説明

集合住宅インターホン装置

【課題】集合住宅内にて発生した火災を、2線の伝送路を経由して接続される居室親機の制御によって玄関子機にて警報報知(警報表示、警報発報)する。
【解決手段】居室親機3a、3b、・・・の親機電源部から2線の伝送路(子機/親機伝送路)L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・を経由して玄関子機2a、2b、・・・への給電(電源供給)の有無を電源検出部210にて検出し、この電源検出部にて検出される給電時又は無給電時の相違に応じて第1乃至第3の切換スイッチ213、214、215を制御することで、居室親機の信号生成部にて生成される、玄関子機の表示部202にて警報表示を行うための制御信号及び玄関子機のスピーカ203bにて警報発報を行うための警報音等の音信号の信号伝送ラインを切換え、さらには無給電時における信号生成部の動作電源を非常電源により確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンション等の集合住宅に設置される集合住宅インターホン装置に係り、特に、集合住宅内にて発生した火災を、住戸内に設置される居室親機の制御により住戸外に設置される玄関子機にて警報報知(警報表示、警報発報)することができる集合住宅インターホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図5のシステム説明図に示す構成の集合住宅インターホン装置が開示されている。
【0003】
この集合住宅インターホン装置は、集合住宅の集合玄関に設置される集合玄関機501と、集合住宅の複数の住戸の住戸玄関にそれぞれ設置される玄関子機502a、502b、・・・と、集合玄関機501又は玄関子機502a、502b、・・・からの呼出しに応答して音声信号を送受信することで通話を成立させるとともに集合玄関機501及び玄関子機502a、502b、・・・のうち少なくとも集合玄関機501にて生成される映像信号を出画するために複数の住戸の住戸内にそれぞれ設置される居室親機503a、503b、・・・と、集合玄関伝送路L501を経由して接続される集合玄関機501、住戸伝送路L502から住戸毎の中継器504a、504b、・・・を経由して接続される居室親機503a、503b、・・・をそれぞれ制御するための制御機505とを有している。
【0004】
なお、居室親機503a、503b、・・・にはそれぞれ、3線の子機/親機伝送路L503a(L530、L531、L532)、L503b(L530、L531、L532)、・・・を経由して玄関子機502a、502b、・・・が接続されており、このような、接続の態様としては、例えば、非特許文献1に記載のセキュリティドアホンが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】アイホン総合カタログ2005/2006年版(例えば、第61頁に記載のセキュリティドアホン「QF−DK、QE−1M−T及び増設非常押ボタンの組合わせ」、「QF−DK、QE−1GT−11、ガス漏れ警報器及び増設非常押ボタンの組合わせ」等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、背景技術に記載した図5に示す集合住宅インターホン装置によれば、居室親機503a、503b、・・・の制御により玄関子機502a、502b、・・・にて警報報知(警報表示、警報発報)させるにあたっては、警報表示を行うための制御信号を伝送する信号伝送路L530、警報発報を行うための警報音等の音信号を伝送する信号伝送路L531、給電(電源供給)のためのグランド線路L532の3線が必要であった。
【0007】
本発明は、この難点を解消するためになされたもので、集合住宅内にて発生した火災を、2線の伝送路を経由して接続される居室親機の制御によって玄関子機にて警報報知(警報表示、警報発報)することができる集合住宅インターホン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様である集合住宅インターホン装置は、集合住宅の各住戸の住戸玄関に設置され集合住宅内にて発生した火災を警報表示するための表示灯及び火災の発生を警報発報するためのスピーカを有する玄関子機と、住戸内に設置され2線の伝送路を経由して玄関子機に接続される居室親機とを備えている。居室親機には、待受時、玄関子機からの呼出時又は当該玄関子機との間の通話成立時において2線の伝送路を経由して玄関子機に給電するための親機電源部と、集合住宅内にて火災が発生したときに表示灯を駆動させる制御信号及びスピーカにて出力させる警報音等の音信号を生成するための信号生成部と、集合住宅内にて火災が発生し親機電源部の動作が停止したとき、集合住宅内に設置される非常電源を受電して信号生成部を駆動させるための非常電源給電部とを備えている。玄関子機には、2線の伝送路を経由して居室親機から給電される電源の有無を検出するための電源検出部と、2線の伝送路を経由して居室親機から伝送されてくる制御信号及び音信号をそれぞれ分離するための信号分離部と、信号分離部にて分離された制御信号について全波整流、波形整形等の所定の信号処理を行うための制御信号処理部と、電源検出部にて検出される無給電時において2線の伝送路から制御信号処理部への信号伝送ラインを形成するための第1の切換スイッチと、電源検出部にて検出される無給電時において制御信号処理部から表示灯への信号伝送ラインを形成するための第2の切換スイッチと、電源検出部にて検出される無給電時において制御信号処理部からスピーカへの信号伝送ラインを形成するための第3の切換スイッチとを備えている。
【0009】
また、本発明の第2の態様である集合住宅インターホン装置は、本発明の第1の態様において、居室親機の信号生成部は、表示灯をPWM駆動して点消灯させ、点消灯の周期を時間の経過に伴い変化させるための制御信号を生成するものである。
【0010】
また、本発明の第3の態様である集合住宅インターホン装置は、本発明の第1の態様において、居室親機の信号生成部は、表示灯をPFM駆動して点滅させ、点滅の周期を時間の経過に伴い変化させるための制御信号を生成するものである。
【0011】
また、本発明の第4の態様である集合住宅インターホン装置は、本発明の第1の態様において、居室親機の信号生成部は、表示灯の電圧振幅をPAM駆動して電圧振幅を時間の経過に伴い変化することで当該表示灯の光量を増加させるための制御信号を生成するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の集合住宅インターホン装置によれば、居室親機の親機電源部から2線の伝送路を経由して玄関子機への給電(電源供給)の有無を電源検出部にて検出し、この電源検出部にて検出される給電時又は無給電時の相違に応じて第1乃至第3の切換スイッチを制御することで、居室親機の信号生成部にて生成される、玄関子機の表示部にて警報表示を行うための制御信号及び玄関子機のスピーカにて警報発報を行うための警報音等の音信号の信号伝送ラインを切換え、さらには無給電時における信号生成部の動作電源を非常電源により確保するとともに、無給電時において受動機能のみで構成された信号分離部の動作を確保することができる。これにより、給電時又は無給電時の相違を問わずして、集合住宅内にて発生した火災を、配線の省線化が図られた2線の伝送路を経由して接続される居室親機の制御によって玄関子機にて警報報知(警報表示、警報発報)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施例による集合住宅インターホン装置の全体構成を示すシステム説明図である。
【図2】図2は、本発明の実施例による集合住宅インターホン装置において、玄関子機の具体的な構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の実施例による集合住宅インターホン装置において、居室親機の具体的な構成を示すブロック図である。
【図4】図4(A)、(B)、(C)はそれぞれ、本発明の実施例による集合住宅インターホン装置において、居室親機の信号生成部にて生成される制御信号のパターン例を示すパルス波形図である。
【図5】図5は、従来例による集合住宅インターホン装置の全体構成を示すシステム説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の集合住宅インターホン装置を適用した実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施例による集合住宅インターホン装置の全体構成を示すシステム説明図であって、マンション等の集合住宅に設置されるものである。この集合住宅インターホン装置は、集合住宅の集合玄関に設置される集合玄関機1と、集合住宅の複数の住戸、ここでは、A号室、B号室、・・・のような複数の住戸の住戸外、例えば、住戸玄関にそれぞれ設置され、後述する居室親機3a、3b、・・・を呼出して音声信号を送受信することで通話を成立させるとともに映像信号を生成し、さらには集合住宅内にて発生した火災を報知(警報表示、警報発報)する玄関子機2a、2b、・・・と、前述の各住戸の住戸内にそれぞれ設置され集合玄関機1又は自住戸の玄関子機2a、2b、・・・からの呼出しに応答して音声信号を送受信することで通話を成立させるとともに集合玄関機1及び(自住戸の)玄関子機2a、2b、・・・のうち少なくとも集合玄関機1にて生成される映像信号を出画し、さらには集合住宅内にて発生した火災を報知(警報表示、警報発報)する居室親機3a、3b、・・・と、前述の各住戸や当該集合住宅の共用部等に設置され火災の発生を感知するための火災センサ4a、4b、・・・と、集合住宅内に設置される非常電源5と、集合玄関伝送路L1を経由して接続される集合玄関機1、住戸伝送路L2を経由して接続される玄関子機2a、2b、・・・をそれぞれ制御するための制御機6とを有している。
【0016】
なお、玄関子機2a、2b、・・・は、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31、・・・)、・・・を経由して居室親機3a、3b、・・・に接続されている。また、火災センサ4a、4b、・・・及び非常電源5は、個別又は共通の伝送路(電源供給路)、ここでは、個別のセンサ伝送路L4a、L4b、・・・、共通の非常電源供給路L5をそれぞれ経由して居室親機3a、3b、・・・に接続されている。なお、火災センサ4a、4b、・・・については、図1に示すような個別のセンサ伝送路L4a、L4b、・・・を経由した接続の態様に限定されるものではなく、共通のセンサ伝送路(図示せず。)を経由して居室親機3a、3b、・・・に接続することもできる。
【0017】
同図において、集合玄関機1には、(集合玄関)操作部100、(集合玄関)映像撮像部101及び(集合玄関)通話部102が備えられている。ここで、操作部100は、集合玄関に居る来訪者が特定の住戸内に在室中の居住者を呼出すための操作を行うものであり、例えば、テンキーボタン100aや呼出ボタン100bにて構成されている。また、映像撮像部101は、操作部100(100a、100b)にて所定の呼出操作を行った来訪者の映像や集合玄関の周囲近傍の映像を撮像して映像信号を生成するためのものであり、例えば、CCD、CMOS等の各種の映像撮像媒体にて構成されている。さらに、通話部12は、来訪者が呼出先である(特定の)居住者との間で通話を成立させるための音声信号を送受信するものであり、例えば、マイク102a及びスピーカ102bにて構成されている。
【0018】
玄関子機2a、2b、・・・はそれぞれ同様な構成であって、(子機)操作部200、(子機)映像撮像部201、(子機)表示灯202及び(子機)通話部203が備えられている。ここで、操作部200は、住戸玄関に居る来訪者が住戸内に在室中の居住者を呼出すための操作を行うものであり、例えば、呼出ボタン200aにて構成されている。また、映像撮像部201は、操作部200(200a)にて所定の呼出操作を行った来訪者の映像や住戸玄関の周囲近傍の映像を撮像して映像信号を生成するためのものであり、例えば、CCD、CMOS等の各種の映像撮像媒体にて構成されている。また、表示灯202は、火災センサ4a、4b、・・・にて感知される(集合住宅内にて発生した)火災を警報表示するためのものであり、例えば、LED等の発光媒体にて構成されている。さらに、通話部203は、来訪者が呼出先である居住者との間で通話を成立させるための音声信号を送受信するものであり、マイク203a及びスピーカ203bにて構成されている。また、通話部203を構成するスピーカ203bは、前述の通話機能のみならず、火災センサ4a、4b、・・・にて感知される(集合住宅内にて発生した)火災を警報発報することもできる。
【0019】
居室親機3a、3b、・・・はそれぞれ同様な構成であって、(親機)表示部300、(親機)通話部302及び(親機)操作部303が備えられている。ここで、表示部300は、集合玄関機1又は(自住戸の)玄関子機2a、2b、・・・を使用した来訪者からの呼出しがあることを表示するとともに、集合玄関機1の映像撮像部101及び(自住戸の)玄関子機2a、2b、・・・の映像撮像部201のうち少なくとも集合玄関機1の映像撮像部101にて生成される映像信号を出画するためのものであり、例えば、呼出表示・報知機能を有するLED等の(親機)表示灯300a及び映像出画機能を有するLCD、有機ELディスプレイ等のモニタ300bにて構成されている。また、通話部301は、当該居室親機の使用者である居住者が呼出元である来訪者との間で通話を成立させるための音声信号を送受信するものであり、例えば、マイク301a及びスピーカ301bにて構成され、このスピーカ301bは、前述の呼出報知(呼出発報)機能も有している。また、操作部302は、居住者が来訪者からの呼出しに応答して通話を成立させるための応答操作、成立中の通話を終了させるための終話操作等を行うものであり、例えば、通話応答等の操作ボタン302aやこれらの操作機能を有するタッチパネル302bにて構成されている。また、表示部300を構成する表示灯300aは、前述の呼出報知機能のみならず、火災センサ4a、4b・・・にて感知される(集合住宅内にて発生した)火災を警報表示することもできる。さらに、通話部301を構成するスピーカ301bについても、前述の通話機能のみならず、同様な火災の発生を警報発報することができる。なお、通話部301としては、ハンドセット(図示せず。)を備えることもできる。
【0020】
次に、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・を経由して接続される玄関子機2a、2b、・・・及び居室親機3a、3b、・・・の具体的な構成について、図2、図3のブロック図をそれぞれ参照して説明する。なお、図2に示す玄関子機2a、2b、・・・において、住戸伝送路L2を経由して制御機6に接続するために必要な回路と、この住戸伝送路L2及び2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・を接続するために必要な回路についての図示は、省略するものとする。
【0021】
図2に示す玄関子機2a、2b、・・・には、前述の操作部200(200a)、映像撮像部201、表示灯202及び通話部203(203a、203b)と、子機CPU204、子機タイミングジェネレータ205、子機映像処理回路206、子機表示灯駆動回路207、子機音声処理回路208、信号処理部209、電源検出部210、信号分離部211と、制御信号処理部212、第1乃至第3の切換スイッチ213、214、215とを備えている。
【0022】
この玄関子機2a、2b、・・・において、子機CPU204は、当該玄関子機の構成各部/回路を制御するためのものである。また、子機タイミングジェネレータ205は、当該玄関子機の構成各部/回路に係る動作タイミングを生成するためのものである。
【0023】
子機映像処理回路206は、映像撮像部201にて生成される映像信号について所定の信号処理を行うものであり、例えば、A/D(アナログ/デジタル)変換やサイズ変換、データ圧縮等を行うことができる。
【0024】
子機表示灯駆動回路207は、図示しないトランジスタ(やD/A変換回路)を経由して表示灯202を駆動制御するためのものであり、例えば、当該表示灯をPWM駆動して点消灯させる態様、当該表示灯をPFM駆動して点滅させる態様、及び当該表示灯の電圧振幅をPAM駆動してその光量を増加させる態様のうち何れか1の態様が適用される。
【0025】
子機音声処理回路208は、通話部203を構成するマイク203a及びスピーカ203bにて送受信される音声信号について所定の信号処理を行うものであり、例えば、A/D変換又はD/A変換やデータ圧縮/伸張等を行うことができる。
【0026】
信号処理部209は、子機CPU204と第1の切換スイッチ213を経由して2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・との間の(双方向の)信号伝送ラインと、子機映像処理回路206から第1の切換スイッチ213を経由して2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・への信号伝送ラインと、子機音声処理回路208と第1の切換スイッチ213を経由して2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・との間の(双方向の)信号伝送ラインと、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・から第1の切換スイッチ213、第3の切換スイッチ215を経由して通話部203を構成するスピーカ203bへの信号伝送ラインと、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・から第1の切換スイッチ213、第2の切換スイッチ214を経由して子機表示灯駆動回路207への信号伝送ラインと、をそれぞれ形成するためのものである。
【0027】
電源検出部210は、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・を経由して居室親機3a、3b、・・・から給電(電源供給)される電源(子機待受電源、子機動作電源)の有無を検出するためのものである。
【0028】
信号分離部211は、電源検出部210にて検出される無給電時において、居室親機3a、3b、・・・から2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・、第1の切換スイッチ213を経由して伝送されてくる、表示灯202を前述の態様で駆動させる制御信号(警報表示制御信号)及び通話部203を構成するスピーカ203bにて出力させる警報音(や音声メッセージ)等の音信号(警報発報音信号)をそれぞれ分離するためのものであり、例えば、制御信号(警報表示制御信号)を分離・抽出するための高周波数帯域通過の第1のフィルタ211aと、音信号(警報発報音信号)を分離・抽出するための低周波数帯域通過の第2のフィルタ211bにて構成されている。
【0029】
制御信号処理部212は、信号分離部211を構成する第1のフィルタ211aを経由して分離・抽出された制御信号(警報表示制御信号)について所定の信号処理を行うためのものであり、例えば、全波整流するための整流回路212aと、整流回路212aを経由した制御信号(警報表示制御信号)の波形整形を行い、当該信号の平均電圧を得るための第3のフィルタ212bにて構成されている。
【0030】
第1の切換スイッチ213は、電源検出部210にて検出される無給電時において、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・から信号分離部211を構成する第1、第2のフィルタ211a、211bへの信号伝送ラインを形成するためのものである。なお、この切換スイッチ213は、電源検出部210にて検出される給電(電源供給)時によれば、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・及び信号処理部209の間の信号伝送ラインを形成している。
【0031】
第2の切換スイッチ214は、電源検出部210にて検出される無給電時において、制御信号処理部212を構成する第3のフィルタ212bから子機表示灯駆動回路207への信号伝送ラインを形成するためのものである。なお、この切換スイッチ214は、電源検出部210にて検出される給電(電源供給)時によれば、信号処理部209から子機表示灯駆動回路207への信号伝送ラインを形成している。
【0032】
第3の切換スイッチ215は、電源検出部210にて検出される無給電時において、信号分離部211を構成する第2のフィルタ211bから通話部203を構成するスピーカ203bへの信号伝送ラインを形成するためのものである。なお、この切換スイッチ215は、電源検出部210にて検出される給電(電源供給)時によれば、信号処理部209からスピーカ203bへの信号伝送ラインを形成している。
【0033】
次に、図3に示す居室親機3a、3b、・・・には、前述の(親機)表示部300(300a、300b)、(親機)通話部301及び(親機)操作部302と、親機CPU303、親機タイミングジェネレータ304、親機電源部305、センサ接続部306、信号生成部307、非常電源給電部308、親機表示灯駆動回路309、親機映像処理回路310及び親機音声処理回路311とが備えられている。
【0034】
この居室親機3a、3b、・・・において、親機CPU303は、当該居室親機の構成各部/回路を制御するためのものである。また、親機タイミングジェネレータ304は、当該居室親機の構成各部/回路に係る動作タイミングを生成するためのものである。
【0035】
親機電源部305は、商用電源を整流・平滑して得られる直流電源を、待受時、(集合玄関機1又は)自住戸の玄関子機2a、2b、・・・からの呼出時、或いは(当該集合玄関機又は)当該自住戸の玄関子機との間の通話成立時における電源(親機待受電源、親機動作電源)として当該居室親機の構成各部/回路に給電(電源供給)するとともに、同様な待受時、呼出時又は通話成立時における当該電源として玄関子機2a、2b、・・・の構成各部/回路に給電(電源供給)するための電源(子機待受電源、子機動作電源)を生成して2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・に重畳させるものである。
【0036】
センサ接続部306は、センサ伝送路L4a、L4b、・・・を経由して接続される火災センサ4a、4b、・・・からの火災感知信号を受信し、親機CPU303に送出するためのものである。
【0037】
信号生成部307は、センサ接続部306にて火災センサ4a、4b、・・・からの火災感知信号が受信されるような集合住宅内にて火災が発生したとき、玄関子機2a、2b、・・・の表示灯202を前述の態様で駆動させる制御信号(警報表示制御信号)及び通話部203を構成するスピーカ203bにて出力させる警報音等の音信号(警報発報音信号)を生成するためのものである。また、信号生成部307にて生成される制御信号(警報表示制御信号)及び音信号(警報報知音信号)は、自居室親機の表示部300を構成する表示灯300aを駆動させる当該信号、通話部301を構成するスピーカ301bにて警報音等を出力させる当該信号ともなる。
【0038】
なお、信号生成部307は、前述の警報報知のための制御信号及び音信号の生成のみならず、(集合玄関機1又は)自住戸の玄関子機2a、2b、・・・からの呼出しがあることを呼出表示するための制御信号(呼出表示制御信号)及び音信号(呼出発報音信号)を生成することもできる。
【0039】
非常電源給電部308は、センサ接続部306にて火災センサ4a、4b、・・・からの火災感知信号が受信されるような集合住宅内にて火災が発生し、親機電源部305の動作(給電動作)が停止したとき、非常電源供給路L5を経由して接続される非常電源5を受電して信号生成部307を駆動させるためのものである。
【0040】
親機表示灯駆動回路309は、信号生成部307にて生成される制御信号(警報表示制御信号、呼出表示制御信号)に基づき、図示しないトランジスタ(やD/A変換回路)を経由して表示部300を構成する表示灯300aを駆動制御するためのものであり、例えば、当該表示灯をPWM駆動して点消灯させる態様、当該表示灯をPFM駆動して点滅させる態様、及び当該表示灯の電圧振幅をPAM駆動してその光量を増加させる態様のうち何れか1の態様が適用される。
【0041】
親機映像処理回路310は、表示部300を構成するモニタ300bにて出画される映像信号について所定の信号処理を行うものであり、例えば、D/A変換やサイズ変換、データ伸張等を行うことができる。
【0042】
親機音声処理回路311は、通話部301を構成するマイク301a及びスピーカ301bにて送受信される音声信号について所定の信号処理を行うものであり、例えば、A/D変換又はD/A変換やデータ圧縮/伸張等を行うことができる。
【0043】
このように構成された集合住宅インターホン装置において、以下、具体的な動作について説明する。
【0044】
図1に示す集合玄関に設置された集合玄関機1又は図1、図2に示すA号室、B号室、・・・のような各住戸の住戸玄関に設置された玄関子機2a、2b、・・・からの呼出しがなく、また通話を成立していない待受時において、図3に示す各住戸の住戸内に設置された居室親機3a、3b、・・・の親機電源部305は、商用電源を整流・平滑させて得られる所定の電圧レベルの待受電源を生成し、親機待受電源として当該居室親機の構成各部/回路に給電(電源供給)するばかりでなく、子機待受電源として2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・に重畳させている。
【0045】
ここで、図2に示す玄関子機2a、2b、・・・の電源検出部210は、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・に重畳されている子機待受電源を受電することで、居室親機3a、3b、・・・の親機電源部305からの給電(電源供給)状態を検出し、受電された子機待受電源を当該玄関子機の構成各部/回路に給電(電源供給)することができる。
【0046】
なお、前述のような給電(電源供給)状態において、玄関子機2a、2b、・・・の第1乃至第3の切換スイッチ213、214、215はそれぞれ、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・と信号処理部209との間の(双方向の)信号伝送ライン、信号処理部209から子機表示灯駆動回路207への信号伝送ライン、子機音声処理回路208から通話部203を構成するスピーカ203bへの信号伝送ラインを形成している。
【0047】
次に、前述のような待受時において、例えば、図1に示す集合玄関に設置された集合玄関機1又は図1、図2に示すA号室の住戸玄関に設置された玄関子機2aのうち、ここでは、A号室の住戸玄関に居る来訪者が玄関子機2aの操作部200(200a)を使用して所定の呼出操作を行うと、この操作を検出した子機CPU204にて子機呼出信号S1が生成される。この子機呼出信号S1は、子機CPU204から信号処理部209、第1の切換スイッチ213、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)を経由して、図3に示す居室親機3aの親機CPU303に伝送される。
【0048】
居室親機3aの親機CPU303は、受信した子機呼出信号S1をもとに自住戸(A号室)の住戸玄関に居る来訪者からの呼出しがあることを検出し、信号生成部307を制御して表示部300を構成する表示灯300aにて呼出表示を行うための所定のパルス列(図示せず。)からなる呼出表示制御信号S10と、通話部301を構成するスピーカ301bにて呼出発報を行うための呼出音(や音声メッセージ)等の呼出発報音信号S11とを生成させるとともに、親機電源部305を制御して前述の待受電源よりも高い所定の電圧レベルの動作電源を生成させる。
【0049】
ここで、居室親機3aの親機電源部305にて生成された動作電源は、前述の待受電源と同様、親機動作電源として当該居室親機の構成各部/回路に給電(電源供給)されるばかりでなく、子機動作電源として2線の子機/親機伝送路L3a(L3a、L3b)に重畳され、これを検出した玄関子機2aの電源検出部210から当該玄関子機の構成各部/回路に給電(電源供給)される。
【0050】
また、居室親機3aの信号生成部307にて生成された呼出表示制御信号S10及び呼出発報音信号S11のうち、呼出表示制御信号S10が入力された親機表示灯駆動回路309では、当該呼出表示制御信号を構成する所定のパルス列(図示せず。)により表示部300を構成する表示灯300aを駆動させることにより、自住戸(A号室)の住戸玄関に居る来訪者からの呼出しがある旨の呼出表示を行うことができる。一方、呼出発報音信号S11が入力された通話部301を構成するスピーカ301bでは、所定の呼出音等を出力させることにより、自住戸(A号室)の住戸玄関に居る来訪者からの呼出しがある旨の呼出発報を行うことができる。
【0051】
なお、居室親機3aの信号生成部307にて生成された呼出表示制御信号S10及び呼出発報音信号S11は、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、玄関子機2aの第1の切換スイッチ213を経由して信号処理部209に送出することもできる。
【0052】
玄関子機2aの信号処理部209によれば、受信した呼出表示制御信号S10及び呼出報知音信号S11のうち、呼出表示制御信号S10は第2の切換スイッチ214を経由して子機表示灯駆動回路207に、呼出発報音信号S11は第3の切換スイッチ215を経由して通話部203を構成するスピーカ203bに、それぞれ送出する。ここで、呼出表示制御信号S10が入力された子機表示灯駆動回路207では、当該警報表示制御信号を構成する所定のパルス列(図示せず。)により表示灯202を所定のパターンで駆動させることにより、来訪者に対して住戸内の居室親機3aが正常に呼出報知されたことの確認表示を行うことができる。一方、呼出発報音信号S11が入力されたスピーカ203bでは、所定の呼出音等を例えば、呼出確認音として出力させることにより、来訪者に対して住戸内の居室親機3aが正常に呼出報知されたことの確認発報を行うことができる。
【0053】
なお、前述ように自住戸(A号室)の住戸玄関に居る来訪者からの呼出しがあることを検出した居室親機3aの親機CPU303は、その旨の文字メッセージや絵データ等を、表示部300を構成するモニタ300bに表示させて呼出表示を行うこともできる。
【0054】
さらに、前述のような動作電源が給電(電源供給)されている玄関子機2aにおいては、映像撮像部201が能動となり、呼出操作を行った来訪者(住戸玄関の周囲近傍の映像を含む。)の映像信号が生成される。この映像信号は、映像撮像部201から子機映像処理回路206、信号処理部209、第1の切換スイッチ213、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、居室親機3aの親機映像処理回路310を経由して表示部300を構成するモニタ300bに伝送される。このモニタ300bには、所定の信号処理がなされた映像信号が出画されることにより、居住者によれば、この映像信号をもとに呼出操作を行った来訪者の存在を、出力映像と併せて確認できる。
【0055】
この後、A号室内に在室中の居住者が自住戸の住戸玄関に居る来訪者との間で通話を成立させるにあたり、居室親機3aの操作部302(302a、302b)を使用して所定の応答操作を行うと、この操作を検出した親機CPU303及び玄関子機2aの子機CPU204の制御によって、居住者により使用される通話部301を構成するマイク301aから親機音声処理回路311、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、(玄関子機2aの)第1の切換スイッチ213、信号処理部209、子機音声処理回路208を経由して来訪者により使用される通話部203を構成するスピーカ203bまでの(下り方向の)信号伝送/通話ラインと、来訪者により使用される通話部203を構成するマイク203aから子機音声処理回路208、信号処理部209、第1の切換スイッチ213、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、(居室親機3aの)親機音声処理回路311を経由して居住者により使用される通話部301を構成するスピーカ301bまでの(上り方向の)信号伝送/通話ラインとが形成され、これら形成された双方向の当該ラインを経由して音声信号を送受信させることで通話が成立する。
【0056】
次に、前述のような待受時、玄関子機2aのみならず同様な他の玄関子機2b、・・・(又は集合玄関機1からの)呼出時、玄関子機2aのみならず同様な他の玄関子機2b、・・・(又は集合玄関機1)との間の通話成立時において、集合住宅にて火災が発生すると、この火災を感知した火災センサ4a、4b、・・・にて生成された火災感知信号S4が、センサ伝送路L4、居室親機4a、4b、・・・のセンサ接続部306を経由して親機CPU303に伝送される。
【0057】
居室親機3a、3b、・・・の親機CPU303は、受信した火災感知信号S4をもとに集合住宅内において火災が発生したことを検出し、親機電源部305の駆動が停止せず待受電源又は動作電源の生成動作が継続する所定の時間内において信号生成部307を制御し、表示部300を構成する表示灯300a及び玄関子機2a、2b、・・・の表示灯202にて警報表示を行うための所定のパルス信号からなる警報表示制御信号S20a、S20b、S20cと、通話部301を構成するスピーカ301b及び玄関子機2a、2b、・・・の通話部003を構成するスピーカ203bにて警報発報を行うための警報音(や音声メッセージ)等の警報発報音信号S21とを生成させる。
【0058】
ここで、居室親機3a、3b、・・・の信号生成部307にて生成される当該警報表示制御信号としては、例えば、図4(A)に示すような、表示灯300a、202が有する点消灯の周期をPWM駆動して点消灯の周期を時間の経過に伴い変化することで当該表示灯の光量を増加させるように図示しないトランジスタへの出力パルスを制御する第1の警報表示制御信号S20aと、図4(B)に示すような、表示灯300a、202が有する点滅の周期をPFM駆動させ、点滅の周期が時間の経過に伴い変化するように図示しないトランジスタへの出力パルスを制御する第2の警報表示制御信号S20bと、図4(C)に示すような、表示灯300a、202の電圧振幅をPAM駆動して電圧振幅を時間の経過に伴い変化することで当該表示灯の光量を増加させるように図示しないD/A変換回路を経由してトランジスタへの出力パルスを制御する第3の警報表示制御信号S20cとのうち、何れか1の当該警報表示制御信号が適用される。
【0059】
ここで、居室親機3a、3b、・・・の信号生成部307にて生成された第1乃至第3の警報表示制御信号S20a、S20b、S20cのうち何れか1の当該警報表示制御信号が入力された親機表示灯駆動回路309では、第1の警報表示制御信号S20aを構成する図4(A)に示す所定のパルス列により表示部300を構成する表示灯300aをPWM駆動することで当該表示灯の光量を増加させる態様、第2の警報表示制御信号S20bを構成する図4(B)に示す所定のパルス列により表示灯300aをPFM駆動することで当該表示灯の点滅の周期を変化させる態様、第3の警報表示制御信号S20cを構成する図4(C)に示す所定のパルス列により表示灯300aの電圧振幅をPAM駆動して当該表示灯の光量を増加させる態様のうち何れか1の態様に基づき、集合住宅内にて火災が発生した旨の警報表示を行うことができる。一方、警報発報音信号S21が入力されたスピーカ301bでは、所定の警報音等を出力させることにより、集合住宅内にて火災が発生した旨の警報発報を行うことができる。
【0060】
また、居室親機3a、3b、・・・の信号生成部307にて生成された第1乃至第3の警報表示制御信号S20a、S20b、S20cのうち何れか1の当該警報表示制御信号及び警報発報音信号S21は、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・、玄関子機2a、2b、・・・の第1の切換スイッチ213を経由して信号処理部209に伝送される。
【0061】
玄関子機2a、2b、・・・の信号処理部209によれば、前述のような居室親機3a、3b、・・・の親機電源部305の駆動が停止せず動作電源の生成が継続する所定の時間内においては、その動作状態が確保されるため、受信した第1乃至第3の警報表示制御信号S20a、S20b、S20cのうち何れか1の当該警報表示制御信号は第2の切換スイッチ214を経由して子機表示灯駆動回路207に、同様に受信した警報発報音信号S21は第3の切換スイッチ215を経由して通話部203を構成するスピーカ203bに、それぞれ送出する。ここで、第1乃至第3の警報表示制御信号S20a、S20b、S20cのうち何れか1の当該警報表示制御信号が入力された子機表示灯駆動回路207では、第1の警報表示制御信号S20aを構成する図4(A)に示す所定のパルス列により表示灯202をPWM駆動することで当該表示灯の光量を増加させる態様、第2の警報表示制御信号S20bを構成する図4(B)に示す所定のパルス列により表示灯202をPFM駆動することで当該表示灯の点滅の周期を変化させる態様、第3の警報表示制御信号S20cを構成する図4(C)に示す所定のパルス列により表示灯202の電圧振幅をPAM駆動して当該表示灯の光量を増加させる態様のうち何れか1の態様に基づき、集合住宅内にて火災が発生した旨の警報表示を行うことができる。一方、警報発報音信号S21が入力されたスピーカ203bでは、所定の警報音等を出力させることにより、集合住宅内にて火災が発生した旨の警報発報を行うことができる。
【0062】
次に、居室親機3a、3b、・・・の親機CPU303にて火災の発生が検出された後、親機電源部305の駆動が停止し、待受電源又は動作電源が生成されなくなると、非常電源供給路L5を経由して接続される非常電源5が非常電源給電部309にて受電開始される。ここで、非常電源給電部309は、受電された非常電源5をもとに信号生成部307における第1乃至第3の警報表示制御信号S20a、S20b、S20cのうち何れか1の当該警報表示制御信号及び警報発報音信号S21の生成動作を継続させることができる。
【0063】
また、前述のような、居室親機3a、3b、・・・の親機電源部305の駆動が停止し、電源が生成されなくなると、これを検出した玄関子機2a、2b、・・・の電源検出部210は、第1乃至第3の切換スイッチ212、213、214をそれぞれ切換え、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・から信号分離部211(を構成する第1、第2のフィルタ211a、211b)への信号伝送ライン、制御信号処理部210を構成する第3のフィルタ211bから子機表示灯駆動回路207への信号伝送ライン、信号分離部211を構成する第2のフィルタ211bから通話部203を構成するスピーカ203bへの信号伝送ライン、をそれぞれ形成させる。
【0064】
これにより、居室親機3a、3b、・・・の親機電源部305の駆動が停止しても非常電源5によりその動作が継続されている信号生成部307にて生成された第1乃至第3の警報表示制御信号S20a、S20b、S20cのう何れか1の当該警報表示制御信号及び警報発報音信号S21は、2線の子機/親機伝送路L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・、玄関子機2a、2b、・・・の第1の切換スイッチ213を経由して信号分離部211に伝送される。
【0065】
玄関子機2a、2b、・・・において、信号分離部211を構成する第1、第2のフィルタ211a、211bは、受信した第1乃至第3の警報表示制御信号S20a、S20b、S20cのうち何れか1の当該警報表示制御信号及び警報発報音信号S21を分離・抽出し、第1乃至第3の警報表示制御信号S20a、S20b、S20cのうち何れか1の当該警報表示制御信号は、制御信号処理部212を構成する整流回路212a及び第3のフィルタ212bを順次経由して全波整流、波形整形等の所定の信号処理を行った後、第2の切換スイッチ214を経由して子機表示灯駆動回路207に送出する。一方、同様に分離・抽出された警報発報音信号S21については、第3の切換スイッチ215を経由して通話部203を構成するスピーカ203bに送出する。
【0066】
これにより、火災の発生に伴い居室親機3a、3b、・・・の親機電源部305の駆動が停止しても、非常電源5によりその動作が継続されているため、第1乃至第3の警報表示制御信号S20a、S20b、S20cのうち何れか1の当該警報表示制御信号が入力された玄関子機2a、2b、・・・の子機表示灯駆動回路207では、第1の警報表示制御信号S20aを構成する図4(A)に示す所定のパルス列により表示灯202をPWM駆動することで当該表示灯の光量を増加させる態様、第2の警報表示制御信号S20bを構成する図4(B)に示す所定のパルス列により表示灯202をPFM駆動することで当該表示灯の点滅の周期を変化させる態様、第3の警報表示制御信号S20cを構成する図4(C)に示す所定のパルス列により表示灯202の電圧振幅をPAM駆動して当該表示灯の光量を増加させる態様のうち何れか1の態様に基づき、集合住宅内にて火災が発生した旨の警報表示を継続して行うことができる。一方、警報発報音信号S21が入力された通話部203を構成するスピーカ203bでは、所定の警報音等を出力させることにより、集合住宅内にて火災が発生した旨の警報発報を継続して行うことができる。
【0067】
前述までの説明から明らかなように、本発明の集合住宅インターホン装置によれば、居室親機3a、3b、・・・の親機電源部305から2線の伝送路(子機/親機伝送路)L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・を経由して玄関子機2a、2b、・・・への給電(電源供給)の有無を電源検出部210にて検出し、この電源検出部210にて検出される給電時又は無給電時の相違に応じて第1乃至第3の切換スイッチ213、214、215を制御することで、居室親機3a、3b、・・・の信号生成部307にて生成される、玄関子機2a、2b、・・・の表示部202にて警報表示を行うための制御信号及び玄関子機2a、2b、・・・のスピーカ203bにて警報発報を行うための警報音等の音信号の信号伝送ラインを切換え、さらには無給電時における信号生成部307の動作電源を非常電源5により確保することができる。これにより、給電時又は無給電時の相違を問わずして、集合住宅内にて発生した火災を、配線の省線化が図られた2線の伝送路(子機/親機伝送路)L3a(L30、L31)、L3b(L30、L31)、・・・を経由して接続される居室親機3a、3b、・・・の制御によって玄関子機2a、2b、・・・にて警報報知(警報表示、警報発報)することができる。
【0068】
なお、本発明の集合住宅インターホン装置においては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成の当該装置であっても採用できるということはいうまでもないことである。
【0069】
具体的に、本発明の実施例によれば、居室親機3a、3b、・・・の信号生成部307にて生成される、玄関子機2a、2b、・・・の表示灯202を駆動させる制御信号(警報表示制御信号)及び通話部203を構成するスピーカ203bにて出力させる警報音等の音信号(警報発報音信号)について、自居室親機の表示部300を構成する表示灯300aを駆動させる当該信号、通話部301を構成するスピーカ301bにて警報音等を出力させる当該信号として共通化させたが、この態様に限定されるものではない。例えば、玄関子機2a、2b、・・・の表示灯202を駆動させる制御信号(警報表示制御信号)及び通話部203を構成するスピーカ203bにて出力させる警報音等の音信号(警報発報音信号)と、自居室親機の表示部300を構成する表示灯300aを駆動させる制御信号(警報表示制御信号)及び通話部301を構成するスピーカ301bにて警報音等を出力させる音信号(警報発報音信号)とを、それぞれ異なるパターンの当該信号として生成し適用することもできる。
【符号の説明】
【0070】
2a、2b、・・・ ……玄関子機
202……表示灯
203b……スピーカ
210……電源検出部
211……信号分離部
212……制御信号処理部
213、214、215……第1乃至第3の切換スイッチ
3a、3b、・・・ ……居室親機
305……親機電源部
307……信号生成部
308……非常電源給電部
5……非常電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅の各住戸の住戸玄関に設置され集合住宅内にて発生した火災を警報表示するための表示灯(202)及び前記火災の発生を警報発報するためのスピーカ(203b)を有する玄関子機(2a、2b、・・・)と、住戸内に設置され2線の伝送路(L3a、L3b、・・・)を経由して前記玄関子機に接続される居室親機(3a、3b、・・・)とを備える集合住宅インターホン装置であって、
前記居室親機には、待受時、前記玄関子機からの呼出時又は当該玄関子機との間の通話成立時において前記2線の伝送路を経由して前記玄関子機に給電するための親機電源部(305)と、前記集合住宅内にて前記火災が発生したときに前記表示灯を駆動させる制御信号及び前記スピーカにて出力させる警報音等の音信号を生成するための信号生成部(307)と、前記集合住宅内にて前記火災が発生し前記親機電源部の動作が停止したとき、前記集合住宅内に設置される非常電源(5)を受電して前記信号生成部を駆動させるための非常電源給電部(308)とを備え、
前記玄関子機には、前記2線の伝送路を経由して前記居室親機から給電される電源の有無を検出するための電源検出部(210)と、前記2線の伝送路を経由して前記居室親機から伝送されてくる前記制御信号及び前記音信号をそれぞれ分離するための信号分離部(211)と、前記信号分離部にて分離された前記制御信号について全波整流、波形整形等の所定の信号処理を行うための制御信号処理部(212)と、前記電源検出部にて検出される無給電時において前記2線の伝送路から前記制御信号処理部への信号伝送ラインを形成するための第1の切換スイッチ(213)と、前記電源検出部にて検出される無給電時において前記制御信号処理部から前記表示灯への信号伝送ラインを形成するための第2の切換スイッチ(214)と、前記電源検出部にて検出される無給電時において前記制御信号処理部から前記スピーカへの信号伝送ラインを形成するための第3の切換スイッチ(215)とを備えることを特徴とする集合住宅インターホン装置。
【請求項2】
前記居室親機の前記信号生成部は、前記表示灯をPWM駆動して点消灯させ、前記点消灯の周期を時間の経過に伴い変化させるための制御信号を生成することを特徴とする請求項1記載の集合住宅インターホン装置。
【請求項3】
前記居室親機の前記信号生成部は、前記表示灯をPFM駆動して点滅させ、前記点滅の周期を時間の経過に伴い変化させるための制御信号を生成することを特徴とする請求項1記載の集合住宅インターホン装置。
【請求項4】
前記居室親機の前記信号生成部は、前記表示灯の電圧振幅をPAM駆動して前記電圧振幅を時間の経過に伴い変化することで当該表示灯の光量を増加させることを特徴とする請求項1記載の集合住宅インターホン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−98704(P2013−98704A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238855(P2011−238855)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】