説明

間ピッチ制御方法、熱間圧延装置、および熱間圧延方法

【課題】被圧延材の加熱炉からの抽出タイミングが遅れた場合、該被圧延材を最適な間ピッチに近づけることのできる間ピッチ制御方法を提供する。
【解決手段】複数の加熱炉と、該加熱炉から抽出した被圧延材を搬送する搬送テーブルと、を備えた熱間圧延ラインで間ピッチを調整する方法であって、搬送テーブルは搬送速度が変更可能であり、熱間圧延ライン内で先行被圧延材の後端と後行被圧延材の先端とが衝突しないように予め間ピッチを時間又は距離で計画して被圧延材の加熱炉からの抽出時間を決定し、通常のときは、搬送テーブルが搬送可能な上限速度より低い設定速度で被圧延材を搬送する条件により抽出時間が決定され、被圧延材の抽出時間が決定された時間より遅れたときは、被圧延材を通常のときより速い速度で搬送テーブルを作動させて被圧延材を搬送することにより遅れを取り戻すものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間圧延ラインにおいて、先行する被圧延材とその次に搬送される被圧延材との間ピッチを制御する間ピッチ制御方法、熱間圧延装置、および熱間圧延方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱間圧延ラインは電力、燃料、水等の資源を大量に消費する。圧延時に消費する資源の原単位は、単位時間当たりの生産量を高めると改善する。熱間圧延ラインにおいて生産コストを改善するために生産性を改善することは優先される課題の1つである。単位時間当たりの生産量を高める方法は2種類に大別される。ひとつは熱間圧延ライン内における処理速度(例えば搬送速度、圧延速度等)を高める方法である。もうひとつは絶え間なく生産し続ける方法である。
【0003】
熱間圧延ラインでは、複数の被圧延材が順次、熱間圧延ラインで圧延される。従って、当然に、先行する被圧延材(先行被圧延材)と、その次に圧延される被圧延材(後行被圧延材)とが存在する。ここで、絶え間なく生産し続ける観点から、先行被圧延材を圧延した後、速やかに後行被圧延材を圧延することが生産性を高めるために重要である。なお、先行被圧延材の後端と後行被圧延材の先端との間隔(時間及び距離)は、間ピッチと呼ばれている。
【0004】
この間ピッチを短くすることにより、熱間圧延ラインが効率良く稼働し、生産効率を向上させることができる。しかし、間ピッチが短すぎると先行被圧延材と後行被圧延材との衝突が生じる等のトラブルが発生し生産性が悪化する。一方、間ピッチが長いと設備が使用されていない時間が多くなり、生産効率が低下する。つまり、生産性を高めるためには適切な間ピッチ制御が非常に重要である。
【0005】
熱間圧延ラインにおける間ピッチ制御は、このように被圧延材を絶え間なく圧延することで高い生産効率を達成することを目的としている。具体的には、熱間圧延ラインに備えられる各装置において最も間ピッチが小さくなる箇所を求め、そこで必要となる間ピッチを算出し、この間ピッチを確保するため上流側の設備の運転条件を決定する。運転条件には例えば、圧延速度、搬送速度、加熱炉からの被圧延材の抽出タイミング等が挙げられる。最も間ピッチが小さくなる箇所は、仕上圧延機入側からコイラーの間になることが多い。このような間ピッチ制御に関する技術がいくつか開示されている。
【0006】
例えば特許文献1には、ライン上の任意の位置への鋼板到達所要時間を計算し、加熱炉内の後行被圧延材とライン上の任意の鋼板との関係を制約条件にし、加熱炉からの最適な抽出タイミングを指示できる方法が示されている。
【0007】
特許文献2には、加熱炉抽出から巻き取りまでの各工程の時間を予測し、最も大きな間ピッチが必要な工程に合わせて後行被圧延材を加熱炉から抽出するとともに、被圧延材は、当該被圧延材からみた下流設備のうち最も大きな間ピッチが必要な工程に合わせて速度を制御する方法が開示されている。ここではさらに、当該制御結果を学習することも示されている。
【0008】
特許文献3には、次のような技術が開示されている。すなわち、被圧延材が加熱炉在炉中に加熱炉から各設備、各パスを通過する時間を予測計算し、連続して圧延される材料間で干渉(衝突)が生じないように、各被圧延材の加熱炉からの予定時間、ラインの各設備を通過する予測時間を決定する。そして、被圧延材の加熱炉からの抽出、圧延を行い、粗圧延機下流、または仕上圧延機上流の設備やパスを通過する先行被圧延材の搬送予測時間と実績との誤差をもとに後行被圧延材の加熱炉抽出予定時間と各設備およびパス通過時間予測を補正する。さらには圧延処理速度に比べて加熱処理速度が遅くなったら、加熱炉抽出目標温度に加熱可能になるよう加熱炉からの抽出予定時間を変更する。
【0009】
一方、加熱炉においては、被圧延材の昇温、炉内の被圧延材の搬送等、加熱炉固有の要因により、実際の抽出タイミングは要求された抽出タイミングよりも遅れることがある。また、熱間圧延ラインにおいても搬送、圧延の予測時間と実績時間との誤差等により各設備への被圧延材の到達時間は予測時間より前後することが少なくない。
【0010】
このような遅れに対して、例えば特許文献4には、タンデム圧延機での間ピッチの目標値と実績値との偏差に基づいて、被圧延材の搬送速度又は圧延速度を変化させて間ピッチを目標間ピッチに近付けるようにするといった方法が示されている。
【0011】
また、特許文献5には、粗圧延機前の間ピッチ制御で、該粗圧延機の圧延スタンドの速度、ピンチロールの速度、および加熱炉抽出位置での被圧延材の先端位置のばらつき等のデータに応じて搬送テーブルの機動タイミング、ピンチロールの駆動速度の修正を行い、間ピッチの誤差を修正する方法が示されている。
【0012】
特許文献6には、粗圧延機に被圧延材の後端検出器、該粗圧延機より上流の搬送テーブルに被圧延材検出器を設け、各検出器で被圧延材がそれぞれの位置を通り抜けたことを検出し、予測時間と実測時間と後行被圧延材の先端位置から目標間ピッチを実現するため、後行被圧延材の加減速タイミングと搬送速度を制御する方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開昭62−124006号公報
【特許文献2】特開平4−351216号公報
【特許文献3】特開平6−299231号公報
【特許文献4】特開昭62−230418号公報
【特許文献5】特開昭63−137509号公報
【特許文献6】特開平11−347609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1〜3には、被圧延材の加熱炉からの最適抽出タイミングを定める方法が示されている。しかしながら、実際の操業では、最適抽出タイミングより遅れて被圧延材を抽出することある。これには例えば、加熱炉内の搬送状況によっては最適抽出タイミングに被圧延材が加熱炉抽出端に到達していないこと、被圧延材が最適抽出タイミングまでに充分内部まで被圧延材が加熱されていないこと、オペレータの手動介入等が挙げられる。特許文献1〜3に記載の技術ではこのような遅れに対して間ピッチを適切に制御することができない。
【0015】
特許文献4に記載の技術は、遅れを挽回して間ピッチを適切にする方法であるが、これは圧延スタンドによる圧延速度を変化させる方法である。圧延速度は被圧延材の処理速度に最も影響を及ぼす速度であるから、本来可能な限り高い速度が設定される。従って、圧延速度を上げる方には自由度が小さい。また、仕上圧延機の下流側にあるランアウトテーブルでの冷却条件によっては圧延速度の上限が規制されることもある。従って、圧延スタンドによる圧延速度を上げることで間ピッチの遅れを取り戻すのは困難なことがある。
【0016】
特許文献5に記載の技術は、粗圧延機前における間ピッチ制御である。ピンチロールによる減速タイミングを操作すれば、間ピッチを制御することは可能であるが、制御できるのは間ピッチを広げる方向のみであり、加熱炉からの抽出タイミング(特許文献5では抽出ローラテーブル起動指令)が予定より遅れた場合にこれを挽回するものではない。
【0017】
特許文献6に記載の方法では、粗圧延機より上流側のテーブルに設けられた被圧延材検出器と粗圧延機との間で被圧延材の搬送速度を制御し、間ピッチを調整することができる。この方法でも特許文献5と同様に間ピッチを広げる方向に制御できる。しかし、この方法でも速度制御している区間は被圧延材検出器と粗圧延機の間であるため、この間の搬送速度を増速しても間ピッチを小さくできる(遅れを取り戻すことのできる)制御量は大きくない。
【0018】
そこで本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、被圧延材の加熱炉からの抽出タイミングが遅れた場合、該被圧延材を最適な間ピッチに近づけることのできる間ピッチ制御方法、熱間圧延装置、および熱間圧延方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
以下、本発明について説明する。
【0020】
請求項1に記載の発明は、被圧延材を昇温する複数の加熱炉と、該加熱炉から抽出した被圧延材を粗圧延機の方向に搬送する搬送テーブルと、を備えた熱間圧延ラインで、先行被圧延材の後端と、後行被圧延材の先端との間隔である間ピッチを調整する方法であって、搬送テーブルは搬送速度を変更可能とされており、熱間圧延ライン内で先行被圧延材の後端と後行被圧延材の先端とが衝突しないように予め間ピッチを時間又は距離で計画して被圧延材の加熱炉からの抽出時間を決定し、通常のときは、搬送テーブルが搬送可能な上限速度より遅い設定速度で被圧延材を搬送する条件により抽出時間が決定され、被圧延材の抽出時間が決定された時間より遅れたときは、被圧延材を通常のときより速い速度で搬送テーブルを作動させて被圧延材を搬送することにより遅れを取り戻す、間ピッチ制御方法である。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の間ピッチ制御方法において、搬送テーブルは複数の区間に区分されており、複数の区間ではそれぞれ搬送速度を独立して変更可能であることを特徴とする。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の間ピッチ制御方法において、搬送テーブルの複数の区間のうち、被圧延材が存する区間と該区間の熱間圧延ライン下流側に隣接する区間とは搬送速度が同じとされていることを特徴とする。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の間ピッチ制御方法において、搬送テーブルの区間の数は、加熱炉の数以上であることを特徴とする。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の間ピッチ制御方法において、上限速度より遅い設定速度は、上限速度の70%以下であることを特徴とする。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の間ピッチ制御方法において、抽出が遅れた被圧延材が先行被圧延材であり、後行被圧延材の抽出時間は、遅れが取り戻された先行被圧延材の後端の位置予測に基づいて再度決定されることを特徴とする。
【0026】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の間ピッチ制御方法において、後行被圧延材の抽出時間は、先行被圧延材を加熱炉から抽出した時に決定されることを特徴とする。
【0027】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の間ピッチ制御方法において、後行被圧延材を加熱している加熱炉の正面に配置される搬送テーブル部分を先行被圧延材が通過してから、後行被圧延材が加熱炉から抽出されることを特徴とする。
【0028】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の間ピッチ制御方法において、加熱炉から粗圧延機までの間にデスケーリング設備が備えられ、デスケーリング設備は搬送テーブルによる被圧延材の搬送速度に基づいてデスケーリング条件を変更することを特徴とする。
【0029】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の間ピッチ制御方法において、デスケーリング設備は複数の噴射ヘッダーを備え、デスケーリングの条件は使用する噴射ヘッダーの本数を変更してなされることを特徴とする。
【0030】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の間ピッチ制御方法を含み、該方法により鋼板を搬送することにより圧延をおこなう熱延鋼板の製造方法である。
【0031】
請求項12に記載の発明は、複数の加熱炉と、加熱炉から抽出された被圧延材を粗圧延機の方向に搬送し、複数の区間に区分されるとともに、該区間の少なくとも1つは搬送速度を変更可能である搬送テーブルと、先行する被圧延材の後端が通過してから後行の被圧延材の先端が到達するまでの時間である間ピッチを予測し、後行の被圧延材が先行の被圧延材に衝突しないように先行の被圧延材及び後行の被圧延材の加熱炉からの抽出時間を演算することが可能な制御手段と、を有し、制御手段は、搬送テーブルで被圧延材を搬送可能な最高速度より遅い速度で被圧延材を搬送する条件で抽出時間を演算することが可能であるとともに、被圧延材の加熱炉からの抽出時間が当初の予定より遅れたときに、搬送テーブルの搬送速度を速くして遅れを挽回する演算をすることが可能とされていることを特徴とする熱間圧延装置である。
【0032】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の熱間圧延装置において、加熱炉と粗圧延機との間にデスケーリング設備が備えられ、デスケーリング設備は複数の噴射ヘッダーを有し、複数の噴射ヘッダーは被圧延材の搬送条件に基づいてその使用本数を変更可能とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明により、熱延鋼板の製造ラインにおいて、被圧延材の加熱炉からの抽出が遅れた場合であっても、適切な間ピッチに近づけることができ、熱延鋼板の製造効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】1つの実施形態にかかる熱間圧延装置の一部を模式的に示した図である。
【図2】通常時における間ピッチ制御について説明する図である。
【図3】後行被圧延材に抽出遅れが生じた場面を説明する図である。
【図4】後行被圧延材に抽出遅れが生じた場面で、間ピッチ制御が行われたときを説明する図である。
【図5】先行被圧延材に抽出遅れが生じた場面で、間ピッチ制御が行われたときを説明する図である。
【図6】先行被圧延材に抽出遅れが生じた場面で、間ピッチ制御が行われたときの他の例を説明する図である。
【図7】全体としての本発明の効果を説明する図である。
【図8】実施例の熱間圧延装置の一部を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の上記した作用および利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0036】
わかりやすさのため、はじめに1つの実施形態にかかる熱間圧延装置1について説明する。その後、間ピッチ制御方法、およびこれを用いた熱延鋼板の製造方法について説明する。
【0037】
図1は、1つの実施形態にかかる熱間圧延装置1のうち、サイジングプレス2及び粗圧延機3の上流側(上工程側)で、加熱炉11、12、13、14の近傍に注目した模式図である。粗圧延機3の紙面右方には下流側(下工程側)に備えられるべき通常の各設備が備えられており、熱延鋼板を製造することができるように構成されている。下流側に配置される設備として例えば仕上げ圧延機群、冷却設備、および巻き取り設備等を挙げることができる。
【0038】
図1を参照しつつ、熱間圧延装置1について説明する。熱間圧延装置1は、加熱炉11、12、13、14、加熱炉正面搬送テーブル20、21、22、23、粗圧延機前搬送テーブル30、デスケーリング設備35、被圧延材検出器40、および制御手段41を備えている。
【0039】
加熱炉11、12、13、14は、被圧延材を所定の温度にまで加熱するための設備である。ここで所定の温度とは、最終的に得られる熱延鋼板が有するべき機械的性質、表面性状、断面形状等に基づき、これを実現するための圧延条件が考慮されて決定される温度である。加熱炉11、12、13、14は、熱間圧延装置に用いられる通常の加熱炉を適用することができ、被圧延材を加熱する手段、および抽出手段を有している。抽出手段は、後述する制御手段41からの指令に基づいて、加熱する手段により加熱された被圧延材を加熱炉正面搬送テーブル20、21、22、23に移動させる手段である。
【0040】
本実施形態では4つの加熱炉11、12、13、14が具備されている。このように複数の加熱炉を設けることにより、次々に加熱炉から被圧延材を抽出することができ、後述するように間ピッチを適切に制御することが可能となる。加熱炉が複数備えられることに限定されないが、加熱炉の数が少ないと被圧延材の加熱炉からの抽出間隔より熱間圧延ラインの処理能力が高い状態になりやすく、熱間圧延ライン下流側における間ピッチが広くなる傾向にある。また、加熱炉を複数設けることにより、複数の被圧延材に対する複数種類の条件設定が可能となり、より円滑な被圧延材の調温、および抽出ができるといった効果もある。このように、複数の加熱炉から抽出されるという複雑な態様において被圧延材の間ピッチをより適切に制御するという観点から、本発明の間ピッチ制御方法も複数の加熱炉が設置された熱間圧延装置を対象とする方がより効果的である。ただし、このことは上記したように加熱炉が1つであることを妨げるものではなく、加熱炉が1つである場合にも適用は可能である。また、複数の加熱炉の数も4つに限定されることはなく、これより多くても、少なくてもよい。
【0041】
加熱炉正面搬送テーブル20、21、22、23は、加熱炉11、12、13、14から抽出された被圧延材をライン下流側に搬送するためのテーブルである。加熱炉正面搬送テーブル20、21、22、23は、加熱炉11、12、13、14の幅(加熱炉の製造ライン上流・下流方向大きさ)と概ね同じ長さを有し、それぞれ加熱炉11、12、13、14の正面に配置されている。そして4つの加熱炉正面搬送テーブル20、21、22、23が製造ライン方向に連続的に配列されている。これにより各加熱炉正面搬送テーブル20、21、22、23がそれぞれ区間を形成している。
【0042】
加熱炉正面搬送テーブル20、21、22、23は、それぞれモータ20a、21a、22a、23aにより駆動されており、搬送速度を2段階(高速/通常)に変更することができる。加熱炉正面搬送テーブル20、21、22、23の駆動(すなわちモータ20a、21a、22a、23aの入り切り、速度の選択)は、後述する制御手段41により制御される。
【0043】
本実施形態では、加熱炉正面搬送テーブル20、21、22、23を4つ備え、それぞれの当該加熱炉正面搬送テーブル20、21、22、23は2段階で速度調整が可能であるものとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、加熱炉正面搬送テーブルは2つ、または3つであってもよく、逆に5つ以上であってもよい。ただし、設備の簡素化、電力の浪費抑制を考慮すると、加熱炉正面搬送テーブルの制御区間は、それぞれの加熱炉毎に区切られている、又は加熱炉間の間隔が被圧延材の長さ以上であるのならそれぞれの加熱炉及び加熱炉間毎に区切られていることが好ましいので本実施形態では上記のような構成を説明した。
ここで「加熱炉正面搬送テーブルの制御区間」とは、該加熱炉正面搬送テーブルに備えられる搬送ロールが同期して回転する区間である。加熱炉正面搬送テーブルを複数の制御区間に区切ると被圧延材が搬送されていない制御区間では、搬送ロールを回転させる必要が無く、電力の浪費を抑えることができる。例えば引用文献6のように加熱炉と粗圧延機との間に配置される搬送テーブルが一つの制御区間であった場合、該搬送テーブル内の駆動ロールが全て駆動して電力の無駄であるとともに、搬送テーブル上に複数の被圧延材があった場合には間ピッチを制御することができない。
【0044】
また、本実施形態では各加熱炉正面搬送テーブル20、21、22、23が2段階で速度調整が可能であるものとしたが、これに限定されることはなく、各加熱炉正面搬送テーブルは3段階以上に速度調整可能であってもよいし、無段階に調整することができてもよい。被圧延材が一つの制御区間内にあり、該制御区間内で搬送速度を変化させることができれば、被圧延材と搬送ロールとがスリップして被圧延材にスリ傷を生じさせることなく搬送速度を変化させることができる。従って搬送ロールと被圧延材とのスリップによる被圧延材のスリ傷発生を回避するため、被圧延材が複数の制御区間にまたがっている場合は、被圧延材に接する制御区間は同じ搬送速度に制御されることが好ましい。
【0045】
粗圧延機前搬送テーブル30は、上記加熱炉正面搬送テーブル20、21、22、23の下流側に連続し、被圧延材を粗圧延機3に導くための搬送テーブルである。本実施形態では1つの粗圧延機前搬送テーブル30が設けられ、これが3つの制御区間に分割されている。
【0046】
粗圧延機前搬送テーブル30は、各制御区間についてそれぞれモータ30a、31a、32aにより駆動されており、搬送速度を2段階(高速/通常)で変更することができる。粗圧延機前搬送テーブル30の制御区間の駆動(すなわちモータ30a、31a、32aの入り切り、速度の選択)は、後述する制御手段41により制御される。従って、本実施形態では、後述するように粗圧延機前搬送テーブル30によっても間ピッチ制御が可能となる。
【0047】
各制御区間における速度調整は2段階のみならず、3段階以上に変更可能であっても良いし、無段階に調整することができても良い。これに加えて、粗圧延機前搬送搬送テーブル30上に一定速度又は一定速度以下で搬送しなければならない設備が設置してある等の理由により自在に速度制御できない区間がある場合、その区間は制約条件に沿って被圧延材を搬送することができる。
【0048】
デスケーリング設備35は、粗圧延機3より上流側に配置され、被圧延材表裏面に生じたスケール(酸化被膜、付着物、不要な生成物)を除去するための設備である。具体的には被圧延材の表裏に高圧の水を噴射することによりその衝撃力を用いてスケールを除去する。デスケーリング時、単位面積当たりの高圧水の水量(流量)と圧力(吐出圧)の積が一定の値を超えれば適切にスケールを除去できる。経験上、単位面積当たりの水量と圧力の積が150J/mを超えると適切にスケールを除去できるため次式(1)のような関係になる。
【0049】
【数1】

【0050】
ここで、Eは被圧延材の表面における高圧水のエネルギ(J/m)を表わし、これが150(J/m)以上であることを意味する。またPはデスケーリングノズルからの水の吐出圧(Pa)、Qは流量(m/秒)、Vは被圧延材の搬送速度(m/秒)、Hはノズル高さ(m)、およびθはノズルの噴射角(度)をそれぞれ表わしている。
【0051】
高圧水のエネルギが150J/mより極端に大きい場合でもスケール除去はできるがその効果は飽和する傾向にあり、水と電力の効率がよくない。すなわち、適切にスケールを除去するには、デスケーリング設備35を通過する被圧延材の速度に応じた圧力と水量でスケール除去する必要がある。また、デスケーリング設備を通過する被圧延材の搬送速度が数種類あるのであれば、それに応じた水量又は圧力の高圧水でスケール除去できるようにした方が水及び電力の使用効率がよい。
【0052】
ここで、デスケーリング設備はデスケーリング設備の前後の搬送テーブルの被圧延材搬送速度と同様の搬送速度でも十分にスケール除去ができる能力を備えていることが好ましい。これにより、スケール除去のためデスケーリング設備内を搬送する速度の上限に制約があると、デスケーリング設備の区間でも間ピッチの遅れを取り戻すことが可能となる。
【0053】
デスケーリング設備35は、粗圧延機前搬送テーブル30の1つの制御区間に配置される。ここで、デスケーリング設備35はこのように搬送テーブルの1つの制御区間内にのみ配置し、複数の制御区間を跨って配置されないことにすることが好ましい。少なくともデスケーリング設備35を被圧延材が搬送される速度を常時確認できるようにすることが必要である。そして、デスケーリング設備35の高圧水の条件は粗圧延機前搬送テーブル30のうちデスケーリング設備35が配置された部位の制御区間における搬送速度によって決定される。デスケーリング設備35のために制御区間を確保できない設備構成においても、少なくともデスケーリング設備35内を被圧延材が搬送される速度を監視し、デスケーリング時における被圧延材の搬送速度からデスケーリング設備35の高圧水の条件を決定できるようにすることが好ましい。これにより、デスケーリング設備35内では、被圧延材の搬送速度に応じて高圧水の条件が制御されるため、デスケーリング不良や、必要以上の水の供給による浪費を容易に防止することができる。
【0054】
被圧延材がデスケーリング設備35内を通過中であるときに搬送速度が式(1)を満たしていればよく、搬送速度がどのような速度であるかについては特に限定されるものではない。すなわち、デスケーリング設備35内における粗圧延機前搬送テーブル30の制御区間も上記したように複数の段階で速度調整をおこなうことができてもよい。これによれば、例えば適切な間ピッチに追い付くために、加熱炉正面搬送テーブル20、21、22、23、および粗圧延機前搬送テーブル30を高速に設定してもなお、さらに追いつくため速度設定が必要である場合には、粗圧延機前搬送テーブル30の全ての制御区間を高速とすることができる。これによりさらなる最適な間ピッチ制御が可能となる。
【0055】
このように粗圧延機前搬送テーブル30におけるデスケーリング設備内の制御区間で搬送速度を調整することができるように構成するに際しては、いずれの搬送速度でも同じように水の噴射をおこなっていたのでは適切なデスケーリングをすることができない。これに対しては、例えば次のようにして対応することが可能である。
【0056】
第一にデスケーリングの水の噴射に供するヘッダーを増設し、粗圧延機前搬送テーブル32による被圧延材の搬送が通常であるときには一部のヘッダーのみを使用する一方、速いときには全てのヘッダーを使用することによる調整が可能である。第二には、上記のようにヘッダーを増設することができない場合には、被圧延材の搬送速度に基づいてヘッダーからの吐出圧を調整することが可能である。
いずれの方法でも適切なデスケーリングをするためには上記した式(1)を満たすことが好ましい。
【0057】
上記のデスケーリング方法により、デスケーリング装置が配置された制御区間も間ピッチ制御のために使用することができ、間ピッチを狭めるために自由度をより大きくとることができる。以上により間ピッチの適切な制御をより確実なものとし、かつ、適切なデスケーリングを行うことが可能となる。本実施形態では粗圧延機3の前に1つのデスケーリング設備35がある例を説明したが、粗圧延機の前に2つ以上のデスケーリング設備を設けてもよい。これにより1つのデスケーリング設備では不十分な場合に、他のデスケーリング設備を補助的に用いて適切なデスケーリングを行うこともできる。ここでデスケーリング設備を増設する際、粗圧延機前搬送テーブルに充分な設置スペースが無ければ、加熱炉正面搬送テーブルの加熱炉間にデスケーリング設備を増設しても良い。
【0058】
被圧延材検出器40は、先行する被圧延材の先端および後端を検知して、適切な間ピッチを制御するための情報を得る装置である。従って、被圧延材検出器40は、いわゆるセンサであり、被圧延材の先端および後端を検出し、これを電気的な情報に変換することができるものであればよい。ここで被圧延材検出器40は制御区間ごとに設けられてもよい。
【0059】
制御手段41は、入手した情報に基づいて必要な演算をし、その結果を各設備に対する指令として出力する手段である。制御手段はこのような機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば次のような構成を備えるものを挙げることができる。すなわち、制御手段41は、入力ポート、ROM、RAM、中央演算子(CPU)、および出力ポートを備えている。入力ポートは、演算に必要な情報を外部から取り入れるための部位である。ROMは、演算に用いられる式や予め得ておいたデータが蓄積されている部位である。CPUは入力情報、ROMに蓄積された情報により実際に演算をする部位である。またこのような演算をしたり、得られた結果を格納する領域としてRAMが機能する。そしてRAMに蓄積された結果等に基づき、出力ポートを介して各設備に指令が発せられる。
【0060】
本実施形態では、入力ポートから入力される情報として、被圧延材検出器40からの情報、加熱炉11、12、13、14内の被圧延材の加熱状況(温度等)、後行被圧延材の加熱炉11、12、13、14からの抽出状況等を挙げることができる。
またROMに格納される情報としては、最適な間ピッチを求める演算式、遅れが生じた場合において最適な間ピッチに追い付くために必要とされる搬送テーブルの速度を得るための演算式、デスケーリング設備の水噴射の態様を決定する演算式等を挙げることができる。
さらに、出力ポートから出力される指令としては、加熱炉からの被圧延材の抽出、搬送テーブルの駆動、搬送速度、デスケーリング設備のノズル噴射等を挙げることができる。
【0061】
以上のような各設備を備える熱間圧延装置1により、後行被圧延材の加熱炉からの抽出遅れがあっても、先行被圧延材との適切な間ピッチを得ることができる。
【0062】
次に間ピッチ制御について説明する。間ピッチ制御とは、熱間圧延ラインにおいて被圧延材を搬送する際、当該被圧延材の前後に圧延される別の被圧延材と当該被圧延材とが接触することなく、かつ、被圧延材間の間隔(間ピッチ)を可能な限り狭めるように制御することである。これにより、トラブルを回避しつつ、高い生産性が可能となる。
【0063】
間ピッチ制御は、おおよそ以下のようにおこなわれる。すなわち、初めに各被圧延材の熱間圧延ラインにおける搬送パターンを決定する。これは被圧延材が熱間圧延ライン内の設備を通過していく速度を決めることを意味する。当該速度は具体的には例えば次のような制約条件に基づくことがある。
・ランアウトテーブルで急冷却が必要な場合は、ランナウトテーブル搬送速度で上限が制限される。
・圧延機の能力によって圧延速度の上限が制限される。
・サイジングプレスを使用する場合、サイジングプレス使用時の搬送速度が制限される。
【0064】
次に、決定された搬送パターンおよび各設備通過時における被圧延材の長さから、熱間圧延設備における加熱炉抽出時からの経過時間、熱間圧延設備内における被圧延材の先端及び後端の位置を計算する。
【0065】
そして、当該被圧延材より前に圧延される被圧延材(先行被圧延材)の後端位置及び時間の計算結果と、当該被圧延材の先端位置及び時間の計算結果とを対比し、先行被圧延材と当該被圧延材とが熱間圧延ライン内で接触せず、かつ最も先行被圧延材と当該圧延材とが接近した時の両者の間隔が設備トラブルを誘発しない範囲で最小となる当該被圧延材の加熱炉抽出タイミング(先行被圧延材を加熱炉より抽出してからの経過時間)を計算する。同時に熱間圧延ライン内の各設備における間ピッチも計算され、熱間圧延ライン内を搬送する際の間ピッチの調整は個々で求めた間ピッチ計算値を基に行われる。
【0066】
通常、熱間圧延ライン内では、先端や後端を切断するときを除いて、被圧延材の長さはライン下流に行くに従って長くなる。加熱炉抽出時には十数メートルの長さであった被圧延材が圧延を経てコイラーに巻き取られる時には千メートルを超える長さになることもある。従って、間ピッチはライン出側の方が小さくなる傾向にある。
【0067】
熱間圧延ラインにおいて生産性を向上させるには、間ピッチ制御の他に被圧延材の搬送速度を高めることも重要である。熱間圧延ラインにおいて搬送速度上限の規制になるのは仕上圧延機の能力又はランアウトテーブルでの冷却条件であることが多く、これらの設備での搬送速度を上げることが生産性向上に直結する。そのため搬送パターンを決定する時にはこれらの設備通過時の搬送速度は可能な限り高い値が入力される。従って被圧延材の搬送が遅れ、目標より間ピッチが大きくなった場合、速い速度が設定されているこれらの設備での増速により間ピッチを挽回することは難しい。一方、増速による間ピッチの挽回が可能な設備としては粗圧延機や設備間の搬送テーブルを挙げることができる。
熱間圧延ラインが最も高い生産性を発揮している状態とは、ライン下流において被圧延材が高速で絶え間なく搬送されている状態であるが、この状態にするために仕上圧延機やランアウトテーブルにおける搬送速度やコイラーの巻き取り速度を高めることは必要不可欠である。しかしその際にも粗圧延機や仕上圧延機より上流側の設備間の搬送テーブルの速度を限界まで高めるのは必ずしも必要ではない。
【0068】
本発明の間ピッチ制御方法は、熱間圧延ラインにおいて生産性を高めるために適切な間ピッチ制御をする方法である。すなわち、粗圧延機や仕上圧延機より上流側の設備間の搬送テーブルといった必ずしも設備搬送限界速度で搬送する必要のない設備の搬送速度を設備搬送限界速度より低い搬送速度として搬送パターンを定め、何らかの原因で間ピッチが広がった場合、これらの設備の搬送速度を増速して適正な間ピッチになるよう制御することである。
【0069】
搬送速度を変更する場合、搬送テーブルの搬送速度を変更するのが最も容易である。しかし、設備間の搬送テーブルの場合、搬送テーブル上の被圧延材が当該搬送テーブルの上流側又は下流側の設備を通過中であれば、自由に搬送速度を変更することはできないという制約がある。この制約を考慮すると被圧延材が長くなる熱間圧延ラインの下流の搬送テーブルの搬送速度は自由に搬送速度を変更できないことが多く、又はごく短い時間しか搬送速度を変更できないことから効果的でない。すなわち、熱間圧延ライン上流の上流側、特に粗圧延機より上流側では被圧延材が短いのでこの制約が緩和されており、搬送テーブルの搬送速度を変更して効果的に間ピッチ制御することができる。
【0070】
被圧延材が搬送テーブルを通過した後は、当該搬送テーブルを増速して当該被圧延材とその先行被圧延材との間ピッチを制御することはできない。従って、ライン上流側の搬送テーブルの速度を制御した間ピッチ制御はライン上流側で既に発生した間ピッチのずれしか制御できない。ここで間ピッチが狙いより大きくなるのは当該被圧延材の加熱炉抽出タイミングの遅れに起因することが多いため、ライン上流側の搬送テーブルを使用した間ピッチ制御は効果があることが多い。加熱炉を複数備えた圧延設備の場合、最も上流側の加熱炉から粗圧延機までの距離が100mを超えることもあり、この広い区間の搬送速度を制御すれば、間ピッチを小さくする(抽出遅れを取り戻す)ことのできる量も大きくなる。一方、間ピッチが目標より短くなった場合は、当該被圧延材の搬送速度を下げるか、当該被圧延材を搬送テーブル上で停滞させればよい。
【0071】
被圧延材を搬送する際には、搬送テーブルの搬送ロールが目標とする回転速度に到達する時間を見越して、被圧延材が存在する位置より下流側の制御区間では搬送ロールの回転を制御して被圧延材を搬送する。被圧延材が存在する位置より上流側の制御区間では搬送ロールを回転させる必要が無いので、搬送ロールを停止させる。ここで、被圧延材と搬送ロールとがスリップして被圧延材にスリ傷を生じさせることを防止するため、被圧延材が存在する範囲が複数の制御区間にまたがっているときは、被圧延材と接触している制御区間の搬送ロールの回転速度を同期させることが好ましい。このようにして複数の制御区間の搬送ロールを順次回転、停止させてやることで、電力の浪費を抑えて、前後する複数の被圧延材間の距離を制御しながら被圧延材を搬送することができる。
【0072】
さらに、上記したように被圧延材検出器40を1つ又は制御区間ごとに複数備えた場合、被圧延材の位置を精度よく検出することができ、無駄無く被圧延材を搬送することができる。ただし、被圧延材検出器を備えない場合であっても、搬送速度から被圧延材の位置を推定すれば、若干精度は落ちるが、同様に無駄なく被圧延材を搬送することもできる。
【0073】
一つの制御区間の長さは、短ければ被圧延材が通過した搬送ロールをこまめに停止でき電力の浪費を抑えられるが、設備が煩雑になる。逆に一つの制御区間の長さが長ければ設備は簡略化でき、隣り合った制御区間と搬送テーブルの搬送ロールの回転速度を同期させつつ搬送ロールの回転速度を変化させる必要もないので制御が簡単になるが、電力の消費の観点からは不利である。制御区間の長さは設備設計時において適宜決定することができるが、粗圧延機より上流側では一つの制御区間は被圧延材の長さより長くすることが多い。
【0074】
また、加熱炉から抽出した被圧延材を加熱炉正面搬送テーブルに置く際、被圧延材へのスリ傷防止と初期設置位置を正確に決めるため、被圧延材は停止した搬送ロールの上に置かれる必要がある。このとき被圧延材を抽出した加熱炉正面の制御区間は他の被圧延材の搬送に使用される。従って、加熱炉正面搬送テーブルの制御区間は少なくとも加熱炉毎に分割されることが好ましい。最も下流側の加熱炉よりさらに下流の搬送テーブルの制御区間も独立して制御可能とすれば、加熱炉正面から粗圧延機前までの搬送テーブルは少なくとも加熱炉の数より多くの制御区間を有するものになる。
【0075】
搬送ロールの回転速度、すなわち各制御区間で搬送速度を上記のように複数の速度に選択できるようにし、間ピッチが目標に比べ開いた場合、搬送速度を高速にすれば、間ピッチを目標に近付けることができる。すなわち、加熱炉からの被圧延材の抽出が遅れた場合は、その遅れに応じてそれぞれの搬送テーブルの制御区間の搬送速度を選択すれば、間ピッチを適切に制御することができる。効果的に後行被圧延材が先行被圧延材に追い付くためには複数の速度選択においてその速度差が大きい方が好ましい。例えば一の速度は他の速度の70%以下であるのが好ましい。
【0076】
先行被圧延材に抽出遅れが生じた場合の後行被圧延材の間ピッチ制御においては、先行被圧延材は遅れを挽回するため、挽回するまで当初計画より速い搬送速度で搬送される。後行被圧延材の抽出時間は、計画が見直しされた(遅れを挽回するために高速で搬送された)先行被圧延材の後端の位置の予測に基づき設定される。先行被圧延材の後端の位置の予測は熱間圧延ライン全体にわたってなされるのが好ましいが、少なくとも加熱炉抽出後に最初に被圧延材が減速される必要がある箇所(例えば、サイジングプレスや粗圧延機)で後端の位置の予測が行われる必要がある。先行被圧延材が高速で搬送された場合の予測に基づいて後行被圧延材の抽出時間が設定されるため、先行被圧延材の抽出遅れの影響が後行被圧延材の何本にもわたって波及しない、換言すると、抽出遅れの影響を短時間に無くすことができる。
【0077】
先行被圧延材の加熱炉抽出時間の遅れは不測の事態であるから、後行被圧延材の抽出時間は、先行被圧延材を加熱炉から抽出した時に計算し設定される必要がある。その結果、先行被圧延材と後行被圧延材の間ピッチを最適にする後行被圧延材の抽出時間を設定できる。例えば、最も上流側の加熱炉から抽出される先行被圧延材の抽出時間に遅れが生じ、後行被圧延材が最も下流側の加熱炉から抽出される場合、搬送テーブル上で先後の順が入れ替わったり、衝突が生じることが懸念される。これを防止するのは、先行被圧延材が後行被圧延材の入った加熱炉前を通過するまで後行被圧延材を加熱炉から抽出しない安全のためのロジックを設けることである。もちろん、搬送テーブルの複数個所に両者の間隔を確認する箇所を設けても良いが、先行被圧延材が後行被圧延材の入った加熱炉前を通過するまで後行被圧延材を加熱炉から抽出しないことが簡単でかつ確実である。そうすれば、熱間圧延ラインの最初の間ピッチ確認地点を不可避的な最初の減速地点に置くことができる。
【0078】
引用文献5、引用文献6に開示されているように、従来においては、間ピッチ制御のための速度制御をしている粗圧延機より上流側の搬送テーブルは、粗圧延機前搬送テーブルの被圧延材検出器と粗圧延機の間の区間であった。間ピッチの遅れを取り戻すことができるのは、搬送速度制御可能な区間で選択できる速度差のみならず、搬送速度制御可能な区間の長さにも依存する。従って、従来において粗圧延機上流側の搬送テーブルで大きく間ピッチを狭める制御を行うのは困難であった。本実施形態では、粗圧延機前搬送テーブルおよび加熱炉正面搬送テーブルを速度制御可能とすることで、間ピッチを広げる制御のみならず狭める制御も効果的に行うことが可能になる。
【0079】
以下、さらに具体的に熱間圧延装置1を用いた間ピッチ制御方法の例について説明する。ただし、当該間ピッチ制御方法は、必ずしも熱間圧延装置1を用いる必要はなく、他の熱間圧延装置においても同様の間ピッチ制御方法を適用することは可能である。
【0080】
図2〜図6に説明図を示した。ここでは、先行被圧延材が図1に示した加熱炉11から抽出され、加熱炉正面搬送テーブル20から製造ライン上を搬送されるとともに、後行被圧延材が加熱炉13から抽出され、加熱炉正面搬送テーブル22から製造ラインを搬送される場合を考える。図2〜図6のいずれも横軸には時間、縦軸には製造ライン上の位置を示している。縦軸におけるT20、T21、T22、T23はそれぞれ、加熱炉正面搬送テーブル20、21、22、23を表している。またT30は粗圧延機前搬送テーブル30を示している。また、図3〜図6では、上段に修正が必要のない適正な場合を示し、下段に説明の対象となる場合の図を表した。
【0081】
図2は、後行被圧延材が先行被圧延材に対して適切な間ピッチを有して加熱炉から抽出され、その間ピッチが維持される例を説明する図である。ここでは、先行被圧延材が抽出されて加熱炉正面搬送テーブル上を搬送される。このとき先行被圧延材は、通常の速度で搬送され、デスケーリング設備にも演算手段から予めその旨の指令がされており、通常の搬送速度に対応したデスケーリングが行われる。
一方、先行被圧延材が加熱炉から抽出されると同時に、後行被圧延材のために、適切な間ピッチが制御手段により演算される。そして当該演算結果に基づいて加熱炉に指令がされ、加熱炉から後行被圧延材が抽出される。図2の例では、適切な間ピッチで後行被圧延材が抽出されるので、加熱炉正面搬送テーブル、および粗圧延機前搬送テーブルは通常速度で駆動されて当該適切な間ピッチが維持される。また、後行被圧延材が適切に抽出されたとの情報に基づいて、予めデスケーリング設備にもその旨の指令がされ、通常の搬送に対応するデスケーリングが行われる。
【0082】
図3の下段に示した図は、後行被圧延材が適切な間ピッチに対して抽出遅れを有して加熱炉からの抽出された場合を表した図である。この図からわかるよう、後行被圧延材は「抽出遅れ」と示した分だけ抽出が遅れ、この後に続く圧延材でもこの遅れ分を回復することができず生産性が低下したままである。
【0083】
図4の下段に示した図は、後行被圧延材が適切な間ピッチに対して抽出遅れを有して加熱炉から抽出され、その間ピッチが適切になるように搬送条件が変更された例を説明する図である。初めに、先行被圧延材が抽出されて加熱炉正面搬送テーブル上を搬送される。このとき先行被圧延材は、通常の速度で搬送され、デスケーリング設備にも演算手段から予めその旨の指令がされており、通常の搬送速度に対応したデスケーリングが行われる。
一方、先行被圧延材の搬送がおこなわれると同時に、後行被圧延材のために、適切な間ピッチが制御手段により演算される。しかしながら図4の下段からわかるように、この例では後行被圧延材は抽出遅れを生じており、加熱炉からの抽出時において適切な間ピッチとなっていない。これに対し、加熱炉より抽出遅れの情報を得た制御手段は、その遅れの程度に基づいて適切な間ピッチに戻すための、加熱炉正面搬送テーブル、および粗圧延機前搬送テーブルの搬送速度を演算し、高速で搬送すべき搬送テーブルにその旨の指令を出す。後行被圧延材の抽出時間は予め通常の搬送速度で搬送テーブルを搬送されることを前提に演算されているため、後行被圧延材の加熱炉からの抽出が遅れても搬送テーブルを高速で通板することにより遅れを取り戻すことができる。これにより図4からわかるように、後行被圧延材は加熱炉正面搬送テーブル23(図中T23)、および粗圧延機前搬送テーブル30(図中T30)において高速で搬送され、デスケーリング設備35までには適切な間ピッチを得られている。従って、粗圧延機前搬送テーブル30(図中T30)以降は通常速度の搬送でよい。また、本例では、デスケーリング設備35に後行被圧延材が達する前に間ピッチが適切なものになっているので、予めデスケーリング設備35にもその旨の指令がされ、通常速度の搬送に対応するデスケーリングが行われる。
【0084】
図5の下段に示した図は、先行被圧延材に加熱炉抽出遅れが発生した場合の後行被圧延材の抽出・搬送の例である。この場合、先行被圧延材は抽出遅れを取り戻すべく高速で搬送テーブルを搬送され、後行被圧延材は先行被圧延材の抽出時間実績と搬送速度から、先行材の後端位置を予測し、通常速度で搬送する計画を立て、抽出時間を導出する。その結果、先行被圧延材で生じた加熱炉抽出遅れの影響が後行被圧延材に長時間にわたって及ぼされることが無い。
【0085】
図4、図5において、先行被圧延材と後行被圧延材の同一時間における搬送速度が異なっているが、これは搬送テーブルが複数の制御区間に分割され、それぞれの制御区間が独立した搬送速度で搬送できるため実現できる。その結果、先行被圧延材と後行被圧延材との距離を制御することが可能になる。
【0086】
ところが、図5で説明したような先行被圧延材に加熱炉抽出遅れが発生した場合、図5の下段の図にVで示した大きさが小さくなるまたは重なる可能性がある。すなわち後行被圧延材又は後行被圧延材を抽出する抽出装置と先行被圧延材とが衝突する恐れがある。このような衝突を避けるため、後行被圧延材の加熱炉抽出タイミングは、先行被圧延材が後行被圧延材を抽出する加熱炉を通過した後にする必要がある。そこで、図6の下段に示したように、先行被圧延材の抽出時間実績と搬送速度から、先行材の後端位置を予測し、後行被圧延材も抽出を遅らせることを考慮して計画することによりこの抽出遅れを挽回すべく後行被圧延材も高速で搬送する。
【0087】
以上のような間ピッチ制御方法により、後行被圧延材の加熱炉からの抽出遅れ又は先行被圧延材の加熱炉からの抽出遅れがあった場合であっても間ピッチの適正が図られる。そしてこのような間ピッチ制御方法を用いることにより、効率のよい熱延鋼板の製造方法を提供することが可能である。
【0088】
ここまで、先後する2つの被圧延材に注目して間ピッチ制御について説明した。次に、これら個別の間ピッチ制御を用いて一連の圧延全体について間ピッチ制御を行った場合の効果について説明する。図7に説明のための図を示した。
【0089】
ここでは例としてA〜Fまでの6つの被圧延材を順次加熱炉から抽出して製造ラインに供給することを考える。図7に「正常」で示した図は、加熱炉からの被圧延材の抽出遅れが発生することなく、予定通りに抽出が行われた場合を示している。図7に「従来」で示した図は、加熱炉からの抽出遅れが生じたものの、間ピッチ制御を行わずに進めた例である。そして図7に「本発明例」で示した図は加熱炉からの抽出遅れが生じたときに、これまで説明したきたような間ピッチ制御を行った例である。
【0090】
図7の各図において、横軸は時間、縦軸はライン上の位置を表している。また、各被圧延材A〜Fは図中に細長い矩形状で厚く表されている。これは図7の「正常」の図の被圧延材Aに代表して表したように、被圧延材の先端及び後端を表している。すなわち、矩形状の左側縁が先端を表し、右側縁が後端を示している。
【0091】
また、「正常」を表す図の被圧延材B〜Fにおいてその先端が加熱炉から抽出された時間を、「従来」、及び「本発明例」を表す図に対して破線を伸ばして表している。すなわち、当該破線が表す時間に対して被圧延材の加熱炉からの抽出が遅れている場合に、抽出遅れが生じていることになる。
【0092】
はじめに「従来」についてみると、被圧延材Bで時間Lの抽出遅れが生じている。この遅れは被圧延材C〜Fの抽出遅れL〜Lにも影響を与え、後の被圧延材ほど抽出遅れが大きくなる。すなわち、抽出遅れの影響が累積し、生産性に大きな問題が生じる。
【0093】
これに対して、「本発明例」についてみると、被圧延材Bで時間L’の抽出遅れが生じている。しかしながら、被圧延材Bについて図からわかるように上記した間ピッチ制御を行うことで、被圧延材Cでは抽出遅れが解消されている。また、被圧延材Dにおいても時間L’の抽出遅れが生じていたので、間ピッチ制御をおこなったところ、被圧延材Eの抽出遅れ時間L’は、L’より短いものとすることができた。さらに当該被圧延材Eにおいても間ピッチ制御を行うことで、被圧延材Fでは抽出遅れが解消している。すなわち、途中で抽出遅れが生じていたにもかからわず、最終的には「正常」と同等の生産能力を維持することができたことになる。従って、本発明によれば抽出遅れの影響が後続の被圧延材に及ぼされるのを抑えることができるため、全体としても効率の良い熱延鋼板の製造方法を提供することが可能である。
【0094】
上記の例では、いずれもデスケーリング設備に達する前に既に適切な間ピッチとなっているので、デスケーリング設備内では通常速度で、通常の条件によりデスケーリングが行われる。しかしながら、デスケーリング設備内でも高速搬送が必要であるとの演算結果が得られた場合には、当該高速搬送が行われるとともに、高速搬送に対応するデスケーリングの水の噴射がおこなわれる。
【実施例】
【0095】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。ただし本発明は当該実施例に限定されるものではない。図8には実施例における熱間圧延装置のうち図1に相当する図を示した。本実施例では、4つの加熱炉(符号51〜54)、これに対応する4つの加熱炉正面搬送テーブル(符号60〜63)、2つの粗圧延機前搬送テーブルの制御区間(符号70、71)、およびデスケーリング設備(符号75)を備えている。各搬送テーブルでは通常搬送速度と高速搬送速度を選択することができ、それぞれ89(mpm)、165(mpm)である。また、図示は省略したが、本実施例の熱間圧延装置も制御装置やモータ等は備えられている。
【0096】
ここで、加熱炉51の幅方向中央から粗圧延機までの距離は106m、加熱炉52の幅方向中央から粗圧延機までの距離は82m、加熱炉53の幅方向中央から粗圧延機までの距離は58m、加熱炉54の幅方向中央から粗圧延機までの距離は34mである。
【0097】
本実施例では加熱炉正面搬送テーブルによる高速搬送によりどの程度間ピッチの挽回ができるかについて調べた。表1に条件および結果を示した。
【0098】
【表1】

【0099】
結果からわかるように、間ピッチを最大で27秒挽回することができるとともに、加熱炉正面搬送テーブルの速度の使い分けにより、微調整も可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 熱間圧延装置
2 サイジングプレス
3 粗圧延機
11、12、13、14 加熱炉
20、21、22、23 加熱炉正面搬送テーブル
30 粗圧延機前搬送テーブル
35 デスケーリング設備
40 被圧延材検出器
41 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被圧延材を昇温する複数の加熱炉と、該加熱炉から抽出した前記被圧延材を粗圧延機の方向に搬送する搬送テーブルと、を備えた熱間圧延ラインで、先行被圧延材の後端と、後行被圧延材の先端との間隔である間ピッチを調整する方法であって、
前記搬送テーブルは搬送速度を変更可能とされており、
前記熱間圧延ライン内で前記先行被圧延材の後端と前記後行被圧延材の先端とが衝突しないように予め前記間ピッチを時間又は距離で計画して前記被圧延材の前記加熱炉からの抽出時間を決定し、
通常のときは、前記搬送テーブルが搬送可能な上限速度より遅い設定速度で前記被圧延材を搬送する条件により前記抽出時間が決定され、
前記被圧延材の抽出時間が前記決定された時間より遅れたときは、前記被圧延材を前記通常のときより速い速度で前記搬送テーブルを作動させて前記被圧延材を搬送することにより遅れを取り戻す、間ピッチ制御方法。
【請求項2】
前記搬送テーブルは複数の区間に区分されており、前記複数の区間ではそれぞれ搬送速度を独立して変更可能であることを特徴とする請求項1に記載の間ピッチ制御方法。
【請求項3】
前記搬送テーブルの前記複数の区間のうち、前記被圧延材が存する区間と該区間の前記熱間圧延ライン下流側に隣接する区間とは搬送速度が同じとされていることを特徴とする請求項2に記載の間ピッチ制御方法。
【請求項4】
前記搬送テーブルの前記区間の数は、前記加熱炉の数以上であることを特徴とする請求項2又は3に記載の間ピッチ制御方法。
【請求項5】
前記上限速度より遅い前記設定速度は、前記上限速度の70%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の間ピッチ制御方法。
【請求項6】
前記抽出が遅れた被圧延材が先行被圧延材であり、前記後行被圧延材の前記抽出時間は、遅れが取り戻された前記先行被圧延材の後端の位置予測に基づいて再度決定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の間ピッチ制御方法。
【請求項7】
前記後行被圧延材の抽出時間は、前記先行被圧延材を前記加熱炉から抽出した時に決定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の間ピッチ制御方法。
【請求項8】
前記後行被圧延材を加熱している前記加熱炉の正面に配置される前記搬送テーブル部分を前記先行被圧延材が通過してから、前記後行被圧延材が前記加熱炉から抽出されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の間ピッチ制御方法。
【請求項9】
前記加熱炉から前記粗圧延機までの間にデスケーリング設備が備えられ、前記デスケーリング設備は前記搬送テーブルによる前記被圧延材の搬送速度に基づいてデスケーリング条件を変更する請求項1〜8のいずれか一項に記載の間ピッチ制御方法。
【請求項10】
前記デスケーリング設備は複数の噴射ヘッダーを備え、デスケーリングの条件は使用する前記噴射ヘッダーの本数を変更してなされることを特徴とする請求項9に記載の間ピッチ制御方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の間ピッチ制御方法を含み、該方法により鋼板を搬送することにより圧延をおこなう熱延鋼板の製造方法。
【請求項12】
複数の加熱炉と、
前記加熱炉から抽出された被圧延材を粗圧延機の方向に搬送し、複数の区間に区分されるとともに、該区間の少なくとも1つは搬送速度を変更可能である搬送テーブルと、
先行する前記被圧延材の後端が通過してから後行の前記被圧延材の先端が到達するまでの時間である間ピッチを予測し、前記後行の被圧延材が前記先行の被圧延材に衝突しないように前記先行の被圧延材及び前記後行の被圧延材の前記加熱炉からの抽出時間を演算することが可能な制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記搬送テーブルで前記被圧延材を搬送可能な最高速度より遅い速度で前記被圧延材を搬送する条件で前記抽出時間を演算することが可能であるとともに、前記被圧延材の前記加熱炉からの抽出時間が当初の予定より遅れたときに、前記搬送テーブルの搬送速度を速くして前記遅れを挽回する演算をすることが可能とされていることを特徴とする熱間圧延装置。
【請求項13】
前記加熱炉と前記粗圧延機との間にデスケーリング設備が備えられ、
前記デスケーリング設備は複数の噴射ヘッダーを有し、
前記複数の噴射ヘッダーは前記被圧延材の搬送条件に基づいてその使用本数を変更可能とされていることを特徴とする請求項12に記載の熱間圧延装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−206154(P2012−206154A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75458(P2011−75458)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】