説明

鋼板連結装置

【課題】鋼板の連結の際、一方の鋼板に取り付けられた連結棒の先端部を、対向する他方の鋼板の対応する取り付け位置に容易に案内して確実に連結することができる鋼板連結装置を提供すること。
【解決手段】対向配置された鋼板2a,2bを連結する連結棒11と、連結棒11先端に基端部側が取り付けられ、ネジ孔を有すると共に、先端部側に先細形状のテーパー面123aを有する被ガイド部123が形成された第1連結部材12と、鋼板2bの内側の取り付け孔周縁21bに基端部側が固定される一方、先端部側に第1連結部材12の被ガイド部123を案内して嵌める、いわゆるすり鉢形状のテーパー面131aを有するガイド部131が形成された第2連結部材13と、鋼板2bの表側から取り付け孔21bに挿入され、第2連結部材13を介し、第1連結部材12のネジ孔に挿入されネジ結合するボルト14等と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向配置された鋼板を連結する鋼板連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築や土木等の分野において、鋼板連結装置を用い、対向配置された鋼板を所定間隔空けて連結し、その鋼板間にコンクリートを流し込む鋼板コンクリート構造が採用されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−240196号公報
【特許文献2】特開平06−264540号公報
【特許文献3】特開平07−323373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述の特許文献1のものでは、対向する鋼板間を連結する連結棒と、鋼板に設けられた固定用鋼棒等の連結受け部材とを、ネジ結合により結合するだけであるので、鋼板の連結の際、クレーン等で吊り上げた一方の鋼板が揺れたり、撓む等すると、一方の鋼板に取り付けた連結棒の先端部を、対応する他方の鋼板の取り付け位置に容易に案内することができない、という課題がある。
【0005】
また、前述の特許文献2のものでは、一方の鋼板に溶接された連結棒先端と、他方の鋼板に溶接された凹部等とを、嵌め合いによる固定を主眼として構成されているため、鋼板の連結の際、クレーン等で吊り上げた一方の鋼板が揺れたり、撓む等すると、連結棒先端を対応する凹部に案内するのに手間がかかると共に、嵌め合いのみで固定しているため、確実に連結できないおそれがある、という課題がある。
【0006】
また、前述の特許文献3のものでも、一方の鋼板に溶接された連結棒先端を、他方の鋼板に形成された対応する溶接孔に位置合わせして溶接するため、鋼板の連結の際、クレーン等で吊り上げた一方の鋼板が揺れたり、撓む等すると、連結棒の先端部を対応する溶接孔に容易に案内することができない、という課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、鋼板の連結の際、一方の鋼板に取り付けられた連結棒の先端部を、対向する他方の鋼板の対応する取り付け位置に容易に案内して確実に連結することができる、鋼板連結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の鋼板連結装置は、対向配置された鋼板を連結する連結棒と、前記連結棒先端に基端部側が取り付けられ、ネジ孔を有すると共に、先端部側に被ガイド部が形成された第1連結部材と、前記鋼板の内側の取り付け孔周縁に基端部側が固定される一方、先端部側に前記第1連結部材の前記被ガイド部を案内して嵌めるガイド部が形成された第2連結部材と、前記鋼板の表側から前記取り付け孔に挿入され、前記第2連結部材を介し、前記第1連結部材の前記ネジ孔にネジ結合するネジ結合部材と、を有することを特徴する鋼板連結装置である。ここで、ネジ結合部材には、通常のボルトや、ナット、さらには六角穴付きボルト、ネジ結合できるものであれば良い。
ここで、前記鋼板連結装置において、前記第2連結部材の基端部側には、前記ネジ結合部材が前記第1連結部材の前記ネジ孔に挿入されネジ結合した際に、前記ネジ結合部材が前記鋼板の表側から突出しないように前記ネジ結合部材が埋まる大きさおよび深さの凹部が形成されている、ようにしても良い。
また、前記鋼板連結装置において、前記第1連結部材の先端部側には、当該第1連結部材の基端部側から先端部側に向かうに従い外径が細くなる先細形状のテーパー面を有する前記被ガイド部が形成されている一方、前記第2連結部材の先端部側には、前記第1連結部材の先細形状のテーパー面を有する前記被ガイド部が案内されて嵌るように、当該第2連結部材の先端部側から基端部側に向かうに従い内径が小さくなる、すり鉢形状のテーパー面を有する前記ガイド部が形成されている、ようにしても良い。
また、前記鋼板連結装置において、前記第1連結部材の先端部側には、当該第1連結部材の先端部側から基端部側に向かうに従い内径が小さくなる、すり鉢形状のテーパー面を有する前記被ガイド部が形成されている一方、前記第2連結部材の先端部には、前記第1連結部材のすり鉢形状のテーパー面を有する前記被ガイド部が案内されて嵌るように、当該第2連結部材の基端部側から先端部側に向かうに従い外径が細くなる先細形状のテーパー面を有する前記ガイド部が形成されている、ようにしても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明の鋼板連結装置によれば、対向配置された鋼板を連結する際に、クレーン等で吊り上げた一方の鋼板が揺れたり、撓む等して、その鋼板に取り付けた連結棒先端の第1連結部材の位置が、対応する第2連結部材の位置と多少ずれていても、第1連結部材の先端部側の被ガイド部が、第2連結部材の先端部側のガイド部に案内されて嵌るので、それらの案内作用により、連結棒先端の第1連結部材を対応する第2連結部材に容易に案内することができると共に、しかもネジ結合部材によるネジ結合により確実に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a),(b)は、それぞれ、実施形態1の鋼板連結装置を使用して連結した一対の鋼板を示す正面図、A−A線断面図である。
【図2】実施形態1の鋼板連結装置の構成例を示す図である。
【図3】(a),(b)は、それぞれ、本実施の形態1の鋼板連結装置の連結状態の一例を示す正面図、要部断面図である。
【図4】(a)〜(d)は、それぞれ、本実施の形態1の鋼板連結装置の第1連結部材の断面図、右側面図、第2連結部材の左側面図、断面図である。
【図5】(a)〜(d)は、それぞれ、本実施の形態1における、一方の鋼板と連結棒との連結方法の例を示す図である。
【図6】(a)〜(d)は、それぞれ、本実施の形態1における、鋼板と第2連結部材との連結方法の例と、ネジ結合環の外観を示す図である。
【図7】(a),(b)は、それぞれ、本実施の形態2の鋼板連結装置のネジ結合部材の他の例を示す全ネジボルトとナット、六角穴付きボルトを示す断面図である。
【図8】(a),(b)は、それぞれ、本実施の形態2の鋼板連結装置の第1連結部材および第2連結部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る鋼板連結装置の実施の形態1,2を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1(a),(b)は、それぞれ、実施形態1の鋼板連結装置1を使用して連結した一対の鋼板を示す正面図、A−A線断面図であり、図2は、本発明に係る鋼板連結装置1の実施の形態1の構成例を示す図である。
【0013】
図1(a),(b)および図2に示すように、本実施形態1の鋼板連結装置1は、対向配置された一対の鋼板2a,2bを、連結棒11、第1連結部材12、第2連結部材13、およびネジ結合部材としてのボルト14(図1では、鋼板2bにより隠れて図示されていない。)により連結するものである。
【0014】
連結棒11の先端部11aには、図2に示すように、第1連結部材12がネジ結合されるように雄ネジ部11a1が形成されている。なお、連結棒11は、その先端部11aだけではなく、長手方向全体に亘って雄ネジ部11a1が形成された全ネジボルトでも勿論よい。
【0015】
ネジ結合部材であるボルト14は、ネジ部14aと、頭部14bとから構成されており、ネジ部14aが第2連結部材13を貫通して、第1連結部材12にネジ結合される。
【0016】
なお、図1において、15は、対向する一対の鋼板2a,2b間に打設されるコンクリートと鋼板2a,2bとを一体化して、鋼板2a,2bに加わったせん断力を確実にコンクリートに伝達するため、鋼板2a,2bそれぞれの内側面に任意の所定間隔で溶接して設けた複数のスタッド(ずれ防止材)であり、省略しても良い。
【0017】
図3(a),(b)は、それぞれ、本実施の形態1の鋼板連結装置1の連結状態の一例を示す正面図、要部断面図であり、図4(a)〜(d)は、それぞれ、本実施の形態1の鋼板連結装置1の第1連結部材12の断面図、右側面図、および第2連結部材13の左側面図、断面図である。
【0018】
図3(a)では、連結棒11は、基端部11b側は、一方の鋼板2aに溶接等により固定されたナット17に、ネジ結合により固定されている。
【0019】
第1連結部材12は、図2および図3(a),(b)に示すように、連結棒11の先端部11a側に取り付けられるもので、図4(a)に示すように、連結棒11の雄ネジ部11a1にネジ結合する雌ネジ部121が形成されたネジ孔122が設けられている
【0020】
そして、本実施の形態1の第1連結部材12は、図3(a),(b)や、図4(a),(b)に示すように、その基端部12bから先端部12aに向かうに従い外径が細くなる先細形状に形成されたテーパー(傾斜)面123aを有する被ガイド部123を有する。
【0021】
一方、本実施の形態1の第2連結部材13は、図3(b)や図4(c),(d)に示すように、鋼板2a,2bの連結の際、クレーン等で吊り上げた一方の、鋼板2aが揺れたり、撓む等して、第1連結部材12の中心と第2連結部材13の中心に多少ズレがあっても、そのズレを吸収して案内するように、先端部13aから基端部13bに向かうに従い内径が小さくなる、いわゆるすり鉢形状のテーパー面131aを有するガイド部131が、第2連結部材13の長手方向のほぼ中央付近まで形成されている。
【0022】
また、第2連結部材13には、図3(b)や図4(d)に示すように、基端部13b側にネジ結合部材であるボルト14を挿入するための凹部132が形成されている。さらに、先端部13a側のガイド部131と、基端部13b側の凹部132との間には、ボルト14のネジ部14aが通る内径の貫通孔133が形成されており、貫通孔133を介しボルト14が第1連結部材12にネジ結合される。
【0023】
なお、本実施の形態1の鋼板連結装置1では、他方の鋼板2bと連結棒11とを、第1連結部材12と第2連結部材13とを介して、ボルト14により固定するので、図3(a),(b)に示すように、他方の鋼板2bにおける第2連結部材13の取り付け箇所に、取り付け孔21bが形成されている。なお、取り付け孔21bの内径は、ボルト14の頭部14bを回転させるボックスレンチ等の先端が挿入できる大きさを確保しておく。
【0024】
このため、本実施の形態1では、図1に示すように、連結棒11が取り付けられた一方の鋼板2aをクレーン等により吊って下ろして、第2連結部材13が取り付けられた他方の鋼板2bに組み付ける際、クレーン等で吊り上げた一方の鋼板2aが揺れたり、撓む等して、第1連結部材12の中心と第2連結部材13の中心に多少ズレがあっても、そのズレを吸収するように、第1連結部材12の先細形状の被ガイド部123が、第2連結部材13のガイド部131に案内されて、それらの中心が一致するように嵌るので、作業性が向上する。
【0025】
特に、第2連結部材13のガイド部131のテーパー面131aの傾きを、第1連結部材12の被ガイド部123のテーパー面123aの傾きより大きくすると、連結棒11および第1連結部材12を引き寄せる範囲が広くなるため、連結棒11の取り付け時に生じる中心のズレ等の誤差を大きく吸収して、案内することができる。
【0026】
そして、図3(a),(b)に示すように、他方の鋼板2bの表面側からボルト14を第2連結部材13の凹部132に挿入して、第2連結部材13を介して第1連結部材12とネジ結合により結合することにより、確実かつ簡単に鋼板2aと鋼板2bとを連結することができる。
【0027】
その際、第2連結部材13の凹部132には、図3(b)や図4(d)に示すように、ボルト14のネジ部14aが第1連結部材12のネジ孔122に挿入されネジ結合した際に、ボルト14の頭部14bが鋼板2bの表側から突出しないように,ボルト14の頭部14bが埋まる大きさおよび深さに形成されている。
【0028】
そのため、ボルト14の頭部14bが鋼板2bの表側から突出しないので、鋼板2bの表側が面一になり、鋼板2bの表面側の意匠性が向上する。
【0029】
図5(a)〜(d)は、それぞれ、本実施の形態1における一方の鋼板2aと連結棒11の基端部11b側との連結方法の例を示す図である。
【0030】
図5(a)は、図3(a)と同様であり、鋼板2aの内側にナット17が溶接されており、このナット17に連結棒11の基端部11bをネジ結合により連結した場合の連結方法を示している。この方法は、現場で、ナット17に連結棒を11を結合することができるので、鋼板2a、2bの保管性や、作業性に優れている。なお、この場合には、連結棒11の基端部11bには、先端部11aと同様に、雄ネジ部が形成されているか、連結棒11全体が全ネジである必要がある。
【0031】
図5(b)は、鋼板2aに直接、連結棒11の基端部11bが溶接されて結合した場合の連結方法を示している。従って、この場合には、連結棒11の基端部11bには、雄ネジ部が形成されている必要はなく、最も簡単な連結方法である。
【0032】
図5(c)は、鋼板2aにスタッドボルト16が溶接されており、このスタッドボルト16にナット17を介し連結棒11の基端部11bをネジ結合により連結した場合の連結方法を示している。従って、この場合には、図5(a)に示す場合と同様に、連結棒11の基端部11b側には、雄ネジ部が形成されているか、連結棒11全体が全ネジである必要がある。
【0033】
図5(d)は、鋼板2a側も鋼板2b側と同様に、鋼板2aの内面側に第2連結部材13を溶接等により取り付けておき、第1連結部材12を介し、連結棒11の基端部11bをネジ結合により連結した場合の連結方法を示している。この方法の場合、鋼板2a,鋼板2bとして、第2連結部材13を溶接等した同じ鋼板を容易しておけば良いので、この点で、作業性等の点で優れている。なお、この場合にも、図5(a),(b)に示す場合と同様に、連結棒11の基端部11b側には、雄ネジ部が形成されている必要がある。
【0034】
図6(a)〜(d)は、それぞれ、本実施の形態1における、鋼板2bと第2連結部材13との連結方法の例と、ネジ結合環18の外観を示す図である。
【0035】
図6(a)は、鋼板2bに第2連結部材13の基端部13bの外周を溶接した場合の連結方法を示している。なお、図中、22bは、溶接部である。
【0036】
図6(b)も、鋼板2bに第2連結部材13の基端部13bの外周を溶接した場合の連結方法を示しているが、この場合、第2連結部材13の基端部13bの内周側には、鋼板2b内側の取り付け孔21b内側に挿入され、かつ、鋼板2bの厚さと同一かそれ以下の長さの短い位置決めガイド132bが設けられている。
【0037】
これにより、第2連結部材13の基端部13b側の位置決めガイド132bを、鋼板2b内側の取り付け孔21b内側に挿入することにより、第2連結部材13を鋼板2b内側の取り付け孔21bに確実に嵌めた後に、第2連結部材13と鋼板2b内側とを溶接できるので、より正確な位置合わせが可能になる。
【0038】
図6(c)は、鋼板2bに第2連結部材13の基端部13bを溶接ではなく、図6(d)に示すネジ結合環18を用いた場合の連結方法を示している。
【0039】
つまり、図6(c)に示す場合、第2連結部材13の凹部132内周面には、雌ネジ部132cが形成されている。
【0040】
その一方、ネジ結合環18には、図6(c),(d)に示すように、ボルト14が挿入される挿入孔18bが形成されていると共に、先端外周面には雄ネジ部18aが形成されている一方、後端には取り付け孔21bの内径より大きい外径の頭部18cとが形成されている。そのため、ネジ結合環18の雄ネジ部18aを、取り付け孔21bを介して鋼板2bの外側から第2連結部材13の凹部132に挿入し、凹部132の雌ネジ部132cにネジ結合して、頭部18cが鋼板2bの表面に当たるまで回転させると、溶接を用いなくても、鋼板2bに第2連結部材13の基端部13b側を固定することができる。
【0041】
従って、本実施の形態1の鋼板連結装置1によれば、対向配置された鋼板2a,2bを連結する際に、クレーン等で吊り上げた一方の鋼板2a等が揺れたり、撓む等して、その鋼板2aに取り付けた連結棒11先端の第1連結部材12の位置が、対応する第2連結部材13の位置と多少ずれていても、第1連結部材12先端の被ガイド部123が第2連結部材13のガイド部131に案内されて嵌るので、それらの案内作用により、第1連結部材12を対応する第2連結部材13に容易に嵌めることができると共に、しかもネジ結合部材14によるネジ結合により確実に連結することができ、作業性を向上させることが可能となる。
【0042】
特に、本実施の形態1の鋼板連結装置1では、第2連結部材13の鋼板2b内側となる基端部13b側には、ボルト14により固定した際に、ボルト14の頭部14bが鋼板2bの表側から突出しないように、ボルト14の頭部14bが埋まる大きさおよび深さの凹部132を形成しているので、ボルト14の頭部14bが鋼板2b表面側から突出することを防止することが可能となり、鋼板2bの表側の意匠性を向上させることができる。
【0043】
なお、前記の説明では、ネジ結合部材としてネジ部14aと頭部14bとを有するボルト14により説明したが、本発明では、これに限らず、図7(a)に示すように、全ネジボルト14a’とナット14b’でも良いし、さらには、図7(b)に示すように、頭部14b”に六角レンチ(図示せず。)用の凹部14c”が形成された六角穴付きボルト14”等でも勿論よく、要は、第1連結部材12と第2連結部材13とを介して、連結棒11を鋼板2bにネジ結合できるものであれば良い。
【0044】
実施の形態2.
次に、実施の形態2の鋼板連結装置2について説明する。なお、実施の形態2の鋼板連結装置2では、前記実施の形態1の鋼板連結装置1とは、第1連結部材12’および第2連結部材13’の形状が異なるだけであるので、実施の形態2の第1連結部材12’および第2連結部材13’の形状についてのみ説明する。
【0045】
図8(a),(b)は、それぞれ、本実施の形態2の鋼板連結装置2の第1連結部材12’および第2連結部材13’の断面図である。
【0046】
つまり、実施の形態1の鋼板連結装置1では、図4等に示すように、第1連結部材12には、その基端部12bから先端部12aに向かうに従い先細形状のテーパー面123aを有する被ガイド部123を形成する一方、第2連結部材13には、その先端部13aから基端部13bに向かうに従い内径が小さくなる、いわゆるすり鉢形状のテーパー面131aを有するガイド部131を形成して説明した。
【0047】
これに対し、実施の形態2の鋼板連結装置2では、実施の形態1とは逆に、第1連結部材12’の先端部12a’側には、図8(a)に示すように、先端部12a’側から基端部12b’側に向かうに従い内径が小さくなる、いわゆるすり鉢形状のテーパー面123a’を有する被ガイド部123’を形成する一方、第2連結部材13’には、図8(b)に示すように、その基端部13b’側から先端部13a’側に向かうに従い外径が細くなる先細形状のテーパー面131a’を有するガイド部131’を形成している。そして、本実施の形態2の場合、ネジ結合部材であるボルト14等が第2連結部材13’を介し第1連結部材12’にネジ結合されるように、第2連結部材13’の中心に先端部13a’側と基端部13b’側の凹部132とを貫通する貫通孔133’が形成されている。
【0048】
これにより、実施の形態1の場合と同様に、対向配置された鋼板2a,2bを連結する際に、連結棒11が取り付けられた鋼板2aをクレーン等により下ろして、第2連結部材13’が取り付けられた鋼板2bに組み付ける際、第1連結部材12’先端のすり鉢形状の被ガイド部123a’が第2連結部材13’先端の先細形状のガイド部131’に案内されて所定の位置に嵌ることになる。
【0049】
従って、本実施の形態2の鋼板連結装置2によれば、対向配置された鋼板2a,2bを連結する際に、前記実施の形態1の鋼板連結装置1と同様に、クレーン等で吊り上げた一方の鋼板2a等が揺れたり、撓む等して、その鋼板2aに取り付けた連結棒11先端の第1連結部材12’の位置が、対応する第2連結部材13’の位置と多少ずれていても、それらの案内作用により、連結棒11先端の第1連結部材12’を対応する第2連結部材13’に容易に案内し、しかもネジ結合部材14によるネジ結合により確実に連結するので、作業勝手を向上させることができると共に、ボルト頭部等が鋼板2b表面側から突出しないので、意匠性を向上させることができる。
【0050】
なお、前記実施の形態1,2の説明では、鋼板2a側をクレーン等で吊り上げるものとして説明したが、本発明では、これに限らず、鋼板2b側をクレーン等で吊り上げるようにしても勿論よい。
【符号の説明】
【0051】
1、2 鋼材連結装置
11 連結棒
11a 先端部
11a1 雄ネジ部
11b 基端部
12,12’ 第1連結部材
12a 先端部
12b 基端部
121 雌ネジ部
122 ネジ孔
123,123’ 被ガイド部
123a,123a’ テーパー面
13,13’ 第2連結部材
13a 先端部
13b 基端部
131,131’ ガイド部
131a,131a’ テーパー面
132 凹部
133,133’ 貫通孔
132b 位置決めガイド
14 ボルト(ネジ結合部材)
14’ ナット(ネジ結合部材)
14” 六角穴付きボルト(ネジ結合部材)
16 スタッド
17 ナット
18 ネジ結合環
18a 雄ネジ部
18b 挿入孔
18c 頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された鋼板を連結する連結棒と、
前記連結棒先端に基端部側が取り付けられ、ネジ孔を有すると共に、先端部側に被ガイド部が形成された第1連結部材と、
前記鋼板の内側の取り付け孔周縁に基端部側が固定される一方、先端部側に前記第1連結部材の前記被ガイド部を案内して嵌めるガイド部が形成された第2連結部材と、
前記鋼板の表側から前記取り付け孔に挿入され、前記第2連結部材を介し、前記第1連結部材の前記ネジ孔にネジ結合するネジ結合部材と、
を有することを特徴する鋼板連結装置。
【請求項2】
請求項1記載の鋼板連結装置において、
前記第2連結部材の基端部側には、前記ネジ結合部材が前記第1連結部材の前記ネジ孔に挿入されネジ結合した際に、前記ネジ結合部材が前記鋼板の表側から突出しないように前記ネジ結合部材が埋まる大きさおよび深さの凹部が形成されている、
ことを特徴する鋼板連結装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の鋼板連結装置において、
前記第1連結部材の先端部側には、当該第1連結部材の基端部側から先端部側に向かうに従い外径が細くなる先細形状のテーパー面を有する前記被ガイド部が形成されている一方、
前記第2連結部材の先端部側には、前記第1連結部材の先細形状のテーパー面を有する前記被ガイド部が案内されて嵌るように、当該第2連結部材の先端部側から基端部側に向かうに従い内径が小さくなる、すり鉢形状のテーパー面を有する前記ガイド部が形成されている、
ことを特徴とする鋼板連結装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載の鋼板連結装置において、
前記第1連結部材の先端部側には、当該第1連結部材の先端部側から基端部側に向かうに従い内径が小さくなる、すり鉢形状のテーパー面を有する前記被ガイド部が形成されている一方、
前記第2連結部材の先端部には、前記第1連結部材のすり鉢形状のテーパー面を有する前記被ガイド部が案内されて嵌るように、当該第2連結部材の基端部側から先端部側に向かうに従い外径が細くなる先細形状のテーパー面を有する前記ガイド部が形成されている、
ことを特徴とする鋼板連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−57307(P2012−57307A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198821(P2010−198821)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000000446)岡部株式会社 (277)