説明

除草組成物

【課題】幅広い殺草スペクトルを持ち、高活性で且つ持続効果の長い除草組成物を提供する。
【解決手段】下記化合物Aと下記化合物Bとを含有する除草組成物。
化合物A:フラザスルフロン及びトリフロキシスルフロンからなる群より選ばれる少なくとも1種のスルホニルウレア系化合物又はその塩。
化合物B:クロルチアミド及びジクロベニルからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンゾニトリル系化合物又はその塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラザスルフロン(flazasulfuron)及びトリフロキシスルフロン(trifloxysulfuron)からなる群より選ばれる少なくとも1種のスルホニルウレア系化合物又はその塩と、クロルチアミド(chlorthiamid)及びジクロベニル(dichlobenil)からなる群より選ばれる少なくとも1種のベンゾニトリル系化合物又はその塩とを含有する除草組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
農耕地や、非農耕地における望ましくない植物(以下単に雑草という)を防除するために数多くの除草組成物が検討されている。例えば、特許文献1には、ハロスルフロン、シクロスルファムロン、エトキシスルフロン、イマゾスルフロンのようなスルホニルウレア系除草剤と、ジクロベニル又はクロロチアミドとを除草有効成分として含有する除草組成物が開示されている。しかしながら、フラザスルフロン(flazasulfuron)及びトリフロキシスルフロン(trifloxysulfuron)からなる群より選ばれる少なくとも1種のスルホニルウレア系化合物又はその塩と、クロルチアミド(chlorthiamid)及びジクロベニル(dichlobenil)からなる群より選ばれる少なくとも1種のベンゾニトリル系化合物又はその塩とを含有する除草組成物については、具体的に記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-57310
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、数多くの除草組成物が開発され使用されているが、防除の対象となる雑草は種類も多く、発生も長期にわたるため、より幅広い殺草スペクトル(spectrum)を持ち、高活性で且つ持続効果の長い除草組成物の出現が望まれている。また、既存の除草組成物に対する感受性が低下した雑草が問題となることもある。
本発明の目的は、幅広い殺草スペクトルを持ち、高活性で且つ持続効果の長い除草組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記の化合物Aと化合物Bとを組合せることにより、幅広い殺草スペクトルを持ち、高活性で且つ持続効果の長い除草組成物を提供することができる。
すなわち、本発明は、以下(1)〜(12)の要旨を有するものである。
(1)下記化合物Aと下記化合物Bとを含有する除草組成物。
化合物A:フラザスルフロン及びトリフロキシスルフロンからなる群より選ばれる少なくとも1種のスルホニルウレア系化合物又はその塩。
化合物B:クロルチアミド及びジクロベニルからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンゾニトリル系化合物又はその塩。
(2)化合物Aと化合物Bとの混合比率が、重量比で1:1.25〜1:1,000である、上記(1)に記載の除草組成物。
(3)化合物Aが、フラザスルフロン又はその塩である、上記(1)に記載の除草組成物。
(4)化合物Bが、クロルチアミド又はその塩である、上記(1)に記載の除草組成物。
(5)化合物Aがフラザスルフロン又はその塩であり、化合物Bがクロルチアミド又はその塩である、上記(1)に記載の除草組成物。
(6)下記化合物Aと下記化合物Bとを含有する除草組成物を、望ましくない植物又はそれらが生育する場所に、除草に有効な量を施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法。
化合物A:フラザスルフロン及びトリフロキシスルフロンからなる群より選ばれる少なくとも1種のスルホニルウレア系化合物又はその塩。
化合物B:クロルチアミド及びジクロベニルからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンゾニトリル系化合物又はその塩。
(7)化合物Aの除草に有効な量と、化合物Bの除草に有効な量とを、望ましくない植物又はそれらが生育する場所に施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制することを特徴とする方法。
化合物A:フラザスルフロン及びトリフロキシスルフロンからなる群より選ばれる少なくとも1種のスルホニルウレア系化合物又はその塩。
化合物B:クロルチアミド及びジクロベニルからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンゾニトリル系化合物又はその塩。
(8)化合物Aの施用量が10〜200g/haであり、化合物Bの施用量が500〜10,000g/haである、上記(6)又は(7)に記載の方法。
(9)前記望ましくない植物が、芝生中の多年生カヤツリグサ科雑草である、上記(6)又は(7)に記載の方法。
(10)化合物Aが、フラザスルフロン又はその塩である、上記(6)又は(7)に記載の方法。
(11)化合物Bが、クロルチアミド又はその塩である、上記(6)又は(7)に記載の方法。
(12)化合物Aがフラザスルフロン又はその塩であり、化合物Bがクロルチアミド又はその塩である、上記(6)又は(7)に記載の方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、幅広い殺草スペクトルを持ち、高活性で、除草成分の施用量が低減され、且つ持続効果の長い除草組成物を提供することができる。また、既存の除草組成物に対する感受性が低下した雑草を防除することもできる。
【0007】
2種の有効成分を組合わせた場合の除草活性が、その2種の有効成分各々の除草活性の単純な合計(期待される活性)よりも大きくなる場合、これを相乗作用という。2種の有効成分の組合せにより期待される活性は、次のようにして計算することができる(Colby S.R.、「Weed」15巻、20〜22頁、1967年を参照)。
E=α+β−(α×β÷100)
α;除草剤Xをxg/aの量で処理した時の生育抑制率
β;除草剤Yをyg/aの量で処理した時の生育抑制率
E;除草剤Xをxg/a及び除草剤Yをyg/aの量で処理した時に期待される生育抑制率
すなわち、実際の生育抑制率(実測値)が上記計算による生育抑制率(計算値)より大きい場合には、組合せによる活性は相乗作用を示すということができる。本発明の除草組成物は、上記式で計算した場合、相乗作用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
化合物A中、スルホニルウレア系化合物としてのフラザスルフロン(一般名)は1−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)−3−(3−トリフルオロメチル−2−ピリジルスルホニル)ウレアであり、トリフロキシスルフロン(一般名)は1−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)−3−[3−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジルスルホニル]ウレアである。化合物Aの中では、スルホニルウレア系化合物であるフラザスルフロンが望ましい。
【0009】
化合物B中、ベンゾニトリル系化合物としてのクロルチアミド(一般名)は2,6−ジクロロチオベンズアミドであり、ジクロベニル(一般名)は2,6−ジクロロベンゾニトリルである。化合物Bの中では、ベンゾニトリル系化合物であるクロルチアミドが望ましい。
【0010】
化合物A又は化合物Bに含まれる塩としては、農業上許容されるものであればいずれのものでもよいが、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のようなアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のようなアルカリ土類金属塩;モノメチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩等のようなアンモニウム塩;塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩等のような無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩等のような有機酸塩などが挙げられる。
化合物A又は化合物Bに含まれる塩としては、アルカリ金属塩等が好ましく、特にはナトリウム塩が好ましい。
【0011】
化合物Aと化合物Bの混合比率は、製剤形態、気象条件、防除対象雑草の種類、防除対象雑草の生育状況などに応じ適宜調整する必要があり、一概に定めることはできないが、例えば重量比で1:1.25〜1:1,000、望ましくは1:5〜1:500、更に望ましくは1:66〜1:320、特に望ましくは1:80〜1:240である。
【0012】
化合物Aと化合物Bの施用量は、化合物Aと化合物Bの混合比率、製剤形態、気象条件、防除対象雑草の種類、防除対象雑草の生育状況などに応じ適宜調整する必要があり一概に定めることはできないが、例えば化合物Aは10〜200 g/ha、望ましくは20〜100 g/ha、更に望ましくは25〜75 g/ha、特に望ましくは33〜62.5 g/haであり、化合物Bは250〜10,000 g/ha、望ましくは500〜10,000 g/ha、更に望ましくは5,000〜8,000 g/ha、特に望ましくは5,000〜8,000g/haである。
【0013】
本発明の除草組成物の施用は、雑草への施用又は雑草が生育する場所への施用のいずれでもよい。また、雑草の発生前後いずれの時期に施用してもよい。
また、本発明の除草組成物の施用においては、土壌処理、茎葉処理、灌水処理、湛水処理のような種々の散布形態を選択することができる。
さらに、本発明の除草組成物は、畑地、果樹園、水田等の農耕地、或いは畦畔、休耕田、運動場、ゴルフ場、空き地、森林、工場敷地、線路脇、道路脇等の非農耕地への施用が可能である。
【0014】
本発明の除草組成物は、一年生雑草や多年生雑草などの広範囲の雑草を防除することができる。具体的には、例えばヒメクグ(green kyllinga(Cyperus brevifolia var. leiolepis))、ハマスゲ(purple nutsedge (Cyperus rotundus L.))、カヤツリグサ(Amur cyperus(Cyperus microiria Steud.))のようなカヤツリグサ科雑草(cyperaceae);イヌビエ(barnyardgrass (Echinochloa crus-galli L.、Echinochloa oryzicola vasing.))、メヒシバ(crabgrass (Digitaria sanguinalis L.、Digitaria ischaemum Muhl. 、Digitaria adscendens Henr. 、Digitaria microbachne Henr. 、Digitaria horizontalis Willd.))、エノコログサ(green foxtail (Setaria viridis L.))、オヒシバ(goosegrass (Eleusine indica L.))、カラスムギ(wild oat (Avena fatua L.))、セイバンモロコシ(johnsongrass (Sorghum halepense L.))、シバムギ(quackgrass (Agropyron repens L.))、スズメノカタビラ(annual bluegrass (Poa annua L.))のようなイネ科雑草(gramineae);オオイヌノフグリ(Persian speedwell (Veronica persica Poir.))、タチイヌノフグリ(Corn speedwell(Veronica arvensis L.))のようなゴマノハグサ科雑草(scrophulariaceae);ウラジロチチコグサ(Purple Cudweed (Gnaphalium spicatum Lam.))、ハハコグサ(Jersey Cudweed(Gnaphalium affine D.DON))、アレチノギク(hairy fleabane(Conyza bonariensis (L.) Cronq.))、ヒメムカシヨモギ(horseweed (Erigeron canadensis L.))、セイヨウタンポポ(dandelion (Taraxacum officinale Weber))、オナモミ(common cocklebur (Xanthium strumarium L.))のようなキク科雑草(compositae);シロツメクサ(white clover (Trifolium repens L.))、コメツブウマゴヤシ(black medic (Medicago lupulina L.))、スズメノエンドウ(tiny vetch(Vicia hirsuta (L.) S. F. Gray))のようなマメ科雑草(leguminosae);オランダミミナグサ(sticky chickweed (Cerastium glomeratum Thuill.))、ハコベ(common chickweed (Stellaria media L.))のようなナデシコ科雑草(caryophyllaceae);コニシキソウ(prostrate spurge(Euphorbia supina Raf.))、エノキグサ(threeseeded copperleaf (Acalypha australis L.))のようなトウダイグサ科雑草(euphorbiaceae);オオバコ(Asiatic plantain(Plantago asiatica L.))のようなオオバコ科雑草(Plantaginaceae);カタバミ(creeping woodsorrel(Oxalis corniculata L.))のようなカタバミ科雑草(Oxalidaceae);チドメグサ(lawn pennywort(Hydrocotyle sibthorpioides Lam.))のようなセリ科雑草(Apiaceae);スミレ(Violet(Viola mandshurica W. Becker))のようなスミレ科雑草(Violaceae);ニワゼキショウ(blue−eyedgrass(Sisyrinchium rosulatum Bicknell))のようなアヤメ科雑草(Iridaceae);アメリカフウロ(Carolina geranium(Geranium carolinianum L.))のようなフウロソウ科雑草(Geraniaceae);ヒメオドリコソウ(purple deadnettle(Lamium purpureum L.))、ホトケノザ(henbit (Lamium amplexicaule L.))のようなシソ科雑草(labiatae);イチビ(velvetleaf (Abutilon theophrasti MEDIC.))、アメリカキンゴジカ(prickly sida (Sida spinosa L.))のようなアオイ科雑草(malvaceae);マルバアサガオ(tall morningglory (Ipomoea purpurea L.))のようなヒルガオ科雑草(convolvulaceae);シロザ(common lambsquarters (Chenopodium album L.))のようなアカザ科雑草(Chenopodiaceae);スベリヒユ(common purslane (Portulaca oleracea L.))のようなスベリヒユ科雑草(Portulacaceae);アオゲイトウ(redroot pigweed (Amaranthus retroflexus L.))のようなヒユ科雑草(amaranthaceae);イヌホオズキ(black nightshade (Solanum nigrum L.))のようなナス科雑草(solanaceae);オオイヌタデ(spotted knotweed (Polygonum lapathifolium L.))、サナエタデ(green smartweed (Polygonum scabrum MOENCH))のようなタデ科雑草(polygonaceeae);タネツケバナ(flexuous bittercress (Cardamine flexuosa WITH.))のようなアブラナ科雑草(cruciferae);などが挙げられる。
【0015】
本発明の除草組成物は、例えば芝生中の雑草を防除又はその生育を抑制する上で優れた効果を奏する。特に、ヒメクグ、ハマスゲ、カヤツリグサ等のようなカヤツリグサ科雑草、中でもヒメクグ、ハマスゲ等のような多年生カヤツリグサ科雑草の防除に好適である。 また、本発明の除草組成物は、フラザスルフロンやトリフロキシスルフロンのようなスルホニルウレア系化合物に対する感受性が低下した雑草(以下単に感受性が低下した雑草という。)を防除又はその生育を抑制する上でも優れた効果を奏する。この感受性が低下した雑草の一例としては、ヒメクグなどが挙げられる。また本発明の除草組成物は、前述の感受性が低下したヒメクグのみならず、それ以外の感受性が低下した雑草を防除又はその生育を抑制する上で優れた効果を奏することもある。
【0016】
本発明の除草組成物は、更に他の除草性化合物を混用することができ、これにより適用草種の範囲、薬剤処理の時期、除草活性等を、より好ましい方向へ改良できる場合がある。当該他の除草有効成分(一般名)としては、例えば、アシュラム(asulam)、トリクロピル(triclopyr)、2,4-D、MCPA、メコプロップ(mecoprop)、フルポキサム(flupoxam)、スルフェントラゾン(sulfentrazone)、ハロスルフロン(halosulfuron)、ペノキシスラム(penoxsulam)、フルアジホップ(fluazifop)、インダノファン(indanofan)、ジチオピル(dithiopyr)、オキサジクロメホン(oxaziclomefone)、ペンディメタリン(pendimethalin)などが挙げられる。なお、特に記載がない場合であってもこれら化合物に塩、アルキルエステル、水和物、異なる結晶形態、各種構造異性体等が存在する場合は、当然それらも含まれる。
【0017】
本発明の除草組成物は、有効成分である化合物A又は化合物Bを、通常の農薬の製剤方法に準じて各種補助剤と配合し、粉剤、粒剤、顆粒水和剤、水和剤、錠剤、丸剤、カプセル剤(水溶性フィルムで包装する形態を含む)、水性懸濁剤、油性懸濁剤、マイクロエマルジョン製剤、サスポエマルジョン製剤、水溶剤、乳剤、液剤、ペースト剤などの種々の形態に製剤調製し、施用することができるが、本発明の目的に適合するかぎり、通常の当該分野で用いられているあらゆる製剤形態にすることができる。
【0018】
製剤調製に際しては、化合物Aと化合物Bとを一緒に混合し製剤調製しても、或はそれらを別々に製剤調製し、施用時に混合してもよい。
【0019】
製剤に使用する補助剤としては、カオリナイト、セリサイト、珪藻土、消石灰、炭酸カルシウム、タルク、ホワイトカーボン、カオリン、ベントナイト、クレー、炭酸ナトリウム、重曹、芒硝、ゼオライト、澱粉のような固形担体;水、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アルコールのような溶剤;脂肪酸塩、安息香酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルジグリコールエーテル硫酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルアリールリン酸塩、スチリルアリールリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩のような陰イオン系の界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセライド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステルのような非イオン系の界面活性剤;オリーブ油、カポック油、ひまし油、シュロ油、椿油、ヤシ油、ごま油、トウモロコシ油、米ぬか油、落花生油、綿実油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、きり油、液状パラフィンのような植物油や鉱物油などが挙げられる。これら補助剤の各成分は、本発明の目的から逸脱しないかぎり、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。また、前記した補助剤以外にも当該分野で知られたものの中から適宜選んで使用することもできる。例えば、増量剤、増粘剤、沈降防止剤、凍結防止剤、分散安定剤、薬害軽減剤、防黴剤、発泡剤、崩壊剤、結合剤などの通常使用される各種補助剤も使用することができる。本発明の除草組成物における有効成分と各種補助剤との配合割合は、重量%比で0.001:99.999〜95:5、望ましくは0.005:99.995〜90:10とすることができる。
【0020】
本発明の除草組成物の施用方法は、種々の方法を採用でき、施用場所、製剤形態、防除対象植物の種類、防除対象植物の生育状況などの各種条件に応じて適宜使い分けることができる。例えば、以下のような方法が挙げられる。
1.化合物Aと化合物Bとを一緒に混合し、製剤調製したものをそのまま施用する。
2.化合物Aと化合物Bとを一緒に混合し、製剤調製したものを水等で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して施用する。
3.化合物Aと化合物Bとを別々に製剤調製し、各々をそのまま施用する。
4.化合物Aと化合物Bとを別々に製剤調製し、必要に応じて各々を水等で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して、各々施用する。
5.化合物Aと化合物Bとを別々に製剤調製したものを、水等で所定濃度に希釈する時に混合し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して施用する。
【0021】
以下に本発明における望ましい態様の一例を記載するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
(1)フラザスルフロン又はその塩と化合物Bとを含有する除草組成物。
(2)フラザスルフロン又はその塩と化合物Bとを、重量比1:10〜1:300の混合比率で含有する除草組成物。
(3)フラザスルフロン又はその塩と化合物Bとを、重量比1:80〜1:300の混合比率で含有する除草組成物。
(4)フラザスルフロン又はその塩と化合物Bとを、重量比1:80〜1:240の混合比率で含有する除草組成物。
(5)トリフロキシスルフロン又はその塩と化合物Bとを含有する除草組成物。
(6)トリフロキシスルフロン又はその塩と化合物Bとを、重量比1:5〜1:1,000の混合比率で含有する除草組成物。
(7)トリフロキシスルフロン又はその塩と化合物Bとを、重量比1:100〜1:1,000の混合比率で含有する除草組成物。
(8)化合物Bがクロルチアミド又はその塩である、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の除草組成物。
(9)化合物Bがジクロベニル又はその塩である、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の除草組成物。
【0022】
(10)フラザスルフロン又はその塩の25〜100 g/haと、化合物Bの1,000〜8,000 g/haとを望ましくない植物又はそれらが生育する場所に施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法。
(11)フラザスルフロン又はその塩の25〜62.5 g/haと、化合物Bの5,000〜8,000 g/haとを望ましくない植物又はそれらが生育する場所に施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法。
(12)フラザスルフロン又はその塩の33〜62.5 g/haと、化合物Bの5,000〜8,000 g/haとを望ましくない植物又はそれらが生育する場所に施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法。
(13)トリフロキシスルフロン又はその塩の10〜100 g/haと、化合物Bの500〜10,000 g/haとを望ましくない植物又はそれらが生育する場所に施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法。
(14)トリフロキシスルフロン又はその塩の10〜50 g/haと、化合物Bの5,000〜10,000 g/haとを望ましくない植物又はそれらが生育する場所に施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法。
(15)化合物Bがクロルチアミド又はその塩である、前記(10)〜(14)のいずれかに記載の方法。
(16)化合物Bがジクロベニル又はその塩である、前記(10)〜(14)のいずれかに記載の方法。
【実施例】
【0023】
本発明をより詳しく述べるために、以下に実施例を記載するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
【0024】
試験例1
1/1,000,000 haポットに畑作土壌をつめ、ハマスゲ(Cyperus rofundus L.)の塊茎を植えつけた。その33日後、ハマスゲが6〜7葉期に達したとき、フラザスルフロンを有効成分とする顆粒水和剤(商品名:シバゲンDF、石原産業社製)の所定量を農業用展着剤(商品名:クサリノー、日本農薬社製)を0.02容量%含む水(200 L/ha相当)で希釈して小型スプレーで茎葉処理し、クロルチアミドを有効成分とする粒剤(商品名:GFベンポール粒剤、住友化学園芸社製)の所定量を散粒処理した。
薬剤処理後、36日目にハマスゲの生育状態を肉眼で観察調査し、下記評価基準に従って評価した。生育抑制率(%)の実測値(肉眼観察における評価値)及び上記コルビー(Colby)の方法により算出した計算値を第1表に示す。
生育抑制率(%)の実測値(肉眼観察における評価値)=0(無処理区同等)〜100(完全枯殺)
すなわち、生育抑制率(%)の実測値としては、雑草の生育抑性のレベルが、無処理区と同じ場合を0%とし、完全に生育が抑制され、枯殺された場合を100%とした。
【0025】
【表1】

【0026】
試験例2
1/1,000,000 haポットに畑作土壌をつめ、ヒメクグ(Kyllinga brevifolia var. leiolepis)の地下茎を植えつけた。その46日後、ヒメクグの草丈が4〜7 cmに達したとき、シバゲンDF(商品名)の所定量と、GFベンポール(商品名)の所定量を前記試験例1と同様に処理した。
薬剤処理後、54日目にヒメクグの生育状態を肉眼で観察調査し、前記試験例1と同様に、実測した生育抑制率(%)及びコルビー(Colby)の方法により算出した生育抑制率(%)を第2表に示す。
【0027】
【表2】

【0028】
試験例3
1/1,000,000 haポットに畑作土壌をつめ、ハマスゲ(Cyperus rofundus L.)の塊茎を植えつけた。その54日後、ハマスゲが25-30 cm丈に達したとき、所定量の除草組成物を農業用展着剤(商品名:クサリノー、日本農薬社製)を0.02容量%含む水(200 L/ha相当)で希釈して小型スプレーで茎葉処理した。
薬剤処理後、42日目に植物の生育状態を肉眼で観察調査し、前記試験例1と同様に、実測した生育抑制率(%)及びコルビー(Colby)の方法により算出した生育抑制率(%)を第3表に示す。
【0029】
【表3】

【0030】
試験例4
1/1,000,000haポットに畑作土壌をつめ、ハマスゲ(Cyperus rofundus L.)の塊茎を植えつけた。ハマスゲが13葉期に達したとき、シバゲンDF(商品名)の所定量と、ジクロベニルを有効成分とする水和剤(商品名:カソロン水和剤、アグロカネショウ社製)の所定量とを、クサリノー(商品名)を0.02容量%含む水(2000L/ha相当)で希釈して小型スプレーで茎葉処理した。
薬剤処理後、42日目にハマスゲの生育状態を肉眼で観察調査し、前記試験例1と同様に、実測した生育抑制率(%)及びコルビー(Colby)の方法により算出した生育抑制率(%)を第4表に示す。
【0031】
【表4】

【0032】
試験例5
1/1,000,000haポットに畑作土壌をつめ、ヒメクグ(Kyllinga brevifolia var. leiolepis)の地下茎を植えつけた。ヒメクグの草丈が6〜8cmに達したとき、トリフロキシスルフロンナトリウム塩を有効成分とする顆粒水和剤(商品名:モニュメント顆粒水和剤、シンジェンタジャパン社製)の所定量と、クロルチアミド(和光純薬社製の試薬)の所定量とを、前記試験例4と同様に処理した。
薬剤処理後、42日目にヒメクグの生育状態を肉眼で観察調査し、前記試験例1と同様に、実測した生育抑制率(%)及びコルビー(Colby)の方法により算出した生育抑制率(%)を第5表に示す。
【0033】
【表5】

【0034】
試験例6
1/1,000,000haポットに畑作土壌をつめ、ヒメクグ(Kyllinga brevifolia var. leiolepis)の地下茎を植えつけた。ヒメクグの草丈が10cmに達したとき、モニュメント顆粒水和剤(商品名)の所定量と、クロルチアミド(和光純薬社製の試薬)又はカソロン水和剤(商品名)の所定量とを、前記試験例4と同様に処理した。
薬剤処理後、42日目にヒメクグの生育状態を肉眼で観察調査し、前記試験例1と同様に、実測した生育抑制率(%)及びコルビー(Colby)の方法により算出した生育抑制率(%)を第6表に示す。
【0035】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の除草組成物は、幅広い殺草スペクトルを持ち、高活性で且つ持続効果も長いことから、除草成分の施用量の低減化が可能であり、さらに既存の除草組成物に対する感受性が低下した雑草を防除することもでき、多年生雑草の除草においても適用が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化合物Aと下記化合物Bとを含有する除草組成物。
化合物A:フラザスルフロン及びトリフロキシスルフロンからなる群より選ばれる少なくとも1種のスルホニルウレア系化合物又はその塩。
化合物B:クロルチアミド及びジクロベニルからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンゾニトリル系化合物又はその塩。
【請求項2】
化合物Aと化合物Bとの混合比率が、重量比で1:1.25〜1:1,000である、請求項1に記載の除草組成物。
【請求項3】
化合物Aが、フラザスルフロン又はその塩である、請求項1に記載の除草組成物。
【請求項4】
化合物Bが、クロルチアミド又はその塩である、請求項1に記載の除草組成物。
【請求項5】
化合物Aがフラザスルフロン又はその塩であり、化合物Bがクロルチアミド又はその塩である、請求項1に記載の除草組成物。
【請求項6】
下記化合物Aと下記化合物Bとを含有する除草組成物を、望ましくない植物又はそれらが生育する場所に、除草に有効な量を施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法。
化合物A:フラザスルフロン及びトリフロキシスルフロンからなる群より選ばれる少なくとも1種のスルホニルウレア系化合物又はその塩。
化合物B:クロルチアミド及びジクロベニルからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンゾニトリル系化合物又はその塩。
【請求項7】
下記化合物Aの除草に有効な量と、下記化合物Bの除草に有効な量とを、望ましくない植物又はそれらが生育する場所に施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法。
化合物A:フラザスルフロン及びトリフロキシスルフロンからなる群より選ばれる少なくとも1種のスルホニルウレア系化合物又はその塩。
化合物B:クロルチアミド及びジクロベニルからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンゾニトリル系化合物又はその塩。
【請求項8】
化合物Aの施用量が10〜200g/haであり、化合物Bの施用量が500〜10,000g/haである、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記望ましくない植物が、芝生中の多年生カヤツリグサ科雑草である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項10】
化合物Aが、フラザスルフロン又はその塩である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項11】
化合物Bが、クロルチアミド又はその塩である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項12】
化合物Aがフラザスルフロン又はその塩であり、化合物Bがクロルチアミド又はその塩である、請求項6又は7に記載の方法。

【公開番号】特開2011−251958(P2011−251958A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98699(P2011−98699)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】