説明

銅微粒子分散溶液の製造方法、及び銅微粒子分散溶液

【課題】脂肪族アミンで修飾された銅微粒子が特定の分散溶液に高濃度に分散可能で、長期間の分散安定性に優れる銅微粒子分散溶液の製造方法、及び銅微粒子分散溶液を提供する。
【解決手段】i)一次粒子の平均粒径1〜150nmの銅微粒子が少なくともその表面の一部が分散剤で覆われて水溶液中に分散している銅微粒子分散水溶液に、凝集剤を添加して銅微粒子を回収する工程、(ii)脂肪族アミン、又は該脂肪族アミンが有機溶媒に溶解している溶液からなる修飾剤溶液中に前記銅微粒子を添加して、撹拌下に銅微粒子表面が該脂肪族アミンで修飾された銅微粒子の分散溶液得る工程、(iii)前記分散溶液に凝集剤を添加して、修飾された銅微粒子を回収する工程(iv)前記修飾された銅微粒子を、クロロホルム、リモネン、及びジオールから選択された1又は2以上の分散溶液に再分散して銅微粒子分散溶液を得る工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノサイズの銅微粒子が脂肪族アミンで修飾されて特定の溶媒に高濃度に分散することが可能である銅微粒子分散溶液の製造方法、及び銅微粒子分散溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノサイズ(粒径が1μm以下)の金属、合金等の微粒子は、バルク材料にはない様々な特異な特性を持つことが知られている。そしてこの特性を生かした様々な工学的応用が、現在、エレクトロニクス、バイオ、エネルギー等の各分野で、大いに期待されている。
【0003】
中でも、銅及びその合金からなるナノサイズの微粒子は、導電回路、バンプ、ビア、パッド等の実装部品の形成材料、高密度磁気記憶媒体やアンテナ用の磁性素子、ガス改質フィルタや燃料電池電極用の触媒材料として、大いに期待されている。
【0004】
また、最近では、銅微粒子を含有するインクを使用して、配線パターンをインクジェットプリンタ法により形成し、焼成して配線を形成する技術が注目されている。しかし、インクジェットプリンタ法に使用するインクとして、銅微粒子を含有するインクを使用する場合、インク中において分散性が長期間保たれることが重要である。そのため、インク中において銅粒子分散性を長期間保つ銅微粒子分散溶液、及び該銅微粒子分散溶液の製造方法が提案されている。
【0005】
特許文献1では、銅の酸化物、水酸化物または塩をポリエチレングリコールまたは1,2−エタンジオール(エチレングリコール)溶液中で、核生成のためのパラジウムイオンと、分散剤としてのポリエチレンイミンを添加して、加熱還元することにより、液相中で銅微粒子を合成する方法が提案されている。
【0006】
また、特許文献2には、10%の空気を含むHeガス中で銅を蒸発させ、酸化銅の超微粒子を生成する際に、α−テルピネオールとラウリルアミンとの蒸気を接触させ、次いで、冷却捕集して回収した液にオレイン酸アミドを添加して、粒子同士が孤立した状態で分散している酸化銅超微粒子分散液を得たことが開示されている。また、特許文献3には、セルロース誘導体を含む水溶液中で金属イオンを還元することにより、セルロース誘導体で覆われた金属微粒子を製造する方法及び該微粒子分散溶液が提案されている。
【0007】
尚、下記特許文献4には、酸化銅を原料として、分散剤、pH調製溶液、及び還元剤を添加してpHを10以上とした後に、加熱還流して金属銅微粒子を析出する方法が開示されている。
下記特許文献5には、銅イオン含有水溶液とアルカリ溶液とを反応させて水酸化銅スラリーとし、当該水酸化銅スラリーに還元剤を添加して第1還元処理で亜酸化銅スラリーとし、当該亜酸化銅スラリーを回収、洗浄して得た亜酸化銅スラリーに還元剤を添加して第2還元処理で銅粉を得る銅粉製造方法開示されている。
【特許文献1】特開2005−330552号公報
【特許文献2】特開2002−121606号公報
【特許文献3】特開2001−093414号公報
【特許文献4】特開2006−022394号公報
【特許文献5】特開2007−254846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したように、金属微粒子分散インクのパターニングと焼成とにより、導電性配線パターンやフィルタを形成する場合、高濃度で、長時間分散性の良好な溶媒を選択する必要がある。しかしながら、高濃度で分散されている溶液は、一般に保存安定性が低く、インクジェットでパターンイングする場合に、つまりの問題や、低濃度の微粒子分散溶液では所望の導電性配線等を得ることができないという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決し、修飾された銅微粒子が特定の分散溶液に高濃度に分散することが可能で、長期間の分散安定性に優れる銅微粒子分散溶液の製造方法、及び銅微粒子分散溶液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上述した従来の問題点について鋭意研究を重ねた結果、還元反応で得られる銅微粒子を脂肪族アミンからなる修飾剤で修飾した後、特定の溶媒に再分散することにより、高濃度で、長期間の分散安定性に優れる銅微粒子分散溶液が得ることが可能であることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち本発明は、以下の(1)ないし(9)に記載する発明を要旨とする。
(1)少なくとも下記(i)ないし(iv)に記載する工程1ないし4を含むことを特徴とする銅微粒子分散溶液の製造方法(以下、第1の態様ということがある)。
(i)一次粒子の平均粒径1〜150nmの銅微粒子(P1)が少なくともその表面の一部が分散剤(D)で覆われて水溶液中に分散している銅微粒子分散水溶液(S1)に、凝集剤(C1)を添加して銅微粒子(P2)を回収する工程(工程1)
(ii)一般式R−NH(Rはアルキル基を表す)で表される脂肪族アミン(N)、又は該脂肪族アミン(N)が有機溶媒に溶解している溶液からなる修飾剤溶液(M)中に工程1で得られた銅微粒子(P2)を添加して、撹拌下に銅微粒子表面が該脂肪族アミンで修飾された銅微粒子(P3)の分散溶液(S2)得る工程(工程2)
(iii)工程2で得られた分散溶液(S2)に凝集剤(C2)を添加して、修飾された銅微粒子(P3)を回収する工程(工程3)
(iv)工程3で得られた、修飾された銅微粒子(P3)を、クロロホルム、リモネン、及び炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素の両末端にヒドロキシル基が結合しているジオールから選択された1又は2以上の分散溶液(A)に再分散して銅微粒子分散溶液(S3)を得る工程(工程4)
【0012】
(2)前記工程1における銅微粒子分散水溶液(S1)が、銅イオンと、分散剤(D)とが溶解している水溶液中で電解還元又は還元剤を使用した無電解還元により銅イオンを還元して得られる、一次粒子の平均粒径が1〜150nmである銅微粒子(P1)の少なくとも一部が分散剤(D)で覆われて分散している分散水溶液であることを特徴とする、前記(1)に記載の銅微粒子分散溶液の製造方法。
(3)前記工程1における分散剤(D)がポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、デンプン、及びゼラチンの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の銅微粒子分散溶液の製造方法。
(4)前記工程1における凝集剤(C1)が、アセトン;炭素原子数1の塩素化合物である塩化メチル(CHCl)、塩化メチレン(CHCl)、クロロホルム(CHCl)、及び四塩化炭素(CCl);炭素原子数2の塩素化合物である塩化エチル(CCl)、1,1−ジクロルエタン(CCl)、1,2−ジクロルエタン(CCl)、1,1−ジクロルエチレン(CCl)、1,2−ジクロルエチレン(CCl)、トリクロルエチレン(CHCl)、四塩化アセチレン(CCl)、及びエチレンクロロヒドリン(OH-CH-CHCl);炭素原子数3の塩素系化合物である1,2−ジクロルプロパン(CHCHClCHCl)、及び塩化アリル(CH=CHCHOH);炭素原子数4の塩素系化合物であるクロロプレン(CH=CClCH=CH);芳香族系塩素系化合物であるクロルベンゼン(CCl)、塩化ベンジル(CCHCl)、o−ジクロルベンゼン(CCl)、m−ジクロルベンゼン(CCl)、p−ジクロルベンゼン(CCl)、α−クロルナフタリン(C10Cl)、及びβ−クロルナフタリン(C10Cl);臭素系化合物であるブロモホルム(CHBr);並びに炭素数6の炭化水素であるヘキサン(C14)、及びシクロヘキサン(C12)、の中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(1)ないし(3)のいずれか1に記載の銅微粒子分散溶液の製造方法。
(5)前記工程2における修飾剤溶液(M)を形成する脂肪族アミン(N)が、炭素原子数1〜18の直鎖状脂肪族炭化水素の末端にアミノ基が結合しているモノアミンであることを特徴とする、前記(1)ないし(4)のいずれか1に記載の銅微粒子分散溶液の製造方法。
【0013】
(6)前記工程3における凝集剤(C2)が炭素原子数1〜3のアルコールであることを特徴とする、前記(1)ないし(5)のいずれか1に記載の銅微粒子分散溶液の製造方法。
(7)前記工程4で使用する分散溶液(A)がクロロホルム、リモネン、及び炭素原子数が4ないし10の脂肪族炭化水素の両末端にヒドロキシル基が結合しているジオールから選択された1又は2以上あることを特徴とする、前記(1)ないし(6)のいずれか1に記載の銅微粒子分散溶液の製造方法。
(8)前記工程4において、銅微粒子分散液(S3)中の銅微粒子(P3)が0.4〜20質量%になるように、銅微粒子(P3)を分散溶液(A)中に添加することを特徴とする、前記(1)ないし(7)のいずれか1に記載の銅微粒子分散溶液の製造方法。
(9)一次粒子の平均粒径1〜150nmの銅微粒子が炭素原子数1〜18の脂肪族炭化水素の末端にアミノ基が結合しているモノアミンで修飾されて、クロロホルム、リモネン、及び炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素の両末端にヒドロキシル基が結合しているジオールの中から選択された1種又は2種以上の分散溶液(A)に、0.4〜20質量%の濃度で分散されていることを特徴とする銅微粒子分散溶液(以下、第2の態様ということがある)。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法によれば、脂肪族アミン(N)で修飾された銅微粒子が特定の溶媒に分散している、分散安定性が極めて高い銅微粒子分散溶液を得ることができる。また、該分散溶液において修飾された銅微粒子の濃度を例えば0.4質量%から20質量%までの広い濃度範囲に亘って分散させても分散安定性の高い溶液が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔1〕第1の態様である「銅微粒子分散溶液の製造方法」について
第1の態様である「銅微粒子分散水溶液の製造方法」は、少なくとも
(i)一次粒子の平均粒径1〜150nmの銅微粒子(P1)が少なくともその表面の一部が分散剤(D)で覆われて水溶液中に分散している銅微粒子分散水溶液(S1)に、凝集剤(C1)を添加して銅微粒子(P2)を回収する工程(工程1)、
(ii)一般式R−NH(Rはアルキル基を表す)で表される脂肪族アミン(N)、又は該脂肪族アミン(N)が有機溶媒に溶解している溶液からなる修飾剤溶液(M)中に工程1で得られた銅微粒子(P2)を添加して、撹拌下に銅微粒子表面が該脂肪族アミン(N)で修飾された銅微粒子(P3)の分散溶液(S2)得る工程(工程2)、
(iii)工程2で得られた分散溶液(S2)に凝集剤(C2)を添加して、修飾された銅微粒子(P3)を回収する工程(工程3)、及び
(iv)工程3で得られた、修飾された銅微粒子(P3)を、クロロホルム、リモネン、及び炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素の両末端にヒドロキシル基が結合しているジオールの中から選択された1種又は2種以上の分散溶液(A)に再分散して銅微粒子分散溶液(S3)を得る工程(工程4)、
を含むことを特徴とする。
以下、各工程について説明する。
【0016】
(1)工程1について
工程1は、一次粒子の平均粒径1〜150nmの銅微粒子(P1)が少なくともその表面の一部が分散剤(D)で覆われて水溶液中に分散している銅微粒子分散水溶液(S1)に、凝集剤(C1)を添加して銅微粒子(P2)を回収する工程である。
上記銅微粒子分散水溶液(S1)は、特に限定されるものではないが、銅イオンを分散剤(D)の存在下で、電解還元又は還元剤を使用した無電解電還元により得ることが可能である。このような液相還元反応自体は公知の技術により行うことが可能である。
(i)「一次粒子の平均粒径1〜150nmの銅微粒子(P1)」について
第1の態様の「銅微粒子分散水溶液の製造方法」で得られる銅微粒子(P1)は、一次粒子の平均粒径1〜150nmの微粒子である。
ここで、一次粒子の平均粒径とは、二次粒子を構成する銅微粒子の一次粒子の直径の意味である。該一次粒子径は、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができる。また、平均粒径とは、一次粒子の数平均粒径を意味する。微粒子の一次粒子の平均粒径は、1〜150nmであるが、製造と取り扱い等の実用的な面からは、1〜100nmの微粒子が好ましい。
【0017】
(ii)「銅微粒子(P1)が少なくともその表面の一部が分散剤(D)で覆われて水溶液中に分散されている」について
銅微粒子(P1)は、分散剤(D)に覆われた状態で水溶液中に分散している。分散剤(D)は、水溶液中で銅微粒子の凝集を防止して分散性を良好に維持する作用を有する。尚、この場合の「分散剤(D)が銅微粒子(P1)の表面を覆うように存在」における「覆う」は、当該技術分野において、「被覆され」、「囲まれた」、「保護された」等の記載表現が使用されることもある。
このような分散剤(D)が銅微粒子を分散させるメカニズムは完全に解明されているものではないが、例えば分散剤(D)に存在する官能基の非共有電子対を有する原子部分が銅微粒子の表面に吸着して、分子層を形成し、互いに銅微粒子同士の接近をさせない、斥力が発生していることが予想される。
【0018】
(iii)分散剤(D)について
分散剤(D)は、水に対して溶解性を有していると共に、例えば上記還元反応を行う際に還元反応溶液に存在させておけば、還元反応系中で析出した銅微粒子の表面を覆うように存在して、銅微粒子の凝集を防止して分散性を良好に維持する作用を有する。本発明の分散剤(D)は、水溶液中で上記作用を奏するものであれば、特に制限されるものではない。
分散剤(D)としては、その化学構造にもよるが分子量が100〜100,000程度の、水に対して溶解性を有し、かつ水溶液中で銅微粒子を良好に分散させることが可能なもので、かつ炭素原子、水素原子、酸素原子、及び窒素原子から選択された2種以上の原子からなる化合物(高分子化合物も含む)の分散剤であればいずれも使用可能である。
【0019】
上記分散剤(D)として好ましいのは、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン等のアミン系の高分子;ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等のカルボン酸基を有する炭化水素系高分子;ポリアクリルアミド等のアクリルアミド;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、更にはデンプン、及びゼラチンの中から選択される1種又は2種以上である。
上記例示した分散剤化合物の具体例として、ポリビニルピロリドン(分子量:1000〜500、000)、ポリエチレンイミン(分子量:100〜100,000)、カルボキシメチルセルロース(アルカリセルロースのヒドロキシル基Na塩のカルボキシメチル基への置換度:0.4以上、分子量:1000〜100,000)、ポリアクリルアミド(分子量:100〜6,000,000)、ポリビニルアルコール(分子量:1000〜100,000)、ポリエチレングリコール(分子量:100〜50,000)、ポリエチレンオキシド(分子量:50,000〜900,000)、ゼラチン(平均分子量:61,000〜67,000)、水溶性のデンプン等が挙げられる。
【0020】
上記かっこ内にそれぞれの分散剤(D)の数平均分子量を示すが、このような分子量範囲にあるものは水溶性を有するので、本発明において好適に使用できる。尚、これらの2種以上を混合して使用することもできる。
また、分散剤(D)の添加量は、還元反応水溶液から生成する銅微粒子の濃度にもよるが、該銅原子100重量部に対して、0.1〜100重量部が好ましく、5〜100重量部がより好ましい。分散剤(D)の添加量が前記0.1未満では凝集を抑制する効果が十分に得られない場合があり、一方、前記100重量部を超える場合には、分散上に支障がなくとも銅微粒子分散水溶液(S1)の粘度が増大する、凝集剤(C1)を添加する際に過剰な分散剤(D)が析出するおそれがある。
【0021】
(iv)「凝集剤(C1)を添加して銅微粒子(P2)を回収する」について
凝集剤(C1)としては、常温又は操作温度で液状又は気体上であり、還元反応後に水溶液に添加することにより、微粒子を凝集等させ、かつ分散剤(D)を析出させないものであればとくに限定されるものではないが、好適な例として、アセトン、ハロゲン系炭化水素等を挙げることができる。該ハロゲン系炭化水素としては、炭素原子数1〜4の塩素化合物、臭素化合物、等のハロゲン化合物、塩素系、臭素系統のハロゲン系芳香族化合物が好ましい。
その具体例として、塩化メチル(CHCl)、塩化メチレン(CHCl)、クロロホルム(CHCl)、四塩化炭素(CCl)等の炭素原子数1の塩素化合物、
塩化エチル(CCl)、1,1−ジクロルエタン(CCl)、1,2−ジクロルエタン(CCl)、1,1−ジクロルエチレン(CCl)、1,2−ジクロルエチレン(CCl)、トリクロルエチレン(CHCl)、四塩化アセチレン(CCl)、エチレンクロロヒドリン(OH-CH-CHCl)等の炭素原子数2の塩素化合物、
1,2−ジクロルプロパン(CHCHClCHCl)、塩化アリル(CH=CHCHOH)等の炭素原子数3の塩素系化合物、
クロロプレン(CH=CClCH=CH)等の炭素原子数4の塩素系化合物、
クロルベンゼン(CCl)、塩化ベンジル(CCHCl)、o−ジクロルベンゼン(CCl)、m−ジクロルベンゼン(CCl)、p−ジクロルベンゼン(CCl)、α−クロルナフタリン(C10Cl)、β−クロルナフタリン(C10Cl)等の芳香族系塩素系化合物、
ブロモホルム(CHBr)、ブロムベンゾール(CBr)等の臭素系化合物、並びに
ヘキサン(C14)、及びシクロヘキサン(C12)等の炭素数6の炭化水素、
の中から選択された少なくとも1種が例示できる。
尚、本発明の凝集剤(C1)は、分散剤(D)の分散作用を減じて、微粒子を凝集等させる作用を有する限り、上記塩素系炭化水素、臭素系炭化水素、フッ素系炭化水素、及び沃素系炭化水素に限定されず、本発明の凝集剤(C1)に含まれる。
このような凝集剤(C1)の添加量は、還元反応により形成される、銅微粒子(P2)に対して、([凝集剤(F)(mol)]/[微粒子(P)(g)])比で、0.01以上が好ましく、上限に特に制限はないが、実用的な面から0.01〜50がより好ましく、0.1〜20が更に好ましい。前記配合比が0.01未満では添加効果が十分に発揮されないおそれがある。
【0022】
工程1において、銅微粒子(P1)が分散されている水溶液に例えば凝集剤(C1)として比重が水よりも大きいクロロホルムを添加した場合には、撹拌後にデカンテーションすると、水相からなる上相と、凝集剤(C1)からなる下相の2相に分離し、微粒子は上相である水相の下部に凝集等している状態で存在する。尚、凝集剤(C1)の比重が水よりも小さい場合には、撹拌後に上相が凝集剤(C1)相で下相が水相となり、この場合にも金属微粒子は水相の下部に凝集等している状態で存在する場合がある。
従って、添加した銅凝集剤(C1)は静置することにより水溶液と分離するので、銅微粒子(P2)から凝集剤(C1)を効率よく除去することができる。工程2における、凝集剤(C1)を添加、撹拌後の凝集又は沈殿状態には水相の下部に微粒子が濃縮されて浮いている状態も含まれる。
【0023】
上記した凝集剤(C1)の中でもクロロホルムを使用した場合に、特に、銅微粒子表面での化学反応も少ないという効果を得ることができる。
尚、工程1で銅微粒子(P1)が分散している水溶液中に、凝集剤(C1)を添加して撹拌し、該微粒子を凝集又は沈殿させた後、水溶液から該凝集又は沈殿した微粒子をろ過等の操作により分離して、銅微粒子(P2)を得る際に、該ろ過等の分離・回収操作のみでは銅微粒子(P2)から分散剤(D)が十分に除去できない場合には、水溶液から微粒子を分離した後に更に銅微粒子(P2)を炭素原子数が1〜76程度のアルコール等の溶剤により洗浄することができる。
かくして銅微粒子(P2)を回収することができる。
【0024】
(2)工程2
工程2は、一般式R−NH(Rはアルキル基を表す)で表される脂肪族アミン(N)、又は該脂肪族アミン(N)が有機溶媒に溶解している溶液からなる修飾剤溶液(M)中に工程1で得られた銅微粒子(P2)を添加して、撹拌下に銅微粒子表面が該脂肪族アミンで修飾された銅微粒子(P3)の分散溶液(S2)を得る工程である。
(i)修飾剤溶液(M)
修飾剤溶液(M)は、脂肪族アミン(N)、又は脂肪族アミン(N)が有機溶媒に溶解している溶液である。
本発明において銅微粒子(P2)の修飾剤として、脂肪族アミン(N)を使用する。該脂肪族アミン(N)は、一般式がR−NH(ここでRはアルキル基又はその置換体をいう)で表される第一アミンが好ましい。該アルキル基の炭素原子数は、1〜18が好ましく、4〜16がより好ましく、11〜14が更に好ましい。
このような脂肪族アミン(N)としては、n−ブチルアミン、n−アミルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン等が例示できる。
尚、一般式がR−NHで表される脂肪族第一アミンの炭素数13程度までは融点が27℃以下であるので溶液として扱うことが可能であるが、脂肪族アミン(N)の炭素原子数が多くなって溶液粘度が高くなる場合、又は融点が高い場合にはエタノール等の溶媒を使用して、溶液粘度を低下させて撹拌性を高めることが好ましい。また、沸点の低い炭素原子数1〜3程度の脂肪族アミン(N)は溶媒に溶解して撹拌下に修飾することが出来る。
【0025】
(ii)修飾剤溶液(M)中での銅微粒子(P2)表面の修飾
本発明において、脂肪族アミン(N)による銅微粒子(P2)表面の修飾は、修飾剤溶液(M)に銅微粒子(P2)を添加後撹拌して行われる。撹拌時間は特に制限されるものではないが、機械撹拌の場合には6以上が好ましく、6〜10時間がより好ましいが、超音波照射などの撹拌操作により撹拌時間を短縮することが可能である。尚、撹拌時間は、銅微粒子(P2)表面の修飾に与える影響が大きく、撹拌時間を長くすると、本発明の工程4で得られる分散溶液の分散安定性は著しく向上する。
(iii)修飾剤溶液(M)中の銅微粒子(P2)の濃度
銅微粒子(P2)表面を脂肪族アミン(N)で効率よく修飾するためには、修飾剤溶液(M)中の銅微粒子(P2)は、特に制限されるものではないが、1〜10質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。
【0026】
(3)工程3
工程3は、工程2で得られた分散溶液(S2)に凝集剤(C2)を添加して、修飾された銅微粒子(P3)を回収する工程である。
工程3で好適に使用できる凝集剤(C2)としては、炭素原子数1〜3のアルコールが挙げられる。
分散溶液(S2)に凝集剤(C2)を添加後、撹拌すると、修飾された銅微粒子(P3)は凝集又は沈殿するのでろ過等の操作により、修飾された銅微粒子(P3)を回収することが可能である。この場合の撹拌は短時間でもよい。
【0027】
(4)工程4
工程4は、工程3で得られた、修飾された銅微粒子(P3)を、クロロホルム、リモネン、及び炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素の両末端にヒドロキシル基が結合しているジオールの中から選択された1種又は2種以上の分散溶液(A)に再分散して銅微粒子分散溶液(S3)を得る工程である。
(i)銅微粒子(P3)の分散溶液(A)への再分散
銅微粒子(P3)を分散溶液(A)に再分散する際に格別の条件は必要とされず、分散溶液(A)中に銅微粒子(P3)を添加して簡単な撹拌を行うことにより、分散安定性に優れる、修飾された銅微粒子分散溶液(S3)を得ることができる。
【0028】
(ii)分散溶液(A)
工程4で使用する分散溶液(A)は、クロロホルム、リモネン、及び炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素の両末端にヒドロキシル基が結合しているジオールである。尚、これらの中から選択された2種以上を混合して使用することもできるが、ジオールの場合には特に。
尚、炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素の両末端にヒドロキシル基が結合しているジオールは、該炭素原子数4〜10が好ましく、実用上炭素原子数4〜7がより好ましい。
(iii)銅微粒子分散溶液(S3)
本発明において、銅微粒子分散溶液(S3)中の銅微粒子(P3)を広範囲の濃度とすることが可能であり、例えば、0.4〜20質量%になるように銅微粒子(P3)を配合することが可能である。
【0029】
〔2〕第2の態様である、銅微粒子分散溶液(S3)
第2の態様である、銅微粒子分散溶液(S3)は、一次粒子の平均粒径1〜150nmの銅微粒子が一般式R−NH(Rはアルキル基を表す)で表される脂肪族アミン(N)で修飾されて、クロロホルム、リモネン、及び炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素の両末端にヒドロキシル基が結合しているジオールから選択された1又は2以上の分散溶液(A)に、0.4〜20質量%の濃度で分散されていることを特徴とする。
(1)平均粒径1〜150nmの銅微粒子(P1)について
第1の態様に記載したと同様である。
(2)脂肪族アミン(N)
第1の態様に記載したと同様である。
(3)分散溶液(A)
第1の態様に記載したと同様である。
【0030】
(4)銅微粒子分散溶液(S3)の用途について
本発明の銅微粒子分散溶液(S3)は、導電回路、高密度磁気記憶媒体やアンテナ用の磁性素子、ガス改質フィルタや燃料電池電極用の触媒材料として利用可能である。特に、本発明の銅微粒子分散溶液(S3)は、長期間の分散安定性に極めて優れているので、銅微粒子を含有するインクを使用して、配線パターンをインクジェットプリンタ法により形成し、焼成して配線を形成する際に好適に使用することが可能である。
【実施例】
【0031】
次に、実施例により本発明をより具体的に説明する。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1、比較例1]
銅微粒子が脂肪族アミンで修飾されることを下記の実験により確認した。
(1)銅微粒子分散水溶液の調製
還元剤である水素化ホウ素ナトリウムが0.017モル/Lの濃度で溶解している還元剤水溶液180mlに、分散剤であるポリビニルピロリドン(数平均分子量3500)を1.0g添加して撹拌し、次に窒素ガス雰囲気中で該還元剤水溶液に、酢酸銅((CHCOO)Cu・H0)0.6gを蒸留水20mlに溶解して得られた水溶液を滴下後、40℃で約5分間撹拌を行い、少なくとも表面の一部が分散剤で覆われた銅微粒子分散水溶液を得た。
【0032】
(2)銅微粒子の修飾
銅微粒子濃度が1mg/mLである水溶液100mlに、凝集剤であるクロロホルムを添加して銅微粒子を凝集させた。凝集した銅微粒子を遠心分離により回収した。回収した銅微粒子40mgを2.5mLのエタノール溶液中に分散した。該エタノール溶液に、実施例1−1として修飾剤であるn−ブチルアミンを20mL添加して、室温で6時間撹拌を行った。尚、撹拌方法は、汎用のマグネチックスターラを用いて行った。
同様に、銅微粒子40mgが分散された2.5mLのエタノール溶液中に、実施例1−2、3として修飾剤であるn−オクチルアミン、n−トリデシルアミン、比較例1としてドデカンチオールをそれぞれ40mL添加して上記と同様の撹拌を行った。
【0033】
(3)銅微粒子の修飾の確認
上記撹拌後の溶液に凝集剤としてエタノール10mLを添加して、凝集した銅微粒子を遠心分離により回収した。回収した銅微粒子のIRスペクトルの測定によりドデシルアミン吸収ピークの存在の有無を観察した。
実施例1−1、2、3において、修飾剤として、n−ブチルアミン、n−オクチルアミン、n−トリデシルアミンをそれぞれ用いた場合にはn−ブチルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミンの吸収ピークが確認され、銅微粒子が修飾されていることが確認された。
一方、比較例1として、ドデカンチオールを用いた場合には、攪拌後に粒子と溶媒が分離したため、修飾されていないことが確認された。
尚、上記実施例1−1、2、3において、修飾剤として、n−ブチルアミン、n−オクチルアミン、n−トリデシルアミンをそれぞれ用いた場合には、上記撹拌後、それぞれ、明るい青色、青色、赤茶色に変色し、一方、比較例1においてドデカンチオールを用いた場合には、上記撹拌後、変色は観察されなかった。
【0034】
[実施例2、比較例2]
本発明の修飾剤で修飾された銅微粒子が本発明の特定の溶媒に分散されることの確認を以下の通りに行った。
上記実施例1で得られたn−トリデシルアミンで修飾された銅微粒子が含まれる溶液に凝集剤として、エタノールを10mL添加して、凝集した銅微粒子を回収した。
得られた銅微粒子を実施例2−1、2、3として、リモネン、クロロホルム、ブタンジオールに、銅微粒子濃度が0.4質量%となるように分散させ、軽く撹拌を行い、分散溶液を得た。
同様に比較例2−1、2として、上記回収された銅微粒子を比較例2−1、2として、エタノール、メタノール溶液に、銅微粒子濃度が0.4質量%となるよう分散させ、軽く撹拌を行い、分散溶液を得た。
実施例2−1、2、3においては、撹拌により分散した結果、見かけ上の均一溶液が得られた。
一方、比較例2−1、2においては、撹拌終了後直ちに銅微粒子の沈殿が生じたので分散していないことが確認された。
上記実施例で得られた分散溶液をメンブレンフィルター(sartorius社(ドイツ)製、商品名:Minisart RC4)を透過させ、透過後の溶液の濃度により分散性の評価を行った。実施例2−1、2、3においては、透過前後で分散溶液の濃度がほぼ変わらなかった。
【0035】
[実施例3]
(1)銅微粒子分散水溶液の調製
還元剤である水素化ホウ素ナトリウムが0.017モル/Lの濃度で溶解している還元剤水溶液180mlに、分散剤であるポリビニルピロリドン(数平均分子量3500)を1.0g添加して撹拌し、次に窒素ガス雰囲気中で該還元剤水溶液に、酢酸銅((CHCOO)Cu・H0)0.6gを蒸留水20mlに溶解して得られた水溶液を滴下後、40℃で約5分間撹拌を行い、少なくとも表面の一部が分散剤で覆われた銅微粒子分散水溶液を得た。
【0036】
(2)銅微粒子の修飾
銅微粒子濃度が1mg/mLである水溶液100mlに、凝集剤であるクロロホルムを添加して、ろ過により凝集した銅微粒子を回収した。回収した銅微粒子を2.5mLのエタノール中に分散した。銅微粒子40mgを含むエタノール溶液1mLに修飾剤であるトリデシルアミンを表1に示すように40mg添加し、室温6時間で撹拌を行い、トリデシルアミンで修飾された銅微粒子を得た。撹拌方法は、汎用のマグネチックスターラを用いて行った。
尚、修飾された銅微粒子は、赤茶色に着色すること、及び、トリデシルアミン溶液から修飾された銅を回収し、粉体試料のIRスペクトルの測定によりトリデシルアミンの吸収ピークの存在から確認することが出来る。
【0037】
(3)再分散
上記修飾された銅微粒子を含むトリデシルアミン溶液20mLに凝集剤としてエタノール10mLを添加して、修飾された銅微粒子を回収した。
上記操作で得られた、修飾された銅微粒子をリモネン溶液に溶解させ、銅微粒子濃度0.4質量%の分散溶液を得た。
この場合、撹拌は手で軽く振る程度で十分であり、特別の撹拌操作を行う必要はない。
(4)分散安定性の評価
上記再分散して得られた銅微粒子の分散溶液をそのまま保存して、分散安定性の評価を行った。
尚、分散安定性は、得られた分散溶液を細孔が0.2μmのメンブレンフィルター(sartorius社(ドイツ)製、商品名:Minisart RC4)を透過させ、透過前後の溶液の濃度により評価した。
本実施例1においては、分散液を調製してから、保存期間が3.5箇月経過後に、分散溶液を上記メンブレンフィルターを透過させても、透過後の濃度の低下は確認されなかった。
【0038】
[実施例4〜10]
実施例4〜9において、トリデシルアミンで修飾する際に添加する銅微粒子量と撹拌時間、及びリモネン溶液に再分散させる際の分散溶媒の使用量と銅微粒子濃度を表1に記載の値とした以外は実施例1と同様にして、銅微粒子分散溶液を調製した。
尚、実施例9のみにおいては、銅微粒子をトリデシルアミンで修飾する際に超音波(VELVO-CLEAR製、型式:Vs-F100)を用いて5分間撹拌し、その後マグネチックスターラによる撹拌を1時間行った。
次に、実施例3で記載したと同様に銅微粒子分散溶液の分散安定性を評価した。
結果をまとめて表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
[評価結果]
表1から確認されるように、銅微粒子をトリデシルアミンで修飾する際の撹拌時間を6時間以上とすると、分散安定期間は3.5箇月以上となり、分散安定性は顕著に向上することが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記(i)ないし(iv)に記載する工程1ないし4を含むことを特徴とする銅微粒子分散溶液の製造方法。
(i)一次粒子の平均粒径1〜150nmの銅微粒子(P1)が少なくともその表面の一部が分散剤(D)で覆われて水溶液中に分散している銅微粒子分散水溶液(S1)に、凝集剤(C1)を添加して銅微粒子(P2)を回収する工程(工程1)
(ii)一般式R−NH(Rはアルキル基を表す)で表される脂肪族アミン(N)、又は該脂肪族アミン(N)が有機溶媒に溶解している溶液からなる修飾剤溶液(M)中に工程1で得られた銅微粒子(P2)を添加して、撹拌下に銅微粒子表面が該脂肪族アミン(N)で修飾された銅微粒子(P3)の分散溶液(S2)得る工程(工程2)
(iii)工程2で得られた分散溶液(S2)に凝集剤(C2)を添加して、修飾された銅微粒子(P3)を回収する工程(工程3)
(iv)工程3で得られた、修飾された銅微粒子(P3)を、クロロホルム、リモネン、及び炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素の両末端にヒドロキシル基が結合しているジオールの中から選択された1種又は2種以上の分散溶液(A)に再分散して銅微粒子分散溶液(S3)を得る工程(工程4)
【請求項2】
前記工程1における銅微粒子分散水溶液(S1)が、銅イオンと、分散剤(D)とが溶解している水溶液中で電解還元又は還元剤を使用した無電解還元により銅イオンを還元して得られる、一次粒子の平均粒径が1〜150nmである銅微粒子(P1)の少なくとも一部が分散剤(D)で覆われて分散している分散水溶液であることを特徴とする、請求項1に記載の銅微粒子分散溶液の製造方法。
【請求項3】
前記工程1における分散剤(D)がポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、デンプン、及びゼラチンの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の銅微粒子分散溶液の製造方法。
【請求項4】
前記工程1における凝集剤(C1)が、アセトン;炭素原子数1の塩素化合物である塩化メチル(CHCl)、塩化メチレン(CHCl)、クロロホルム(CHCl)、及び四塩化炭素(CCl);炭素原子数2の塩素化合物である塩化エチル(CCl)、1,1−ジクロルエタン(CCl)、1,2−ジクロルエタン(CCl)、1,1−ジクロルエチレン(CCl)、1,2−ジクロルエチレン(CCl)、トリクロルエチレン(CHCl)、四塩化アセチレン(CCl)、及びエチレンクロロヒドリン(OH-CH-CHCl);炭素原子数3の塩素系化合物である1,2−ジクロルプロパン(CHCHClCHCl)、及び塩化アリル(CH=CHCHOH);炭素原子数4の塩素系化合物であるクロロプレン(CH=CClCH=CH);芳香族系塩素系化合物であるクロルベンゼン(CCl)、塩化ベンジル(CCHCl)、o−ジクロルベンゼン(CCl)、m−ジクロルベンゼン(CCl)、p−ジクロルベンゼン(CCl)、α−クロルナフタリン(C10Cl)、及びβ−クロルナフタリン(C10Cl);臭素系化合物であるブロモホルム(CHBr)、及びブロムベンゾール(CBr);並びに炭素数6の炭化水素であるヘキサン(C14)、及びシクロヘキサン(C12)、の中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の銅微粒子分散溶液の製造方法。
【請求項5】
前記工程2における一般式R−NH(Rはアルキル基を表す)で表される脂肪族アミン(N)が、炭素原子数1〜18の直鎖状脂肪族炭化水素の末端にアミノ基が結合しているモノアミンであることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の銅微粒子分散溶液の製造方法。
【請求項6】
前記工程3における凝集剤(C2)が炭素原子数1〜3のアルコールであることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の銅微粒子分散溶液の製造方法。
【請求項7】
前記工程4で使用する分散溶液(A)がクロロホルム、リモネン、及び炭素原子数が4ないし10の脂肪族炭化水素の両末端にヒドロキシル基が結合しているジオールから選択された1又は2以上あることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の銅微粒子分散溶液の製造方法。
【請求項8】
前記工程4において、銅微粒子分散液(S3)中の銅微粒子(P3)が0.4〜20質量%になるように、銅微粒子(P3)を分散溶液(A)中に添加することを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の銅微粒子分散溶液の製造方法。
【請求項9】
一次粒子の平均粒径1〜150nmの銅微粒子が一般式R−NH(Rはアルキル基を表す)で表される脂肪族アミン(N)で修飾されて、クロロホルム、リモネン、及び炭素原子数が4以上の脂肪族炭化水素の両末端にヒドロキシル基が結合しているジオールの中から選択された1種又は2種以上の分散溶液(A)に、0.4〜20質量%の濃度で分散されていることを特徴とする銅微粒子分散溶液。

【公開番号】特開2009−242824(P2009−242824A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87945(P2008−87945)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(304024430)国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 (169)
【Fターム(参考)】