説明

閉鎖空間内の煙エアロゾル除去剤、装置及びこの装置を用いた閉鎖空間内の煙エアロゾルの除去方法

【課題】従来有効な技術が存在しなかった閉鎖空間内の火災の煙などを速やかに該空間から除去・解毒する薬剤、装置及び方法を提供する。
【解決手段】密閉空間での相対湿度が60%以下であり、常温で飽和又は飽和濃度の30%以上の濃度の吸湿性化合物水溶液を含有することを特徴とする閉鎖空間内の煙エアロゾルの除去剤、この除去剤を含浸させた親水性の粒状多孔性物質からなる気液接触層(A)を備えることを特徴とする閉鎖空間内の煙エアロゾル除去装置及びこの除去装置を用いた、閉鎖空間内の煙エアロゾルを除去する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気の流入がほとんどないか限られている閉鎖空間(以下、閉鎖空間という)、及びトンネル内の自動車道(以下トンネル内という)の煙、さらに随伴する煙以外の有害気体や有害エアロゾルの除去剤、除去装置及び除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
汚染気体、特に汚染空気の清浄化法として、バグフィルタ−法、電気集塵法、種々の燃焼法、光触媒法、微生物分解法、粒状活性炭の通過/接触法、水性薬液による洗浄法などが広く実施されているが、これらの方法は、火災及びトンネル内の自動車道の煙及びその他の有害随伴物の同時分離には全く効果がなかった。
しかし閉鎖空間の火災の煙と特定しない、煙の場合、相対湿度が約70%以下、好ましくは60%以下の解放空間内の煙及びその他の有害随伴物の除去に関して、例えば特許文献1で示された薬剤による噴霧法が提案され、既に実用化されているが、この方法では水性薬液の噴霧により相対湿度が急上昇する閉鎖空間内では、消煙効果がなくなる欠点があった。長いトンネル内の排煙も同一原理の排気法が採用されているが大気汚染の原因の一つとなっている。
これ以外の実用性のある唯一の伝統的な方法は、煙が充満した閉鎖空間内に排気ポンプに直結した排煙管で煙及びその他の有害随伴物を吸引し、そのまま外部に放出する方法であった。
しかし、閉鎖空間に充満する煙により、視野を失ない脱出できず、内外で殉職する消防士や火災遭遇者の犠牲者が極めて多数であることは、このような排煙法の限界を示している。また長距離のトンネル内に充満する自動車の排煙や有機気体の除去は、通行者の健康に悪影響を及ぼし、トンネル内の火災で多くの犠牲者が発生した多くの記録がある。
【特許文献1】特開平2−149310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来有効な技術が存在しなかった閉鎖空間内の火災の煙などを速やかに該空間から除去・解毒する薬剤、装置及び方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記した種々の汚染空気の清浄化法の転用によって、閉鎖空間での煙の除去について内外の成功例が全くないことを調査の上で確認し、下記のような仮説をたてた。そして種々の消煙実験を行なった結果、本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち本発明は、密閉空間での相対湿度が60%以下であり、常温で飽和又は飽和濃度の30%以上の濃度の吸湿性化合物水溶液を含有することを特徴とする閉鎖空間内の煙エアロゾルの除去剤を提供するものである。また本発明は、密閉空間での相対湿度が60%以下であり、常温で飽和又は飽和濃度の30%以上の濃度の吸湿性化合物水溶液を含有する煙エアロゾルの除去剤を含浸させた親水性の粒状多孔性物質からなる気液接触層(A)を備えることを特徴とする閉鎖空間内の煙エアロゾル除去装置を提供するものである。さらに本発明は、密閉空間での相対湿度が60%以下であり、常温で飽和又は飽和濃度の30%以上の濃度の吸湿性化合物水溶液を含有する煙エアロゾルの除去剤を含浸させた親水性の粒状多孔性物質からなる気液接触層(A)を備え、その上部に空気の吸気口(B)を備え、前記気液接触層(A)の下部に10cm以上分離して液溜層(D)を備えたエアロゾル除去装置に、前記装置外に設置した吸排気ポンプ(C)を結合し、前記吸排気ポンプ(C)により煙エアロゾルを含む空気を吸気口(B)から吸入し、前記気液接触層(A)に接触通過させることを特徴とする、閉鎖空間内の煙エアロゾルを除去する方法を提供するものである。
【0005】
本発明者が立てた前記仮説は次のとおりである。
すなわち本発明者らは、「閉鎖空間内での火災の煙の消煙において、発煙筒や火災初期のくすぶり段階で発生する粒径の小さい白い煙は、表面が強く酸化されて、強い親水性基を含み、さらに燃焼による水分が水和水として強固に結合しているため、ほとんど親和性がない界面活性剤水溶液や化学反応型洗浄剤による公知の水性洗浄法では煙を除去できない。また、環状炭化水素基を含む有機化合物を不完全燃焼させた時に発生する粒径が大きく凝集した黒い煙粒子も同様にかなり親水性で水和水が強固に結合しているため、公知の方法では煙を除去できない。これらの煙を除去するためには、これらの煙に結合している水和水を煙粒子から除去する必要がある。このためには、強力な除湿剤、例えば密閉容器の底に入れるとその上部の空間が常温で安定した低相対湿度を保てる薬剤の飽和水溶液の使用が最適である。」と仮説を立てた。
そして本発明者は種々実験を行うことによりこの仮説の正しさを確認した。
【発明の効果】
【0006】
本発明の煙エアロゾル除去剤は、気液接触材に含浸した後、濃厚な煙などを含む有害気体を送風機で吸引して通過させると、煙などを高率で除去・解毒して火災室内又は室外に排気し、室内の視野を回復して脱出方向を示すため、煙による死亡事故の減少に寄与する。
本発明の煙エアロゾル除去剤は、解毒剤を含ませることにより、煙などのほかに、同時に随伴する主な有害気体をも解毒することができる。
また本発明の装置を地下室、ホテル客室の廊下、旅客機、艦船など狭い空間用には単相電源と延長コ−ドを使用する可搬式の装置として使用することができ、また空港検疫所、地下鉄構内、大容量倉庫、山中や地下トンネルの自動車道等には、大風量、定置型大型装置として使用することができるので、大規模火災時での利用が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、密閉空間での相対湿度が60%以下であり、常温で飽和又は飽和濃度の30%以上の濃度の吸湿性化合物水溶液を含有する閉鎖空間内の煙エアロゾルの除去剤(以下煙除去剤という)に関するものである。
本発明に使用する吸湿性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化亜鉛、塩化マグネシウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、酢酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、燐酸、食塩と硝酸と硝酸ナトリウムとの混合物等が挙げられる。これらのうち、刺激性や強い腐食性がなく、環境に放流しても悪影響が低いもので特に消煙効果の点で、塩化カルシウム、酢酸カリウム、塩化マグネシウム及びこれらの混合物が好ましい。
吸湿性化合物水溶液の相対湿度が60%以下であれば、閉鎖空間での火災時などの煙エアロゾルを有効に除去することができる。相対湿度は、低いほど煙除去効果は優れる。吸湿性化合物水溶液が飽和濃度の時に相対湿度と消煙効果は最高になるので、できるだけ高濃度の水溶液を使用することが好ましい。すなわち吸湿性化合物水溶液は常温での飽和濃度の30%以上の濃度の水溶液で使用する。
【0008】
また本発明は、前記吸湿性化合物水溶液を含有する煙除去剤を含浸させた親水性の粒状多孔性物質からなる気液接触層(A)を備える閉鎖空間内の煙エアロゾル除去装置(以下煙除去装置という)に関するものである。
本発明に使用する粒状多孔性物質としては、耐水性紙質粒子、親水性の弾性連続気泡発泡体、親水性の吸水性活性炭、観賞用植物の土壌に混合される吸水性セラミック等が挙げられ、これらが好ましいものである。
【0009】
本発明で使用する耐水性紙質粒子とは、セルローズ質繊維の乾燥粉末から形成されたものに、耐水・耐薬品性と形状記憶性を与えたものである。例えばパルプ繊維の乾燥粉末を高速回転板容器に入れ、薄い糊液や水を滴下し、繊維を絡ませ、造粒・乾燥し、これをホルマール化して製造することができる。耐水性を付与していない未処理紙粒は、水中で振動・撹拌すると簡単に崩壊するので、本発明の粒状多孔性物質として使用するには適さない。
セルローズ質繊維としては、パルプ、綿、レーヨンなどが挙げられる。紙粒の直径は、特に制限されないが、3〜10mmの範囲が適している。さらに、紙の強度を低下させず、汚染気体の吸着・保水機能を低下させない範囲で、繊維に他の物質を混入することができる。
本発明の実施例・参考例の実験で使用した紙粒97粒平均の形状は下記表−1の形状の不規則な楕円体であり、吸湿性化合物水溶液中に浸漬して、マグネチックスタラ−で10日間撹拌しても崩壊・変形せず原形を維持した。乾燥した耐水処理紙粒1Lの個数:約5,980粒で、見掛け比重は約0.2である。
【0010】
【表1】

【0011】
紙質粒子に耐水性を付与する方法としては、気相ホルマ−ル化処理する方法、ジメチロ−ルエチレン尿素、ポリ(メタ)アクリルアミドのメチロール化物など繊維素架橋剤により処理する方法、ポリアクリル酸塩により処理する方法等が挙げられる。
気相ホルマ−ル化処理する方法は、乾燥した紙粒を密閉室内でホルムアルデヒドガスにより部分的にホルマ−ル化して、耐水・耐薬品性と形状記憶性を与えたものである。本処理紙粒を105℃×1時間の乾燥後に湿度80%で2日間放置後の吸湿率は7.75%(n:5)であったが、未処理紙粒は9.56%であり、本処理による吸水率低下は約20%であった。また耐水化紙粒を、水で完全に含浸し、ナイロンフィラメント製網状袋に入れて消煙器に収納し、積層高さ約30cmで1時間吸収した水を台座の水平の金網の下に滴下させた後の抱水率は耐水化処理紙粒重量の約180%であった。
【0012】
ジメチロ−ルエチレン尿素、ポリ(メタ)アクリルアミドのメチロール化物など繊維素架橋剤により処理する方法は、乾いた紙粒を、繊維素架橋剤、例えば純分換算で3.5%のN.N´ジメチロ−ルエチレン尿素などと反応触媒として0.2%の塩化アンモニウムとを含む水溶液に浸漬し、遠心脱水機でピックアップ100%に脱水した後、熱風循環式の乾燥機中で100℃で完全に乾燥した後、更に約130℃で20分間加熱することにより得られる。繊維素架橋剤としては、その他、N.N´ジメチロ−ルアセチレンモノウレイン、N.N´ジメチロ−ルプロピレン尿素等が挙げられる。
【0013】
本発明に使用する粒状多孔性物質として前記した弾性連続気泡発泡体は、連続気泡の方向を圧縮して通気性を与えた弾性発泡体であり、一方向に通気性を有するという特徴がある。
弾性連続気泡発泡体としては、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂製スポンジの圧縮物(以下メラミン樹脂スポンジ接触材という。)等が挙げられる。
メラミン樹脂スポンジ接触材は、スポンジの可撓性や弾性の向上などのため、メラミンの一部分をベンゾグアナミン、アセトグアナミン、スピログアナミンなどのトリアジン誘導体の1種以上で置換して共縮合したもの、その他共縮合可能なもの及び混合物を添加して縮合したものであってもよい。これらの製法や物性に関し下例の他多くの特許文献がある。例えば特開平3−231957号公報、特表平2004−510041号公報、特表平2004−510042号公報等が挙げられる。
【0014】
本発明で使用するメラミン樹脂スポンジ接触材は、通気性が生じるように、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂製スポンジを圧縮したものである。
このメラミン/ホルムアルデヒド樹脂製スポンジは、発明者が測定したところ、105℃で1時間乾燥直後の比重が0.0085で相対湿度80±5%で1週間放置した時の比重が0.0096、吸湿率は約11.29%、厚さ4cmであった。
このメラミン樹脂スポンジ接触材は、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂製スポンジを下記のように圧縮することにより得ることができる。すなわち、例えば、10cm×10cm×4cm(厚さ)の直方体のスポンジを冷水中に漬けて数回圧縮し、完全に脱気すると水中に沈むが、これを水平な金網に約10分間乗せ、水滴を落下させ含水率が約77%になったものも通気性がほとんどなかった。更にこれを水平に上面から均一に加重し、厚みを3.2cmまで圧縮し、含水率を約60.6%とした場合も通気性は得られなかった。しかし加重を更に増し、厚み、2.7cm以下まで圧縮し、含水率が50%以下となると通気性が増し、本発明の粒状多孔性物質として利用できる可能性を示した。圧縮前のスポンジの厚さが、4cm以上の場合は、厚さがおよそ50%以下になるように、連続気泡の方向に圧縮すると、本発明の目的に合致する通気性が生じるように調節できる。
【0015】
上記したメラミン樹脂スポンジ接触材等の粒状多孔性物質は、いずれも本発明に使用する気液接触材として有効である。また粒状多孔性物質のうち、例えば配電施設の火災の場合、電線やケ−ブルの火災のように、白煙に随伴するポリ塩化ビニ−ルの熱分解で生じる強刺激性の塩化水素ガスの濃度が高く、粘着性の有害エアロゾルの含有量が比較的少ない場合は、メラミン樹脂スポンジ接触材が最も好ましく、耐水性紙質粒子もこれに匹敵すると考えられる。また住宅やホテルのような火災の煙のように、室内の可燃物の種類が多く、煙エアロゾルとこれに随伴する上記の有害気体の他に合成樹脂類が熱分解で精製する粘着性の有害エアロゾルの濃度が高い場合は、耐水性紙質粒子が最も微細孔の目詰まりによる性能低下が生じ難いと考えられ、最も好ましいものと判断される。
また前記吸湿性化合物として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性化合物を用いない場合、吸湿性化合物の水溶液中に、さらにアルカリ金属の水酸化物、重炭酸塩、炭酸塩を含むことが好ましい。アルカリ水溶液を用いることにより、閉鎖空間における火災時に発生する煙エアロゾルと同時に、致死性乃至は強い刺激性有害気体及びエアロゾル(以下有害随伴物という)を解毒することができる。
【0016】
本発明者等は、このことを確認するため、下記(A)〜(C)ような有害随伴物について実験した。この結果、解毒法1〜4のとおり、アルカリ性化合物等を吸湿性化合物水溶液に含ませて煙除去剤として使用すると有害随伴物をも同時に除去できることを確認した。
【0017】
(A)シアン化水素(暴露限界:5ppm)と誘導体(例:アセトンシアノヒドリン:暴露限界4.7ppm)
発生源:発泡ポリウレタン製のクッション材や断熱材、毛織物、絹織物、アクリル繊維、ナイロン繊維類などの燃焼によって生成する。
解毒法1:チオ硫酸塩を加えたアルカリ水溶液を含む煙除去剤を本発明の煙除去装置に使用し、低毒性チオシアネ−ト塩にする。(最良)
解毒法2:pH11程度のアルカリ水溶液で本発明の煙除去装置で洗浄する。
解毒法3:pH11程度のアルカリに次亜塩素酸塩、塩化シアヌル酸塩等酸化剤を加えた液を使用する方法があるが、塩素臭が同伴し排出する欠点があるので1よりも劣る。
【0018】
(B)ハロゲン化水素
フッ化水素(暴露限界:3ppm、眼を強く刺激し消防士や住民の視野を奪う)
発生源:撥水加工衣類の他、フッ素は自然界に広く存在し、生活環境にあるほとんどの
物質に微量付着している。フッ素源から火災時にフッ化水素が必ず生成する。
塩化水素(暴露限界:5ppm)
発生源:電線コードやケーブル、製壁紙などに用いられるポリ塩化ビニール樹脂が火災
熱で生成する。
解毒法4:pH11程度のアルカリ水溶液で本発明の煙除去装置で洗浄する。
【0019】
(C)毒ガス(煙と混合している場合と毒ガス単独の場合)
サリン、タブン、ソマン、VOxなど神経ガスの解毒に有効とされるアルカリ性水溶液の空間への噴霧法の代わりに、外気との置換率が低い室内の火災あるいは発煙筒による発煙のみの場合は、万一のこれら神経毒ガスの共存を想定して、上記解毒法1の煙除去剤を、本発明の煙除去装置で使用することにより消煙・解毒を達成することができた。
【0020】
本発明は、閉鎖空間内で、特に火災時に煙エアロゾル等を除去する装置に関するものであり、密閉空間での相対湿度が60%以下であり、常温で飽和濃度の30%以下の濃度の吸湿性化合物水溶液を含有する煙除去剤を含浸させた親水性の粒状多孔性物質からなる気液接触層(A)を備えることを特徴とするものである。
この気液接触層(A)は、前記親水性の粒状多孔性物質を充填した層であり、例えば親水性の粒状多孔性物質をカ−トリッジに収納したもの、ナイロンやポリエステルなどのフィラメント繊維製のメッシュの袋に入れたものが挙げられる。メッシュの袋の場合、1個でもよいし又は複数個を用いてもよい。カートリッジは、粒状多孔性物質を収納した後、その両面から、格子状の押さえと捩子で調節して圧縮できるように調整し、吸気口の上面から、例えば20cm下の定位置にある台座まで挿入・嵌合させる。このカートリッジは、火災時に煙などと共に随伴するシアンガス、塩化水素などの有害随伴物の吸収・解毒に高性能を発揮する本発明の煙除去装置に有効に利用できる。
【0021】
またこの気液接触層(A)は、煙除去装置の上から所定の高さに設けた台座まで挿入し、気密状に固定するか、装置の吸気口から台座の位置まで収納する。積層する高さは30±5cmがよい。
この装置の材質は、特に限定するものではないが、例えばステンレス、ポリプロピレン、耐水性ハードボード等が挙げられる。
装置の大きさは、特に限定されないが、可搬式の場合は、部屋の入り口の大きさより小さいものであることが必要である。例えば30cm角で、高さが90cmの装置が挙げられる。
【0022】
本発明の煙除去装置は、図1のように吸気口(B)から室内の煙と有害随伴物を含む空気を、装置外に設置した吸排気ポンプ(C)で吸引し、本発明の濃厚な煙除去剤水溶液を吸収した親水性、多孔性で通気性のよい気液接触層(A)を通過させて消煙・解毒後に排気する。
吸気口(B)は、円形、楕円形、正方形、矩形他種々の形状が選択できる。例えば粒状多孔性物質をカートリッジに収納する場合は、吸気口の形状にあわせて吸気が漏れないようにすればよい。
前記吸排気ポンプ(C)は、真空ポンプとして用いられるものであれば、いずれのポンプでも使用することができる。またこのポンプは装置内の下部に設置してもよいし、また装置外に設置し装置に結合してもよいが、装置の可搬性などを考慮すると、装置内の外部に設置し、火災時に装置に結合するのが好ましい。ポンプの能力は、密閉空間の広さに応じて適宜選択することができる。
この気液接触層(A)の下の底部には吸湿性化合物水溶液が落下して形成された液溜層(D)がある。液溜層(D)の液面が、気液接触層(A)に接触すると、気流が通過しないため、この液溜層(D)は、分離し、例えば10cm以上離しておく必要がある。
この煙除去装置を可搬式装置として用いる場合は、運転開始時には抱液性の高い該接触材層が既に本発明の濃厚な煙除去剤水溶液を、十分吸収しているため、低容量の閉鎖空間内で、水溶液の補充なしに、かなりの時間、例えば20〜30分間運転することができる。消煙効率が低下した場合は、瓶などに入れた新鮮な液を該接触材層の上から散布すれば、さらに相当時間高度の消煙が可能である。
また大型で定置型の煙除去装置として用いる場合は、液溜層(D)に溜まった煙除去剤をポンプで循環し、気液接触層(A)の上面にノズルから連続的に散布するようにすれば、連続・長時間運転が可能である。
【0023】
本発明の煙除去装置は、倉庫、旅客機内、事務所、集合住宅、ホテル客室、地下室、料亭、地下室などの小容量の場合は、本発明者らの試験結果から、通風量が30m
/分以下、あるいは通風量10m /分以下の装置でも十分対応できると推定することができる。
これに対し、多層階の地下街、地下鉄駅、遊戯場、映画館、劇場、多層階の集合住宅、百貨店、大容量の倉庫、高層ビル、大型艦船、空港施設、長いトンネルや地下自動車場等で使用する大型で定置式の場合は、例えば30m
/分以上の通風量が必要である。
消防士が視界を失い易く、危険にさらされる狭い閉鎖空間の火災の消煙用には、小型軽量、可搬式、搬送時倒れ難い、液もれが少ない等の設計、大風量で単相電源でも駆動可能などの性能が求められる。また火災時における対応のし易さなどを考慮した仕様が必要となる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
まず本発明の実施例に使用する、発煙室、発煙方法、煙除去剤、煙除去装置、相対湿度の測定方法及び評価法について説明する。
1.発煙室
1.8m×1.8mの地盤に深さ0.3mの穴を掘り、ここにコンクリートを水平に打設し、地下水の浸入を遮断した土台の4隅に杭を打ち込み、この杭に高さ1.8mで38mm×90mmの材木の柱を固定し、同じ材木を4本の梁で4分割した位置にこれら柱を水平につなぐ直方体の躯体を固定した。コンクリートの底面から0.35mの位置の床板と天井板9プライの耐水性ラワン合板を張り、更に天井の上には、雨水を流すためポリカーボネート製の波板で片屋根を作り設置した。床面より下部の側面は、床板と同じ合板を4面に張り、降雨と強風を遮断した。正面の0.9m幅と3面に1mm厚のポリエチレンフィルムを、2mm厚の薄板でネジ止めで固定し、正面の0.9m幅の部分に、その外側に蝶番(ちょうつがい)を用いて外側にのみ開く戸(開き戸)を取り付けた。さらにその開き戸の裏側との隙間を少なくし気密性を向上するため、該戸の左右に床板と同じ合板で、幅0.1mの板を支柱として取り付け、該開き戸の上から0.3mに開閉可能な外気取り入れ口と、この下から32cmの位置に排気用アルミニウム製の直径0.3mフレキシブルパイプ挿入口を開口し、間隙は濡れタオルを巻きつけ漏洩を防止する方式で行い、内容量約4.7mの直方体の空間を有する発煙室を作製した。
【0025】
2.発煙方法
(株)ケイアンドケイ製の発煙筒(Smoke BOMB)を用いた発煙方法、発煙筒を用いずに白煙及び黒鉛を発生させる方法について説明する。
<発煙筒>
6塩化エタン、酸化亜鉛、亜鉛の配合物が約8割程度封入され、発煙量約100mと公表されている径53mm、高さ6mmの円筒形の缶を使用直前に開缶し、発煙室内でマッチで着火し、開き戸を閉じて煙を充満させた。
<白煙>
内径24cm、深さ6cmの平底のステンレス製の鍋に、太さ1mmの銅線3本をそれぞれ直径20cmの円形に成型して鍋底に積み上げ、その上面が該鍋より2cm高い位置になるように設置した架台に、0.2mm径のステンレス製金網をかぶせた。この金網上に木粉とポリエチレンの等量を加熱溶融し射出成型した(平均23.5個/g)のペレット40gに灯油7gを均一に混合し、均一に隙間のないように並べた後、幅約2cmのティッシュペーパーをペレットの上に乗せ、ライターで着火し、該ペレット全体が黒くなるまで約2分間、発煙燃焼させ、鍋に約1分間蓋をして、発煙燃焼が継続している場合は、更に蓋をして炎が消え、白煙が盛んに発生していることを確認した後、発煙室に入れ、開き戸を閉じ、白煙発生が停止した後で消煙試験を行った。
【0026】
<黒煙>
1)前記白煙の発生において、ポリエチレンの代わりに、芳香族のポリカーボネートを使用したペレットを使用して同様に発煙させて、消煙試験を行った。この場合分散性のよい黒煙が得られた。
2)断熱性の皿の上に缶詰の空き缶に20〜40mlのトルエンまたはスチレンを発煙室に入れ、ライターで着火し、開き戸を閉じ、燃え尽きるまで発煙させた後、消煙試験を行った。この場合煙エアロゾルが時間の経過とともに糸状に凝集した黒煙が生じる傾向があったが、燃焼持続には室外から新鮮空気の補給が必要な場合があり、その量にもよるが、発煙室内の視界が回復するまでに6〜12時間を要した。
【0027】
3.煙除去剤
(a)酢酸カリウム[20℃での相対湿度(以下RHという。) 20%、168℃でのRH 13%]
CHCOOK Mw:98.15、白色粉末、mp:292℃、Sp.Gr.:1.8、LD50:3250mg/Kg(ラット)、水に対する溶解度:217g/100g、何らかの原因で粉塵爆発性があるが、臭化アンモニウムの水溶液への混合で爆発を防止することができる。(相溶性試験未了)
消煙処方:CHCOOK/水=70g/30g
<消煙性があり、低毒性、環境に放流した場合汚染が少ないとみなされる物質>
(b)塩化マグネシウム・6水塩(5〜45℃でのRH 33%)
Mgcl・6HO Mw:203.33、水に対する溶解度:35.14g/100g(20℃)、無水物なし
加熱により200℃でHClを発生し、オキシ塩化物となり、約600℃でMgO(マグネシア)を生成する。
(c)塩化カルシウム(無水物、1,2,4及び6水塩あるが、水溶液を使用するため6水塩を使用する。)
CaCl・6HO Mw:219.06、水に対する溶解度:29.5g/100g(20℃)、15〜25℃での飽和水溶液のRH 29%)
【0028】
<消煙性は優れるが、毒性、刺激性、環境に放流した場合汚染の問題があると考えられる物質>
(d)燐酸(HPO・1/2HO、92.25%) 24.5℃でのRH 9%
(e)塩化リチウム・1水塩(LiCl・1HO、20〜65℃でのRH 11%)
(f)臭化カルシウム・6水塩(CaBr・6HO Mw:199.89、11〜22℃のRH 16%)
(g)臭化亜鉛(ZnBr Mw:225.20、水に対する溶解度:394g/100g 飽和水溶液:80% 5〜30℃でのRH 8%)
(h)水酸化ナトリウム(NaOH・HO、15〜60℃でのRH 6%)
(i)水酸化カリウム(KOH・2HO、5〜30℃でのRH 9%)
(j)その他種々の潮解性の塩類が挙げられる。
【0029】
4.相対湿度の測定方法
RHは、水蒸気圧と飽和水蒸気圧との比を%で表わしたものである。一般的に種々の測定方法が採用されている。これらの方法により値が10〜20%も変動する場合が多いが、本発明の実験では、種々比較検討の結果、静電容量式湿度センサーを用いた日本カノマックス製クリモマスターMODEL6531を用いた。消煙効果が優れ、強い毒性や刺激性がなく、環境への負荷も少ない前記吸湿性化合物の選択に、これらが存在する密閉空間のRHの測定を行って選定し、毒性や刺激性も少なく最も好ましい吸湿性化合物として、下記(イ)〜(ハ)を選んだ。これらの気流の測定では、それぞれ数十秒で安定したRH指示値を示した。
静止空間の場合は、10分以上も要する場合もあったため、プローブの先端を動かすと数分間で安定した指示値を示した。このような方法でRHは正当に測定できているものと判断した。
(イ)無水塩化カルシウムを入れた1Lの密閉容器空間は、いずれも25℃でのRHが3.2%で、同様の方法で過飽和の無水塩化カルシウムが62.5%、55.6%及び50%の水溶液の25℃でのRHがそれぞれ、24.1%、39.2%であった。
(ロ)(イ)と同様の条件で、酢酸カリウムの飽和水溶液を入れた密閉空間がいずれも25℃の場合のRHは、24.4、60%水溶液の場合のRHは44.1%、濃度が50%水溶液の場合のRHは56.1%であった。
(ハ)塩化マグネシウム6水塩のみを加えた密閉空間の25℃でのRHは34.0%、41.0%、飽和水溶液の場合のRH42.9%であった。
【0030】
(比較例1)
発煙室内を密閉状態に保ち、発煙筒で煙を充満させて放置した場合は、発煙室の1面から反対面への見通しが可能となるになるまでに6時間以上を要し、12時間後もかなりの白煙が残留した。
【0031】
(比較例2)
耐水処理を施した本発明の紙粒をナイロンフィラメント繊維製の網状の袋に入れてから、水槽に浸漬して空気を完全に追い出し、本発明の煙除去装置吸気口内に設けた台座の上に水平に固定した金属の格子上に約30cmの高さに隙間のないように収納し、紙粒に吸収されなかった余分の水が装置内の底部の溶液槽に滴下し終わった後、発煙室の開き戸の開口に径20cmのアルミニウムフレキシブルパイプ(以下、フレキという。)の一端を気密状に挿入して装置内に入れ、装置外の送風ポンプの吸気口に連結し、その排気口に3mの同径のフレキを連結した。送風ポンプに、製造会社定格の単相100V、出力0.4Kw、50Hz、回転数2870rpm、最大風量13m /分、最大静圧95mmAqを配線し、発煙室の開き戸を開け、予備試験により、送風機の運転による大きな負圧によって発煙室側面に取り付けたポリエチレンフィルムが破損・脱落しないように調節した。ついで、開き戸を開け、発煙筒に着火して発煙室内に置き、速やかに開き戸を閉じた、該発煙筒は約3〜4秒間で燃え尽き、白煙は発煙室内に充満した後、発煙室の1面から1.8m離れた反対面への視界は完全に失われた。そこで、送風ポンプを駆動させたところ、ほとんど消煙されないまま、該送風ポンプ排気口から刺激性のある白煙が吐出し、無風の晴天下のため発煙室周辺に高濃度の白煙が立ちこめ、発煙室は保存林に近接する場所であったため、火災と誤認される恐れがあった。30秒後に送風ポンプを停止させたが、発煙室内は反対面がなんとか見渡せる程度まで回復した。そこで、開き戸を少し開けたままにして自然排気により完全に排煙させた。
【0032】
(実施例1)
水の代わりに酢酸カリウムの飽和水溶液を使用する以外は、比較例2と同じ試験を行った。送風ポンプを駆動させたところ、完全に消煙され、刺激性のない透明な空気が排出され、発煙室の周辺には全く煙が漂よわず、30秒後には発煙室の側面から反対面がなんとか見渡せる程度まで回復し、1分後には反対面が見渡せる程度まで回復し、2分後には完全に発煙室内は透明になった。
【0033】
(実施例2)
開き戸の開口から耐水性電源コ−ドを気密状に入れ、送風ポンプに連結して、発煙室に持ち込み、空気取り入れ口を閉じ、比較例2と同様に発煙室内に白煙を充満させてから送風ポンプを駆動させた。30秒後には、発煙室内の白煙は、反対面が見通せる程度まで視界が回復し、2分30秒後にはほぼ発煙室内は透明になり、発煙室の周囲には白煙の滞留を認めなかった。
【0034】
(実施例3)
開き戸の開口から耐水性コ−ドのみを気密状に入れ、送風ポンプに連結して、発煙室に持ち込み、空気取り入れ口を閉じ、上記の木粉とポリエチレンの混融ペレットの炎を伴わない(くすぶり)燻焼による白煙を充満せて、実施例1と同様に送風ポンプを駆動させた。30秒後には、発煙室内の白煙は、反対面が見渡せる程度まで視界が回復し、2分30秒後にはほぼ発煙室内は透明になり、その周囲にも白煙の滞留を認めなかった。
【0035】
(実施例4)
煙除去装置の吸気口内部の台座の位置に、厚さが4cmで、その方向が通気方向である連続気泡体を形成しているメラミン/ホルムアルデヒド樹脂を基材とする親水性弾性連続気泡発泡体(略称:メラミン樹脂スポンジ)のスラブを装置の内部の台座による定位置まで隙間なく、通気性を向上するため厚さを圧縮して収納できるカ−トリッジを気液接触材とした。該カ−トリッジは、3cm角の木材の枠の下面に、開孔率約50%で厚さ約3mmで、木質繊維をフェノ−ル樹脂で固着したハ−ドボ−ド製の耐水性板で、該木枠に水平に固定し、該耐水性板を木枠の内側約2cmの各中央部に径1cmのボ−ルドとナットで垂直に固定し、更に該木枠の内部に該スラブを気流の方向に密着して並べ、その上にステンレス製金網を置き、更に木枠の内部と同形で密着して挿入できる該耐水性板を上面とし、該ボ−ルドが垂直に貫通するよう同径に開孔し、上部のナットを締めてスラブの厚さが約2cmなるように圧縮した後、塩化カルシウムの飽和水溶液に浸漬して、完全に吸収させてから比較例2と同じ方法で消煙試験を行い、約30秒後には、消煙室の内部の白煙は、反対面が見渡せる程度まで視界が回復し、2分30秒後には発煙室内は透明になり、発煙室の周囲には白煙の滞留を認めなかった。
【0036】
(実施例5)
実施例3の方法で発煙室に白煙を充満させる以外は、実施例4と同じ試験を行った。送風ポンプ駆動35秒後には、消煙室の内部の白煙は反対面が見渡せる程度まで視界が回復し、2分30秒後には発煙室内は透明になり、発煙室の周囲には白煙の滞留を認めなかった。
(実施例6)
塩化マグネシウムの過飽和溶液を使用する以外は実施例5と同じ試験を行った。送風ポンプ駆動35秒後には、消煙室の内部の白煙は反対面が見渡せる程度まで視界が回復し、2分45秒後には発煙室内は透明になり、発煙室の周囲には白煙の滞留を認めなかった。
【0037】
(実施例7)
比較例2と同様の方法で、耐水化紙粒の代わり粒状活性炭を、水の代りに酢酸カリウムの飽和水溶液99.5重量%に45%の水酸化カリウム水溶液0.5%の混合液を吸収させてから消煙器内に収納し、前記のとおり発生させた黒煙1)を発煙室に充満させ、実施例2と同じ方法で送風ポンプを駆動した。発煙室外に排出される空気は、黒煙やこの凝集物を含まず、実施例6と同様、発煙室内の視界も急速に回復した。
(実施例8)
発煙方法が、発煙室内で20mlのトルエンと5gのポリウレタンとを同時に燃焼させて前記の黒煙2)を発生させた以外は、実施例7と同じ消煙試験を実施した。発煙室外に排出される空気は、黒煙とこの凝集物を含まなかったが、発煙室側面のポリエチレンフィルムと木質部分全面にすすの微粒子が微量付着したため、正確な視野回復時間の測定が遅れたが、約1分後には発煙室の1面から反対面までの視野は回復した。また送風ポンプ駆動直後の排気のシアン化水素濃度を北川式ガス検知管(光明理化学工業製の検知管112SB、測定範囲:0.5〜100ppm)で測定したが、検出されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の煙エアロゾル除去装置の側面図を表す。
【符号の説明】
【0039】
1:汚染気体の入口
2:気液接触層
3:清浄気体の出口
4、4’:邪魔板
5:液溜層
6:ドレイン出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉空間での相対湿度が60%以下であり、常温で飽和又は飽和濃度の30%以上の濃度の吸湿性化合物水溶液を含有することを特徴とする閉鎖空間内の煙エアロゾル除去剤。
【請求項2】
前記吸湿性化合物が、酢酸カリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムからなる群から選ばれる1種以上である請求項1記載の閉鎖空間内の煙エアロゾル除去剤。
【請求項3】
前記吸湿性化合物がアルカリ性化合物でない場合、さらにアルカリ性化合物を含む請求項1又は2記載の閉鎖空間内の煙エアロゾル除去剤。
【請求項4】
密閉空間での相対湿度が60%以下であり、常温で飽和濃度の30%以下の濃度の吸湿性化合物水溶液を含有する煙エアロゾル除去剤を含浸させた親水性の粒状多孔性物質からなる気液接触層(A)を備えることを特徴とする閉鎖空間内の煙エアロゾル除去装置。
【請求項5】
前記粒状多孔性物質が、耐水性紙質粒子、親水性の弾性連続気泡発泡体、親水性の吸水性活性炭、吸水性セラミックのいずれかである請求項4記載の閉鎖空間内の煙エアロゾル除去装置。
【請求項6】
前記親水性の弾性連続気泡発泡体が、分子中にトリアジン環を有する化合物とホルムアルデヒドとを共縮合させて得られるアミノ樹脂の発泡体である請求項5記載の閉鎖空間内の煙エアロゾル除去装置。
【請求項7】
前記気液接触層(A)が、前記煙エアロゾル除去剤を含浸させた親水性の多孔性物質をケース内に収納したカートリッジからなるか、又は前記多孔性物質を入れたメッシュの袋からなる請求項4〜6のいずれか1項に記載の閉鎖空間内の煙エアロゾル除去装置。
【請求項8】
密閉空間での相対湿度が60%以下であり、常温で飽和濃度の30%以下の濃度の吸湿性化合物水溶液を含有する煙エアロゾルの除去剤を含浸させた親水性の粒状多孔性物質からなる気液接触層(A)を備え、その上部に空気の吸気口(B)を備え、前記気液接触層(A)の下部に10cm以上分離して液溜層(D)を備えたエアロゾル除去装置に、前記装置外に設置した吸排気ポンプ(C)を結合し、前記吸排気ポンプ(C)により煙エアロゾルを含む空気を吸気口(B)から吸入し、前記気液接触層(A)に接触通過させることを特徴とする、閉鎖空間内の煙エアロゾルを除去する方法。



【図1】
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【公開番号】特開2009−90194(P2009−90194A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262303(P2007−262303)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000102566)エスポ化学株式会社 (7)
【Fターム(参考)】