説明

電動工具

【課題】巻線仕様を変更して2種類以上のモータ特性を得るモータを備える場合に、各巻線仕様のモータ特性に対して中間的な特性を経て前記巻線仕様の切替えを行うことで、切替えた瞬間に生じる急激なトルク変化や回転数変化を回避する。
【解決手段】永久磁石回転子と、固定子4と、固定子の各ティース毎に2つのコイルを持つ巻線を有するモータと、これによって駆動される先端工具と、前記巻線へ駆動電力を供給するインバータ回路169と、これを制御する制御部170と、前記モータの起動及び回転の制御を行うためのスイッチとを備え、前記巻線は前記ティース毎に2つのコイルを有することで、2種の巻線仕様を有するものであり、制御部170は、前記モータに流れる電流に応じて2つのコイルへの通電を変化させることにより各巻線仕様のモータ特性に対して中間的な特性を経て前記巻線仕様の切替えを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスモータを用いた電動工具に関し、特に複数コイルの巻線(複数の巻線仕様)を有するモータの駆動制御において作業状況に応じてモータ特性を変更可能とした電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドリルやドライバ等の先端工具をモータによって回転駆動して所要の作業を行う電動工具において、ブラシレスモータが使われるようになってきた。ブラシレスモータは、例えばブラシ(整流用刷子)の無いDC(直流)モータであり、コイル(巻線)を固定子側に、永久磁石を回転子側に用い、インバータで駆動された電力を所定のコイルへ順次通電することにより回転子を回転させる。ブラシレスモータでは、固定子に巻かれたコイルへの通電をオン、オフ(ON/OFF)させるためのスイッチング素子を、モータの近傍の設けられた回路基板上に配置する。スイッチング素子を配置する場所は、例えば、モータの後側(先端工具と反対側)に取り付けられる略円形の回路基板上に配置している。
【0003】
図11に従来例の電動工具で用いられるブラシレスモータの固定子部分の構造を示す。固定子204は、固定子コア241と、固定子コア241に形成された複数のティース244―1〜6に巻かれるコイル261−1〜6を含んで構成される。固定子コア241は、鉄板などの薄い金属板を軸方向に複数積層して製造するもので外形が略円筒状であって、周方向に所定間隔をあけて円筒部分から半径方向内側に延びる複数のティース244―1〜6が形成される。これらのティース244―1〜6の最内周側は、図示しない円筒状の回転子と微小の隙間を隔てるようにその形状が円弧状に形成され、各ティース244―1〜6には銅線が所定回数巻かれてコイル261−1〜6が形成される。図11ではコイル261−1〜6間の接続線を図示していないが、対向するコイルどうしが接続され、コイル261−1と2によりU相が形成され、コイル261−3と4によりV相が形成され、コイル261−5と6によりW相が形成される。U相、V相、W相の一方は駆動回路としてのインバータ回路の所定のスイッチング素子に接続され、他方は互いに接続される。
【0004】
図12は、従来例によるブラシレスモータの駆動制御系の回路構成を示すブロック図である。ブラシレスモータは、スター結線されたコイル261−1〜6(U相、V相、W相)を含む固定子204及び図示しない回転子を有する。ブラシレスモータを駆動及び制御するためにインバータ回路269及び制御部270が設けられている。
【0005】
駆動回路としてのインバータ回路269に含まれる電子素子には、3相ブリッジ形式に接続されたFET(Field effect transistor)などの6個のスイッチング素子Q1〜Q6を含む。
【0006】
ブラシレスモータの回転数等を制御する制御部270は、演算部71と、回転子位置検出回路73と、回転数検出回路74と、電流検出回路75と、印加電圧設定回路76と、回転方向設定回路76と、制御信号出力回路279とを有する。
【0007】
また、モータの動作開始、回転速度設定等のためにスイッチ機能を有するトリガ8aが設けられており、これにより印加電圧設定回路76が作動され、トリガ操作量(ストローク)に応じた電圧信号が演算部71に出力される。モータの正転、逆転の切替のために正逆切替レバー10が設けられており、回転方向設定回路76を介して回転方向の設定が演算部71に出力される。
【0008】
スター結線されたコイル261−1〜6(U相、V相、W相)を含む固定子204により回転される回転子の近傍には、回転位置を検出するために周方向に所定の間隔毎、例えば角度60°毎に配置された3つの位置検出素子33が設けられる。これら位置検出素子33からの回転位置検出信号に基づいて、回転子位置検出回路73は回転子位置検出信号を演算部71に出力するとともに、回転数検出回路74は回転子の回転数検出信号を演算部71に出力し、演算部71で制御された制御信号出力回路279の出力信号によりインバータ回路269が制御され、固定子巻線(U相、V相、W相)を構成する各コイル261−1〜6への通電方向と時間が制御されてモータが回転可能となっている。
【0009】
ブリッジ接続が可能な6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートは、制御信号出力回路279に接続され、スイッチング素子Q1〜Q6の各ドレインまたは各ソースは、スター結線された固定子巻線U相、V相、W相に接続される。これによって、スイッチング素子Q1〜Q6は、制御信号出力回路279から入力されたスイッチング素子駆動信号(H1〜H6の駆動信号)によってスイッチング動作を行い、インバータ回路269に印加されるバッテリ11の直流電圧は、3相(U相、V相、W相)電圧Vu、Vv、Vwとして固定子巻線U相、V相、W相に供給される。
【0010】
演算部71は、トリガ8aのトリガ操作量(ストローク)に応じて、6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートを駆動するスイッチング素子駆動信号(3相信号)のうち、3個の負電源側スイッチング素子Q4、Q5、Q6にパルス幅変調信号(PWM信号)をH4、H5、H6として供給し、トリガ8aのトリガ操作量(ストローク)の検出信号に基づいてPWM信号のパルス幅(デューティ比)を変化させることによってモータ3への電力供給量を調整する。
【0011】
また、モータの回転制御において各ティースに2個のコイルを有する巻線を配置し、これらのコイルを必要に応じて切り替え、2種類のモータ特性を得られるようにしたモータが知られている。切替え方法としてはトリガの引き量に閾値を持たせた例や具体的な詳細例は記載されていないが半導体素子を用いた例(下記特許文献1)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭59−59062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の2種類のモータ特性を得られるようにしたモータは、巻線を切り替えた瞬間回転数やトルクが急激に変化するため扱いづらい。例としてドライバドリルにおいてはトルクが急激に増大するため作業者がその変化に対応しきれず、工具が振り回されてねじ等から工具が外れる、いわゆるカムアウトの原因となる。
【0014】
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は、固定子の各ティース毎に複数のコイルを有する巻線を設け、状況に応じて巻線仕様を変更して2種類以上のモータ特性を得ることができるモータを備える場合に、各巻線仕様のモータ特性に対して中間的な特性を経て前記巻線仕様の切替えを行うことで、前記巻線仕様を切替えた瞬間に生じる急激なトルク変化や回転数変化を回避して、緩やかなモータ特性の切り替えを行うことができる扱い易い電動工具を提供することにある。
【0015】
さらに、もう一つの目的は、固定子の各ティース毎に複数のコイルを有する巻線を設け、状況に応じて巻線仕様を変更して2種類以上のモータ特性を得ることができるモータを備える場合に、各巻線仕様のモータ特性に対して中間的なモータ特性で動作可能で、多様な状況に対応できる電動工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様は電動工具である。この電動工具は、永久磁石を有する回転子と、複数のティースを有する固定子と、前記ティースに巻かれた巻線を有するモータと、前記モータによって駆動される先端工具と、前記巻線へ駆動電力を供給する駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御部と、前記モータの起動及び回転の制御を行うためのスイッチとを備え、
前記巻線は複数のコイル同士の接続関係を切替えることで、複数の巻線仕様を有するものであり、
前記制御部は、前記複数のコイルの接続関係の切替えを繰り返すことにより各巻線仕様のモータ特性に対して中間的な特性となるように前記モータを制御することを特徴とする。
【0017】
本発明の第2の態様は電動工具である。この電動工具は、永久磁石を有する回転子と、複数のティースを有する固定子と、前記ティースに巻かれた巻線を有するモータと、前記モータによって駆動される先端工具と、前記巻線へ駆動電力を供給する駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御部と、前記モータの起動及び回転の制御を行うためのスイッチとを備え、
前記巻線は複数のコイル同士の接続関係を切替えることで、複数の巻線仕様を有するものであり、
前記制御部は、前記複数のコイルの接続関係の切替えを繰り返すことにより各巻線仕様のモータ特性に対して中間的な特性を経て前記巻線仕様の切替えを行うことを特徴とする。
【0018】
前記第1又は第2の態様において、前記複数のコイルが相互に並列に接続可能な構成であるとよい。
【0019】
前記第1又は第2の態様において、前記複数のコイルが直列に接続可能な構成であってもよい。
【0020】
前記第1又は第2の態様において、前記複数のコイルにそれぞれ流れる電流の通電時間を段階的に変化させ、各コイルに流れる電流の割合を徐々に変化させることで前記複数の巻線仕様のうちの特定の巻線仕様のモータ特性から別の巻線仕様のモータ特性への緩やかな特性切替えを行うとよい。また、前記複数のコイルにそれぞれ流れる電流をオン、オフするスイッチング素子を有し、前記スイッチング素子のデューティー比を変化させる構成でもよい。
【0021】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る電動工具によれば、固定子の各ティース毎に複数のコイルを有する巻線を設け、状況に応じて巻線仕様を変更して2種類以上のモータ特性を得ることができるモータを用いるとともに、各巻線仕様のモータ特性に対して中間的な特性を経て前記巻線仕様の切替えを行うことで、前記巻線仕様を切替えた瞬間に生じる急激なトルク変化や回転数変化を回避して、緩やかなモータ特性の切り替えが可能である。従って、急激なトルク変化や回転数変化によるカムアウトを防ぐことが可能で、扱い易い電動工具を実現できる。また、各巻線仕様のモータ特性で動作することが可能であることに加えて、中間的なモータ特性において動作を継続することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態であって、電動工具としてのインパクトドライバの内部構造を示す側断面図である。
【図2】同インパクトドライバの外観を示す側面図である。
【図3】図1のモータの固定子の正面図である。
【図4】前記インパクトドライバの制御手順を示すフローチャートである。
【図5−1】実施の形態に係る電流及び回転数の時間的変化を示すグラフである。
【図5−2】実施の形態に係る電流の時間的変化を拡大して示すグラフである。
【図6】実施の形態に係るブラシレスモータの駆動制御系の回路構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態に係るブラシレスモータのコイル切り替え制御手順を示す概略ブロック図である。
【図8】実施の形態におけるコイルへの駆動電圧の供給経路(その1)を示す正面図である。
【図9】実施の形態におけるコイルへの駆動電圧の供給経路(その2)を示す正面図である。
【図10】本発明の他の実施の形態におけるブラシレスモータの駆動制御系の回路構成を示すブロック図である。
【図11】従来例の電動工具におけるブラシレスモータの固定子の正面図である。
【図12】従来例の電動工具における駆動制御系の回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0025】
図1は本発明に係る電動工具の一実施の形態としてのインパクトドライバの内部構造を示す側断面図、図2はそのインパクトドライバの外観を示す側面図である。尚、以下の説明において、上下、前後の方向は、図1中に示した方向として説明する。
【0026】
インパクトドライバ1は、充電可能なバッテリ11を電源とし、モータ3を駆動源として回転打撃機構21を駆動し、出力軸であるアンビル30に回転力と打撃力を与え、スリーブ31に覆われる取付穴30aに保持されるドライバビット等の図示しない先端工具に回転打撃力を間欠的に伝達してねじ締めやボルト締め等の作業を行うものである。
【0027】
モータ3はブラシレスDCモータであり、内周側に2組の永久磁石を一体化した回転子5を有し、外周側に6つのスロットを有する固定子4が配置されるもので、いわゆる4極6スロットのモータである。回転子5は外周面に2つのN極と2つのS極を有し、N極とS極が交互に配置されている。固定子4には後述する固定子巻線6が設けられている。尚、本発明は4極6スロットのモータだけに限られずに、他の極数、他のスロット数のモータであっても良い。
【0028】
モータ3は側面視で略T字状の形状を成すハウジング2の筒状の胴体部2a内に収容される。モータ3の回転軸7(回転子5と一体)は、ハウジング2の胴体部2aの中央部付近に設けられるベアリング19aと後端側のベアリング19bによって回転可能に保持され、モータ3の前方には、回転軸7と同軸に取り付けられモータ3と同期して回転する回転子ファン13が設けられ、モータ3の後方には、モータ3を駆動するためのインバータ回路基板12が配設される。
【0029】
回転子5とベアリング19aの間には、スリーブ36と回転子ファン13とが回転軸7と同軸上に取り付けられる。回転子5は、永久磁石5aが発生する磁束の磁路を形成するものである。スリーブ36は、例えばプラスチック又は金属によって構成できるが、金属製にする場合は、回転子5の磁路に影響しないように非磁性体であることが好ましい。スリーブ36の外周部には、必要に応じてバランス修正用溝を形成する。回転子ファン13は、例えばプラスチックのモールドにより一体成型されるものであり、後方の内周側から空気を吸引し、前方側の半径方向外側に排出する、いわば遠心ファンである。
【0030】
回転子ファン13によって起こされる空気流は、空気取入孔17a及びインバータ回路基板12の周囲のハウジング部分に形成された図2のスリット17bから胴体部2aの内部に取り込まれ、主に回転子5と固定子4の間を通過するように流れ、回転子ファン13の後方から吸引されて回転子ファン13の半径方向に流れ、回転子ファン13の周囲のハウジング部分に形成された図2のスリット18からハウジング2の外部に排出される。インバータ回路基板12はモータ3の外形とほぼ同形の略円形の両面基板であり、この基板上にはFET等の複数のスイッチング素子14や、ホールIC等の位置検出素子33が搭載される。
【0031】
回転子5とベアリング19bの間には、プラスチック製のスペーサ35が設けられる。スペーサ35の形状は略円筒形で、ベアリング19bと回転子5との間の間隔を設定する。この間隔はインバータ回路基板12を同軸上に配置するためと、スイッチング素子14を冷却する空気流の流路として必要とされる空間を形成するために必要とされるものである。
【0032】
ハウジング2の胴体部2aから略直角に一体に延びるハンドル部2b内の上部にはトリガ8aが配設され、トリガ8aの下方にはスイッチ回路8が設けられる。ハンドル部2b内の下部には、トリガ8aの引き動作によって前記モータ3の速度を制御する機能を備えた制御回路基板9が収容され、この制御回路基板9は、バッテリ11とトリガ8aに電気的に接続される。制御回路基板9は、信号線を介してインバータ回路基板12と接続される。ハンドル部2bの下方には、ニカド電池、リチウムイオン電池等のバッテリ11が着脱可能に装着される。また、胴体部2aの前側には照明用のライト16が設けられている。
【0033】
回転打撃機構21は、胴体部2aの前側に一体化されたハンマケース15と、回転軸7に連結された遊星歯車減速機構22と、スピンドル27と、ハンマ24とを備え、後端がベアリング20、前端がハンマケース15に固定のメタル軸受29により保持される。トリガ8aが引かれてモータ3が起動されると、正逆切替レバー10で設定された方向にモータ3が回転を始め、その回転力は遊星歯車減速機構22によって減速されてスピンドル27に伝達され、スピンドル27が所定の速度で回転駆動される。ここで、スピンドル27とハンマ24とはカム機構によって連結され、このカム機構は、スピンドル27の外周面に形成されたV字状のスピンドルカム溝25と、ハンマ24の内周面に形成されたハンマカム溝28と、これらのカム溝25、28に係合するボール26によって構成される。
【0034】
ハンマ24は、スプリング23によって常に前方に付勢されており、静止時にはボール26とカム溝25、28との係合によってアンビル30の端面とは隙間を隔てた位置にある。そして、ハンマ24とアンビル30の相対向する回転平面上の2箇所には図示しない凸部がそれぞれ対称的に形成されている。
【0035】
スピンドル27が回転駆動されると、その回転はカム機構を介してハンマ24に伝達され、ハンマ24が半回転しないうちにハンマ24の凸部がアンビル30の凸部に係合してアンビル30を回転させるが、そのときの係合反力によってスピンドル27とハンマ24との間に相対回転が生ずると、ハンマ24はカム機構のスピンドルカム溝25に沿ってスプリング23を圧縮しながらモータ3側へと後退を始める。
【0036】
そして、ハンマ24の後退動によってハンマ24の凸部がアンビル30の凸部を乗り越えて両者の係合が解除されると、ハンマ24は、スピンドル27の回転力に加え、スプリング23に蓄積されていた弾性エネルギーとカム機構の作用によって回転方向及び前方に急速に加速されつつ、スプリング23の付勢力によって前方へ移動し、その凸部がアンビル30の凸部に再び係合して一体に回転し始める。このとき、強力な回転打撃力がアンビル30に加えられるため、アンビル30の取付穴30aに装着される図示しない先端工具を介してねじに回転打撃力が伝達される。以後、同様の動作が繰り返されて先端工具からねじに回転打撃力が間欠的に繰り返し伝達され、例えば、ねじが木材等の図示しない被締め付け材にねじ込まれる。
【0037】
次に図3を用いて、固定子4に対する巻線の配置状態を説明する。固定子4は外形が略円筒形の固定子コア41の内周側に6つのティース44―1〜6を有し、各ティース部分には、銅線が巻かれており図1の固定子巻線6を形成する。本実施の形態では、固定子巻線6は、ティース44−1〜6の内周側に巻かれるコイル61−1〜6と、それらの外周側に巻かれるコイル62−1〜6により構成される。つまり、ティース44−1には複数のコイル61−1,62−1からなる巻線が施され、ティース44−2には複数のコイル61−2,62−2からなる巻線が施され、ティース44−3には複数のコイル61−3,62−3からなる巻線が施され、ティース44−4には複数のコイル61−4,62−41からなる巻線が施され、ティース44−5には複数のコイル61−5,62−5からなる巻線が施され、ティース44−6には複数のコイル61−6,62−6からなる巻線が施される。
【0038】
図6で後述するが、コイル61−1〜6はスター結線となるように接続されU相、V相、W相が形成される。コイル62−1〜6は、スター結線されたコイル61−1〜6にそれぞれ直列関係となるように接続されるものであり、U2相、V2相、W2相が形成される。コイル61−1〜6(U相、V相、W相)、コイル62−1〜6(U2相、V2相、W2相)には、位置検出素子33の位置検出信号に基づいて電気角120°の通電区間に制御された電流が、図1のスイッチング素子14を介して供給される。
【0039】
図3では図示していないが、固定子4の内周側には、回転軸7を一体化した回転子5が回転可能に保持される。ティース44―1〜6の内周側は、円筒形の回転子5の外周面と僅かな空隙を隔てて位置し、その内周面の形状も回転子5の外周面と対応する曲面状に形成される。
【0040】
固定子コア41は、高珪素鋼板等の板材を図3に示すように6つのティース44−1〜6を形成するように型抜いて、軸方向に複数枚積層することで構成された積層鉄心とすることが好ましい。また、固定子コア41はネジ穴43を有するモータハウジング42の内側に配設されている。4つのネジ穴43はモータハウジング42にインバータ回路基板12を固定するためのものである。
【0041】
次に図4のフローチャート及び図5、図6を用いて本実施の形態に係るインパクトドライバ1の制御手順を説明する。ここではボルト締めを想定し説明する。インパクトドライバ1では、通電させるコイルとして、第1のコイル(コイル61−1〜6)、又は第1のコイルと第2のコイル(コイル62−1〜6)とを直列に接続した巻線のいずれかの組を選択するようにしたものである。
【0042】
インパクトドライバ1にバッテリ11が装着された後、トリガ8aが引かれていない状態では、モータ3のコイルへの通電は停止しておりモータ3の回転が停止している(図4のステップ81)。この状態で、作業者が先端工具をネジ等の締め付け部材に当ててから、作業者によってトリガ8aが引かれたこと、つまりトリガスイッチがオンにされたか否かを制御部170が検出し(ステップ82)、オンにされた場合はコイル61−1〜6を選択する“巻線仕様1”(高回転モード)で通電する(ステップ83)。このとき、スイッチング素子(FETなど)Q7〜Q9がオン状態である。ステップ82でトリガがオンされていない場合はステップ81に戻る。
【0043】
制御部170は、負荷によるモータ電流(固定子の巻線電流)の変化を常にモニタしており、巻線電流が閾電流値1以上であるかを判別する(ステップ84)。具体的には図6のインバータ回路169からバッテリ11に戻る電流経路の電流値を電流検出回路75で検出して演算部71に出力することでモニタしている。なお、後述のよう巻線電流をPWM制御する場合、巻線電流はパルス状に変動するため、閾電流値との比較に際しては平均値処理した巻線電流値を用いる。
【0044】
閾電流値1以上に達した場合、コイル1のみ通電の“巻線仕様1”とコイル1とコイル2とを直列に接続した“巻線仕様2”をスイッチング素子Q7〜Q9を用いてある一定の時間毎、例えば0.1秒毎に設定回数、例えば10回交互に切り替えて通電させる。この状態を以下“巻線仕様3”とする(ステップ85)。
【0045】
ステップ85の後、スイッチング素子Q7〜Q9をオフ状態として、“巻線仕様2”(高トルクモード)での運転に切替える(ステップ86)。
【0046】
巻線仕様2で動作中、巻線電流が閾電流値2未満か否かをモニタする(ステップ87)。巻線電流が閾電流値2未満となった場合はスイッチング素子Q7〜Q9を用いて上記巻線仕様3を経てステップ82へ戻る(ステップ88)。
【0047】
以上のように、本実施の形態ではスイッチング素子Q7〜Q9を用いることにより高速モードと高トルクモードの切替えを自動で緩やかに行うことができ、モータの特性が切替わる瞬間に起こり易いカムアウトを防止することができる。
【0048】
図5−1は図4におけるスイッチング動作期間Tの分割数N=1のときと、分割数N=10のときの電流及び回転数の時間変化を概略的にグラフとして図示したものである。スイッチング動作期間Tの分割数Nを増やすことで、より緩やかな特性変化が得られる。
【0049】
図5−2は分割数N=10のときの電流の時間変化のグラフのA部を拡大して図示したものである。巻線仕様1で動作中に閾電流値1に達すると、スイッチング素子Q7〜Q9のスイッチングを開始するが、1回オン、オフする毎に徐々に導通期間(デューティー比D)を減少させて行く制御を行う。例えば、スイッチング動作期間T=1秒の場合、最初の0〜0.1秒の区間ではスイッチング素子Q7〜Q9のデューティー比を91%とし、次の0.1〜0.2秒の区間ではデューティー比を82%とし、以下同様にデューティー比を減じて、最後の0.9〜1.0秒の区間ではデューティー比を9%とする。
【0050】
次に、モータ3の駆動制御系の構成と作用を図6を用いて説明する。図6はモータの駆動制御系の構成を示すブロック図であり、本実施の形態では、モータ3は3相のブラシレスDCモータで構成される。このブラシレスDCモータは、いわゆるインナーロータ型であって、複数組(本実施の形態では2組)のN極とS極を含む永久磁石5a(図1参照)を有する回転子5(図1参照)と、スター結線された3相固定子巻線{U相(コイル61−1,61−2)、V相(コイル61−3,61−4)、W相(コイル61−5,61−6)、及びそれらに直列関係となるU2相(コイル62−1,62−2)、V2相(コイル62−3,62−4)、W2相(コイル62−5,62−6)}を有する固定子4と、回転子5の回転位置を検出するために周方向に所定の間隔毎、例えば角度60°毎に配置された3つの位置検出素子33を有する。これら位置検出素子33からの回転位置検出信号に基づいて固定子巻線(U相、V相、W相、及びU2相、V2相、W2相)への通電方向と時間が制御される。
【0051】
駆動回路としてのインバータ回路169に含まれる電子素子には、3相ブリッジ形式に接続されたFETなどの6個のスイッチング素子Q1〜Q6を含む。さらに、U相、V相、W相の各コイルに対して直列に接続されたU2相、V2相、W2相の各コイルの両端を短絡して、それらの励磁を停止させるための3つのスイッチング素子Q7〜Q9を設けた。スイッチング素子Q7〜Q9の各ゲートには制御信号出力回路179からスイッチング素子駆動信号(H13〜H15の駆動信号)が入力される。3つのスイッチング素子Q7〜Q9をオンにして導通状態とすると、固定子4はU相(コイル61−1,61−2)、V相(コイル61−3,61−4)、W相(コイル61−5,61−6)だけの固定子巻線で駆動(励磁)されることになり、3つのスイッチング素子Q7〜Q9をオフにして非導通状態とすると固定子4はU相(コイル61−1,61−2)、V相(コイル61−3,61−4)、W相(コイル61−5,61−6)、及びそれらに直列関係となるU2相(コイル62−1,62−2)、V2相(コイル62−3,62−4)、W2相(コイル62−5,62−6)で構成された固定子巻線で稼働することになる。
【0052】
ブリッジ接続が可能な6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートは、図1の制御回路基板9に搭載される制御信号出力回路179に接続され、スイッチング素子Q1〜Q6の各ドレインまたは各ソースは、U2相、V2相、W2相のコイルに接続される。これによって、スイッチング素子Q1〜Q6は、制御信号出力回路179から入力されたスイッチング素子駆動信号(H1〜H6の駆動信号)によってスイッチング動作を行い、インバータ回路169に印加されるバッテリ11の直流電圧を3相(U相、V相、W相)電圧Vu、Vv、Vwとして固定子巻線U相、V相、W相に供給するか、あるいは、3相電圧として固定子巻線(U相+U2相、V相+V2相、W相+W2相)に供給する。
【0053】
固定子巻線(U相、V相、W相)の電流値が閾値未満の場合は、図4のフローチャートで説明したようにスイッチング素子Q7〜Q9がオンとされ、固定子4は(U相、V相、W相)のコイルからなる固定子巻線だけで励磁される。この際の、スイッチング素子Q1〜Q6の駆動は、3個の負電源側スイッチング素子Q4、Q5、Q6をパルス幅変調信号(PWM信号)H4、H5、H6として供給し、制御回路基板9上に搭載された演算部71によって、電流検出回路75の検出信号に基づいてPWM信号のパルス幅(デューティ比)を変化させることによってモータへの電力供給量を調整する。
【0054】
同様にして固定子巻線(U相、V相、W相)の電流値が閾値以上の場合は、スイッチング素子Q7〜Q9がオフとされ、固定子4はU相、V相、W相の各コイルとU2相、V2相、W2相の各コイルとの直列接続状態となった固定子巻線で励磁される。この際の、スイッチング素子Q1〜Q6の駆動は、3個の負電源側スイッチング素子Q4、Q5、Q6をパルス幅変調信号(PWM信号)H4、H5、H6として供給し、制御回路基板9上に搭載された演算部71によって、電流検出回路75の検出信号に基づいてPWM信号のパルス幅(デューティ比)を変化させることによってモータへの電力供給量を調整する。
【0055】
次に、図6及び図7を用いて、モータ3の制御切り替え手順を説明する。まず図1のトリガ8aが引かれると、電流値(モータ電流=固定子巻線電流)が電流検出回路75に入力され、さらに電流検出回路75で検出された巻線電流が、巻線切替設定回路77で設定閾値電流値と比較され、演算部71に入力される。
【0056】
固定子巻線の電流値が閾値より小さい場合は、図7のボックス86に示すように「スイッチング素子Q1〜Q3の何れかと、スイッチング素子Q7〜Q9の何れかをオン」にする制御を行う(但し、スイッチング素子Q7〜Q9はオン状態を継続する動作でもよい)。この制御はつまり、ボックス87のように固定子巻線U相、V相、W相だけを使ってモータ3を回転させるもので、ボックス88で示す直列接続状態に比べてコイルの巻数が減ることになるので、トルクは低下するものの高回転数にてモータ3を駆動することができる。例として木ねじ締付け作業の前半のように比較的大きなトルクを必要とせず、回転速度が高いことが重要である場合に有効である(巻線仕様1)。
【0057】
固定子巻線の電流値が閾値より大きい場合は図7のボックス88に示すように「スイッチング素子Q1〜Q3の何れかと、スイッチング素子Q4〜Q6の何れかをオン」にする制御を行う。この制御はつまり、ボックス89に示すようにU相、V相、W相の各コイルとU2相、V2相、W2相の各コイルとの直列接続状態となった固定子巻線で励磁されるもので、例として木ねじ締付け作業後半のように高いトルクが必要である場合に有効である(巻線仕様2)。
【0058】
本実施の形態で固定子巻線の電流値が閾値以上の場合(巻線仕様2)のコイルへの給電状況を示すのが図8である。固定子巻線の電流値が閾値以上の場合では、回転子5のある回転位置において駆動電流は、丸1から丸2のようにU2相(62−1、62−2)に流れた後に、丸3から丸4のように直列接続されているU相(61−1、61−2)に流れ、その後、丸4と接続されているV相(61−3、61−4)の方向に丸5、丸6と流れ、その後丸7から丸8のように直列接続されているV2相(62−3、62−4)に流れる。ここで、本発明で特徴的なことは、ティース4−1〜4に巻かれている外周側のコイル62−1〜4(U2相、V2相)と内周側のコイル61−1〜4(U相、V相)の双方に直列に駆動電流を流すことである。従って、固定子巻線の電流値が閾値以上の状態においては、各ティース4−1〜6は、内周側のコイル61−1〜6と外周側のコイル62−1〜6の双方で励磁されることになる。
【0059】
次に図9で固定子巻線の電流値が閾値未満の場合(巻線仕様1)の制御について説明する。固定子巻線の電流値が閾値未満の状態では、回転子5のある回転位置において駆動電流は、丸1から丸2のように直列接続されているうちのU相(61−1、61−2)にだけ流れ、その後、丸2と接続されている丸3から丸4へV相(61−3、61−4)にだけ流れるようにしている。ここで、本発明で特徴的なことは、ティース4−1〜4に巻かれている外周側のコイル62−1〜4(U2相、V2相)には駆動電流を流さないことである。従って、固定子巻線の電流値が閾値未満の場合においては、各ティース44−1〜6は、内周側のコイル61−1〜6だけで励磁されることになる。
【0060】
上記巻線仕様1と巻線仕様2の切り替え時にはスイッチング素子Q7〜Q9を設定した時間間隔、例えば0.1秒毎にオン、オフを繰り返すことにより巻線仕様1と巻線仕様2の中間的な特性を介してモータ特性を切替えることができるため、急激なトルク変化、回転数変化を緩和することができる。
【0061】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0062】
(1) 固定子巻線6は固定子コア41の各ティース毎に複数のコイルを有することで、複数の巻線仕様(例えば巻線仕様1と巻線仕様2)を有するものであり、制御部170によって、モータ3に流れる電流に応じて前記複数のコイルへの通電を変化させることにより各巻線仕様のモータ特性に対して中間的なモータ特性(巻線仕様3)を経て前記巻線仕様の切替えを行うことが可能である。これにより切替え時に発生する急激な回転数変化やトルク変化を緩和し、急激なトルク増加や回転数変化によるカムアウトを防ぐことができる。
【0063】
(2) 巻線仕様1から巻線仕様2に切り替える際、スイッチング素子Q7〜Q9のデューティー比を徐々に変化させることで、各コイルの通電時間を徐々に変化させることが可能になり、より滑らかな切り替えが可能となる。また、モータ3を搭載する電動工具製品に応じ、切替えの緩やかさを任意に設定することができる。
【0064】
図10は本発明の他の実施の形態であって、ブラシレスモータの駆動制御系の回路構成を示すブロック図である。この場合、固定子4のスター結線された3相固定子巻線は、各相の複数コイル{(コイル61−1,2と62−1,2の組)(コイル61−3,4と62−3,4の組)(コイル61−5,6と62−5,6の組)}を並列接続可能な結線となっている。また、インバータ回路69にはスイッチング素子Q1〜Q6に加えてスイッチング素子Q7〜Q12が追加されている。制御部70は制御信号出力回路79において、スイッチング素子駆動信号(H1〜H12の駆動信号)を作成してスイッチング素子Q1〜Q12のゲートにそれぞれ出力する。
【0065】
モータ電流=固定子巻線電流が閾値未満の巻線仕様1ではU相(コイル61−1,61−2)、V相(コイル61−3,61−4)、W相(コイル61−5,61−6)だけの固定子巻線で駆動する。つまり、スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング動作によってモータ3を高速回転で駆動する。スイッチング素子Q7〜Q12はオフ状態を維持する。
【0066】
高トルク動作を行うための巻線仕様2では、U相(コイル61−1,61−2)、V相(コイル61−3,61−4)、W相(コイル61−5,61−6)とU1相(コイル62−1,62−2)、V1相(コイル62−3,62−4)、W1相(コイル62−5,62−6)とがそれぞれ並列接続された関係で通電される。つまり、スイッチング素子Q1,Q7の組、Q2,Q8の組、Q3,Q9の組、Q4,Q10の組、Q5,Q11の組、Q6,Q12の組がオン、オフする動作を行う。
【0067】
固定子巻線電流が閾値以上になると(閾値に到達すると)、巻線仕様1から巻線仕様2への移行期間において、スイッチング素子Q7〜Q12のデューティー比が徐々に増加し、移行期間の最後にデューティー比が100%となってスイッチング素子Q7〜Q12はスイッチング素子Q1〜Q6とペアになってオン、オフする。
【0068】
この図10のブラシレスモータの駆動制御系の場合にも、前述の図6の場合と同様の効果が得られる。
【0069】
なお、図10の駆動制御系において、U,V,W相のコイルと、U1,V1,W1相のコイルの巻数を異ならせておき、スイッチング素子Q1〜Q6又はスイッチング素子Q7〜Q12のいずれか一方のスイッチング素子群を選択し、U,V,W相のコイル又はU1,V1,W1相のコイルのいずれか一方を切り替え使用して巻線仕様1と巻線仕様2のモータ特性を実現する構成でもよい。
【0070】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。
【0071】
上記各実施の形態では、固定子巻線の巻線仕様を変更して異なるモータ特性を実現し、そのモータ特性の切り替えを中間的特性を経て緩やかに変化させたが、中間的モータ特性で継続的にブラシレスモータを駆動する動作も可能である。
【0072】
また、図3の固定子巻線は各ティースに2個のコイルを設けた巻線構造としたが、本発明では3個以上のコイルを設けた巻線構造としてもよい。この場合、各コイルの結線を直列乃至並列的に切り替えることで3種類以上のモータ特性を実現可能で、かつモータ特性の切り替えを緩やかに行うことが可能である。
【0073】
本発明が適用可能な電動工具は、インパクトドライバに限定されず、2種以上のモータ特性が要求される各種電動工具(例えばドリルなど)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 インパクトドライバ
2 ハウジング
2a 胴体部
2b ハンドル部
3 モータ
4,204 固定子
5 回転子
5a 永久磁石
6 固定子巻線
7 回転軸
8 スイッチ回路
8a トリガ
9 制御回路基板
10 正逆切替レバー
11 バッテリ
12 インバータ回路基板
13 回転子ファン
14,Q1〜Q12 スイッチング素子
17a 空気取入孔
17b,18 スリット
19a,19b,20 ベアリング
21 回転打撃機構
22 遊星歯車減速機構
23 スプリング
24 ハンマ
25 スピンドルカム溝
26 ボール
27 スピンドル
28 ハンマカム溝
29 メタル軸受
30 アンビル
30a 取付穴
31,36 スリーブ
33 位置検出素子
35 スペーサ
41 固定子コア
43 ネジ穴
44−1〜6,244−1〜6 ティース
61−1〜6,62−1〜6,261−1〜6 コイル
69,169,269 インバータ回路
70,170,270 制御部
71 演算部
73 回転子位置検出回路
75 電流検出回路
76 印加電圧設定回路
77 巻線切替設定回路
78 回転方向設定回路
79,179,279 制御信号出力回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石を有する回転子と、複数のティースを有する固定子と、前記ティースに巻かれた巻線を有するモータと、
前記モータによって駆動される先端工具と、
前記巻線へ駆動電力を供給する駆動回路と、
前記駆動回路を制御する制御部と、
前記モータの起動及び回転の制御を行うためのスイッチとを備え、
前記巻線は複数のコイル同士の接続関係を切替えることで、複数の巻線仕様を有するものであり、
前記制御部は、前記複数のコイルの接続関係の切替えを繰り返すことにより各巻線仕様のモータ特性に対して中間的な特性となるように前記モータを制御することを特徴とする電動工具。
【請求項2】
永久磁石を有する回転子と、複数のティースを有する固定子と、前記ティースに巻かれた巻線を有するモータと、
前記モータによって駆動される先端工具と、
前記巻線へ駆動電力を供給する駆動回路と、
前記駆動回路を制御する制御部と、
前記モータの起動及び回転の制御を行うためのスイッチとを備え、
前記巻線は複数のコイル同士の接続関係を切替えることで、複数の巻線仕様を有するものであり、
前記制御部は、前記複数のコイルの接続関係の切替えを繰り返すことにより各巻線仕様のモータ特性に対して中間的な特性を経て前記巻線仕様の切替えを行うことを特徴とする電動工具。
【請求項3】
前記複数のコイルが相互に並列に接続可能な構成である請求項1又は2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記複数のコイルが直列に接続可能な構成である請求項1又は2に記載の電動工具。
【請求項5】
前記複数のコイルにそれぞれ流れる電流の通電時間を段階的に変化させ、各コイルに流れる電流の割合を徐々に変化させることで前記複数の巻線仕様のうちの特定の巻線仕様のモータ特性から別の巻線仕様のモータ特性への緩やかな特性切替えを行う請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項6】
前記複数のコイルにそれぞれ流れる電流をオン、オフするスイッチング素子を有し、前記スイッチング素子のデューティー比を変化させる、請求項5に記載の電動工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−111734(P2013−111734A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262681(P2011−262681)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】