説明

電力供給装置、及び電力供給方法

【課題】車両に備え付けられた機器を制御する電力供給装置、及び電力供給方法を提供する。
【解決手段】車両のバッテリを充電するための電力を供給する電力供給装置であって、当該電力供給装置と車両とを接続するケーブルを介して制御信号を送信することで、車両に備え付けられた機器を制御する車両制御部を備える。これにより、車両のバッテリを充電させながら、電力供給装置が車両に備え付けられた機器を制御することができる。また、ユーザがわざわざ車両に行って機器を制御する手間が省ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のバッテリに電力を供給する電力供給装置、及び電力供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のバッテリ残量が少ない場合は、電力供給装置から供給さえる電力を用いて車内負荷装置を駆動させることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−289273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力供給装置から車両を制御することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、車両のバッテリを充電するための電力を供給する電力供給装置であって、当該電力供給装置と車両とを接続するケーブルを介して制御信号を送信することで、車両に備え付けられた機器を制御する車両制御部を備える。
【0006】
車両制御部は、車両の運転環境を調整する機器を制御してよい。
【0007】
車両の車内温度及び外気温度の少なくとも1つを取得する温度取得部をさらに備えてよく、車両制御部は、車内温度及び外気温度の少なくとも1つに応じて機器を制御してよい。
【0008】
外気温度を検出する外気温度検出部をさらに備えてよく、温度取得部は、外気温度検出部が検出した外気温度を取得してよい。
【0009】
機器は、車両内の温度を調整する空調装置、車両のガラスの中にある熱線を加熱する加熱器、車両のシートを暖めるシートヒータの少なくとも1つを含んでよい。
【0010】
ケーブルは、電力専用線及び通信専用線を有してよく、前記電力供給装置は、前記電力専用線を介して前記車両に電力を供給する給電部をさらに備えてよく、前記車両制御部は、前記通信専用線を介して前記制御信号を送信することで、前記機器を制御してよい。
【0011】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電池パックの構成の一例を示す。
【図2】電池パックの構成の他の例を示す。
【図3】電力供給システム200の一例を示す。
【図4】電力供給装置210の構成の一例を示す。
【図5】車両220の構成の一例を示す。
【図6】運転環境テーブル214の一例を示す。
【図7】電池セルのリパックの概要を示す。
【図8】電池組立装置310の構成の一例を示す。
【図9】充電カーブが異なる3つの電池セル301の充電カーブの一例を示す。
【図10】充電カーブが異なる3つの電池セル301の充電カーブの他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
図1は、電池パック100の構成の一例を示す。電池パック100は、複数の電池102と、複数の電池102のそれぞれに対応して設けられ、複数の電池102のそれぞれの劣化情報を記録する複数のメモリ106とを備える。電池102と該電池102に対応するメモリ106とは電池セル101として一体に形成されている。電池102は一対の電極からなる。電池セル101は、一対の電極からなる電池102と、一対の電極を外部からシールドする外装部とを備え、メモリ106は、外装部の内側に設けられている。電池102は、リチウムイオン電池等の2次電池であってよい。
【0015】
メモリ106は、該メモリ106に対応する電池102の劣化情報を記録する。また、電池パック100のそれぞれの電池セル101は、着脱可能に他の電池セル101と接続されており、電池パック100を解体して、各電池セル101を破壊することなくそれぞれ取り出すことができる。例えば、複数の電池セル101は、ネジ、ボルト及びナット等により接続されてよい。また、ボルト及びナット等を使用することなく、複数の電池セル101を押さえ込むことで、複数の電池セル101を固定して接続してよい。例えば、ゴムなどの伸縮自在な素材で、複数の電池セル101を押さえ込んで接続してよい。また、電池パック100の外装部が複数の電池セル101を押え込んで接続してよい。
【0016】
また、電池セル101は、当該電池セル101の電池102の電圧を検出する電圧検出部103を備えてよい。また、電池セル101は、当該電池セル101の電池102の電流を検出する電流検出部104を備えてよい。電圧検出部103及び電流検出部104は、電池セル101の外装部の内側に設けられている。本明細書では電圧検出部103及び電流検出部104を総称して検出部という。メモリ106は、当該メモリ106を備える電池セル101の検出部が検出した電池102の電圧及び電池の電流のうち少なくとも一方に基づく当該電池102の劣化情報を記録する。
【0017】
電池セル101は、当該電池セル101が備える検出部が検出した電圧及び電流のうち少なくとも一方の情報に基づいて、当該電池セル101が備える電池102の劣化情報を算出する劣化情報算出部105を備えてよい。メモリ106は、当該メモリ106に対応する劣化情報算出部105が算出した劣化情報を記録する。メモリ106に対応する劣化情報算出部105とは、当該メモリ106を備える電池セル101が備える劣化情報算出部105のことをいう。つまり、同一の電池セル101内にあるメモリ106と劣化情報算出部105のことをいう。劣化情報算出部105は、CPU等の情報処理装置で実現されてもよい。この場合は、情報処理装置は、所定のプログラムを記録した記録媒体を有してよく、情報処理装置は、該所定のプログラムによって劣化情報算出部105として機能する。劣化情報算出部105は、電気回路又は電子回路によって実現されてもよい。また、劣化情報算出部105は、時刻を計時するクロック回路を有する。
【0018】
メモリ106は、劣化情報として、例えば、電池102の充放電の回数、電池102の電圧の履歴、電池102の電流の履歴、電池102の充電開始電圧、電池102の充電完了電圧、電池102の内部抵抗値及びその変化、電池102の充電カーブ、電池102の劣化カーブの少なくとも1つを記録してよい。電池102の充放電の回数は、充電から放電までを1回とカウントする。つまり、充電されてから、次の充電が行われるまでを1回とカウントしてよい。充放電のカウントは、電圧の履歴、電流の履歴によってカウントすることができる。劣化情報算出部105は、電圧の履歴から充放電の回数を算出してよい。また、劣化情報算出部105は、電流の履歴から充放電の回数を算出してよい。
【0019】
電圧の履歴とは、時間の経過に伴う電池102の電圧の変化のことをいう。つまり、電圧検出部103が検出した電圧を所定周期毎に記録することで電圧の履歴を得ることができる。劣化情報として電圧の履歴をメモリ106に記録する場合は、劣化情報算出部105は、電圧検出部103が検出した電圧を示す値を所定周期毎にそのままメモリ106に記録してよい。電流の履歴とは、時間の経過に伴う電池102の電流の変化のことをいう。つまり、電流検出部104が検出した電流を所定周期毎に記録することで電流の履歴を得ることができる。劣化情報として電流の履歴をメモリ106に記録する場合は、劣化情報算出部105は、電流検出部104が検出した電流を示す値をそのままメモリ106に記録してよい。
【0020】
電池102の充電開始電圧とは、電池102の充電を開始したときの該電池102の電圧のことをいう。劣化情報として充電開始電圧をメモリ106に記録する場合は、劣化情報算出部105は、電圧検出部103が検出した充電を開始したときの電圧の値をそのままメモリ106に記録してよい。電池102の充電完了電圧とは、満充電したときの電池102の電圧、又は、充電を終了したときの電池102の電圧のことをいう。劣化情報として充電完了電圧をメモリ106に記録する場合は、劣化情報算出部105は、電圧検出部103が検出した満充電時の電圧又は充電が終了したときの電圧を示す値をそのままメモリ106に記録してもよい。
【0021】
電池102の内部抵抗値は、電池102の電圧と電流とから求めることができる。劣化情報として内部抵抗値をメモリ106に記録する場合は、劣化情報算出部105は、電圧検出部103が検出した電圧及び電流検出部104が検出した電流から内部抵抗値を算出して、メモリ106に記録してよい。この内部抵抗値を所定周期で算出して記録することにより内部抵抗値の変化がわかる。また、充電カーブとは、電池102の充電中における充電時間と、電圧との関係を示す。劣化情報として、充電カーブを記録する場合は、劣化情報算出部105は、電圧検出部103が充電開始から充電終了時までに検出した電圧を示す値から充電カーブを算出してメモリ106に記録してもよい。また、劣化情報算出部105は、充電開始から充電終了までに検出された電圧を示す値をそのままメモリ106に記録してもよい。
【0022】
劣化カーブは、電池102の劣化履歴を示す。劣化カーブは、満充電時における電池102の電圧の遷移を示してよい。劣化カーブは、充電回数と満充電時における電池102の電圧との関係を示してよい。電池102の充電回数が増えていくと、満充電時における電池102の電圧が小さくなる。つまり、劣化が進むにつれ、満充電時における電池102の電圧が小さくなる。劣化情報として、劣化カーブを記録する場合は、劣化情報算出部105は、満充電時における電池102の電圧と現在の充電回数をメモリ106に記録していってよい。また、メモリ106に記録した各充電回数における電池102の電圧とから劣化カーブを算出してメモリ106に記録してもよい。また、メモリ106に記録した劣化カーブと、新たな充電によって検出された満充電の電池102の電圧とから劣化カーブを算出して記録してもよい。また、劣化カーブは、電池102の内部抵抗値の変化であってもよい。電池102の内部抵抗が大きくなっていくにつれ、電池102が劣化していく。劣化カーブは、電池102の充電回数と内部抵抗値との関係を示してよい。電池102は、充電回数が増えていくと、電池102の内部抵抗が大きくなっていく。
【0023】
なお、メモリ106は、劣化情報として、電池102の温度を記録してもよい。電池102の温度によって該電池102の劣化が変わる。この場合は、電池パック100は、電池102の温度を検出する温度センサを内側に備える。温度センサは、それぞれの電池セル101の外装部の内側に設けられてよい。温度センサは、対応する電池102の温度を検出する。温度センサに対応する電池102とは、該温度センサを備える電池セル101が備える電池102のことをいう。また、温度センサは、電池パック100の内側に設けられ、且つ、電池セル101の外側に設けられてよい。
【0024】
電池セル101は、劣化情報をメモリ106から当該電池セル101の外部に出力するための出力インターフェース107を有してよい。これにより、各電池セル101のメモリ106に記録された劣化情報を外部の装置から読み出すことができる。
【0025】
なお、電池パック100は、直列接続された複数の電池セル101群を並列接続した構成としているが、これは一例に過ぎず、全て直列に接続された複数の電池セル101を有してよく、全て並列に接続された複数の電池セル101を有してもよい。また、電池セル101を直列接続した場合は、直列接続された電池セル101に流れる電流は同じになるので、直列接続された部分に対しては、電流検出部104を1つだけ設けるようにしてもよい。この場合は、電池セル101の外部に電流検出部104を設けてもよい。また、何れかの電池セル101に電流検出部104を設け、他の電池セル101には設けなくてもよい。この場合は、電流検出部104が設けられた電池セル101の電流検出部104が、電流検出部104が設けられていない電池セル101の電池102の電流を検出してもよい。
【0026】
また、何れかの電池セル101の中に電圧検出部103を設け、他の電池セル101には電圧検出部103を備えなくてもよい。この場合は、電圧検出部103を備えた電池セル101の電圧検出部103が、電圧検出部103を備えていない電池セル101の電池102の電圧を検出してもよい。また、何れか電池セル101の中に劣化情報算出部105を設け、他の電池セル101は劣化情報算出部105を備えなくてもよい。この場合は、劣化情報算出部105を備えた電池セル101の劣化情報算出部105が、劣化情報算出部105を備えていない電池セル101の電池102の劣化情報をそれぞれ算出してよい。また、電池セル101の中に電圧検出部103、電流検出部104、及び劣化情報算出部105を備えるようにしたが、電池セル101は、メモリ106を備えていればよく、電圧検出部103、電流検出部104、及び劣化情報算出部105の少なくとも1つは電池セル101の外部にあってもよい。
【0027】
図2は、電池パック100の構成の他の例を示す。図1と同様の構成については同じ符号を付している。電池パック100は、複数の電池102と、複数の電池102のそれぞれに対応して設けられ、複数の電池102のそれぞれの劣化情報を記録する複数のメモリ106とを備える。電池102と当該電池102に対応するメモリ106とは電池セル111として一体に形成されている。電池102は一対の電極からなる。電池セル111は、一対の電極からなる電池102と、一対の電極を外部からシールドする外装部とを備え、メモリ106は、外装部の内側に設けられている。メモリ106は、当該メモリ106に対応する電池102の劣化情報を記録する。また、電池パック100のそれぞれの電池セル111は、着脱可能に他の電池セル111と接続されており、電池パック100を解体して、各電池セル111を破壊することなく取り出すことができる。
【0028】
電池パック100は、複数の電池102のそれぞれの電圧を検出する電圧検出部112を備えてよい。電圧検出部112は、電池パック100の内側に設けられており、且つ、電池セル111の外部に設けられている。電池パック100は、複数の電圧検出部112を備えてもよい。電池パック100は、複数の電池102のそれぞれの電流を検出する電流検出部113を備えてよい。電流検出部113は、電池パック100の内側に設けられており、且つ、電池セル111の外部に設けられている。また、電池パック100は、複数の電流検出部113を備えてよい。本明細書では電圧検出部112及び電流検出部113を総称して検出部という。メモリ106は、検出部が検出した当該メモリ106に対応する電池102の電圧及び電流の少なくとも一方に基づく当該電池102の劣化情報を記録する。
【0029】
メモリ106は、劣化情報として、例えば、電池102の充放電の回数、電池102の電圧の履歴、電池102の電流の履歴、電池102の充電開始電圧、電池102の充電完了電圧、電池102の内部抵抗値及びその変化、電池102の充電カーブ、電池102の劣化カーブの少なくとも1つを記録してよい。なお、メモリ106は、劣化情報として、電池102の温度を記録してもよい。この場合は、電池パック100は、電池102の温度を検出する温度センサを内側に備える。温度センサは、電池パックの内側に設けられ、且つ、電池セル101の外側に設けられてよい。また、電池パック100は、それぞれの電池102を検出する複数の温度センサを備えてよい。また、温度センサは、それぞれの電池セル101の外装部の内側に設けられてよい。
【0030】
電池パック100は、検出された複数の電池102の電圧及び電流のうち少なくとも一方の情報に基づいて、複数の電池102の劣化情報をそれぞれ算出する劣化情報算出部114を備えてよい。劣化情報算出部114は、電池パック100の内側に設けられており、且つ、電池セル111の外部に設けられている。劣化情報算出部114は、劣化情報算出部105と同様にCPU等の情報処理装置で実現されてもよく、電気回路又は電子回路によって実現されてもよい。メモリ106は、当該メモリ106に対応する電池102の劣化情報を記録する。また、劣化情報算出部105は、時刻を計時するクロック回路を有する。
【0031】
電池セル111は、外部から当該電池セル111が備えるメモリ106への劣化情報の入力及び当該メモリ106から当該電池セル111の外部への劣化情報の出力を行うための入出力インターフェース115を備えてよい。また、電池セル111は、外部から当該電池セル111が備えるメモリ106への劣化情報の入力を行うための入力インターフェースと、メモリ106から電池セル111の外部への劣化情報の出力を行うための出力インターフェースとを別個に設けてよい。
【0032】
劣化情報算出部114は、複数の電池102の劣化情報を、電池セル111の入出力インターフェース115を介して複数のメモリ106にそれぞれ記録する。劣化情報算出部114は、電池102の劣化情報を、当該電池102に対応するメモリ106に記録する。
【0033】
なお、電圧検出部112、電流検出部113、及び劣化情報算出部114は、電池セル111の外部に設けるようにしたが、電圧検出部112、電流検出部113、及び劣化情報算出部114の少なくとも1つは、何れかの電池セル111の中に設けるようにしてもよい。
【0034】
以上のように、各電池セル101毎に設けられたメモリ106が電池102の劣化情報を記録しているので、電池パック100を分解して、それぞれの電池セル101同士がばらばらになっても、該電池セル101の電池102の劣化情報を簡単に知ることができる。つまり、電池パック100を、電池セル101単位毎に分解しても、電池セル101の電池102の劣化情報を簡単に知ることができる。
【0035】
また、上述した電池パック100は、車両に搭載されるバッテリとして用いることができる。バッテリは、1つの電池パック100から構成されてもよく、複数の電池パック100から構成されてもよい。以下、バッテリを搭載した車両と車両に電力を供給する電力供給装置とを有する電力供給システムについて説明する。
【0036】
図3は、電力供給システム200の一例を示す。電力供給システム200は、電力供給装置210、車両220、及びケーブル230を有する。車両220は、バッテリ221及び機器222を有する。車両220は、電気車両であってもよく、ハイブリッド車両であってもよい。また、車両220は、バッテリ221を搭載しているものであればよい。ケーブル230は、電力供給装置210と車両220とを接続する。ケーブル230は、電力供給装置210が供給する電力を車両220に伝導する。また、ケーブル230は、電力専用線と信号専用線とを有しても良い。電力専用線は、電力供給装置210から供給される電力を車両220に伝導する。また、通信専用線は、電力供給装置210からの制御信号を車両220に伝導する。機器222は、車両220の運転環境を調整する。機器222は、例えば、車両220の車内温度を調整する空調装置であってもよい。空調装置は、冷房及び暖房の少なくとも1つを調整する機能を有する。また、機器222は、ガラスの曇りを除去するためにガラスの中に設けられた熱線を加熱する過熱器であってもよい。また、機器222は、運転者等が座るシートを暖めるシートヒータであってもよい。
【0037】
電力供給装置210は、家、マンション等の建物240の中に設けられてよい。電力供給装置210は、ケーブル230を介して電力会社からの電力を車両220に供給してよい。また、電力供給装置210は、燃料電池、太陽電池、発電機等を有してよく、燃料電池、太陽電池、発電機等によって発電された電力を車両220に供給してよい。また、電力供給装置210は、蓄電池を有してよく、該蓄電池に蓄積された電力を車両220に供給してよい。電力供給装置210は、車両220のバッテリ221を充電するための電力を供給する。電力供給装置210は、ケーブル230の電力専用線を介して車両220に電力を供給する。
【0038】
また、電力供給装置210は、ケーブル230を介して制御信号を送信することで、車両220に備え付けられた機器222を制御する。電力供給装置210は、車両220の車内温度及び外気温度の少なくとも1つに応じて機器222を制御してよい。電力供給装置210は、ユーザが登録した機器222を制御するための情報に基づいて機器222を制御してよい。電力供給装置210は、ユーザが登録した運転環境に基づいて、機器222を制御してよい。例えば、電力供給装置210は、車両220の車内温度が、ユーザによって登録された温度となるように機器222を制御してよい。また、ユーザによって登録された時刻に、車両220の車内温度が、ユーザによって登録された温度となるように機器222を制御してよい。電力供給装置210は、機器222を制御する制御信号を生成してもよい。電力供給装置210は、ケーブル230の通信専用線を介して制御信号を送信することで、機器222を制御してよい。なお、ケーブル230は、通信専用線を有しなくてもよい。この場合は、電力供給装置210は、ケーブル230を介して電力通信により制御信号を送信することで、機器222を制御してよい。
【0039】
図4は、電力供給装置210の構成の一例を示す。電力供給装置210は、外気温度検出部211、温度取得部212、運転環境登録部213、運転環境テーブル214、車両制御部215、給電部216、及び制御部217を有する。
【0040】
外気温度検出部211は、外気の温度を検出する。外気温度検出部211は、温度センサを有してよい。温度取得部212は、外気温度検出部211が検出した外気温度を取得する。なお、温度取得部212は、車両220に備え付けられている温度検出部が検出した温度を取得してよい。温度取得部212は、車両220が検出した外気温度及び車内温度の少なくとも1つを取得してもよい。
【0041】
運転環境登録部213は、ユーザからの運転環境の入力を受け付ける。運転環境登録部213は、ユーザが入力した運転環境を示す情報を運転環境テーブル214に記録することで、ユーザが入力した運転環境を登録する。車両制御部215は、運転環境テーブル214からユーザが登録した運転環境を示す情報を取得する。車両制御部215は、取得した外気温度に応じて機器222を制御してよい。また、温度取得部212が車両220から車内温度を取得した場合は、車両制御部215は、取得した車内温度に応じて機器222を制御してよい。また、車両制御部215は、車内温度及び外気温度に応じて機器222を制御してよい。また、車両制御部215は、ユーザが入力した運転環境に応じて機器222を制御してよい。また、車両制御部215は、運転環境と、外気温度及び/又は車内温度とに応じて機器222を制御してよい。車両制御部215は、機器222を制御する制御信号を生成してよい。車両制御部215は、ケーブル230を介して制御信号を車両220に送信することで、機器222を制御してよい。
【0042】
給電部216は、ケーブル230を介して電力会社からの電力を、車両220に供給する。給電部216は、ケーブル230の電力専用線を介して車両220に電力を供給する。給電部216は、電力会社からの交流の電流を直流に変換して車両220に電力を供給する。制御部217は、電力供給装置210の各部を制御する。制御部217は、電力供給装置210と車両220とが接続されていることを検知した場合に、車両制御部215による機器222の制御を行わせてよく、給電部216による車両220への電力の供給を行わせてよい。制御部217は、車両220からの信号を受け付けた場合に、電力供給装置210と車両220とが接続されたと判断してもよい。例えば、制御部217が車両220に通信信号を送り、車両220から通信信号に応答する応答信号が送られてきた場合は、接続されたと判断してもよい。温度取得部212、運転環境登録部213、運転環境テーブル214、車両制御部215、制御部217は、CPU等の情報処理装置によって実現してもよい。また、電力供給装置は、所定のプログラムを記録した記録媒体を有してよく、情報処理装置が所定のプログラムに従うことで電力供給装置210として機能させてもよい。
【0043】
図5は、車両220の構成の一例を示す。車両220は、バッテリ221、機器222、電力切換部223、及び機器制御部224を有する。バッテリ221は、車両220に備え付けられているモータ、機器222等の電気系統を動かすための電力を蓄える。バッテリは、リチウムイオン電池であってもよく、他の2次電池であってもよい。機器222は、空調装置、加熱器、及びシートヒータの少なくとも1つを含む。
【0044】
電力切換部223は、給電部216からケーブル230を介して送られてきた電力の供給先を、バッテリ221と機器222とに切り替える。電力切換部223は、バッテリ221が満充電になるまでは、送られてきた電力をバッテリ221に電力を供給する。この場合は、バッテリ221は、蓄積した電力を機器222に供給する。また、電力切換部223は、バッテリ221が満充電になると、送られてきた電力を機器222に供給する。この場合は、バッテリ221に蓄積された電力は機器222に供給されない。バッテリ221が満充電か否かは、バッテリ221の電圧等によって求めることができる。なお、電力切換部223は、ケーブル230を介して送られてきた電力を、バッテリ221及び機器222に並行して供給してもよい。つまり、電力切換部223は、電力をバッテリ221と機器222とに同時に電力を供給してもよい。電力切換部223は、スイッチと、情報処理装置を有してよく、情報処理装置がスイッチを制御することで、電力を切り替える。
【0045】
機器制御部224は、車両制御部215からケーブル230を介して送られてきた制御信号にしたがって機器222を制御する。機器制御部224は、車両制御部215から送られてきた制御信号をそのまま機器222に送信することで機器222を制御してよい。また、機器制御部224は、車両制御部215から送られてきた制御信号に従って、機器222を制御する制御信号を生成して機器222を制御してもよい。機器制御部224は、情報処理装置によって実現されてもよい。また、車両220は、所定のプログラムを記録した記録媒体を有してよく、情報処理装置が所定のプログラムに従うことで、機器制御部224として機能させてもよい。
【0046】
図6は、運転環境テーブル214の一例を示す。運転環境テーブル214は、ユーザが車両220を使用する時刻、制御する機器222の種類、及び運転環境を記録している。運転環境テーブル214には、使用時刻として、「2009/2/20、7:30」、「2009/2/20、20:00」、「2009/2/21、13:00」等が記録されている。また、制御する機器222の種類として、「空調装置」、「過熱器」、「シートヒータ」があり、運転環境としてそれぞれの機器222の調整内容が記録されている。例えば、車両220の使用時刻が、2009年2月20日、7時30分の場合は、登録した機器222の運転環境は、空調装置による車内温度が25度、加熱器がオン、シートヒータの温度が強となっている。また、車両220の使用時刻が2009年2月21日、13時00分の場合は、登録した機器222の運転環境は、空調装置による車内温度が26度、加熱器がオフ、シートヒータがオフとなっている。このように、ユーザは、車両220の使用時刻、そのときの運転環境を入力することができ、運転環境登録部213は、ユーザが入力した情報を、運転環境テーブル214に記録することで登録することができる。
【0047】
次に、電力供給システム200の動作を説明する。電力供給装置210と車両220とがケーブル230を介して接続されていることを電力供給装置210の制御部217が検知すると、制御部217は、給電部216に車両220への電力供給を行わせる。なお、制御部217は、給電部216を制御しなくてもよい。この場合は、給電部216は、車両220と電力供給装置210とがケーブル230を介して接続されると、自動的に電力を供給してもよい。例えば、家庭用の電源コンセントに、差込プラグを挿入すると、自然に電力を供給するような態様であってよい。車両220の電力切換部223は、給電部216から送られてきた電力をバッテリ221に供給する。これにより、バッテリ221を充電することできる。このとき、機器222が電力を必要とする場合は、バッテリ221が電力を機器222に供給してよい。また、電力切換部223は、バッテリ221が満充電になると、電力の供給先をバッテリ221から機器222に切り替える。また、バッテリ221が満充電の場合に、機器222が電力を必要としない場合は、電力切換部223は、バッテリ221及び機器222の両方に電力を供給しない。なお、電力切換部223は、バッテリ221及び機器222のどちらか一方に電力を供給するのではなく、両方に電力を並行して供給してもよい。
【0048】
また、電力供給装置210と車両220とがケーブル230を介して接続されていることを制御部217が検知すると、制御部217は、車両制御部215に車両220の機器222の制御を行わせる。車両制御部215は、温度取得部212が取得した外気温度を取得する。温度取得部212は、外気温度検出部211が検出した外気温度を取得してもよい。また、車両220から外気温度を取得してもよい。この場合は、車両220は、外気温度を検出する温度センサを有してよい。また、車両制御部215は、次の車両220の使用時刻、及びそのときの登録した運転環境を示す情報を運転環境テーブル214から取得する。車両制御部215は、取得した外気温度、使用時刻、及び運転環境を示す情報から機器222を制御する制御信号を生成する。
【0049】
具体的には、車両制御部215は、取得した外気温度から現在の車両220の車内温度を推測する。車両制御部215は、外気温度と車内温度とを対応付けたテーブルを有してよく、該テーブルに基づいて車内温度を推測してよい。そして、車両制御部215は、使用時刻に、該使用時刻に対応する運転環境となるように機器222を制御する。このとき、推測した車内温度に応じて機器222を制御する。例えば、図6に示すように、取得した使用時刻が2009/2/20 20:00の場合は、登録した車内温度が「27度」となっているので、使用時刻2009年2月20日の午後8時に、車両220の車内温度が27度となっているように空調装置の制御信号を生成して、車両220に送信する。これにより、使用時刻には、車両220の車内温度を設定した車内温度とすることができる。また、車両制御部215は、現在の車内温度と登録した車内温度との差に応じて空調装置を制御する制御信号を異ならせる。制御信号の内容としては、空調装置による空調の開始時刻、また、空調の強さを制御する信号を含んでもよい。空調の開始時刻と使用時刻との間隔が長い場合は、短い場合に比べ空調の強さは弱くてよい。また、現在の車内温度と登録した車内温度との差が小さい場合は、大きい場合に比べ空調の強さは弱くてよい。この空調の強さとは、現在の温度を登録した温度に近づける速さのことをいう。空調の強さが強い場合は、弱い場合に比べ、現在の車内温度から登録した車内温度になるまでの時間が短い。
【0050】
また、車両制御部215は、取得した使用時刻が2009/2/20 20:00の場合は、過熱器が「オン」となっているので、使用時刻2009年2月20日の午後8時の所定時間前に、過熱器による熱線の加熱を開始させる制御信号を生成して、車両220に送信する。これにより、使用時刻には、車両220のガラスの曇りを取り除くことができる。また、車両制御部215は、取得した使用時刻が2009/2/20 20:00の場合は、シートヒータが「中」となっているので、使用時刻の所定時間前に、強度「中」にしてシートヒータによるシートを暖めを開始させる制御信号を生成して、車両220に送信する。シートヒータの強度とは、シートを暖める温度の強弱を示す。これにより、使用時刻には、車両220のシートを暖かくすることができる。このように、ユーザはわざわざ車両220に行かなくても、建物の中等の離れた場所で、車両220の運転環境を調整することができる。
【0051】
また、温度取得部212が車両220から車内温度を取得する場合は、車両制御部215は、現在の車内温度、使用時刻、及びそのときの運転環境から機器222を制御する制御信号を生成する。この場合は、車両220の車内温度を推定しなくてもよい。また、車両220が車内温度を検出してくれるので、車両制御部215は、検出した車内温度が設定した車内温度になっているか否かを判断することができ、より精度よく車両220の車内温度を制御することができる。
【0052】
車両220の機器制御部224は、車両制御部215から送られてきた制御信号にしたがって機器222を制御する。機器制御部224は、車両制御部215から送られてきた制御信号をそのまま機器222に送信することで機器222を制御してもよい。
【0053】
以上のように、電力供給装置210から車両220の機器222を制御するので、ユーザがわざわざ車に行かなくても、車両220を制御することができる。また、外気温度に応じて機器222を制御するので、車両220の運転環境を、そのときの外気気温にあった運転環境に調整することができる。また、ユーザが運転環境を登録することで、車両220の運転環境をユーザが任意に調整することができる。また、バッテリ221を充電しているので、機器222の駆動によってバッテリ221の電力が減ることはなく、運転環境を調整することができる。また、バッテリ221が満充電になると、電力会社からの電力で機器222を駆動させるので、バッテリの電力を減らすことなく運転環境を調整することができる。また、運転環境の調整によってバッテリ221の電力が不足して、車両220の運転ができないという弊害も防止することができる。
【0054】
なお、車両制御部215は、運転環境テーブル214から運転環境を取得することなく、単に、温度取得部212が取得した温度に応じて機器222を制御してもよい。この場合は、予め設定された運転環境となるように機器222を制御してもよい。例えば、外気温度が第1の温度より低い場合は、空調を暖房にして加熱器、シートヒータを駆動させたりしてよい。また、外気温度が第2の温度より高い場合は、空調を冷房にして駆動させてもよい。この場合は、加熱器及びシートヒータを駆動させない。ここで、第1の温度は、第2の温度以下であってよい。また、車両制御部215は、温度取得部212が取得した温度に関わらず、単に運転環境テーブル214から取得した運転環境に応じて機器222を制御してもよい。また、車両制御部215は、運転環境テーブル214から取得した運転環境を示す情報を機器制御部224に送信することで機器222を制御してよい。この場合は、機器制御部224が取得した運転環境に応じて機器222を制御する。
【0055】
また、電力供給装置210を建物240の外側に設ける場合は、建物240の中にコンピュータなどの情報処理装置を設け、電力供給装置210と該情報処理装置とを接続してもよい。この場合は、建物の中に設けられた情報処理装置が、ユーザによって入力された運転環境を登録してもよい。つまり、情報処理装置が、運転環境登録部213、運転環境テーブル214として機能してよい。また、建物の中に設けられた情報処理装置が、機器222を制御する制御信号を生成して、電力供給装置210に送信してもよい。この場合は、電力供給装置210の車両制御部215は、情報処理装置から送られてきた制御信号を、ケーブル230を介して車両220に送信することで、機器222を制御する。
【0056】
また、電力供給装置210と車両220とをケーブル230を介して接続して、電力供給装置210が電力供給、制御信号の送信を行うようにしたが、ケーブル230を用いずに、電力供給装置210が、電力供給、制御信号の送信を行うようにしてもよい。例えば、電力供給装置210は、マイクロ波送電により電力を車両220に供給してよい。また、電力供給装置210は、マイクロ波通信により制御信号を車両220に送信してよい。
【0057】
上述した車両220のバッテリ221として使用された電池パックを回収して、該電池パックを電池セル単位に分解する。そして、電池セルを再びリパックすることで電池セルを再利用する。以下、電池セルのリパックに用いられる電池組立装置について説明する。
【0058】
図7は、電池セルのリパックの概要を示す。使用された複数の電池パック300を電池セル301単位毎に分解する。つまり、複数の電池パック300を分解して、それぞれの電池セル301同士をばらばらにする。そして、ばらばらにした複数の電池セル301のうち、電池セル301の充電カーブが互いに類似する電池セル301群を1つの電池パックに組み込む電池セルとして選択する。そして、選択された電池セル301群を1つの電池パックに組み込んで電池パック300を再形成する。電池セル301は、図1に示す電池セル101であってもよく、図2に示す電池セル111であってもよい。また、電池セル301は、メモリ106を備えない電池セルであってもよい。
【0059】
図8は、電池組立装置310の構成の一例を示す。電池組立装置310は、充電カーブ取得部311、選択部312、及び用途選択部313を備える。充電カーブ取得部311は、複数の電池セル301のそれぞれの充電カーブを取得する。充電カーブ取得部311は、充電カーブ測定部321及び充電カーブ読出部322を有する。所定のプログラムを読み込ませることで、情報処理装置を電池組立装置310として機能させてもよい。また、情報処理装置は、該所定のプログラムを記録した記録媒体を有してよい。
【0060】
充電カーブ測定部321は、複数の電池セル301を充放電させて、複数の電池セル301のそれぞれの充電カーブを測定する。これにより、複数の電池セル301のそれぞれの充電カーブを取得することができる。この充電カーブとは、第1電圧から、第1電圧より高い第2電圧までの充電にかかる充電時間と電圧との関係を示す。充電カーブ測定部321は、電池セル301を第1電圧まで放電させて、電池セル301を充電する。そして、充電カーブ測定部321は、電池セル301の電圧が第1電圧から第2電圧となるまでにかかった充電時間と、充電時間のそれぞれの時刻における電圧とを測定することにより充電カーブを測定することができる。充電カーブ測定部321は、電池セル301の充放電を制御する制御部を備える。制御部は情報処理装置によって実現してもよい。また、充電カーブ測定部321は、電力会社からの電力を電池セル301に供給してもよい。また、充電カーブ測定部321は、燃料電池、蓄電池、発電機等を備えることで、電力を電池セル301に供給してよい。第2電圧は、電池セル301が満充電となる電圧であってもよい。
【0061】
充電カーブ読出部322は、複数の電池セル301に設けられているそれぞれのメモリから、複数の電池セル301の充電カーブを示す情報を読み出す。電池セル301が図1に示す電池セル101の場合は、出力インターフェース107を介してメモリ106に記録された充電カーブを示す情報を読み出す。また、電池セル301は、図2に示す電池セル111の場合は、メモリ106に記録された充電カーブを、入出力インターフェース115を介して充電カーブを示す情報を読み出す。また、充電カーブを示す情報とは、充電カーブそのものの情報でなくてもよく、充電カーブが分かる情報であればよい。例えば、電圧の履歴であってもよい。この場合は、充電カーブ読出部322は、メモリ106から電圧の履歴を読み出して、電圧の履歴から充電カーブを算出してよい。また、充電カーブを示す情報として、電流の履歴と電池102の内部抵抗値の変化であってもよい。この場合は、充電カーブ読出部322は、メモリ106から電流の履歴と内部抵抗値の変化を読み出して、電流の履歴と内部抵抗値の変化とから充電カーブを算出してよい。充電カーブ読出部322は、CPU等の情報処理装置によって実現されてもよい。また、電気回路又は電子回路によって実現されてもよい。
【0062】
充電カーブを示す情報を記録したメモリを備えない電池セル301の場合は、充電カーブ測定部321で充電カーブを測定することが好ましい。また、充電カーブを示す情報を記録したメモリを備える電池セル301の場合は、充電カーブ読出部322で充電カーブを読み出すことが好ましい。また、メモリを備えない電池セル301であっても、当該電池セル301の充電カーブを示す情報を記録した記録媒体がある場合は、充電カーブ読出部322が該記録媒体から充電カーブを示す情報を読み出してもよい。また、充電カーブ取得部311は、充電カーブを示す情報が記録されたメモリ106を備える電池セル301であるか否かを判断して、充電カーブ測定部321と充電カーブ読出部322とのどちらで充電カーブを取得するかを決めるようにしてもよい。
【0063】
選択部312は、複数の電池セル301のうち、充電カーブ取得部311が取得した充電カーブが互いに類似する複数の電池セル301を1つの電池パックに組み込む電池セルとして選択する。選択部312は、充電カーブが互いに類似する複数の電池セル301の数が、電池パックに組み込むべき電池セルの数より小さい場合は、1つの電池パックに組み込む電池セルとして選択しなくてもよい。また、選択部312は、充電カーブが互いに類似する複数の電池セル301の数が、1つの電池パックに組み込むことができる電池セルの数より大きい場合は、1つの電池パックに組み込むことができる電池セルの数だけ選択してもよい。
【0064】
充電カーブが互いに類似する複数の電池セル301とは、充電カーブが示す軌跡が互いに所定の範囲内にある複数の電池セル301のことをいう。また、選択部312は、充電時間が互いに類似する複数の電池セル301を、充電カーブが互いに類似する複数の電池セル301と判断してよい。そして、選択部312は、充電カーブが互いに類似すると判断した複数の電池セル301を1つの電池パックに組み込む電池セルとして選択してよい。充電時間が互いに類似する複数の電池セル301とは、充電時間が一致する複数の電池セル301であってもよい。充電時間が互いに類似する複数の電池セル301とは、それぞれの電池セル301の充電時間の差が互いに所定の時間の範囲内にある複数の電池セル301であってもよい。つまり、充電時間が互いに類似する電池セル301として選択された複数の電池セルのうち、最も充電時間が短い電池セル301と、最も充電時間が長い電池セル301とは、充電時間の差が所定の時間の範囲内にある。
【0065】
選択部312は、充電時間が互いに類似し、且つ、充電時間のそれぞれの時刻における電池セル301の電圧が互いに類似する複数の電池セル301を、充電カーブが類似する電池セル301と判断してよい。そして、選択部312は、充電カーブが類似すると判断した複数の電池セル301を1つの電池パックに組み込む電池セルとして選択してよい。充電時間のそれぞれの時刻における電池セル301の電圧が互いに類似する複数の電池セル301とは、それぞれの電池セル301のそれぞれの時刻における電圧が一致する複数の電池セル301であってもよい。また、充電時間のそれぞれの時刻における電池セル301の電圧が互いに類似する複数の電池セル301とは、それぞれの電池セル301のそれぞれの時刻における電圧が互いに所定の電圧の範囲内にある複数の電池セル301であってもよい。
【0066】
用途選択部313は、1つの電池パック300に組み込む電池セル301として選択された電池セル301の充電カーブに応じて、該電池パック300の使用用途を選択する。用途選択部313は、充電カーブと使用用途とを対応付けたテーブルを備えてよく、該テーブルを用いて使用用途を選択してよい。使用用途としては、例えば、非常用電源、軽自動車の電気車両用、パソコン用などがある。
【0067】
図9は、充電カーブが異なる3つの電池セル301の充電カーブの一例を示す。充電カーブ401は、1つ目の電池セル301の充電カーブを示す。充電カーブ402は、2つ目の電池セル301の充電カーブを示す。充電カーブ403は、3つ目の電池セル301の充電カーブを示す。この充電カーブを見ると、1つ目の電池セル301の充電時間が最も長く、次に、2つ目の電池セル301の充電時間が長い。そして、3つ目の電池セルの充電時間が最も短い。このように、電池セル301によってそれぞれの充電時間が異なるので、このような電池セル301を1つの電池パックに組み込むと、電池セル301及び電池パック300全体の劣化が早くなる。つまり、充電時間が最も長い電池セル301に合わせて充電を行うと、充電時間が短い電池セル301は過充電となり、劣化が進む。また、充電時間が最も短い電池セル301に合わせて充電を行うと、充電時間が長い電池セル301の電圧が低くなってしまう。
【0068】
そこで、電池セル301及び電池パック300の寿命を延ばすことを目的として、選択部312は、充電時間が互いに類似する電池セル301を、充電カーブが互いに類似する電池セル301と判断してよい。そして、選択部312は、充電時間が互いに類似する電池セル301を1つの電池パックに組み込む電池セルとして選択してよい。そして、1つの電池パックに組み込む電池セルとして選択された電池セル301を、1つの電池パック300に組み込むことで、電池パック300の寿命を延ばすことができ、また、電池セル301の寿命も延ばすことができる。
【0069】
図10は、充電カーブが異なる3つの電池セル301の充電カーブの他の例を示す。充電カーブ411は、1つ目の電池セル301の充電カーブを示す。充電カーブ412は、2つ目の電池セル301の充電カーブを示す。充電カーブ413は、3つ目の電池セル301の充電カーブを示す。この充電カーブを見ると、1つ目の電池セル301、2つ目の電池セル301、及び3つ目の電池セル301の充電時間は類似している。しかし、充電時間が類似しても、充電時間のそれぞれの時刻における電池セルの電圧が異なるので、このような電池セル301を1つの電池パックに組み込むと、電池セル301及び電池パック300全体の劣化が進んでしまう。
【0070】
したがって、選択部312は、充電時間が互いに類似し、且つ、充電時間のそれぞれの時刻における電池セル301の電圧が互いに類似する複数の電池セル301を、充電カーブが類似する電池セル301と判断してよい。そして、選択部312は、充電カーブが類似すると判断した複数の電池セル301を1つの電池パックに組み込む電池セルとして選択してよい。そして、1つの電池パックに組み込む電池セルとして選択された電池セル301を、1つの電池パック300に組み込むことで、電池パック300の寿命を延ばすことができ、また、電池セル301の寿命も延ばすことができる。
【0071】
なお、一度使用された電池セル301を用いてリパックするようにしたが、一度も使用されていない新品の電池セル301を用いてリパックする場合にも適用してよい。新品の電池セル301であっても、電池セル301毎に充電カーブが異なる場合もある。したがって、選択部312は、新品の電池セル301のうち、充電カーブが互いに類似する新品の電池セル301を、1つの電池パックに組み込む電池セルとして選択してもよい。
【0072】
また、選択部312は、電池セル301の充電カーブを取得するようにしたが、電池セル301の現在の劣化度合いが互いに類似する電池セルを、1つの電池パックに組み込む電池セルとして選択してもよい。この現在の劣化度合いは、現在の電池セル301の内部抵抗値であってもよく、現在の満充電時における電池セル301の電圧であってもよい。また、電池組立装置310は、電池セル301の劣化カーブを取得するようにしてもよい。電池組立装置310は、複数の電池セル301のそれぞれの劣化カーブを取得する劣化カーブ取得部を備えてよい。劣化カーブ取得部は、それぞれの電池セル301の内側に設けられたメモリから劣化カーブを示す情報を取得することで、複数の電池セル301のそれぞれの劣化カーブを取得してよい。そして、選択部312は、複数の電池セル301のうち、現在の電池セル301の劣化度合いが類似し、且つ、劣化カーブが互いに類似する電池セル301を、1つの電池パック300に組み込む電池セルとして選択してよい。
【0073】
劣化カーブは、電池セル301の満充電時における電圧の遷移を示したものであってよい。この場合、劣化カーブが互いに類似する複数の電池セル301とは、遷移したそれぞれの満充電時における電圧が互いに所定の範囲内にある複数の電池セル301であってよい。また、劣化カーブは、電池セル301の内部抵抗値の遷移を示したものであってもよい。この場合、劣化カーブが互いに類似する複数の電池セル301とは、遷移したそれぞれの内部抵抗値が互いに所定の範囲内にある複数の電池セル301であってもよい。そして、用途選択部313は、1つの電池パック300に組み込む電池セル301として選択された電池セル301の劣化カーブに応じて、該電池パック300の使用用途を選択してよい。この劣化カーブは、電池セル301の劣化の遷移を示しているので、この劣化カーブから、電池セル301の今後の劣化度合いをある程度分かる。したがって、劣化カーブが互いに類似する複数の電池セル301は、今後の劣化の度合い、劣化速度が類似する電池セル301と判断することができる。このように、劣化カーブが互いに類似する複数の電池セル301を1つの電池パック300に組み込むことで、電池セル301及び電池パック300の寿命を延ばすことができる。
【0074】
また、図1及び図2の電池パック300のリパック方法として以下のような形態であってもよい。電池パック300のそれぞれの電池セル301は、電池パック内における配置位置によって劣化度合いが異なる。例えば、熱に弱い電池セル301の場合は、電池パック300の端にある電池セル301より、電池パック300の中央にある電池セル301の方が熱を持ちやすいので劣化が早い。つまり、電池セル301に囲まれている電池セル301の方が、電池セル301に囲まれていない電池セル301より劣化が早い。したがって、それぞれの電池セル301の劣化情報をから、電池セル301の配置位置における劣化速度を得て、それぞれの電池セル301の配置位置を変えるようにリパックしてもよい。例えば、一番劣化が早い位置に、一番劣化が遅い位置にあった電池セル101を配置させ、一番劣化が遅い位置に、一番劣化が早い位置にあった電池セル101を配置させる。これにより、電池パック300のそれぞれの電池セル101の劣化を均等にすることができる。このリパックは、所定の周期で行ってもよい。それぞれの電池セル301の劣化情報は、電池セル301の中にメモリが設けられている場合は、該メモリから読み出すことにより取得してよい。また、電池セル301の中にメモリが設けられていない場合は、劣化情報を測定することにより劣化情報を取得してよい。この処理は、CPU等の情報処理装置が、電池セル101の劣化情報から、それぞれの電池セル101の配置位置における劣化速度を算出する。そして、配置位置における劣化速度とそれぞれの電池セル101の劣化情報とから、それぞれの電池セル101の配置位置を算出してよい。
【0075】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0076】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0077】
100 電池パック、101 電池セル、102 電池、103 電圧検出部、104 電流検出部、105 劣化情報算出部、106 メモリ、107 出力インターフェース、111 電池セル、112 電圧検出部、113 電流検出部、114 劣化情報算出部、115 入出力インターフェース、200 電力供給システム、210 電力供給装置、211 外気温度検出部、212 温度取得部、213 運転環境登録部、214 運転環境テーブル、215 車両制御部、216 給電部、217 制御部、220 車両、221 バッテリ、222 機器、223 電力切換部、224 機器制御部、230 ケーブル、240 建物、300 電池パック、301 電池セル、310 電池組立装置、311 充電カーブ取得部、312 選択部、313 用途選択部、321 充電カーブ測定部、322 充電カーブ読出部、401 充電カーブ、402 充電カーブ、403 充電カーブ、411 充電カーブ、412 充電カーブ、413 充電カーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のバッテリを充電するための電力を供給する電力供給装置であって、
当該電力供給装置と前記車両とを接続するケーブルを介して制御信号を送信することで、前記車両に備え付けられた機器を制御する車両制御部
を備える電力供給装置。
【請求項2】
前記車両制御部は、前記車両の運転環境を調整する前記機器を制御する
請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記車両の車内温度及び外気温度の少なくとも1つを取得する温度取得部をさらに備え、
前記車両制御部は、前記車内温度及び前記外気温度の少なくとも1つに応じて前記機器を制御する
請求項2に記載の電力供給装置。
【請求項4】
外気温度を検出する外気温度検出部をさらに備え、
前記温度取得部は、前記外気温度検出部が検出した前記外気温度を取得する
請求項3に記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記機器は、前記車両内の温度を調整する空調装置、前記車両のガラスの中にある熱線を加熱する加熱器、前記車両のシートを暖めるシートヒータの少なくとも1つを含む
請求項2から4の何れかに記載の電力供給装置。
【請求項6】
前記ケーブルは、電力専用線及び通信専用線を有し、
前記電力供給装置は、前記電力専用線を介して前記車両に電力を供給する給電部をさらに備え、
前記車両制御部は、前記通信専用線を介して前記制御信号を送信することで、前記機器を制御する
請求項1から5の何れかに記載の電力供給装置。
【請求項7】
電力供給装置が、車両のバッテリを充電するための電力を供給する電力供給方法であって、
当該電力供給装置と前記車両とを接続するケーブルを介して制御信号を送信することで、前記車両に備え付けられた機器を制御する車両制御工程
を備える電力供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−233409(P2010−233409A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80608(P2009−80608)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【出願人】(000000147)伊藤忠商事株式会社 (43)
【Fターム(参考)】