説明

防爆形照明器具

【課題】既設の防爆形照明器具を交換する際のコストを低く抑えることが可能な防爆形照明器具を提供する。
【解決手段】器具本体2に端子箱4を一体的に設けるとともに、端子箱4内に、ケーブルの導入部(ケーブル導入孔42)を封止するためのケーブルグランド5を設ける。このように器具本体2に一体的に設けた端子箱4にケーブルグランドの機能をもたせてることにより、器具自体で厚生労働省型式検定試験に合格することが可能な構造としているので、防爆エリアに設置する際に、別途に端子箱を設ける必要がなくなる。これにより、既設の防爆形照明器具を交換する場合に、既設の器具本体のみを交換することが可能になる。その結果として、器具交換作業に要する期間及びコストを削減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐圧防爆形照明器具、安全増防爆形照明器具などを含む防爆形照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
石油プラントや化学薬品工場などの防爆エリアの照明には防爆形照明器具が使用されている(例えば、特許文献1及び2参照)。防爆照明システムの一例を図14に示す。この図14の防爆照明システムに使用されている防爆形照明器具301は、器具本体311、端子箱312、及び、器具本体311を端子箱312に吊り下げる吊下パイプ313などによって構成されている。
【0003】
このような防爆形照明器具301にあっては、器具本体311、吊下パイプ313及び端子箱312を組み付けた状態(セット品の状態)で厚生労働省の型式検定試験を受け、その型式検定試験に合格したものを防爆エリアに設置しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−227305号公報
【特許文献2】特開平07−296629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、防爆形照明器具においては、器具本体から端子箱までのセット品で厚生労働省型式検定試験に合格したものを設置しなければならないため、既設の防爆形照明器具を交換する場合には、端子箱も含めて交換(器具本体から端子箱までを交換)する必要がある。このため器具交換の際のコストが高くつく。この点について以下に説明する。
【0006】
例えば、図14に示す既設の防爆照明システムにおいては、接続箱302から端子箱312へのケーブル配線は厚鋼電線管303にて保護されており、しかも、その厚鋼電線管303の端子箱312への接続部(端子箱312の出入口)にはシーリングフィッチングやケーブルグランドが設けられた強固な構造となっている。このため、防爆形照明器具301を交換するには、それら端子箱312、厚鋼電線管303及び接続箱302などを含めた配管施工部分のすべて(他に設置の器具の配管等も含む)をやり直す必要があり、その既設配管の撤去、及び、防爆形照明器具301の交換にともなう新設配管の工事等が大掛かりなものとなってしまい、交換作業に多大のコストを要する。
【0007】
なお、既設の防爆形照明器具を交換する場合、既設の器具本体311のみを吊下パイプ313から取り外し、新品の器具本体を吊下パイプ313に取り付けるという方法も考えられる。しかしながら、このような方法では、交換を行った器具本体(新品)と吊下パイプ313(既設)との間にシーリングフィッチングまたはケーブルグランドを設ける必要があり、そのシーリングフィッチングやケーブルグランドを設ける部分に対して端子箱の性能上保護等級が要求される。こうした端子箱の性能上保護は施工業者に委ねなければならず、保護等級の要求通りに確実に工事されているという保証はない。そのため、厚生労働省型式検定試験に「検定合格」とは認められないと判断されてしまう可能が高く、適切な方法とは言えない。
【0008】
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、既設の防爆形照明器具を交換する際のコストを低く抑えることが可能な防爆形照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、防爆環境下(防爆エリア)で使用される防爆形照明器具であって、光源部を保持する器具本体と、端子箱とを備えている。そして、器具本体に端子箱が一体的に設けられているとともに、端子箱内に、ケーブル導入部を封止するためのケーブルグランドが設けられていることを技術的特徴としている。
【0010】
本発明の防爆形照明器具によれば、器具本体に一体的に設けた端子箱にケーブルグランドの機能をもたせているので、端子箱に要求される性能上保護等級を確実に満たすことができ、厚生労働省型式検定試験に合格することが可能になる。
【0011】
このように本発明の防爆形照明器具では、器具自体で厚生労働省型式検定試験に合格することが可能な構造としているので、防爆エリアに設置する際に、別途に端子箱を設ける必要がなくなる。これにより、例えば、図14に示す防爆照明システムにおいて、器具を交換する場合、既設の器具本体311のみを吊下パイプ313から取り外し、吊下パイプ313に本発明の防爆形照明器具を取り付けるという作業等を行うだけでよく、既設の端子箱312、吊下パイプ313、厚鋼電線管303及び接続箱302等をそのまま流用することができる。つまり、既設の端子箱312、吊下パイプ313、厚鋼電線管303及び接続箱302等を撤去する作業、並びに、器具交換にともなう新設配管工事等が不要になる。これによって、防爆形照明器具の交換作業に要する期間及びコストを大幅に削減することができる。
【0012】
なお、本発明の防爆形照明器具を用いて、上記の施工法で器具を交換する場合、既設の端子箱312も流用することになり、器具交換後においても既設の端子箱312は残ることになるが、その既設の端子箱312は接続箱として取り扱うことができるので、そのまま残しておいても問題はない。
【0013】
本発明の防爆形照明器具において、ケーブルグランドが設けられた端子箱は、器具本体の外部に一体的に設けておいてもよいし、器具本体の内部に端子箱を一体的に設けておいてもよい。器具本体の外部に端子箱を一体的に設ける場合、端子箱に吊下パイプ用の取付孔を設けておくことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の防爆形照明器具によれば、器具本体に端子箱を一体的に設けるとともに、その端子箱内にケーブルグランドを設けて、器具自体で厚生労働省の型式検定試験に合格することが可能な構造としている。これによって、既設の防爆形照明器具を交換する際に、本発明の防爆形照明器具を用いることにより、既設の端子箱、厚鋼電線管及び接続箱等を取り外すことなく、そのまま流用することができるので、メンテナンスコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の防爆形照明器具の一例を示す正面図である。
【図2】図1の防爆形照明器具の底面図である。
【図3】図1のI−I断面図である。
【図4】図1の防爆形照明器具に適用する端子箱の平面図である。
【図5】図4のII−II断面図である。
【図6】図5のX矢視図である。なお、図5にはグランド本体のみを示しており、また、そのグランド本体の一部を切断した状態で示している。
【図7】図1の防爆形照明器具を使用状態で示す図である。
【図8】本発明の防爆形照明器具の他の例を示す正面図(A)及び底面図(B)を併記して示す図である。
【図9】図8の防爆形照明器具の側面図である。
【図10】図8のIII−III断面図である。
【図11】図8の防爆形照明器具の端子箱及びパイプ保持具の断面図である。なお、図11は、図8のIII−III切断面に対し直交する平面で端子箱及びパイプ保持具を切断した断面図である。
【図12】図11に示す端子箱の底面図である。なお、図12では、端子箱の蓋の一部を切り欠いた状態を示しており、また、グランド本体の一部を切断した状態で示している。
【図13】図8の防爆形照明器具を使用状態で示す図である。
【図14】既設の防爆照明システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
[実施形態1]
本発明の防爆形照明器具の一例について図1〜図6を参照して説明する。
【0018】
この例の防爆形照明器具1は、LED(発光ダイオード)を光源とする照明器具であって、石油プラントや化学薬品工場などの防爆エリアの照明に用いられる。
【0019】
防爆形照明器具1は、光源部3、その光源部3を収容保持する器具本体2、及び、端子箱4などによって構成されている。
【0020】
器具本体2は、例えばアルミニウムダイキャスト製品であって、前面側(下方側)が開口された矩形容器状に加工されており、その開口部2aの前面側(光源部3の前面側)を覆う前面カバー21を備えている。前面カバー21は、例えば透明強化ガラス板であり、器具本体2の1辺にヒンジ26,26を介して保持されている。ヒンジ26は器具本体2の1辺の2箇所に設けられている。その各ヒンジ26,26に対向する位置(前面カバー21を挟んで対向する位置)にそれぞれ止め金具27,27が配置されており、これら止め金具27,27にて前面カバー21を器具本体2に固定することができる。
【0021】
なお、前面カバー21と器具本体2(開口部2aの周縁部)との間(合わせ面)には、防水と気密とを確保するための矩形環状の密閉パッキン28が挟み込まれている。また、前面カバー21を保護するために、器具本体2の前面側(前面カバー21の下方側)にガード22が配置されている。
【0022】
器具本体2には上部中央に取付座20が設けられている。取付座20には雌ねじ孔20b・・20bが4箇所(回転対称となる箇所)に設けられており、この取付座20に端子箱4が六角穴付きボルト6・・6によって締結されている。取付座20の座面には円環状の溝20cが設けられている。この溝20cにはOリング29が嵌め込まれており、取付座20の座面と端子箱4の下端面(取付面4a)との合わせ面の防水及び気密が確保されている。
【0023】
取付座20の中央には電線貫通用の貫通孔20aが開口されている。貫通孔20aにはゴムスリーブ25が嵌め込まれている。ゴムスリーブ25には電線L1を通すための複数(例えば3本)の挿通孔25aが貫通して設けられている。
【0024】
また、器具本体2の内部には反射板23が取り付けられている。反射板23には、光源部3を構成する複数のLEDユニット31・・31が取り付けられている。各LEDユニット31は、複数のLED31a・・31a及び基板31bなどを備えており、その基板31b上に複数のLED31a・・31aがマトリクス状に配置されている。
【0025】
基板31bは、例えば、ガラス繊維強化エポキシ樹脂等の基材の表面に所定の導体パターンが形成された一般的なプリント配線基板やアルミニウム基材の配線基板である。光源であるLED31aは表面実装型の白色LEDであって、上記基板31b上に表面実装にて実装されている。白色LEDとしては、例えば、青色LEDと、その青色LED素子の出力光(青色)によって黄色に発光する黄色蛍光体(例えばYAG蛍光体)などを組み合わせたものであってもよいし、青色LED素子、緑色LED素子及び赤色LED素子が樹脂で一体的にモールドされ、それら青色・緑色・赤色の3色を混色して白色の光を発光する、いわゆる3in1タイプのマルチチップLEDであってもよい。
【0026】
そして、器具本体2の内部中央部(反射板23の上側)に駆動制御ユニット24が収容されている。駆動制御ユニット24には、LED駆動回路や調光回路などが組み込まれている。駆動制御ユニット24の電線(リード線)L1は、上記ゴムスリーブ25の挿通孔25aを通じて端子箱4の内部に導かれている。
【0027】
−端子箱−
次に、端子箱4について図3〜図6等を参照して説明する。
【0028】
端子箱4は、例えばアルミニウムダイキャスト製品であって、下方側が開口された略円筒容器状に加工されており、下端面が上記器具本体2の取付座20への取付面4aとなっている。端子箱4の側部(外周部)の4箇所(回転対称となる箇所)が部分的にくりぬかれており、その各くりぬき部の下方に取付フランジ44・・44が形成されている。各取付フランジ44にはボルト挿通用の貫通孔44aが設けられている。これら4つの貫通孔44a・・44aは、上記器具本体2の取付座20の4つの雌ねじ孔20b・・20bに対応する位置関係で設けられている。そして、上述したように、取付フランジ44・・44を上記器具本体2の取付座20に六角穴付きボルト6・・6にて締結することにより、端子箱4を器具本体2に一体的に取り付けることができる。
【0029】
端子箱4には、当該端子箱4の中心軸を中心とする円筒形状の吊下パイプ用取付孔41及びケーブル導入孔42が上部から順に設けられている。これら吊下パイプ用取付孔41及びケーブル導入孔42は、端子箱4の内部空間(円筒形状)43に連通している。ケーブル導入孔42と内部空間43との間には段差面が形成されており、その段差面が後述するケーブルグランド5を取り付けるためのケーブルグランド取付座45となっている。ケーブルグランド取付座45には、上記ケーブル導入孔42を挟んだ両側に雌ねじ孔45a,45aが設けられている。
【0030】
吊下パイプ用取付孔41の内周面には管用雌ねじ41aが形成されている。管用雌ねじ41aは、吊下パイプP(例えば図14に示す既設の吊下パイプ313等も含む)に形成されている管用雄ねじに噛み合うことが可能である。管用雌ねじ41aの上部(吊下パイプ用取付孔41の内周面)には円環状の溝41bが設けられており、この溝41b内にOリング41cが嵌め込まれている。また、吊下パイプ用取付孔41の周壁には、2つの雌ねじ孔(貫通孔)41d,41dが、吊下パイプ用取付孔41の中心に対して点対称となる位置に設けられている。各雌ねじ孔41d,41dには、吊下パイプ用取付孔41に挿し込んだ吊下パイプPと端子箱4とを固定するためのなべ小ねじ41e,41eがねじ込まれる。
【0031】
ケーブル導入孔42は、小径部42aと大径部42bとを有する段付き孔である。その小径部42aと大径部42bとの間には円すいテーパ面42cが形成されている。
【0032】
そして、以上の構造の端子箱4にはケーブルグランド5が内蔵されている。
【0033】
−ケーブルグランド−
ケーブルグランド5は、図3、図5及び図6に示すように、グランド本体51、パッキン52、クランプ53、並びに、上記したケーブル導入孔42の大径部42b及び円すいテーパ面42cなどによって構成されている。
【0034】
グランド本体51は、保持部511と、取付フランジ512と、押圧突部513とを有し、それらが一体形成された部材であって、取付フランジ512の上側(ケーブル導入孔42側)に押圧突部513が設けられ、取付フランジ512の下側(押圧突部513とは反対側)に保持部511が設けられている。
【0035】
グランド本体51は、その取付フランジ512を、端子箱4のケーブルグランド取付座45に、なべ小ねじ51a,51aによって締結することにより、端子箱4に取り付けられる。取付フランジ512には、上記なべ小ねじ51aの挿通用の貫通孔512a,512aが2箇所に設けられている。これら2つの貫通孔512a,512aの中心間距離は、上記ケーブルグランド取付座45の雌ねじ孔45a,45aの中心間距離と一致している。
【0036】
グランド本体51の押圧突部513は、取付フランジ512から円筒形状で突出する部材である。押圧突部513の外径は、ケーブル導入孔42の大径部42bの内径よりも所定量だけ小さい寸法に加工されており、取付フランジ512を端子箱4のケーブルグランド取付座45に取り付けた状態で、押圧突部513がケーブル導入孔42の大径部42b内に入り込むことが可能である。このような押圧突部513及び上記取付フランジ512には、それぞれを貫通する円形の貫通孔514が設けられている。この貫通孔514は、ケーブルCを通すための孔であって、その内径は、保持するケーブルCの外径と同等かもしくは所定量だけ大きい寸法に加工されている。また、貫通孔514の中心は、取付フランジ512をケーブルグランド取付座45に取り付けた状態で、ケーブル導入孔42の中心に略一致するようになっている。
【0037】
グランド本体51の保持部511は、中央の半円形凹部511aと、その両側に設けられたクランプ座511b,511bとを備えている。半円形凹部511aの内周面は上記貫通孔514の内周面に一致している。つまり、半円形凹部511aの半径は、保持するケーブルの半径に相当する寸法となっている。この半円形凹部511aの両側のクランプ座511b,511bの座面は、取付フランジ512をケーブルグランド取付座45に取り付けた状態で、そのケーブル導入孔42(挿通孔514)の中心に沿う平面上に位置するようになっている。各クランプ座511b,511bにはそれぞれ雌ねじ孔511cが設けられている。
【0038】
パッキン52は円筒形状の部材(例えば、クロロプレーンゴム製)であって、中央に挿通孔52aが設けられている。挿通孔52aはケーブルCを通すための孔であって、その内径は、保持するケーブルCの外径と同等かもしくは所定量だけ大きい寸法に加工されている。
【0039】
パッキン52の外径は、ケーブル導入孔42の大径部42bの内径と同等かもしくは所定量だけ小さい寸法に加工されている。パッキン52の一端部(上端部)は円すいテーパ形状に加工されている。このパッキン52の円すいテーパ面52bのテーパ角度は、上記したケーブル導入孔42の円すいテーパ面42cのテーパ角度よりも所定量だけ大きく設定されている。
【0040】
また、パッキン52の軸方向の長さ(非圧縮状態での長さ)は、グランド本体51(取付フランジ512)をケーブルグランド取付座45に取り付けた状態で、押圧突部513の先端面と、ケーブル導入孔42の円すいテーパ面42cの先端(小径側の端部)との間の距離よりも所定量だけ大きな寸法に設定されている。具体的には、パッキン52をケーブル導入孔42の大径部42bに挿入し、グランド本体51をケーブルグランド取付座45に取り付けた状態で、押圧突部513にてパッキン52がケーブル導入孔42の円すいテーパ面42cに向けて押圧され、パッキン52が圧縮されるような寸法(パッキン52の長さ寸法)に設定されている。
【0041】
クランプ53は、ステンレス等の板材を加工したもので、中央部に円弧状の湾曲部53aが設けられている。この湾曲部53aの曲率半径は、保持するケーブルCの外径の曲率半径に相当する寸法となっている。また、クランプ53には湾曲部53aを挟んだ両側に貫通孔53b,53bが設けられている。このクランプ53の貫通孔53b,53bの中心間距離は、上記保持部511の雌ねじ孔511c,511cの中心間距離と一致している。したがって、クランプ53の各貫通孔53bに、なべ小ねじ53cを挿通し、それぞれを保持部511の雌ねじ孔511cにねじ込むことにより、クランプ53を保持部511(グランド本体51)に取り付けることができる。ただし、ケーブル保持時には、クランプ53と保持部511との間に間隔をあけた状態(クランプ53の湾曲部53aと保持部511の半円形凹部511aとの間にケーブルを挟み込んだ状態)でクランプ53を保持部511に対して締結することができる。
【0042】
−ケーブル接続要領−
次に、ケーブル接続要領の一例について図1〜図6を参照して説明する。
【0043】
(11)端子箱4を器具本体2から取り外しておく。また、ケーブルグランド5のクランプ53をグランド本体51から取り外しておく。この状態で、吊下パイプPに通線しているケーブルC(接続を行うケーブル)を端子箱4の内部に入線する。
【0044】
次に、端子箱4内に入線したケーブルCを、ケーブルグランド5のパッキン52の挿通孔52aに通し、さらにグランド本体51の貫通孔514に通す。なお、パッキン52及びグランド本体51に通したケーブルCについては、被覆電線L2の長さ(グランド本体51の保持部511付近から被覆電線L2先端までの長さ)を、器具本体2の駆動制御ユニット24の配線L1との接続(端子箱4内での結線)を考慮した長さとしておく。
【0045】
(12)パッキン52をケーブル導入孔42の大径部42bに挿し込み、次いでグランド本体51の押圧突部513を、ケーブル導入孔42の大径部42bに挿し込む。このとき、上述の如くパッキン52の軸方向長さを長くしているので、押圧突部513をグランド本体51の押圧突部513の先端面がパッキン52の後端面(円すいテーパ面52bとは反対の面)に当たるまで押し込んでも(パッキン52は非圧縮状態)、グランド本体51の取付フランジ512と端子箱4のケーブルグランド取付座45との間には隙間が開いた状態となる。
【0046】
次に、取付フランジ512の各貫通孔512aにそれぞれなべ小ねじ51aを挿通し、その各なべ小ねじ51aを端子箱4の雌ねじ孔45aにねじ込んでいく。このなべ小ねじ51a,51aのねじ込みによって、グランド本体51がケーブルグランド取付座45に向けて移動する。その移動過程において、押圧突部513にてパッキン52がケーブル導入孔42の円すいテーパ面42cに向けて押圧され、パッキン52の軸方向が圧縮されるとともに、円すいテーパ面42cによってパッキン52の先端部分(上側部分)が内側に向けて圧縮される。
【0047】
そして、なべ小ねじ51a,51aを完全に閉め込んだ状態(取付フランジ512がケーブルグランド取付座45に当接した状態(図5の状態))で、パッキン52の先端部分が更に内側に圧縮され、その内周面がケーブルCの外被に密着するとともに、ケーブルCの外被を締め付ける。これによって、端子箱4の内部(内部空間43)に、ケーブル導入部分を通じて水・粉塵・油などが侵入することを確実に防止することができる。
【0048】
(13)グランド本体51の保持部511の半円形凹部511aにケーブルCを合わせ、クランプ53の湾曲部53aをケーブルCの外被に合わせた状態で、なべ小ねじ53c,53cにてクランプ53を保持部511に向けて締め付けることにより、ケーブルCを保持部511に保持する。
【0049】
(14)ケーブルグランド5に保持したケーブルCの被覆電線L2と、駆動制御ユニット24の電線(リード線)L1とを端子箱4の内部で接続する。
【0050】
(15)端子箱4の取付フランジ44を器具本体2の取付座20(Oリング29配置済み)に配置するとともに、取付フランジ44・・44の各貫通孔44aを取付座20の各雌ねじ孔20bに合わせた状態で、各貫通孔44aに六角穴付きボルト6を挿通して各雌ねじ孔20bにねじ込むことによって、取付フランジ44を取付座20に締結する。これにより、図1及び図3等に示すように器具本体2を端子箱4に一体的に設けることができる。
【0051】
ここで、以上のようにして、器具本体2の外部に端子箱4を一体的に設けた防爆形照明器具1について性能試験を行ったところ、端子箱に要求される性能上保護等級(保護等級IP44)を満足しており、厚生労働省型式検定試験に合格できる構造であることが確認できた。これにより、この例の防爆形照明器具1を、防爆エリアに設置する際に、別途に端子箱を設ける必要がなくなるので、防爆形照明器具の交換作業に要するコストを低減することができる。
【0052】
例えば、図14に示す防爆照明システムにおいて、器具を交換する場合、既設の器具本体2のみを吊下パイプ313から取り外し、その吊下パイプ313に本発明の防爆形照明器具を取り付けるという作業等を行うだけでよく、既設の端子箱312、吊下パイプ313、厚鋼電線管303及び接続箱302等をそのまま流用することができる。つまり、既設の端子箱312、吊下パイプ313、厚鋼電線管303及び接続箱302等を撤去する作業、並びに、器具交換にともなう新設配管工事(防爆電気工事)が不要になる。これによって、防爆形照明器具の交換作業に要する期間及びコストを大幅に削減することができる。
【0053】
なお、防爆形照明器具1を既設の吊下パイプ313を利用して交換する場合の具体的な例としては以下の方法を挙げることができる。
【0054】
まず、この例の防爆形照明器具1の端子箱4を、図7に示す既設の吊下パイプ313の下方に配置し、その吊下パイプ313に通線しているケーブルCを端子箱4の内部に入線する。次に、端子箱4の管用雌ねじ孔41aを既設の吊下パイプ313の先端部分の管用雄ねじにねじ込んだ後に、なべ小ねじ41eにて端子箱4を既設の吊下パイプ313に固定する(図5参照)。そして、その後に、例えば、上記した(11)〜(15)の要領で組立作業を行うことによって既設の吊下パイプ313に防爆形照明器具1を取り付ける。
【0055】
ここで、このような防爆形照明器具1の設置により、既設の端子箱312は残ることになるが、その既設の端子箱312は接続箱として取り扱うことができるので、そのまま残しておいても問題はない。
【0056】
[実施形態2]
本発明の防爆形照明器具の他の例について図8〜図12を参照して説明する。
【0057】
この例の防爆形照明器具101は、LEDを光源とする照明器具であって、石油プラントや化学薬品工場などの防爆エリアの照明に用いられる。
【0058】
防爆形照明器具101は、2本の直管状の光源部103,103、それら光源部103,103を保持する器具本体102、及び、端子箱7などによって構成されている。
【0059】
器具本体102は、一方向に延びる長尺状の保護カバー121、及び、その保護カバー121の両端部に設けられた側板122,122などによって構成されている。器具本体102には反射板123が取り付けられており、この反射板123の前面側(下面側)に光源部103,103が配置されている。光源部103,103はガード124によって保護されている。
【0060】
器具本体102の保護カバー121には、後述するパイプ保持具106(端子箱7側のパイプ保持具106)の雌ねじ孔163,163に対応する位置に、貫通孔121b,121bが設けられている。さらに、保護カバー121には、それら2つの雌ねじ孔121b,121bの中央位置にケーブル貫通用の貫通孔121aが設けられている。
【0061】
各光源部103は、LEDユニット131、このLEDユニット131を内部に収容する長尺円筒形状の保護シリンダ132、保護シリンダ132の両端部に設けられたソケット133,133などを備えている。
【0062】
LEDユニット131は、保護シリンダ132の長手方向に沿って延びる長尺状のユニットであって、複数のLED131a・・131a及び基板131bなどを備えており、その基板131b上に複数のLED131a・・131aが一方向(保護シリンダ132の軸方向)に沿って実装されている。それらLED131a・・131aは2列に配列されている。また、LEDユニット131は、図示しない保持部材によって保護シリンダ132の両端部のソケット133,133もしくは保護シリンダ132などに保持されている。なお、LED131a及び基板131bの仕様等については、上記した[実施形態1]のLED31a及び基板31bと同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0063】
保護シリンダ132は、例えば硬質ガラス製の直管であって、その両端部がソケット133,133にて閉鎖されており、密閉構造(防爆構造)が確保されている。この保護シリンダ132の両端部のソケット133は、それぞれ器具本体102の反射板123に保持されている。つまり、各光源部103の両端部が器具本体102に保持されている。
【0064】
反射板123の長手方向の一端部(図8の左側の端部)は、器具本体102の一方の側板122にヒンジ126を介して回動自在に支持されており、反射板123、光源部103,103及びガード124を、器具本体102に対して前面側(下方側)に回動させることが可能である。これにより、器具本体102の内部を開放することができる。なお、反射板123を使用時の位置に配置したときには、反射板123の他端部は、他方の側板122に締結具(図示せず)によって固定される。
【0065】
器具本体102の内部(反射板123の上方)に駆動制御ユニット125が収容されている。駆動制御ユニット125にはLED駆動回路や調光回路などが組み込まれている。駆動制御ユニット125の電線(リード線)L1は、後述する端子箱7の側壁71bに設けたゴムスリーブ73の挿通孔73aを通じて端子箱7の内部に導かれている。
【0066】
また、器具本体102の上面には、一対のパイプ保持具106,106が一体的に取り付けられている。これらパイプ保持具106,106は、器具本体102の長手方向の中心に対して中心振り分けで配置されている。
【0067】
そして、この例の防爆型照明器具101においては、器具本体102に端子箱7が内蔵されている点に特徴がある。その端子箱7は、上記一対のパイプ保持具106,106のうち、一方の保持具(図8(A)において左側のパイプ保持具106)の下部に配置されている。
【0068】
次に、パイプ保持具106及び端子箱7について説明する。
【0069】
−パイプ保持具−
パイプ保持具106は、図10及び図11に示すように、段付き円筒形状の部材(例えば、アルミニウムダイキャスト製)であって、下端面が取付面106aとなっている。取付面106aにはOリング165を嵌め込む円環状の溝160aが形成されている。
【0070】
パイプ保持具106には、当該パイプ保持具106の中心軸を中心とする円筒形状の吊下パイプ用取付孔161、及び、円形のケーブル導入孔162が上部から順に設けられている。吊下パイプ用取付孔161の内周面には管用雌ねじ161aが形成されている。管用雌ねじ161aは、吊下パイプP(例えば、図13に示す既設の吊下パイプ413等も含む)に形成されている管用雄ねじに噛み合うことが可能である。
【0071】
管用雌ねじ161aの上部(吊下パイプ用取付孔161の内周面)には円環状の溝161bが設けられており、この溝161b内にOリング166が嵌め込まれている。また、パイプ保持具106には、取付面106aから内部に延びる2つの雌ねじ孔163,163が設けられている。これら2つの雌ねじ孔163,163は、パイプ保持具106の中心に対して点対称となる位置に設けられている。
【0072】
なお、もう一方のパイプ保持具106(図8(A)の右側のパイプ保持具106)については、上記したものと同じ構造のものであってもよいし、また、例えば、溝160a,161b、Oリング165,166、及び、ケーブル導入孔162などを設けていない構造のものであってもよい。
【0073】
−端子箱−
端子箱7は、端子箱本体71及び蓋72などを備えている。端子箱本体71は、例えばアルミニウムダイキャスト製品であって、下方側が開口された矩形容器状に加工されており、その開口部が蓋(例えば、ステンレス鋼板製)72にて開閉自在に閉鎖されている。なお、蓋72は、4本のなべ小ねじ72a・・72aにて端子箱本体71の下端に締結されている。また、端子箱本体71の下端面と蓋72との間にはパッキン75が挟み込まれている。
【0074】
端子箱本体71には、当該端子箱本体71の中心において上下方向に延びるケーブル導入孔711が設けられている。ケーブル導入孔711の略半分の部分(上側半分の部分)は円すいテーパ面711aとなっている。また、端子箱本体71には、ケーブルグランド取付座74が一体形成されている。ケーブルグランド取付座74には、上記ケーブル導入孔711を挟んだ両側に雌ねじ孔74a,74aが設けられている。
【0075】
端子箱本体71の天井壁71aには、貫通孔710aが2箇所に設けられている。これら2つの貫通孔710a,710aはケーブル導入孔711の中心に対して点対称となる位置に配置されている。また、2つの貫通孔710a,710aの中心間距離は、上記パイプ保持具106の雌ねじ孔163,163の中心間距離と一致している。
【0076】
また、端子箱本体71の側壁71b(駆動制御ユニット125に近い側の側壁)には、電線貫通用の貫通孔710bが開口されている。貫通孔710bにはゴムスリーブ73が嵌め込まれている。ゴムスリーブ73には電線L1を通すための複数(例えば3本)の挿通孔73aが貫通して設けられている。
【0077】
そして、以上の構造の端子箱本体71の器具本体102への取り付けは、上記パイプ保持具106の各雌ねじ孔163を器具本体102(保護カバー121)の貫通孔121bに合わせるとともに、端子箱本体71の天井壁71aの各貫通穴710aを器具本体102の貫通孔121bに合わせた状態で、なべ小ねじ164を、端子箱本体71の各貫通孔710a及び器具本体102の貫通孔121bに下方から挿通し、パイプ保持具106の雌ねじ孔163にねじ込むことにより、端子箱本体71とパイプ保持具106とを器具本体102に締結(共締め)するという要領で行う。このようにして端子箱本体71を取り付けることにより、端子箱7を器具本体102の内部に一体的に設けることができる。
【0078】
以上の構造の端子箱7にはケーブルグランド8が内蔵されている。
【0079】
−ケーブルグランド−
ケーブルグランド8は、図10〜図12に示すように、グランド本体81、パッキン82、クランプ83、及び、上記したケーブル導入孔711の円すいテーパ面711aなどによって構成されている。
【0080】
グランド本体81は、保持部811と、取付フランジ812と、押圧突部813とを有し、それらが一体形成された部材であって、取付フランジ812の上側(ケーブル導入孔711側)に押圧突部813が設けられ、取付フランジ812の下側(押圧突部813とは反対側)に保持部811が設けられている。
【0081】
グランド本体81は、取付フランジ812を端子箱本体71のケーブルグランド取付座74に、なべ小ねじ81a,81aによって締結することにより、端子箱本体71に取り付けられる。取付フランジ812には、上記なべ小ねじ81aの挿通用の2つの貫通孔812a,812aが設けられている。これら2つの貫通孔812a,812aの中心間距離は、上記ケーブルグランド取付座74の雌ねじ孔74a,74aの中心間距離と一致している。
【0082】
グランド本体81の押圧突部813は、取付フランジ812から円筒形状で突出する部材である。押圧突部813の外径は、ケーブル導入孔711の内径(直円筒部分の内径)よりも所定量だけ小さい寸法に加工されており、取付フランジ812を端子箱本体71のケーブルグランド取付座74に取り付けた状態で、押圧突部813がケーブル導入孔711内に入り込むことが可能である。このような押圧突部813及び上記取付フランジ812には、それぞれを貫通する円形の挿通孔814が設けられている。この挿通孔814はケーブルCを通すための孔であって、その内径は、保持するケーブルCの外径と同等かもしくは所定量だけ大きい寸法に加工されている。また、貫通孔814の中心は、取付フランジ512をケーブルグランド取付座45に取り付けた状態で、ケーブル導入孔711の中心に略一致するようになっている。
【0083】
グランド本体81の保持部811は、中央の半円形凹部811aと、その両側に設けられたクランプ座811b,811bとを備えている。半円形凹部811aの内周面は上記挿通孔814の内周面に一致している。つまり、半円形凹部811aの半径は、保持するケーブルCの半径に相当する寸法となっている。この半円形凹部811aの両側のクランプ座811b,811bの座面は、取付フランジ812をケーブルグランド取付座74に取り付けた状態で、そのケーブル導入孔711(挿通孔814)の中心に沿う平面上に位置するようになっている。各クランプ座811b,811bにはそれぞれ雌ねじ孔811c,811cが設けられている。
【0084】
パッキン82は円筒形状の部材(例えば、クロロプレーンゴム製)であって、中央に挿通孔82aが設けられている。挿通孔82aはケーブルCを通すための孔であって、その内径は、保持するケーブルCの外径と同等かもしくは所定量だけ大きい寸法に加工されている。
【0085】
パッキン82の外径は、上記ケーブル導入孔711の内径(直円筒部分の内径)と同等かもしくは所定量だけ小さい寸法に加工されている。パッキン82の略半分の部分(上側半分の部分)は円すいテーパ形状に加工されている。このパッキン82の円すいテーパ面82bのテーパ角度は、上記したケーブル導入孔711の円すいテーパ面711aのテーパ角度よりも所定量だけ大きく設定されている。
【0086】
また、パッキン82の軸方向の長さ(非圧縮状態での長さ)は、グランド本体81(取付フランジ812)をケーブルグランド取付座74に取り付けた状態で、押圧突部813の先端面と、ケーブル導入孔711の円すいテーパ面711aの先端(小径側の端部)との間の距離よりも所定量だけ大きな寸法に設定されている。具体的には、パッキン82をケーブル導入孔711の直円筒部に挿入し、グランド本体81をケーブルグランド取付座74に取り付けた状態で、押圧突部813にてパッキン82がケーブル導入孔711の円すいテーパ面711aに向けて押圧され、パッキン82が圧縮されるような寸法(パッキン82の長さ寸法)に設定されている。
【0087】
クランプ83は、ステンレス等の板材を加工したもので、中央部に円弧状の湾曲部83aが設けられている。この湾曲部83aの曲率半径は、保持するケーブルCの外径の曲率半径に相当する寸法となっている。また、クランプ83には湾曲部83aを挟んだ両側に貫通孔83b,83bが設けられている。このクランプ83の貫通孔83b,83bの中心距離は、上記した保持部811の雌ねじ孔811c,811cの中心間距離と一致している。したがって、クランプ83の各貫通孔83bに、なべ小ねじ83cを挿通し、それぞれを保持部811の雌ねじ孔811cにねじ込むことにより、クランプ83を保持部811(グランド本体81)に取り付けることができる。ただし、ケーブル保持時には、クランプ83と保持部811との間に間隔をあけた状態(クランプ83の湾曲部83aと保持部811の半円形凹部811aとの間にケーブルを挟み込んだ状態)でクランプ83を保持部811に対して締結することができる。
【0088】
−ケーブル接続要領−
次に、ケーブル接続要領の一例について図8〜図13を参照して説明する。
【0089】
(21)端子箱7の蓋72を取り外して端子箱本体71の内部を開放しておく。また、ケーブルグランド8のクランプ83を取り外しておく。さらに、器具本体102の反射板123(光源部103,103及びガード124)を前面側(開放側)に回動させて、器具本体102の内部を開放しておく。
【0090】
このような状態で、吊下パイプPに通線しているケーブルC(接続を行うケーブル)を、パイプ保持具106の吊下パイプ用取付孔161及びケーブル導入孔162を通じて端子箱本体71の内部に入線する。
【0091】
次に、端子箱本体71内に入線したケーブルCを、ケーブルグランド8のパッキン82の挿通孔82aに通し、さらにグランド本体81の挿通孔814に通す。なお、パッキン82及びグランド本体81に通したケーブルCについては、被覆電線L2の長さ(グランド本体81の保持部811付近から被覆電線L2先端までの長さ)を、器具本体102の駆動制御ユニット125の配線L1との接続(端子箱7内での結線)を考慮した長さとしておく。
被覆電線L
(22)パッキン82をケーブル導入孔711の直円筒部分に挿し込み、次いでグランド本体81の押圧突部813を、ケーブル導入孔711の直円筒部分に挿し込む。このとき、上述の如くパッキン82の軸方向長さを長くしているので、押圧突部813をグランド本体81の押圧突部813の先端面がパッキン82の後端面(円すいテーパ面711aとは反対の面)に当たるまで押し込んでも(パッキン82は非圧縮状態)、グランド本体81の取付フランジ812と端子箱7のケーブルグランド取付座74との間には隙間が開いた状態となる。
【0092】
次に、取付フランジ812の各貫通孔812aにそれぞれなべ小ねじ81aを挿通し、その各なべ小ねじ81aを端子箱7の雌ねじ孔74aにねじ込んでいく。このなべ小ねじ81a,81aのねじ込みによって、グランド本体81がケーブルグランド取付座74に向けて移動する。その移動過程において、押圧突部813にてパッキン82がケーブル導入孔711の円すいテーパ面711aに向けて押圧され、パッキン82の軸方向が圧縮されるとともに、円すいテーパ面711aによってパッキン82の上側半分の部分が内側に向けて圧縮される。
【0093】
そして、なべ小ねじ81a,81aを完全に閉め込んだ状態(取付フランジ812がケーブルグランド取付座74に当接した状態(図11の状態))で、パッキン82の上側半分の部分が内側に更に圧縮され、その内周面がケーブルCの外被に密着するとともに、ケーブルCの外被を締め付ける。これによって、端子箱本体71の内部に、ケーブル導入部分を通じて水・粉塵・油などが侵入することを確実に防止することができる。
【0094】
(23)グランド本体81の保持部811の半円形凹部811aにケーブルCを合わせ、クランプ83の湾曲部83aをケーブルCの外被に合わせた状態で、なべ小ねじ83c,83cにてクランプ83を保持部811に向けて締め付けることにより、ケーブルCを保持部811に保持する。
【0095】
(24)端子箱本体71の内部に入線したケーブルCの被覆電線L2と、駆動制御ユニット24の電線(リード線)L1とを端子箱7の内部で接続する。
【0096】
(25)端子箱本体71に蓋72を取り付ける。さらに、器具本体102の反射板123、光源部103,103及びガード124を、開放状態から使用位置に回動させて、反射板123を器具本体102に固定する。
【0097】
ここで、この例の防爆形照明器具、つまり、器具本体102の内部に端子箱7を一体的に設けた防爆形照明器具101について性能試験を行ったところ、端子箱に要求される性能上保護等級(保護等級IP44)を満足しており、厚生労働省型式検定試験に合格できる構造であることが確認できた。これにより、この例の防爆形照明器具101を、防爆エリアに設置する際に、別途に端子箱を設ける必要がなくなるので、器具の交換作業に要するコストを低減することができる。
【0098】
例えば、既設の防爆照明システムの器具を交換する場合、既設の器具本体のみを吊下パイプから取り外し、図13に示すように、既設の2本の吊下パイプ413,413に本発明の防爆形照明器具を取り付けるという作業等を行うだけでよく、既設の吊下パイプ413,413、既設の端子箱412、厚鋼電線管403及び接続箱402等をそのまま流用することができる。つまり、既設の吊下パイプ413,413、端子箱412、厚鋼電線管403及び接続箱402等を撤去する作業、並びに、器具交換にともなう新設配管工事(防爆電気工事)が不要になる。これによって、防爆形照明器具の交換作業に要する期間及びコストを大幅に削減することができる。
【0099】
なお、この例の場合も、防爆形照明器具101の設置により、既設の端子箱412は残ることになるが、その既設の端子箱412は接続箱として取り扱うことができるので、そのまま残しておいても問題はない。
【0100】
−他の実施形態−
以上の各例では、光源としてLEDを用いた防爆形照明器具に本発明を適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、蛍光ランプ、水銀ランプ、ナトリウムランプ、メタルハライドランプなどの他の光源を用いた防爆形照明器具にも本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、石油プラントや化学薬品工場などの防爆エリアの照明に使用される防爆形照明器具に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 防爆形照明器具
2 器具本体
20 取付座
20a 貫通孔
25 ゴムスリーブ
3 光源部
4 端子箱
41 吊下パイプ用取付孔
42 ケーブル導入孔
42c 円すいテーパ面
44 取付フランジ
45 ケーブルグランド取付座
5 ケーブルグランド
51 グランド本体
52 パッキン
52b 円すいテーパ面
53 クランプ
101 防爆形照明器具
102 器具本体
103 光源部
106 パイプ保持具
165 Oリング
7 端子箱
71 端子箱本体
711 ケーブル導入孔
711a 円すいテーパ面
73 ゴムスリーブ
74 ケーブルグランド取付座
8 ケーブルグランド
81 グランド本体
82 パッキン
82b 円すいテーパ面
83 クランプ
83a 凹部
83b 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防爆環境下で使用される防爆形照明器具であって、
光源部を保持する器具本体と、端子箱とを備え、
前記器具本体に前記端子箱が一体的に設けられているとともに、前記端子箱内に、ケーブル導入部を封止するためのケーブルグランドが設けられていることを特徴とする防爆形照明器具。
【請求項2】
請求項1記載の防爆形照明器具において、
前記ケーブルグランドを備えた前記端子箱が、前記器具本体に内蔵されていることを特徴とする防爆形照明器具。
【請求項3】
請求項1記載の防爆形照明器具において、
前記端子箱に、吊下パイプ用の取付孔が設けられていることを特徴とする防爆形照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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