説明

防水靴

【課題】優れた防水靴を提供する。
【解決手段】改良された防水靴が、いくつかの改良を取り入れている。すべての層の縁が、網状の中底123’に接続されている。隣接する層が、層間のしわによって形成される漏れのトンネルを少なくするために貼り合わせられている。大きな溶融転移を有するエチレン酢酸ビニルが、充分な注入空間を確保するためにスペーサとして加えられる。網状の材料が、引張応力および網目サイズを保証するために、中底123’の材料として使用される。吸水性および耐久性を有する裏地が、足による損傷から機能層を保護するために、防水機能層の内側に追加される。最良の注入性を有する内底と、地面との接触に一般的に使用される外底とを区別するために、異なる材料が靴底に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、防水靴に関し、特に、上側部分、中底、および靴底を有する靴に関する。これらの構成部品の取り付けによって、防水性をもたらしている。
【背景技術】
【0002】
[0002]防水靴は、普段の生活においてきわめて一般的である。多くの特許が、防水靴について付与されている。その1つが、1995年4月11日に出願された米国特許第5,628,127号である。防水靴が防水材料から作られなければならないことは周知であるが、各部(上側部分、中底、および靴底)の防水材料を互いに取り付けなければならない。例えば、上側部分は靴底などに取り付けられなければならない。その結果、これらの接合箇所において、漏れが生じがちである。当初は、多くの関連の先行技術特許が、防水接着剤を使用してすべての接合部のすき間を埋めていた。これは非効率的なプロセスであり、結果はあまり効果的でなかった。そこで、1回の作業によってすべての構成部品(上側部分、中底、および靴底)を貼り付けるために、注入プロセスの使用が提案された。上述の米国特許第5,628,127号も、この1回の作業での注入プロセスを採用している。
【0003】
[0003]本件特許出願の発明者は、米国特許第5,628,127号の教示に実質的に従って試験用の60個のサンプルを製造したが、残念なことに、57個のサンプルが特定の試験条件のもとで漏れを生じた。この高い欠陥率ゆえ、本件特許出願の発明者は、米国特許第5,628,127号が特定の用途について非実用的であると結論付け、改善を追求した。
【0004】
[0004]米国特許第5,628,127号の開示を分析したところ、機能材料層15の下縁のみが、注入材料23に囲まれている(上述の米国特許第5,628,127号の図1を参照)。
【0005】
[0005]穴のあいた中底17と靴型25の底部33と間にすき間を確保する手段が存在していない。そのため、実際のところ、穴のあいた中底17は、穴のあいた中底17の引張応力によって靴型25の底部33に触れ、機能材料層15の下縁27が遊離状態で、注入プロセスにおいて自由にしわを生じることができる。しわによって生じるトンネルが、機能材料層15の外表面から機能材料層15の内表面へと水漏れを形成する(米国特許第5,628,127号の図1を参照)。
【0006】
[0006]機能材料層15の下縁27の外側と上部材料の縁19の下側部分の内側との間に、接着剤31が存在している。しかしながら、上部材料の両方の縁19が、穴のあいた中底17によって引っ張られる一方で、機能材料層15の両方の下縁27を引っ張るものは存在せず、それゆえに、両方の下縁27が接着点から容易に引き離され、しわを生じる可能性がある。結果として、漏れが生じる可能性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,628,127号公報
【発明の概要】
【0008】
[0007]要約すると、改良された防水靴は、以下のように1つ以上の特徴からもたらされる。
1.靴型の底部と穴のあいた中底との間に充分な空間を確保するために、大きな溶融転移を有するエチレン酢酸ビニル接着剤(「EVA Broad」)が使用される。
2.外側層および内側層のすべてが一体に接続され、それゆえ遊離した縁が存在しない。1つの層の縁に作用する力が、すべての層によって抵抗される。
3.強度および網目を確保するために、穴のあいた材料の代わりに、網状材料が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】米国特許第5,628,127号に示された従来技術の構成図である。
【図2】防水靴の第1の実施形態の断面構造図(注入前)である。
【図3】防水靴の第1の実施形態の断面構造図(注入後)である。
【図4】防水靴の第2の実施形態の断面構造図(注入前)である。
【図5】防水靴の第2の実施形態の断面構造図(注入後)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0013]本発明による改良された防水靴を、最初に従来技術を参照することによって最も上手く説明することができる。図1は、米国特許第5,628,127号に示された従来技術の構成である。第1に、この図において、機能材料層15の下縁27が遊離した状態である。明らかに、機能材料層15の下縁27を所定の位置に保つ手段は使用されていない。そのため、注入プロセスにおいて、しわが生じ、漏れのトンネルが形成される傾向にある。
【0011】
[0014]第2に、穴のあいた中底17を所定の位置に保つための手段が、明らかに存在していない。実際に、中底17が、自身の張力によって靴型25の底部33に当接する可能性がある。それゆえ、穴のあいた中底17と機能材料層15の下縁27との間の空間が、実際には存在しない可能性がある。下縁27が、穴のあいた中底17によって押され、底部33に当接する傾向がある。下縁27のどちらの側にも、空間が存在しない可能性がある。注入プラスチックが、そのような狭いすき間に進入することができず、穴のあいた中底17を囲むことができない。
【0012】
[0015]第3に、接着の領域31が小さすぎる可能性がある。下縁27が、接着の領域31から容易に引き離されることができるそれゆえに、下縁27の外表面に沿って下縁27の内表面へと水漏れが生じる。
【0013】
[0016]図2および図3のそれぞれが、それぞれ注入前および注入後の改良された防水靴の第1の実施形態の断面構造図である。これらの図において、図1において説明した従来技術の各部に対応する特定の部分については、同じ番号が先頭に追加の桁を付して使用されている。
【0014】
[0017]機能層115が、今や上側材料層113に完全に接着されている。次いで、2つの層115および113が、網状の中底117に接続されている。このようにすることで、両方の層が同時にしわを生じるため、上記2つの層の間に漏れのトンネルが形成されることがない。
【0015】
[0018]大きな溶融転移を有するエチレン酢酸ビニル(「EVA Broad」)51などのホットメルト接着剤が加えられる。これは、上記2層の両側に充分な空間が存在することを保証するためのスペーサとして機能する。
【0016】
[0019]網状材料117が、充分な引張応力および網目サイズを保証するために、穴のあいた材料の代わりに使用される。
【0017】
[0020]吸水性および耐久性の材料からなる裏地層18が、足(特には、爪)による損傷から機能層115を保護するために追加されている。
【0018】
[0021]中底123’と外底123とを区別するために、これら中底123’と外底123には異なる材料が使用されている。そのようにする際に、中底123’は、完璧な注入のために最適な材料を使用することができる。すなわち、注入された材料が、靴の防水性を高めるために、あらゆる小さなすき間を埋め、長持ちさせることができる。外底123は、地面との係合に一般的に使用される任意の材料を使用することができる。
【0019】
[0022]図4および図5を参照すると、それぞれが、注入前および注入後のそれぞれの改良された防水靴の第2の実施形態の断面構造図である。図4および図5と、図2および図3との主な違いは、2つの網状中底217および217’が使用されている点にある。これら図4および図5では、3つの層が、網状中底217および217’に接続されている。各層の厚さおよび硬さが異なるため、図1では、裏地層28が中底217に接続されておらず、そのため着用の際に機能層215から離れる可能性がある。図4および図5においては、裏地層28および機能層215の両方が一体に接着され、次いで中底217’に接続される一方で、上側層213は、中底217に接続されている。このようにすることで、水が染み込む上側層213の縁が、機能層215の縁から遠く離れるので、漏れる可能性が第1の実施形態よりも少なくなるであろう。
【0020】
[0023]上述した改善を用い、防水靴を製作して試験した。米国特許第5,628,127号に従って製造された上述の代表的な靴に比べて、試験に合格した靴の割合が5%から99%へと向上した。
【符号の説明】
【0021】
15…機能材料層、17…穴のあいた中底、18…裏地層、25…靴型、27…機能材料層15の下縁、28…裏地層、31…接着の領域、33…靴型25の底部、51…ホットメルト接着剤、113…上側材料層、115…機能層、網状の中底117、123…外底、123’…中底、213…上側層、215…機能層、217…網状の中底、217’…網状の中底。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側層と、
前記上側層に接着された防水機能層と、
網状材料からなる中底層であって、前記上側層および防水機能層の端部に接続されている当該中底層と、
前記防水機能層に隣接して位置する吸水性および耐久性を有する裏地と、
充分な注入空間を確保するためのEVA Broadからなるスペーサと、
注入材料で形成され、前記上側層、防水機能層、中底層およびスペーサを一体に結合させる靴底であって、当該靴底における内底と外底とを区別するために当該内底と外底とが異なる材料を含んでいる当該靴底と、
を備えている、改良された防水靴。
【請求項2】
前記靴底が2つの層を含んでいる、請求項1に記載の改良された防水靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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