説明

防寒衣類

【課題】本発明は、極めて商品価値の高い画期的な防寒衣類を提供することを目的とする。
【解決手段】衣類本体1の裏地部分に、羽毛や綿や気泡緩衝材などの保温材3aを詰入した保温パック体3を収納する収納部2を設けた防寒衣類であって、前記収納部2を前記裏地部分に多数設け、前記収納部2に出し入れ自在となり、前記収納部2に対して前記裏地部分の厚さ方向に積層収納し得る厚さの前記保温パック体3を多数備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレインウェアやスキーウェアなどの防寒衣類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、冬などの気温の低い時期に着用する防寒衣類として、例えば表地と裏地との間に羽毛や綿などの保温材を詰入した防寒衣類が提案されている。
【0003】
ところで、この防寒衣類には、例えば季節による気温の変化や、使用する条件(タウンユースから登山やスキーまでの使用条件)に合わせて保温力を変えたいという要求があり、この要求に対応すべく、この防寒衣類の製造時に、保温材を多く詰入したり少なく詰入したり、保温材の詰入量を調整した様々なバリエーションのものが用意されている。
【0004】
しかし、当然のことながら、ユーザーはこの要求を満たすには複数購入しなければならず、よって、ユーザーの要求を満たすには至っていない。また、その他にも、この防寒衣類を家庭で丸洗いしたいという要求もあるが、特に保温力の高い高級な保存材が詰入されていた場合には丸洗い出来ないことが多い。
【0005】
そこで、例えば実開昭57−79115号に開示されるように、表地と裏地との間に空気を出し入れ自在となる空気封入部を設けた防寒衣類(以下、従来例)が提案されている。
【0006】
この従来例は、空気を断熱媒体とするものであり、よって、気温が低い場合には空気の封入量を増やし、一方、気温が比較的高い場合には空気の封入量を減らし、空気封入部に対する空気の封入量に応じて保温力を変えられるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭57−79115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来例は、空気の封入量だけで保温力を調整することは困難であり、即ち、高い保温力を得るには多量の空気を封入しなければならず(実際に多量の空気を封入できたとしても着心地が悪くなってしまう)、しかも、空気封入部が破損して封入した空気が漏れた場合には直ちに保温力が低下してしまうなどの問題点がある。
【0009】
本発明は、前述した問題点を解消する、極めて商品価値の高い画期的な防寒衣類を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0011】
衣類本体1の裏地部分に、羽毛や綿や気泡緩衝材などの保温材3aを詰入した保温パック体3を収納する収納部2を設けた防寒衣類であって、前記収納部2を前記裏地部分に多数設け、前記収納部2に出し入れ自在となり、前記収納部2に対して前記裏地部分の厚さ方向に積層収納し得る厚さの前記保温パック体3を多数備えたことを特徴とする防寒衣類に係るものである。
【0012】
また、前記保温パック体3は、羽毛や綿や気泡緩衝材などの保温材3aを扁平状の袋体3bに詰入した扁平状体であることを特徴とする請求項1記載の防寒衣類に係るものである。
【0013】
また、前記収納部2に収納した前記保温パック体3を看取し得るように前記裏地部分をメッシュ構造としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の防寒衣類に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、前述した従来例と異なり、収納部に対する保温パック体の収納量を可変するだけで保温力を簡易且つ確実に調整することができ、しかも、この保温力の微調整が行えることになり、そして更に、部分的に保温力を高めたりするなどの使用も可能になるなど、ユーザーの要求に確実に対応することができる、極めて商品価値の高い画期的な防寒衣類となる。
【0015】
また、請求項2記載の発明においては、収納部に対して保温パック体を簡易且つ良好に積層収納することができ、しかも、保温パック体を積層収納しても嵩張ったりせず、着心地が良くて体裁も良い状態が得られることになるなど、極めて商品価値の高い画期的な防寒衣類となる。
【0016】
また、請求項3記載の発明においては、例えば保温パック体がどの位置の収納部にどれだけ収納されているかを直ちに確認することができ、ユーザーの要求に応じて保温パック体の収納位置や収納量を簡易且つ迅速に変えることができ、しかも、収納部を設ける裏地部分を通気性の良いメッシュ構造としたから、通気性の欲しい部分には保温パック体を収納しないようにするなど、ユーザーの好みに応じて様々な使い方が可能になるなど、極めて商品価値の高い画期的な防寒衣類となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施例に係る衣類本体を示す正面図である。
【図2】本実施例に係る要部の説明図である。
【図3】本実施例に係る要部の説明図である。
【図4】本実施例に係る要部の説明図である。
【図5】本実施例に係る要部の説明図である。
【図6】本実施例に係る要部の説明図である。
【図7】本実施例の使用状態説明図である。
【図8】本実施例の使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0019】
例えばユーザーの好みで、衣類本体1の裏地部分に多数設けられた収納部2に対して多数備えられた保温パック体3を収納する。この収納部2に対して羽毛や綿や気泡緩衝材などの保温材3aを詰入した保温パック体3が収納された部位は保温力が向上し、一方、収納部2から保温パック体3を一部若しくは全部取り出した部位は保温力が低くなる。
【0020】
また、この保温パック体3は収納部2に対して裏地部分の厚さ方向に積層収納することができ、収納部2に対する保温パック体3の収納量を変えることで保温力を調整することができる。
【0021】
つまり、例えば気温が低い時には収納部2に対する保温パック体3の収納量(積層量)を増やして保温力を上げ、一方、気温が比較的高い時には収納部2に積層収納された保温パック体3の一部若しくは全部を取り出して収納量を減らして保温力を下げることができ、収納部2に対する保温パック体3の収納量を変えて保温力を調整することができる。
【0022】
また、本発明は、例えば衣類本体1がジャケットやベストなどの上着だった場合には、肩部分だけ保温力が欲しいとか、背中部分だけ保温力が欲しいなど、部分的に保温力が欲しいとされる場合には、この保温力が欲しい部位となる任意の収納部2に対して保温パック体3を収納することで対応できる。
【0023】
以上のように、本発明は、衣類本体1に必要な時に必要な保温力を具備せしめることができる。
【実施例】
【0024】
本発明の具体的な一実施例について図面に基づいて説明する。
【0025】
本実施例は、衣類本体1の裏地部分に、羽毛や綿や気泡緩衝材などの保温材3aを詰入した保温パック体3を収納する収納部2を設けたものである。
【0026】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0027】
衣類本体1は、図1に図示したように防水性に秀れた表地5から成り、前開きタイプの前身ごろ部1A,後身ごろ部1B及び袖部1Cを有し、また、この前身ごろ部1Aと後身ごろ部1B夫々の境界位置となる開口部にフード1Dが設けられたレインウェアとして構成されている。
【0028】
また、前身ごろ部1A、後身ごろ部1B及び袖部1C夫々の内側には、メッシュ構造の裏地4(裏地部分)が設けられている。
【0029】
この裏地4には、後述する保温パック体3を収納する収納部2が裏地4の面方向に多数設けられている。
【0030】
具体的には、裏地4は、図2,3に図示したようにメッシュ生地から成る第一面材4aと、この第一面材4aに重合するメッシュ生地から成る第二面材4bとで構成され、この第一面材4aと第二面材4bとを重合した状態で縫製することで一体としたものであり、この裏地4も前身ごろ部,後身ごろ部及び袖部夫々に該当する部位を有する構成である。
【0031】
尚、本実施例では、裏地4は表地5に縫製されているが、表地5に対して着脱自在とした所謂インナーとしても良く、本明細書で言う裏地部分とは広義の解釈を持つ。
【0032】
また、裏地4は、第一面材4aと第二面材4bとを縫製する際、一箇所が開口するように区画して袋状に縫製することで、区分けされた収納部2が多数設けられている。
【0033】
この収納部2の正面視形状は、保温パック体3の平面視形状と同形状に形成されている。
【0034】
また、収納部2の開口部2aには、第二面材4bの端部を内側へ折り返した帯状の折り返し部2bが設けられており、この折り返し部2bにより収納した保温パック体3の端部を抜け止め係止することができる(図4〜6参照)。
【0035】
また、収納部2は、裏地4がメッシュ構造であるから、収納部2に収納した保温パック体3を看取する(透けて見える)ことができる。
【0036】
従って、保温パック体3がどの位置の収納部2にどれだけ収納されているかを確認することができる。
【0037】
また、本実施例では、図7に図示したように前述した構造の収納部2を袖部1Cにも設けている。
【0038】
尚、本実施例では、衣類本体1としてレインウェアを採用しているが、例えばスキーウェア、ダウンジャケット、ベスト、ベンチコート、つなぎ服、図8に図示したようにズボン(パンツ)でも良いなど、本実施例の特性を発揮する構成(防寒衣類)であれば適宜採用し得るものである。
【0039】
保温パック体3は、図3に図示したように羽毛や綿や気泡緩衝材(空気の入った緩衝材)などの保温材3aを、平面視方形状にして扁平状に形成された袋体3bに詰入した扁平状体であり、多数設けられている。この保温パック体3の数は、例えば全ての収納部2夫々に複数(2つずつ)積層収納するに相当する量である。
【0040】
尚、保温材3aとしては、前述した他にも保温機能を有し且つ柔軟性を有する素材の物であれば良く、例えばフリース生地、紙でも良いなど、本実施例の特性を発揮するものであれば適宜採用し得るものである。
【0041】
本実施例は上述のように構成したから、例えばユーザーの好みで、衣類本体1の裏地4に多数設けられた収納部2夫々に対して多数備えられた保温パック体3を収納すると、この収納部2に保温パック体3が収納された部位は保温力が向上することになり、しかも、仮に保温パック体3が破損しても別の保温パック体3を取り換え収納することで簡易に対応できる。
【0042】
また、本実施例は、この保温パック体3は収納部2に対して裏地部分(裏地4)の厚さ方向に積層収納することができ、収納部2に対する保温パック体3の収納量を変えることで保温力を調整することができる。
【0043】
また、本実施例は、例えば衣類本体1がジャケットやベストなどの上着だった場合には、肩部分だけ保温力が欲しいとか、背中部分だけ保温力が欲しいなど、部分的に保温力が欲しいとされる場合には、この保温力が欲しい部位となる任意の収納部2に対して保温パック体3を選択的に収納することで対応できる。
【0044】
また、本実施例は、収納部2から保温パック体3を取り出すことで、丸洗いすることができ、乾燥も迅速に行えることになる。
【0045】
また、本実施例は、収納部2を裏地4に設けたから、収納部2に対して保温パック体3の収納量(積層量)変えても表からは見えにくく、衣類本体1のデザインが崩れることが無い。
【0046】
また、本実施例は、保温パック体3が簡易構造にしてシンプルな形状である為、コスト安にして量産性に秀れることになる。
【0047】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0048】
1 衣類本体
2 収納部
3 保温パック体
3a 保温材
3b 袋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類本体の裏地部分に、羽毛や綿や気泡緩衝材などの保温材を詰入した保温パック体を収納する収納部を設けた防寒衣類であって、前記収納部を前記裏地部分に多数設け、前記収納部に出し入れ自在となり、前記収納部に対して前記裏地部分の厚さ方向に積層収納し得る厚さの前記保温パック体を多数備えたことを特徴とする防寒衣類。
【請求項2】
前記保温パック体は、羽毛や綿や気泡緩衝材などの保温材を扁平状の袋体に詰入した扁平状体であることを特徴とする請求項1記載の防寒衣類。
【請求項3】
前記収納部に収納した前記保温パック体を看取し得るように前記裏地部分をメッシュ構造としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の防寒衣類。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−44075(P2013−44075A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184957(P2011−184957)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(391023758)オンヨネ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】