説明

防水テレビ装置

【課題】ケーシング本体と蓋体とを融着することにより最終的に組み立てられる水密ケーシングを採用する防水テレビ装置では、ケーシング本体と蓋体とを融着した後に、液晶表示部の前面に塵埃が回り込むと、水密ケーシングを破壊することなく分解できないので、塵埃を取り除くことができず、そのためその防水テレビ装置を廃棄しなければならないという問題が生じる。
【解決手段】少なくとも液晶表示部41の上方を覆う庇状の防塵部22を形成して、曇り止めのために設けた換気用の空間6内に塵埃が落下して入り込まないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内等に設置される防水テレビ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防水テレビは、ケーシング内に水が侵入しないように水密構造を採用している。この水密ケーシングの前面に透明な画面表示部を設け、内蔵する液晶表示部がこの画面表示部に対向して外部からこの画面表示部を通して液晶表示部を目視できるように構成されている。
【0003】
このような防水テレビ装置のうち、特に浴室の壁面に固定されるものでは、長時間にわたって湯水が掛かる環境で使用されるため、水密ケーシングを前面側を形成するケーシング本体と、このケーシング本体に対して背面側から接合される蓋体とで構成し、ケーシング本体と蓋体とを全周にわたって融着することにより水密性を高めたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−207801号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように浴室の壁面に固定されて使用される防水テレビでは特に、水密ケーシング内の水蒸気が室温の変化により画面表示部の内面に露結する場合が生じる。このように画面表示部の内面に露結すると、画面表示部が曇って液晶表示部が見づらくなる。そのため、画面表示部と液晶表示部との間に空間を設け、その空間内の空気が循環して曇りが取れるように、この空間を水密ケーシング内の他の空間と連通させる必要がある。
【0005】
一方、画面表示部と液晶表示部との間に、例え微細であっても塵埃が入り込むと、液晶表示部に表示されるテレビ画像を鑑賞する際に、その塵埃が目立ち、防水テレビの商品価値が低下する。そのため、防水テレビを組み立てる際には、液晶表示部と画面表示部との間に塵埃が入り込まないように慎重にエアーブローなどの塵埃除去作業をした後に水密ケーシングの融着が行われる。
【0006】
ところが、このように慎重に塵埃除去作業を行って、画面表示部と液晶表示部との間の塵埃を除去しても、水密ケーシング内な他の部分に塵埃が残留している場合が生じる。そして、ケーシング本体と蓋体とを融着した後に、防水テレビ装置の姿勢を変更することによって、この残存していた塵埃が画面表示部と液晶表示部との間の空間に侵入する場合が生じる。
【0007】
このようにケーシング本体と蓋体とを融着した後に画面表示部と液晶表示部との間に塵埃が侵入すると、水密ケーシングを開けることができないので、その防水テレビを廃棄せざるを得ないという不具合が生じる。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、画面表示部と液晶表示部との間の空間の通気性を損なうことなく、この空間内への塵埃の侵入を防止することのできる防水テレビ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明による防水テレビ装置は、前面に透明な画面表示部が設けられた開閉不能の水密ケーシング内に、少なくとも液晶表示部が画面表示部に対向して格納された防水テレビ装置において、液晶表示部と画面表示部の内面との間に、水密ケーシング内の空気の流れを許容する換気用の空間を設けると共に、水密ケーシングの内面であって、少なくとも液晶表示部の上部に、換気用の空間内への塵埃の侵入を防止する庇状の防塵部を形成したことを特徴とする。
【0010】
水密ケーシング内に残留した塵埃は重力の落下により上記換気用の空間内に侵入することが考えられる。そこで、少なくとも液晶表示部の上部に防塵部を形成することにより、たとえ塵埃が換気用の空間の上方から落下してきても、この防塵部によって受け止められ、換気用の空間への侵入が防止される。
【0011】
このような構成は、特に上記水密ケーシングは前面側を形成するケーシング本体と、このケーシング本体に対して背面側から接合される蓋体とから構成され、ケーシング本体と蓋体とを全周にわたって融着することにより開閉不能とした構成を採用する防水テレビ装置に好適である。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明は、防塵部によって換気用の空間への塵埃の侵入を防止するので、水密ケーシングを開閉不能に組み立てた後で、液晶表示部の前に塵埃が侵入することが無く、したがって塵埃の侵入による防水テレビ装置の廃棄を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照して、1は防水テレビ装置であり、本実施の形態では浴室の壁面BRに固定して使用される。この防水テレビ装置1は、図2に示すように、ケーシング本体2と蓋板3とからなる水密ケーシング内に液晶表示部41を備えた回路基板4が格納されている。
【0014】
このケーシング本体2と蓋板3とは全周にわたって融着され、内部に湯水が侵入しないように組み立てられる。したがって、一旦ケーシング本体2と蓋板3とを融着すると、ケーシング本体2や蓋板3を破壊することなく分離することができない。
【0015】
ケーシング本体2の前面には透明な樹脂製の画面表示部21が接着されている。なお、5はケーシング本体2の前面に着脱自在に取り付けられる化粧用のカバーである。
【0016】
ケーシング本体2と蓋板3とを相互に融着する前に、液晶表示部41の表面および画面表示部21の内面は特に入念にエアーブローして、塵埃が残存しないように塵埃除去作業を行う。そして、塵埃が液晶表示部41と画面表示部21との間に残存していないことを目視により入念にチェックした後、蓋板3とケーシング本体2とを相互に融着する。
【0017】
ところが、画面表示部21の内面以外の場所に塵埃が付着していた場合には、塵埃除去作業によってその塵埃を完全に除去できない場合が生じる。そこで、図3に示すように、ケーシング本体2の内側に、画面表示部21を囲むように防塵部22を形成した。
【0018】
この防塵部22は、図4に示すように、液晶表示部41と画面表示部21との間に形成した換気用の空間6が水密ケーシング内の他の部分と連通することを妨げないように、液晶表示部41に接触しないように形成されている。
【0019】
塵埃が液晶表示部41の上方から落下してきても、防塵部22に引っ掛かって空間6内までは侵入することがない。なお、本実施に形態では、画面表示部21を上下左右から囲むように形成したが、少なくとも液晶表示部の上部に形成する必要がある。
【0020】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】防水テレビの分解斜視図
【図3】防塵部の詳細を示す図
【図4】防塵部の作用を示す図
【符号の説明】
【0022】
1 防水テレビ
2 ケーシング本体
3 蓋体
21 画面表示部
22 防塵部
41 液晶表示部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に透明な画面表示部が設けられた開閉不能の水密ケーシング内に、少なくとも液晶表示部が画面表示部に対向して格納された防水テレビ装置において、液晶表示部と画面表示部の内面との間に、水密ケーシング内の空気の流れを許容する換気用の空間を設けると共に、水密ケーシングの内面であって、少なくとも液晶表示部の上部に、換気用の空間内への塵埃の侵入を防止する庇状の防塵部を形成したことを特徴とする防水テレビ装置。
【請求項2】
上記水密ケーシングは前面側を形成するケーシング本体と、このケーシング本体に対して背面側から接合される蓋体とから構成され、ケーシング本体と蓋体とを全周にわたって融着することにより開閉不能としたことを特徴とする請求項1に記載の防水テレビ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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