説明

防滑部材を備えた靴

【課題】 防滑部材を備えた靴において基布の表面に多数の防滑突起が固着された防滑部材の耐久性を向上させる。【解決手段】 本発明の靴は、足の甲を覆うアッパー20と、接地面を持つソール21と、ア
ッパー20および/またはソール21の外表面に設けられた防滑部材1とを備える。防滑部材1は、第1表面121を含む表編地層123、ならびに、該第1表面121の反対側の第2表面122を含む裏編地層124を有する多層構造編物からなる基布12と、基布12に固着され、かつ、表編地層123の第1表面121から突出する複数の樹脂製またはゴム製の防滑突起とを備える。表編地層123を形成する糸が裏編地層124を形成する糸よりも太い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防滑部材を備えた靴に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開平1−310601号(特許文献1)のように、靴底に防滑部材を備えた靴は周知である。
また、かかる防滑部材は、編物、織物および不織布などの基布に多数の樹脂またはゴム製の防滑突起を付着させて形成される(特許文献2、3)。
一方、ソールが側面で上方に巻き上がったカップソールを有する靴は周知である(特許文献4)。
【0003】
[特許文献1]特開平1−310601号(第6図、第7図)
[特許文献2]特開平6−000826号(要約)
[特許文献3]U.S.P.6,255,235号(クレーム1、Fig.1(a),(b))
[特許文献4]特開平5−123204号(図8)
【0004】
レスリング、ボクシング、シッティングバレーなどのためのインドアシューズ(屋内シューズ)においては、足裏と床面との接地感覚が重要であるから、高いグリップ性、屈曲性および軽量性が要求される。そのため、前記防滑部材を靴底や靴の側面に設けている。
【0005】
これらの競技においては、繰り返し大きな荷重が小さな防滑突起に集中して負荷されることが多い。特に、靴の底面と側面との間の角部には前記荷重が集中し易い。そのため、防滑部材に高い耐久性が必要となる。
【発明の開示】
【0006】
したがって、本発明の目的は、防滑部材を備えた靴において基布の表面に多数の防滑突起が固着された防滑部材の耐久性を向上させることである。
【0007】
前記目的を達成するために、本発明にかかる防滑部材を備えた靴は、足の甲を覆うアッパーと、接地面を持つソールと、前記アッパーおよび/またはソールの外表面に設けられた防滑部材とを備えている。前記防滑部材は、外側に露出する第1表面を含む表編地層、ならびに、該第1表面の反対側の第2表面を含む裏編地層を有する多層構造編物からなる基布と、前記基布に固着され、かつ、前記表編地層の第1表面から突出する複数の樹脂製またはゴム製の防滑突起とを備えている。前記表編地層を形成する糸は前記裏編地層を形成する糸よりも太い。
【0008】
編物は糸が編まれて形成されているので、不織布や織物に比べ、緩い力で大きく伸びる。したがって、基布が編物である防滑部材は靴の複雑な立体形状に沿って容易に成形され得る。
【0009】
しかし、糸が均一に細い編物が基布として用いられると、編物の引裂強度が小さかったり、あるいは、防滑突起が基布に固着するためのアンカー効果(投錨効果)が得られないおそれがある。
これに対し、本発明に用いられる基布においては、表編地層を形成する太い糸が引裂強度を向上させると共に、アンカー効果を高める。
【0010】
一方、糸が均一に太い編物が基布として用いられると、編物の表裏に表れる凹凸が大きい。そのため、編物をソール等に接着するのが困難であったり、あるいは、編物をソール等に接着するための接着剤の量を多くする必要が生じる。このような多量の接着剤は基布にゴワツキ感(stiff feeling)を生じさせる。
【0011】
これに対し、本発明に用いられる基布においては、ソールに接着される裏編地層を形成する糸が細い。そのため、前記裏編地層の第2表面の凹凸が小さいので、少量の接着剤で基布をソールに接着することができる。また、基布にゴワツキ感が生じにくい。
【0012】
このように、本発明の防滑部材は、弱い(小さい)力で引っ張っても大きく変形するので複雑な立体形状に沿い易いという編物の特性が損なわれることなく、従来の編物を基布として用いた防滑部材よりも耐久性に優れている。
【0013】
編物は小さな力で容易に伸びるので、ソールの底面および側面だけでなく、アッパーの前足部の前面や後足部の背面にわたって連なった状態で、容易に靴の表面に貼付されることができる。また、かかる編物は貼付後に剥がれにくい。
【0014】
このように伸度の大きい基布を用いることで、1枚の基布により、ソールの底面の概ね全面と、巻上部の概ね全周とにわたって連なった状態の防滑部材を形成することができる。かかる靴においては、部品点数が少なくなるので、コストダウンを図り得るとともに強度を損なうおそれがない。
【0015】
具体的な基布としては、たとえば東レ株式会社製のフィールドセンサー(登録商標)や株式会社クラレ製のウォーターマジック(登録商標)を用いることができる。
【0016】
本発明の好ましい実施例では、前記ソールの接地面とアッパーの側面等との間の角部に前記防滑突起が設けられて、前記角部に設けた前記防滑突起の表面が前記角部において屈曲されて湾曲している。かかる角部の防滑突起は、脚が傾いた状態でも靴と床面やマットの表面との間に滑りを発生しにくくする。ここで、かかる角部の防滑突起が屈曲により(平らに成型した防滑突起が成型後に曲げられて)形成されている。すなわち、かかる角部の防滑突起は、平面的な防滑部材を立体的にソールに沿わせるだけで形成されるので、生産性が向上する。
【0017】
したがって、前記角部の湾曲に沿って前記防滑突起が屈曲可能な程度に、前記防滑突起の硬度が小さく設定され、あるいは、前記防滑突起の厚みが小さく設定される。
かかる防滑突起の厚みは、好ましくは約4.0mm以下、より好ましくは約3.5mm以下、最も好ましくは約3.0mm以下に設定され、一般に、1.0mm以上に設定される。
一方、かかる防滑突起の好ましい硬度としては、JISA硬度で約75度以下55度以上に設定され、より好ましくは約70度以下60度以上に設定される。JISA硬度はJISK6301に準拠してJISA型硬度計により測定して得られる値である。
【0018】
一方、本発明にかかる基布の引裂強度は、30N/cm以上に設定されるのが好ましく、35N/cm以上に設定されるのが更に好ましい。かかる強度を持つ基布は破断しにくい。そのため、防滑突起に大きな外力が加わっても、基布は破断しにくい。
【0019】
このように、防滑突起に大きな外力が加わっても、防滑突起が基布から剥がれにくく、かつ、基布が破断しにくいから、繰り返し外力が加わっても、本発明の防滑部材は損傷することがなく、耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
[図1]本発明の一実施例にかかる靴を示す概略内側面図である。
[図2]同靴を底面側から見た概略斜視図である。
[図3]図3(a)は防滑部材を模式的に示す拡大縦断面図、図3(b)は防滑突起における基布の表面から突出した部分の一例を示す拡大概略斜視図である。
[図4]防滑部材を展開して示す平面図である。
[図5]図5(a)は前足部の一部省略した概略横断面図、図5(b)は引裂強さの試験方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1:防滑部材
12:基布
121:第1表面
122:第2表面
123:表編地層
124:裏編地層
13:防滑突起
20:アッパー
21:ソール
22:第1巻上部
23:第2巻上部
24:角部
25:第3巻上部
26:第4巻上部
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものである。本発明の範囲は請求の範囲によって定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0023】
以下、本発明の一実施例が説明される。
図1および図2に示すように、靴は防滑部材1を備えている。前記防滑部材1は、靴のアッパー20およびソール21の表面に設けられている。前記防滑部材1は基布12と多数の防滑突起13とからなる。
図5(a)に示すように、前記ソール21は、中敷27、中底(insole)28および樹脂スポンジからなるミッドソール29を有する。前記防滑部材1は、アッパー20およびミッドソール29の表面に接着されている。
【0024】
図3(a)に示すように、前記基布12は、外部に向って露出した第1表面121とアッパー20およびソール21に接着された第2表面122とを有する。前記基布12は編物からなる。前記防滑突起13は、たとえば樹脂からなり、前記基布12に固着され、かつ、前記第1表面121から突出している。
【0025】
図1および図2に示すように、前記防滑部材1の基布12はソール21の底面の概ね全面と、ソール21からアッパー20の前面、両側面(内側面、外側面)および背面に沿って巻き上がる巻上部22,23,25,26の概ね全周とにわたって連なった状態で設けられている。この防滑部材1の基布12は1枚の基布により形成されている(複数枚の基布を接合して形成したものではない)。すなわち、図1のように、前記防滑部材1は、ソール21の前足部21fと、前記ソール21から前記アッパー20の前面に沿って巻き上がる第1巻上部22と、前記ソール21から前記アッパー20の前足部の両側面に沿って巻き上がる第2巻上部23とにわたって連なった状態で設けられている。また、図2のように、ソール21の後足部21bと、ソール21からアッパー20の後足部の背面に沿って巻き上がる第3巻上部25と、前記ソール21からアッパー20の後足部の両側面に沿って巻き上がる第4巻上部26とにわたって連なった状態で設けられている。
【0026】
前記ソール21の接地面から、アッパー20の前面および両側面に至る角部24には、前記防滑突起13が設けられている。前記角部24に設けられた前記防滑突起13の表面は、前記角部24において屈曲されて(曲げ変形されて)湾曲した状態となっている。
ここにおいて、前記角部24の湾曲に沿って前記防滑突起13が屈曲可能な程度に、前記防滑突起13の硬度が小さく設定されており(たとえばJISA硬度で約67度)、かつ、前記防滑突起13の厚みが小さく設定されている(たとえば約2.0mm)。
ここで、図3(a)の防滑突起13の厚さ(高さ)Tは、基布12に入り込んだ部分も、屈曲性に影響を与えるので、該部分も含めた厚さをいう。
【0027】
図3(b)のように、前記防滑突起13は上下2段に形成されていてもよい。また、上部131の周囲や表面にエンボス加工が施されて、鋭利なエッジが表れないようにしてもよい。
【0028】
図2の前記防滑突起13は、前記基布12の周縁12eの端部まで設けられている。前記防滑突起13は、前記周縁12eの端部において基布12の周方向に互いに離間して設けられている。このように、周方向に互いに防滑突起13が離間していることによって、靴の屈曲性が損なわれない。
【0029】
図1に示すように、本実施例の場合、足の内側10(図2)の踝の近傍下方に頂点を持つ略三角形状の領域20a(足の内側の踝の近傍下方からソール21の接地面に向って広がる領域)に、前記防滑部材1が設けられている。そのため、脚(Leg)を内側に傾けた状態において、足の内側の前記略三角形状の領域20aが床面やマットの表面などに接触する。したがって、かかる状態においても、靴が床面やマットの表面に対して滑りにくくなり、安定した競技姿勢が保たれる。
【0030】
前記周縁12eの近傍では、図3(a),(b)に示すように、肉薄部132が設けられてもよい。該肉薄部132は基布12からの突出高さHが小さいので、該周縁12eに他の競技者の身体などが接触しても違和感が小さい。
【0031】
前記基布12は、たとえば、3層に重ねた多層構造編物からなる。互いに上下に隣接する層同士は互いに編まれて結合されていてもよい。前記基布12は、前記第1表面121を含む表編地層(外表面層)123と、前記第2表面122を含む裏編地層(内表面層)124と、前記2つの層123,122の間に配置された中間層126とを有する。
【0032】
前記表編地層123の糸の太さは、前記裏編地層124および中間層126の糸の太さに比べ太い。一方、前記裏編地層124の糸の太さは、前記表編地層123および中間層126の糸の太さに比べ細い。
【0033】
そのため、表編地層123の第1表面121には第2表面122よりも大きな凹凸が表れるので、防滑突起13が基布12に固着するためのアンカー効果(投錨作用)が大きくなる。したがって、防滑突起13が基布12から剥がれにくい。その一方で、第2表面122は第1表面121よりも平滑度が高いから、接着剤14が第2表面122に塗布され易い。したがって、防滑部材1がミッドソールやアッパーの表面に接着され易い。
【0034】
このような編物の構造は、特開2001−340102号、特開平10−131000号、特開平9−41246号、特開2003−183954号などに開示されている。
【0035】
前記防滑部材1は、基布12の第1表面121に樹脂の溶液を塗布したり、未加硫ゴムや半加硫ゴムを押し付け、硬化させることにより製造される。なお、かかる製造方法については、前記特許文献2〜4に記載されている。
【0036】
つぎに、防滑突起13の基布12に対する固着構造が説明される。
図3(a)において、前記基布12は第1表面121から第2表面122に向って液を透過させる液透過性を有する。そのため、前記防滑突起13を構成する樹脂またはゴムが、前記基布12の第1表面121から第2表面122に向って浸み込んでいることにより、前記防滑突起13が基布12から剥がれにくい構造となっている。すなわち、太い糸で編まれた表編地層123から細い糸で編まれた裏編地層124に向って樹脂等が浸み込み、毛細管現象により樹脂等が基布12の第2表面122に向って入り込んでいるから、所期のアンカー効果が得られる信頼性が高い。なお、防滑突起13を構成する樹脂またはゴムは第2表面122まで浸み込んでいてもよいし、あるいは、浸み込んでいなくてもよい。
【0037】
ところで、基布12の表面に防滑突起13が固着されると、防滑部材1のゴワツキにより、防滑部材1を靴のアッパーやソールに沿わせる成形性が低下する。
これに対し、本実施例の防滑部材1においては、樹脂等が第2表面122まで、あるいは、第2表面122に近い部分まで浸み込み易いので、防滑性を発揮する所望の高さ(厚さ)に前記高さTを設定しても、前記基布12の第1表面121から突出する部分の高さが低くなる。したがって、防滑部材1のゴワツキを低下させることができる。
【0038】
つぎに、前記防滑部材1を靴に貼り付ける方法が簡単に説明される。
まず、防滑突起13を配置する領域よりも大きい基布12が用意され、該基布12の第1表面121に防滑突起13を固着させて防滑部材1が得られる。ついで、図4の破線で示すライン12Lに沿って基布12および防滑突起13が切断される。この際、基布12の前部12fおよび基布12の後部12bの複数箇所が切り込まれ、複数の切欠部12cが形成される。こうして作成された防滑部材1の第2表面122が接着剤14(図3(a))を介して、図5(a)のように、靴の底面および側面に貼り付けられる。この際、前記防滑突起13は、角部24において屈曲(曲げ変形)される。さらに、貼り付けられた前記基布12の周縁12eの端部がいわゆるアリアン縫い(アリアンズ製法)などで縫製されることにより、前記基布12とアッパー20が剥がれにくくなる。
【0039】
弱い一定の力で、ある程度の大きな伸びが生じる基布12は、前記図1、図2のように、靴の表面が立体的形状であっても、防滑部材1を靴の表面に貼付(成形)し易い。
不織布や織布からなる基布は、基布の繊維自体が伸びたり、繊維間に滑りが生じることによって基布に伸びが生じ得る。かかる不織布や織布からなる基布よりも、編構造自体に変形が生じる編物からなる基布の方が、弱い力で基布に伸びが生じるので、前記立体的形状に沿って成形され易い。
【0040】
つぎに、好ましい基布12の特性が説明される。
基布12は所定の引裂強度を有するのが好ましい。たとえば、JIS L 1018B法のシングルタング法に基づいて測定された引裂強度が30N/cm以上であることが好ましく、35N/cm以上であることが更に好ましい。
【0041】
次に、前記シングルタング法が説明される。
図5(b)に示すように、基布(試験片)12の短辺の中央に切レ目120が形成され、この基布12の両端部がクランプされ、矢印方向に所定の引張速度(20cm/min)で基布が引き裂かれ、基布が引き裂かれるまでの応力の最大値(N/cm)が複数回測定される。この測定値の平均値が引裂強度となる。
なお、基布12には、前記引裂強度に異方性のあるものが存在する。この場合、縦横の各々について、前記切レ目120を形成する方向を変えた基布が用意され、2種類の引裂強度が測定される。
【0042】
かかる引裂強度の大きな基布12は、ミッドソールやアッパーの表面に貼付された後に、基布12自体が破断しにくいので、防滑部材1が剥がれ難くなると推定される。
【0043】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、前記実施例においては、本発明をソールに用いた場合を中心に説明されたが、アッパーのみに本発明を採用することができる。この場合、屈曲性や軽量性を維持しながらグリップ性と耐摩耗性を有するアッパーを備えた靴が提供される。本発明は、例えば、サッカーシューズやテニスシューズなどのアッパーに使用されることができる。
また、防滑部材は、グリップ性や耐摩耗性を特に必要とする部位のみに適宜使用されることができる。
多層構造編物は、2層または4層以上であってもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本防滑部材を備えた靴は、レスリング、ボクシング、シッティングバレーなどのインドアシューズの他に、日常において着用されるシューズとしても用いられることができる。。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
防滑部材を備えた靴であって:
足の甲を覆うアッパーと;
接地面を持つソールと;
前記アッパーおよび/またはソールの外表面に設けられた防滑部材とを備え、
ここにおいて、前記防滑部材は、外部に露出する第1表面を含む表編地層、ならびに、該第1表面の反対側の第2表面を含む裏編地層を有する多層構造編物からなる基布と、
前記基布に固着され、かつ、前記表編地層の第1表面から突出する複数の樹脂製またはゴム製の防滑突起とを備え、
ここにおいて、前記表編地層を形成する糸が前記裏編地層を形成する糸よりも太い、防滑部材を備えた靴。
【請求項2】
請求項1において、前記基布は第1表面から第2表面に向って液を透過させる液透過性を有し、
前記防滑突起を構成する樹脂またはゴムが、前記基布の第1表面から第2表面に向って浸み込んで固着されていることにより、前記防滑突起が前記基布から剥がれにくい構造となっている防滑部材を備えた靴。
【請求項3】
請求項1において、前記防滑部材の防滑突起は、少なくとも、前記ソールの接地面の一部を形成している防滑部材を備えた靴。
【請求項4】
請求項3において、前記防滑部材が、少なくとも、前記ソールの前足部と、前記ソールから前記アッパーの前足部の前面に沿って巻き上がる第1巻上部と、前記ソールから前記アッパーの前足部の内側面および/または外側面に沿って巻き上がる第2巻上部とにわたって連なった状態で設けられている防滑部材を備えた靴。
【請求項5】
請求項3において、前記防滑部材が、少なくとも、前記ソールの後足部と、前記ソールから前記アッパーの後足部の背面に沿って巻き上がる第3巻上部と、前記ソールから前記アッパーの後足部の内側面および/または外側面に沿って巻き上がる第4巻上部とにわたって連なった状態で設けられている防滑部材を備えた靴。
【請求項6】
請求項3において、前記防滑部材の基布が前記ソールの底面の概ね全面と、前記ソールからアッパーの前面、内側面、外側面および背面に沿って巻き上がる巻上部の概ね全周とにわたって連なった状態で設けられており、当該防滑部材の基布が1枚の基布により形成されている、防滑部材を備えた靴。
【請求項7】
請求項3において、前記ソールの接地面と前記アッパーの前面、内側面、外側面または背面のうちのいずれかとの間の角部に前記防滑突起が設けられており、
ここにおいて、前記角部の湾曲に沿って前記防滑突起が屈曲可能な程度に、前記防滑突起の硬度が小さく設定され、あるいは、前記防滑突起の厚みが小さく設定されており、これにより、前記角部に設けられた前記防滑突起の表面が前記角部において屈曲されて湾曲している防滑部材を備えた靴。
【請求項8】
請求項3において、前記防滑突起は、前記基布の周縁の端部まで設けられていると共に、前記周縁の端部において前記基布の周方向に互いに離間して設けられている防滑部材を備えた靴。
【請求項9】
請求項6において、足の内側における踝の近傍下方に頂点を持つ略三角形状の領域に、前記防滑部材が設けられている防滑部材を備えた靴。
【請求項10】
請求項1において、JIS L 1018B法における前記基布の引裂強度が30N/cm以上に設定されていることにより、前記防滑突起が前記基布から剥がれにくい構造となっている、防滑部材を備えた靴。

【国際公開番号】WO2005/051116
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【発行日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515754(P2005−515754)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016928
【国際出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000000310)株式会社アシックス (57)
【Fターム(参考)】