説明

開閉器の消弧装置、それを備えた開閉器及び開閉器における消弧方法

【課題】開閉器の接触の開放操作において、消弧室に内蔵されている固定接触から可動接触が離れるときに発生するアークの可動接触の動きに伴う両接触上での移動を防止または低減して、アーク熱による固定接触及び可動接触の表面の荒れを低減し、両接触の耐久性を向上させると共に表面の荒れに起因する作動不良を防止する。
【解決手段】開閉器の消弧装置(7)は、固定接触(4)を内蔵している。消弧室(71)の可動接触(5)が出入りする側にはシャッター室(73)が設けてある。シャッター室(73)内部にはシャッター(76)が設けられている。シャッター(76)を閉じたときの閉じ部の可動接触(5)とは遠い側に位置する側壁(78)には、消弧室(71)の内部からシャッター(76)外部へ通じるガス噴き出し孔(79)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉器の消弧装置、それを備えた開閉器及び開閉器における消弧方法に関するものである。さらに詳しくは、開閉器の接触の開放操作において、消弧室に内蔵されている固定接触から可動接触が離れるときに発生するアークの可動接触の動きに伴う両接触に対する移動を防止または低減して、アーク熱による固定接触及び可動接触の表面の荒れを低減し、両接触の耐久性を向上させることができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
開閉器に設けられており固定接触を内蔵している消弧室には、固定接触から可動接触が離れるときに発生するアークを切断するためにシャッターが設けられている(例えば特許文献1参照)。このシャッターが閉じることによって、両接触の間に発生しているアークは細くなり、ごく短時間で切断され、両接触間の通電状態は解除される。
従来のシャッターは、可動接触がシャッターから抜けたときには、図5に示すように消弧室の開口のほぼ全部を自動的に塞ぐことができる構造である。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2536839号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のものは、可動接触がシャッターから抜けたときには、上記のようにシャッターが消弧室の開口のほぼ全部を塞ぐように閉じる。しかし、アークは、シャッターが閉じるとすぐに切断されるわけではない。アークは、切断されるまでに、閉じたシャッターの当接部分のごく狭い隙間を貫通した状態で、可動接触が固定接触から離れる動きに伴って両接触に対して移動し、その後に切断される。
【0005】
その際のアークの動きを図6を参照して詳しく説明する。
図6は従来の消弧装置において可動接触が消弧室内の固定接触から離れるときのアークの動きを示し、(a)は投入状態、(b)は可動接触が固定接触から離れた瞬間、(c)はシャッターが閉じた瞬間、(d)はさらに離れた状態の説明図である。
【0006】
(1)図6(a)のように投入状態から、開放操作によって可動接触が固定接触と離れる方向へ移動すると、(b)のように可動接触が固定接触から離れた瞬間にアークが発生する。このアークは、可動接触と固定接触の最も近い位置間に発生する。
【0007】
(2)さらに、可動接触が移動すると、その移動に伴って両接触の表面の最も近い位置間をつなぐように、両接触の表面を伝って移動する。また、アーク熱によりシャッター及び消弧室の壁面が溶かされて消弧ガスが発生する。
【0008】
(3)そして、(c)のように可動接触がシャッターから抜けてシャッターが閉じた瞬間にもアークはすぐには切断されず、(d)のように閉じたシャッターの当接部分のごく狭い隙間を貫通した状態で、可動接触の動きに伴って両接触に対して上記移動を続けながら細くなる。
(4)また、シャッターが閉じると同時に、アーク熱によるガスの膨張によって消弧室内の圧力が急激に上昇し、上記移動しているアークにシャッターの上記隙間から高圧のガスを吹き付け、アークを冷却すると共にその風圧で切断する。
【0009】
上記のように、可動接触の動きに伴って、アークが両接触の表面を広い範囲(ほぼ全面にわたる)で移動することによって、両接触の表面が広い範囲で荒れてしまう。これにより、両接触の耐久性が十分に得られず、例えば両接触の接触部における電気抵抗が大きくなり、高圧電流の通電状態において異常過熱するおそれがあるため、異常過熱を防ぐ目的で接触の大型化を余儀なくされていた。また、両接触間の摩擦抵抗が大きくなって両接触を開放できなくなるなど、作動不良の原因となるおそれがあるため、操作力を大きくする対策が必要であった。
【0010】
(本発明の目的)
本発明の目的は、開閉器の接触の開放操作において、消弧室に内蔵されている固定接触から可動接触が離れるときに発生するアークの可動接触の動きに伴う両接触上での移動を防止または低減し、アーク熱による固定接触及び可動接触の表面の荒れを低減することにより両接触の接触部における電気抵抗が大きくならないようにして異常過熱を防止し、両接触の大型化の必要をなくしてコンパクト化を図った、開閉器の消弧装置、それを備えた開閉器及び開閉器における消弧方法を提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、両接触の表面の荒れに起因する作動不良を、操作力を大きくすることなしに防止して両接触の耐久性の向上を図った、開閉器の消弧装置、それを備えた開閉器及び開閉器における消弧方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
【0012】
本発明は、開閉器の固定接触を消弧室に内蔵する消弧装置であって、消弧室のうち可動接触の出入り側にはシャッターが設けられており、シャッターを閉じた状態において消弧室の内部からシャッター外部へ通じるガス噴き出し孔が設けられている、開閉器の消弧装置である。
【0013】
本発明は、開閉器の固定接触を消弧室に内蔵する消弧装置であって、消弧室のうち可動接触の出入り側にはシャッターが設けられており、シャッターを閉じた状態において閉じ部の可動接触と遠い側の一端またはその近傍に消弧室の内部からシャッター外部へ通じるガス噴き出し孔が設けられている、開閉器の消弧装置である。
【0014】
本発明は、上記各消弧装置のうち何れかを備えている、開閉器である。
【0015】
本発明は、開閉器の接触の開放時において、可動接触が動いて固定接触と離れたときに発生するアークを、シャッターを閉じた消弧室内でアーク熱により膨張しガス噴き出し孔へ向かうガスの流れによって、ガス噴き出し孔を通り固定接触と可動接触間でつながる経路に移動させ、さらにガス噴き出し孔を通り噴出するガスによってアークを切断する、開閉器における消弧方法である。
【0016】
ガス噴き出し孔の形状は、例えば円形状、方形状などであるが、アークが通り、アーク切断に効果的なガスの噴出ができれば、特に限定するものではない。また、ガス噴き出し孔の数や大きさも、同じくアークが通り、アーク切断に効果的なガスの噴出ができれば、特に限定するものではない。
【0017】
また、ガス噴き出し孔を設ける位置も、シャッターを閉じた状態において閉じ部の可動接触と遠い側の一端またはその近傍位置の他、例えば可動接触と近い側の一端またはその近傍位置あるいはシャッターの任意の箇所など、上記と同じくアークが通り、アーク切断に効果的なガスの噴出ができれば、特に限定するものではない。
【0018】
(作用)
本発明に係る開閉器の消弧装置及び開閉器の作用を説明する。なお、ここでは、説明で使用する各構成要件のそれぞれに、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、特許請求の範囲の各請求項に記載した符号と同様に、あくまで説明の理解を容易にするためであって、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。
【0019】
開閉器(S)の接触(4,5)の開放時において、固定接触(4)から可動接触(5)が離れると、両接触(4,5)の互いに最も近い位置間にアーク(E)がつながるように発生する。
可動接触(5)がさらに離れる方向へ動いてシャッター(76)が閉じると、シャッター(76)内部の消弧室(71)内のガスがアーク熱によって瞬間的に膨張し、ガス噴き出し孔(79)へ向かうガスの流れが生じる。
上記アーク(E)は、このガスの流れに押されて、ガス噴き出し孔(79)を通る経路で両接触(4,5)をつなぐように移動する。
【0020】
アーク(E)はガス噴き出し孔(79)を通る経路に限定されるため、両接触(4,5)の最も近い位置間を移動する動きをせず、両接触(4,5)につながるアーク(E)の位置は、可動接触(5)がさらに離れる方向へ動いてもほぼ一定であり、このためアーク(E)はいわば遠回りする形で可動接触(5)の動きに伴って細く引き延ばされる。
【0021】
同時に、ガス噴き出し孔(79)を通り両接触(4,5)間でつながっているアーク(E)に対し、上記ガスの膨張により同じガス噴き出し孔(79)を通って噴出する高圧のガスが吹き付けられ、このガスによる冷却効果とアーク(E)の引き延ばし効果によりアーク(E)は切断される。なお、このときのガスはアーク(E)に対して無駄なく集中的に吹き付けられるので、より高い遮断性能が得られる。
【0022】
上記のように、アーク(E)をガス噴き出し孔(79)を通る経路に移動させることにより、可動接触(5)の動きに伴うアーク(E)の両接触(4,5)上での移動を防止または低減することができる。これにより、従来のようなアーク熱による固定接触(4)及び可動接触(5)の広い範囲での表面の荒れを防止して両接触(4,5)の耐久性を向上させることができる。
【0023】
また、両接触(4,5)の接触部における電気抵抗が大きくならず、両接触(4,5)の異常過熱が防止される。したがって、両接触(4,5)を異常過熱に耐えるために大型化する必要がなくなり、両接触(4,5)のコンパクト化を図ることができる。さらに、両接触(4,5)の表面の荒れに起因する作動不良を、操作力を大きくすることなしに防止することができ、両接触(4,5))の耐久性を向上させることが可能になる。
【0024】
また、ガス噴き出し孔(79)が、シャッター(76)を閉じた状態において閉じ部の可動接触(5)と遠い側の一端またはその近傍に設けられているものは、両接触(4,5)の開放時において可動接触(5)の動きに伴うアーク(E)の引き延ばし効果が大きく、アーク(E)が細くなって切断されやすくなり、さらに短い時間での安定した遮断性能が得られる。したがって、両接触(4,5)の表面の荒れを防止して耐久性を向上させる作用がより優れている。
【発明の効果】
【0025】
(a)本発明によれば、開閉器の接触の開放時において、可動接触が固定接触から離れるときに発生するアークをガス噴き出し孔へ向かう膨張ガスによってガス噴き出し孔を通る経路に移動させることにより、可動接触の動きに伴うアークの両接触に対する移動を防止または低減することができる。これにより、従来のようなアーク熱による固定接触及び可動接触の広い範囲での表面の荒れを低減することができるので、両接触の接触部における電気抵抗が大きくならず、両接触の異常過熱が防止される。したがって、両接触を異常過熱に耐えるために大型化する必要がなくなり、両接触のコンパクト化を図ることができる。
【0026】
(b)アーク熱による固定接触及び可動接触の広い範囲での表面の荒れを低減することができるので、両接触の表面の荒れに起因する作動不良を操作力を大きくすることなしに防止することができ、両接触の耐久性を向上させることが可能になる。
【0027】
(c)ガス噴き出し孔を通り両接触間でつながっているアークに対し、同じガス噴き出し孔を通って噴出される高圧のガスを無駄なく集中的に吹き付けることができるので、アークが切断されるまでの時間が短くなり、遮断性能をより安定させることができる。
【0028】
(d)ガス噴き出し孔が、シャッターを閉じた状態において閉じ部の可動接触と遠い側の一端またはその近傍に設けられているものは、接触の開放時において可動接触の動きに伴うアークの引き延ばし効果が大きく、アークが細くなって切断されやすくなり、さらに短い時間での安定した遮断性能が得られる。したがって、両接触の表面の荒れを防止して耐久性を向上させる作用がより優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明を図に示した実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例】
【0030】
図1は本願発明に係る消弧装置の構造を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるA−A断面説明図、
図2は可動接触が消弧室内の固定接触から離れるときのアークの動きを示し、(a)はシャッターが閉じた瞬間、(b)はさらに離れた状態の説明図、
図3は本発明に係る開閉器の外形を示す正面図、
図4は図3におけるB−B断面図である。
【0031】
まず、図3及び図4を参照して本実施の形態に係る開閉器Sの構造を説明する。なお、開閉器Sは、本願発明の特徴的な部分である消弧装置7を除く部分は、一般的な構造であるので、これらの部分の構造については概略を説明するに止めるか、あるいは説明を省略する。
【0032】
開閉器Sは、密閉型のケース1と、ケース1の上下に相対向してそれぞれ三箇所に設けてある配電線路接続用のブッシング2、3と、一方側の各ブッシング2を介し導入される配電線路に接続され、ケース1内の三箇所に設けられた固定接触4と、各固定接触4を覆う消弧装置7と、他方側の各ブッシング3を介し導入される配電線路に接続され、ケース1内の三箇所に回動可能に設けられ各固定接触4に対し投入・開放動作を行う可動接触5と、各可動接触5を回動させる駆動機構部6と、駆動機構部6を操作し各可動接触5の投入・開放を手動または自動で行う操作部(図示省略)を備えた構造である。
【0033】
上記消弧装置7は、接触の開放の際に、可動接触5が消弧室71から出ると同時にシャッター76(後述)を閉じるシャッター方式を採用したものである。本発明に係る消弧装置7については、後で詳しく説明する。
【0034】
固定接触4は、各ブッシング2から導入してある配電線路を構成する導体40に固着されている。固定接触4は、導体40の両側部にそれぞれ固着されている立ち上げ部42で構成されており、各立ち上げ部42の先部側は窄まるように傾斜して設けられ、先端部は外側へ反るように丸められている。そして、各立ち上げ部42の間に投入空間が設けられている。固定接触4の各立ち上げ部42の外面側には、立ち上げ部42のバネ性を補強する接触バネ44が密着させて設けられている。
【0035】
導体40の下側には、消弧装置7を構成する固定接触台70が固定されている。固定接触台70の上部開口側には、下部側が開口した消弧室71が固着されている。固定接触台70と消弧室71は絶縁プラスチック製である。
消弧室71の天部のうち固定接触4の上方には、可動接触5の先部が出入り可能な平面視長方形状の貫通口72が設けられている。
【0036】
消弧室71の上部には、絶縁プラスチック製のシャッター室73がボルトにより固着されている。シャッター室73の天部には、上記貫通口72と同じく可動接触5の先部が出入り可能な出入口74が設けられている。シャッター室73内部の空間には、それぞれバネ75で内方へ付勢され、常態では双方の内面を当接させて閉じているシャッター76、76が収容されている。
【0037】
シャッター室73の側壁のうち各シャッター76を案内する側の一方の側壁78には、ガス噴き出し孔79が図2において上下方向に設けられている。ガス噴き出し孔79は、下方にある上記貫通口72と、上方にある出入口74に通じており、これによりアークは固定接触4→貫通口72→ガス噴き出し孔79→出入口74→可動接触5の経路を通ることができる。また、シャッター室73の内部でアーク熱によって膨張するガスも、同じくガス噴き出し孔79を通って外部へ噴出する。
【0038】
なお、ガス噴き出し孔79は本実施の形態では、各シャッター76の開閉状態に関係なく常時開いているが、少なくとも各シャッター76が閉じたときに開いている構造であれば、本実施の形態の構造に限定するものではない。
【0039】
また、シャッター室73の上部には、図に示すように可動接触5の動く軌跡に合わせて傾斜した導入カバー77が設けられている。シャッター室73の下部は開放され、内部の空間は上記消弧室71天部の貫通口72に通じている。
【0040】
可動接触5は、各ブッシング3から導入されている配電線路を構成する導体50に固着されている。可動接触5は、リンク機構などを採用した駆動機構部6により回動されて固定接触4との投入・開放動作を行う構造となっている。可動接触5は、軸52を中心に回動する基体51と、基体51の先端部に連設されている接触子板53を備えている。接触子板53は、く字状に湾曲して形成されており、銅板に銀メッキを施したものである。
【0041】
(作用)
本実施の形態に係る消弧装置7及びそれを備えた開閉器Sの作用を説明する。
(1)開閉器Sの固定接触4と可動接触5の開放時において、固定接触4から可動接触5が離れると、両接触4、5の互いに最も近い位置間にアークEがつながるように発生する(参考:図6(b))。
(2)可動接触5がさらに離れる方向へ動いて各シャッター76が閉じると、シャッター76内側の消弧室71内のガスがアーク熱によって瞬間的に膨張し、ガス噴き出し孔79へ向かうガスの流れが生じる。
【0042】
(3)アークEは、このガスの流れに押されて、ガス噴き出し孔79を通る経路で両接触4、5をつなぐように移動する(図2(a)参照)。なお、アークEが可動接触5と最初につながる位置は図2(a)に示すように接触子板53の先端側の円弧部分の表面であり、その後すぐに接触子板53の先端角部へやや移動する。また、アークEの固定接触4とつながる位置は、固定接触4のガス噴き出し孔79に近い側の端部であり、その後も変わらない。
【0043】
(4)アークEはガス噴き出し孔79を通る経路に限定されるため、従来のように両接触4、5の最も近い位置間を移動する動きをせず、両接触4、5につながるアークEの位置は、可動接触5がさらに離れる方向へ動いても、上記のようにほぼ一定であり、このためアークEはいわば遠回りする形で可動接触5の動きに伴って細く引き延ばされる。なお、ガス噴き出し孔79は、閉じ部(両シャッター76の当接部)のうち可動接触5と遠い側の一端の近傍に設けられているので、可動接触5の動きに伴うアークEの引き延ばし効果が、例えば近い側など他の箇所に設けた場合よりも大きく、アークがより細くなって切断されやすくなる。
【0044】
(5)同時に、ガス噴き出し孔79を通り両接触4、5間でつながっているアークEに対し、上記ガスの膨張により同じガス噴き出し孔79を通って噴出する高圧のガスが吹き付けられ、このガスによる冷却効果とアークEのさらなる引き延ばし効果によりアークEは切断される。なお、このときのガスはアークEに対して無駄なく集中的に吹き付けられるので、より高い遮断性能が得られる。
【0045】
また、上記のように、アークEをガス噴き出し孔79を通る経路に移動させることにより、可動接触5の動きに伴うアークEの両接触4、5に対する移動を防止または低減することができる。これにより、従来のようなアーク熱による固定接触4及び可動接触5の広い範囲での表面の荒れを防止または低減することができるので、両接触4、5の接触部における電気抵抗が大きくならず、両接触4、5の異常過熱が防止される。
【0046】
したがって、両接触4、5を異常過熱に耐えるために大型化する必要がなくなり、両接触4、5のコンパクト化を図ることができる。
また、両接触4、5の表面の荒れに起因する作動不良を、操作力を大きくすることなしに防止することができるので、両接触4、5の耐久性を向上させることが可能になる。
【0047】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまで説明上のものであって限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示されている実施の形態に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本願発明に係る消弧装置の構造を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるA−A断面説明図。
【図2】可動接触が消弧室内の固定接触から離れるときのアークの動きを示し、(a)はシャッターが閉じた瞬間、(b)はさらに離れた状態の説明図。
【図3】本発明に係る開閉器の外形を示す正面図。
【図4】図3におけるB−B断面図。
【図5】従来の消弧装置のシャッターの構造を示す断面説明図。
【図6】従来の消弧装置において可動接触が消弧室内の固定接触から離れるときのアークの動きを示し、(a)は投入状態、(b)は可動接触が固定接触から離れた瞬間、(c)はシャッターが閉じた瞬間、(d)はさらに離れた状態の説明図。
【符号の説明】
【0049】
S 開閉器
1 ケース
2 ブッシング
3 ブッシング
4 固定接触
40 導体
42 立ち上げ部
44 接触バネ
5 可動接触
50 導体
51 基体
52 軸
53 接触子板
6 駆動機構部
7 消弧装置
70 固定接触台
71 消弧室
72 上記貫通口
72 貫通口
73 シャッター室
74 出入口
75 バネ
76 シャッター
77 導入カバー
78 側壁
79 ガス噴き出し孔
E アーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉器(S)の固定接触(4)を消弧室(71)に内蔵する消弧装置(7)であって、
消弧室(71)のうち可動接触(5)の出入り側にはシャッター(76)が設けられており、
シャッター(76)を閉じた状態において消弧室(71)の内部からシャッター(76)外部へ通じるガス噴き出し孔(79)が設けられている、
開閉器の消弧装置。
【請求項2】
開閉器(S)の固定接触(4)を消弧室(71)に内蔵する消弧装置(7)であって、
消弧室(71)のうち可動接触(5)の出入り側にはシャッター(76)が設けられており、
シャッター(76)を閉じた状態において閉じ部の可動接触(5)と遠い側の一端またはその近傍に消弧室(71)の内部からシャッター(76)外部へ通じるガス噴き出し孔(79)が設けられている、
開閉器の消弧装置。
【請求項3】
請求項1または2の消弧装置のうち何れかを備えている、
開閉器。
【請求項4】
開閉器(S)の接触(4,5)の開放時において、可動接触(5)が動いて固定接触(4)と離れたときに発生するアーク(E)を、シャッター(76)を閉じた消弧室(71)内でアーク熱により膨張しガス噴き出し孔(79)へ向かうガスの流れによって、ガス噴き出し孔(79)を通り固定接触(4))と可動接触(5)間でつながる経路に移動させ、さらにガス噴き出し孔(79)を通り噴出するガスによってアーク(E)を切断する、
開閉器における消弧方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−280726(P2007−280726A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104474(P2006−104474)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(000003171)株式会社戸上電機製作所 (29)