説明

電力量計用結線器

【課題】電力量計の各外部端子の位置がメーカーや機種毎に異なっても、電力量計の各外部端子と試験装置の電源側とを容易に結線できる電力量計用結線器を提供する。
【解決手段】電力量計用結線器10は、下面に設けられた下方外部端子2と側面に設けられた側方外部端子3とを有する電力量計1と、試験装置の電源側とを結線するものである。電力量計用結線器10は、固定フレーム11と、電源側に接続され下方外部端子2内に挿入自在の複数の割端子21a−21eが取付けられた移動フレーム40とを備えている。このうち各割端子21a−21eは、移動フレーム40内で左右方向に移動可能となっている。また固定フレーム11に、各割端子21a−21eの位置決めおよび突出高さを変化させる着脱可能な位置決めブロック31が設けられ、各割端子21a−21eは、内部に挿入された押出ピン22により開閉自在となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下面に設けられた複数の円筒形状からなる下方外部端子と側面に設けられた側方外部端子とを有する電力量計と、試験装置の電源側とを結線する電力量計用結線器に係り、とりわけ多種類の大電流電力量計の性能試験を行なう際、各電力量計の各外部端子の位置が異なっても容易に結線できる電力量計用結線器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、試験装置を用いて、電力量計が所定の規格を満たしているかを検査する性能試験(検定試験)が行なわれている。このような性能試験を行なう場合、試験装置の電源側の接続導線と電力量計の各外部端子とを結線する必要がある。しかしながら、とりわけ定格電流が120Aの電力量計(以下、大電流電力量計ともいう)は、各メーカーや機種毎に電力量計の各外部端子間の寸法が異なること、また発熱などの問題が生じることにより、自動で結線作業を行なうことが難しい。このため、試験装置と大電流電力量計との間の結線作業は、ドライバなどを用いて手作業で行なわれることが多い。
【0003】
また、試験装置と大電流電力量計との間の結線作業を自動で行なう大電流電力量計用の自動結線器として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この自動結線器は、結線器受け台に対してスライド自在に取付けられた電流端子を有している。この電流端子は、性能試験の際、各電力量計の種類に合わせて左右にスライドされた後、電力量計の筒状端子内に挿入されて筒状端子の内壁に当接する。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された自動結線器において、各電流端子を左右方向にスライドすることはできるが、各電流端子の位置を上下方向に調整することは難しい。すなわち、電力量計の下方外部端子の構造が各メーカーや機種毎に若干異なり、例えば筒状端子内のネジの高さ位置も若干異なるため、下方外部端子内に挿入される結線器の電流端子は上下方向に調節できることが望ましい。
【0005】
また、特許文献1に記載された自動結線器において、電力量計の側方外部端子に自動で当接可能な電圧端子は設けられていない。
【特許文献1】特開2001−235527号公報
【特許文献2】実開昭59−129173号公報
【特許文献3】実開昭60−59369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、多種類の大電流電力量計の性能試験を行なう際、電力量計の各外部端子の位置がメーカーや機種毎に異なっても、電力量計の各外部端子と試験装置の電源側とを容易に結線できる電力量計用結線器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下面に設けられた複数の円筒形状からなる下方外部端子と側面に設けられた側方外部端子とを有する電力量計と、試験装置の電源側とを結線する電力量計用結線器において、固定フレームと、固定フレームに対して前後方向に移動可能な移動フレームと、移動フレームに取付けられるとともに、電源側に接続され下方外部端子内に挿入自在の複数の割端子とを備え、各割端子は、移動フレーム内で左右方向に移動可能となり、固定フレームに、各割端子の位置決めおよび割端子の突出高さを変化させる着脱可能な位置決めブロックが設けられ、各割端子は、内部に挿入された押出ピンにより開閉自在となることを特徴とする電力量計用結線器である。
【0008】
本発明は、移動フレームは、移動フレーム本体と、移動フレーム本体に対して上下方向に移動自在の上下移動体とを有し、上下移動体は移動フレーム本体に取付けられた上下駆動機構により上下方向に移動し、各押出ピンは上下移動体により保持され、上下移動体とともに上下方向に移動することを特徴とする電力量計用結線器である。
【0009】
本発明は、移動フレームの移動フレーム本体に、側方外部端子に当接自在の電圧端子が揺動自在に取付けられ、電圧端子は、上下移動体の上下方向移動を揺動運動に変換する揺動機構により揺動して側方外部端子に当接することを特徴とする電力量計用結線器である。
【0010】
本発明は、電圧端子は、移動フレームの移動フレーム本体に左右方向に移動可能に取付けられていることを特徴とする電力量計用結線器である。
【0011】
本発明は、電圧端子は、係合突部を有するとともに左右に移動可能なスライド機構を介して移動フレームの移動フレーム本体に取付けられ、位置決めブロックに、係合凹部が形成され、スライド機構の係合突部を位置決めブロックの係合凹部に係合させ、これにより電圧端子を左右方向に位置決め可能となっていることを特徴とする電力量計用結線器である。
【0012】
本発明は、位置決めブロックの長手方向一側面側に、各割端子に対応する複数の切欠部が形成されていることを特徴とする電力量計用結線器である。
【0013】
本発明は、移動フレームに把手部材が取付けられ、把手部材を引くことにより移動フレームを前方に移動させ、これにより位置決めブロックから各割端子を引離し、位置決めブロックを交換可能となっていることを特徴とする電力量計用結線器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、各割端子は移動フレーム内で左右方向に移動可能となり、固定フレームに、各割端子の位置決めおよび割端子の突出高さを変化させる着脱可能な位置決めブロックが設けられているので、電力量計の各下方外部端子の間隔や内部構造が各メーカーや機種毎に異なっても、容易に各割端子の位置を調整することができる。
【0015】
また、本発明によれば、各割端子は、内部に挿入された押出ピンにより開閉自在となるので、各割端子を確実に下方外部端子の内壁に当接させることができる。
【0016】
さらに、本発明によれば、上下移動体は移動フレーム本体に取付けられた上下駆動機構により上下方向に移動し、各押出ピンは、上下移動体により保持され、上下移動体とともに上下方向に移動するので、簡単な構造で割端子を開閉することができる。
【0017】
さらにまた、本発明によれば、電圧端子は、揺動機構により揺動して電力量計の側方外部端子に当接するので、電圧端子と側方外部端子とを自動で容易に当接させることができる。
【0018】
さらにまた、本発明によれば、電圧端子は、移動フレームの移動フレーム本体に左右方向に移動可能に取付けられているので、電力量計の各側方外部端子の位置および各側方外部端子間の寸法が各メーカーや機種毎に異なっても、各電圧端子の左右方向の位置を容易に調整することができる。
【0019】
さらにまた、本発明によれば、スライド機構の係合突部を位置決めブロックの係合凹部に係合させることができるので、各電圧端子を容易に位置決めすることができる。
【0020】
さらにまた、本発明によれば、位置決めブロックの長手方向一側面側に、各割端子に対応する複数の切欠部が形成されているので、各割端子を対応する切欠部に容易に位置決めすることができる。すなわち各割端子を1つずつ移動する必要がなく、各切欠部により割端子を誘導して適切な位置に配置することができる。
【0021】
さらにまた、本発明によれば、把手部材を引くことにより移動フレームを前方に移動させることができるので、性能試験の対象となる各電力量計に応じて、位置決めブロックを容易に交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態について、図1乃至図7を参照して説明する。
ここで、図1は、本発明の一実施の形態を示す正面図であり、図2は、本発明の一実施の形態を示す側面図である。また図3は、本発明の一実施の形態を示す平面図であり、図4は、割端子および押出ピンの側断面図である。また図5は、電圧端子およびスライド機構を示す拡大正面図であり、図6は、位置決めブロックの斜視図である。また図7は、揺動機構の案内ブロックを示す拡大側面図である。
【0023】
まず、図1乃至図4、および図6により、本実施の形態による電力量計用結線器の概略について説明する。
図1に示すように、電力量計用結線器10は、下面に設けられた複数の円筒形状からなる下方外部端子2と側面に設けられた側方外部端子3とを有する電力量計1と、試験装置の電源側とを結線するものである。すなわち測定する電力量計1は、電力量計用結線器10の上方に配置され、電力量計用結線器10を介して試験装置に接続される。
【0024】
この電力量計用結線器10は、試験装置本体に固定された固定フレーム11と、固定フレーム11に対して前後方向に移動可能な移動フレーム40と、移動フレーム40に取付けられるとともに、試験装置の電源側に接続され下方外部端子2内に挿入自在の複数(例えば5つ)の割端子21a−21eとを備えている。
【0025】
このうち割端子21a−21eは、それぞれ1S端子(符号21a)、P2端子(符号21b)、3S端子(符号21c)、3L端子(符号21d)、および1L端子(符号21e)に対応している。また図2および図3に示すように、各割端子21a−21eに、それぞれ細長い金属板23が取付けられ、各金属板23の一端に、電源側からの導線を接続するためのねじ24が取付けられている。すなわち各割端子21a−21eは、それぞれ金属板23およびねじ24を介して電源側と導通するようになっている。
【0026】
さらに、各金属板23の他端に、非導電性の樹脂ブロック25がそれぞれ取付けられている。この各樹脂ブロック25の左右方向の幅は、それぞれ対応する各割端子21a−21eおよび金属板23の左右方向の幅より厚くなっている。したがって、隣接する樹脂ブロック25同士を互いに接近させても、隣接する各割端子21a−21e同士あるいは金属板23同士が接触して短絡しないようになっている。
【0027】
また各割端子21a−21eは、移動フレーム40内で上述した押出ピン22、金属板23、および樹脂ブロック25と一体となって左右方向に移動可能となっている。この各割端子21a−21eは、上方から見て4つに分割されており、それぞれ内部に挿入された押出ピン22により開閉自在となっている。
【0028】
すなわち図4に示すように、各割端子21a−21e、金属板23、および樹脂ブロック25は、移動フレーム40の移動フレーム本体41(後述)に対して上下方向に固定されており、移動フレーム40の上下移動体42(後述)が上下動しても上下方向に移動しない。これに対して、各押出ピン22は、移動フレーム40の上下移動体42(後述)に支持ブロック44および取付ボルト45を介して保持されているので、上下移動体42が上下動するのに連動して各押出ピン22も上下方向に移動する。このようにして、押出ピン22が上昇した場合に各割端子21a−21eは開とされ、逆に押出ピン22が下降した場合に各割端子21a−21eは閉とされる。
【0029】
また固定フレーム11に、各割端子21a−21eの位置決めおよび各割端子21a−21eの突出高さを変化させる着脱可能な位置決めブロック31が設けられている。すなわち図6に示すように、位置決めブロック31は、中央の隆起部33と左右端の各平坦部34とからなっている。このうち各平坦部34に、それぞれ固定フレーム11の位置決めピン12を挿入するための取付穴35が形成されている。また一方の平坦部34に、後述するスライド機構60の係合突部71を係合させるための係合凹部36が形成されている。
【0030】
さらに、位置決めブロック31の長手方向一側面側に、各割端子21a−21eに対応する複数(例えば5つ)の切欠部32が形成されている。各切欠部32は、中央から一側面側に向かって切欠の幅が徐々に広くなっている。このような位置決めブロック31は、性能試験を行なう電力量計に対応してメーカーや機種毎に複数種類用意され、それぞれ各切欠部32の位置や隆起部33の高さが互いに異なっている。
【0031】
次に、移動フレーム40について図1乃至図3を参照して説明する。
図1乃至図3に示すように、移動フレーム40は、固定底板14上に設置された2本のガイド機構13を介して固定フレーム11に取付けられている。すなわち移動フレーム40は、上述したように固定フレーム11に対して前後方向に移動可能となっている。
【0032】
この移動フレーム40は、移動フレーム本体41と、ボルト50により移動フレーム本体41と一体に固定された移動底板46と、移動フレーム本体41に対して上下方向に移動自在の上下移動体42とを有している。このうち上下移動体42は、移動底板46を介して移動フレーム本体41に取付けられた空圧シリンダ(上下駆動機構)43により、上下方向に移動可能となっている。また空圧シリンダ43は、ホース48を介して電磁弁47に接続され(図3参照)、電磁弁47に入力される電気信号に応じて加圧空気により上下移動体42を上下に移動させる。
【0033】
また図1乃至図3に示すように、把手部材49が移動底板46を介して移動フレーム41に取付けられている。この把手部材49を引くことにより移動フレーム41を前方に移動させ、これにより位置決めブロック31から各割端子21a−21eを引離し、位置決めブロック31を交換可能となっている。また移動フレーム41と固定底板14との間に2本のバネ(付勢体)51が介在されている。これにより、把手部材49を引くのを止めた際移動フレーム41が後方に移動され、各割端子21a−21eがそれぞれ対応する位置決めブロック31の切欠部32内の定位置に配置される。
【0034】
次に、図1乃至図3、および図5を用いて、電圧端子55a、55bについて説明する。
電圧端子55a、55bは、それぞれP1端子(符号55a)、P3端子(符号55b)に対応するものである。これら各電圧端子55a、55bは、それぞれ側方外部端子3、3に当接自在であり、後述するスライド機構60および揺動機構70を介して移動フレーム40の移動フレーム本体41に左右方向に移動可能かつ揺動自在に取付けられている。
【0035】
この電圧端子55a、55bは、上下移動体42の上下方向移動を揺動運動に変換する揺動機構70(後述)により揺動して電力量計1の側方外部端子3、3に当接するようになっている。すなわち、上下移動体42が上昇すると、これに連動して電圧端子55a、55bがともに後方向に揺動して電力量計1の側方外部端子3、3に当接する(図2の仮想線)。これに対し、上下移動体42が下降すると、電圧端子55a、55bがともに前方向に揺動して電力量計1の側方外部端子3、3から離間する(図2の実線)。
【0036】
次に、スライド機構60について図5および図7を参照して説明する。
図5に示すように、スライド機構60は、上側ガイド機構63を介して前面板56に左右方向移動自在に取付けられた上側スライド体61と、下側ガイド機構64を介して上下移動体42に左右方向移動自在に取付けられた下側スライド体62とを有している。
【0037】
また、上側スライド体61の左右端に支持棒68がそれぞれ固定され、各支持棒68は、下側スライド体62の左右端にそれぞれ遊挿されている。したがって、スライド機構60の上側スライド体61および下側スライド体62は、上側ガイド機構63および下側ガイド機構64を介して一体として左右にスライドする。このようにして、電圧端子55a、55bは、スライド機構60を介して移動フレーム40の移動フレーム本体41に左右方向に移動可能に取付けられている。
【0038】
また、スライド機構60の左端に係合突部71が設けられている。この係合突部71を位置決めブロック31の係合凹部36に係合させ、これにより電圧端子55a、55bを左右方向に位置決め可能となっている。
【0039】
すなわち係合突部71前方に設けられたレバー72を前方に引くことにより、係合突部71と係合凹部36との係合が解除され、スライド機構60を左右方向に移動することができる。その後、レバー72を引くのを止めると、図示しないバネによりレバー72が元の位置に戻されて係合突部71が係合凹部36に係合し、これによりスライド機構60が左右方向に固定される。
【0040】
さらに、スライド機構60の前方に揺動機構70が配置されている。この揺動機構70は、上述したように、上下移動体42の上下方向移動を揺動運動に変換して電圧端子55a、55bを揺動させるものである。
【0041】
すなわち図5に示すように、揺動機構70は、電圧端子55a、55bの間に配置された案内ブロック67と、案内ブロック67に固定されるとともに下側スライド体62に挿入された中心棒69と、電圧端子55a、55bおよび案内ブロック67内を貫通する上側丸棒65とを有している。
【0042】
このうち案内ブロック67は、図7に示すように、上側丸棒65が貫通する縦長の上側案内溝67aと、下側丸棒66が貫通する斜めに形成された下側案内溝67bとを有している。また、上側丸棒65の下方に、電圧端子55a、55bおよび案内ブロック67内を貫通する下側丸棒66が配置されている。さらに、中心棒69外周にバネ73が配置され、バネ73は、上端が案内ブロック67に当接するとともに下端が下側スライド体62に当接している。なお、図5に示すように、上側丸棒65の両端は上側スライド体61に固定されているが、下側丸棒66の両端は上側スライド体61からわずかに離間している。
【0043】
ところで電圧端子55a(左側)は、スライド機構60に対して左右方向に移動しないようになっている。これに対して電圧端子55b(右側)は、上側丸棒65および下側丸棒66に沿って左右方向に移動可能となっており、これにより電圧端子55a、55b間のピッチを調整可能となっている。
【0044】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
まず、測定しようとする電力量計1に対応する位置決めブロック31を、電力量計用結線器10の固定フレーム11に取付ける。この場合、まず把手部材49を手前に引くことにより、移動フレーム41を前方に移動させ、これにより(交換前の)位置決めブロック31を各割端子21a−21eから引離す。次に、(交換前の)位置決めブロック31を固定フレーム11から取外し、これに代えて、測定しようとする電力量計1に対応する位置決めブロック31を固定フレーム11に取付ける。この場合、各取付穴35に、それぞれ固定フレーム11の位置決めピン12をそれぞれ挿入する。
【0045】
次に、把手部材49を引くのを止めると、バネ(付勢体)51により移動フレーム41が後方に戻される。これにより各割端子21a−21eは、それぞれ対応する位置決めブロック31の切欠部32内の定位置に配置される。
【0046】
次に、スライド機構60の係合突部71を位置決めブロック31の係合凹部36に係合させ、スライド機構60を左右に位置決めする。この場合、必要に応じ、測定しようとする電力量計1に対応させるために、上側丸棒65および下側丸棒66に沿って電圧端子55bを左右方向に移動しても良い。
【0047】
次に、測定しようとする電力量計1を電力量計用結線器10の上方に配置し、図示しないスイッチを入とする。これにより、電磁弁47に電気信号が入力され、電磁弁47を介して空圧シリンダ43に加圧空気が送り込まれる。このようにして空圧シリンダ43により上下移動体42が上昇する。この際、上下移動体42の上昇により押出ピン22も上昇され、各割端子21a−21eが開とされる。これにより、各割端子21a−21eは、それぞれ対応する下方外部端子2の内壁と当接する。
【0048】
また、上下移動体42が上昇することにより、各電圧端子55a、55bがそれぞれ電力量計1の側方外部端子3、3に当接する。すなわち、上下移動体42が上昇することにより、下方から揺動機構70の中心棒69とバネ73が押し上げられ、これにより案内ブロック67も上昇する。この際、案内ブロック67は、図7の仮想線に示すように上昇し、これにより下側丸棒66が前方に移動する(図7の矢印参照)。このようにして下側丸棒66が前方に移動することにより、各電圧端子55a、55bは、上側丸棒65を中心に電力量計1の側方外部端子3、3側に揺動して、側方外部端子3、3に当接する(図2の仮想線)。
【0049】
このようにして、電力量計用結線器10を介して電力量計1と試験装置の電源側とが結線された後、電力量計1の性能試験を行なう。
【0050】
次に、電力量計1の性能試験が終了した後、図示しないスイッチを切とする。この際、空圧シリンダ43により上下移動体42が下降し、押出ピン22も下降する。これにより各割端子21a−21eが閉とされ、各割端子21a−21eは、それぞれ対応する下方外部端子2の内壁から離脱する。また上下移動体42が下降することにより、揺動機構70を介して電圧端子55a、55bが前方に揺動され、各電圧端子55a、55bは電力量計1の側方外部端子3、3から離脱する。
【0051】
このように、本実施の形態によれば、各割端子21a−21eは移動フレーム40内で左右方向に移動可能となり、固定フレーム11に、各割端子21a−21eの位置決めおよび割端子21a−21eの突出高さを変化させる着脱可能な位置決めブロック31が設けられているので、電力量計1の各下方外部端子2の間隔や内部構造が各メーカーや機種毎に異なっても、容易に各割端子21a−21eの位置を調整することができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、各割端子21a−21eは、内部に挿入された押出ピン22により開閉自在となるので、各割端子21a−21eを確実に下方外部端子2の内壁に当接させることができる。
【0053】
さらに、本実施の形態によれば、上下移動体42は移動フレーム本体41に取付けられた上下駆動機構43により上下方向に移動し、各押出ピン22は、上下移動体42により保持され、上下移動体42とともに上下方向に移動するので、簡単な構造で割端子21a−21eを開閉することができる。
【0054】
さらにまた、本実施の形態によれば、電圧端子55a、55bは、揺動機構70により揺動して電力量計1の側方外部端子3、3に当接するので、電圧端子55a、55bと側方外部端子3、3とを自動で容易に当接させることができる。
【0055】
さらにまた、本実施の形態によれば、電圧端子55a、55bは、移動フレーム40の移動フレーム本体41に左右方向に移動可能に取付けられているので、電力量計1の各側方外部端子3、3の位置および各側方外部端子3、3間の寸法が各メーカーや機種毎に異なっても、各電圧端子55a、55bの左右方向の位置を容易に調整することができる。
【0056】
さらにまた、本実施の形態によれば、スライド機構60の係合突部71を位置決めブロック31の係合凹部36に係合させることができるので、各電圧端子55a、55bを容易に位置決めすることができる。
【0057】
さらにまた、本実施の形態によれば、位置決めブロック31の長手方向一側面側に、各割端子21a−21eに対応する複数の切欠部32が形成されているので、各割端子21a−21eを対応する切欠部32に容易に位置決めすることができる。すなわち各割端子21a−21eを1つずつ移動する必要がなく、各切欠部32により割端子21a−21eを誘導して適切な位置に配置することができる。
【0058】
さらにまた、本実施の形態によれば、把手部材49を引くことにより移動フレーム40を前方に移動させることができるので、性能試験の対象となる各電力量計1に応じて、位置決めブロック31を容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明による電力量計用結線器の一実施の形態を示す正面図。
【図2】本発明による電力量計用結線器の一実施の形態を示す側面図。
【図3】本発明による電力量計用結線器の一実施の形態を示す平面図。
【図4】割端子および押出ピンの側断面図。
【図5】電圧端子およびスライド機構を示す拡大正面図。
【図6】位置決めブロックの斜視図。
【図7】揺動機構の案内ブロックを示す拡大側面図。
【符号の説明】
【0060】
1 電力量計
2 下方外部端子
3 側方外部端子
10 電力量計用結線器
11 固定フレーム
12 位置決めピン
13 ガイド機構
14 固定底板
21a−e 割端子
22 押出ピン
23 金属板
24 ねじ
25 樹脂ブロック
31 位置決めブロック
32 切欠部
33 隆起部
34 平坦部
35 取付穴
36 係合凹部
40 移動フレーム
41 移動フレーム本体
42 上下移動体
43 空圧シリンダ(上下駆動機構)
44 支持ブロック
45 取付ボルト
46 移動底板
47 電磁弁
48 ホース
49 把手部材
50 ボルト
51 バネ(付勢体)
55a−b 電圧端子
56 前面板
60 スライド機構
61 上側スライド体
62 下側スライド体
63 上側ガイド機構
64 下側ガイド機構
65 上側丸棒
66 下側丸棒
67 案内プロック
67a 上側案内溝
67b 下側案内溝
68 支持棒
69 中心棒
70 揺動機構
71 係合突部
72 レバー
73 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に設けられた複数の円筒形状からなる下方外部端子と側面に設けられた側方外部端子とを有する電力量計と、試験装置の電源側とを結線する電力量計用結線器において、
固定フレームと、
固定フレームに対して前後方向に移動可能な移動フレームと、
移動フレームに取付けられるとともに、電源側に接続され下方外部端子内に挿入自在の複数の割端子とを備え、
各割端子は、移動フレーム内で左右方向に移動可能となり、固定フレームに、各割端子の位置決めおよび割端子の突出高さを変化させる着脱可能な位置決めブロックが設けられ、
各割端子は、内部に挿入された押出ピンにより開閉自在となることを特徴とする電力量計用結線器。
【請求項2】
移動フレームは、移動フレーム本体と、移動フレーム本体に対して上下方向に移動自在の上下移動体とを有し、上下移動体は移動フレーム本体に取付けられた上下駆動機構により上下方向に移動し、
各押出ピンは上下移動体により保持され、上下移動体とともに上下方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の電力量計用結線器。
【請求項3】
移動フレームの移動フレーム本体に、側方外部端子に当接自在の電圧端子が揺動自在に取付けられ、電圧端子は、上下移動体の上下方向移動を揺動運動に変換する揺動機構により揺動して側方外部端子に当接することを特徴とする請求項2に記載の電力量計用結線器。
【請求項4】
電圧端子は、移動フレームの移動フレーム本体に左右方向に移動可能に取付けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の電力量計用結線器。
【請求項5】
電圧端子は、係合突部を有するとともに左右に移動可能なスライド機構を介して移動フレームの移動フレーム本体に取付けられ、
位置決めブロックに、係合凹部が形成され、
スライド機構の係合突部を位置決めブロックの係合凹部に係合させ、これにより電圧端子を左右方向に位置決め可能となっていることを特徴とする請求項4に記載の電力量計用結線器。
【請求項6】
位置決めブロックの長手方向一側面側に、各割端子に対応する複数の切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電力量計用結線器。
【請求項7】
移動フレームに把手部材が取付けられ、把手部材を引くことにより移動フレームを前方に移動させ、これにより位置決めブロックから各割端子を引離し、位置決めブロックを交換可能となっていることを特徴とする請求項6に記載の電力量計用結線器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−185402(P2008−185402A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17818(P2007−17818)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(390031196)日本電気計器検定所 (17)
【出願人】(300086388)デンソクテクノ株式会社 (8)