説明

除塵設備

【課題】自動除塵機の運転回数は変えることなく、後段の関連装置の運転回数を低減することにより省エネルギーを図るようにした除塵設備を提供すること。
【解決手段】し渣を捕捉して水中から掻き揚げる自動除塵機1と、自動除塵機1が掻き揚げたし渣Sを搬送するベルトコンベア2とを備えた除塵設備において、自動除塵機1のシュート部15に、掻き揚げたし渣Sを一時的に貯留するホッパ3を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理場等の除塵設備に関し、特に、自動除塵機の運転回数は変えることなく、後段の関連装置の運転回数を低減することにより省エネルギーを図るようにした除塵設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水処理場やポンプ場の沈砂池において、し渣を除去する除塵設備は、図3〜図4に示すように、例えば、し渣Sを捕捉して水中から掻き揚げる自動除塵機1と、掻き揚げたし渣Sを搬送するベルトコンベア2と、搬送したし渣Sを洗浄する洗浄機と、洗浄したし渣Sを脱水するし渣脱水機と、脱水したし渣Sを貯留するし渣ホッパとを備えている。
【0003】
自動除塵機1は、水路を遮るように水面に対して斜めに配設された所要目幅のバースクリーン11と、このバースクリーン11に沿ってチェーン12を駆動し、バースクリーン11にて捕捉されたし渣Sをレーキ13で掻き揚げて除去するレーキ装置14とを備えている。
自動除塵機1により掻き揚げられたし渣Sは、シュート部15を介してベルトコンベア2に随時供給される。
【0004】
下水処理場などでは、これらの装置の運転は自動で行われており、自動除塵機が運転すると後段の搬送・洗浄設備等、関連装置がすべて運転する。
自動除塵機の運転時期としては、タイマーによる一定間隔、ポンプの運転に連動、又はスクリーン前後の水位差が一定量に達したときなどが挙げられる。
ただ、いずれの場合にも、晴天時の下水中のし渣量はわずかであるため、自動除塵機が掻き揚げるし渣量も少なく、搬送、洗浄、脱水等の関連装置は、本来有するし渣処理能力に対して低い負荷で運転を行っている。
【0005】
このようなことから、し渣除去に関する装置の消費電力は、本来の対象物であるし渣による負荷はわずかで、装置自身の自重や摩擦抵抗によるものがほとんどであり、エネルギーが無駄になっている。
そこで、省エネルギーの手段として、自動除塵機の運転回数を減らす方法が考えられるが、自動除塵機の運転回数を減らし、運転間隔を長くすると、スクリーンの目詰まりが生じ、スクリーン前後の水位差が大きくなる。このため、自動除塵機の運転回数を減らすことは困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の除塵設備が有する問題点に鑑み、自動除塵機の運転回数は変えることなく、後段の関連装置の運転回数を低減することにより省エネルギーを図るようにした除塵設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の除塵設備は、し渣を捕捉して水中から掻き揚げる自動除塵機と、自動除塵機が掻き揚げたし渣を搬送する搬送装置とを備えた除塵設備において、自動除塵機のシュート部に、掻き揚げたし渣を一時的に貯留するホッパを設けたことを特徴とする。
【0008】
この場合において、ホッパが、貯留したし渣の重量又は高さを検知し、かつ所定量に達したときに開いて搬送装置にし渣を投入する自動投入手段を備えることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の除塵設備によれば、し渣を捕捉して水中から掻き揚げる自動除塵機と、自動除塵機が掻き揚げたし渣を搬送する搬送装置とを備えた除塵設備において、自動除塵機のシュート部に、掻き揚げたし渣を一時的に貯留するホッパを設けることから、自動除塵機の運転中でもホッパにし渣が所定量溜まるまでは、搬送、洗浄、脱水等の関連装置を停止しておき、し渣が所定量に達した時点でホッパを開いて搬送装置に投入し、搬送、洗浄、脱水等の関連装置を運転することができ、これにより、関連装置の運転回数を少なくし、スクリーン水位差を大きくすることなく、除塵設備の省エネルギーと後段の関連装置の長寿命化を図ることができる。
【0010】
この場合、ホッパが、貯留したし渣の重量又は高さを検知し、かつ所定量に達したときに開いて搬送装置にし渣を投入する自動投入手段を備えることにより、ホッパの開閉を自動で行うことができ、搬送、洗浄、脱水等の関連装置をこのホッパの開閉に連動させることにより、これら関連装置の運転を自動的に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の除塵設備の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1〜図2に、本発明の除塵設備の一実施例を示す。
この除塵設備は、し渣を捕捉して水中から掻き揚げる自動除塵機1と、自動除塵機1が掻き揚げたし渣Sを搬送するベルトコンベア2と、搬送したし渣Sを洗浄する洗浄機(図示省略)と、洗浄したし渣Sを脱水する脱水機(図示省略)とを備えている。
そして、この除塵設備は、自動除塵機1のシュート部15に、掻き揚げたし渣Sを一時的に貯留するホッパ3を設けている。
【0013】
自動除塵機1は、水路を遮るようにして、かつ水面に対して予め定めた角度にて配設された所要目幅のバースクリーン11と、このバースクリーン11に沿ってチェーン12を駆動し、バースクリーン11にて捕捉されたし渣Sをレーキ13で掻き揚げて除去するレーキ装置14とを備えている。
なお、自動除塵機1は上記構成に限定するものではなく、例えば、スクリーンを可動式にして除塵するような構成も採用しうる。
また、本実施例では、ベルトコンベア2を搬送装置として使用しているが、例えば、スクリューコンベア等も採用することができる。
【0014】
ホッパ3は、レベルセンサ31や荷重計(図示省略)により貯留したし渣Sの高さや重量を検知し、かつ所定量に達したときに底部を開いてベルトコンベア2にし渣Sを投入する自動投入手段を備えており、ホッパ3の開閉を電動シリンダ32により自動で行うことができる。
ベルトコンベア2や洗浄機、脱水機等の関連装置は、このホッパ3の自動投入手段と連動しており、ホッパ3が閉じている間は停止し、ホッパ3が開くときに自動的に運転を開始する。
これにより、自動除塵機1の運転回数は変えずに、関連装置の運転回数を低減して省エネルギーを図る。
【0015】
次に、本実施例の除塵設備の作用を説明する。
自動除塵機1が掻き揚げたし渣Sを、自動除塵機1のシュート部15に設けたホッパ3に一時的に貯留し、ホッパ3内の貯留量が所定の量となったことを検知したときに、ホッパ3を開けて貯留していたし渣Sをベルトコンベア2に投入する。
【0016】
この場合、ホッパ3が貯留するし渣Sの量を、洗浄機や脱水機等の関連装置のし渣処理能力と等しくすることにより、適正な負荷での運転を行うことができる。
また、ホッパ3に貯まるし渣Sの量は、レベルセンサ31による高さ検出や、荷重計による重量検出で行うことができる。
そして、ホッパ3を開けると同時に、ベルトコンベア2や洗浄機、脱水機等の関連装置を運転するようにする。
【0017】
かくして、本実施例の除塵設備によれば、し渣Sを捕捉して水中から掻き揚げる自動除塵機1と、自動除塵機1が掻き揚げたし渣Sを搬送するベルトコンベア2とを備えた除塵設備において、自動除塵機1のシュート部15に、掻き揚げたし渣Sを一時的に貯留するホッパ3を設けることから、自動除塵機1の運転中でもホッパ3にし渣Sが所定量溜まるまでは、搬送、洗浄、脱水等の関連装置を停止しておき、し渣Sが所定量に達した時点でホッパ3を開いてベルトコンベア2に投入し、搬送、洗浄、脱水等の関連装置を運転することができ、これにより、関連装置の運転回数を少なくし、スクリーン水位差を大きくすることなく、除塵設備の省エネルギーと後段の関連装置の長寿命化を図ることができる。
【0018】
この場合、ホッパ3が、貯留したし渣Sの重量又は高さを検知し、かつ所定量に達したときに開いてベルトコンベア2にし渣Sを投入する自動投入手段を備えることにより、ホッパ3の開閉を自動で行うことができ、搬送、洗浄、脱水等の関連装置をこのホッパ3の開閉に連動させることにより、これら関連装置の運転を自動的に制御することができる。
【0019】
以上、本発明の除塵設備について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の除塵設備は、自動除塵機の運転回数は変えることなく、搬送装置や洗浄機、脱水機等の関連装置の運転回数を低減するという特性を有していることから、省エネルギーや関連装置の長寿命化を図る除塵設備の用途に広く好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の除塵設備の一実施例を示す断面図である。
【図2】同除塵設備のホッパを開いた状態を示す断面図である。
【図3】し渣の除塵設備の一例を示すフロー図である。
【図4】従来の除塵設備を示す断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 自動除塵機
11 バースクリーン
12 チェーン
13 レーキ
14 レーキ装置
15 シュート部
2 ベルトコンベア
3 ホッパ
31 レベルセンサ
32 電動シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
し渣を捕捉して水中から掻き揚げる自動除塵機と、自動除塵機が掻き揚げたし渣を搬送する搬送装置とを備えた除塵設備において、自動除塵機のシュート部に、掻き揚げたし渣を一時的に貯留するホッパを設けたことを特徴とする除塵設備。
【請求項2】
ホッパが、貯留したし渣の重量又は高さを検知し、かつ所定量に達したときに開いて搬送装置にし渣を投入する自動投入手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の除塵設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−280804(P2008−280804A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127804(P2007−127804)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)