説明

長尺物立設保持具

【課題】本発明は、商品価値の高い長尺物立設保持具を提供することを目的とする。
【解決手段】長尺物1を立設状態で保持するためのものであって、所定高さ位置Pに配される基体2の左右位置に一対の起伏体3,4が設けられ、この起伏体3,4の倒伏状態における対向間隔は前記長尺物1の径より小さい間隔に設定され、この起伏体3,4同士の間に前記長尺物1を握持して下方から挿入し該起伏体3,4を起立状態とした後、前記握持をやめると、前記起伏体3,4と該長尺物1との接触摩擦及び該長尺物1の自重により該起伏体3,4は倒伏状態へ向かい、該長尺物1は挟持されて立設状態で保持されるように構成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺物立設保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば農作業で使用される鋤や鍬などの長い柄(長尺物)を有する農耕具は、不使用時に、建物の壁面に立て掛けて保管しておくのが一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述したように単に壁面に立て掛けただけの農耕具は、何らかの原因で倒れてしまう場合が多く、邪魔になったり、乱雑な保管状態となり体裁が悪いとされる。
【0004】
本発明は、上述の問題点を解消する、極めて商品価値の高い画期的な長尺物立設保持具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0006】
長尺物1を立設状態で保持するためのものであって、所定高さ位置Pに配される基体2の左右位置に一対の起伏体3,4が設けられ、この起伏体3,4の倒伏状態における対向間隔は前記長尺物1の径より小さい間隔に設定され、この起伏体3,4同士の間に前記長尺物1を握持して下方から挿入し該起伏体3,4を起立状態とした後、前記握持をやめると、前記起伏体3,4と該長尺物1との接触摩擦及び該長尺物1の自重により該起伏体3,4は倒伏状態へ向かい、該長尺物1は挟持されて立設状態で保持されるように構成されていることを特徴とする長尺物立設保持具に係るものである。
【0007】
また、長尺物1を立設状態で保持するためのものであって、所定高さ位置Pに配される基体2の左右位置に一対の起伏体3,4が設けられ、この起伏体3,4の倒伏状態における対向間隔は前記長尺物1の径より小さい間隔に設定され、この起伏体3,4は常時倒伏状態となるように付勢されており、この起伏体3,4の間に前記長尺物1を挿入し該起伏体3,4を起立状態とした場合、該起伏体3,4は前記付勢力により倒伏状態へ向かい、該長尺物1は挟持されて立設状態で保持されるように構成されていることを特徴とする長尺物立設保持具に係るものである。
【0008】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の長尺物立設保持具において、前記長尺物1は鋤や鍬などの農耕具の柄であることを特徴とする長尺物立設保持具に係るものである。
【0009】
また、請求項1〜3いずれか1項に記載の長尺物立設保持具において、前記起伏体3,4は軸5,6を中心に回転することで倒伏状態から起立状態となるものであることを特徴とする長尺物立設保持具に係るものである。
【0010】
また、請求項1〜4いずれか1項に記載の長尺物立設保持具において、前記起伏体3,4同士は歯車機構9を介して連動するように構成されていることを特徴とする長尺物立設保持具に係るものである。
【0011】
また、請求項1〜5いずれか1項に記載の長尺物立設保持具において、前記起伏体3,4の軸5,6はその軸方向が前記基体2の正背面方向に設定されており、前記起伏体3,4により挟持される前記長尺物1が該起伏体3,4の正面方向に移動して該起伏体3,4から抜け脱可能に構成されていることを特徴とする長尺物立設保持具に係るものである。
【0012】
また、請求項1〜6いずれか1項に記載の長尺物立設保持具において、前記起伏体3,4夫々の少なくとも前記長尺物1に当接する当接部はゴム製であることを特徴とする長尺物立設保持具に係るものである。
【0013】
また、請求項1〜7いずれか1項に記載の長尺物立設保持具において、前記起伏体3,4夫々の対向面は正面視において上側程内方へ突出するRテーパー形状に形成されていることを特徴とする長尺物立設保持具に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、長尺物を確実に立設状態で保持することができ、従来から生じていた問題点は確実に解消されることになり、しかも、この長尺物を立設状態で保持させる操作が起伏体同士の間に長尺物を挿入するだけであるから、長尺物の立設状態の保持が簡易且つ迅速に達成されることになるなど極めて商品価値の高い画期的な長尺物立設保持具となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0016】
起伏体3,4同士の間に長尺物1を手で握持して下方から挿入し該起伏体3,4を起立状態とした後、手を離すと、自重により長尺物1は落下し、その際、起伏体3,4と該長尺物1との接触摩擦により該起伏体3,4は引っ張られて倒伏状態へ向かい、該長尺物1は該起伏体3,4に挟持されて立設状態で保持される。
【0017】
従って、長尺物1を確実に立設状態で保持することができ、しかも、この長尺物1における立設状態の保持が簡易且つ迅速に達成されることになる。
【実施例】
【0018】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0019】
本実施例は、鋤や鍬などの農耕具の柄(長尺物1)を立設状態で保持するためのものである。
【0020】
具体的には、基体2とこの基体2に設けられる起伏体3,4とで構成されている。
【0021】
基体2は、図1,2に図示したように適宜な合成樹脂製の部材で形成したものであり、板状の基板部2Aと、この基板部2Aの正面左右位置に突設される突出部2Bとで構成されている。
【0022】
この基板部2Aは、図2に図示したようにその背面上下縁部に後述するガイド体10のガイド凹溝10aにスライド移動自在に係止連結し得るスライド突部2aが設けられている。
【0023】
突出部2Bは、図2に図示したように先端部が内方に折曲形成されており、この突出部2Bの先端部2bの内面と基板部2Aの正面との対向位置には起伏体3,4に設けられる軸5,6を嵌合する軸受部7,8が設けられている。
【0024】
ガイド体10は、図1,3に図示したように適宜な金属製の部材で形成した長尺板材であり、その上下縁が正面側に折曲形成されてガイド凹溝10aが形成されている。
【0025】
このガイド凹溝10aは、前述した基板部2Aのスライド突部2aが係止し得るように構成されている。
【0026】
従って、基体2はこのガイド体10の長さ方向にスライド移動自在となり、複数の基体2をガイド体10に設けて複数の長尺物1を立設状態で保持することとした場合、長尺物1同士が干渉しあわないように間隔を調節して保管することができることになる。
【0027】
起伏体3,4は、基体2に回動自在に連結する回動軸部3A,4Aとこの回動軸部3A,4Aに設けられる挟持当接部3B,4Bとで構成されている。
【0028】
回動軸部3A,4Aは、図2に図示したように適宜な合成樹脂製の部材で形成したものであり、その偏平状に形成された基部3aの前後端部には、前述した基体2に係る突出部2Bと基板部2Aの対向位置に設けた軸受部7,8に嵌合する軸5,6が突設されている。
【0029】
また、回動軸部3A,4Aは、基部3aの後端部に放射方向に歯11a,12aが形成される扇形状の歯車部11,12が設けられている。
【0030】
この歯車部11,12は、基体2の左右位置に起伏体3,4を設けた際、夫々の歯11a,12aが歯合する歯車機構9として構成されており、この歯車機構9により起伏体3,4同士は連動するように構成されている。
【0031】
従って、両起伏体3,4は、左右対称(均等)に起伏することになり長尺物1の受け入れ及び挟持が最適に行われる。
【0032】
また、この歯車部11,12は、基体2に設けて回動させた際、突出部2Bの内面に当たり、その回動が90度しか回動しないように規制されている。従って、挟持当接部3B,4Bは、上面が水平状態から垂直状態となるまでの間でのみ回動するように構成されている。
【0033】
また、歯車部11,12は、図2,7に図示したようにその裏面に付勢体13が設けられており、この付勢体13は、常時起伏体3,4を倒伏方向へ付勢するように構成されている。尚、付勢体13は一端が基体2へ係止され、他端が起伏体3,4(回動軸部3A,4A)に係止され、中央巻回部は軸5,6に被嵌されている。
【0034】
挟持当接部3B,4Bは、図2に図示したように適宜な摩擦抵抗の高い合成樹脂製の部材(ゴム部材)で形成したカバー体であり、回動軸部3A,4Aの基部3aに被嵌し得るように該基部3aと同形状に設けられており、その前端部には基部3aの前端部に設けた軸5,6を突出状態に貫通せしめる窓孔3b,4bが形成されている。
【0035】
また、挟持当接部3B,4Bは、その側面にして左右の起伏体3,4夫々の互いに対向する面は正面視において上側程内方へ突出するRテーパー形状に形成されている。
【0036】
従って、Rテーパー形状により、この起伏体3,4同士の間に長尺物1を下方から挿入する作業が円滑に行なわれることになる。
【0037】
また、起伏体3,4同士の正面側には何ら部材等がないから、起伏体3,4同士で挟持保持された長尺物1を正面側へ引き抜くことで該起伏体3,4間から該長尺物1を抜き出すことが可能となる(この抜き出しも考慮して挟持当接部3B,4Bの摩擦抵抗を設定する。)。勿論、手で起伏体3,4を回動させ、長尺物1を上下方向に引動することで起伏体3,4の間から該長尺物1を抜き出しても良い。
【0038】
また、起伏体3,4は、基体2に設けた際、該起伏体3,4の倒伏状態の対向間隔は長尺物1の径より小さい間隔に設定され、また、起立状態となるに従い対抗間隔は広くなるように設定されている。
【0039】
本実施例は上述のように構成したから、起伏体3,4同士の間に長尺物1を握持して下方から挿入し該起伏体3,4を起立状態とすると、起伏体3,4は付勢体13の付勢力により倒伏状態へ向かうから、該長尺物1は挟持されて立設状態で保持される(図4〜6参照)。
【0040】
そして、該長尺物は自重及び起伏体3,4の接触摩擦により確実に挟持される。
【0041】
よって、本実施例によれば、鋤の柄や鍬の柄などの長尺物1を確実に立設状態で保持することができ、しかも、この長尺物1における立設状態の保持が簡易且つ迅速に達成されることになる。
【0042】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施例の使用状態説明図である。
【図2】本実施例の分解斜視図である。
【図3】本実施例に係る要部の説明図である。
【図4】本実施例の動作説明図である。
【図5】本実施例の動作説明図である。
【図6】本実施例の動作説明図である。
【図7】本実施例に係る要部の動作説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1 長尺物
2 基体
3 起伏体
4 起伏体
5 軸
6 軸
9 歯車機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺物を立設状態で保持するためのものであって、所定高さ位置に配される基体の左右位置に一対の起伏体が設けられ、この起伏体の倒伏状態における対向間隔は前記長尺物の径より小さい間隔に設定され、この起伏体同士の間に前記長尺物を握持して下方から挿入し該起伏体を起立状態とした後、前記握持をやめると、前記起伏体と該長尺物との接触摩擦及び該長尺物の自重により該起伏体は倒伏状態へ向かい、該長尺物は挟持されて立設状態で保持されるように構成されていることを特徴とする長尺物立設保持具。
【請求項2】
長尺物を立設状態で保持するためのものであって、所定高さ位置に配される基体の左右位置に一対の起伏体が設けられ、この起伏体の倒伏状態における対向間隔は前記長尺物の径より小さい間隔に設定され、この起伏体は常時倒伏状態となるように付勢されており、この起伏体の間に前記長尺物を挿入し該起伏体を起立状態とした場合、該起伏体は前記付勢力により倒伏状態へ向かい、該長尺物は挟持されて立設状態で保持されるように構成されていることを特徴とする長尺物立設保持具。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の長尺物立設保持具において、前記長尺物は鋤や鍬などの農耕具の柄であることを特徴とする長尺物立設保持具。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項に記載の長尺物立設保持具において、前記起伏体は軸を中心に回転することで倒伏状態から起立状態となるものであることを特徴とする長尺物立設保持具。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項に記載の長尺物立設保持具において、前記起伏体同士は歯車機構を介して連動するように構成されていることを特徴とする長尺物立設保持具。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項に記載の長尺物立設保持具において、前記起伏体の軸はその軸方向が前記基体の正背面方向に設定されており、前記起伏体により挟持される前記長尺物が該起伏体の正面方向に移動して該起伏体から抜け脱可能に構成されていることを特徴とする長尺物立設保持具。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか1項に記載の長尺物立設保持具において、前記起伏体夫々の少なくとも前記長尺物に当接する当接部はゴム製であることを特徴とする長尺物立設保持具。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか1項に記載の長尺物立設保持具において、前記起伏体夫々の対向面は正面視において上側程内方へ突出するRテーパー形状に形成されていることを特徴とする長尺物立設保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−319405(P2007−319405A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152833(P2006−152833)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(391005134)オギハラ工業株式会社 (4)