説明

防草目地材

【課題】アスファルトやコンクリート構造物の継目部分の防草において、特殊な加熱装置を用いなくとも使用でき、さらに効力が長時間持続する防草目地材、及びそれを用いた防草処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】植物生理活性物質、及び、アクリル樹脂又はウレタン樹脂を主成分とするコーティング材を含有することを特徴とする目地材、及び、当該目地材を、アスファルト又はコンクリート構造物の継目部に充填することを特徴とする、継目処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路とこれに付帯するコンクリート構造物の間等の防草を目的としており、特に雑草が繁茂し易い農道、舗道、堤防等において、前記雑草の成育を防止するようにした防草目地材に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルトと高分子物と増量材を混合したものに除草剤及び/又は忌避剤を混合したことを特徴とする防草目地材が知られており、高分子物として、天然ゴム、スチレンブタジエン、イソプレンゴム、ブチルゴム等の合成ゴム、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー等の熱可塑性エラストマーの単独またはこれらの混合物が例示されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平2−27004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記目地材は、アスファルトを含有しているために特殊な加熱装置が必要なこと、徐放性が十分でないために効力が長時間持続しないこと、等の問題があった。
本発明は、特殊な加熱装置を用いなくとも使用でき、さらに効力が長時間持続する防草目地材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アクリル樹脂又はウレタン樹脂中に植物生理活性物質を溶解または分散させた目地材を用いることで上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(a)植物生理活性物質、及び(b)アクリル樹脂又はウレタン樹脂を主成分とするコーティング組成物を含有することを特徴とする目地材や、
(2)(a)植物生理活性物質が除草剤であることを特徴とする、(1)に記載の目地材に関する。
【0006】
また、本発明は、
(3)(a)植物生理活性物質が、(b)アクリル樹脂又はウレタン樹脂を主成分とするコーティング組成物に溶解又は分散されていることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の目地材や、
(4)成形体であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の目地材に関する。
【0007】
さらに本発明は、
(5)(1)〜(3)のいずれかに記載の目地材を、アスファルト又はコンクリート構造物の継目部に充填することを特徴とする、継目処理方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の目地材を用いると、人の手の行き届き難い隙間や目地からの雑草類を長期間抑えることができる。また、本発明の材は隙間の隅々まで充填でき、作業労力を軽減するとともに防草効果が長期間持続する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(目地材)
本発明の目地材はアスファルト又はコンクリート等の構造物の継目部に適用する目地材であって、(a)植物生理活性物質、及び、(b) アクリル樹脂又はウレタン樹脂を主成分とするコーティング組成物を含有することを特徴とする。
【0010】
(植物生理活性物質)
植物生理活性物質としては、目地材の他の成分に溶解又は分散できる限りにおいて特に制限されず、土壌処理タイプでもよいし、茎葉処理タイプでもよい。植物生理活性物質としては例えば、除草剤、生長調節剤等が挙げられ、除草剤が好ましく、非選択性土壌処理型の除草剤で、宿根性雑草に効果が高く、安定性が良く、効果持続の長いものが好ましい。
【0011】
具体的には例えば、フェノキシ系のものとしては3,5,6−トリクロロ−2−ピリジロキシ酢酸[一般名「トリクロピル」、以下[]内は一般名]、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸[2,4−PA]、2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸[MCPP]が、ベンゾイック系としては3,6−ジクロロ−2−メトキシ安息香酸[ダイカンバ]、4−アミノ−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジンカルボキシル酸[ピクロラム]が、カーバメート系としてはメチルN−(4−アミノフェニルスルフォニル)カーバメート[アシュラム]、S−エチルN,N−ジイソブチルチオカーバメート[プチレート]が、ニトリル系としては2,4−ジクロロベンゾニトリル[ジクロベニル]、2,6−ジクロロチオベンズアミド[クロルチアミド]が、ウレア系としては3,(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素[ディウロン]、3,(4−クロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素[モニュロン]、3−(5−エチルスルフォニル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)−1,3−ジメチル尿素[エチジムロン]、3,(5−tert−ブチルイソキサザール−3−イル)−1,1−ジメチル尿素[イソウロン]、3−(5−tert−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)−1,3−ジメチル尿素[テブチウロン]、3,(5−エチルスルフォニル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)−1,3−ジメチル尿素[ブチタゾール]が、ジニトロアニリン系としては2,6−ジニトロ−N,N−ジプロピル−4−トリフルオロメチルアニリン[トリフルラリン]、N−ブチル−N−エチル−2,6−ジニトロ−4−トリフルオロメチルアニリン[ベネフィン(ベスロジン)]、N−(2,6−ジニトロ−3,4−ジメチルフェニル)−1−エチルプロパン−1−アミン[ペンディメタリン]、2,4−ジニトロ−3−(ジプロピルアミノ)−6−トリフルオロメチルベンゼンアミン[プロジアミン]、3,5−ジニトロ−4−(ジプロピルアミノ)ベンゼンスルホンアミド[オリザリン]が、ジフェニルエーテル系としてはメチル5−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−ニトロベンゾエート[ビフェノックス]が、ピリミジン系としては5−プロモ−3−sec−ブチル−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン[プロマシル]、5−プロモ−3−イソプロピル−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン[イソシル]がトリアジン系としては2−クロロ−4,6−ビス[エチルアミノ]−1,3,5−トリアジン[シマジン]、2−クロロ−4−エチルアミノ−6−イソプロピルアミノ−1,3,5−トリアジン[アトラジン]が、トリアゾール系としては1−[4−クロロ−3−[(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)メチル]フェニル]−5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボアミド[フルポキサム]が、脂肪酸系としてはトリクロロ酢酸カルシウム[TCA]、2,2−ジクロロプロピオン酸[タラポン]、2,2,3,3−テトラフルオロプロピオン酸[テトラピオン]が、無機系としてはカルシウシアナミド[シアナミド]、アムモニウム(またはナトリウムまたはカリウム)チオシアネート[チオシアネート]等が使用できる。
【0012】
これらは1種単独で使用しても2種以上を用いてもよい。これらの植物生理活性物質の含有量は発明の効果が得られる限りにおいて特に制限されないが、目地材中、0.01〜20重量%含有されていることが好ましく、0.1〜10重量%含有されていることがさらに好ましい。
【0013】
(コーティング組成物)
本発明の目地材は、有効成分である植物生理活性物質と目地材の主剤であるアクリル樹脂又はウレタン樹脂を主成分とするコーティング組成物とを混合したものであるが、植物生理活性物質がコーティング組成物に溶解又は分散されているのが好ましい。
【0014】
アクリル樹脂としては、公知のアクリル樹脂を使用することができる。アクリル樹脂とはアクリロイル基(メタクリロイル基を含む。以下同じ。)を有するアクリル酸エステル単量体(メタクリル酸エステル単量体を含む。以下同じ。)をモノマー成分とする単独重合体(ホモポリマー)または共重合体(コポリマー)である。例えば、1種のアクリル酸エステル単量体の単独重合体、2種以上のアクリル酸エステル単量体の共重合体、1種以上のアクリル酸エステル単量体と1種以上のアクリル酸エステル単量体以外の単量体との共重合体が挙げられる。例えば、アクリル酸エステル単量体以外の単量体としては、シリコン系、ウレタン系、スチレン系、酢酸ビニル系の単量体が挙げられる。
【0015】
具体的に、アクリル樹脂を主成分とするコーティング組成物としては、従来公知のものを用いることができ、水性のアクリルエマルジョンが好ましく使用される。アクリルエマルジョンとしては、アクリル−スチレン系、アクリル−酢酸ビニル系、アクリル−シリコン系、アクリル−ウレタン系等が挙げられ、具体的には例えば、酢酸ビニル−アクリル酸共重合物、酢酸ビニル−メタクリル酸共重合物、酢酸ビニル−アクリル酸アルキル共重合物、酢酸ビニル−メタクリル酸アルキル共重合物、アクリロニトリル−アクリル酸共重合物、アクリロニトリル−アクリル酸アルキル共重合物、アクリロニトリル−メタクリル酸アルキル共重合物、アクリロニトリル−メタクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル−スチレン共重合物、アクリロニトリル−メタクリル酸ジアルキルアミノアルキル−アクリルアミド共重合物、アクリル酸−メタクリル酸共重合物、アクリル酸−アクリル酸アルキル共重合物等の金属塩、アクリル酸−アクリル酸アルキル−アクリルアミド共重合物、アクリル酸−メタクリルアミド−スチレン共重合物、メタクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル共重合物、メタクリル酸金属塩−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル共重合物、メタクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル−アクリルアミド共重合物、メタクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合物、アクリル酸アルキル−アクリルアミド−スチレン共重合物、メタクリル酸アルキル−アクリル酸アルキル−無水マレイン酸共重合物、メタクリル酸アルキル−アクリル酸アルキル−無水マレイン酸金属塩共重合物、アクリル酸アルキル−スチレン−無水マレイン酸金属塩共重合物、メタクリル酸アルキル−フマル酸共重合物、アクリル酸アルキル−イタコン酸金属塩共重合物等およびこれらの変性物を、必要に応じて乳化剤等を用いて水系エマルジョンとし用いることができる。例えば、市販品としてコニシ株式会社製のボンコートを用いることができる。
【0016】
ウレタン樹脂としては、公知のウレタン樹脂を使用することができ、水系ウレタン樹脂が好ましい。
【0017】
ウレタン樹脂は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを硬化成分として含有し、これに後述する各種添加剤を配合したものである。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、イソシアネート基が湿気(水分)と反応し、尿素結合を形成して架橋、硬化するものであり、活性水素化合物と、有機イソシアネートとを、活性水素(基)に対してイソシアネート基過剰の条件で、或いは活性水素化合物としてアルコール性水酸基含有化合物を使用した場合は、水酸基に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるものが好適である。
【0018】
前記活性水素化合物としては、ポリオール、アミノアルコール、ポリアミンなどが挙げられる。
ポリオールは、低分子のポリオールと高分子のポリオールがあり、このうち高分子のポリオールが好ましい。高分子のポリオールとしては、ポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリエーテル・エステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリルポリオール、炭化水素系ポリオール等が挙げられ、数平均分子量500以上、好ましくは1,000以上のものである。
【0019】
ポリオキシアルキレン系ポリオールは、具体的には、ポリオキシエチレン系ポリオール、ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシブチレン系ポリオール、ポリテトラメチレンエーテル系ポリオール、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ランダム或いはブロック共重合系ポリオール、ポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシブチレン)−ランダム或いはブロック共重合系ポリオールなどを挙げることができ、また、これらの各種ポリオールと有機イソシアネートとを、イソシアネート基に対し水酸基過剰で反応させて、分子末端を水酸基としたものも挙げられる。
ポリエーテル・エステルポリオールとしては、例えば、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールと前記のジカルボン酸、酸無水物等とから製造される化合物が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前記のポリオキシアルキレン系ポリオールの製造に用いる低分子多価アルコール類と、ホスゲンとの脱塩酸反応、或いはジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応などから得られる化合物が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリルポリオールとしては、水酸基を含有するヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどを他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合したものなどが挙げられる。
炭化水素系ポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオールや水素添加ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール、塩素化ポリプロピレンポリオールなどが挙げられる。
【0020】
ポリアミンとしては、ポリプロピレングリコールの末端ジアミノ化物などの、数平均分子量500以上でポリオキシアルキレン系ポリオールの末端がアミノ基となったポリオキシアルキレンポリアミン等の高分子ポリアミンが挙げられる。ポリアミンとしては更に、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン等の数平均分子量500未満の低分子ポリアミンが挙げられる。
アミノアルコールとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等が挙げられる。
これらはいずれも単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0021】
前記有機イソシアネートとしては、具体的には、有機ポリイソシアネートや、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として、場合により使用される有機モノイソシアネートなどが挙げられる。
有機ポリイソシアネートは、分子内にイソシアネート基を2個以上含有する化合物であり、具体的には例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート等のトルエンジイソシアネート類、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンジイソシアネート類、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等のフェニレンジイソシアネート類、2,4,6−トリメチルフェニル−1,3−ジイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルフェニル−1,3−ジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンジイソシアネート類、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート等のキシリレンジイソシアネート類などの芳香脂肪族ポリイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。更に、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、クルードトルエンジイソシアネートなどの有機ポリイソシアネートも使用できる。また、これらの有機ポリイソシアネートを変性して得られる、ウレトジオン結合、イソシアヌレート結合、アロファネート結合、ビュレット結合、ウレトンイミン結合、カルボジイミド結合、ウレタン結合、ウレア結合などを1以上含有する変性イソシアネートも使用できる。
これらは単独で或いは2種以上組み合わせて使用できる。
【0022】
ウレタン樹脂を主成分とするコーティング組成物として、水性ウレタン樹脂が好ましく使用される。水性ウレタン樹脂としては例えば、エステル系ウレタン樹脂及び/又はエーテル系ウレタン樹脂の水分散タイプ及び/又はエマルジョンタイプなどを使用することができる。
水性ウレタンエマルジョンは前記のウレタンプレポリマー等を乳化剤等を用いて水系溶媒に分散させたものであり、例えば、市販品としては、第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス」シリーズ、住友バイエルウレタン株式会社製「ディスパコール」シリーズ、DIC株式会社製「ハイドラン」シリーズ、三洋化成工業株式会社製「サンプレン」シリーズ等が挙げられる。
【0023】
アクリル樹脂又はウレタン樹脂を主成分とするコーティング組成物としては、公知のコーティング組成物が使用できるが、その組成としては、上記のアクリル樹脂又はウレタン樹脂のほかに、顔料、硬化触媒、溶媒などを含有していてもよい。
【0024】
顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などの着色顔料;タルク、クレー、カオリン、バリタ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナホワイトなどの体質顔料;アルミニウム粉末、雲母粉末、酸化チタンで被覆した雲母粉末などのメタリック顔料などを使用することができる。顔料の種類は目地材の用途や適用場所、周辺環境との調和の観点から適宜選択し、目地材を調色することができる。
【0025】
硬化触媒としてはオクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、テトラブチル錫、ジブチル錫オキシド等の錫触媒が挙げられる。硬化触媒の添加量は固形分に対して、好ましくは0〜0.5質量%、より好ましくは0.01〜0.3質量%である。
【0026】
溶媒としては、コーティング組成物の主成分であるアクリル樹脂又はウレタン樹脂を溶解又は分散するものであればよく、コーティング組成物分野において通常用いられる有機溶剤を挙げることができる。例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブ等のエステル類、アルコール類を例示することができる。
【0027】
コーティング組成物には、その他必要に応じて、粘性制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、表面調整剤、タレ止め剤、増粘剤、消泡剤等のコーティング組成物用に用いられる公知の添加剤を含んでいてもよい。また、アクリル樹脂又はウレタン樹脂以外の他の樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂等を含んでいてもよい。
【0028】
これらのコーティング組成物は、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。これらの成分は目地材の主剤となるものであり、目地材の20〜99.9重量%であることが好ましく、さらに好ましくは50〜99%である。
【0029】
(目地材の形態)
本発明の目地材は、上記の植物生理活性物質及び、アクリル樹脂又はウレタン樹脂を主成分とするコーティング組成物を含有することを特徴とする。さらに、植物生理活性物質がアクリル樹脂又はウレタン樹脂を主成分とするコーティング組成物に溶解又は分散されていることが好ましい。溶解又は分散とは、除草活性の有効成分である物質が、目地材の主剤である樹脂成分中に均一に分布していることをいう。
【0030】
また、本発明の目地材の形態は、不定形の組成物がチューブやバケツ型の容器に充填されていてもよいし、組成物が成形されたものであってもよい。成形された組成物としては、具体的に、フィルム状、シート状、テープ状、ペレット状等が挙げられる。
【0031】
(使用方法)
本発明の目地材は、アスファルト又はコンクリート構造物の継目部に適用する。アスファルト又はコンクリート構造物の継目部とは、具体的には例えば、アスファルト又はコンクリート等の舗装道路の路肩、これらの道路とコンクリート建造物の隙間、プールサイド、飛行場の誘導路、タンクヤード、家屋周り、フェンス等の構造物の継目が挙げられる。
【0032】
本発明の目地材がチューブに入っている場合には、ノズル先端を充てんする部分の幅に合わせて切断し、充填部分にあてながら、薬剤を搾り出して充填処理することができる。
一方、成形体となっている場合には、例えば、適用場所に応じて、成形体の厚さ、幅、長さを調整し、目地に沿って貼り付けたり、挟み込んで処理することができる。
或いは、新道路の敷設の際に、コンクリ−ト面にシ−トを当ててアスファルトを流し込む、既敷設道路の場合は、溜まった土をかきだす等目地を奇麗に清掃してから、かき出した所へ充填剤を注入したり、隙間の厚み・幅・深さに応じてシールする、ペレットを挟み込む等の方法がある。
【0033】
本発明の目地材は、目地に雑草等が蔓延ることを防止・防御するほか、コーティング組成物成分から植物生理活性物質が徐々に放出されることによって、長期的に除草活性を発揮することができる。また、目地材が適用された部分のみでなく、その周辺部にも除草活性を及ぼすことができる。
【実施例】
【0034】
以下実施例を用いて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【0035】
[実施例1](目地材の調製)
市販の水性アクリル系シーリング材(コニシ株式会社製、商品名ボンコートホワイト)にトリフルラリンを2w/w%添加、撹拌し、目地材Aを調製した。
【0036】
(試験1)
目地材Aをテープ状に成型し、メヒシバの種を播種した土壌表面、及び土壌表面から2cmの土中に置床し、1月後にメヒシバの発芽状態、及び成育状況を調査したところ、土壌表面、及び土中のいずれの場合にも、メヒシバの発芽を抑制することができた。
【0037】
(試験2)
ガラスシャーレにろ紙を1枚敷いた後、3.5mlの蒸留水を加えた、次いで、ろ紙中央部に、目地材Aを、0.5g、及び1.0gをシート状にして置床し、メヒシバの種子0.2gをシャーレ全体に播種した。その後、シャーレを25℃、8Kluxの連続光のインキュベータ内に静置し、10日後に目地材を中心として半径3cmの範囲に生育するメヒシバ10個体を無作為に抽出し、メヒシバの草丈を測定した。さらに、シャーレからろ紙を取り出し、室温に20日間、40日間、60日間、80日間放置し、同様にメヒシバの草丈を測定した。その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
(試験3)
ワグネルポットに畑土壌(埴壌土)を充填した後に、0.4gのメヒシバの種子をポット全体に均一に播種した。ついで、同じ畑土壌で約5mmの厚さに覆土した後、ポットの中央部に目地材Aを0.2g、及び0.4gをシート状に成型して、置床した。その後、適宜潅水しながら自然光下の無加温ガラス室内でメヒシバを育成し、播種4月後に目地材周辺2cm以内に成育するメヒシバを無作為に10個体抽出し、その草丈を測定し、その平均値を求めた。その結果を表2に示す。
【0040】
【表2】

【0041】
(試験4)
土の上に20cm四方の石を2枚隣接して敷き、その隣接部の隙間にメヒシバの種子を均一に播種し、ブランクとした。また、同様にして準備した隣接した2枚の石の隙間を、メヒシバの種子を播種後、目地材Aを用いてコーティングし、自然光下、113日後に無作為抽出した5個体のメヒシバの草丈を測定し、その平均値を求めた。その結果を表3に示す。
【0042】
【表3】

【0043】
[実施例2](目地材の調製)
市販の水性アクリル系シーリング材(コニシ株式会社製、商品名ボンコートホワイト)にフルポキサムを2w/w%添加、撹拌し、目地材Bを調製した。
【0044】
(試験2〜4)
目地材Bについて、実施例1の試験2〜4と同様にして試験をおこなった。
試験2の結果を表4に示す。
【0045】
【表4】

【0046】
試験3の結果を表5に示す。
【0047】
【表5】

【0048】
試験4の結果を表6に示す。
【0049】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)植物生理活性物質、及び
(b)アクリル樹脂又はウレタン樹脂を主成分とするコーティング組成物を含有することを特徴とする目地材。
【請求項2】
(a)植物生理活性物質が除草剤であることを特徴とする、請求項1に記載の目地材。
【請求項3】
(a)植物生理活性物質が、(b)アクリル樹脂又はウレタン樹脂を主成分とするコーティング組成物に溶解又は分散されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の目地材。
【請求項4】
成形体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の目地材。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の目地材を、アスファルト又はコンクリート構造物の継目部に充填することを特徴とする、継目処理方法。

【公開番号】特開2009−287255(P2009−287255A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140184(P2008−140184)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(502083174)株式会社 ニッソーグリーン (4)
【Fターム(参考)】