説明

間仕切壁、間仕切壁の構築方法、壁ブロック

【課題】構成する部材が再利用可能な間仕切壁を提供する。
【解決手段】建物の床スラブ1、柱2、3、及び梁4により囲まれる開口内に壁ブロック20が組積されてなる間仕切壁10は、上下方向及び左右方向に隣接する一対の壁ブロック20の接合端面には夫々凹部と凸部が形成されており、隣接する一対の壁ブロック20の前記凹部と凸部とが嵌合し、かつ、上下方向及び左右方向に並ぶ壁ブロック20が、上下方向及び左右方向に離間しないように移動が拘束されるにより少なくとも一方向に並ぶ壁ブロック20が接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁ブロックが組積されてなる間仕切壁及びその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、間仕切壁の構築方法としては、開口部の上下面に取り付けられたランナー及びこのランナーの間に上下方向に延びるように取り付けられたスタッドからなる鉄骨下地に石膏パネルを取り付ける方法(例えば、特許文献1参照)や、コンクリートブロックを組積する方法(例えば、特許文献2参照)などが用いられている。
【特許文献1】特公平7―65357号公報
【特許文献2】特公平4―70457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の方法では、石膏パネルを現場で開口部の寸法に合わせて切断し、さらに、ねじ、くぎ等により鉄骨下地に固定しているため、石膏パネルを再利用することはできない。また、特許文献2記載の方法でも、コンクリートブロックとスラブとの間にモルタルを充填することにより、コンクリートブロックを固定しており、コンクリートブロックを再利用することはできない。このため、例えば、建物のリニューアルの際に解体された間仕切壁を構成する部材は廃材となり、再利用できず、コスト増の原因となっていた。
【0004】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、構成する部材が再利用可能な間仕切壁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の間仕切壁は、壁ブロックが組積されてなる間仕切壁であって、上下に隣接する壁ブロック又は左右に隣接する壁ブロックの少なくとも何れかの隣接する壁ブロックについて、一方の壁ブロックの他方の壁ブロックに隣接する側の面には凸部が設けられ、前記他方の壁ブロックの前記一方の壁ブロックと隣接する側の面には、前記凸部が嵌合可能な凹部が設けられ、前記凸部と前記凹部とが嵌合することにより前記隣接する壁ブロックが接続され、かつ、前記凸部と前記凹部との嵌合による前記壁ブロックの接続方向に並ぶ壁ブロックが、前記接続方向に拘束又は押圧されていることを備えることを特徴とする。
【0006】
上記の間仕切壁において、前記接続方向に並ぶ前記壁ブロックの一端に位置する壁ブロックに当接する当該間仕切壁の設置対象又は固定金物と、前記接続方向に並ぶ前記壁ブロックの他端に位置する壁ブロックに当接する固定金物とを、索状体で連結することにより、前記接続方向に並ぶ壁ブロックは前記接続方向に拘束又は押圧されていてもよい。
【0007】
また、前記接続方向に並ぶ一端の壁ブロックと、当該間仕切壁の設置対象との間には前記接続方向に隙間が形成されており、前記隙間にジャッキを介装させ、前記ジャッキを隙間の幅に合わせて伸長させ、その長さを固定することにより、前記接続方向に並ぶ壁ブロックは前記接続方向に拘束又は押圧されていてもよい。
【0008】
また、前記接続方向に並ぶ一端の壁ブロックと、当該間仕切壁の設置対象との間には前記接続方向に隙間が形成されており、前記隙間の幅に合わせて形成された壁ブロックを前記隙間に嵌め込むことにより、前記接続方向に隣接する壁ブロックは前記接続方向に拘束又は押圧されていてもよい。
また、前記壁ブロックは、プラスチック、繊維補強樹脂、又はガラス繊維補強セメントであってもよい。
【0009】
また、本発明の間仕切壁の構築方法は、壁ブロックを組積することにより間仕切壁を構築する方法であって、上下に隣接する壁ブロック又は左右に隣接する壁ブロックの少なくとも何れかの隣接する壁ブロックについて、一方の壁ブロックの他方の壁ブロックに隣接する側の面に凸部を設け、前記他方の壁ブロックの前記一方の壁ブロックと隣接する側の面には、前記凸部が嵌合可能な凹部を設け、前記凸部と前記凹部とを嵌合させることにより前記隣接する壁ブロックを接続し、前記凸部と前記凹部との嵌合による前記壁ブロックの接続方向に並ぶ壁ブロックを拘束又は押圧することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の壁ブロックは、上記の間仕切壁を構成する壁ブロックであって、前記接続方向の両面に夫々前記凹部及び凸部が形成されるとともに、前記索状体を収容可能な前記接続方向に延びる溝を備える。
また、本発明の壁ブロックは、上記の間仕切壁の構築方法に用いられるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、隣接する壁ブロック同士を嵌合させ、さらに、壁ブロック同士が離間しないように拘束することで、壁ブロックを一体のものとしており、接着剤等を用いていないため、解体後の壁ブロックを再利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の間仕切壁の一実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の間仕切壁10を示す正面図である。同図に示すように、本実施形態の間仕切壁10は、建物の柱2、3、梁4、床スラブ1により囲まれた矩形状の開口内に上下左右方向にFRP製の壁ブロック20が組積されてなる。最上段の壁ブロック20と梁4との間及び水平方向の一方(図1における左側)の端部に位置する壁ブロック20と柱2、3との間には、伸縮可能な伸縮ブロック40、50が隙間の幅に合わせて伸長した状態ではめ込まれている。梁4の下面及び床スラブ1の上面には、断面コの字型の鋼材からなるランナー11が空間内に開口するように取り付けられている。そして、最下段の壁ブロック20及び伸縮ブロック40はこのランナー11の開口部内に配置され、面外方向の移動が拘束されている。
【0013】
図2は、壁ブロック20を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)におけるB矢視図、(C)は(A)におけるC矢視図、(D)は(A)におけるD−D´断面図である。同図に示すように、壁ブロック20の上面には上方に突出する複数の上方凸部21が形成されており、また、下面には下側に隣接する壁ブロック20の上方凸部21が嵌合可能な下方凹部22が形成されている。また、壁ブロック20の水平方向の一方の側面には側方に突出する側方凸部23が形成されており、また、他方の側面には水平方向に隣接する壁ブロック20の側方凸部23が嵌合可能な側方凹部24が形成されている。さらに、壁ブロック20の上面には左右方向に延びる溝25が形成されており、また、側方凸部23には上下方向に延びる溝26が形成されている。なお、このブロック20の上面及び側面に設けられた上方凸部21及び側方凸部23は、その高さが高いほど隣接する壁ブロック20同士が強固に接合されるため、より高い方が好ましい。
【0014】
図3は、壁ブロック20が取り付けられている様子を示す間仕切壁10の斜視分解図である。同図に示すように、柱2、3、梁1、及び床スラブ4により囲まれた空間内には上下方向に両端が梁1及び床スラブ4に固定された鉛直ワイヤ30が張設され、左右方向に両端が柱2、3に固定された水平ワイヤ31が張設されている。壁ブロック20は上下方向に張設された鉛直ワイヤ30が側方凸部23に形成された溝26に嵌め込まれ、また、左右方向に張設された水平ワイヤ31が上面の溝25に嵌め込まれた状態で組積されている。また、最上段の壁ブロック20の上面には、鉛直ワイヤ30に取り付けられた固定金物が当接しており、柱2側の端部の壁ブロック20の側面には水平ワイヤ31に取り付けられた固定金物が当接している。
【0015】
図4は、ワイヤ30、31に取り付けられた固定金物32を示す図である。固定金物32は、ワイヤ30、31の周囲に固定された外周面に螺条を有する螺子金物34と、螺子金物34の外周面に螺合するナット33とから構成される。
【0016】
鉛直ワイヤ30に取り付けられた固定金物32のナット33は、下端が床スラブ4に固定された鉛直ワイヤ30に緊張力を加えた状態で、最上段の壁ブロック20の上面と当接するまで締め付けられている。これにより、上下方向に並ぶ壁ブロック20は固定金物32及び床スラブ1により挟みこまれて、上下方向に拘束される。
【0017】
これと同様に、水平ワイヤ31に取り付けられた固定金物32のナット33は、一端が柱3に固定された水平ワイヤ31に緊張力を加えた状態で、柱3と逆側の端に位置する壁ブロック20の側面と当接するまで締め付けられている。これにより水平方向に並ぶ壁ブロック20は固定金物32と柱3により挟まれて、水平方向に拘束される。なお、柱3及び床スラブ4が本発明の間仕切壁の設置対象に相当する。
【0018】
図5は、最上段の壁ブロック20と梁4との間に上下方向に伸縮可能な伸縮ブロック40を取り付ける様子を示す図であり、図1におけるA−A´断面を示す。なお、図中、伸縮ブロック40は斜線を付して、また、最上段の壁ブロック20は灰色に彩色して示す。同図に示すように、伸縮ブロック40は、上面に、例えばジャッキなどの伸縮機構43により上方に向かって進退可能な上方凸部41を備え、下面には下方の壁ブロック20の上方凸部21が嵌合可能な下方凹部42が形成されている。また、伸縮ブロック40の左右方向一方の側面には、壁ブロック20と同様に、側方凸部(不図示)が形成され、他方の側面には隣接する伸縮ブロック40の側方凸部が嵌合可能な側方凹部(不図示)が形成されている。また、伸縮ブロック40は壁ブロック20に比べて高さが低く形成されている。
【0019】
図5(A)に示すように、伸縮ブロック40は、上方凸部41を収縮させた状態で、最上段の壁ブロック20と梁4との間の隙間に配置し、下方凹部42に最上段の壁ブロック20の上方凸部21を嵌合させ、同図(B)に示すように、伸縮機構43により上方凸部41を梁4に取り付けられたランナー11の下面に当接するまで進出させ、この状態で上方凸部41の進退を拘束することにより最上段の壁ブロック20と梁4との間の隙間に固定されている。また、水平方向に隣接する伸縮ブロック40の接合部において、一方の伸縮ブロック40の側面の側方凸部と他方の伸縮ブロック40の側面の側方凹部とは嵌合している。
【0020】
また、図6は、左右方向一端の壁ブロック20と柱2との間の隙間に水平方向に伸縮可能な伸縮ブロック50が取り付けられている様子を示す図であり、図1におけるB−B´断面を示す。伸縮ブロック50は、左右方向の一方の側面に、例えばジャッキなどの伸縮機構53により側方に向かって進退可能な側方凸部51を備え、他方の側面には隣接する壁ブロック20の側方凸部23が嵌合可能な側方凹部52が形成されている。また、伸縮ブロック50の上面には、壁ブロック20と同様に、上方凸部(不図示)が形成され、下面には下方に位置する伸縮ブロック50の上方凸部が嵌合可能な下方凹部(不図示)が形成されている。また、伸縮ブロック50は壁ブロック20に比べて左右方向の幅が短く形成されている。
【0021】
図6(A)に示すように、伸縮ブロック50は、側方凸部51を収縮させた状態で、端部に位置する壁ブロック20と柱2との間の隙間に配置し、側方凹部52を端部に位置する壁ブロック20の側方凸部23に嵌合させ、同図(B)に示すように、伸縮機構53により、側方凸部51を柱2の側面と当接するまで進出させ、この状態で側方凸部51の進退を拘束することにより隙間に固定されている。また、上下に隣接する伸縮ブロック50の接合部において、下方の伸縮ブロック50の上方凸部と、上方の伸縮ブロック50の凹部とは嵌合している。
【0022】
以上説明したように、本実施形態の間仕切壁10は、上下に隣接する壁ブロック20同士が、下方の壁ブロック30の上面に設けられた上方凸部21と、上方の壁ブロック20の下面に設けられた下方凹部22とが嵌合し、さらに、緊張力が加えられた鉛直ワイヤ30により連結された床スラブ1と固定金物32により上下方向に拘束される。これにより間仕切壁10に面外方向からの荷重が作用してもこれに抵抗することができる。
【0023】
また、これと同様に、水平方向に隣接する壁ブロック20同士が、一方の壁ブロック20の上面に設けられた側方凸部23と、他方の壁ブロック20の側面に設けられた側方凹部24とが嵌合し、さらに、緊張力が加えられた水平ワイヤ31により連結された固定金物32及び柱3により水平方向に拘束されることで、間仕切壁10に面外方向からの荷重が作用してもこれに抵抗することができる
【0024】
以下、本実施形態の間仕切壁10の構築方法を説明する。
まず、図7に示すように、梁4の下面及び下方の床スラブ1の上面にランナー11を固定する。ランナー11は、梁4及び下方の床スラブ1にアンカーを打設し、このアンカーに取り付ける方法や、接着剤により接着する方法などにより固定すればよい。
【0025】
次に、図8に示すように、間仕切壁10を構築すべき架構開口部内に両端を梁4及び床スラブ1に固定し、上下方向に延びるように複数の鉛直ワイヤ30を水平方向に所定の間隔を空けて張設する。また、これと同様に、両端を柱2、3に固定し、水平方向に延びるように複数の水平ワイヤ31を上下方向に所定の間隔を空けて張設する。なお、鉛直ワイヤ30の水平方向の間隔及び水平ワイヤ31の上下方向の間隔は、壁ブロック20のサイズに基き決定すればよい。
【0026】
次に、壁ブロック20を、最下段より最上段に向かって各段について水平方向に壁ブロック20を接続するとともに、下段の壁ブロック20と接続することにより組積する。
図9は、壁ブロック20を組積する様子を示す図である。同図に示すように、水平ワイヤ31を引き上げながら、新たに配置する壁ブロック20を鉛直ワイヤ31が側方凸部に形成された上下方向に延びる溝に嵌め込む。そして、新たに配置する壁ブロック20の下面の下方凹部22を、下方の壁ブロック20の上面の上方凸部21と嵌合させ、また、左右方向に隣接する壁ブロック20の側面に形成された側面凹部24に、新たに配置する壁ブロック20の側面凸部23を嵌合させ、これにより、上下方向及び左右方向に隣接する壁ブロック20と接続する。そして、壁ブロック20を接続した後、水平ワイヤ31を引き上げるのをやめ、この水平ワイヤ31を壁ブロック20の上面に形成された水平方向に延びる溝25に嵌め込む。
【0027】
このようにして、水平方向に壁ブロック20を連結した後、水平方向の端部の壁ブロック20と梁との間の隙間において、ジャッキ等により水平ワイヤ31に緊張力を加えながら、固定用金具32のナット33を水平方向の端に位置する壁ブロック20の側面と当接するまで締め付ける。そして、伸縮ブロック50を水平方向の端部の壁ブロック20と梁との間の隙間に設置し、側方凸部51を柱3に当接するまで伸長させて、伸縮ブロック50を取り付ける。
【0028】
上記の作業を最下段から最上段まで各段について行った後、最上段の壁ブロック20と梁4との隙間において、鉛直ワイヤ30にジャッキ等により引張荷重を加えながら、固定用金具32のナット33を最上段の壁ブロック20の上面と当接するまで締め付ける。
そして、最上段の壁ブロック20と梁4との間の隙間に設置し、上方凸部41を梁4に当接するまで伸長させて、伸縮ブロック40を取り付ける。
以上の工程により本実施形態の間仕切壁10を構築することができる。
【0029】
なお、建物のリニューアルなどに伴い、間仕切壁10を解体する場合には、上記の間仕切壁10を構築する工程を逆の順序で行えばよい。すなわち、まず、伸縮ブロック40の凸部41を退行させて壁ブロック20と梁4との隙間から取り外し、固定用金具32のナット33を緩める。そして、最上段から最下段に向かって、伸縮ブロック50を側方凸部51を対向させて壁ブロック20と柱2との間から取り外し、水平方向に接続された壁ブロック20を取り外せばよい。
【0030】
以上説明したように、本実施形態によれば、上下方向に隣接する壁ブロック20は、上面に形成された上方凸部21と、下面に形成された下方凹部22とを嵌合させ、これら隣接する壁ブロック20が離間しないようにワイヤ30及び固定用金具32により上下方向に拘束することにより接続し、水平方向に隣接する壁ブロック20もこれと同様に接続することとしたため、接着剤や釘等を用いることなく、壁ブロック20を上下左右方向に接続して間仕切壁10を構築することができる。すなわち、壁ブロック20の接続に接着剤や釘、モルタル等を用いていないため、接着剤や釘、モルタル等を用いていないため、解体した壁ブロック20を他の間仕切壁を構築する際に再利用することができる。
【0031】
また、壁ブロック20の接続に接着剤や釘、モルタル等を用いていないため、特殊な技能を備えた作業員以外でも施工可能である。
また、壁ブロック20をFRP製とすることにより、部材が軽量であるので施工が容易である。
【0032】
なお、本実施形態では、上下方向及び左右方向の夫々について、隣接する壁ブロック20の接合端面に凸部21、23及び凹部22、24を形成し、これら凸部21、23及び凹部22、24を嵌合させ、さらに、床スラブ1又は柱3と固定用金具32とにより挟み込むことで壁ブロック20を拘束するものとしたが、これに限らず、上下方向又は左右方向の何れか一方のみについてかかる構成を設ければ、間仕切壁10は面外方向からの荷重に抵抗することができる。
【0033】
また、本実施形態では、壁ブロック20の上下方向の移動を床スラブ1と固定用金具32とで挟み込むことで拘束し、また、水平方向の移動を柱3と固定用金具32とで挟みこむことで拘束するものとしたが、これに限らず、上下方向又は左右方向に並ぶ壁ブロック20の両側に当接するように固定用金具32を設け、これら固定用金具32を緊張力を加えたワイヤ30、31により連結することにより上下方向及び左右方向の移動を拘束する構成としてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、上下方向に張設されたワイヤ30に固定用金具32を取り付けることにより壁ブロック20の移動を拘束するものとしたが、これに限らず、例えば、図10に示すように、上記の伸縮ブロック40の凸部41をジャッキ140により伸縮させる構成とし、凸部41を壁ブロック20と梁4との隙間の幅に合わせて伸長させた状態で伸縮を拘束すれば、壁ブロック20を拘束することができる。さらに、例えば、図11に示すように、壁ブロック20と梁4との間の隙間の形状に合わせて、隙間用壁ブロック141を形成し、この隙間用壁ブロック141を隙間に嵌め込むことによっても、壁ブロック20を拘束することができる。なお、これと同様に壁ブロック20の水平方向の移動を拘束する場合にも図10や図11に示す構成を用いることができる。
【0035】
また、本実施形態では、上下方向及び水平方向に延びる溝26、25を壁ブロック20の上面及び側面に形成し、この溝26、25にワイヤ30、31を嵌め込むものとしたが、これに限らず、壁ブロック20に貫通孔を形成し、この貫通孔にワイヤ30、31を挿通させるもとのとしてもよい。また、これら溝や貫通孔を設ける位置は問わない。
【0036】
また、本実施形態では、壁ブロック20をFRP製としたが、これに限らず、各種樹脂やGRC(ガラス補強コンクリート)製としてもよい。特に、GRC(ガラス補強コンクリート)製とした場合には、間仕切壁10に耐火性能を持たせることができる。
【0037】
また、本実施形態では、ワイヤ30、31に緊張力を加えた状態で、固定用金具32のナット33を締め付け、壁ブロック20を押圧しているが、これに限らず、ワイヤ30、31にたるみがない状態でナット33を締め付ければ、壁ブロック20を拘束することができる。これと同様に、図10又は図11に示す方法を用いる場合にも壁ブロック20を押圧してもよいし、拘束するのみでもよい。
【0038】
また、本実施形態では、間仕切壁10の目地がいも目地状になるように壁ブロック20を組積することとしたが、これに限らず、図12に示すように、間仕切壁10の目地が馬目地状になるように、壁ブロック20を組積してもよく、間仕切壁10の意匠性を向上することができる。
【0039】
また、本実施形態では、床スラブ1上面から梁4下面に亘る間仕切壁10を構築する場合について説明したが、これに限らず、例えば、図13に示すような床スラブ1上面から柱2、3の中間までの高さの間仕切壁110など、柱2、3、梁4、床スラブ1により形成された開口部の一部を閉鎖するような間仕切壁を構築することも可能である。
【0040】
また、本実施形態では、上面に凸部が、下面に凹部が形成された壁ブロックを用いる場合について説明したが、これに限らず、上面に凹部が、下面に凸部が形成された壁ブロックや、図14(A)に示すように、上下面夫々に凸部120A及び凹部120B形成された壁ブロック120を用いてもよい。さらに、図14(B)に示すように、上下両面に凸部121Aが形成された壁ブロック121と、上下両面に凹部122Aが形成された壁ブロック122を組み合わせて用いてもよい。
また、本実施形態では建物躯体の開口内に間仕切壁を構築する場合について説明したが、これに限らず、間仕切壁を構築する場合に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施形態の間仕切壁を示す正面図である。
【図2】壁ブロックを示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)におけるB矢視図、(C)は(A)におけるC矢視図、(D)は(A)におけるD−D´断面図である。
【図3】壁ブロックが取り付けられている様子を示す斜視分解図である。
【図4】上下方向及び水平方向に延びるワイヤに取り付けられた固定金物を示す図である。
【図5】最上段の壁ブロックと梁との間に上下方向に伸縮可能な伸縮ブロックを取り付ける様子を示す図である。
【図6】左右方向一端の壁ブロックと柱との間の隙間に水平方向に伸縮可能な伸縮ブロック50が取り付けられている様子を示す図である。
【図7】梁の下面及び下方の床スラブの上面にランナーを固定した状態を示す正面図である。
【図8】上下方向及び左右方向にワイヤを張設した状態を示す正面図である。
【図9】壁ブロックを組積する様子を示す正面図である。
【図10】壁ブロックと梁との間の隙間にジャッキを備えた伸縮ブロックを設置した状態を示す断面図である。
【図11】壁ブロックと梁との間の隙間に、この隙間の形状に合わせて形成された隙間用壁ブロックを嵌めこんだ状態を示す断面図である。
【図12】目地がいも目地状になるように壁ブロックを組積した間仕切壁を示す正面図である。
【図13】柱の中間部までの高さの間仕切壁を示す正面図である。
【図14】別の実施形態の壁ブロックを示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 床スラブ
2、3 柱
4 梁
10 間仕切壁
11 ランナー
20 壁ブロック
21 上方凸部
22 下方凹部
23 側方凸部
24 側方凹部
25、26 溝
30 鉛直ワイヤ
31 水平ワイヤ
32 固定用金具
33 ナット
34 螺子金物
40、50 伸縮ブロック
41 上方凸部
42 下方凹部
51 側方凸部
52 側方凹部
120、121、122 壁ブロック
140 ジャッキ
141 隙間用壁ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁ブロックが組積されてなる間仕切壁であって、
上下に隣接する壁ブロック又は左右に隣接する壁ブロックの少なくとも何れかの隣接する壁ブロックについて、一方の壁ブロックの他方の壁ブロックに隣接する側の面には凸部が設けられ、前記他方の壁ブロックの前記一方の壁ブロックと隣接する側の面には、前記凸部が嵌合可能な凹部が設けられ、前記凸部と前記凹部とが嵌合することにより前記隣接する壁ブロックが接続され、かつ、
前記凸部と前記凹部との嵌合による前記壁ブロックの接続方向に並ぶ壁ブロックが、前記接続方向に拘束又は押圧されていることを備えることを特徴とする間仕切壁。
【請求項2】
請求項1記載の間仕切壁であって、
前記接続方向に並ぶ前記壁ブロックの一端に位置する壁ブロックに当接する当該間仕切壁の設置対象又は固定金物と、前記接続方向に並ぶ前記壁ブロックの他端に位置する壁ブロックに当接する固定金物とを、索状体で連結することにより、前記接続方向に並ぶ壁ブロックは前記接続方向に拘束又は押圧されていることを特徴とする間仕切壁。
【請求項3】
請求項1記載の間仕切壁であって、
前記接続方向に並ぶ一端の壁ブロックと、当該間仕切壁の設置対象との間には前記接続方向に隙間が形成されており、
前記隙間にジャッキを介装させ、前記ジャッキを隙間の幅に合わせて伸長させ、その長さを固定することにより、前記接続方向に並ぶ壁ブロックは前記接続方向に拘束又は押圧されていることを特徴とする間仕切壁。
【請求項4】
請求項1記載の間仕切壁であって、
前記接続方向に並ぶ一端の壁ブロックと、当該間仕切壁の設置対象との間には前記接続方向に隙間が形成されており、
前記隙間の幅に合わせて形成された壁ブロックを前記隙間に嵌め込むことにより、前記接続方向に隣接する壁ブロックは前記接続方向に拘束又は押圧されていることを特徴とする間仕切壁。
【請求項5】
請求項1から4何れかに記載の間仕切壁であって、
前記壁ブロックは、プラスチック、繊維補強樹脂、又はガラス繊維補強セメントであることを特徴とする間仕切壁。
【請求項6】
壁ブロックを組積することにより間仕切壁を構築する方法であって、
上下に隣接する壁ブロック又は左右に隣接する壁ブロックの少なくとも何れかの隣接する壁ブロックについて、一方の壁ブロックの他方の壁ブロックに隣接する側の面に凸部を設け、前記他方の壁ブロックの前記一方の壁ブロックと隣接する側の面には、前記凸部が嵌合可能な凹部を設け、前記凸部と前記凹部とを嵌合させることにより前記隣接する壁ブロックを接続し、
前記凸部と前記凹部との嵌合による前記壁ブロックの接続方向に並ぶ壁ブロックを拘束又は押圧することを特徴とする間仕切壁の構築方法。
【請求項7】
請求項2記載の間仕切壁を構成する壁ブロックであって、
前記接続方向の両面に夫々前記凹部及び凸部が形成されるとともに、
前記索状体を収容可能な前記接続方向に延びる溝を備えた壁ブロック。
【請求項8】
請求項6記載の間仕切壁の構築方法において用いられる壁ブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−174188(P2009−174188A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13896(P2008−13896)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)