説明

防腐防黴剤含有組成物

【課題】 安全性が高く、皮膚や粘膜などに対する刺激が少なく、適用する対象物に制限が無く、かつ、細菌及び真菌のいずれに対しても優れた増殖抑制作用を有する防腐防黴剤、該防腐防黴剤を含む外用組成物乃至経口組成物等の防腐防黴剤含有組成物、及び、前記防腐防黴剤を用いた防腐防黴方法を提供する。
【解決手段】 多価アルコール及びアミノ酸系界面活性剤を含み、対象物に添加されて使用され、その際における該対象物中での含量が、多価アルコール5〜50質量%、かつ、アミノ酸系界面活性剤0.0001〜0.05質量%であることを特徴とする防腐防黴剤であり、該防腐防黴剤成分を含む組成物であり、該防腐防黴剤を含む防腐防黴剤含有組成物であり、前記防腐防黴剤を用いた防腐防黴方法である。さらに、前記防腐防黴剤はデヒドロ酢酸またはデヒドロ酢酸塩が、対象物中での含量が0.0001〜0.5質量%となるように添加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌スペクトルが広く、かつ、安全性の高い防腐防黴剤、該防腐防黴剤成分を含む組成物、前記防腐防黴剤を含む外用組成物乃至経口組成物等の防腐防黴剤含有組成物、及び、前記防腐防黴剤を用いた防腐防黴方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、医薬部外品、化粧料等、及び食品等の外用組成物や経口組成物の多くは、生産から消費までの間に、外部からの微生物などの汚染によって、腐敗などの品質低下を招くことが知られている。このため、外用組成物及び経口組成物には、保存性を向上させるために、パラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)、ソルビン酸、サリチル酸、デヒドロ酢酸、プロピオン酸、ウンデシレン酸、安息香酸、安息香酸塩、フェノキシエタノール、フェノール類などの防腐剤や防黴剤が配合されている。一般に、防腐剤や防黴剤は、配合濃度を高めることにより殺菌剤としても作用するが、安全性の観点から、日常的に使用される化粧料などに保存性を高める目的で配合する場合には、比較的低濃度で配合される。
【0003】
これらの中でも、パラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)は、抗菌スペクトルが広く、安全性と有効性に優れているため、防腐剤として最も広く使用されている。しかしながら、パラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)は、エストロゲン様作用が指摘されていることや、配合された化粧料を使用した場合に、敏感な肌では、ちくちくするような感覚が生じる場合があることから、より安全性が高く、かつ刺激の少ないものが求められている。
【0004】
一方、パラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)以外の防腐剤や防黴剤は、抗菌スペクトルが広くなく、配合する対象物中に含まれる他の成分やpHの影響を受けやすく、十分な効果が得られないという問題がある。例えば、安息香酸は、pH3以下のドリンク剤などに配合された場合は防腐・防黴効果を示すが、弱酸性から中性域のpHを示す化粧料や医薬品に配合された場合には防腐・防黴効果が得られないという問題がある。
【0005】
そこで、フェノキシエタノールと2価アルコールとを用いる乳化組成物(特許文献1参照)、ヒノキチオール化合物を含む香粧品(特許文献2参照)、ポリリジンを有効成分とする保存剤(特許文献3)、及び、α―モノアルキルグリセリルエーテルを特徴とする抗菌剤(特許文献4参照)などが提案されている。
しかし、例えば、前記ヒノキチオール化合物(ヒノキチオールを含む)は、殺菌効果が高いことが知られているが、浸蝕性が強く、特別の施設や保存容器を必要とする等、製造方法に問題があり、また、酸化されやすく、変色や失活してしまうなど、取扱いや保存方法に制限がある。また、前記ポリリジンは、細菌には効果を示すが、真菌(特に、黴)に対する効果が弱いという問題がある。
【0006】
一般に、開封を繰り返して使用する等、頻回使用する製品は、特に環境又は人体から種々の細菌類、黴類、酵母類等の微生物に汚染される可能性が大きい。このため、前記製品に含まれる防腐用組成物としては、前記微生物に対し広い抗菌スペクトルを有することが要求される。しかし、上述の提案では、防腐(防黴)剤として使用した場合に抗菌スペクトルが狭い、又は劣化しやすいなど保存効力を十分に確保できていないため、前記製品に使用した場合には、特に各種菌類による汚染が生じやすく、保存効力が十分ではないという問題がある。
【0007】
そこで、安全性が高く、皮膚や粘膜などに対する刺激が少なく、適用する対象物に制限が無く、かつ、細菌(グラム陰性菌、グラム陽性菌)及び真菌(黴、酵母)のいずれに対しても優れた増殖抑制作用を有する防腐防黴剤、該防腐防黴剤成分を含む組成物、前記防腐防黴剤を含む外用組成物又は経口組成物である防腐防黴剤含有組成物、及び、前記防腐防黴剤を用いた防腐防黴方法は未だ提供されておらず、その開発が切に望まれているのが現状である。
【0008】
【特許文献1】特開2003−81759号公報
【特許文献2】特開2002−47123号公報
【特許文献3】特開2001−226216号公報
【特許文献4】特開2004−43336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、安全性が高く、皮膚や粘膜などに対する刺激が少なく、適用する対象物に制限が無く、かつ、細菌(グラム陰性菌、グラム陽性菌)及び真菌(黴、酵母)のいずれに対しても優れた増殖抑制作用を有する防腐防黴剤、該防腐防黴剤成分を含む組成物、前記防腐防黴剤を含む防腐防黴剤含有組成物、及び、前記防腐防黴剤を用いた防腐防黴方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、成分の種類及び配合量を適切に選択することにより、少量の成分の配合量でも十分な防腐防黴作用を有する防腐防黴剤、該防腐防黴剤成分を含む組成物、前記防腐防黴剤を含む防腐防黴剤含有組成物、及び、前記防腐防黴剤を用いた防腐防黴方法を見出し、本発明を完成させた。
【0011】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> 多価アルコール及びアミノ酸系界面活性剤を含み、対象物に添加されて使用され、その際における該対象物中での含量が、多価アルコール5〜50質量%、かつ、アミノ酸系界面活性剤0.0001〜0.05質量%であることを特徴とする防腐防黴剤である。
<2> デヒドロ酢酸又はデヒドロ酢酸塩を含み、対象物中での該デヒドロ酢酸又は該デヒドロ酢酸塩の含量が0.0001〜0.5質量%である前記<1>に記載の防腐防黴剤である。
<3> 多価アルコールが、2価アルコールである前記<1>から<2>のいずれかに記載の防腐防黴剤である。
<4> 多価アルコールが、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びプロピレングリコールから選択される少なくとも1種である前記<1>から<3>のいずれかに記載の防腐防黴剤である。
<5> アミノ酸系界面活性剤が、カチオン性アミノ酸系界面活性剤である前記<1>から<4>のいずれかに記載の防腐防黴剤である。
<6> アミノ酸系界面活性剤が、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチルDL−ピロリドンカルボン酸塩である前記<1>から<5>のいずれかに記載の防腐防黴剤である。
<7> 細菌に対する増殖抑制作用と、真菌に対する増殖抑制作用とを有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の防腐防黴剤である。
<8> 実質的にパラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)を含まない前記<1>から<7>のいずれかに記載の防腐防黴剤である。
<9> 対象物が、外用組成物及び経口組成物のいずれかである前記<1>から<8>のいずれかに記載の防腐防黴剤である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の防腐防黴剤を含み、組成物中における、多価アルコールの含有量が5〜50質量%であり、アミノ酸系界面活性剤の含有量が0.0001〜0.05質量%であることを特徴とする防腐防黴剤含有組成物である。
<11> 多価アルコール5〜50質量%と、アミノ酸系界面活性剤0.0001〜0.05質量%とを含み、少なくとも防腐防黴効果を有することを特徴とする組成物である。
<12> デヒドロ酢酸またはデヒドロ酢酸塩0.0001〜0.5質量%を含む前記<11>に記載の組成物である。
<13> 多価アルコールが、2価アルコールである前記<11>から<12>のいずれかに記載の組成物である。
<14> 多価アルコールが、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びプロピレングリコールから選択される少なくとも1種である前記<11>から<13>のいずれかに記載の組成物である。
<15> アミノ酸系界面活性剤が、カチオン性アミノ酸系界面活性剤である前記<11>から<14>のいずれかに記載の組成物である。
<16> アミノ酸系界面活性剤が、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチルDL−ピロリドンカルボン酸塩である前記<11>から<15>のいずれかに記載の組成物である。
<17> 細菌に対する増殖抑制作用と、真菌に対する増殖抑制作用とを有する前記<11>から<16>のいずれかに記載の組成物である。
<18> 実質的にパラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)を含まない前記<11>から<17>のいずれかに記載の組成物である。
<19> 外用組成物及び経口組成物のいずれかである前記<11>から<18>のいずれかに記載の組成物である。
<20> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の防腐防黴剤を用い、組成物全量に対し、多価アルコールが5〜50質量%、かつ、アミノ酸系界面活性剤が0.0001〜0.05質量%となるように添加することを特徴とする防腐防黴方法である。
<21> 組成物全量に対し、デヒドロ酢酸またはデヒドロ酢酸塩を0.0001〜0.5質量%となるように添加する前記<20>に記載の防腐防黴方法である。
<22> 多価アルコールが、2価アルコールである前記<20>から<21>のいずれかに記載の防腐防黴方法である。
<23> 多価アルコールが、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びプロピレングリコールから選択される少なくとも1種である前記<20>から<22>のいずれかに記載の防腐防黴方法である。
<24> アミノ酸系界面活性剤が、カチオン性アミノ酸系界面活性剤である前記<20>から<23>のいずれかに記載の防腐防黴方法である。
<25> アミノ酸系界面活性剤が、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチルDL−ピロリドンカルボン酸塩である前記<20>から<24>のいずれかに記載の防腐防黴方法である。
<26> 細菌に対する増殖抑制作用と、真菌に対する増殖抑制作用とを与える前記<20>から<25>のいずれかに記載の防腐防黴方法である。
<27> 実質的にパラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)を用いない前記<20>から<26>のいずれかに記載の防腐防黴方法である。
<28> 組成物が、外用組成物及び経口組成物のいずれかである前記<20>から<27>のいずれかに記載の防腐防黴方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、従来における問題を解決し、安全性が高く、皮膚や粘膜などに対する刺激が少なく、適用する対象物に制限が無く、かつ、細菌(グラム陰性菌、グラム陽性菌)及び真菌(黴、酵母)のいずれに対しても優れた増殖抑制作用を有する防腐防黴剤、該防腐防黴剤成分を含む組成物、前記防腐防黴剤を含む防腐防黴剤含有組成物、及び、前記防腐防黴剤を用いた防腐防黴方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(防腐防黴剤)
本発明の防腐防黴剤は、多価アルコール及びアミノ酸系界面活性剤を含み、対象物に添加された際における該対象物中での含量が、多価アルコール5〜50質量%、かつ、アミノ酸系界面活性剤0.0001〜0.05質量%となるように添加されて使用される。また、該防腐防黴剤は、さらに必要に応じて、適宜選択したその他の成分を含む。
【0014】
−多価アルコール−
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、公知の多価アルコールの中から適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどが挙げられるが、3価アルコール及び2価アルコールが好ましく、2価アルコールがより好ましい。
これらは1種単独でもよく、2種以上を混合してもよい。
【0015】
前記2価アルコールとしては、例えば、アルキレングリコールが好適に挙げられ、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等が好適に挙げられる。これらの中でも、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールがより好ましく、濃度依存性が観られず、皮膚刺激性も極めて低い1,3−ブチレングリコールが特に好ましい。
【0016】
前記多価アルコールは、対象物に添加された際における該対象物中での含量が、5〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましく、7〜30質量%であることがさらに好ましく、7〜10質量%であることが特に好ましい。
【0017】
−アミノ酸系界面活性剤−
前記アミノ酸系界面活性剤としては、アミノ酸誘導体及びその塩の界面活性剤、アルキル基などの置換基を有するアミノ酸系界面活性剤であれば、特に制限は無く、公知のアミノ酸系活性剤から選択することができるが、アミノ酸系アニオン性界面活性剤、アミノ酸系両性界面活性、及びアミノ酸系カチオン性界面活性剤のいずれかが好ましく、アミノ酸系両性界面活性剤、及びアミノ酸系カチオン性界面活性剤がより好ましく、アミノ酸系カチオン性界面活性剤が特に好ましい。
【0018】
前記アミノ酸系アニオン性界面活性剤としては、例えば、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、N−アシルグリシン塩、N−アシルサルコシン塩などが挙げられ、具体的には、ラウロイルグルタミン酸塩、ミリストイルグルタミン酸塩、パルミトイルグルタミン酸塩、ステアロイルグルタミン酸塩、オレオイルグルタミン酸塩、ヤシ油脂肪酸グルタミン酸塩、ラウロイルメチルアラニン塩、ミリストイルメチルアラニン塩、ヤシ油脂肪酸メチルアラニン塩、ヤシ油脂肪酸アシルグリシン塩、ラウロイルサルコシン塩、ミリストイルサルコシン塩、オレオイルサルコシン塩などが挙げられる。
【0019】
前記アミノ酸系両性界面活性剤としては、例えば、アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルプロピオン酸塩、アルキルオキシヒドロキシプロピルアルギニン塩酸などが挙げられる。
【0020】
前記塩としては、特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノール塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
【0021】
前記アミノ酸系カチオン性界面活性剤としては、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩が好ましい。
【0022】
前記アミノ酸系界面活性剤は、対象物に添加された際における該対象物中での含量が、0.0001〜0.05質量%であることが好ましく、0.0001〜0.02質量%であることがより好ましく、0.0005〜0.01質量%であることがさらに好ましく、0.001〜0.005質量%であることが特に好ましい。
【0023】
−その他の成分−
その他の成分としては、その他の公知の防腐剤及び防黴剤などが挙げられ、例えば、デヒドロ酢酸、ソルビン酸、安息香酸、エデト酸、サリチル酸、アミノエチルスルホン酸、及びこれらの塩、ティトリーオイル、エタノール、イソプロパノール、クロロブタノール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。これらの中でも、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸塩、ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、及び安息香酸塩が好ましく、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸塩、ソルビン酸、及びソルビン酸塩がより好ましく、デヒドロ酢酸、及びデヒドロ酢酸塩が特に好ましい。
本発明の防腐防黴剤は、実質的にパラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)を含まない。
【0024】
前記デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸塩、ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、及び安息香酸塩は、対象物に添加された際における該対象物中での含量が、0.0001〜0.5質量%となるように添加されるが、0.0005〜0.1質量%であることが好ましく、0.001〜0.05質量%であることがより好ましく、0.001〜0.03質量%であることがさらに好ましく、0.004〜0.01質量%であることが特に好ましい。
【0025】
本発明の防腐防黴剤は、上記各成分が予め均一に混合された組成物であってもよく、上記各成分が対象物に別々に添加された結果、該対象物中で防腐防黴剤として作用するもであってもよい。
【0026】
−増殖抑制作用−
本発明の防腐防黴剤は、細菌(グラム陰性菌、グラム陽性菌)、及び、真菌(黴、酵母)のいずれに対しても優れた増殖抑制作用を有する。
前記増殖抑制作用とは、細菌及び真菌に対する増殖阻害作用、増殖阻止作用、及び静菌作用を含む。
【0027】
前記細菌としては、例えば、Alcaligenes faecalisProteus vulgarisEscherichia coliPseudomonas aeruginosaSerratia marcesensStaphylococcus aureusBacillus subtilisBacillus cereusMicrococcus luteusCorynebacterium xerosisBrachybacterium spStaphylococcus epidermidisなどが挙げられる。
【0028】
前記真菌の前記黴としては、例えば、Wallemia sebiPenicillium cyaneumPenicillium chrysogenumFusarium solaniGeotrichum candidumTrichoderma vilideMucor recemosusEurotium chevalieriBotryotinia fuckelianaEurotium rubrumAspergillus restrictusAspergillus nigerEurotium spなどが挙げられる。
【0029】
前記真菌の前記酵母としては、例えば、Candida albicansHansenula anomalaZygosacchromyces rouxiiCandida parapsilosisSacchromyces cerevisiaeなどが挙げられる。
【0030】
本発明の防腐防黴剤は、安全性が高く、皮膚や粘膜などに対する刺激が少なく、適用する対象物に制限が無く、かつ、細菌(グラム陰性菌、グラム陽性菌)及び真菌(黴、酵母)のいずれに対しても優れた増殖抑制作用を有する。
【0031】
本発明の防腐防黴剤は、後述する防腐防黴剤含有組成物に好適に添加される。
本発明の防腐防黴剤が添加される対象物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外用組成物、及び経口組成物などが挙げられる。これらの中でも、水分を多く含み腐敗しやすい組成物、具体的には、室温における水分活性値が0.6以上の組成物に対する添加剤として好適に用いることができる。
【0032】
前記外用組成物及び前記経口組成物としては、医薬品、医薬部外品、化粧料、及び食品などが挙げられ、具体的には、液剤、ローション剤、乳性ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、エアロゾル剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシール剤、貼付剤、シート剤、注射剤、ソフトバック製剤、ソフトカプセル剤、チョコレート剤、ガム剤、ドリンク剤等が挙げられる。
また、前記化粧料としては、例えば、石鹸類、浴剤、化粧水、クリーム、乳液、パック、リップクリーム、日焼け止め化粧品等の基礎化粧品、白粉、ファンデーション、口紅、頬紅等のメークアップ化粧品、アイライナー、アイシャドウ、マスカラ、眉墨等のアイメークアップ化粧品、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、整髪料、パーマネント・ウエーブ用剤、ヘアカラー等の毛髪化粧料、口腔用剤、マニキュア類、香水類などが好適に挙げられる。
【0033】
本発明の防腐防黴剤は、後述する防腐防黴方法に好適に使用することができる。
本発明の防腐防黴剤の使用方法としては、添加剤として使用され、対象物に添加される方法であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布、噴霧、含浸、及び混合の少なくともいずれかが挙げられる。
【0034】
(組成物、及び防腐防黴剤含有組成物)
本発明の組成物は、多価アルコール5〜50質量%と、アミノ酸系界面活性剤0.0001〜0.05質量%とを含み、少なくとも防腐防黴効果を有し、さらに必要に応じて、適宜選択したその他の成分を含む。
また、本発明の防腐防黴剤含有組成物は、上述した本発明の防腐防黴剤を含み、組成物中における、多価アルコールの含有量が5〜50質量%であり、アミノ酸系界面活性剤の含有量が0.0001〜0.05質量%であり、さらに必要に応じて、適宜選択したその他の成分を含む。
【0035】
前記組成物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の防腐防黴剤成分を含有する前記外用組成物、及び、本発明の防腐防黴剤成分を含有する前記経口組成物などが挙げられる。
前記防腐防黴剤含有組成物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の防腐防黴剤を含有する前記外用組成物、及び、本発明の防腐防黴剤を含有する前記経口組成物などが挙げられる。
また、前記組成物及び前記防腐防黴剤含有組成物の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。通常の製品形状として、液状、半固体、固体のものが挙げられ、例えば、液体、懸濁液、ゲル、軟膏、クリーム状、スティック状、ペースト状、ムース状、エアロゾル、粉末、錠剤、顆粒等であってもよい。
【0036】
−その他の成分−
その他の成分としては、その他の公知の防腐剤・防黴剤や、前記組成物及び前記防腐防黴剤含有組成物を製造するに当り通常用いられる補助的原料や添加物などが挙げられる。
【0037】
前記その他の公知の防腐剤・防黴剤としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができるが、デヒドロ酢酸及びデヒドロ酢酸塩が好ましい。
前記組成物における前記デヒドロ酢酸及び前記デヒドロ酢酸塩の含有量は0.0001〜0.5質量%であることが好ましい。
また、前記防腐防黴剤剤含有組成物における前記デヒドロ酢酸及び前記デヒドロ酢酸塩の含有量は0.0001〜0.5質量%であることが好ましい。
【0038】
前記補助的原料や添加物としては、例えば、溶剤、安定化剤、懸濁化又は乳化剤、増粘剤、抗酸化剤、緩衝剤、pH調整剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、着香剤、清涼化剤、湿潤剤、生薬、ビタミン剤、薬理作用を有する物質等が挙げられる。
【0039】
前記溶剤としては、例えば、精製水、常水、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、クロタミトン、炭酸プロピレン、綿実油、流動パラフィンなどが挙げられる。
【0040】
前記安定化剤としては、例えば、アジピン酸、アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、L−アルギニン、安息香酸ナトリウム、イノシトール、エデト酸、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グリシン、グリセリルモノアルキルエーテル、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、グルコン酸、軽質無水ケイ酸、酢酸トコフェロール、ゼラチン、大豆油不けん化物、パルミチン酸デキストリン、無水クエン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、リンゴ酸、リン酸水素ナトリウム等、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸等の脂肪酸、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、コレステロール、フィトステロール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール等の高級アルコールなどが挙げられる。
【0041】
前記懸濁化又は乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリン、モノラウリン酸ソルビタン、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸石鹸(例えば、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム等)、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリルアルコール、ステアリン酸、セタノール、ステアロイル硫酸ナトリウム、サポニン類(例えば、大豆サポニン、カンゾウサポニン、酵素処理サポニン等)、レシチン類(例えば、大豆レシチン、水酸化大豆レシチン、卵黄リン脂質、水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄レシチン、酵素分解レシチン、水素添加酵素分解レシチン等)、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリソルベート、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、アラビアゴム、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、ゼラチン、カルメロースナトリウム、グァーガム、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
【0042】
前記増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコール、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン類、ジェランガム、カラギーナン、寒天、ペクチン、ローカストビーンガム、グァーガム、トラガントガム、結晶セルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子などが挙げられる。
【0043】
前記抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、塩酸システイン、天然ビタミンE、d−α−トコフェロール、δ−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、及びこれらの塩又は誘導体、レシチン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸ナトリウム、没食子酸プロピル、カテキン類、ポリフェノールなどが挙げられる。
【0044】
前記緩衝剤としては、例えば、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸、L−アルギニン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、グリシン、炭酸水素ナトリウム、乳酸、ブドウ糖、無水クエン酸、無水クエン酸ナトリウム、無水リン駿一水素ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウムなどが挙げられる。
【0045】
前記pH調整剤としては、例えば、希塩酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グリシン、コハク酸、酢酸、酒石酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、乳酸、フマル酸、フマル酸ナトリウム、リンゴ酸、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられる。
【0046】
前記賦形剤としては、例えば、乳糖、D−マンニトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、カカオ脂、流動パラフィン、大豆油、オリブ油、中鎖脂肪酸トリグリセライド、グリセリン、プロピレングリコールなどが挙げられる。
【0047】
前記結合剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、デキストリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、部分α化デンプン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末などが挙げられる。
【0048】
前記崩壊剤としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドンなどが挙げられる。
【0049】
前記滑沢剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、マクロゴールなどが挙げられる。
【0050】
前記着色剤としては、例えば、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、タルク、ベニバナ色素、クチナシ色素、パプリカ色素、β−カロチン、カラメル、銅クロロフィリンナトリウム、シルク末等が挙げられる。
【0051】
前記着香剤としては、例えば、ウイキョウ、エチルバニリン、エチルマルトール、オレンジ、オレンジ油、カミツレ油、カンフル、ケイヒ、シシュガーフレーバー、シンナムアルデヒド、スペアミント油、チェリーフレバー、トウヒチンキ、パイン油、ハッカ、ハッカ油、バニラフレーバー、バニリン、ビターエッセンス、フルーツフレーバー、フレーバーGI、ベルモットフレーバー、ベルガモット油、ミックスフレーバー、ミントフレーバー、メントール、ユーカリ油、リュウノウ、レモンパウダー、レモン油、ロジン、ローズ油、ショウキョウ、ジンコウ、チョウジ、ボルネオール、マルトールなどが挙げられる。
【0052】
前記清涼化剤、香料としては、例えば、ゲラニオール、ハッカ水、ハッカ油、ボルネオール、メントール、ミントなどが挙げられる。
【0053】
前記湿潤剤としては、例えば、ソルビトール、キシリトール、還元麦芽糖水飴、マルチトール、エリスリトール、ショ糖、トレハロース、ブドウ糖等の糖類又は糖アルコール、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、セリシン、デオキシリボ核酸又はその塩、加水分解コラーゲン、ポリグルタミン酸、ポリアルギン酸、小麦ペプチド、コンドロイチン硫酸ナトリウム、キチン、キトサン等の高分子湿潤剤、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコール、アロエエキス、モモの葉エキス、ビワエキス、米発酵エキス、米糠エキス、コケモモエキス、ウワウルシエキス、カンゾウエキス等の植物エキス、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、グリシン、アルギニン、グルタミン酸、セリン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ジグリセリン、ベタイン等のアミノ酸類、スフィンゴ脂質、セラミド、レシチン、コレステロール等の油性湿潤剤、乳酸、乳酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0054】
前記生薬としては、例えば、アカメリュウキョウ、アキョウ、アセンヤク、アマチャ、ウイキョウ、ウイキョウ油、ウコン、エンメイソウ、オウギ、オウゴン、オウヒ、オウレン、ガイヨウ、ガシワ、カッコン、カンゾウ、キキョウ、キジツ、ケイガイ、ケイヒ、ゲンチアナ、ゲンノショウコ、コウジン、コウボク、ザクロヒ、サフラン、サンサシ、サンショウ、ジオウ、シコン、シャクヤク、ショウキョウ、センナ、センブリ、ソウジュツ、ソヨウ、チョウジ、チョウジ油、チンピ、トウヒ、トラガント、ニンジン、ハッカ油、ビャクジュツ、ボウフウ、ホップ、マオウ、l−メントール、リュウコツ、リュウキョウ、レンギョウ、ワキョウカツなどが挙げられる。これらは、エキス剤として添加してもよく、また、抽出物、粉末として添加してもよい。
【0055】
前記ビタミン剤としては、例えば、ビタミンA油やレチノール等のビタミンA群やカロチン類、チアミン、リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、ビオチン等のビタミンB群、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸グルコシド等のビタミンC群、コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール等のビタミンD群、酢酸トコフェロール、酢酸d−α−トコフェロール、d−α−トコフェロール、天然ビタミンE等のビタミンE群、フィトナジオン、メナテトレノン等のビタミンK群、ニコチン酸、パントテン酸、葉酸等、及びこれらの誘導体又はこれらの塩が挙げられる。
【0056】
前記組成物、及び前記防腐防黴剤含有組成物は、前記その他の成分として、薬理作用を有する物質を配合させることができる。
前記薬理作用を有する物質としては、例えば、抗潰瘍剤、抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛消炎剤、抗アレルギー剤、血流促進剤、ビタミン剤、生薬、抗生物質、抗ウイルス剤、ホルモン剤などが挙げられ、具体的には、グリチルリチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩、グリチルレチン酸及びその誘導体、ε−アミノカプロン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、アラントイン等の抗炎症剤、レチノール、レチノイン酸、ビタミンA油、パルミチン酸レチノール、カロテン、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体(例えば、アスコルビン酸グルコシド、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、ジパルミチン酸アスコルビル、テトラ2-ヘキシルデカン酸L-アスコルビル等)、酢酸トコフェロール、酢酸d−α−トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸d−α−トコフェロール、ビタミンEリノレート、d−α−トコフェロール、d−β−トコフェロール、d−γ−トコフェロール、d−δ−トコフェロール、天然ビタミンE、塩酸ピリドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、ジパルミチン酸ピリドキシン、リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、酪酸リボフラビン、ニコチン酸アミド、パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、コレカルシフェロール等のビタミン類、アルブチン、エラグ酸、コウジ酸、油溶性甘草エキス等の美白剤、クロタミトン、ジフェンヒドラミン等の抗痒剤、ヒノキチオール、セファランチン、ニコチン酸トコフェロール等の育毛・養毛剤、γ−オリザノール、フェルラ酸などが挙げられる。
【0057】
前記補助的原料や添加物の添加量としては、各種用途により適宜選択することもでき、例えば、食品用に用いる場合には、前記組成物及び前記防腐防黴剤含有組成物中に含まれる本発明の防腐防黴剤成分の効果を阻害しない範囲で、食品衛生法上許容される量から適宜選択することができる。
【0058】
本発明の組成物、及び本発明の防腐防黴剤含有組成物は、安全性が高く、皮膚や粘膜などに対する刺激が少なく、前記細菌及び前記真菌のいずれに対しても優れた増殖抑制作用を有し、実質的にパラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)を含まない。
また、人体又は動物用として開封を繰り返して頻回使用を行う製品であっても、種々の細菌類、黴類及び酵母類等の微生物からの汚染を極めて広く防止できる点で有利である。
【0059】
(防腐防黴方法)
本発明の防腐防黴方法は、上述した本発明の防腐防黴剤を用い、組成物全量に対し、多価アルコールが5〜50質量%、かつ、アミノ酸系界面活性剤が0.0001〜0.05質量%となるように添加する方法であり、さらに必要に応じて、適宜選択したその他の成分を添加する方法を含む。
【0060】
前記防腐防黴方法の具体的な方法としては、本発明の防腐防黴剤を、上述した本発明の防腐防黴剤含有組成物の製造工程において添加する方法であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記防腐防黴剤を前記対象物に対して塗布する方法、噴霧する方法、含浸させる方法、及び混合する方法の少なくともいずれかが挙げられる。
前記防腐防黴剤は、予め均一に混合された組成物として同時に添加してもよく、各成分をそれぞれ別々に添加してもよい。
本発明の防腐防黴方法は、具体的には、医薬品、医薬部外品、化粧料、及び食品などの外用組成物、及び経口組成物に対して使用することができる。
【0061】
<防腐防黴剤の調製方法>
本発明の防腐防黴剤の調製方法の一例を以下に説明する。
1,3−ブチレングリコール10gをスターラーで撹拌下、0.1%N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸水溶液5g、及び0.2%デヒドロ酢酸ナトリウム水溶液5gを添加し、各成分が均一になるまで撹拌混合することにより、1,3−ブチレングリコール50質量%、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸0.025質量%、及びデヒドロ酢酸ナトリウム0.05質量%を含む液状の防腐防黴剤20gを調製することができる。
【0062】
<防腐防黴剤含有組成物の製造方法>
本発明の防腐防黴剤含有組成物として、ローション剤及びクリーム剤の製造方法の一例を以下に説明する。なお、該ローション剤及び該クリーム剤は、本発明の組成物にも該当する。
−ローション剤の製造方法−
ローション剤は、前記調製した防腐防黴剤20gに対し、精製水とpH調整剤とを加えることにより、ローション剤100mL(1,3−ブチレングリコール5質量%、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸0.005質量%、デヒドロ酢酸ナトリウム0.01質量%含有)を製造することができる。
【0063】
−クリーム剤の製造方法−
クリーム剤は、1,3−ブチレングリコール及び水を含む水性基材を約80℃で加温溶解し、更に0.01質量%N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸水溶液、0.1質量%デヒドロ酢酸ナトリウム水溶液を添加し、各種成分を溶解させる。その後、油性基材と乳化剤を約80℃で加温溶解した油相に徐々に添加し混合する。続いて冷却しながら、ホモミキサー処理を行いて転相乳化させる。さらに、室温付近まで冷却し、1,3−ブチレングリコール10質量%、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸0.005質量%及びデヒドロ酢酸ナトリウム0.01質量%を含むO/Wクリーム剤を製造することができる。
【0064】
本発明の防腐防黴方法によると、医薬品、医薬部外品、化粧料、及び食品などの外用組成物、及び経口組成物に対して、細菌に対する増殖抑制作用と、真菌に対する増殖抑制作用とを付与することができ、前記外用組成物及び経口組成物の保存性を向上させることができる。また、本発明の防腐防黴方法においては、実質的にパラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)を用いない。
【実施例】
【0065】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0066】
(製造例1)
−防腐防黴剤成分含有組成物の調製−
1,3−ブチレングリコール(ダイセル化学工業株式会社製)20gをスターラーで攪拌下、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩(商品名:CAE、味の素株式会社製)0.01g、及びデヒドロ酢酸ナトリウム(株式会社タイショーテクノス製)0.02gを添加して分散させ、さらに水を加えて全量24gとし、前記CAE及び前記デヒドロ酢酸ナトリウムを溶解させた均一な混合液として防腐防黴剤成分含有組成物を調製した。
【0067】
(実施例1)
−クリーム剤の製造−
以下に示す方法により、前記多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール10質量%と、前記アミノ酸系界面活性剤としてN−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩0.005質量%と、デヒドロ酢酸ナトリウム0.05質量%とを含有するpH6.4のクリーム剤を調製した。
【0068】
1,3−ブチレングリコール(ダイセル化学工業株式会社製)40g、グリセリン20g、キサンタンガム0.4g、及び適量の水を約80℃で加温攪拌し、均一な水溶液を得た。得られた前記水溶液に、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩(商品名:CAE、味の素株式会社)0.02gを水5mLに溶解した水溶液、デヒドロ酢酸ナトリウム(株式会社タイショーテクノス製)0.2gを水5mLに溶解した水溶液、L−アスコルビン酸2−グルコシド8g、及びpH調整剤の水溶液を適量加え、均一に溶解させて水相とした。さらに、別途約80℃で加温攪拌し、均一に溶解させた油相(流動パラフィン20g、ミリスチン酸オクチルドデシル12g、水素添加大豆レシチン1.6g、モノステアリン酸グリセリン4g、モノステアリン酸プロピレングリコール4g、セトステアリルアルコール16g、ビタミンA油0.02g、フィトステロール0.4g、及び酢酸d−α―トコフェロール1.2g)に前記水相を添加し、混合攪拌した後、ホモミキサー処理を行い転相乳化させた。転相乳化させた後、室温付近まで冷却することによりクリーム剤400gを得た。
該クリーム剤は、本発明の防腐防黴剤含有組成物に該当し、防腐防黴剤成分を含有する本発明の組成物にも該当する。また、前記クリーム剤の調製方法は、本発明の防腐防黴方法に該当する。
【0069】
前記クリーム剤20.0gをガラス瓶に入れ、試験菌株を接種した。前記試験菌株の種類とその菌数は、E.coli(大腸菌)を1.3×10P.aeruginosa(緑膿菌)を2.0×10C.albicans(カンジダ菌)を7.0×10A.niger(黒カビ)を7.0×10とした。
前記試験菌株を接種したクリーム剤を、22.5±2.5℃の環境下に放置し、1週間ごとに下記の方法で菌数を測定した。
測定した菌数、及び初発菌数に対する残存率を表1に示す。
【0070】
〔菌数の測定方法〕
前記試験菌株を接種したクリーム剤1.0gを9mLの滅菌水に懸濁し、逐次希釈した液各1mLを直径9cmの滅菌済みシャーレに分注し、混釈平板法により平板培地を調製した。前記平板培地は2枚ずつ調製した。前記平板培地は、試験菌株が細菌の場合は32.5±2.5℃、真菌の場合は22.5±2.5℃の環境下でそれぞれ5日間放置し、コロニーが確認できたものは計数し、前記平板培地2枚の平均値を測定値とした。
【0071】
【表1】

表1の結果から、実施例1のクリーム剤は、細菌及び真菌ともに初期に添加した菌数に対し経時的な菌数の減衰が確認することができ、極めて高い保存効力を有することがわかった。
【0072】
また、前記クリーム剤を用いて、ヒトパッチ試験を行ったところ、皮膚刺激指数は低く、安全品であることが確認された。さらに、前記クリーム剤は、べたつきが少なく、塗布後の皮膚の保湿性を有し、良好な使用感を有する外用組成物であることが確認された。
【0073】
(実施例2)
−化粧水の製造−
以下に示す方法により、前記多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール10重量%と、前記アミノ酸系界面活性剤としてN−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩0.005重量%と、デヒドロ酢酸ナトリウム0.01重量%とを含有するpH6の化粧水を調製した。
【0074】
1,3−ブチレングリコール(ダイセル化学工業株式会社製)80g、グリセリン16g、エタノール40mL、ソルビトール16g、及び水520mLを攪拌混合して均一溶液とし、さらに攪拌下、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩(商品名CAE、味の素株式会社製)0.04gを水20mLに溶解した水溶液、及びデヒドロ酢酸ナトリウム(株式会社タイショーテクノス製)0.08gを水20mLに溶解した水溶液を添加し、均一溶解するまで攪拌した。次いでクエン酸ナトリウム、クエン酸、及び水を適量加えてpH6に調整し、化粧水800mLを得た。
該化粧水は、本発明の防腐防黴剤含有組成物に該当し、防腐防黴剤成分を含有する本発明の組成物にも該当する。また、前記化粧水の調製方法は、本発明の防腐防黴方法に該当する。
【0075】
前記化粧水20.0gをガラス瓶に入れ、試験菌株を接種した。前記試験菌株の種類とその菌数は、E.coli(大腸菌)を2.2×10P.aeruginosa(緑膿菌)を3.6×10C.albicans(カンジダ菌)を4.4×10A.niger(黒カビ)を2.3×10とした。
前記試験菌株を接種した化粧水を、22.5±2.5℃の環境下に放置し、1週間ごとに実施例1と同様にして菌数を測定した。
測定した菌数、及び初発菌数に対する残存率を表2に示す。
【0076】
【表2】

表2の結果から、実施例2の化粧水は、細菌及び真菌ともに初期に添加した菌数に対し経時的な菌数の減衰を確認することができ、極めて高い保存効力を有することがわかった。
【0077】
また、前記化粧水(ローション剤)は、皮膚に適用した際にさっぱりとしており、不快な刺激感もなく、良好な使用感を有する外用組成物であることが確認された。
【0078】
(実施例3)
−ゲル剤の製造−
以下に示す方法により、前記多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール10質量%と、前記アミノ酸系界面活性剤としてN−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩0.005質量%と、デヒドロ酢酸ナトリウム0.01質量%とを含有するpH6のゲル剤を調製した。
【0079】
水320gにカルボキシビニルポリマー1.6gを分散させ、カルボキシビニルポリマー分散液を得た。別途、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩(商品名CAE、味の素株式会社製)0.04g、及びデヒドロ酢酸ナトリウム(株式会社タイショーテクノス製)0.08gを水100gに攪拌溶解し、さらに1,3−ブチレングリコール(ダイセル化学工業株式会社製)80g、グリセリン16g、ソルビトール16gを攪拌混合して均一溶液とし、この溶液を前記カルボキシビニルポリマー分散液に添加し混合した。その後、1%水酸化ナトリウム水溶液、及び水を適量加えてpH6に調整し、ゲル剤800gを得た。
該ゲル剤は、本発明の防腐防黴剤含有組成物に該当し、防腐防黴剤成分を含有する本発明の組成物にも該当する。また、前記ゲル剤の調製方法は、本発明の防腐防黴方法に該当する。
【0080】
前記ゲル剤20.0gをガラス瓶に入れ、試験菌株を接種した。前記試験菌株の種類とその菌数は、E.coli(大腸菌)を2.2×10P.aeruginosa(緑膿菌)を3.6×10C.albicans(カンジダ菌)を4.4×10A.niger(黒カビ)を2.3×10とした。
前記試験菌株を接種したゲル剤を、22.5±2.5℃の環境下に放置し、1週間ごとに実施例1と同様にして菌数を測定した。
測定した菌数、及び初発菌数に対する残存率を表3に示す。
【0081】
【表3】

表3の結果から、実施例3のゲル剤は、細菌及び酵母では初期に添加した菌数に対し経時的な菌数の減衰を認めることができた。1週間後と4週間後に黴ではわずかな増殖がみられたものの、初発菌数と同レベルであり、著しい増殖は抑制されており、高い保存効力を有することがわかった。
【0082】
また、前記ゲル剤は、皮膚や粘膜に対する刺激感が認められず、外用組成物としても経口組成物としても優れた使用感を有することが確認された。
【0083】
(試験例1)
本発明の防腐防黴剤の各成分、およびそれらの組み合わせについて、細菌(グラム陰性菌、グラム陽性菌)及び真菌(酵母、黴)に対する増殖抑制効果、抗菌スペクトル、及び防腐防黴剤としての有効性を評価した。
−増殖抑制効果−
表4に示す処方の成分を添加した培地(pH5.8)を常法にしたがって調製した。前記調製した実験例1〜2、参考例1〜7、及び対照例の培地を用いて、表4に示すグラム陰性菌、グラム陽性菌、酵母、及び黴の菌株をそれぞれ培養し、その増殖を観察した。下記の評価基準に従い、増殖抑制効果を評価した。結果を表4に示す。
【0084】
<増殖抑制効果の評価基準>
増殖が抑制された・・・・・・−
増殖はほとんどみられなかった・・±
増殖が僅かにみられた・・・・+W
増殖がみられた・・・・・・・+
【0085】
【表4】

*:N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩
【0086】
−抗菌スペクトル−
前記表4の結果から、下記の基準によって、抗菌スペクトルを評価した。結果を表5に示す。
<抗菌スペクトルの評価基準>
◎:すべての菌株で増殖抑制が認められた。
○:1種類の菌株のみ増殖抑制が認められなかった。
△:複数の菌株で増殖抑制が認められなかった。
×:全ての菌株で増殖抑制が認められなかった。
【0087】
−有効性−
前記表4の結果から、対照例の+に対して、+W、±、及び−のものは「防腐防黴効果がある」とし、下記の基準によって、防腐防黴剤としての有効性を評価した。結果を表5に示す。
<有効性の評価基準>
A:防腐性及び防黴性ともに非常に優れている。
B:防腐性及び防黴性ともに優れている。
C:防黴性及び防黴性のいずれかに優れる。
D:防腐性及び防黴性に劣る。
【0088】
【表5】

*:N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩
【0089】
表5の結果から、1,3−ブチレングリコール単独系の参考例1、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩単独系の参考例2では増殖抑制効果を認めない微生物が存在し、抗菌スペクトルが狭いが、これらを組み合わせた2成分系の実験例1では、各種微生物に増殖抑制効果を示し、広い抗菌スペクトルを有することが確認された。前記実験例1にデヒドロ酢酸ナトリウムを加えた実験例2は、各種微生物に優れた増殖抑制効果を示し、広い抗菌スペクトルを有していルことが確認された。
一方、ソルビン酸カリウム単独系の参考例6、安息香酸ナトリウム単独系の参考例7では、増殖抑制効果を認めない微生物が存在し、抗菌スペクトルが狭いことが確認された。
【0090】
(試験例2)
本発明の防腐防黴剤、組成物、及び防腐防黴剤含有組成物中に含まれる多価アルコールの種類について、表6に示す処方により調製した実験例3〜6、及び対照例の培地を用いて、表6に示す細菌(グラム陰性菌、グラム陽性菌)及び真菌(酵母、黴)に対する増殖抑制効果、抗菌スペクトル、及び防腐防黴剤としての有効性を試験例1と同様にして評価した。処方及び増殖抑制効果評価の結果を表6に、抗菌スペクトル及び防腐防黴剤としての有効性評価結果を表7にそれぞれ示す。
【0091】
【表6】

*:N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩
【0092】
【表7】

*:N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩
【0093】
表7の結果から、多価アルコールの中でも、2価アルコールが広い抗菌スペクトルを有し、細菌及び真菌に対する優れた増殖抑制効果があることが確認された。
【0094】
(試験例3)
本発明の防腐防黴剤、組成物、及び防腐防黴剤含有組成物中に含まれる多価アルコール、アミノ酸系界面活性剤、及びデヒドロ酢酸ナトリウムの濃度による増殖抑制効果の変化について、細菌(グラム陰性菌、グラム陽性菌)及び真菌(酵母、黴)に対する増殖抑制効果、抗菌スペクトル、及び防腐防黴剤としての有効性を試験例1と同様にして評価した。処方及び増殖抑制効果評価の結果を表8〜9に、抗菌スペクトル及び防腐防黴剤としての有効性評価結果を表10にそれぞれ示す。
【0095】
【表8】

*:N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩
【0096】
【表9】

*:N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩
【0097】
【表10】

*:N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩
【0098】
1,3−ブチレングリコール、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩、及びデヒドロ酢酸ナトリウムを含む3成分系の防腐防黴剤は、試験に供したすべての菌株に対し、強い増殖抑制効果を認め、広い抗菌スペクトルを有していることが確認された。各種菌に対する増殖抑制効果に関して、多価アルコール、アミノ酸系界面活性剤、及びデヒドロ酢酸ナトリウムの相乗効果による防腐防黴剤としての有効性が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の防腐防黴剤は、安全性が高く、皮膚や粘膜などに対する刺激が少なく、適用する対象物に制限が無く、かつ、細菌及び真菌のいずれに対しても優れた増殖抑制作用を有するため、パラベン類の代替品として、各種医薬品、医薬部外品、化粧料、及び食品等の外用組成物や経口組成物に添加することができる。特に最近では、一般生活者は日常使用する製品の安全性や品質に敏感になっていることから、これらの中でも各種医薬品、医薬部外品、化粧品など、長期保存及び頻回使用する製品に特に好適に使用することができる。
また、前記防腐防黴剤成分を含む本発明の組成物、及び前記防腐防黴剤を含む本発明の防腐防黴剤含有組成物は、安全性が高く、皮膚や粘膜などに対する刺激が少なく、かつ、細菌及び真菌のいずれに対しても優れた増殖抑制作用を有し、例えば、各種医薬品、医薬部外品、化粧料、及び食品等の外用組成物や経口組成物などが挙げられ、具体的には、液剤、ローション剤、乳性ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシール剤、貼付剤、シート剤、注射剤、ソフトバック製剤、ソフトカプセル剤、チョコレート剤、ガム剤、及びドリンク剤などが挙げられる。
さらに、前記防腐防黴剤を用いる本発明の防腐防黴方法は、安全性が高く、適用する対象物に制限が無く、容易に対象物に細菌及び真菌のいずれに対しても優れた増殖抑制作用を付与することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価アルコール及びアミノ酸系界面活性剤を含み、
対象物に添加されて使用され、その際における該対象物中での含量が、多価アルコール5〜50質量%、かつ、アミノ酸系界面活性剤0.0001〜0.05質量%であることを特徴とする防腐防黴剤。
【請求項2】
デヒドロ酢酸又はデヒドロ酢酸塩を含み、対象物中での該デヒドロ酢酸又は該デヒドロ酢酸塩の含量が0.0001〜0.5質量%である請求項1に記載の防腐防黴剤。
【請求項3】
多価アルコールが、2価アルコールである請求項1から2のいずれかに記載の防腐防黴剤。
【請求項4】
多価アルコールが、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びプロピレングリコールから選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載の防腐防黴剤。
【請求項5】
アミノ酸系界面活性剤が、カチオン性アミノ酸系界面活性剤である請求項1から4のいずれかに記載の防腐防黴剤。
【請求項6】
アミノ酸系界面活性剤が、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチルDL−ピロリドンカルボン酸塩である請求項1から5のいずれかに記載の防腐防黴剤。
【請求項7】
細菌に対する増殖抑制作用と、真菌に対する増殖抑制作用とを有する請求項1から6のいずれかに記載の防腐防黴剤。
【請求項8】
実質的にパラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)を含まない請求項1から7のいずれかに記載の防腐防黴剤。
【請求項9】
対象物が、外用組成物及び経口組成物のいずれかである請求項1から8のいずれかに記載の防腐防黴剤。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の防腐防黴剤を含み、
組成物中における、多価アルコールの含有量が5〜50質量%であり、アミノ酸系界面活性剤の含有量が0.0001〜0.05質量%であることを特徴とする防腐防黴剤含有組成物。
【請求項11】
多価アルコール5〜50質量%と、アミノ酸系界面活性剤0.0001〜0.05質量%とを含み、少なくとも防腐防黴効果を有することを特徴とする組成物。
【請求項12】
デヒドロ酢酸またはデヒドロ酢酸塩0.0001〜0.5質量%を含む請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
多価アルコールが、2価アルコールである請求項11から12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
多価アルコールが、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びプロピレングリコールから選択される少なくとも1種である請求項11から13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
アミノ酸系界面活性剤が、カチオン性アミノ酸系界面活性剤である請求項11から14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
アミノ酸系界面活性剤が、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチルDL−ピロリドンカルボン酸塩である請求項11から15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
細菌に対する増殖抑制作用と、真菌に対する増殖抑制作用とを有する請求項11から17のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
実質的にパラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)を含まない請求項11から17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
外用組成物及び経口組成物のいずれかである請求項11から18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
請求項1から9のいずれかに記載の防腐防黴剤を用い、組成物全量に対し、多価アルコールが5〜50質量%、かつ、アミノ酸系界面活性剤が0.0001〜0.05質量%となるように添加することを特徴とする防腐防黴方法。
【請求項21】
組成物全量に対し、デヒドロ酢酸またはデヒドロ酢酸塩を0.0001〜0.5質量%となるように添加する請求項20に記載の防腐防黴方法。
【請求項22】
多価アルコールが、2価アルコールである請求項20から21のいずれかに記載の防腐防黴方法。
【請求項23】
多価アルコールが、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びプロピレングリコールから選択される少なくとも1種である請求項20から22のいずれかに記載の防腐防黴方法。
【請求項24】
アミノ酸系界面活性剤が、カチオン性アミノ酸系界面活性剤である請求項20から23のいずれかに記載の防腐防黴方法。
【請求項25】
アミノ酸系界面活性剤が、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチルDL−ピロリドンカルボン酸塩である請求項20から24のいずれかに記載の防腐防黴方法。
【請求項26】
細菌に対する増殖抑制作用と、真菌に対する増殖抑制作用とを与える請求項20から25のいずれかに記載の防腐防黴方法。
【請求項27】
実質的にパラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)を用いない請求項20から26のいずれかに記載の防腐防黴方法。
【請求項28】
組成物が、外用組成物及び経口組成物のいずれかである請求項20から27のいずれかに記載の防腐防黴方法。

【公開番号】特開2006−70025(P2006−70025A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224960(P2005−224960)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000000217)エーザイ株式会社 (102)
【Fターム(参考)】