説明

鋼管柱

【課題】照明や信号と共に変圧器を一つの鋼管柱に設ける場合に、変圧器と鋼管内部の配線が容易で且つ変圧器の位置を低くすることが可能な鋼管柱を提供する。
【解決手段】照明16や信号と共に変圧器30を一つの鋼管柱に設ける場合に、地面に対して鉛直又はほぼ鉛直に立設された鋼管主柱1の頂部に変圧器30を搭載し、鋼管主柱1の中間部分側方に取付けられた鋼管支柱15に照明16及び信号の少なくとも何れか一方を取付けることにより、変圧器30と鋼管主柱1内部の配線が容易になり、同時に変圧器30の位置を低くすることが可能となる。また、鋼管支柱を、鋼管主柱から上方又は斜め上方に立設することで、照明16又は信号の高さを確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱、信号機、照明などに使用される鋼管柱に関するものであり、特に地中配電の端末部で高圧を低圧に変圧する変圧器を搭載するのに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
道路或いは道路周辺の地面には、電柱や信号機、照明などの柱状物が立設されている。電柱は、従来、空中配電の電線を支持すると共に変圧器を搭載し、その変圧器で高圧を低圧に変圧して家屋に配電するためのものであった。しかしながら、近年、地中配電が広まるにつれて電柱は電線を支持する必要がなくなってきている。そこで、電柱と信号機、照明の機能を一つにまとめた鋼管柱が考えられている。例えば、下記特許文献1に記載される鋼管柱は、既存の照明柱或いは信号柱或いは照明・信号柱の上端部に、個別の鋼管短柱を差し込み接続し、その鋼管短柱の側方に変圧器を取付け、鋼管短柱に設けた側穴を通して変圧器と鋼管短柱内部の配線をやりとりするようにしている。
【特許文献1】特開2000−166067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1に記載される鋼管柱では、鋼管短柱の側方に変圧器を取付け、鋼管短柱に設けた側穴を通して変圧器と鋼管短柱内部の配線をやりとりするようにしているため、この側穴を通した配線が極めて面倒である。また、既存の照明柱或いは信号柱或いは照明・信号柱の上端部に鋼管短柱を差し込み接続し、その鋼管短柱の側方に変圧器を取付けるため、変圧器の位置が高くなりすぎてしまう。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、照明や信号と共に変圧器を一つの鋼管柱に設ける場合に、変圧器と鋼管内部の配線が容易で且つ変圧器の位置を低くすることが可能な鋼管柱を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の鋼管柱は、照明や信号と一緒に変圧器も取付け可能な鋼管柱であって、地面に対して鉛直又はほぼ鉛直に立設され且つ頂部に変圧器が搭載される鋼管主柱と、前記鋼管主柱の側方に取付けられ且つ照明及び信号の少なくとも何れか一方が取付けられる前記鋼管主柱側より高さの高い鋼管支柱とを備えたことを特徴とするものである。
また、前記鋼管支柱は、鋼管主柱から上方又は斜め上方に立設されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
而して、本発明の鋼管柱によれば、照明や信号と共に変圧器を一つの鋼管柱に設ける場合に、地面に対して鉛直又はほぼ鉛直に立設された鋼管主柱の頂部に変圧器を搭載し、鋼管主柱の中間部分側方に取付けられた鋼管支柱に照明及び信号の少なくとも何れか一方を取付ける構成としたため、変圧器と鋼管主柱内部の配線が容易になり、同時に変圧器の位置を低くすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の鋼管柱の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の鋼管柱の全体図であり、図1aは左側面図、図1bは正面図である。図柱の符号1は、地面に対して鉛直又はほぼ鉛直に立設された鋼管主柱である。この鋼管主柱1は、下部の大径鋼管2と、その上方に接続された小径鋼管3とからなり、大径鋼管2の下端部には地面立設時の安定性を確保するためのベースプレート4が取付けられ、ベースプレート4と大径鋼管2の間に複数の補強用リブ5が設けられている。
【0007】
また、この鋼管主柱1には、所謂電柱として機能するために種々の装備が設けられており、例えば大径鋼管2の下端部基部には地中配電線の取込み部の工事及び点検を行う電力用開口部6が設けられ、その上方には、安定器収納箱7が設けられている。なお、電力用開口部6と安定器収納箱7は共用として単一のものであっても構わない。また、小径鋼管3の下部には点検口8が設けられ、その上方には引込線用腕金9が設けられている。更に、この引込線用腕金9の上方には、図示しない取付金具を介してヒューズボックス10が設けられている。そして、小径鋼管3の上端部近傍には、後述する変圧器との間に配線される高圧ケーブルの高圧ケーブルカバー11、低圧ケーブルの低圧ケーブルカバー12が設けられている。ケーブルカバー11,12は、何れも小径鋼管3に形成されている、図示しない開口部を覆うように取付けられており、何れも下方がすぼまるテーパ状に形成されている。
【0008】
鋼管主柱1の上端部、即ち小径鋼管3の頭頂部には、取付フランジ13を介して変圧器30が搭載、取付けられる。変圧器30のケーブル類は、前記高圧ケーブルカバー11、低圧ケーブルカバー12内に収納される。ケーブルカバー11,12内に収納されたケーブルは、前述のように、ケーブルカバー11,12で覆われた開口部から小径鋼管3、即ち鋼管主柱1の内部に導かれるが、ケーブルカバー11,12の下方がすぼまっていることから、ケーブル類は鋼管主柱1に対して斜め上方からケーブルカバー11,12にガイドされながら滑らかに導入される。また、本実施形態では、鋼管主柱1の上端部に変圧器30を直接搭載するようにしたため、変圧器30の搭載高さは自由となり、作業性を考慮する場合、変圧器30の位置は7〜10m程度の高さに低く抑えることが可能となる。
【0009】
即ち、鋼管柱の頂部或いは鋼管柱の照明灯などの設置位置近傍の位置の側方に鋼管柱とは偏在させて変圧器を配置している従来例に対し、本実施形態の鋼管柱は、変圧器30の頂部に搭載する第1の柱(鋼管主柱1)と、照明及び信号の少なくとも何れか一方が取付けられる、第1の柱より高さが高い第2の柱(鋼管支柱15)とから鋼管柱が構成されるものである。第1の柱の頂部に変圧器30が搭載されているため、前述のようにケーブル類の取り扱いは、第1の柱内部に取り込まれ配線が容易となる。また、変圧器30は、重量が600〜900kgに達する重量物であり、鋼管柱及びその付属物(照明や信号)に比べて非常に重い重量物となるもので、この最大の重量物である変圧器30が、第1の柱を構成する鋼管主柱1の頂部に搭載されることから、両者の重心位置を一致させやすく、構造物としたとき、頑丈で、曲がりや変形並びに道路などの車両通行に伴う振動から鋼管柱の揺れを少なく抑えることができ、座屈することがない構造物となる。
【0010】
第2の柱を構成する、鋼管主柱1の側方に取付けられ、照明及び信号の少なくとも何れか一方が取付けられる鋼管支柱は、前記変圧器30より軽量であり、高さ12〜14mに達する鋼管支柱でも150kg以下の重量として配置することができる。この鋼管支柱は、次のように鋼管主柱1に取付けられる。即ち、前記鋼管主柱1を構成する小径鋼管3の中間部分側方には、フランジ連結構造14を介して鋼管支柱15が取付けられている。この鋼管支柱15は、鋼管主柱1とは個別に、照明や信号を取付けるためのものであり、本実施形態では、フランジ連結構造14から鉛直に立設される鋼管支柱15を鋼管主柱1から離れる方向に少し湾曲して取付け、その高さを前記鋼管主柱1側より高さを高くして、その上端部から側方に取付鋼管17を突設し、その取付鋼管17の先端部に所定の高さとなるように照明16が取付けられている。全体として、鋼管支柱15は、鋼管主柱1から上方又はほぼ上方に立設されている。
【0011】
図2には、フランジ連結構造14の詳細を示す。このフランジ連結構造14は、鋼管18及びリブ19を介して鋼管主柱1、具体的には小径鋼管3から突設された主柱側フランジ20と、鋼管支柱15に取付けられた支柱側フランジ21とを、図示しないボルト・ナット等の締結部材で締結して構成されている。鋼管支柱15は、底蓋23で底が閉じられた筒部材22内に収納され、この筒部材22に支柱側フランジ21が溶接などにより固定されている。鋼管支柱15の下端部には支柱側穴24が開設され、筒部材22にも筒側穴25が開設されている。この支柱側穴24及び筒側穴25は、主柱側フランジ20の鋼管18に対向しており、これらの穴24,25及び鋼管18の内部を通じて、鋼管支柱15内部に通じる照明用配線がなされている。
【0012】
図3,図4には、鋼管支柱15の他の形態例を示す。図1の鋼管支柱15は、鋼管主柱1から遠ざかるように緩やかに湾曲し、その上端部から側方に取付鋼管17を突設し、その取付鋼管17の先端部に照明16を取付けている。図3は、フランジ連結構造14から鉛直に立設した鋼管支柱15の上端部を、鋼管主柱1から遠ざかるように直角に折り曲げ、その折り曲げ先端部に照明16を取付けている。また、図4は、鋼管支柱15全体を、鋼管主柱1から遠ざかるように緩やかに且つ直交方向に湾曲し、その湾曲先端部に直接照明16を取付けている。照明用配線は鋼管支柱15及び取付鋼管17内部に配されている。鋼管支柱15の形態は、これらの限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定すればよい。また、勿論、鋼管支柱15に取付けられるのは、照明だけでなく、信号を取付けたり、信号と照明を取付けたりすることも可能である。
また、前記実施形態では、変圧器30のケーブル類をケーブルカバー11,12を介して、鋼管主柱1に斜め上方から導入するようにしたが、これらケーブル類を鋼管主柱1の内部にまっすぐ差し込むようにしてもよく、そのようにすればケーブル類の内部配線がより一層容易になる。
【0013】
このように本実施形態の鋼管柱によれば、照明や信号と共に変圧器を一つの鋼管柱に設ける場合に、地面に対して鉛直又はほぼ鉛直に立設された鋼管主柱1の頂部に変圧器30を搭載し、鋼管主柱1の中間部分側方に取付けられた鋼管支柱15に照明16及び信号の少なくとも何れか一方を取付けることにより、変圧器30と鋼管主柱1内部の配線が容易になり、同時に変圧器30の位置を低くすることが可能となる。
また、鋼管支柱を、鋼管主柱から上方又は斜め上方に立設することで、照明16又は信号の高さを確保することができる。
なお、鋼管主柱、鋼管支柱は円筒缶である円形に限るものでなく、角形、多角形何れでも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の鋼管柱の一実施形態を示す全体図であり、(a)は左側面図、(b)は正面図である。
【図2】図1の鋼管柱のフランジ連結構造の詳細図である。
【図3】図1の鋼管支柱の他の形態例である。
【図4】図1の鋼管支柱の更に他の形態例である。
【符号の説明】
【0015】
1は鋼管主柱、2は大径鋼管、3は小径鋼管、4はベースプレート、5はリブ、6は電力用開口部、7は安定器収納箱、8は点検口、9は引込線用腕金、10はヒューズボックス、11は高圧ケーブルカバー、12は低圧ケーブルカバー、13は取付フランジ、14はフランジ連結構造、15は鋼管支柱、16は照明、17は取付鋼管、18は鋼管、19はリブ、20は主柱側フランジ、21は支柱側フランジ、22は筒部材、23は底蓋
24は支柱側穴、25は筒側穴、30は変圧器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明や信号と一緒に変圧器も取付け可能な鋼管柱であって、地面に対して鉛直又はほぼ鉛直に立設され且つ頂部に変圧器が搭載される鋼管主柱と、前記鋼管主柱の側方に取付けられ且つ照明及び信号の少なくとも何れか一方が取付けられる前記鋼管主柱側より高さの高い鋼管支柱とを備えたことを特徴とする鋼管柱。
【請求項2】
前記鋼管支柱は、鋼管主柱から上方又は斜め上方に立設されることを特徴とする請求項1に記載の鋼管柱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−124633(P2010−124633A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297255(P2008−297255)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(594109657)水島ゼネラルサービス株式会社 (6)
【出願人】(592250698)株式会社四電技術コンサルタント (15)
【Fターム(参考)】