説明

開閉装置及び該開閉装置の製造方法

【課題】 収納ケース内の機器に対するメンテナス性を向上する。
【解決手段】 面方向へスライドして開閉動作する開閉体10と、前記開閉体10を外周部に係合して開閉動作させる軸体20と、前記軸体20を回転可能に支持し収納する収納ケース40とを備えた開閉装置において、前記軸体20の軸方向の両端側に、それぞれ、前記軸体20を回転可能に支持する軸支ブラケット31,32を設け、前記収納ケース40の両側部には、それぞれ、前記各軸支ブラケット31,32を支持する第1の支持部41b,42b,第2の支持部41c,42c,及び第3の支持部41d,42dを設け、前記軸支ブラケット31,32は、前記軸体20を支持したままの状態で、手前方向側から前記支持部に対し着脱するように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置(スラットシャッター、シートシャッター、パネルシャッター及び2軸式シャッター等を含む)や、オーバーヘッドドア、ロールスクリーン、オーニング等、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の構造物の開口部分や内部に配設され、前記開口部分や内部空間を仕切ったり開放したりする開閉装置及び該開閉装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の開閉装置には、上下方向へ開閉動作する開閉体と、該開閉体をその開放方向側で巻いたり繰り出したりする軸体と、前記軸体を回転可能に支持し収納する収納ケースと、前記軸体を駆動回転する開閉機とを備えたものがある(例えば特許文献1参照)。
このような、上記従来技術において、軸体や開閉機又は減速機等、収納ケース内の機器に対するメンテナンスが必要な場合、前記機器の周辺(例えば、特許文献1によればシャッターケース11の右端側)に、作業者が作業を行うためのメンテナンススペースが必要となる。
【0003】
しかしながら、メンテナンススペースを確保できない場合には、軸体及び該軸体に巻き取った開閉体等を収納ケースごと取り外す必要があり、その着脱作業が大がかりなことや、収納ケース内に挿通された制御回路やセンサ等の電線の脱着に時間がかかること等に起因して、その作業が著しく困難となる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−12542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、収納ケース内の機器に対するメンテナス性を向上すること、メンテナンス等のために軸体の着脱を容易にすること、開閉装置の製造性を向上すること等、が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための一手段は、面方向へスライドして開閉動作する開閉体と、前記開閉体を外周部に係合して開閉動作させる軸体と、前記軸体を回転可能に支持し収納する収納ケースとを備えた開閉装置において、前記軸体の軸方向の両端側に、それぞれ、前記軸体を回転可能に支持する軸支ブラケットを設け、前記収納ケースの両側部には、それぞれ、前記各軸支ブラケットを支持する支持部を設け、前記軸支ブラケットは、前記軸体を支持したままの状態で、手前方向側から前記支持部に対し着脱するように設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
軸体等を手前方向側から容易に着脱することができ、ひいては、開閉装置の製造性、及び収納ケース内の機器に対するメンテナンス性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る開閉装置の一例について、一方側の部分を示す要部斜視図である。
【図2】同開閉装置の一例の一例について、他方側の部分を示す要部斜視図である。
【図3】一方の軸支ブラケットの一例を示す斜視図である。
【図4】他方の軸支ブラケットの一例を示す斜視図である。
【図5】一方の軸支ブラケットの一例を示す平面図である。
【図6】他方の軸支ブラケットの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための一形態では、面方向へスライドして開閉動作する開閉体と、前記開閉体を外周部に係合して開閉動作させる軸体と、前記軸体を回転可能に支持し収納する収納ケースとを備えた開閉装置において、前記軸体の軸方向の両端側に、それぞれ、前記軸体を回転可能に支持する軸支ブラケットを設け、前記収納ケースの両側部には、それぞれ、前記各軸支ブラケットを支持する支持部を設け、前記軸支ブラケットは、前記軸体を支持したままの状態で、手前方向側から前記支持部に対し着脱するように設けられていることを特徴とする。
ここで、前記軸体には、前記開閉体を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸や、前記開閉体を上半部側に係合して開閉方向に対する交差方向へ導くガイド軸等を含む。
また、前記「手前方向側」とは、前記軸体と略直交する略水平方向の一方に、前記収納ケースの一部を構成する裏板を設けた場合において、前記裏板とは反対の方向側(換言すれば、前記一方に対する反対方向側)を意味し、また、前記裏板を具備せず、前記裏板に相当する躯体等(詳細には、当該開閉装置の設置対象となる躯体等)を有する場合には、前記躯体等に対する反対の方向側を意味する。前記裏板や躯体等は、当該開閉装置の設置状態において、特に着脱の困難な部位となる場合が多い。
また、前記「手前方向側」は、何も設けられていない単なる空間であってもよいし、必要に応じて前板を設けるようにしてもよい。前板を設けた場合、この前板は、前記裏板(又は裏板に相当する躯体等)と比較して容易に着脱できる部材とされる。
【0010】
また、第二の形態では、前記各軸支ブラケットに、収納ケースの側部へ向かって突出する複数の突片部を設け、前記収納ケースの側部には、前記複数の突片部にそれぞれ対応するように、複数の前記支持部を設け、前記複数の突片部及び支持部のうち、その一部については、突片部を支持部に対し止着することなく載置し、他の一部については、突片部を支持部に対し載置して止着した。
この形態によれば、メンテナンス後や製造中において、軸支ブラケットを支持部に装着する際に、先ず一部の突片部を支持部に仮置きし、その後で、他の突片部を支持部に対し止着すればよく、全ての突片部を支持部に止着するようにした構成と比較し、その装着作業性が良好である。
また、例えば、比較的上方側に位置する突片部を止着不要に構成した場合には、止着具の突出する先端部や頭部等を収納するためのスペースを確保しなければならないが、本形態によれば、前記のような突出部分の収納スペースを無くして、収納ケースの上下方向寸法を小型化することができる。
なお、前記「突片部を支持部に対し止着することなく載置し」とは、実質的に止着しなくてもよいことを意味する。しかしながら、設計上は止着が不要であるが万一の備えのために、念のために第1の突片部を第2の支持部に止着した構成とすることも可能である。
【0011】
また、第三の形態では、止着することなく載置される関係にある前記一部の突片部及び支持部は、前記軸体よりも上側に配置されている。
この形態によれば、軸体を収納ケースに対し着脱する作業の際に、軸支ブラケットの突片部が該軸体よりも上側にある支持部に載置されるため、その載置状態での重量バランスが良く、載置された軸体等が前後に揺れるようなことを防ぎ、着脱作業性を向上することができる。
【0012】
また、第四の形態では、止着することなく載置される関係にある前記一部の突片部及び支持部は、前記他の一部の突片部及び支持部よりも、前記着脱の方向へ長く形成されている。
この形態によれば、載置状態での重量バランスをより良好にして、着脱作業性を更に向上することができる。
【0013】
また、第五の形態では、前記複数の支持部のうちの一部又は全部には、前記突片部を載置する載置面に、上向きに突出する突起部が設けられ、対応する前記突片部には、前記手前方向側から前記突起部に嵌り合って当接する略凹状の切欠部が設けられている。
この形態によれば、収納ケースの両側部間に、その手前方向側から軸体及び両軸支ブラケットを挿入すれば、突片部の切欠部が支持部の突起部に嵌り合って当接し、位置決めされる。
【0014】
また、第六の形態では、前記複数の突片部及び支持部には、第1の突片部及び第1の支持部と、第2の突片部及び第2の支持部と、第3の突片部及び第3の支持部とが含まれ、第1の突片部及び第1の支持部は、前記軸体の略真上に位置し、第1の突片部は、第1の支持部に対し止着されることなく載置され、第2の突片部及び第2の支持部は、前記軸体の中心よりも上側に位置するとともに第1の突片部及び第1の支持部よりも手前側に位置し、第3の突片部及び第3の支持部は、前記軸体の略真下に位置する。
この形態によれば、二組の突片部及び支持部が軸体の中心よりも上側に配置されているため、軸体及び両軸支ブラケットを両側部間に装着する際に、軸体及び両軸支ブラケットが前後方向へ振れるのを効果的に防ぐことができる。また、開閉体の開閉動作に伴い、軸支ブラケットには軸体周りのモーメントが加わるが、この軸支ブラケットを、3か所の支持部によって効果的に固定することができる。
【0015】
また、第七の形態では、前記開閉装置の製造方法であって、前記収納ケースの両側部の間に、前記軸体及び前記両軸支ブラケットを前記手前方向側から挿入して、第1の突片部を第1の支持部に載置するのと略同時に、第2の突片部を第2の支持部に、第3の突片部を第3の支持部に、それぞれ載置し、その後で、第2の突片部を第2の支持部に、第3の突片部を第3の支持部に、それぞれ止着する。
この製造方法によれば、各突片部を対応する支持部に載置した後、各突片部を対応する支持部に止着するようにしているため、巻軸が比較的高重量な場合であっても、該巻軸を収納ケースに装着する作業を容易に行うことができる。
【0016】
なお、上記形態の構成要件を具備しない独立した発明として、以下のように構成とすることも可能である。
すなわち、この独立した発明は、面方向へスライドして開閉動作する開閉体と、前記開閉体を外周部に係合して開閉動作させる軸体と、前記軸体を回転可能に支持し収納する収納ケースとを備えた開閉装置において、
前記軸体の軸方向の両端側に、それぞれ、前記軸体を回転可能に支持する軸支ブラケットを設け、前記収納ケースの両側部には、それぞれ、前記軸支ブラケットを支持する支持部を設け、
前記各軸止ブラケットは、前記軸体の略真上に位置し且つ前記他の支持部よりも前後方向へ長く形成された第1の支持部と、前記軸体の中心よりも上側に位置するとともに第1の支持部よりも手前側に位置する第2の支持部と、前記軸体の略真下に位置する第3の支持部とによって三点支持されていることを特徴とする。
この発明によれば、開閉体の開閉動作に伴い、軸支ブラケットには軸体周りのモーメントが加わるが、この軸支ブラケットを、3か所の支持部によって頑強に固定することができ、ひいては、開閉動作時の振動及び騒音を効果的に抑制することができる。
【0017】
なお、本明細書中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態における上記開閉体の厚みの方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体幅方向」とは、上記開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、上記開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、上記開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
また、本明細書中において開閉体の「面方向」とは、閉鎖状態で開閉体の表面又は裏面が連続する方向を意味し、この方向には、前記開閉体開閉方向及び前記開閉体幅方向を含む。
【0018】
以下、上記形態の特に好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0019】
図1〜2は、本発明に係る開閉装置の一実施例を示している。
この開閉装置1は、面方向(図示例によれば上下方向)へスライドして開閉動作する開閉体10と、開閉体10の開放方向側(図示例によれば上方向)で該開閉体10を外周部に係合して開閉動作させる軸体20と、軸体20を軸方向の一方側と他方側で回転可能に支持する軸支ブラケット31,32と、これら軸体20及び軸支ブラケット31,32を収納する収納ケース40と、軸体20の下方側で開閉体10を上下方向へ案内するガイドレール(図示せず)とを具備している。
【0020】
開閉体10は、例えば、ガラスクロスやシリカクロス等の難燃性布地や、フッ素加工を施した塩化ビニル樹脂シート材、ガラス繊維を含んだ合成樹脂シート材等、遮煙性、必要に応じ耐火性(難燃性を含む)の可撓性シート材料によって、略矩形シート状に形成される。
この開閉体10の他例としては、複数のスラットや、パイプを開閉方向へ連設してなる態様や、ネット状物からなる態様、あるいはスラット、パネル、パイプ、シート状物、ネット状物等を適宜に組み合わせてなる態様等とすることも可能である。
【0021】
軸体20は、開閉体10の幅方向の略全長にわたる長さの略筒状に形成され、軸方向両側の軸支ブラケット31,32の間に回転可能に支持されるとともに、内在する駆動源(図示せず)の回転力によって双方向へ回転する。前記駆動源は、直流又は交流の回転式モータであり、軸体20内において、軸支ブラケット31に支持されるとともに出力軸をギア等を介して軸体20に止着している。
この軸体20は、外周部に開閉体10の上端部を止着しており、開閉体10を巻き取ったり繰り出したりする。
【0022】
軸支ブラケット31,32は、金属製の板材を曲げ加工及びプレス加工することによって、図3〜6に示す形状に形成される。
一方の軸支ブラケット31は、前記駆動源を介して軸体20を回転可能に支持する支持板部31aと、該支持板部31aの上部側から収納ケース40の一方(図1によれば右方)の側部へ向けて突出する第1の突片部31b及び第2の突片部31cと、支持板部31aの下部側から前記側部へ向けて突出する第3の突片部31dとから一体に構成される(図1、図3及び図5参照)。
【0023】
支持板部31aは、その略中心部に、支持孔31a1を有する。この支持孔31a1には、図示しない駆動源が嵌め合せられて固定され、該駆動源の周囲には、軸体20が回転自在に支持される。
なお、図中、符号31eは、ガイド部材止着部である。このガイド部材止着部31eには、開閉体10に対し厚さ方向の両側から挟むように近接して該開閉体10の幅方向端部を開閉方向へ案内するガイド部材(図示せず)が止着される。
【0024】
第1の突片部31bは、軸体20の略真上に位置するように、支持孔31a1上方における支持板部31aの最上端部に、略水平状に設けられる。
この第1の突片部31bは、軸支ブラケット31を収納ケース40に対し着脱する方向(図5によれば左右方向)へわたる平板状に形成され、前記着脱の方向の長さL1を、他の第2の突片部31c及び第3の突片部31dの長さL2,L3よりも長く設定している。
また、この第1の突片部31bは、軸体20の中心(支持孔31a1の中心)に対し、収納ケース40奥側寄り(図5によれば右寄り)に、言い換えれば後述する裏板43寄りに、偏って配置される。すなわち、この第1の突片部31bにおける軸体20中心よりも前記奥側の寸法l11が、同第1の突片部31bにおける軸体20中心よりも手前側の寸法l12よりも長く設定される。
この第1の突片部31bの配置及び寸法設定によれば、軸体20を支持した状態の軸支ブラケット31を、収納ケース40の側部に着脱する際、該軸支ブラケット31を第1の支持部41bの載置面41b1に沿って、スムーズに移動できる上、この着脱作業中に軸体20及び軸支ブラケット31が前後へ振られるようなことを効果的に防ぐことができる。
【0025】
第2の突片部31cは、軸体20の中心(支持孔31a1の中心)よりも上側であって且つ第1の突片部31bよりも下側に位置するとともに、軸体20の中心よりも手前側であって且つ第1の突片部31b及び第3の突片部31dよりも手前側(図5によれば左側)に位置し、前後方向へわたる水平状に設けられる。
この第2の突片部31cの前後方向の長さL2は、図5に示す好ましい一例によれば、第1の突片部31bの同方向の長さL1よりも短く、且つ第3の突片部31dの同方向の長さL3よりも短く設定される。
この設定によれば、軸支ブラケット31が手前側へ突出する寸法を必要最小限にして、軸支ブラケット31手前側の空間を比較的広く確保することができる。
【0026】
そして、第2の突片部31cの前端側には、前方を開放した略凹状(図示例によれば、平面視略U字状)の切欠部31c1が設けられる。
この切欠部31c1は、後述する収納ケース40の突起部41c1に対し、手前方向側から嵌り合って当接する。
また、第2の突片部31cの後端側には、ボルトやネジ等の止着具を挿通するための止着孔31c2が設けられる。
【0027】
第3の突片部31dは、軸体20(支持孔31a1)の略真下に位置し、前後方向へわたる水平状に設けられる。
この第3の突片部31dの前後方向の長さL3は、第1の突片部31bの同方向の長さL1よりも短く、且つ第2の突片部31cの同方向の長さL2よりも長く設定される。
この第3の突片部31dの前端側には、前方を開放した略凹状(図示例によれば、平面視略U字状)の切欠部31d1が設けられる。
この切欠部31d1は、上記第2の突片部31cの切欠部31c1と同様に、後述する収納ケース40の突起部に対し、手前方向側から嵌り合って当接する。
また、第3の突片部31dの後端側には、ボルトやネジ等の止着具を挿通するための止着孔31d2が設けられる。
【0028】
また、軸支ブラケット32は、図示しない軸受構造を介して軸体20を回転可能に支持する支持板部32aと、該支持板部32aの上部側から収納ケース40の他方(図2によれば左方)の側部へ向けて突出する第1の突片部32b及び第2の突片部32cと、支持板部32aの下部側から前記側部へ向けて突出する第3の突片部32dとから一体に構成される(図2、図4及び図6参照)。
【0029】
支持板部32aは、その略中心部に、支持孔32a1を有する。この支持孔32a1には、図示しない軸受構造(回転軸及びベアリング等)が嵌め合せられて固定され、該軸受構造によって、軸体20が回転自在に支持される。
図中、符号32eは、ガイド部材止着部である。このガイド部材止着部32eには、開閉体10に対し厚さ方向の両側から挟むように近接して該開閉体10の幅方向端部を開閉方向へ案内するガイド部材(図示せず)が止着される。
【0030】
軸支ブラケット32における第1の突片部32b及び第2の突片部32cは、それぞれ、上述した第1の突片部31b及び第2の突片部31cと、ほぼ左右対称に形成される。そして、第2の突片部32cには、上記第2の突片部31cのものと略同様に、切欠部32c1及び止着孔32c2が形成される。
【0031】
また、第3の突片部32dは、軸体20(支持孔31a1)の略真下に位置し、前後方向へわたる水平状に設けられる。
この第3の突片部32dの前後方向の長さは、第1の突片部32bの同方向の長さL1よりも短く、更に第2の突片部32cの同方向の長さL2よりも短く設定される。この第3の突片部32dには、止着孔32d1のみが設けられる。
なお、他例としては、この第3の突片部32dを、上記一方の軸支ブラケット31の第3の突片部31dと同形状にすることも可能である。
【0032】
また、収納ケース40は、開閉体幅方向の両側に位置する二つの側板41,42(側部)と、これら両側板41,42間における前端部間を閉鎖する裏板43と、これら両側板41,42間における上端部間を閉鎖する天板(図示せず)と、これら両側板41,42間における下端部間を閉鎖する底板(図示せず)と、これら両側板41,42間における手前側、すなわち、両側板41,42間において裏板43側とは反対側の端部間を閉鎖する前板(図示せず)とを具備している。
【0033】
一方の側板41(側部)は、略矩形板状の側板本体41aと、該側板本体41aに対し、溶接やリベット等の止着手段によって止着されて軸支ブラケット31を支持する第1の支持部41b,第2の支持部41c及び第3の支持部41dとを具備している。
【0034】
側板本体41aは、上端、下端及び手前端に、それぞれ、前後方向へ連続するとともに内側(軸体20側)へ曲げられた曲げ部41a1,41a2,41a3を有する。
これら曲げ部のうち、上端の曲げ部41a1は、少なくとも第1の支持部41b及び第2の支持部41cの合計長さよりも長く形成されるとともに、第1の支持部41bの上方に所定間隔を置いて配置されることで、軸支ブラケット31の第1の突片部31bを前後方向へ案内するためのガイド部としても作用する。
また、手前側の曲げ部41a3は、前後へ抜き差しされる軸支ブラケット31に干渉しないように、収納ケース40内側への突出寸法を、他の曲げ部41a1,41a2よりも小さくしている。
【0035】
第1の支持部41b,第2の支持部41c及び第3の支持部41dは、前後方向へわたる断面逆L字状の部材であり、それぞれ、軸支ブラケット31の第1の突片部31b,第2の突片部31c及び第3の突片部31dと略同長さであって、これら突片部に重なり合うように形成される。
【0036】
これらのうち、第1の支持部41bは、軸支ブラケット31の第1の突片部31bを前後方向へ移動し易いように、他の第2の支持部41c及び第3の支持部41dよりも前後方向へ長く(すなわち、手前から奥方向へ長く、かつ奥側の端部が裏板43に近接又は接触するように)形成される。そして、この第1の支持部41bは、側板41における奥寄り且つ上端寄りに配置される。
また、この第1の支持部41bは、第1の突片部31bを載置するための載置面41b1(上端面)を、側板41の上端の曲げ部41a1に対し、所定の間隔を置いて略平行に近接している。すなわち、前記載置面41b1と前記曲げ部41a1との間には、軸支ブラケット31の第1の突片部31bを前後方向へ摺動し案内するための隙間sが確保される。この隙間sの上下方向の寸法は、第1の突片部31bの厚みよりも若干大きく設定される。また、この隙間sの上下方向の寸法は、第1の突片部31bを挿入可能な範囲内で極力小さくすれば、収納ケース40の上下方向の寸法を小さくするのに有効である。
なお、この第1の支持部41b及び第1の突片部31bには、止着具を螺合するためのネジ孔等は設けられていない。
また、第1の支持部41bの他例としては、該第1の支持部41bの手前側先端部を若干下方斜め手前側に曲げることで、この曲げ部分が、軸支ブラケット31の第1の突片部31bを載置面41b1に載置し易くするための案内部となるようにしてもよい。
【0037】
また、第2の支持部41cは、第2の突片部31cを載置して止着するように、側板41における第1の支持部41bよりも手前側に配置される。
この第2の支持部41cの載置面(上面)における奥側には、第2の突片部31cの切欠部31c1と嵌り合って該切欠部31c1の内縁を当接させる突起部41c1が設けられる。また、同載置面における手前側には、第2の突片部31cの止着孔31c2に挿通される止着具を螺合するためのネジ孔41c2が設けられる。突起部41c1は、第2の支持部41cの載置面に貫通するようにして止着されたボルトであり、そのネジ部を上方へ突出させている。
【0038】
また、第3の支持部41dは、第3の突片部31dを載置して止着するように、側板41における下方側に配置される。
この第3の支持部41dの載置面(上面)における奥側には、第3の突片部31dの切欠部31d1と嵌り合って該切欠部31d1の内縁を当接させる突起部41d1が設けられる。また、同載置面における手前側には、第3の突片部31dの止着孔31d2に挿通される止着具を螺合するためのネジ孔41d2が設けられる。突起部41d1は、第3の支持部41dの載置面に貫通するようにして止着されたボルトであり、そのネジ部を上方へ突出させている。
【0039】
他方の側板42(側部)は、略矩形板状の側板本体42aと、該側板本体42aに対し、溶接やリベット等の止着手段によって止着されて軸支ブラケット32を支持する第1の支持部42b,第2の支持部42c及び第3の支持部42dとを具備している。
【0040】
側板本体42aは、上述した側板本体41aと略同様にして、上端、下端及び手前端に、それぞれ、曲げ部42a1,42a2,42a3を有する。
【0041】
第1の支持部42b及び第2の支持部42cは、上述した第1の支持部41b及び第2の支持部41cと左右対称に構成される。そして、第1の支持部41b及び第2の支持部41cと略同様にして、第2の支持部42cには、突起部42c1(ボルト)及びネジ孔42c2が形成され、第1の支持部42bの載置面42b1と側板42の上端の曲げ部41a1との間には、軸支ブラケット32の第1の突片部32bを前後方向へ摺動し案内するための隙間sが確保される。
【0042】
また、第3の支持部42dは、軸支ブラケット32の第3の突片部32dと略同長さに形成され、第3の突片部32dを載置して止着するように、側板42における下方側に配置される。
この第3の支持部42dの載置面(上面)には、第3の突片部32dの止着孔32d1に挿通される止着具を螺合するためのネジ孔42d1が設けられる。
【0043】
また、裏板43は、軸体20及び軸支ブラケット31,32の開閉体幅方向の全長と略同長さの略矩形板状に形成され、その上端側に開閉体幅方向へわたって断面略コ枠状の曲げ部43aを有し、下端側にも同様の曲げ部(図示せず)を有する。
曲げ部43aの手前側の面は、軸支ブラケット31の第1の突片部31bが手前側から第1の支持部41bと曲げ部41a1との間に挿入されて奥側へ移動された際に、該第1の突片部31bの前端に当接又は近接するように配置される。
【0044】
次に、上記開閉装置1の製造方法の特徴及び作用効果について詳細に説明する。
収納ケース40に対し軸体20を組み付ける際、先ず、必要に応じて、手前側にある前板等の部材(図示せず)を取り外すことで、収納ケース40の手前側に作業空間を確保する。この空間確保作業は、裏板43のある奥側からでは、図示しない躯体等が邪魔になり困難となる場合が多い。
そして、収納ケース40の両側板41,42(側部)の間に、軸体20及び左右の両軸支ブラケット31,32を、手前方向側(詳細には閉鎖状態の開閉体10面に対する手前方向側)から挿入する。
この際、軸方向の一端側においては、図1に示すように、軸支ブラケット31上端の第1の突片部31bを、側板41上端の曲げ部41a1に対し下側から近接又は摺接させるようにして、手前側から奥側へ略水平に移動する。すると、第1の突片部31bは、曲げ部41a1の下面に沿うようにして、第1の支持部41bと曲げ部41a1との間へ導かれ挿入される。
それと略同時に、軸方向の他端側においては、図2に示すように、軸支ブラケット32上端の第1の突片部32bが、側板42上端の曲げ部42a1に下側から近接又は摺接するようにして、手前側から奥側へ略水平に移動する。すると、第1の突片部32bは、曲げ部42a1の下面に沿うようにして、第1の支持部42bと曲げ部42a1との間へ導かれ挿入される。
【0045】
前記のようにして移動した軸支ブラケット31,32は、第1の突片部31b,32bの前端を、裏板43の上端側の内面(詳細には曲げ部43a)に近接又は当接させ、それと略同時に、第2の突片部31c,32cの切欠部31c1,32c1の内縁を第2の支持部41c,42cの突起部41c1,42c1に近接又は当接させ、同様に、第3の突片部31dの切欠部31d1の内縁を第3の支持部41dの突起部41d1に近接又は当接させて、その移動を停止するとともに位置決めされる。
この状態では、両第1の突片部31b,32bがそれぞれ両第1の支持部41b,42bに重ね合わせられて止着されることなく載置され、両第2の突片部31c,32cがそれぞれ両第2の支持部41c,42cに重ね合わせられて載置され、両第3の突片部31d,32dがそれぞれ両第3の支持部41d,42dに重ね合わせられて載置される。
【0046】
次に、第2の突片部31c,32c及び第3の突片部31dの各突起部41c1,42c1,41d1(ネジ軸先又はネジ部)に、止着具(例えばナット等)が螺合され締付けられる。
さらに、第2の突片部31c,32c及び第3の突片部31d,32dの各止着孔31c2,32c2,31d2,32d1に止着具(例えばボルトやネジ等)が頭部を下にするとともにネジ部を上にして挿入され、該止着具のネジ部(軸)等の先端側が、第2の支持部41c,42c及び第3の支持部41d,42dの各ネジ孔41c2,42c2,41d2,42d1に螺合される。そして、これら止着具は、それぞれ、手前側下方から例えばドライバー等の工具により締め付けられる。その後、必要に応じて、第2の支持部41c,42c及び第3の支持部41d,42dの上方に突出している前記止着具の先端側(ネジ部)に、手前側上方からナットを取付け螺合し締付けるようにしてもよい。
なお、前記作業は、手前下側の作業空間を利用して、前記したように止着具の頭部を下にして下側から行うのが効率的であるが、他の方法としては、上側からネジ部(軸部)を下側にした止着具を螺合し締め付けることも可能である。
そして、前記作業の後、取り外した前記前板等の部材(図示せず)は、必要に応じて、元の位置に再度取り付けられる。
【0047】
また、メンテナンス等のために、軸体20及び両軸支ブラケット31,32を収納ケース40から外す際には、上記と逆の手順を行えばよい。すなわち、前記止着具を全て外し、軸支ブラケット31,32の第1の突片部31b,32bを、側板41,42(側部)の曲げ部42a1,41a1下面に沿わせるようにして、軸体20及び両軸支ブラケット31,32を手前方向へ略水平に移動し、軸体20及び両軸支ブラケット31,32を収納ケース40外へ取り出す。
【0048】
よって、上記構成の開閉装置1及びその製造方法によれば、一体状の軸体20及び軸支ブラケット31,32を、収納ケース40に対しその手前方向側から容易に装着することができる上、収納ケース40から外す作業も容易である。
特に、装着作業においては、左右の軸支ブラケット31,32を、両側板41,42の間で、第1の支持部41b,42bと曲げ部41a1,42a1の隙間sに挿入して前進させればよいので、その作業中に、軸体20及び軸支ブラケット31,32が上下左右へ振られるのを防ぐことができる。
しかも、作業者の手の届き難い奥側の第1の支持部41b,42bについては、止着具を止着せず、これら支持部に対しそれぞれ前記支持片を仮置きした後、その手前側の第2の支持部41c,42c及び第3の支持部41d,42dに対してのみ止着具を止着するようにしているため、その止着作業が容易である。
また、開閉装置1を開閉動作した際には、軸支ブラケット31,32には軸体20周りのモーメントが加わるが、これら軸支ブラケット31,32を、周方向3か所の突片部及び支持部によって頑強に固定しているため、開閉動作に伴う振動や騒音等を効果的に軽減することができる。
【0049】
なお、上記実施例によれば、突起部41c1,42c1及び41d1を、ボルトのネジ部としたが、他例としては、これら突起部の一部又は全部をネジ部を有さない突起(例えば、ピン状や軸状等の突起)とし、止着作業を更に容易にするようにしてもよい。この場合、特に、比較的に手の届き難い第2の支持部41c,42cについて、ネジ部を有さない突起とするのが効果的である。
【0050】
また、上記実施例によれば、収納ケース40側部の三箇所の支持部のうち、最上部の第1の支持部41bについては、止着具の締付作業が困難となるため、ネジ部を有する上記突起部を設けなかったが、他例としては、この第1の支持部41bに、ネジ部を有さない突起部を設けるようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施例によれば、上記突片部及び上記支持部を軸体20の一端側と他端側のそれぞれに3つ設けたが、他例としては、これら突片部及び支持部を軸体20の一端側と他端側のそれぞれに、単数、2つ、又は4以上配設することも可能である。
【0052】
また、上記実施例によれば、左右の軸支ブラケット31,32を着脱の際に沿わせるように曲げ部41a1,42a1を設けたが、これら曲げ部41a1,42a1を省き、代わりに、両軸支ブラケット31,32が図示しない天板に沿って移動されるようにすることも可能である。
【0053】
また、上記実施例によれば、軸体20によって開閉体10を巻き取ったり繰り出したりする一軸式のシャッター装置を構成したが、他例としては、二軸式のシャッター装置を構成することも可能である。すなわち、この場合、開閉体10を、軸体20の上半部側に掛合して、開閉方向に対する交差方向(図1によれば手前方向側)へ導き、収納ケース40の両側部によって回転自在に支持された図示しない第2の軸体に巻き取るようにすればよい。
【符号の説明】
【0054】
1:開閉装置 10:開閉体
20:軸体 31,32:軸支ブラケット
31a,32a:支持板部 31b,32b:第1の突片部
31c,32c:第2の突片部 31d,32d:第3の突片部
31c1,31d1,32c1:切欠部 40:収納ケース
41,42:側板(側部) 41a1,42a1:曲げ部
41b,42b:第1の支持部 41c,42c:第2の支持部
41d,42d:第3の支持部 41c1,41d1,42c1:突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面方向へスライドして開閉動作する開閉体と、前記開閉体を外周部に係合して開閉動作させる軸体と、前記軸体を回転可能に支持し収納する収納ケースとを備えた開閉装置において、
前記軸体の軸方向の両端側に、それぞれ、前記軸体を回転可能に支持する軸支ブラケットを設け、前記収納ケースの両側部には、それぞれ、前記各軸支ブラケットを支持する支持部を設け、
前記軸支ブラケットは、前記軸体を支持したままの状態で、手前方向側から前記支持部に対し着脱するように設けられていることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記各軸支ブラケットに、収納ケースの側部へ向かって突出する複数の突片部を設け、前記収納ケースの側部には、前記複数の突片部にそれぞれ対応するように、複数の前記支持部を設け、
前記複数の突片部及び支持部のうち、その一部については、突片部を支持部に対し止着することなく載置し、他の一部については、突片部を支持部に対し載置して止着したことを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
止着することなく載置される関係にある前記一部の突片部及び支持部は、前記軸体よりも上側に配置されていることを特徴とする請求項2記載の開閉装置。
【請求項4】
止着することなく載置される関係にある前記一部の突片部及び支持部は、前記他の一部の突片部及び支持部よりも、前記着脱の方向へ長く形成されていることを特徴とする請求項2又は3何れか1項記載の開閉装置。
【請求項5】
前記複数の支持部のうちの一部又は全部には、前記突片部を載置する載置面に、上向きに突出する突起部が設けられ、対応する前記突片部には、前記手前方向側から前記突起部に嵌り合って当接する略凹状の切欠部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の開閉装置。
【請求項6】
前記複数の突片部及び支持部には、第1の突片部及び第1の支持部と、第2の突片部及び第2の支持部と、第3の突片部及び第3の支持部とが含まれ、
第1の突片部及び第1の支持部は、前記軸体の略真上に位置し、第1の突片部は、第1の支持部に対し止着されることなく載置され、
第2の突片部及び第2の支持部は、前記軸体の中心よりも上側に位置するとともに第1の突片部及び第1の支持部よりも手前側に位置し、
第3の突片部及び第3の支持部は、前記軸体の略真下に位置することを特徴とする請求項2乃至5何れか1項記載の開閉装置。
【請求項7】
前記収納ケースの両側部の間に、前記軸体及び前記両軸支ブラケットを前記手前方向側から挿入して、第1の突片部を第1の支持部に載置するのと略同時に、第2の突片部を第2の支持部に、第3の突片部を第3の支持部に、それぞれ載置し、その後で、第2の突片部を第2の支持部に、第3の突片部を第3の支持部に、それぞれ止着するようにしたことを特徴とする請求項6記載の開閉装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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