説明

電動工具用スイッチ

【課題】モータの正回転・逆回転の切り替えと、モータの回転数の調整を、ひとつの操作部で行なうことができるようにしたことで、操作性に優れ且つ使い勝ってのよい電動工具用スイッチを提供する。
【解決手段】電動工具用スイッチは、表面に摺動体37を、裏面に短絡可動接片36を備え、2極操作するために回動自在な操作部31の操作に基づいて上下方向に動く短絡速度切替部21と、前記短絡速度切替部の一方側面にスプリング33を介在させて上下方向に動くように取付け、裏面に正転接点部を備えた正転切替部22と、前記短絡速度切替部の他方側面にスプリング34を介在させて上下方向に動くように取付け、裏面に逆転接点部を備えた逆転切替部23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動工具用スイッチに関し、詳しくは、小型電動工具の操作量に応じてモータの回転速度が調節できる変速スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術における第1の例としての電動工具用スイッチは、図18乃至図20に示すように、所謂、波型スイッチであり、2つの可動接片上を操作部の左側あるいは右側への押し込みにより2つのオシボを同時に摺動させて接点をオンさせるというものであり、ケース内部に電源を供給するコモン端子109及び4つの第1〜第4固定接点105、106、107、108を備えたケース111と、両端に可動接点101、102、103、104を設けた2つの可動接片112、113と、カバー114に設けたロータ収納部115にロータ116を収容し、そのロータ116にシャフト117を係合させ、シャフト117の他端部をタンク118の上部中央位置に係合し、タンク118の底部に2つのオシボ121、122をバネ123、124を介在させて係合させる構成となっている。
そして、この組み立てたカバー114をケース111に載せその上部から金属フレーム125を取付けてカバー114を固定する。そこにロータ収納部115に収納されているロータ116の凸部119に操作部126の回動中心係合穴127を係合させて操作部126を取付ける。
【0003】
このようにして取付けられた操作部126においては、図18において右側に押し込むことで、ロータ116が右回動し、その回動に連られてシャフト117を介してタンク118が左方向に動くことで、タンク118の底部に取付けられている2つのオシボ121、122が可動接片112、113の表面上を摺動して左方向に移動することで、シーソー状の可動接片112、113が左側に倒れることで、第2固定接点106と可動接点101が接続し、第4固定接点108と可動接点103が接続する。
反対に操作部126を左側方向に押し込むと、ロータ116が左回動し、その左回動に連られてシャフト117を介してタンク118が右方向に動くことで、タンク118の底部に取付けられているオシボ121、122が可動接片112、113の表面上を摺動して右方向に移動することで、シーソー状の可動接片112、113が右側に倒れることで、第1固定接点105と可動接点102が接続し、第3固定接点107と可動接点104が接続する。
【0004】
従来技術における第2の例としての電動工具用スイッチは、図21に示すように、一対の可動接点141、142を設けたタンク145を支点を中心として左右に回動させるように操作部151を左右側に押すことにより可動接点141、142を水平方向に振るようにして固定接点に接触させるものである。
その構成は、側面及び上面を開口としたケース135に、左側壁面に第1固定端子136を備え、右側壁面に第2固定端子137を備え、更に中央位置に上部が線条の谷部となった支点部138を備えている。
【0005】
この支点部138に一対の可動接点141、142を有する可動接片143、144を備えたタンク145を載せるようにして取付ける。
【0006】
タンク145は、四角形状に形成され、頂面にオシボ154が動けるように中央位置が谷状に窪んだ摺動面146を備え、底面に支点部138の谷部に係合するための線条の山部147を設け、この山部147を挟んだ両側に可動接点141、142を有する可動接片143、144を備えた構成となっている。
【0007】
又、このタンク145の上部に設けた摺動面146を摺動するための操作部151の下部位置に設けた係合部152にバネ153を介在したオシボ154を備えた構成となっている。操作部151はオシボ154を係合する係合部152を支点として左右側のどちらかを押すことでオシボ154が左右に動くことでタンク145自体が左右に動くことにより可動接片143、144の可動接点141、142がどちらかの第1固定端子136又は第2固定端子137に接続する構成となっている。
【0008】
そして、ケース135にタンク145を収納し、そのタンク145の上部の摺動面146にバネ153を介在したオシボ154を当接させた操作部151の中央位置の回動支点となる中心凸部155をカバー156の係合孔157に係合させ、ケース135の係合孔139に反対側の中心凸部(図示せず)を係合させてカバー156を取付ける。
【0009】
このようにして組み立てられたスイッチにおいて、表面が波型形状の操作部151の右側を押し込むと、操作部151が右回動し、オシボ154が摺動面146を摺動して左方向に動くことでタンク145が左回動し、可動接片143、144が右方向に動き固定接点に接触する。そして、押し込む力を緩めると摺動面146の傾斜により操作部151が自己復帰する。
同じく反対に波型形状の操作部151の左側の端部を押し込むと、操作部151が左回動し、オシボ154が右方向に動くことでタンク145が右回動し、可動接片143、144が左方向に動き固定接点に接触する。そして、押し込む力を緩めると摺動面146の傾斜により操作部151が自己復帰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−59529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来技術で説明した電動工具用スイッチにおいては、基本的に操作部を何れか一方に押すようにしてモータを正転或は逆転させるもので、同一の操作部でこれら正転及び逆転の制御をすること以外の例えば回転を制御することを一つの操作部ではできないという問題がある。
【0012】
従って、2極のロッカースイッチを使用した時のモータの正回転・逆回転を切り替える操作性と、モータの回転数の調整を行なう操作性を両立させたスイッチを実現することに解決しなければならない課題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本願発明の電動工具用スイッチは、次に示す構成にすることである。
【0014】
電動工具用スイッチは、表面に摺動体を、裏面に短絡可動接片を備え、2極操作するために回動自在な操作部の操作に基づいて上下方向に動く短絡速度切替部と、前記短絡速度切替部の一方側面にスプリングを介在させて上下方向に動くように取付け、裏面に正転可動接片を備えた正転切替部と、前記短絡速度切替部の他方側面にスプリングを介在させて上下方向に動くように取付け、裏面に逆転可動接片を備えた逆転切替部と、を備え、前記操作部を正転側の一方に回動させたときに、前記逆転切替部を制止させ、前記正転切替部を動かすことで正転可動接片を導通状態にすると共に、前記短絡速度切替部を動かすことで前記摺動体を可変抵抗体上を摺動させ、更に、操作部を正転側の一方に回動させたときに、前記短絡速度切替部を動かすことで、短絡可動接片を導通状態にすると共に、前記摺動体を電極部に摺動させて短絡状態にし、一方、前記操作部を逆転側の他方に回動させたときに、前記正転切替部を制止させ、前記逆転切替部を動かすことで逆転可動接片を導通状態にすると共に、前記短絡速度切替部を動かすことで前記摺動体を可変抵抗体上を摺動させ、更に、操作部を逆転側の他方に回動させたときに、前記短絡速度切替部を動かすことで、短絡可動接片を導通状態にすると共に、前記摺動体を電極部に摺動させて短絡状態にすることである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電動工具用スイッチは、モータの正回転・逆回転の切り替えと、モータの回転数の調整を、ひとつの操作部で行なうことができるようにしたことで、操作性に優れ且つ使い勝ってのよいスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本願発明に係る電動工具用スイッチを分解して示した全体斜視図である。
【図2】同、可動接片の動きによりモータの正回転及び逆回転を制御する等価回路を示す説明図である。
【図3】同、操作部が中立位置のときの切替部の位置状態を示す説明図である。
【図4】同、操作部が中立位置のときの可動接片の位置状態を示す説明図である。
【図5】同、操作部が中立位置のときの摺動体の位置状態を示す説明図である。
【図6】同、操作部の右側端部が押されたときの切替部の位置状態を示す説明図である。
【図7】同、操作部の右側端部が押されたときの可動接片の位置状態を示す説明図である。
【図8】同、操作部の右側端部が押されたときの摺動体の位置状態を示す説明図である。
【図9】同、操作部の右側端部が更に押されたときの切替部の位置状態を示す説明図である。
【図10】同、操作部の右側端部が更に押されたときの可動接片の位置状態を示す説明図である。
【図11】同、操作部の右側端部が更に押されたときの摺動体の位置状態を示す説明図である。
【図12】同、操作部の左側端部が押されたときの切替部の位置状態を示す説明図である。
【図13】同、操作部の左側端部が押されたときの可動接片の位置状態を示す説明図である。
【図14】同、操作部の左側端部が押されたときの摺動体の位置状態を示す説明図である。
【図15】同、操作部の左側端部が更に押されたときの切替部の位置状態を示す説明図である。
【図16】同、操作部の左側端部が更に押されたときの可動接片の位置状態を示す説明図である。
【図17】同、操作部の左側端部が更に押されたときの摺動体の位置状態を示す説明図である。
【図18】従来技術における第1の例の押しボタンスイッチの全体斜視図である。
【図19】同、組み立てた様子を示した斜視図である。
【図20】同、等化回路図である。
【図21】従来技術における第2の例の押しボタンスイッチの分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本願発明に係る電動工具用スイッチの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
本発明に係る電動工具用スイッチは、操作部の操作でモータを正回転或は逆回転させると共に操作した状態をそのまま押す等することで回転速度の調整をすることができるようにしたものである。
【0019】
その構成は、図1乃至図2に示すように、側面が開口に形成され、上部両端に操作部31の操作で回動レバー部26、27の突出した軸部56を係合する係合穴18、19を備えた四角形状に形成されたケース11と、ケース11の底部に備えてあるガイド部12に係合させるようにして配置する導電性部材で形成されたマイナス端子13、プラス端子14、コモン端子15、正転端子16、逆転端子17と、配置されたそれぞれの端子の接触面に短絡可動接片36を接触させて配置する短絡速度切替部21と、正転可動接片39を端子の接触面に接触させて配置する正転切替部22と、逆転可動接片42を端子の接触面に接触させて配置する逆転切替部23と、裏面に印刷抵抗24が施され、その印刷抵抗24上を短絡速度切替部21に配置されている摺動体37で摺動させるように配置した基板25と、ケース11の上部位置の両側端に備えた正転回動レバー部26及び逆転回動レバー部27と、正転回動レバー部26及び逆転回動レバー部27を操作する2極に回動する波型形状の操作部31と、基板25の上部からカバーするためのカバー32と、から大略構成されている。
【0020】
短絡速度切替部21は、上部端にT字型形状のレバーガイド片28を設け、正転切替部22と復帰スプリング33を介在させて組み合わされ、同じく逆転切替部23と復帰スプリング34を介在させて組み合わされており、背面の下側位置にスプリング35を介在させて短絡可動接片36を収納し、前面側に基板25の印刷抵抗24に摺動する摺動体37を取付けた構成になっている。
【0021】
正転切替部22は、背面の下側位置にスプリング38を介在させて正転接点部である正転可動接片39を取付けた構成になっている。
【0022】
逆転切替部23は、背面の下側位置にスプリング41を介在させて逆転接点部である逆転可動接片42を取付けた構成になっている。
【0023】
マイナス端子13は、ケース11の側壁面に取り付けられるもので帯状に形成した先端部を直角方向に折り曲げて延出し、さらにその先端部を直角に曲げ、その先端を更に下方向に延出した構成になっており、その最先端が短絡可動接片36と接触するマイナス端子接点43になる。
【0024】
プラス端子14は、コ字型形状に形成した両端部を直角に起こしてプラス端子接点44、45となし、コ字型形状の端部を下方向に直角に曲げて外部と接続する端子46とした構成となっている。
【0025】
コモン端子15は、十字状に形成した上部端が短絡用のコモン端子接点47を形成し、図で右側の端部が逆転用のコモン端子接点48であり、左側の端部が正転用のコモン端子接点49を形成する。
【0026】
正転端子16は、帯状部材の先端側を直角方向に折り曲げ、その折り曲げた先端側が正転可動接片39と接触する正転端子接点51を形成し、下部側から直角方向に折り曲げて外部と接触する接触端子とする。
【0027】
逆転端子17は、帯状部材の上部端を折り曲げて逆転可動接片42と接触する逆転端子接点52を形成し、下端部側から反対側方向に折り曲げて外部と接続する接続端子とする。
【0028】
正転回動レバー部26は、円柱状の本体55の両端にケース11とカバー32の係合穴18、53に係合するための軸部56、57を設け、側壁面に扇状に開いたストッパー片58を設け、このストッパー片58に連設して操作部の一辺が当り回動させるためのガイドバー59を備え、反対側にガイドバー59よりも長く短絡速度切替部21のレバーガイド片28に係合して短絡速度切替部21を上方向に動かすためのガイドレバー61を備えた構成になっている。
【0029】
逆転回動レバー部27は、正転回動レバー部26と同じ形状をしており、互いにガイドレバー61を短絡速度切替部21のレバーガイド片28の底面に当てるようにして配置されている。
【0030】
このような構成からなるスイッチを組み立てるには、先ず、ケース11の中央側面底部に設けたスリットに通してコモン端子15を配置し、同じく左側側面に正転端子16を配置し、右側側面に逆転端子17を配置し、その配置されたコモン端子15の前面側にスリットに係合させてプラス端子14を配置し、最後に左側側面にマイナス端子13を配置する。
【0031】
次に、配置されたそれぞれの端子13、14、15、16、17の接点上に短絡可動接片36を有する短絡速度切替部21を配置し、その左側に正転切替部21を底端部を短絡速度切替部21に係合させ、且つ復帰スプリング33を係合させ、背後に正転可動接片39をスプリング38を介在させて取付ける。短絡速度切替部21の右側には逆転切替部23を底端部を短絡速度切替部21に係合させ、且つ復帰スプリング34を係合させ、背後に逆転可動接片42をスプリング41を介在させて取付ける。
そして、短絡速度切替部21、正転切替部22、逆転切替部23の各々が配置された後に、ケース11の上部位置に設けてある右側の係合穴18に正転回動レバー部26の軸部56を係合し、左側の係合穴19に逆転回動レバー部27の軸部56を係合させて取付ける。そうすると、正転回動レバー部26のガイドレバー61が短絡速度切替部21のレバーガイド片28の底辺に当て、逆転回動レバー部27のガイドレバー61も短絡速度切替部21のレバーガイド片28の底辺に当てるようにして配置する。
次に、カバー32に基板25を取付けケース11に収容されている各部品の上部から被せ、このとき正転回動レバー部26の軸部57と逆転回動レバー部27の軸部57をカバー32の係合穴53、54に挿通させる。
同時に、操作部31の回動中心となる中心穴31aをケース11に設けてある回動凸部40に係合させ、及びカバー32に設けてある回動凸部62に係合させることで取付けは完了する。
【0032】
次に上記の構成からなるスイッチの実施例について、図面を参照して説明する。
先ず、操作部31に何の操作もせずに、中立の位置の場合は、図3乃至図5に示すように、操作部31は左右どちらにも押されていない状態で、正転回動レバー部26のガイドレバー61を短絡速度切替部21のレバーガイド片28に係合させ、及び逆転回動レバー部27のガイドレバー61を短絡速度切替部21のレバーガイド片28に係合させた状態を維持する。このとき、正転切替部22の正転可動接片39は正転端子接点51とプラス端子接点44とを跨いだ状態で接続しており、逆転切替部23の逆転可動接片42は逆転端子接点52とプラス端子接点45とを跨いだ状態で接続している。そして、短絡速度切替部21の摺動体37は抵抗体29bから外れた電極部29aに接続されている。
【0033】
このような状態で、モータを正転に回転させるために操作部31の右側を押すと、図6乃至図8に示すように、操作部31の右側底部で逆転回動レバー部27のガイドバー59を下方向に押すことによりカム形状のストッパー片58が回動して逆転切替部25の頂部に嵌まり込み上昇を抑える。
【0034】
同時に、逆転回動レバー部27のガイドレバー61が短絡速度切替部21のレバーガイド片28の底部から上方向に押し上げることで短絡速度切替部21が上方向に上昇し、一緒に正転切替部22も上昇する。そうすると、正転切替部22の正転可動接片39が上方向に上昇移動することにより正転端子接点51とコモン端子接点48を接続する。これにより、モータが正転に回転できるようになる。
【0035】
逆転切替部25は扇状のストッパー片58で上昇が抑えられているため逆転可動接片42は動かず、逆転端子接点52とプラス端子接点45を接続した状態を維持する。
また、短絡速度切替部21の短絡可動接片36は上方向への上昇に連られて上方向に動き、摺動体37もつられて上方向に動き、基板25の印刷抵抗の可変抵抗部である抵抗体29b上を摺動して動く。
【0036】
これによりモータが正転に動くわけであるが、操作部31の傾きを増加させれば、摺動体37もつられて上方向に動くことにより可変抵抗体29b上を摺動することで回転速度の調整を行なうことができるのである。
【0037】
更に、操作部31を右側方向に更に押し込むと、モータの正回転が所謂フルストロークとなる。即ち、図9乃至図11に示すように、操作部31の右側底部で逆転回動レバー部27のガイドバー59を下方向に更に押すことによりカム形状のストッパー片58が更に回動して逆転切替部23の頂部に嵌まり込み上昇を抑えることを維持する。
同時に、逆転回動レバー部27のガイドレバー61が短絡速度切替部21のレバーガイド片28の底部から上方向に更に押し上げることで短絡速度切替部21が上方向に上昇する。ところが、一緒に動く正転切替部22は正転回動レバー部26に当接することで、それ以上の上方向への移動は阻止される。従って、正転切替部22の正転可動接片39が正転端子接点51とコモン端子接点48を接続した状態を維持する。
【0038】
そして、短絡速度切替部21のみが上方向に動くため、短絡可動接片36は上方向への上昇に連られて上方向に動き、短絡可動接片36がマイナス端子接点43とコモン端子接点47を接続してフルストローク状態にする。
摺動体37もつられて上方向に動き、基板25の印刷抵抗の電極部30、29c同士を接続する。そして、操作部21を押し込む力を緩めると復帰スプリング33、34の力で中立状態に自己復帰する。これは、図4に示す位置に正転可動接片39が戻り、モータ両端が短絡し、モータ巻線による逆起電力が流れモータの慣性力による回転を止めることができる。
【0039】
次に、モータを逆転に回転させるためには、操作部31の左側を押すことにより得ることができる。
【0040】
先ず、中立な状態は、上述した図3乃至図5に示すように、操作部21が左右のどちらにも押されていない状態であり、正転回動レバー部26のガイドレバー61を短絡速度切替部21のレバーガイド片28に係合させ、及び逆転回動レバー部27のガイドレバー61を短絡速度切替部21のレバーガイド片28に係合させた状態を維持する。このとき、正転切替部22の正転可動接片39は正転端子接点51とプラス端子接点44とを跨いだ状態で接続しており、逆転切替部23の逆転可動接片42は逆転端子接点52とプラス端子接点45とを跨いだ状態で接続している。そして、短絡速度切替部21の摺動体37は抵抗体29bから外れた電極部29aに接続されている。
【0041】
このような状態で、モータを逆転に回転させるために操作部31の左側を押すと、図12乃至図14に示すように、操作部31の左側底部で正転回動レバー部26のガイドバー59を下方向に押すことによりカム形状のストッパー片58が回動して正転切替部22の頂部に嵌まり込み上昇を抑える。
同時に、正転回動レバー部26のガイドレバー61が短絡速度切替部21のレバーガイド片28の底部から上方向に押し上げることで短絡速度切替部21が上方向に上昇し、一緒に逆転切替部23も上昇する。そうすると、逆転切替部23の逆転可動接片42が上方向に上昇移動することにより逆転端子接点52とコモン端子接点49を接続する。これにより、モータが逆転に回転できるようになる。
【0042】
正転切替部22は扇状のストッパー片58で上昇が抑えられているため正転可動接片39は動かず、正転端子接点51とプラス端子接点44を接続した状態を維持する。
また、短絡速度切替部21の短絡可動接片36は上方向への上昇に連られて上方向に動き、摺動体37もつられて上方向に動き、基板25の印刷抵抗の可変抵抗部である抵抗体29b上を摺動して動く。
【0043】
以上のように操作部31の左側を押すことでモータが逆転に動くわけであるが、操作部31の押す傾きを増加させれば、摺動体37もつられて上方向に動くことにより可変抵抗体29b上を摺動することで回転速度の調整を行なうことができるのである。
【0044】
更に、操作部31を左側方向に更に押し込むと、モータの逆回転が所謂フルストロークとなる。即ち、図15乃至図17に示すように、操作部31の左側底部で正転回動レバー部26のガイドバー59を下方向に更に押すことによりカム形状のストッパー片58が更に回動して正転切替部22の頂部に嵌まり込み上昇を抑えることを維持する。
同時に、正転回動レバー部26のガイドレバー61が短絡速度切替部21のレバーガイド片28の底部から上方向に更に押し上げることで短絡速度切替部21が上方向に上昇する。ところが、一緒に動く正転切替部23は逆転回動レバー部27に当接することで、それ以上の上方向への移動は阻止される。従って、逆転切替部23の逆転可動接片42が逆転端子接点52とコモン端子接点49を接続した状態を維持する。
そして、短絡速度切替部21のみが上方向に動くため、短絡可動接片36は上方向への上昇に連られて上方向に動き、短絡可動接片36がマイナス端子接点43とコモン端子接点47を接続してフルストローク状態にする。
摺動体37もつられて上方向に動き、基板25の印刷抵抗の電極部29c、30同士を接続する。そして、操作部21を押し込む力を緩めると復帰スプリング33、34の力で中立状態に自己復帰する。これは、図4に示す位置に逆転可動接片42が戻り、モータ両端が短絡し、モータ巻線による逆起電力が流れモータの慣性力による回転を止めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
モータの正回転・逆回転の切り替えと、モータの回転数の調整を、ひとつの操作部で行なうことができるようにしたことで、操作性に優れ且つ使い勝ってのよいスイッチを提供する。
【符号の説明】
【0046】
11 ケース
12 ガイド部
13 マイナス端子
14 プラス端子
15 コモン端子
16 正転端子
17 逆転端子
18 係合穴
19 係合穴
21 短絡速度切替部
22 正転切替部
23 逆転切替部
24 印刷抵抗
25 基板
26 正転回動レバー部
27 逆転回動レバー部
28 レバーガイド片
29a 電極部
29b 抵抗体
29c 電極部
30 電極部
31 操作部
31a 中心穴
32 カバー
33 復帰スプリング
34 復帰スプリング
35 スプリング
36 短絡可動接片
37 摺動体
38 スプリング
39 正転可動接片
40 回動凸部
41 スプリング
42 逆転可動接片
43 マイナス端子接点
44 プラス端子接点
45 プラス端子接点
46 端子
47 コモン端子接点
48 コモン端子接点
49 コモン端子接点
51 正転端子接点
52 逆転端子接点
53 係合穴
54 係合穴
55 円柱状の本体
56 軸部
57 軸部
58 ストッパー片
59 ガイドバー
61 ガイドレバー
62 回動凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に摺動体を、裏面に短絡可動接片を備え、2極操作するために回動自在な操作部の操作に基づいて上下方向に動く短絡速度切替部と、
前記短絡速度切替部の一方側面にスプリングを介在させて上下方向に動くように取付け、裏面に正転接点部を備えた正転切替部と、
前記短絡速度切替部の他方側面にスプリングを介在させて上下方向に動くように取付け、裏面に逆転接点部を備えた逆転切替部と、を備え、
前記操作部を正転側の一方に回動させたときに、前記逆転切替部を制止させ、前記正転切替部を動かすことで正転接点部を導通状態にすると共に、前記短絡速度切替部を動かすことで前記摺動体を可変抵抗体上を摺動させ、
更に、操作部を正転側の一方に回動させたときに、前記短絡速度切替部を動かすことで、短絡可動接片を導通状態にすると共に、前記摺動体を電極部に摺動させて短絡状態にし、
一方、前記操作部を逆転側の他方に回動させたときに、前記正転切替部を制止させ、前記逆転切替部を動かすことで逆転接点部を導通状態にすると共に、前記短絡速度切替部を動かすことで前記摺動体を可変抵抗体上を摺動させ、
更に、操作部を逆転側の他方に回動させたときに、前記短絡速度切替部を動かすことで、短絡可動接片を導通状態にすると共に、前記摺動体を電極部に摺動させて短絡状態にすることを特徴とする電動工具用スイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2012−196732(P2012−196732A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62264(P2011−62264)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(301040796)佐鳥エス・テック株式会社 (26)
【Fターム(参考)】