説明

防振パネル

【課題】パレットに物品を積載し、輸送する方法において、容易に入手できる安価な既存の汎用パレットを利用し、輸送する物品への衝撃、振動を緩和する防振パネルを提供する。
【解決手段】天板2aとフランジ部2bとで形成された箱形の上板2からなり、天板2aとフランジ部2bとで囲まれた空間に防振機能部品を有し、物品を積載して輸送するパレット8と物品との間に挿入され、天板2aとフランジ部2bとでパレット8の上面及び側面の一部を覆い包むように配置される防振パネル。防振機能部品が、連続した外周で形成される複数個の弾性体4、通気可能な空間部に有する中空板材5、及び下板7からなり、これらが階層的に配設され、中空板材5は当接する弾性体4の内周側位置に通気孔6を設けており、上板2と弾性体4と中空板材5と下板7とで形成される閉塞空間の空気が、弾性体4の変形の際に、通気孔6及び空間部を介して外部と出入りできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振パネルに関し、特にパレットに物品を積載して輸送する際に、輸送物品への衝撃、振動を緩和させるパレットの防振構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パレットに物品を積載し、輸送時の物品への衝撃、振動を緩和させる方法としては、例えば特許文献1の防振パレット、特許文献2の防振パレット及び特許文献3の防振パレット、非特許文献1等がある。また、防振材料としてエアーチューブを利用する方法は、特許文献4のコンテナ用防振装置がある。
【0003】
このうち特許文献1及び特許文献2は、パレット自体の脚部に弾性体を配置して防振機能を持たせたもので、パレットとしての必要な剛性の確保と共に、作業性の観点からフォークリフトのフォークの挿入空間を確保する等、JIS等の規格で決められた寸法を確保するように配慮されている。
【0004】
一方、特許文献3は、パレットの上面にスポンジゴムシートの緩衝シートを介してゴムシートを貼り付け、防振効果の向上を図っている。また、非特許文献1では上下2枚の樹脂板の間に4本の窒素ガス入りのゴムチューブを組み込み衝撃、振動を吸収すると共に、下板にストッパーを配置して及び横ずれを防止している。特許文献4では、略ドーナツ形状のエアーチューブと、該エアチューブに上板と下板を密着させて形成した閉塞空間に、上板或いは下板に外部からの空気が流入するバルブを設けて防振装置とし、該防振装置をコンテナの床に複数個配設している。
【特許文献1】特開2005−147277号公報
【特許文献2】特開2001−280419号公報
【特許文献3】実開平5−44825号公報
【特許文献4】特開2002−128185号公報
【非特許文献1】JR貨物ニュース第165号(2006年11月1日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の防振パレットは、パレットとしての必要な剛性の確保、作業性の観点からフォークリフトのフォークの挿入空間を確保する等、JIS等の規格で決められた寸法を確保するように配慮すると共に、パレット自体の脚部に弾性体を配置して防振機能を持たせており、一般の汎用パレットと比較してパレット自体の構造が複雑となり、このため高価になっていた。また、パレットは荷役作業、運搬等で脚部を中心に傷つき、破損しやすく、このため使用不能となった場合には、破損個所及び其の破損内容にもよるが、一般的に全体を新規に製作する必要がある等の問題が発生していた。また、パレットの上面にスポンジゴムシートの緩衝シートを介してゴムシートを貼り付けて防振効果の向上を図る構造では、ゴムシート面に直接物品を積載することになるため、ゴムシート等が損傷し易く、また緩衝シート及びゴムシートのバネ定数並びに耐荷重の観点から積載する物品の重量を配慮する必要がある等の課題が発生していた。
【0006】
ゴムチューブ及びエアーチューブを防振材料として利用する方法では、チューブと上下板に挟まれた閉塞空間の空気が、瞬間的に作用する衝撃や振動に対して抜けにくく、このためチューブと閉塞空間が瞬間的に一体となってバネ作用することになり、このような気体のバネが減衰しにくい課題を有していた。
【0007】
本発明の目的は、パレットに物品を積載して輸送する方法において、容易に入手できる安価な既存の汎用パレットと組み合わせて利用する防振パネルを提供し、既存の汎用パレットを有効に活用して物品への衝撃、振動を緩和させたパレットによる輸送を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、一般の既存汎用パレットに物品を積載して輸送する方法において、汎用パレットの上面に、フランジ部と天板で形成された箱形の上板と、該上板内に、上板補強板、連続した外周で形成される弾性体を複数個、通気可能な空間部を有する中空板材及び下板を階層的に配設し、中空板材の弾性体の内周側位置に通気孔を設け、上板補強板と連続した外周で形成される弾性体と中空板材と下板で形成される閉塞空間の空気が弾性体の変形に対応して中空板材の通気孔から外部と出入りできるように構成し、上板がフランジ部と天板でパレットの側面及び上面を覆い包むように配置することによって達成される。
【0009】
すなわち、本発明は、天板とフランジ部とで形成された箱形の上板からなり、前記天板とフランジ部とで囲まれた空間に防振機能を備えた部品を有し、物品を積載して輸送するパレットと前記物品との間に挿入され、前記上板の天板とフランジ部とで前記パレットの上面及び側面の一部を覆い包むように配置される防振パネルである。
【0010】
また、本発明は、前記防振機能を備えた部品が、連続した外周で形成される複数個の弾性体、通気可能な空間部を有する中空板材、及び下板からなり、これらが階層的に配設され、前記中空板材は、当接する弾性体の内周側位置に通気孔を設けており、前記上板と前記複数個の弾性体と前記中空板材と前記下板とで形成される閉塞空間の空気が、前記弾性体の変形の際に、前記中空板材の通気孔及び空間部を介して外部と出入りできるように構成した防振パネルである。
【0011】
そして、本発明は、前記防振機能を備えた部品が、上板補強板、連続した外周で形成される複数個の弾性体、通気可能な空間部を有する中空板材、及び下板からなり、これらが階層的に配設され、前記中空板材は、当接する弾性体の内周側位置に通気孔を設けており、前記上板補強板と前記複数個の弾性体と前記中空板材と前記下板とで形成される閉塞空間の空気が、前記弾性体の変形の際に、前記中空板材の通気孔及び空間部を介して外部と出入りできるように構成した防振パネルである。
【0012】
更に、本発明は、前記上板のフランジ部にクッション材を配設し、前記上板のフランジ部とクッション材とで水平方向の防振機能を有するようにした防振パネルである。
【0013】
また、本発明は、前記上板のフランジ部は、前記パレットの側面に対峙し、前記上板のフランジ部の先端は、前記物品積載時に、前記パレットの下面デッキの底面側に移動した際、前記パレットへ挿入されるリフト爪に接しない高さに位置し、前記上板のフランジ部の四隅部分の下端は、無積載時に、前記パレットの上面デッキの表面より下方に位置する防振パネルである。
【0014】
そして、本発明は、前記複数個の弾性体は、それぞれ、その内周側位置が当接する中空板材の通気孔を中心に、ほぼ同心に配置され、かつ、高さを変えた2種類以上の弾性体の組からなる防振パネルである。
【0015】
更に、本発明は、前記組を構成する2種類以上の弾性体は、すべて、同種類の物質からなる防振パネルである。
【0016】
また、本発明は、前記組を構成する2種類以上の弾性体は、他の弾性体とは異なる種類の物質からなる弾性体が混ざっている防振パネルである。
【0017】
そして、本発明は、前記組を構成する2種類以上の弾性体は、当接する中空板材の通気孔に近い位置から径方向外になるに従って高さが高くなる防振パネルである。
【0018】
更に、本発明は、前記複数個の弾性体が、それぞれ、連続した外周で形成され、かつ、前記中空板材の通気孔を中心に配置した第1弾性体であり、前記第1弾性体の外側の位置に、前記第1弾性体より高さが低い第2弾性体を配設した防振パネルである。
【発明の効果】
【0019】
上記構造の防振パネルは、汎用パレット上面に上板がフランジ部と天板でパレットの側面及び上面を覆い包むように配置し、該防振パネルの上面に物品を積載し輸送することにより、パレットに作用する垂直方向の衝撃、振動に対して、上板と下板の間に配設した弾性体と中空板材の弾性体の内周側位置に通気孔を設け、上板補強板と連続した外周で形成される弾性体と、中空板材と下板で形成される閉塞空間の空気が、弾性体の変形に対応して中空板材の通気孔から外部と出入りすることで減衰機能を有する緩衝材となり、衝撃、振動を和らげて輸送できるようになる。また、水平方向に対しては、フランジ部と天板で形成された箱形の上板のフランジ部に配設したクッション材とフランジ部全体の弾性変形で衝撃、振動を和らげて輸送できるようになる。更に、全体の構造が簡単で、軽量部材で形成できるため軽量となり、該防振パネルは人手により既存の汎用パレットへの着脱が自由にできる。荷役作業等においてパレットが損傷した場合においても、パレットのみを交換し、該防振パネルを継続して使用できる。
【0020】
このため、本発明の防振パネルは、パレット自体に特別な振動、衝撃緩和機能を付与した構造と比較して安価になる。また、防振パネルの上面に輸送する物品を積載するため、防振材料は直接に防振材料の上に積載する方法と比較して損傷しにくくなり、耐久性が向上する。更に、外見上、防振パネルは汎用パレットと一体構造となっており、防振機能付き同等と看做すこともできる。
【0021】
該防振パネルが不要の場合は、従来の汎用パレットのみで使用できるため、利用方法が拡大すると共に、該防振パネルのみを保管すればよく、特別な振動、衝撃緩和機能付きパレットと比較して管理が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
以下、本発明の防振パネルの実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
本発明の第1の実施例を図1乃至図6により説明する。図1は本実施例の防振パネルを構成する部品を分解した斜視図、図2は図1の防振パネルの構成部品を組立てた時の斜視図、図3は図2の防振パネルのA−A視から見た水平方向の断面図、図4は図2の防振パネルのB−B視から見た垂直方向の断面図、図5は防振パネルをパレットの上面に配設した無負荷の状態と積載した状態における防振パネルのフランジ部及び四隅部とパレットのリフト爪挿入口の位置関係を示した側面図、図6は防振パネルが上下方向に変動した場合における閉塞空間内の気体の流れを説明するために図4の“ア”部を拡大した断面図である。
【0024】
図1乃至図6において、1は防振パネルの本体、2は防振パネル1を構成する上板で天板2aとフランジ部2b及び四隅部2cで箱形に形成、3は上板2の天板2aを補強する目的で配設した上板補強板、4は連続した外周で形成されたリング状弾性体、5は通気可能な空間部を有する中空板材、6は中空板材5に配設した通気孔、7は下板、8はパレットで上面デッキ8a、下面デッキ8b、差込口8c及び側面8dで形成、9は防振パネル1の上板2のフランジ部2b及び四隅部2cに配設したクッション材である。
【0025】
本実施例における上板2は、1枚の薄板からフランジ部2b及び四隅部2cの寸法を考慮したサイズに切り出し、フランジ部2bと四隅部2cを曲げ、角部2dを溶接し、全体を箱形に製作する。ここで、フランジ部2b及び四隅部2cには、作用する水平荷重の大きさに対応して外周に補強材を追加しても良い。また、上板2の材質は、防振パネル1の全体重量を軽量化するため、アルミニウム合金としても良い。
【0026】
上板補強板3は、薄板で製作した上板2の天板2aの剛性、強度を増加させるために配設するもので、軽量で局所的な凹みに強い材料、例えば合板或いはプラスチック板で製作する。尚、上板補強板3は、上板2の天板2aの剛性及び強度が局所的な荷重に対する凹み発生を極小に抑制できる場合には省略することができる。
【0027】
リング状弾性体4は、防振パネル1としての必要なバネ定数を考慮し、チューブに気体或いは液体状態の物体を注入して形成する。尚、液体状態の物体は、チューブに注入後、液状から固形に変化しても良い。又、固形体で成形したものを使用しても良い。チューブの断面形状は、円形、楕円形、矩形、菱形等、必要なバネ定数を得るため、且つ製作性を考慮して適正なものを選定する。
【0028】
中空板材5は、上下の面板と通気可能な空間部を有する芯材で形成し、リング状弾性体4との接触部が面圧により崩壊しない強度、剛性を有するように配慮する。中空板材5の面サイズは、複数個のリング状弾性体4が余裕をもって配設でき、パレット8の上面デッキ8a面に配設する下板7の大きさ以下とする。中空板材5の板厚hは、配設する通気孔6の外周長L(図示せず)との積からなる断面積が空気の通過に必要な程度を確保でき、芯材が座屈により崩壊しないサイズを選定する。
【0029】
下板7のサイズは、中空板材5を配設した時、その全面を受けることができ、パレット8の上面デッキ8aより外にはみ出さない大きさとする。
【0030】
本実施例の防振パネル1は、図1及び図4に示したように全体を箱形に製作した上板2の内部に上板補強板3を配設し、その下面に図3に示したように複数個(本実施例では4個)のリング状弾性体4がパレット8の上面デッキ8aで積載物の荷重を均等に分担できるように配設(本実施例では4分割)、更にその下面に、図4に示したように各リング状弾性体4の内側に通気孔6が位置するように製作した中空板材5を配置、最下面に下板7を配置して製作する。また、図3に示したように箱形に製作した上板2の四隅部2cを中心にクッション材9を貼り付ける。ここで、図5に示したように、上板2の四隅部2cの高さH1は、防振パネル1をパレット8の上面デッキ8aに載せただけの無積載時において、四隅部2cの最下線2ccがパレット8の上面デッキ8aの表面8aaより下方に位置すると共に、最下線2ccとパレット8の下面デッキ8bの底面8bbとの高さHLがリング状弾性体4の高さと中空板材5の板厚hを合計した値より大きくなる範囲で選定する。尚、HLがリング状弾性体4の高さと中空板材5の板厚hを合計した値まで確保できない場合は、利用時に想定される最大の垂直方向の変位が発生しても最下線2ccがパレット8の下面デッキ8bの底面8bbに届かない範囲を選定する。上板2のフランジ部2b高さH2は、上板2に輸送品を積載した場合、最下線2bbbがパレット8の上面デッキ8aの上面8aaより下方で、差込口8cの上縁8ccより上方となるサイズとする。これにより防振パネル1は、上板2のフランジ部2b及び四隅部2cがクッション材9を挟みパレット8の側面8dと無積載時及び積載時とも対峙すると共に、パレット8を差込口8cに爪を挿入して移動する場合でもフランジ部2bへの損傷発生を予防できる。
【0031】
次に、このような状態でパレット8に衝撃、振動作用時が作用した場合、図6に示したように、垂直方向に対しては、リング状弾性体4が変形すると、上板補強板3とリング状弾性体4と中空板材5及び下板7で形成された密閉空間“D”の空気が通気孔6から“E”及び“F”経路で大気側と繋がる空間“G”に抜け、更に経路“H”へて大気側に放出される。このとき、密閉空間“D”の空気は、通気孔6の直径dと高さhからなる面積を適正な値とすることにより通気抵抗を受けながら出入りするため、瞬間的な衝撃、振動が作用した時、密閉空間“D”が減衰を有するクッション材となり、リング状弾性体4と一体となり積載物に作用する加速度を緩和する。密閉空間“D”はリング状弾性体4により復元する。尚、減衰特性は、通気孔6の直径dと高さhからなる面積を適正値より大きくすると密閉空間“D”での通気抵抗が大幅に減少してリング状弾性体4の内部抵抗のみとなり、密閉空間“D”の通気抵抗を利用する場合と比較して低下する。また、水平方向に対しては主にクッション材9と上板2のフランジ部2b及び四隅部2cの弾性変形で積載物に作用する加速度を緩和する。
【0032】
防振パネル1の利用方法としては、汎用パレットへの着脱が人手で自由にできることから、積載物の輸送で防振が必要な場合にパレット8に配設する。また、不要の場合には、防振パネル1をパレット8より外し、パレット8のみで使用することができる。更に、パレット8が荷役作業中に損傷した場合、防振パネル1は新規のパレット8に移し換えるだけで継続して使用することができる。
【0033】
本実施例によれば、防振パネル1は、汎用パレット上面に上板がフランジ部と天板でパレットの側面及び上面を覆い包むように配置し、該防振パネル1の上面に物品を積載し輸送することにより、パレット8に作用する垂直方向の衝撃、振動に対して、上板2と下板7の間に配設したリング状弾性体4と上板補強板3と連続した外周で形成されるリング状弾性体4と中空板材5と下板7で形成される閉塞空間“D”の空気がリング状弾性体4の変形に対応して中空板材5の通気孔6から外部と出入りすることで、減衰機能を有する緩衝材となり、衝撃、振動を和らげて輸送できるようになる。また、水平方向においては、天板2aとフランジ部2b及び四隅部2cで形成された箱形の上板2のフランジ部2b及び四隅部2cの弾性変形とクッション材9(防振材料)で衝撃、振動を和らげて輸送できるようになる。
【0034】
更に、全体の構造が簡単で、軽量部材で形成できるため軽量となり、該防振パネル1は人手により既存の一般汎用パレットへの着脱が自由にできる。荷役作業等においてパレットが損傷した場合においても、パレット8のみを交換し、該防振パネル1を継続して使用できる。このため、本考案による防振パネル1は、パレット自体に特別な振動、衝撃緩和機能を付与した構造のパレットと比較して安価になる。また、防振パネル1の上面に輸送する物品を積載するため、防振材料は直接に防振材料の上に積載する方法と比較して損傷しにくくなり、耐久性が向上する。また、外見上、防振パネル1は汎用パレットと一体構造となっており、防振機能付き同等と看做すこともできる。
該防振パネル1が不要の場合は、該防振パネル1のみを保管すればよく、特別な振動、衝撃緩和機能付きパレットと比較して、保管が容易となる。
【実施例2】
【0035】
次に図7乃至図8により、本発明の第2の実施例を説明する。図7は実施例2の防振パネル10を図2のA−Aから見た水平方向の断面図、図8は図2をB−Bから見た垂直方向の断面図である。
【0036】
図において、11は連続した外周で形成された第2リング状弾性体で、上記の実施例1の防振パネル1で配設した第1のリング状弾性体4(以下、実施例2では第1リング状弾性体と呼ぶ)の内側に配設する。ここで、第2リング状弾性体11は、図7に示したように配置した全第1リング状弾性体4の内側に、通気孔6を中心に配置する。また、第2リング状弾性体11の高さhdは、図8に示したように第1リング状弾性体4より低くする。防振パネル10を構成するその他の部品は、実施例1の防振パネル1と同じとする。第1リング状弾性体4及び第2リング状弾性体11の材質は、必要なバネ定数を考慮して同種類又は異種類を選択する。
【0037】
この実施例2の防振パネル10に積載物を負荷した場合、第1リング状弾性体4が変形して第2リング状弾性体11に接触するまでは第1リング状弾性体4のみバネで積載物を保持し、更に積載物の重量が増加すると第1リング状弾性体4と第2リング状弾性体11のバネで積載物を保持することになる。すなわち、積載物の重量に対応して2種類のバネで保持することが可能であり、防振パネル10で対応可能な荷重範囲を防振パネル1より広くすることができる。
【実施例3】
【0038】
次に図9乃至図10により、本発明の第3の実施例を説明する。図9は実施例3の防振パネル12を図2のA−Aから見た水平方向の断面図、図10は図2をC−Cから見た垂直方向の断面図である。
【0039】
図において、13は連続した外周で形成された第3リング状弾性体で、上記の実施例1の防振パネル1で配設した第1のリング状弾性体4(以下、実施例3では第1リング状弾性体と呼ぶ)の外側の位置で、第1リング状弾性体4が第3リング状弾性体13と接する高さまで変形した時、上板2の天板2aと上補強板3からなる荷重支持面の変形を補強する位置、実施例では図9に示したように9個所に配設する。また、第3リング状弾性体13の高さhdは、図10に示したように第1リング状弾性体4より低くする。その他の防振パネル12を構成する部品は、実施例1の防振パネル1と同じとする。第1リング状弾性体4及び第2リング状弾性体11の材質は、必要なバネ定数を考慮して同種類又は異種類を選択する。
【0040】
この実施例3の防振パネル12に積載物を負荷した場合、第1リング状弾性体4が変形して第3リング状弾性体13に接触するまでは第1リング状弾性体4のみバネで積載物を保持し、更に積載物の重量が増加して第1リング状弾性体4と第3リング状弾性体13のバネで積載物を保持することになる。すなわち、積載物の重量に対応して2種類のバネで保持することが可能であり、防振パネル12で対応可能な荷重範囲が実施例1の防振パネル1より広くすることができる。
【0041】
以上述べたように、本実施例によれば、積載物は防振パネル1の上面に積載し輸送することになり、パレットに作用する衝撃、振動に対して、防振パネル1を構成する上板2、上板補強材3、リング状弾性体4、中空板材5と通気孔6及び下板7で積載物に作用する垂直方向の加速度を低減させ、水平方向の荷重に対しては上板2のフランジ部2b及び四隅部2cと、フランジ部2b及び四隅部2cに配設したクッション材9が緩衝材となり、それぞれ垂直及び水平方向の衝撃、振動を緩和することができる。
【0042】
また、荷役作業でパレットが損傷することがあっても、一般汎用パレットを新規に交換し、その上に実施例の防振パネル1を置き換えるのみで、パレットが損傷する前の状態に容易に復元することができる。
このため、防振機能が一体となった防振パレットと比較して、安価に、迅速に防振機能を有するパレット輸送方法を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例1の防振パネルを構成する部品を分解した斜視図。
【図2】図1の防振パネルの構成部品を組立てた時の斜視図。
【図3】図2の防振パネルのA−A視から見た水平方向の断面図。
【図4】図2の防振パネルのB−B視から見た垂直方向の断面図。
【図5】図4の“ア”部を拡大した断面図で、防振パネルが上下方向に変動した場合における閉塞空間内の気体の流れを示す説明図。
【図6】防振パネルのフランジ部及び四隅部とパレットのリフト爪挿入口の位置関係を示した側面図。
【図7】実施例2の防振パネルで、図2のA−Aから見た水平方向の断面図。
【図8】実施例2の防振パネルで、図2のB−Bから見た垂直方向の断面図。
【図9】実施例3の防振パネルで、図2のA−Aから見た水平方向の断面図。
【図10】実施例3の防振パネルで、図2のC−Cから見た垂直方向の断面図。
【符号の説明】
【0044】
1,10,12 防振パネル
2 上板
2a 天板
2b フランジ部
2c 四隅部
2d 角部
3 上板補強板
4 リング状弾性体
5 中空板材
6 通気孔
7 下板
8 パレット
8a 上面デッキ
8b 下面デッキ
8c 差込口
8d 側面
9 クッション材
11 第2リング状弾性体
13 第3リング状弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板とフランジ部とで形成された箱形の上板からなり、前記天板とフランジ部とで囲まれた空間に防振機能を備えた部品を有し、物品を積載して輸送するパレットと前記物品との間に挿入され、前記上板の天板とフランジ部とで前記パレットの上面及び側面の一部を覆い包むように配置されることを特徴とする防振パネル。
【請求項2】
請求項1記載の防振パネルにおいて、
前記防振機能を備えた部品が、連続した外周で形成される複数個の弾性体、通気可能な空間部を有する中空板材、及び下板からなり、これらが階層的に配設され、
前記中空板材は、当接する弾性体の内周側位置に通気孔を設けており、
前記上板と前記複数個の弾性体と前記中空板材と前記下板とで形成される閉塞空間の空気が、前記弾性体の変形の際に、前記中空板材の通気孔及び空間部を介して外部と出入りできるように構成したことを特徴とする防振パネル。
【請求項3】
請求項1記載の防振パネルにおいて、
前記防振機能を備えた部品が、上板補強板、連続した外周で形成される複数個の弾性体、通気可能な空間部を有する中空板材、及び下板からなり、これらが階層的に配設され、
前記中空板材は、当接する弾性体の内周側位置に通気孔を設けており、
前記上板補強板と前記複数個の弾性体と前記中空板材と前記下板とで形成される閉塞空間の空気が、前記弾性体の変形の際に、前記中空板材の通気孔及び空間部を介して外部と出入りできるように構成したことを特徴とする防振パネル。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防振パネルにおいて、
前記上板のフランジ部にクッション材を配設し、前記上板のフランジ部とクッション材とで水平方向の防振機能を有するようにしたことを特徴とする防振パネル。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の防振パネルにおいて、
前記上板のフランジ部は、前記パレットの側面に対峙し、
前記上板のフランジ部の先端は、前記物品積載時に、前記パレットの下面デッキの底面側に移動した際、前記パレットへ挿入されるリフト爪に接しない高さに位置し、
前記上板のフランジ部の四隅部分の下端は、無積載時に、前記パレットの上面デッキの表面より下方に位置することを特徴とする防振パネル。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか1項に記載の防振パネルにおいて、
前記複数個の弾性体は、それぞれ、その内周側位置が当接する中空板材の通気孔を中心に、ほぼ同心に配置され、かつ、高さを変えた2種類以上の弾性体の組からなることを特徴とする防振パネル。
【請求項7】
請求項6記載の防振パネルにおいて、
前記組を構成する2種類以上の弾性体は、すべて、同種類の物質からなることを特徴とする防振パネル。
【請求項8】
請求項6記載の防振パネルにおいて、
前記組を構成する2種類以上の弾性体は、他の弾性体とは異なる種類の物質からなる弾性体が混ざっていることを特徴とする防振パネル。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1項に記載の防振パネルにおいて、
前記組を構成する2種類以上の弾性体は、当接する中空板材の通気孔に近い位置から径方向外になるに従って高さが高くなることを特徴とする防振パネル。
【請求項10】
請求項2乃至5のいずれか1項に記載の防振パネルにおいて、
前記複数個の弾性体が、それぞれ、連続した外周で形成され、かつ、前記中空板材の通気孔を中心に配置した第1弾性体であり、
前記第1弾性体の外側の位置に、前記第1弾性体より高さが低い第2弾性体を配設したことを特徴とする防振パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−150061(P2008−150061A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337959(P2006−337959)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(390010973)日立交通テクノロジー株式会社 (20)
【Fターム(参考)】