電力調整装置および電力調整方法、太陽光発電システム、並びに管理装置
【課題】より高出力な発電を行う。
【解決手段】出力変換機21−1乃至21−8は、太陽電池モジュール22−1乃至22−8において発電された電力が、最大電力となるような制御に従って電圧を変換して出力する。パワーコンディショナ12は、出力変換機21−1乃至21−8から出力される直流の電力を交流の電力に変換する変換手段に入力される直流の電力が、所定の一定電圧となるように制御する。本発明は、例えば、太陽電池モジュールごとに出力変換機を備えた太陽光発電システムに適用できる。
【解決手段】出力変換機21−1乃至21−8は、太陽電池モジュール22−1乃至22−8において発電された電力が、最大電力となるような制御に従って電圧を変換して出力する。パワーコンディショナ12は、出力変換機21−1乃至21−8から出力される直流の電力を交流の電力に変換する変換手段に入力される直流の電力が、所定の一定電圧となるように制御する。本発明は、例えば、太陽電池モジュールごとに出力変換機を備えた太陽光発電システムに適用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力調整装置および電力調整方法、太陽光発電システム、並びに管理装置に関し、特に、より高出力を得られるようにした電力調整装置および電力調整方法、太陽光発電システム、並びに管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素の排出量削減などの地球環境についての観点から、太陽電池により発電を行う太陽光発電システムの普及が推進されている。
【0003】
図10を参照して、太陽光発電システムの構成について説明する。
【0004】
図10の左下には、太陽電池の構成の最小単位である太陽電池セル100が示されており、太陽電池セル100は、太陽光の照射を受けることによる光電効果によって、電力を発生する。
【0005】
また、複数の太陽電池セル100が直列に接続されて太陽電池クラスタ102が構成される。図10に示す例では、太陽電池クラスタ102は、6個の太陽電池セル1001乃至1006により構成されており、その両端の太陽電池セル1001と1006とは、バイパスダイオード101を介して接続される。
【0006】
そして、複数の太陽電池クラスタ102が直列に接続されて太陽電池モジュール(パネル)104が構成される。図10に示す例では、太陽電池モジュール104は、3個の太陽電池クラスタ1021乃至1023により構成されており、太陽電池クラスタ1021乃至1023それぞれが備えるバイパスダイオード1011乃至1013は端子箱103に収納される。
【0007】
また、複数の太陽電池モジュール104が直列に接続されて太陽電池ストリング105が構成される。図10に示す例では、太陽電池ストリング105は、3個の太陽電池モジュール1041乃至1043により構成されている。
【0008】
さらに、複数の太陽電池ストリング105が並列に接続されて太陽電池アレイ106が構成される。図10に示す例では、太陽電池アレイ106は、4個の太陽電池ストリング1051乃至1054により構成されている。太陽電池ストリング1051乃至1054は、接続箱107において接続された後、パワーコンディショナ108に接続される。
【0009】
パワーコンディショナ108は、太陽電池アレイ106から出力される直流の電力を、交流の電力に変換し、負荷109に供給したり、電力会社が提供する商用の電力系統110に戻したりする。また、パワーコンディショナ108は、最大電力追従(MPPT:Maximum Power Point Tracking)制御に基づいて、太陽電池アレイ106から最大の出力を得られるような制御を行う機能を備えている。
【0010】
このように構成されている太陽光発電システムでは、太陽光エネルギーを、より効率的に電力に変換することが望まれており、様々な技術が開発されている。例えば、太陽電池アレイごとにDC/DCコンバータを設け、太陽電池アレイから出力される電力の電圧および電流の検出結果に基づいて、太陽電池アレイからの出力を直流状態のままDC/DCコンバータにより最大電力追従制御を行う技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0011】
さらに、太陽電池ストリング単位や太陽電池モジュール単位で最大電力追従制御を行う技術も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−112545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、例えば、太陽電池モジュールごとにDC/DCコンバータを設けて最大電力追従制御を行うような太陽光発電システムでは、それぞれの太陽電池モジュールから出力される電力の電圧および電流が変動することになる。このような太陽光発電システムシステムにおいて、従来のパワーコンディショナを組み合わせただけでは、パワーコンディショナにおいても最大電力が得られるように制御されるため、太陽光発電システム全体として電力の電圧および電流が発振してしまい(ふらついてしまい)、発電量が確実に向上するとは限らない。従って、太陽電池モジュールごとにDC/DCコンバータが設けられた太陽光発電システムにおいて、より高出力を得られるような最適な制御を行うことができるパワーコンディショナが必要である。
【0014】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より高出力な発電を行うことができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の電力調整装置は、複数の太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を、交流の電力に変換する変換手段と、前記変換手段に入力される直流の電力が所定の一定電圧となるように制御する電圧制御手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の電力調整方法は、複数の太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を、交流の電力に変換し、前記直流の電力が所定の一定電圧となるように制御するステップを含むことを特徴とする。
【0017】
かかる構成においては、複数の太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を交流の電力に変換する際に、入力される直流の電力が所定の一定電圧となるような制御が行われるので、発電が安定し、より高出力な発電を行うことができる。
【0018】
また、本発明の電力調整装置は、複数の前記太陽電池モジュールごとに、発電された電力の電圧を変換する直流電圧変換手段が設けられており、前記直流電圧変換手段における変換損失および前記変換手段における変換損失に基づいて、前記所定の一定電圧を決定する電圧決定手段とをさらに備えることができる。
【0019】
かかる構成においては、複数の太陽電池モジュールにおいて電圧を変換する際における変換損失、および、直流の電力を交流の電力に変換する際における変換損失に基づいて、所定の一定電圧が決定されるので、さらに発電量を増加させることができる。
【0020】
本発明の太陽光発電システムは、複数の太陽電池モジュールと、複数の前記太陽電池モジュールごとに設けられ、発電された電力の電圧を変換する直流電圧変換手段と、前記太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を、交流の電力に変換する変換手段と、前記変換手段に入力される直流の電力が所定の一定電圧となるように制御する電圧制御手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
かかる構成においては、太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を交流の電力に変換する際に、入力される直流の電力が所定の一定電圧となるような制御が行われるので、発電が安定し、より高出力な発電を行うことができる。
【0022】
本発明の管理装置は、複数の太陽電池モジュールごとに設けられ、発電された電力の電圧を変換する直流電圧変換手段における変換損失と、複数の前記太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を、交流の電力に変換する変換手段における変換損失とに基づいて、所定の一定電圧を決定する電圧決定手段と、前記変換手段に入力される直流の電力が前記所定の一定電圧となるように制御する電圧制御手段に対して、決定された前記所定の一定電圧を設定するように指令を与える指令手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
かかる構成においては、複数の太陽電池モジュールごとに設けられた直流電圧変換手段における変換損失と、複数の前記太陽電池モジュールから出力される直流の電力を交流の電力に変換する変換手段における変換損失とに基づいて、所定の一定電圧が決定され、変換手段に入力される直流の電力が所定の一定電圧となるように制御する電圧制御手段に対して、その決定された所定の一定電圧が設定されるので、さらに発電量を増加させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の電力調整装置および電力調整方法、太陽光発電システム、並びに管理装置によれば、より高出力な発電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を適用した太陽光発電システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】出力変換機の構成例を示すブロック図である。
【図3】パワーコンディショナの構成例を示すブロック図である。
【図4】パワーコンディショナが受け付ける電圧を一定に維持する処理を説明するフローチャートである。
【図5】本発明を適用した太陽光発電システムの他の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図6】管理ユニットの構成例を示すブロック図である。
【図7】Duty値と変換効率とが対応付けられたテーブルを示す図である。
【図8】入力電圧の電圧値と変換効率とが対応付けられたテーブルを示す図である。
【図9】パワーコンディショナに基準電圧値を設定する処理を説明するフローチャートである。
【図10】太陽光発電システムの構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明を適用した太陽光発電システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0028】
図1において、太陽光発電システム11は、パワーコンディショナ12と太陽電池ストリング13とが接続されて構成されており、パワーコンディショナ12により交流に変換された電力が負荷や電力系統(図10参照)に供給される。なお、図1の太陽光発電システム11では、1つの太陽電池ストリング13がパワーコンディショナ12に接続された構成となっているが、図10を参照して説明したように、パワーコンディショナ12には、複数の太陽電池ストリングが並列に接続されており、それらの図示は省略されている。
【0029】
パワーコンディショナ12は、太陽電池ストリング13から出力される電力を、図示しない負荷に供給可能なように調整して出力する電力調整装置である。
【0030】
太陽電池ストリング13では、8個の出力変換機21−1乃至21−8が直列に接続されており、出力変換機21−1乃至21−8に太陽電池モジュール22−1乃至22−8がそれぞれ接続されている。また、直列に接続された両端の出力変換機22−1および出力変換機22−8がパワーコンディショナ12に接続されている。なお、出力変換機21−1乃至21−8および太陽電池モジュール22−1乃至22−8はそれぞれ同様に構成されており、以下、適宜、出力変換機21−1乃至21−8を区別する必要がない場合には出力変換機21と称し、図2を参照して後述するように出力変換機21−1乃至21−8の内部構成についても同様とする。また、太陽電池モジュール22−1乃至22−8についても同様に、太陽電池モジュール22と称する。
【0031】
このように、太陽光発電システム11は、太陽電池モジュール22ごとに出力変換機21が設けられた構成となっている。そして、太陽電池モジュール22が太陽光の照射に応じて出力する直流の電力が出力変換機21により所定の電圧の直流の電力に変換されて、パワーコンディショナ12に供給される。
【0032】
図2を参照して、出力変換機21の構成について説明する。図2には、太陽電池ストリング13の一部分(出力変換機21−1乃至21−3および太陽電池モジュール22−1乃至22−3)が示されている。
【0033】
図2に示すように、出力変換機21は、DC/DC変換部31、電圧検出部32、電流検出部33、電力線通信部34、および制御部35を備えて構成される。
【0034】
DC/DC変換部31(直流電圧変換手段)の入力側の端子には太陽電池モジュール22が接続されており、太陽電池モジュール22により発電された直流の電力がDC/DC変換部31に供給され、DC/DC変換部31は、太陽電池モジュール22から出力される電力の電圧を、制御部35の制御に従った変換比率の電圧に変換する。また、DC/DC変換部31の出力側の端子には、パワーコンディショナ12に直接または間接的に接続される電力線が接続されており、DC/DC変換部31は、変換後の電圧の電力を、その電力線に出力する。
【0035】
電圧検出部32は、太陽電池モジュール22からDC/DC変換部31に供給される電力の電圧、即ち、太陽電池モジュール22とDC/DC変換部31とを接続する2本の配線間の電圧を検出し、その電圧値を示す信号を制御部35に供給する。
【0036】
電流検出部33は、太陽電池モジュール22からDC/DC変換部31に供給される電力の電流を検出し、その電流値を示す信号を制御部35に供給する。例えば、電流検出部33は、太陽電池モジュール22とDC/DC変換部31とを接続する配線に配置された抵抗(図示せず)の両端の電圧を測定することにより電流を求めることができる。
【0037】
電力線通信部34は、パワーコンディショナ12への電力の供給に使用される電力線を介して、他の出力変換機21の制御部35と通信を行うための通信部である。なお、本実施の形態では、電力線通信により通信が行われるが、電力線通信以外の手段で通信が行われてもよい。
【0038】
制御部35には、DC/DC変換部31に供給される電力の電圧値および電流値を示す信号が、電圧検出部32および電流検出部33からそれぞれ供給される。また、制御部35には、DC/DC変換部31の出力側の電力線が接続されており、制御部35は、DC/DC変換部31から出力される電力の電圧および電流を測定する。そして、制御部35は、DC/DC変換部31に入力される電力の電圧および電流と、DC/DC変換部31から出力される電力の電圧および電流とに基づいて、DC/DC変換部31の出力が最大となるDuty値を探索し、そのDuty値で動作するようにDC/DC変換部31を制御(最大動作点制御)する。即ち、制御部35は、最大電力制御手段である。また、制御部35は、必要に応じて、電力線通信部34を介して他の出力変換機21の制御部35との通信を行う。
【0039】
このように出力変換機21は構成されており、出力変換機21−1乃至21−8(図1参照)それぞれにおいて最大の出力が得られるような制御が行われる。そのため、出力変換機21−1乃至21−8それぞれからは異なる電圧の電力が出力され、パワーコンディショナ12には、それらの電圧を加算した電圧値の電力が供給される。
【0040】
このように、出力変換機21−1乃至21−8それぞれにおいて最大動作点制御が行われるような構成において、パワーコンディショナ12においても最大動作点制御が行われると、太陽光発電システム全体として電力が発振してしまい、発電が不安定になる。そこで、太陽光発電システム11では、パワーコンディショナ12は、予め基準として設定された電圧値(以下、適宜、基準電圧値と称する)で電力を受け取るように構成されている。これにより、太陽電池ストリング13を構成する出力変換機21−1乃至21−8それぞれから出力される電力の電圧を加算した電圧値は、パワーコンディショナ12に設定される基準電圧値に収束するようになる。
【0041】
図3を参照して、パワーコンディショナ12の構成例について説明する。
【0042】
図3において、パワーコンディショナ12は、DC/AC変換部41、電圧検出部42、電流調整部43、および制御部44を備えて構成される。
【0043】
DC/AC変換部41は、制御部44の制御に従って、太陽電池ストリング13からパワーコンディショナ12に供給される直流の電力を、交流の電力に変換して出力する変換手段である。電圧検出部42は、パワーコンディショナ12に供給される電力の電圧を検出して、その電圧値を示す信号を制御部44に供給する。電流調整部43は、制御部44の制御に従って、DC/AC変換部41に入力される電力が基準電圧値となるように、電流調整部43を通過する電流を調整する。
【0044】
制御部44は、電圧検出部42により検出される電圧値に従って、DC/AC変換部41に入力される電力が基準電圧値を維持するように、電流調整部43により電流を調整させる電圧制御手段である。例えば、制御部44は、電圧検出部42により検出される電圧値が基準電圧値より低下した場合、電流調整部44を制御して電流を低減させて、DC/AC変換部41に入力される電力の電圧を基準電圧値まで上昇させる。一方、制御部44は、電圧検出部42により検出される電圧値が基準電圧値より上昇した場合、電流調整部44を制御して電流を増加させて、DC/AC変換部41に入力される電力の電圧を基準電圧値まで低下させる。
【0045】
なお、この基準電圧値は、例えば、太陽光発電システム11の設計時に、太陽電池モジュール22の特性に応じて制御部44に設定される。また、太陽光発電システム11のメンテナンス時に、実際の発電状況に応じて、パワーコンディショナ12に接続される端末などを介して設定されたり、図示しない通信部を介して有線または無線により設定される。例えば、基準電圧値としては、パワーコンディショナ12の変換効率がいい定格電圧(例えば、250Vなど)や、太陽電池モジュール22の直列数に比例した電圧値が設定される。例えば、図1の例では8枚の太陽電池モジュール22が直列に接続されているので、1枚の(公称最大動作)電圧値を25Vとした場合、基準電圧値として200Vが設定される。
【0046】
制御部44によりDC/AC変換部41に入力される電力の電圧を一定に維持する制御は、例えば、所定期間ごとに周期的に行われる。
【0047】
図4は、制御部44が、パワーコンディショナ12が受け付ける電圧を一定に維持する処理を説明するフローチャートである。
【0048】
例えば、太陽光の照射に応じて太陽電池ストリング13が発電する電力の電圧値が、パワーコンディショナ12が交流に変換することができる所定の電圧値以上となると処理が開始され、ステップS11において、制御部44は、電圧検出部42により検出される電圧値を取得する。
【0049】
ステップS11の処理、処理はステップS12に進み、制御部44は、ステップS11で電圧検出部42から取得した電圧値が基準電圧値の範囲(基準電圧値を中心とした基準電圧値の数%の範囲)未満であるか否かを判定する。
【0050】
ステップS12において、電圧検出部42から取得した電圧値が基準電圧値の範囲未満であると判定された場合、処理はステップS13に進む。ステップS13において、制御部44は、電流調整部43を制御し、DC/AC変換部41に入力される電流を低減させて、処理はステップS16に進む。なお、処理開始時など、電流調整部43を通過する電流値が最低値に設定されている場合、ステップS13の処理はスキップされて処理はステップS16に進む。
【0051】
一方、ステップS12において、電圧検出部42から取得した電圧値が基準電圧値の範囲未満でない(即ち、基準電圧値の範囲の下限値以上である)と判定された場合、処理はステップS14に進む。
【0052】
ステップS14において、制御部44は、ステップS11で電圧検出部42から取得した電圧値が基準電圧値の範囲以上であるか否かを判定する。
【0053】
ステップS14において、電圧検出部42から取得した電圧値が基準電圧値の範囲以上(即ち、基準電圧値の範囲の上限値以上)であると判定された場合、処理はステップS15に進む。ステップS15において、制御部44は、電流調整部43を制御し、DC/AC変換部41に入力される電流を増加させて、処理はステップS16に進む。
【0054】
一方、ステップS14において、電圧検出部42から取得した電圧値が基準電圧値の範囲以上でないと判定された場合、処理はステップS16に進む。即ち、この場合、ステップS12での処理も含め、電圧検出部42から取得した電圧値は基準電圧値の範囲内である。
【0055】
ステップS16において、制御部44は所定期間だけ待機した後、処理はステップS11に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。なお、例えば、太陽電池モジュール22への太陽光の照射量が低下し、パワーコンディショナ12による変換可能な電力量以下の発電量となった場合、処理は終了される。
【0056】
以上のように、制御部44は、DC/AC変換部41に入力される電力の電圧が基準電圧値の範囲内で維持されるように制御を行い、パワーコンディショナ12が受け付ける電圧が一定の範囲で維持される。
【0057】
これにより、直列に接続されている出力変換機21−1乃至21−8から出力される電力の電圧が、パワーコンディショナ12の基準電圧を基準として収束するので、太陽光発電システム11全体として発電が安定する。このように、出力変換機21−1乃至21−8それぞれから安定して最大電力量での電力が出力されるので、太陽光発電システム11全体として発電量を増加させることができる。即ち、太陽光発電システム11が、より高出力で発電することができる。
【0058】
なお、制御部44には、時刻や日付に対応付けられた基準電圧値を設定するスケジュールが予め設定されており、制御部44は、そのスケジュールに従って、DC/AC変換部41に入力される電力が基準電圧値を制御することができる。即ち、例えば、一日のうちでも朝方の時間帯や昼間の時間帯などで、それぞれ適した基準電圧値を使用したり、季節に応じて、それぞれ適した基準電圧値を使用することで、より発電量を増加させることができる。
【0059】
ところで、パワーコンディショナ12において基準電圧値で電力を受け付けるような制御を行った場合、出力変換機21において高い変換比率で電圧を変換することも想定される。その場合、出力変換機21によっては、Duty値が低下する結果、電力の変換効率が低下することもある。この場合、例えば、太陽光発電システム11の全体として発電量が向上するように、パワーコンディショナ12においても、出力変換機21においても高出力な動作が行われるような管理を行うことにより、発電量が低下することを回避することができる。
【0060】
次に、図5は、本発明を適用した太陽光発電システムの他の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0061】
図5において、太陽光発電システム11’は、パワーコンディショナ12、太陽電池ストリング13、および管理ユニット14を備えて構成されている。なお、太陽光発電システム11’は、パワーコンディショナ12と太陽電池ストリング13とが接続されて構成されている点で、図1の太陽光発電システム11と同様に構成されており、その詳細な説明は省略する。一方、太陽光発電システム11’は、管理ユニット14を備える点で、図1の太陽光発電システム11と異なっている。
【0062】
管理ユニット14は、太陽電池ストリング13の出力変換機21−1乃至21−8と通信を行い、それぞれの状態を考慮してパワーコンディショナ12に対して動作を指示する。
【0063】
例えば、管理ユニット14と出力変換機21−1乃至21−8それぞれの制御部35(図2)とは信号線を介して接続されており、制御部35は、現在のDC/DC変換部31におけるDuty値を示す信号を管理ユニット14に供給する。なお、管理ユニット14と制御部35とは信号線を介して通信を行う他、例えば、パワーコンディショナ12に電力を供給する電力線を介して通信を行ったり、無線により通信を行ってもよい。
【0064】
管理ユニット14は、それらのDuty値に応じた変換効率と、パワーコンディショナ12における変換効率とに基づいて、太陽光発電システム11’の全体として高出力となるような基準電圧値を決定してパワーコンディショナ12に設定する。
【0065】
図6を参照して、管理ユニット14の構成例について説明する。
【0066】
図6において、管理ユニット14は、通信部51、記憶部52、損失算出部53、電圧決定部54、指令部55、および接続端子56を備えて構成される。
【0067】
通信部51は、出力変換機21−1乃至21−8それぞれの制御部35、および、パワーコンディショナ12の制御部44(図3)と通信を行う。通信部51は、出力変換機21−1乃至21−8それぞれの制御部35との通信により、出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31のDuty値を取得する。また、通信部51は、制御部44との通信によりパワーコンディショナ12の現在の基準電圧値を取得する。そして、通信部51は、Duty値および基準電圧値を損失算出部53に供給する。
【0068】
記憶部52は、太陽光発電システム11’の管理に必要な各種のテーブルを記憶する。例えば、記憶部52には、図7に示すように、DC/DC変換部31のDuty値と変換効率とが対応付けられたテーブルや、図8に示すように、パワーコンディショナ12の入力電圧の電圧値と変換効率とが対応付けられたテーブルなどが記憶されている。
【0069】
損失算出部53は、通信部51から供給される出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31のDuty値に基づいて、記憶部52に記憶されているテーブル(図7)を参照し、DC/DC変換部31ごとに変換損失を算出する。また、損失算出部53は、通信部51から供給されるパワーコンディショナ12の現在の基準電圧値に基づいて、記憶部52に記憶されているテーブル(図8)を参照し、パワーコンディショナ12のDC/AC変換部41での変換損失を算出する。このように、損失算出部53は、DC/DC変換部31およびDC/AC変換部41の変換損失を算出して取得する変換損失取得手段である。
【0070】
電圧決定部54は、出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31の変換損失、およびパワーコンディショナ12の変換損失に基づいて、太陽光発電システム11’の全体として高出力となる基準電圧値を決定する電圧決定手段である。例えば、電圧決定部54は、出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31の変換損失の合計よりも、パワーコンディショナ12の変換損失が大きい場合、パワーコンディショナ12の基準電圧値を変換効率の良い電圧値(現在の基準電圧値より大きな値)に変更する。そして、電圧決定部54は、変更後の変換損失に基づいて電圧値を変更する処理を繰り返すことにより基準電圧値を収束させ、最適な基準電圧値を決定する。
【0071】
ここで、基本的に、基準電圧値はパワーコンディショナ12において一意に決まるものであり、例えば約300Vが最も変換効率のよい電圧値である場合、電圧決定部54は、まず、基準電圧値を300Vに近づけてパワーコンディショナ12の変換損失を低減させる。それから、電圧決定部54は、出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31の変換損失が低減するように、基準電圧値を変動させながら、全体として変換効率の良い基準電圧値を探して決定する。理想的には、パワーコンディショナ12の変換損失と、出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31の変換損失との総和が最小となるような基準電圧値が求められる。
【0072】
指令部55(指令手段)は、電圧決定部54において決定された電圧値を、パワーコンディショナ12の基準電圧値として設定するように、通信部51を介して、パワーコンディショナ12の制御部44に対する指令を出力する。なお、指令部55においてパワーコンディショナ12に設定した基準電圧値を記憶しておく場合、通信部51は、制御部44との通信によりパワーコンディショナ12の現在の基準電圧値を取得せずに、指令部55に記憶されている基準電圧値を取得してもよい。
【0073】
接続端子56には、例えば、メンテナンス用の端末(図示せず)などが接続され、通信部51を介して、その端末と管理ユニット14との通信が行われる。例えば、ユーザは、その端末を操作して、パワーコンディショナ12の基準電圧値を端末の表示部に表示させたり、記憶部52に記憶されているテーブルを更新したりすることができる。
【0074】
次に、図9は、管理ユニット14が、パワーコンディショナ12に基準電圧値を設定する処理を説明するフローチャートである。
【0075】
例えば、パワーコンディショナ12において電力の変換が開始されると処理が開始され、ステップS21において、通信部51は、出力変換機21−1乃至21−8それぞれの制御部35と通信を行う。そして、通信部51は、出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31のDuty値を取得して、それらのDuty値を損失算出部53に供給する。損失算出部53は、記憶部52に記憶されているテーブル(図7)を参照して、出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31の変換損失を算出して、電圧決定部54に通知する。
【0076】
ステップS22において、通信部51は、パワーコンディショナ12の制御部44と通信を行い、パワーコンディショナ12の現在の基準電圧値を取得し、その基準電圧値を損失算出部53に供給する。損失算出部53は、記憶部52に記憶されているテーブル(図8)を参照して、現在の基準電圧値に基づいて、パワーコンディショナ12のDC/AC変換部41での変換損失を算出して、電圧決定部54に通知する。
【0077】
ステップS23において、電圧決定部54は、ステップS22で算出されたパワーコンディショナ12のDC/AC変換部41での変換損失が、ステップS21で算出された出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31の変換損失よりも大きいか否かを判定する。
【0078】
ステップS23において、パワーコンディショナ12のDC/AC変換部41での変換損失が大きいと判定された場合、処理はステップS24に進み、電圧決定部54は、太陽光発電システム11’の全体として高出力となる基準電圧値を決定する。即ち、この場合、パワーコンディショナ12のDC/AC変換部41での変換損失が大きいので、DC/AC変換部41での変換効率が向上するように、パワーコンディショナ12の基準電圧値を上昇させるような電圧値に決定される。
【0079】
一方、ステップS23において、パワーコンディショナ12のDC/AC変換部41での変換損失が大きくない(パワーコンディショナ12のDC/AC変換部41での変換損失が出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31の変換損失以下である)と判定した場合、処理はステップS25に進む。ステップS25において、電圧決定部54は、太陽光発電システム11’の全体として高出力となる基準電圧値を決定する。即ち、この場合、パワーコンディショナ12のDC/AC変換部41での変換損失が大きくないので、出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31での変換効率が向上するように、パワーコンディショナ12の基準電圧値を低下させるような電圧値に決定される。
【0080】
ステップS24またはS25の処理後、処理はステップS26に進み、電圧決定部54は、ステップS24またはS25で決定した基準電圧値を指令部55に通知する。そして、指令部55は、通信部51を介してパワーコンディショナ12の制御部44に対して、パワーコンディショナ12の基準電圧値の更新を指示する指令を送信し、処理はステップS21に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0081】
以上のように、管理ユニット14が、出力変換機21のDC/DC変換部31のDuty値を考慮してパワーコンディショナ12の基準電圧値を設定することにより、太陽光発電システム11全体としてバランス良く、最適な変換効率で電力を変換することができる。これにより、太陽光発電システム11をより高出力で稼動することができる。
【0082】
なお、本実施の形態においては、管理ユニット14は、独立した構成となっているが、パワーコンディショナ12の制御部44が管理ユニット14としての機能を備えていてもよい。即ち、パワーコンディショナ12が、管理ユニット14の通信部51、記憶部52、損失算出部53、電圧決定部54、指令部55、および接続端子56を備えていてもよい。または、出力変換機21−1乃至21−8のいずれかの制御部35が、管理ユニット14としての機能を備えていてもよい。
【0083】
なお、太陽光発電システム11’では、管理ユニット14において出力変換機21−1乃至21−8の変換損失が算出される例について説明したが、例えば、出力変換機21−1乃至21−8それぞれの制御部35において各自の変換損失を算出して、管理ユニット14に変換損失を通知するようにしてもよい。また、同様に、パワーコンディショナ12の制御部44において変換損失を算出して、管理ユニット14に変換損失を通知するようにしてもよい。
【0084】
また、出力変換機21−1乃至21−8それぞれの変換損失は、Duty値に基づいてテーブルを参照することにより算出する他、例えば、制御部35が、DC/DC変換部31に入力される電力の電圧値および電流値と、DC/DC変換部31から出力される電力の電圧値および電流値とを計測し、出力電力/入力電力を算出することで、変換損失を算出してもよい。パワーコンディショナ12の変換損失についても同様に、パワーコンディショナ12内蔵のセンサにより入力電力および出力電力を検出して、変換損失を算出してもよい。
【0085】
さらに、管理ユニット14は、通信部51(通信手段)によりネットワークを介して外部のサーバと通信を行って、例えば、時刻情報や、日射情報、気温情報などを取得するとともに、それらの情報に対応付けてパワーコンディショナ12の基準電圧値を記憶部52(記憶手段)に記憶させることができる。そして、管理ユニット14は、日射情報または気温情報に基づいて記憶部52を参照することで、現在の日照または気温に近い過去の情報に対応付けられている基準電圧値を利用し、より最適なパワーコンディショナ12の基準電圧値を決定することができる。また、それらの情報を利用することにより、基準電圧値の決定精度および決定速度を向上させることができる。
【0086】
また、管理ユニット14がパワーコンディショナ12に基準電圧値を設定する処理は、例えば、1分ごと、10分ごと、または1時間ごとなど所定の一定期間ごとに繰り返して行われる。これに対し、管理ユニット14が日射情報や気温情報などを取得することができる場合は、日射や気温の変化をトリガにして処理を実行することで、そのときの日射や気温に則した変換損失を算出することができ、より最適な発電量となるような制御を行うことができる。例えば、天候が晴れから曇りに変化した場合、具体的には、以前に変換損失を算出したときの日射強度から500w/m2以上の変化があった場合に、管理ユニット14が処理を実行するようにすることができる。また、以前に変換損失を算出したときの気温から10度以上の変化があった場合に、管理ユニット14が処理を実行するようにすることができる。
【0087】
なお、上述のフローチャートを参照して説明した各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
【0088】
また、各制御部は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(例えば、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory))などを備えて構成されており、ROMまたはフラッシュメモリに記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで、電力システム11の各部を制御する。なお、CPUが実行するプログラムは、あらかじめROMおよびフラッシュメモリに記憶されているものの他、適宜、フラッシュメモリにダウンロードして更新することができる。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
【0089】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
11 太陽光発電システム
12 パワーコンディショナ
13 太陽電池ストリング
14 管理ユニット
21 出力変換機
22 太陽電池モジュール
31 DC/DC変換部
32 電圧検出部
33 電流検出部
34 電力線通信部
35 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力調整装置および電力調整方法、太陽光発電システム、並びに管理装置に関し、特に、より高出力を得られるようにした電力調整装置および電力調整方法、太陽光発電システム、並びに管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素の排出量削減などの地球環境についての観点から、太陽電池により発電を行う太陽光発電システムの普及が推進されている。
【0003】
図10を参照して、太陽光発電システムの構成について説明する。
【0004】
図10の左下には、太陽電池の構成の最小単位である太陽電池セル100が示されており、太陽電池セル100は、太陽光の照射を受けることによる光電効果によって、電力を発生する。
【0005】
また、複数の太陽電池セル100が直列に接続されて太陽電池クラスタ102が構成される。図10に示す例では、太陽電池クラスタ102は、6個の太陽電池セル1001乃至1006により構成されており、その両端の太陽電池セル1001と1006とは、バイパスダイオード101を介して接続される。
【0006】
そして、複数の太陽電池クラスタ102が直列に接続されて太陽電池モジュール(パネル)104が構成される。図10に示す例では、太陽電池モジュール104は、3個の太陽電池クラスタ1021乃至1023により構成されており、太陽電池クラスタ1021乃至1023それぞれが備えるバイパスダイオード1011乃至1013は端子箱103に収納される。
【0007】
また、複数の太陽電池モジュール104が直列に接続されて太陽電池ストリング105が構成される。図10に示す例では、太陽電池ストリング105は、3個の太陽電池モジュール1041乃至1043により構成されている。
【0008】
さらに、複数の太陽電池ストリング105が並列に接続されて太陽電池アレイ106が構成される。図10に示す例では、太陽電池アレイ106は、4個の太陽電池ストリング1051乃至1054により構成されている。太陽電池ストリング1051乃至1054は、接続箱107において接続された後、パワーコンディショナ108に接続される。
【0009】
パワーコンディショナ108は、太陽電池アレイ106から出力される直流の電力を、交流の電力に変換し、負荷109に供給したり、電力会社が提供する商用の電力系統110に戻したりする。また、パワーコンディショナ108は、最大電力追従(MPPT:Maximum Power Point Tracking)制御に基づいて、太陽電池アレイ106から最大の出力を得られるような制御を行う機能を備えている。
【0010】
このように構成されている太陽光発電システムでは、太陽光エネルギーを、より効率的に電力に変換することが望まれており、様々な技術が開発されている。例えば、太陽電池アレイごとにDC/DCコンバータを設け、太陽電池アレイから出力される電力の電圧および電流の検出結果に基づいて、太陽電池アレイからの出力を直流状態のままDC/DCコンバータにより最大電力追従制御を行う技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0011】
さらに、太陽電池ストリング単位や太陽電池モジュール単位で最大電力追従制御を行う技術も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−112545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、例えば、太陽電池モジュールごとにDC/DCコンバータを設けて最大電力追従制御を行うような太陽光発電システムでは、それぞれの太陽電池モジュールから出力される電力の電圧および電流が変動することになる。このような太陽光発電システムシステムにおいて、従来のパワーコンディショナを組み合わせただけでは、パワーコンディショナにおいても最大電力が得られるように制御されるため、太陽光発電システム全体として電力の電圧および電流が発振してしまい(ふらついてしまい)、発電量が確実に向上するとは限らない。従って、太陽電池モジュールごとにDC/DCコンバータが設けられた太陽光発電システムにおいて、より高出力を得られるような最適な制御を行うことができるパワーコンディショナが必要である。
【0014】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より高出力な発電を行うことができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の電力調整装置は、複数の太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を、交流の電力に変換する変換手段と、前記変換手段に入力される直流の電力が所定の一定電圧となるように制御する電圧制御手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の電力調整方法は、複数の太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を、交流の電力に変換し、前記直流の電力が所定の一定電圧となるように制御するステップを含むことを特徴とする。
【0017】
かかる構成においては、複数の太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を交流の電力に変換する際に、入力される直流の電力が所定の一定電圧となるような制御が行われるので、発電が安定し、より高出力な発電を行うことができる。
【0018】
また、本発明の電力調整装置は、複数の前記太陽電池モジュールごとに、発電された電力の電圧を変換する直流電圧変換手段が設けられており、前記直流電圧変換手段における変換損失および前記変換手段における変換損失に基づいて、前記所定の一定電圧を決定する電圧決定手段とをさらに備えることができる。
【0019】
かかる構成においては、複数の太陽電池モジュールにおいて電圧を変換する際における変換損失、および、直流の電力を交流の電力に変換する際における変換損失に基づいて、所定の一定電圧が決定されるので、さらに発電量を増加させることができる。
【0020】
本発明の太陽光発電システムは、複数の太陽電池モジュールと、複数の前記太陽電池モジュールごとに設けられ、発電された電力の電圧を変換する直流電圧変換手段と、前記太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を、交流の電力に変換する変換手段と、前記変換手段に入力される直流の電力が所定の一定電圧となるように制御する電圧制御手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
かかる構成においては、太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を交流の電力に変換する際に、入力される直流の電力が所定の一定電圧となるような制御が行われるので、発電が安定し、より高出力な発電を行うことができる。
【0022】
本発明の管理装置は、複数の太陽電池モジュールごとに設けられ、発電された電力の電圧を変換する直流電圧変換手段における変換損失と、複数の前記太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を、交流の電力に変換する変換手段における変換損失とに基づいて、所定の一定電圧を決定する電圧決定手段と、前記変換手段に入力される直流の電力が前記所定の一定電圧となるように制御する電圧制御手段に対して、決定された前記所定の一定電圧を設定するように指令を与える指令手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
かかる構成においては、複数の太陽電池モジュールごとに設けられた直流電圧変換手段における変換損失と、複数の前記太陽電池モジュールから出力される直流の電力を交流の電力に変換する変換手段における変換損失とに基づいて、所定の一定電圧が決定され、変換手段に入力される直流の電力が所定の一定電圧となるように制御する電圧制御手段に対して、その決定された所定の一定電圧が設定されるので、さらに発電量を増加させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の電力調整装置および電力調整方法、太陽光発電システム、並びに管理装置によれば、より高出力な発電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を適用した太陽光発電システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】出力変換機の構成例を示すブロック図である。
【図3】パワーコンディショナの構成例を示すブロック図である。
【図4】パワーコンディショナが受け付ける電圧を一定に維持する処理を説明するフローチャートである。
【図5】本発明を適用した太陽光発電システムの他の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図6】管理ユニットの構成例を示すブロック図である。
【図7】Duty値と変換効率とが対応付けられたテーブルを示す図である。
【図8】入力電圧の電圧値と変換効率とが対応付けられたテーブルを示す図である。
【図9】パワーコンディショナに基準電圧値を設定する処理を説明するフローチャートである。
【図10】太陽光発電システムの構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明を適用した太陽光発電システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0028】
図1において、太陽光発電システム11は、パワーコンディショナ12と太陽電池ストリング13とが接続されて構成されており、パワーコンディショナ12により交流に変換された電力が負荷や電力系統(図10参照)に供給される。なお、図1の太陽光発電システム11では、1つの太陽電池ストリング13がパワーコンディショナ12に接続された構成となっているが、図10を参照して説明したように、パワーコンディショナ12には、複数の太陽電池ストリングが並列に接続されており、それらの図示は省略されている。
【0029】
パワーコンディショナ12は、太陽電池ストリング13から出力される電力を、図示しない負荷に供給可能なように調整して出力する電力調整装置である。
【0030】
太陽電池ストリング13では、8個の出力変換機21−1乃至21−8が直列に接続されており、出力変換機21−1乃至21−8に太陽電池モジュール22−1乃至22−8がそれぞれ接続されている。また、直列に接続された両端の出力変換機22−1および出力変換機22−8がパワーコンディショナ12に接続されている。なお、出力変換機21−1乃至21−8および太陽電池モジュール22−1乃至22−8はそれぞれ同様に構成されており、以下、適宜、出力変換機21−1乃至21−8を区別する必要がない場合には出力変換機21と称し、図2を参照して後述するように出力変換機21−1乃至21−8の内部構成についても同様とする。また、太陽電池モジュール22−1乃至22−8についても同様に、太陽電池モジュール22と称する。
【0031】
このように、太陽光発電システム11は、太陽電池モジュール22ごとに出力変換機21が設けられた構成となっている。そして、太陽電池モジュール22が太陽光の照射に応じて出力する直流の電力が出力変換機21により所定の電圧の直流の電力に変換されて、パワーコンディショナ12に供給される。
【0032】
図2を参照して、出力変換機21の構成について説明する。図2には、太陽電池ストリング13の一部分(出力変換機21−1乃至21−3および太陽電池モジュール22−1乃至22−3)が示されている。
【0033】
図2に示すように、出力変換機21は、DC/DC変換部31、電圧検出部32、電流検出部33、電力線通信部34、および制御部35を備えて構成される。
【0034】
DC/DC変換部31(直流電圧変換手段)の入力側の端子には太陽電池モジュール22が接続されており、太陽電池モジュール22により発電された直流の電力がDC/DC変換部31に供給され、DC/DC変換部31は、太陽電池モジュール22から出力される電力の電圧を、制御部35の制御に従った変換比率の電圧に変換する。また、DC/DC変換部31の出力側の端子には、パワーコンディショナ12に直接または間接的に接続される電力線が接続されており、DC/DC変換部31は、変換後の電圧の電力を、その電力線に出力する。
【0035】
電圧検出部32は、太陽電池モジュール22からDC/DC変換部31に供給される電力の電圧、即ち、太陽電池モジュール22とDC/DC変換部31とを接続する2本の配線間の電圧を検出し、その電圧値を示す信号を制御部35に供給する。
【0036】
電流検出部33は、太陽電池モジュール22からDC/DC変換部31に供給される電力の電流を検出し、その電流値を示す信号を制御部35に供給する。例えば、電流検出部33は、太陽電池モジュール22とDC/DC変換部31とを接続する配線に配置された抵抗(図示せず)の両端の電圧を測定することにより電流を求めることができる。
【0037】
電力線通信部34は、パワーコンディショナ12への電力の供給に使用される電力線を介して、他の出力変換機21の制御部35と通信を行うための通信部である。なお、本実施の形態では、電力線通信により通信が行われるが、電力線通信以外の手段で通信が行われてもよい。
【0038】
制御部35には、DC/DC変換部31に供給される電力の電圧値および電流値を示す信号が、電圧検出部32および電流検出部33からそれぞれ供給される。また、制御部35には、DC/DC変換部31の出力側の電力線が接続されており、制御部35は、DC/DC変換部31から出力される電力の電圧および電流を測定する。そして、制御部35は、DC/DC変換部31に入力される電力の電圧および電流と、DC/DC変換部31から出力される電力の電圧および電流とに基づいて、DC/DC変換部31の出力が最大となるDuty値を探索し、そのDuty値で動作するようにDC/DC変換部31を制御(最大動作点制御)する。即ち、制御部35は、最大電力制御手段である。また、制御部35は、必要に応じて、電力線通信部34を介して他の出力変換機21の制御部35との通信を行う。
【0039】
このように出力変換機21は構成されており、出力変換機21−1乃至21−8(図1参照)それぞれにおいて最大の出力が得られるような制御が行われる。そのため、出力変換機21−1乃至21−8それぞれからは異なる電圧の電力が出力され、パワーコンディショナ12には、それらの電圧を加算した電圧値の電力が供給される。
【0040】
このように、出力変換機21−1乃至21−8それぞれにおいて最大動作点制御が行われるような構成において、パワーコンディショナ12においても最大動作点制御が行われると、太陽光発電システム全体として電力が発振してしまい、発電が不安定になる。そこで、太陽光発電システム11では、パワーコンディショナ12は、予め基準として設定された電圧値(以下、適宜、基準電圧値と称する)で電力を受け取るように構成されている。これにより、太陽電池ストリング13を構成する出力変換機21−1乃至21−8それぞれから出力される電力の電圧を加算した電圧値は、パワーコンディショナ12に設定される基準電圧値に収束するようになる。
【0041】
図3を参照して、パワーコンディショナ12の構成例について説明する。
【0042】
図3において、パワーコンディショナ12は、DC/AC変換部41、電圧検出部42、電流調整部43、および制御部44を備えて構成される。
【0043】
DC/AC変換部41は、制御部44の制御に従って、太陽電池ストリング13からパワーコンディショナ12に供給される直流の電力を、交流の電力に変換して出力する変換手段である。電圧検出部42は、パワーコンディショナ12に供給される電力の電圧を検出して、その電圧値を示す信号を制御部44に供給する。電流調整部43は、制御部44の制御に従って、DC/AC変換部41に入力される電力が基準電圧値となるように、電流調整部43を通過する電流を調整する。
【0044】
制御部44は、電圧検出部42により検出される電圧値に従って、DC/AC変換部41に入力される電力が基準電圧値を維持するように、電流調整部43により電流を調整させる電圧制御手段である。例えば、制御部44は、電圧検出部42により検出される電圧値が基準電圧値より低下した場合、電流調整部44を制御して電流を低減させて、DC/AC変換部41に入力される電力の電圧を基準電圧値まで上昇させる。一方、制御部44は、電圧検出部42により検出される電圧値が基準電圧値より上昇した場合、電流調整部44を制御して電流を増加させて、DC/AC変換部41に入力される電力の電圧を基準電圧値まで低下させる。
【0045】
なお、この基準電圧値は、例えば、太陽光発電システム11の設計時に、太陽電池モジュール22の特性に応じて制御部44に設定される。また、太陽光発電システム11のメンテナンス時に、実際の発電状況に応じて、パワーコンディショナ12に接続される端末などを介して設定されたり、図示しない通信部を介して有線または無線により設定される。例えば、基準電圧値としては、パワーコンディショナ12の変換効率がいい定格電圧(例えば、250Vなど)や、太陽電池モジュール22の直列数に比例した電圧値が設定される。例えば、図1の例では8枚の太陽電池モジュール22が直列に接続されているので、1枚の(公称最大動作)電圧値を25Vとした場合、基準電圧値として200Vが設定される。
【0046】
制御部44によりDC/AC変換部41に入力される電力の電圧を一定に維持する制御は、例えば、所定期間ごとに周期的に行われる。
【0047】
図4は、制御部44が、パワーコンディショナ12が受け付ける電圧を一定に維持する処理を説明するフローチャートである。
【0048】
例えば、太陽光の照射に応じて太陽電池ストリング13が発電する電力の電圧値が、パワーコンディショナ12が交流に変換することができる所定の電圧値以上となると処理が開始され、ステップS11において、制御部44は、電圧検出部42により検出される電圧値を取得する。
【0049】
ステップS11の処理、処理はステップS12に進み、制御部44は、ステップS11で電圧検出部42から取得した電圧値が基準電圧値の範囲(基準電圧値を中心とした基準電圧値の数%の範囲)未満であるか否かを判定する。
【0050】
ステップS12において、電圧検出部42から取得した電圧値が基準電圧値の範囲未満であると判定された場合、処理はステップS13に進む。ステップS13において、制御部44は、電流調整部43を制御し、DC/AC変換部41に入力される電流を低減させて、処理はステップS16に進む。なお、処理開始時など、電流調整部43を通過する電流値が最低値に設定されている場合、ステップS13の処理はスキップされて処理はステップS16に進む。
【0051】
一方、ステップS12において、電圧検出部42から取得した電圧値が基準電圧値の範囲未満でない(即ち、基準電圧値の範囲の下限値以上である)と判定された場合、処理はステップS14に進む。
【0052】
ステップS14において、制御部44は、ステップS11で電圧検出部42から取得した電圧値が基準電圧値の範囲以上であるか否かを判定する。
【0053】
ステップS14において、電圧検出部42から取得した電圧値が基準電圧値の範囲以上(即ち、基準電圧値の範囲の上限値以上)であると判定された場合、処理はステップS15に進む。ステップS15において、制御部44は、電流調整部43を制御し、DC/AC変換部41に入力される電流を増加させて、処理はステップS16に進む。
【0054】
一方、ステップS14において、電圧検出部42から取得した電圧値が基準電圧値の範囲以上でないと判定された場合、処理はステップS16に進む。即ち、この場合、ステップS12での処理も含め、電圧検出部42から取得した電圧値は基準電圧値の範囲内である。
【0055】
ステップS16において、制御部44は所定期間だけ待機した後、処理はステップS11に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。なお、例えば、太陽電池モジュール22への太陽光の照射量が低下し、パワーコンディショナ12による変換可能な電力量以下の発電量となった場合、処理は終了される。
【0056】
以上のように、制御部44は、DC/AC変換部41に入力される電力の電圧が基準電圧値の範囲内で維持されるように制御を行い、パワーコンディショナ12が受け付ける電圧が一定の範囲で維持される。
【0057】
これにより、直列に接続されている出力変換機21−1乃至21−8から出力される電力の電圧が、パワーコンディショナ12の基準電圧を基準として収束するので、太陽光発電システム11全体として発電が安定する。このように、出力変換機21−1乃至21−8それぞれから安定して最大電力量での電力が出力されるので、太陽光発電システム11全体として発電量を増加させることができる。即ち、太陽光発電システム11が、より高出力で発電することができる。
【0058】
なお、制御部44には、時刻や日付に対応付けられた基準電圧値を設定するスケジュールが予め設定されており、制御部44は、そのスケジュールに従って、DC/AC変換部41に入力される電力が基準電圧値を制御することができる。即ち、例えば、一日のうちでも朝方の時間帯や昼間の時間帯などで、それぞれ適した基準電圧値を使用したり、季節に応じて、それぞれ適した基準電圧値を使用することで、より発電量を増加させることができる。
【0059】
ところで、パワーコンディショナ12において基準電圧値で電力を受け付けるような制御を行った場合、出力変換機21において高い変換比率で電圧を変換することも想定される。その場合、出力変換機21によっては、Duty値が低下する結果、電力の変換効率が低下することもある。この場合、例えば、太陽光発電システム11の全体として発電量が向上するように、パワーコンディショナ12においても、出力変換機21においても高出力な動作が行われるような管理を行うことにより、発電量が低下することを回避することができる。
【0060】
次に、図5は、本発明を適用した太陽光発電システムの他の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0061】
図5において、太陽光発電システム11’は、パワーコンディショナ12、太陽電池ストリング13、および管理ユニット14を備えて構成されている。なお、太陽光発電システム11’は、パワーコンディショナ12と太陽電池ストリング13とが接続されて構成されている点で、図1の太陽光発電システム11と同様に構成されており、その詳細な説明は省略する。一方、太陽光発電システム11’は、管理ユニット14を備える点で、図1の太陽光発電システム11と異なっている。
【0062】
管理ユニット14は、太陽電池ストリング13の出力変換機21−1乃至21−8と通信を行い、それぞれの状態を考慮してパワーコンディショナ12に対して動作を指示する。
【0063】
例えば、管理ユニット14と出力変換機21−1乃至21−8それぞれの制御部35(図2)とは信号線を介して接続されており、制御部35は、現在のDC/DC変換部31におけるDuty値を示す信号を管理ユニット14に供給する。なお、管理ユニット14と制御部35とは信号線を介して通信を行う他、例えば、パワーコンディショナ12に電力を供給する電力線を介して通信を行ったり、無線により通信を行ってもよい。
【0064】
管理ユニット14は、それらのDuty値に応じた変換効率と、パワーコンディショナ12における変換効率とに基づいて、太陽光発電システム11’の全体として高出力となるような基準電圧値を決定してパワーコンディショナ12に設定する。
【0065】
図6を参照して、管理ユニット14の構成例について説明する。
【0066】
図6において、管理ユニット14は、通信部51、記憶部52、損失算出部53、電圧決定部54、指令部55、および接続端子56を備えて構成される。
【0067】
通信部51は、出力変換機21−1乃至21−8それぞれの制御部35、および、パワーコンディショナ12の制御部44(図3)と通信を行う。通信部51は、出力変換機21−1乃至21−8それぞれの制御部35との通信により、出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31のDuty値を取得する。また、通信部51は、制御部44との通信によりパワーコンディショナ12の現在の基準電圧値を取得する。そして、通信部51は、Duty値および基準電圧値を損失算出部53に供給する。
【0068】
記憶部52は、太陽光発電システム11’の管理に必要な各種のテーブルを記憶する。例えば、記憶部52には、図7に示すように、DC/DC変換部31のDuty値と変換効率とが対応付けられたテーブルや、図8に示すように、パワーコンディショナ12の入力電圧の電圧値と変換効率とが対応付けられたテーブルなどが記憶されている。
【0069】
損失算出部53は、通信部51から供給される出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31のDuty値に基づいて、記憶部52に記憶されているテーブル(図7)を参照し、DC/DC変換部31ごとに変換損失を算出する。また、損失算出部53は、通信部51から供給されるパワーコンディショナ12の現在の基準電圧値に基づいて、記憶部52に記憶されているテーブル(図8)を参照し、パワーコンディショナ12のDC/AC変換部41での変換損失を算出する。このように、損失算出部53は、DC/DC変換部31およびDC/AC変換部41の変換損失を算出して取得する変換損失取得手段である。
【0070】
電圧決定部54は、出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31の変換損失、およびパワーコンディショナ12の変換損失に基づいて、太陽光発電システム11’の全体として高出力となる基準電圧値を決定する電圧決定手段である。例えば、電圧決定部54は、出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31の変換損失の合計よりも、パワーコンディショナ12の変換損失が大きい場合、パワーコンディショナ12の基準電圧値を変換効率の良い電圧値(現在の基準電圧値より大きな値)に変更する。そして、電圧決定部54は、変更後の変換損失に基づいて電圧値を変更する処理を繰り返すことにより基準電圧値を収束させ、最適な基準電圧値を決定する。
【0071】
ここで、基本的に、基準電圧値はパワーコンディショナ12において一意に決まるものであり、例えば約300Vが最も変換効率のよい電圧値である場合、電圧決定部54は、まず、基準電圧値を300Vに近づけてパワーコンディショナ12の変換損失を低減させる。それから、電圧決定部54は、出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31の変換損失が低減するように、基準電圧値を変動させながら、全体として変換効率の良い基準電圧値を探して決定する。理想的には、パワーコンディショナ12の変換損失と、出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31の変換損失との総和が最小となるような基準電圧値が求められる。
【0072】
指令部55(指令手段)は、電圧決定部54において決定された電圧値を、パワーコンディショナ12の基準電圧値として設定するように、通信部51を介して、パワーコンディショナ12の制御部44に対する指令を出力する。なお、指令部55においてパワーコンディショナ12に設定した基準電圧値を記憶しておく場合、通信部51は、制御部44との通信によりパワーコンディショナ12の現在の基準電圧値を取得せずに、指令部55に記憶されている基準電圧値を取得してもよい。
【0073】
接続端子56には、例えば、メンテナンス用の端末(図示せず)などが接続され、通信部51を介して、その端末と管理ユニット14との通信が行われる。例えば、ユーザは、その端末を操作して、パワーコンディショナ12の基準電圧値を端末の表示部に表示させたり、記憶部52に記憶されているテーブルを更新したりすることができる。
【0074】
次に、図9は、管理ユニット14が、パワーコンディショナ12に基準電圧値を設定する処理を説明するフローチャートである。
【0075】
例えば、パワーコンディショナ12において電力の変換が開始されると処理が開始され、ステップS21において、通信部51は、出力変換機21−1乃至21−8それぞれの制御部35と通信を行う。そして、通信部51は、出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31のDuty値を取得して、それらのDuty値を損失算出部53に供給する。損失算出部53は、記憶部52に記憶されているテーブル(図7)を参照して、出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31の変換損失を算出して、電圧決定部54に通知する。
【0076】
ステップS22において、通信部51は、パワーコンディショナ12の制御部44と通信を行い、パワーコンディショナ12の現在の基準電圧値を取得し、その基準電圧値を損失算出部53に供給する。損失算出部53は、記憶部52に記憶されているテーブル(図8)を参照して、現在の基準電圧値に基づいて、パワーコンディショナ12のDC/AC変換部41での変換損失を算出して、電圧決定部54に通知する。
【0077】
ステップS23において、電圧決定部54は、ステップS22で算出されたパワーコンディショナ12のDC/AC変換部41での変換損失が、ステップS21で算出された出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31の変換損失よりも大きいか否かを判定する。
【0078】
ステップS23において、パワーコンディショナ12のDC/AC変換部41での変換損失が大きいと判定された場合、処理はステップS24に進み、電圧決定部54は、太陽光発電システム11’の全体として高出力となる基準電圧値を決定する。即ち、この場合、パワーコンディショナ12のDC/AC変換部41での変換損失が大きいので、DC/AC変換部41での変換効率が向上するように、パワーコンディショナ12の基準電圧値を上昇させるような電圧値に決定される。
【0079】
一方、ステップS23において、パワーコンディショナ12のDC/AC変換部41での変換損失が大きくない(パワーコンディショナ12のDC/AC変換部41での変換損失が出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31の変換損失以下である)と判定した場合、処理はステップS25に進む。ステップS25において、電圧決定部54は、太陽光発電システム11’の全体として高出力となる基準電圧値を決定する。即ち、この場合、パワーコンディショナ12のDC/AC変換部41での変換損失が大きくないので、出力変換機21−1乃至21−8それぞれのDC/DC変換部31での変換効率が向上するように、パワーコンディショナ12の基準電圧値を低下させるような電圧値に決定される。
【0080】
ステップS24またはS25の処理後、処理はステップS26に進み、電圧決定部54は、ステップS24またはS25で決定した基準電圧値を指令部55に通知する。そして、指令部55は、通信部51を介してパワーコンディショナ12の制御部44に対して、パワーコンディショナ12の基準電圧値の更新を指示する指令を送信し、処理はステップS21に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0081】
以上のように、管理ユニット14が、出力変換機21のDC/DC変換部31のDuty値を考慮してパワーコンディショナ12の基準電圧値を設定することにより、太陽光発電システム11全体としてバランス良く、最適な変換効率で電力を変換することができる。これにより、太陽光発電システム11をより高出力で稼動することができる。
【0082】
なお、本実施の形態においては、管理ユニット14は、独立した構成となっているが、パワーコンディショナ12の制御部44が管理ユニット14としての機能を備えていてもよい。即ち、パワーコンディショナ12が、管理ユニット14の通信部51、記憶部52、損失算出部53、電圧決定部54、指令部55、および接続端子56を備えていてもよい。または、出力変換機21−1乃至21−8のいずれかの制御部35が、管理ユニット14としての機能を備えていてもよい。
【0083】
なお、太陽光発電システム11’では、管理ユニット14において出力変換機21−1乃至21−8の変換損失が算出される例について説明したが、例えば、出力変換機21−1乃至21−8それぞれの制御部35において各自の変換損失を算出して、管理ユニット14に変換損失を通知するようにしてもよい。また、同様に、パワーコンディショナ12の制御部44において変換損失を算出して、管理ユニット14に変換損失を通知するようにしてもよい。
【0084】
また、出力変換機21−1乃至21−8それぞれの変換損失は、Duty値に基づいてテーブルを参照することにより算出する他、例えば、制御部35が、DC/DC変換部31に入力される電力の電圧値および電流値と、DC/DC変換部31から出力される電力の電圧値および電流値とを計測し、出力電力/入力電力を算出することで、変換損失を算出してもよい。パワーコンディショナ12の変換損失についても同様に、パワーコンディショナ12内蔵のセンサにより入力電力および出力電力を検出して、変換損失を算出してもよい。
【0085】
さらに、管理ユニット14は、通信部51(通信手段)によりネットワークを介して外部のサーバと通信を行って、例えば、時刻情報や、日射情報、気温情報などを取得するとともに、それらの情報に対応付けてパワーコンディショナ12の基準電圧値を記憶部52(記憶手段)に記憶させることができる。そして、管理ユニット14は、日射情報または気温情報に基づいて記憶部52を参照することで、現在の日照または気温に近い過去の情報に対応付けられている基準電圧値を利用し、より最適なパワーコンディショナ12の基準電圧値を決定することができる。また、それらの情報を利用することにより、基準電圧値の決定精度および決定速度を向上させることができる。
【0086】
また、管理ユニット14がパワーコンディショナ12に基準電圧値を設定する処理は、例えば、1分ごと、10分ごと、または1時間ごとなど所定の一定期間ごとに繰り返して行われる。これに対し、管理ユニット14が日射情報や気温情報などを取得することができる場合は、日射や気温の変化をトリガにして処理を実行することで、そのときの日射や気温に則した変換損失を算出することができ、より最適な発電量となるような制御を行うことができる。例えば、天候が晴れから曇りに変化した場合、具体的には、以前に変換損失を算出したときの日射強度から500w/m2以上の変化があった場合に、管理ユニット14が処理を実行するようにすることができる。また、以前に変換損失を算出したときの気温から10度以上の変化があった場合に、管理ユニット14が処理を実行するようにすることができる。
【0087】
なお、上述のフローチャートを参照して説明した各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
【0088】
また、各制御部は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(例えば、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory))などを備えて構成されており、ROMまたはフラッシュメモリに記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで、電力システム11の各部を制御する。なお、CPUが実行するプログラムは、あらかじめROMおよびフラッシュメモリに記憶されているものの他、適宜、フラッシュメモリにダウンロードして更新することができる。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
【0089】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
11 太陽光発電システム
12 パワーコンディショナ
13 太陽電池ストリング
14 管理ユニット
21 出力変換機
22 太陽電池モジュール
31 DC/DC変換部
32 電圧検出部
33 電流検出部
34 電力線通信部
35 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を、交流の電力に変換する変換手段と、
前記変換手段に入力される直流の電力が所定の一定電圧となるように制御する電圧制御手段と
を備えることを特徴とする電力調整装置。
【請求項2】
複数の前記太陽電池モジュールごとに、発電された電力の電圧を変換する直流電圧変換手段が設けられており、
前記直流電圧変換手段における変換損失および前記変換手段における変換損失に基づいて、前記所定の一定電圧を決定する電圧決定手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力調整装置。
【請求項3】
前記電圧制御手段は、予め設定されているスケジュールに従って、前記所定の一定電圧を変更して、前記変換手段に入力される直流の電力を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力調整装置。
【請求項4】
外部のネットワークを介して通信を行って、日射情報および気温情報のうちの少なくとも一方を取得する通信手段と、
前記日射情報および気温情報のうちの少なくとも一方に対応付けて、前記所定の一定電圧を記憶する記憶手段と
をさらに備え、
前記電圧制御手段は、前記通信手段が取得した日射情報または気温情報に基き、前記記憶手段を参照して、前記変換手段に入力される直流の電力を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力調整装置。
【請求項5】
複数の太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を、交流の電力に変換し、
前記直流の電力が所定の一定電圧となるように制御する
ステップを含むことを特徴とする電力調整方法。
【請求項6】
複数の太陽電池モジュールと、
複数の前記太陽電池モジュールごとに設けられ、発電された電力の電圧を変換する直流電圧変換手段と、
前記太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を、交流の電力に変換する変換手段と、
前記変換手段に入力される直流の電力が所定の一定電圧となるように制御する電圧制御手段と
を備えることを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項7】
複数の太陽電池モジュールごとに設けられ、発電された電力の電圧を変換する直流電圧変換手段における変換損失と、複数の前記太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を、交流の電力に変換する変換手段における変換損失とに基づいて、所定の一定電圧を決定する電圧決定手段と、
前記変換手段に入力される直流の電力が前記所定の一定電圧となるように制御する電圧制御手段に対して、決定された前記所定の一定電圧を設定するように指令を与える指令手段と
を備えることを特徴とする管理装置。
【請求項1】
複数の太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を、交流の電力に変換する変換手段と、
前記変換手段に入力される直流の電力が所定の一定電圧となるように制御する電圧制御手段と
を備えることを特徴とする電力調整装置。
【請求項2】
複数の前記太陽電池モジュールごとに、発電された電力の電圧を変換する直流電圧変換手段が設けられており、
前記直流電圧変換手段における変換損失および前記変換手段における変換損失に基づいて、前記所定の一定電圧を決定する電圧決定手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力調整装置。
【請求項3】
前記電圧制御手段は、予め設定されているスケジュールに従って、前記所定の一定電圧を変更して、前記変換手段に入力される直流の電力を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力調整装置。
【請求項4】
外部のネットワークを介して通信を行って、日射情報および気温情報のうちの少なくとも一方を取得する通信手段と、
前記日射情報および気温情報のうちの少なくとも一方に対応付けて、前記所定の一定電圧を記憶する記憶手段と
をさらに備え、
前記電圧制御手段は、前記通信手段が取得した日射情報または気温情報に基き、前記記憶手段を参照して、前記変換手段に入力される直流の電力を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力調整装置。
【請求項5】
複数の太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を、交流の電力に変換し、
前記直流の電力が所定の一定電圧となるように制御する
ステップを含むことを特徴とする電力調整方法。
【請求項6】
複数の太陽電池モジュールと、
複数の前記太陽電池モジュールごとに設けられ、発電された電力の電圧を変換する直流電圧変換手段と、
前記太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を、交流の電力に変換する変換手段と、
前記変換手段に入力される直流の電力が所定の一定電圧となるように制御する電圧制御手段と
を備えることを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項7】
複数の太陽電池モジュールごとに設けられ、発電された電力の電圧を変換する直流電圧変換手段における変換損失と、複数の前記太陽電池モジュールそれぞれから最大電力が取得されるように制御されて出力される直流の電力を、交流の電力に変換する変換手段における変換損失とに基づいて、所定の一定電圧を決定する電圧決定手段と、
前記変換手段に入力される直流の電力が前記所定の一定電圧となるように制御する電圧制御手段に対して、決定された前記所定の一定電圧を設定するように指令を与える指令手段と
を備えることを特徴とする管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−238088(P2011−238088A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109907(P2010−109907)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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