケーブル吊架金具313、CH取付金具314を備える。一対のヨーク挟み込み部材311A、311Bにより鉄塔1側の連結ヨーク42Aを挟み込み、下部に位置するヨーク挟み込み部材311Bに接続プレート312を介してケーブル吊架金具313を取り付け、ケーブル吊架金具313にCH取付金具314によりケーブルヘッド22A、22Bを吊架する。このような構成により、ケーブルヘッド22A、22Bの一方の側は、鉄塔1側の連結ヨーク42Aに吊架される。
【0056】
電線側吊架金具32は、一対のヨーク挟み込み部材311A、311B、ターンバックル取付金具322、ターンバックル323、端子アダプター吊金具324を備える。一対のヨーク挟み込み部材311A、311Bにより架空送電線2側の連結ヨーク42Bを挟み込み、下部に位置するヨーク挟み込み部材311Bにターンバックル取付金具322を介してターンバックル323を取り付け、ターンバックル323に端子アダプター吊金具324により端子アダプター23を吊架する。端子アダプター23の外周は、端子アダプター吊金具324により把持されている。このような構成により、ケーブルヘッド22A、22Bの他方の側は、架空送電線2側の連結ヨーク42Bに吊架される。
【0057】
上述した吊架ユニット30の吊架構造により既設の両碍子連5A、5Bの下方にこれとほぼ平行に両ケーブルヘッド22A、22Bが吊り下げられる。
【0058】
〔一対のヨーク挟み込み部材の構造〕
図3は、一対のヨーク挟み込み部材の構造の一例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(b)のA−A断面図である。なお、図3(a)は、連結ヨークの図示を省略している。図3(b)は、連結ヨーク42A、42Bのみを断面で示す。架空送電線2側の一対のヨーク挟み込み部材311A、311Bと、鉄塔1側の一対のヨーク挟み込み部材311A、311Bの構造は、同一となっている。
【0059】
(一対のヨーク挟み込み部材)
一対のヨーク挟み込み部材311A、311Bは、互いに平行に配置される第1の部分311aと、第1の部分311aに略直交する第2の部分311bとを備えたJIS規格(JISG3192)の等辺山形鋼(アングル材)から形成されている。一対のヨーク挟み込み部材311A、311Bの第1の部分311aは、鉄塔1側の連結ヨーク42A又は架空送電線2側の連結ヨーク42Bの複数の貫通穴420に対応する位置、及びその両側の位置にボルト310aを挿通させるための複数(例えば4つ)の挿通穴311cを有している。図3において下側に位置するヨーク挟み込み部材311Bは、第2の部分311bに接続プレート312又はターンバックル取付金具322と連結してジャンパーユニット20を吊架するための複数の連結穴311dが形成されている。なお、ヨーク挟み込み部材は、不等辺形鋼や溝形鋼(チャンネル材)を用いてもよく、アングル材やチャンネル材に限定されない。
【0060】
(一対のヨーク挟み込み部材の取り付け例)
このように構成された一対のヨーク挟み込み部材311A、311Bは、例えば、次のように連結ヨーク42A、42Bに取り付けられる。まず、下側のヨーク挟み込み部材311Bの第1の部分311aの挿通穴311cに4本のボルト310aを挿通させ、ボルト310aと螺合可能なネジが内面に形成された4つのカラー310cをボルト310aのネジに締め付ける。次に、4つのカラー310cのうち内側の2つのカラー310cを連結ヨーク42A、42Bに形成されている貫通穴420に挿入させる。次に、上側のヨーク挟み込み部材311Aの第1の部分311aに形成されている挿通穴311cにボルト310aを挿通させ、ボルト310aにナット310bを締め付ける。このようにして一対のヨーク挟み込み部材311A、311Bは、離間部材であるカラー310cを介して平行に対向した状態でボルト310a及びナット310bの締結部材(固定部材)によって固定される。
【0061】
既設の連結ヨーク42A、42Bとして、既に貫通穴420が形成されているものがあり、図3のように上記の連結ヨーク42A、42Bのボルト挿通用の穴として、既設の貫通穴を用いることで、より簡易な手法によりヨーク挟み込み部材311A、311Bを連結ヨーク42A、42Bに取り付けることができる。
【0062】
(一対のヨーク挟み込み部材の他の取り付け例)
図4は、図3に示す一対のヨーク挟み込み部材の他の取り付け例を示す図である。カラー310cをボルト310aに対して締め付けるところまでは上記したとおりであり、この態様では、最も端(図4では紙面に向かって最も右側の端)に位置するボルト310aだけが他のボルト310aよりも長く、上側のヨーク挟み込み部材311Aを介して上側からナット310bで締め付けている。地上側でヨーク挟み込み部材311A、311Bを予めこの状態にしておき、この状態のまま連結ヨーク42A、42Bへの設置を行う。この取り付け例によれば、向かって一番右側にあるボルト310aだけを上側からナット310bで絞めて付けているため、この部分を支点として、上側のヨーク挟み込み部材311Aの他方の端を周方向に下側のヨーク挟み込み部材311Bから離反させることができる開放端にする。
【0063】
そして、この開放端である他方端側から既設の連結ヨーク42A、42Bの幅方向に向けて挿入し、挿入した後に開放端を閉じて残りの3箇所をボルト締めすることによって、ヨーク挟み込み部材311A、311Bを既設の連結ヨーク42A、42Bに簡易に固定することができる。予めカラー310cをボルト310aに対して螺合することによりヨーク挟み込み部材311A、311Bの他方端が開放端であったとしても、ナット310bで締め付けていないボルト310aが仮工事の高所作業時に脱落してしまうことを確実に防止することができる。
【0064】
ヨーク挟み込み部材311A、311Bの長さは特に限定はないが、連結ヨーク42A、42Bの幅よりも略等しいかそれよりも長い構造であることが望ましい。複数の連結穴311dの間隔はケーブルヘッド22A、22Bの間隔に応じて適宜設定することができる。
【0065】
なお、上記実施の形態では、ヨーク挟み込み部材311A、311Bの挟み込みに必要な4本のボルト310aのうち2本のボルト310aを連結ヨーク42A、42Bの貫通穴420に挿通させたが、ヨーク挟み込み部材311A、311Bの挟み込みに必要なボルト310aのすべてを連結ヨーク42A、42Bの貫通穴420に挿通させてもよい。また、カラー310cを予めヨーク挟み込み部材311A(又はヨーク挟み込み部材311B)の第1の部分311aに溶接により固定しておいてもよい。
【0066】
(第1の実施の形態の仮工事の作業)
次に、第1の実施の形態の仮工事の作業の一例について説明する。
【0067】
(1)ヨーク挟み部材の取付け
まず、既設の一方の連結ヨーク42A及び他方の連結ヨーク42Bに一対のヨーク挟み部材311A、311Bで挟み込んで取り付ける。
【0068】
(2)ジャンパーユニットの吊架
ジャンパーユニット20をクレーンにより持ち上げて、吊架ユニット30の鉄塔側吊架金具31の接続プレート312と電線側吊架金具32のターンバックル取付金具322を連結ヨーク42A、42Bに夫々に設置された下側のヨーク挟み部材311Bに接続する。
【0069】
(3)既設の架空送電線とジャンパーユニットとの接続
ジャンパーユニット20と既設の架空送電線2とをジャンパー線24A、24Bを介して接続する。このような作業は、架空送電線路の夫々の適用適所において行う。
【0070】
以上のようにして仮工事が終わると、鉄塔1周辺には電気的に安全な作業領域が確保されるので、鉄塔1の保持塗装作業、碍子連5A、5Bの塗装、碍子の交換、腕金1aの改造、交換などの実体的な作業(本工事)を開始する。この本工事作業が終わると、仮工事において取り付けた部材を取り外すことによって元の状態に戻す。
【0071】
(第1の実施の形態の効果)
以上説明した第1の実施の形態に係る鉄塔周辺の工事方法によれば、以下の効果を奏する。
【0072】
(ア)従来の仮工事方法では対応が困難であった許容電流が大きい架空送電線路や2方向分岐型の架空送電線路に対しても、既設の架空送電線の弛度を大幅に調整する必要がなく、多種多様な仮工事の態様に対しても簡易な方法で複数の金属遮蔽付ケーブルを並置することができる。
【0073】
(イ)また、本実施の形態によれば、一対の碍子連5A、5Bの両端を連結する互いに対向した一対の連結ヨーク42A、42Bの夫々をその上下方向から挟み込む構成の一対のヨーク挟み込み部材311A、311Bによってジャンパーユニット20を吊架する構成を採用したので、従来の仮工事方法では対応が困難であった許容電流が大きい架空送電線路や2方向分岐型の架空送電線路に対しても、簡易な手法で複数の金属遮蔽付ケーブル21A、21Bを所定の距離離間させて設置させることができる。
【0074】
(ウ)また、本実施の形態によれば、鉄塔1の周辺における既設の碍子連5A、5Bや架空送電線2を撤去せずにそのまま使用する仮工事の態様において、ジャンパーユニット20を吊り下げるための新規な中間部材を緊線状態を保つ既設の架空送電線路の長手方向に組み込む必要がなく、作業者のジャンパーユニット20の取付作業の煩雑さを軽減することができる。
【0075】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施に形態に係る工事ユニットを用いて仮工事を行った後の鉄塔周辺の架空送電線路の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。なお、図5には、鉄塔を図示していないが、図5においては右側に鉄塔が位置している。また、図5には、鉄塔(省略)の一方の側の架空送電線路だけを図示しているが、鉄塔の両側に鉄塔の中心線に対して略対称的に架空送電線路が設けられている。
【0076】
第1の実施の形態では、既設の架空送電線2及び碍子連5A、5B等が鉄塔に接続されまま、仮工事を行ったが、本実施の形態の工事ユニット10は、架空送電線2と鉄塔1を接続する碍子連5A、5B等を外して行う点が第1の実施の形態と異なる。
【0077】
本実施の形態の工事ユニット10は、架空送電線2と鉄塔1側の間に接続され、架空送電線2を緊線状態で支持する一対の支持ユニット60と、鉄塔1を挟んで配置され、支持ユニット60によりそれぞれ緊線状態に支持された架空送電線2同士を電気的に接続する第1の実施の形態と同様のジャンパーユニット20と、ジャンパーユニット20を架空送電線路から吊架する第1の実施の形態と同様の吊架ユニット30とを備える。ジャンパーユニット20及び吊架ユニット30は、第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0078】
(支持ユニット)
支持ユニット60は、鉄塔1の腕金1aに連結金具61を介して連結される耐張クランプ62と、耐張クランプ62に接続された亜鉛メッキ鋼撚り線(支持線)63と、亜鉛メッキ鋼撚り線(支持線)63の端部に取り付けられた圧縮引留クランプ63aと、圧縮引留クランプ63aに取り付けられた鉄塔側取付金具642と、鉄塔側取付金具642に一方端が接続される一対の碍子連65A、65Bと、一対の碍子連65A、65Bの他方端に接続される電線側取付金具64Bとを備える。
【0079】
連結金具61は、2つのUクレビス61a、弛度調整金具61b、1枚リンク61cを備える。
【0080】
鉄塔側取付金具64Aは、直角クレビス641、連結ヨーク642A、直角クレビスリンク643を備える。電線側取付金具64Bは、連結ヨーク642B、Y字金具644、直角クレビス645を備える。Y字金具644は、既設の架空送電線2の鉄塔側端部の圧縮引留クランプ3に連結される。連結ヨーク642A、642Bは、第1の実施の形態の連結ヨーク42A、42Bと同様に構成されている。
【0081】
吊架ユニット30の鉄塔側吊架金具31は、鉄塔側取付金具64Aの連結ヨーク642Aに第1の実施の形態と同様に接続され、電線側吊架金具32は、電線側取付金具64Bの連結ヨーク642Bに第1の実施の形態と同様に接続される。
【0082】
(第2の実施の形態の仮工事の作業)
次に、仮工事の作業の一例について説明する。
【0083】
(1)地上における準備
地上において、図5に示すように、支持ユニット60とジャンパーユニット20とを吊架ユニット30によって接続したものを一対用意しておく。このとき、新たな碍子連65A、65B及び連結ヨーク642A、642Bを用い、連結ヨーク642A、642Bを第1の実施の形態と同様にヨーク挟み込み部材311A、311Bによって挟み込む。
【0084】
(2)支持ユニット、ジャンパーユニット及び吊架ユニットの接続
支持ユニット60、ジャンパーユニット20及び吊架ユニット30をクレーンにより持ち上げる。そして既設の架空送電線2を所定の長さに切断して、既設の碍子連5A、5B及び連結ヨーク42A、42Bを撤去し、架空送電線2の切断後の端末に圧縮引留クランプ3を取り付ける。そして、圧縮引留クランプ3に支持ユニット60の電線側取付金具64Bを取り付け、支持ユニット60の連結金具61のUクレビス61aを鉄塔1に接続する。
【0085】
(3)既設の架空送電線とジャンパーユニットとの接続
ジャンパーユニット20と既設の架空送電線2とをジャンパー線24A、24Bを介して電気的に接続する。このような作業は、架空送電線路の夫々の適用適所において行う。
【0086】
(4)弛度の調整
最後に必要に応じて支持ユニット60の弛度調整金具61bを用いてジャンパーユニット20を所定の弛度とするべく微調整する。
【0087】
この仮工事の作業が終わると、鉄塔1周辺には電気的に安全な作業領域が確保されるので、鉄塔1の保持塗装作業、碍子連5A、5Bの塗装、碍子の交換、腕金の改造、交換などの実体的な作業(本工事)を開始する。
【0088】
この本工事作業が終わると、仮工事において取り付けた部材を取り外すことによって元の状態に戻す。支持ユニット60を使用して切断した既設の架空送電線2については別の架空送電線2を適用する作業を行う。
【0089】
(第2の実施の形態の効果)
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するとともに、ジャンパーユニット20と支持ユニット60と一体とした状態でジャンパーユニット20を吊架するので、ヨーク挟み込み部材311A、311Bの連結ヨーク642A、642Bの取付け作業を地上において行うことができる。また、第2の実施の形態の工事ユニット10は、第2の実施の形態の仮工事だけでなく、第1の実施の形態の仮工事にも使用することができるので、部品を共用化することができる。
【0090】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、その要旨を変更しない範囲内で種々に変形実施が可能である。例えば、上記各実施の形態では、架空送電線2間を2本の金属遮蔽付ケーブル21A、21Bで電気的に接続したが、3本以上の金属遮蔽付ケーブルで電気的に接続してもよい。
【0091】
また、本発明の要旨を変更しない範囲内で上記各実施の形態の構成要素のうち一部を除くことも可能である。
【0092】
また、上記各実施の形態の構成要素を、本発明の要旨を変更しない範囲内で任意に組み合わせることは可能である。
【0093】
また、上記実施の形態で説明した製造方法は、本発明の要旨を変更しない範囲内で工程の削除、追加、変更を行ってもよい。例えば、上記各実施の形態では、下側の挟み込み部材311Bにボルト310aを下側から挿通してカラー310cを締結したが、上側の挟み込み部材311Aにボルト310aを上側から挿通してカラー310cを締結してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…鉄塔、1a…腕金、2…架空送電線、3…圧縮引留クランプ、4A…鉄塔側取付金具、4B…電線側取付金具、5A、5B…碍子連、5a、5b…アークホーン、8…ジャンパー線、8a…ジャンパー用端子、10…工事ユニット、20…ジャンパーユニット、21A、21B…金属遮蔽付ケーブル、22A、22B…ケーブルヘッド、22a…板状端子、23…端子アダプター、23a、23b…板状端子、24A…第1のジャンパー線、24B…第2のジャンパー線、24a…圧縮端子、25A…第1のPGクランプ、25B…第2のPGクランプ、26…アース線、30…吊架ユニット、31…鉄塔側吊架金具、32…電線側吊架金具、40…Uクレビス、41…直角クレビス、42A、42B…連結ヨーク、43…直角クレビスリンク、44…直角平行クレビス、45…直角クレビス、60…支持ユニット、61…連結金具、61a…Uクレビス、61b…弛度調整金具、61c…1枚リンク、62…耐張クランプ、63…亜鉛メッキ鋼撚り線(支持線)、63a…圧縮引留クランプ、64A…鉄塔側取付金具、64B…電線側取付金具、65A…碍子連、100…鉄塔、101…架空送電線、102…金属遮蔽付ケーブル、103…碍子、104…腕金、105…支持線、106…ケーブルヘッド、310a…ボルト、310b…ナット、310c…カラー、311A、311B…ヨーク挟み込み部材、311a…第1の部分、311b…第2の部分、311c…挿通穴、311d…連結穴、312…接続プレート、313…ケーブル吊架金具、314…取付金具、322…ターンバックル取付金具、323…ターンバックル、324…端子アダプター吊金具、420…貫通穴、641…直角クレビス、642A、642B…連結ヨーク、643…直角クレビスリンク、644…Y字金具、645…直角クレビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄塔を挟んで配置された複数の架空送電線のそれぞれの前記鉄塔の側の端部が、互いに並列に配置された複数の碍子連を介して前記鉄塔の側に緊線状態に支持され、前記複数の碍子連の両端部を一対の連結ヨークによりそれぞれ連結してなる架空送電線路の鉄塔周辺の工事に用いられる工事ユニットであって、
前記架空送電線同士を電気的に接続する複数の金属遮蔽付ケーブルを有するジャンパーユニットと、
前記一対の連結ヨークをそれぞれ上下方向から挟み込んで取り付けられる一対の挟み込み部材を有し、前記一対の挟み込み部材により前記ジャンパーユニットを吊架する吊架ユニットとを備えた鉄塔周辺の工事ユニット。
【請求項2】
前記一対の挟み込み部材は、互いに平行に配置される第1の部分と、前記第1の部分に略直交する第2の部分とを備え、前記一対の挟み込み部材のうち下側の挟み込み部材の前記第2の部分は、前記ジャンパーユニットを吊架するための連結穴を有する請求項1に記載の鉄塔周辺の工事ユニット。
【請求項3】
前記一対の連結ヨークは、複数の貫通穴を有し、
前記一対の挟み込み部材の前記第1の部分は、前記連結ヨークの前記複数の貫通穴に対応する位置にボルトを挿通するための複数の挿通穴を有し、
前記吊架ユニットは、前記ボルトと螺合可能なネジが内面に形成され、前記連結ヨークの前記複数の貫通穴に挿入される複数のカラーを、さらに備えた請求項2に記載の鉄塔周辺の工事ユニット。
【請求項4】
前記複数の碍子連及び前記一対の連結ヨークは、既設のものとは異なる碍子連及び一対の連結ヨークを有し、前記複数の架空送電線を前記鉄塔の側に緊線状態に支持する支持ユニットを、さらに備えた請求項1乃至3のいずれか1項に記載の鉄塔周辺の工事ユニット。
【請求項5】
鉄塔を挟んで配置された複数の架空送電線のそれぞれの前記鉄塔の側の端部が、互いに並列に配置された複数の碍子連を介して前記鉄塔の側に緊線状態に支持され、前記複数の碍子連の両端部を一対の連結ヨークによりそれぞれ連結してなる架空送電線路の鉄塔周辺の工事方法であって、
一対の挟み込み部材により前記一対の連結ヨークをそれぞれ上下方向から挟み込んで固定し、
前記架空送電線同士を複数の金属遮蔽付ケーブルにより電気的に接続し、
前記一対の挟み込み部材により前記金属遮蔽付ケーブルを有するジャンパーユニットを吊架する鉄塔周辺の工事方法。
【請求項6】
前記一対の挟み込み部材は、互いに平行に配置される第1の部分と、前記第1の部分に略直交する第2の部分とを備え、前記一対の挟み込み部材のうち下側の挟み込み部材の前記第2の部分は、前記ジャンパーユニットを吊架するための連結穴を有し、
前記ジャンパーユニットの吊架は、前記下側の挟み込み部材の前記連結穴を用いて行う請求項5に記載の鉄塔周辺の工事方法。
【請求項7】
前記一対の連結ヨークは、複数の貫通穴を有し、
前記一対の挟み込み部材の前記第1の部分は、前記連結ヨークの前記複数の貫通穴に対応する位置にボルトを挿通するための複数の挿通穴を有し、
前記一対の挟み込み部材の前記一対の連結ヨークへの取付けは、前記一対の挟み込み部材のうち一方の挟み込み部材の前記第1の部分の前記複数の挿通穴にそれぞれボルトを挿通し、
複数の前記ボルトに内面にネジが形成された複数のカラーをそれぞれ螺合させ、
前記複数のカラーを前記連結ヨークの前記複数の貫通穴に挿入し、
前記一対の挟み込み部材のうち他方の挟み込み部材の前記第1の部分の前記複数の挿通穴に前記複数のボルトを挿通させ、前記複数のボルトに複数のナットを締結することで行う請求項6に記載の鉄塔周辺の工事方法。
【請求項8】
前記一対の挟み込み部材の前記第1の部分に形成された前記複数の挿通穴は、長手方向に沿って形成され、
前記一対の挟み込み部材の前記一対の連結ヨークへの取付けは、前記一対の挟み込み部材の一方の挟み込み部材の前記第1の部分の前記複数の挿通穴に前記複数のボルトを挿通し、
前記複数のボルトに前記複数のカラーを締結し、
前記一対の挟み込み部材のうち他方の挟み込み部材の前記複数の挿通穴に前記複数のボルトを挿通させ、
前記複数のボルトのうち最も端に位置する前記ボルトにナットを緩く締結し、
前記複数のカラーを前記連結ヨークの前記複数の貫通穴に挿入し、
前記一対の挟み込み部材のうち他方の挟み込み部材の他方の端を閉じて前記複数のボルトを前記他方の挟み込み部材の前記第1の部分の前記複数の挿通穴を挿通させ、前記複数のボルトに前記複数のナットを締結する請求項7に記載の鉄塔周辺の工事方法。
【請求項9】
前記一対の挟み込み部材の固定、前記金属遮蔽付ケーブルの電気的な接続、及び前記ジャンパーユニットの吊架は、既設の前記碍子連及び前記一対の連結ヨークを外さずに行う請求項5乃至8のいずれか1項に記載の鉄塔周辺の工事方法。
【請求項10】
前記一対の挟み込み部材の固定、前記金属遮蔽付ケーブルの電気的な接続、及び前記金属遮蔽付ケーブルの吊架は、既設の前記碍子連及び前記一対の連結ヨークとは異なる新たな前記碍子連及び前記一対の連結ヨークを用いて行う請求項5乃至8のいずれか1項に記載の鉄塔周辺の工事方法。
【請求項11】
前記ジャンパーユニットの吊架は、前記既設の架空送電線を前記鉄塔と連結するための支持ユニットと一体とした前記ジャンパーユニットを吊架する請求項5乃至10のいずれか1項に記載の鉄塔周辺の工事方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−116027(P2013−116027A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263342(P2011−263342)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】