説明

電子カメラ

【目的】イメ−ジャ、および、電子ビュ−ファインダを有する電子カメラにおいて、専用の部材を新たに設けることなく、シャッタ動作を視認可能とするカメラを提供する。
【構成】本カメラは、撮像手段としてイメ−ジャ3を用い、ファインダとしてEVF7を用いるものであり、イメージャ3の露光動作に関連して、システムコントローラ1に内蔵する表示切り換え手段の指示に従い、EVF信号プロセス回路6を介して,その動作態様に相応した特殊表示をEVF7に表示させるようにして、露光動作がなされたことを撮影者が視認可能とするものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子カメラ、詳しくは、撮像手段にイメ−ジャを用い、ファインダに電子ビューファインダを用いた電子カメラにおいて、露光動作乃至記録動作にに関連した電子ビューファインダの表示に関するものである。
【0002】
【従来の技術】撮像手段にイメ−ジャを用いた電子スチルカメラにおいて、その露光動作は、イメ−ジャであるCCDの素子シャッタにより制御されることが多い。従って、銀塩カメラのようにシャッタが切れたときのシャッタ音が発生することがなく、シャッタが切れたことを確認することができなかった。そこで、従来は、シャッタ動作時にPVC(圧電発音体)を利用して音を出すようにしたり、また、ファインダ内でLEDを点滅させるなどの方法を用いていた。また、ム−ビカメラにおいては、例えば、実開昭63−99469号公報に開示のビデオカメラまたはカメラ一体型テープレコーダでは、録画スタート/ストップスイッチに連動して電子ビュ−ファインダ内に表示される画像が切り換えられるように構成されており、録画待機中は輝度を反転させ、録画中は正常な画像を表示するようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のシャッタ動作に連動してPVC,LED等を作動させる従来の電子スチルカメラにおいては、シャッタが切られたことを確認するためだけに、撮影操作上は関連のない専用の部材であるPCVの発音部材、あるいは、LED表示部材等を設けなければならず、スペ−ス上は、勿論、コスト上も不利は避けられないものであった。また、実開昭63−99469号公報に開示のものは、録画待機中にファインダ像の輝度を反転させるものであるので、該待機中のファインダ観察がやりにくいという欠点があった。
【0004】本発明は、上述の不具合を解決するためになされたものであって、イメ−ジャ、および、電子ビュ−ファインダを有する電子カメラにおいて、露光動作乃至記録動作に相応した特殊表示を電子ビュ−ファインダに表示させることにより、シャッタ動作、即ち、露光動作乃至記録動作およびその動作の態様を確認可能として、専用の部材を新たに設ける必要もない電子カメラを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の電子カメラは、イメージャ露光動作乃至画像記録動作に際しては、電子ビュ−ファインダによる画面表示自体を、そのイメ−ジャ露光動作乃至画像記録動作の態様に相応した所定の特殊表示態様に切り換えるための切り換え手段を具備してなることを特徴とする。
【0006】
【作用】イメージャ露光動作乃至画像記録動作に際して、それらの動作の態様に相応した表示を電子ビュ−ファインダに表示させるようにして、露光動作乃至画像記録動作がなされたことを撮影者は確実に視認することができる。
【0007】
【実施例】以下図示の実施例に基づいて本発明を説明する。まず、本発明の第1実施例を示す電子カメラである電子スチルカメラについて図1〜3を用いて説明する。図1に示すように本電子スチルカメラは、撮像手段にイメ−ジャ3を用い、ファインダとして電子ビューファインダ(以下、EVFと記す)7を用いるカメラであり、イメージャ3の露光動作に関連して、システムコントローラ1に内蔵する表示切り換え手段の指示に従い、同じく表示切り換え手段であるEVF信号プロセス回路6を介して,その動作態様に相応した特殊表示をEVF7に表示させるようにして、露光動作がなされたことを撮影者が確実に視認可能とするものである。
【0008】そして、本カメラにおいては、まず、撮影レンズ2を介して取り込まれた被写体像がイメ−ジャ3により電気信号に変換される。その撮像信号は、撮像プロセス回路4においてY信号(輝度信号),R−Y信号(色差信号),B−Y信号(色差信号)に分離され、その映像信号は、記録再生回路5およびEVF信号プロセス回路6に出力される。記録再生回路5にはA/D,D/A変換回路を含むバッファメモリ5aが内蔵されており、映像信号は、バッファメモリ5aを介して固体メモリカ−ド8に書き込まれる。再生時には、固体メモリカ−ド8の映像データを記録再生回路5で読み出し、映像信号を再生する。一方、EVF信号プロセス回路6に入力された映像信号に基づいて、カラ−液晶で構成されるEVF7に表示される。なお、本カメラの全制御要素はCPU等で構成されるシステムコントローラ1によってコントロールされるものとする。
【0009】次に、以上のように構成された本実施例の電子スチルカメラにおけるEVF7の表示動作について図2のタイムチャ−トを用いて詳細に説明する。パワースイッチのオンからレリーズスイッチの1段目オンの状態までの間は、通常の被写体像をEVF(電子ビュ−ファインダ)7に表示させる。そして、レリーズスイッチ(図示せず)の2段目をオンにするとイメ−ジャ3の素子シャッタによる露光動作が開始され、同時に、システムコントローラ1の指示によりEVF信号プロセス回路6より特殊表示の映像信号が表示時間tsの間、出力されEVF7に特殊表示がなされる。この表示時間tsは、表示画像が変化したことを撮影者が確実に認識でき、しかも、撮影の支障にならない程度の短い時間T0であって、例えば、1フィ−ルド(1/60秒)か、2フィ−ルド(1/30秒)の期間を充当させる。但し、これらの最適値は、特殊表示の内容によって異なる場合があり、必要に応じて更に最適化されることが望ましいのは、勿論である。
【0010】上記特殊表示の表示画面としては、まず、EVF信号プロセス回路6において色差信号を0にしてEVF7に出力する映像信号をモノクロ画像信号とし、特殊表示としてモノクロ画像を表示する特殊表示画面がある。また、EVF信号プロセス回路6において入力されている映像信号を全画面1色となるパターン信号を与えるミュート画像を特殊表示画面とすることも可能である。この場合の色としては任意であるが、例えば、青,緑,黄,赤,白,灰色,黒等が妥当である。また更に、EVF信号プロセス回路6において、記録再生回路5のバッファメモリ5aのデータを利用して映像信号をモザイク画像の映像信号に変換して、特殊表示としてモザイク画像を表示することも可能である。このモザイク画像データを生成する方法として、その画像記録に際して画像信号の周波数空間での直交変換、所謂、DCTと呼ばれている変換により、情報圧縮を行う型の電子カメラにあっては、映像信号の変換出力の低次項をそのまま用いて上記モザイク画像データを求めることができる。このDCT処理回路を有することで、新たな回路を組み込むことなしに上記モザイク画像の特殊表示が可能となる。勿論、その他のモザイク処理方法を用いることも可能である。更に、同じモザイク画像表示として、バッファメモリ5aのアドレスをコントロールすることによってモザイクの座標を変化させ、疑似リアルタイムで変化するモザイク画像を特殊表示として用いることも可能である。また、特殊表示の映像としては、この他、各種のものが適用できる。
【0011】EVF7での上記特殊表示の表示動作は、フィ−ルド画面単位で特殊表示の画面を切り換えるように、垂直同期信号に同期して表示の切り換えを行うことが望ましい。もし、このように同期させなかった場合、画面の中央部から表示画面の書き換えが実行されるので像が観察しにくい。なお、この切り換えタイミングおよび上記各特殊表示の映像の種類については、後述の第2〜4実施例の電子カメラについても同様に適用するものである。
【0012】次に、図3のフロ−チャ−トにより、本実施例の電子カメラの撮影シーケンス処理を説明する。まず、ステップS01でパワースイッチのオン/オフをチェックし、オンであれば、ステップS02に進み、カメラの各制御部を動作状態とし、EVF7をオンとして被写体像の表示を行う。続いて、ステップS03にて、レリーズスイッチの1段目のオン/オフをチェックし、オフであればステップS04にジャンプする。そこで、パワースイッチがオンであることを確認して、ステップS03に戻る。また、レリーズスイッチの1段目がオンであればステップS05に進み、AF(自動合焦)・AE(自動露光のための測光)処理を行う。そして、ステップS06でレリーズスイッチの2段目のオン/オフをチェックし、オフであれば、ステップS03に戻る。もし、オンであれば、ステップS07,08に進み、シャッタ秒時Ts、および、特殊表示時間tsを演算する。ただし、本実施例ではこの時間tsには、前述のように1/30秒、または、1/60秒の所定の値が与えられる。続いて、ステップS09に進み、露光のために素子シャッタの開閉を実行する。同時に、EVF7での特殊表示も開始される。ステップS10において取り込まれた映像信号を記録し、ステップS11にてコマ数を更新してステップS03に戻る。以上のように、本実施例の電子カメラは、レリーズスイッチの2段目の動作に関連して露光を行うとともに、EVF7の表示を、例えば、カラ−表示からモノクロ表示に、ミュート表示に、あるいは、モザイク表示等の特殊表示に少なくとも撮影者が認識できる時間だけ切り換えて表示するようにして、露光が実行されたことを認識することができる。そして、この同期表示のための部材として、専用の部材を必要としないのでコスト上もスペース上も有利となる。
【0013】次に、本発明の第2実施例の電子カメラについて説明する。前記第1実施例の電子カメラでは、特殊表示の表示時間tsとして、表示画像が変化したことを撮影者が確実に認識でき、しかも、撮影の支障にならない程度の短い時間T0 、一定としたが、本実施例のものでは、特殊表示の表示時間tsをシャッタ時間Tsに関連性を持たせるようにしている。即ち、特殊表示の表示時間tsは、シャッタ時間Tsが認識できる短い時間T0 より短い場合、つまりシャッタが早すぎてシャッタ時間だけの表示では認識できない場合、時間T0 を表示の下限値として採用し、また、シャッタ時間Tsが認識できる短い時間T0に等しいか、より長い場合、時間Tsを採用するものである。これを式にしてまとめると、Ts<T0 の場合、ts=T0 …………………(1)
Ts≧T0 の場合、ts=Ts…………………(2)
となる。なお、本実施例の電子カメラの主要構成は、図1R>1に示した第1実施例のものと同様とする。また、撮影シーケンス処理についても図3のフロ−チャ−トを適用できるが、処理のステップS08における表示時間tsの演算は、上記(1),(2)の演算式を用いる。
【0014】以上のように構成された本実施例の電子カメラにおいては、従来の銀塩式1眼レフカメラでの、レリーズスイッチの操作時にファインダ像が一瞬消えることによりシャッタスピ−ドの感覚をつかむことができる効果をそのまま備えることができる。更に、シャッタ時間が短すぎるようなときでも上記特殊効果が撮影者に認識できるよう上記時間T0 を表示の下限値として採用しているので視認不可の状態にならない。
【0015】次に、本発明の第3実施例の電子カメラについて説明する。本実施例の電子カメラは、連写撮影時におけるEVFの特殊表示に特徴があるものであって、連写撮影においては、1回の2段目レリーズスイッチ操作によって複数回のシャッタが切られるが、その毎回のシャッタ動作に同期してEVFの前記特殊表示が実行されるものである。なお、本実施例のカメラにおいても、その主要構成は、図1に示した第1実施例のものと同様とする。また、特殊表示の画面についても第1実施例のものと同様の表示が適用できる。
【0016】次に、本発明の第4実施例の電子カメラについて説明する。本実施例の電子カメラは、セルフタイマ撮影機能を有するカメラにおいて、セルフタイマのシャッタ動作と同時に上記特殊表示がEVFに表示されるものである。この場合、撮影者が被写体となる可能性があるので、被写体側から上記EVFの特殊表示が観察できる必要がある。図4は、本カメラによるセルフタイマ撮影状態を示しており、撮影者である被写体25側から液晶ファインダであるEVF7の特殊表示が観察できる。そして、撮影レンズ2が装着されるカメラ本体21には、EVF7を有するファインダ部23が回動自在に装着されており、セルフタイマ撮影時には図4のようにファインダ部23を撮影レンズ2側の23′の位置まで回動させ、EVF7が撮像レンズである撮影レンズ2の視野内から視認可能とする。また、そのファインダ部23の回動に伴って自動的にセルフタイマモード切換が行われるように、図5の(A)に示すように本体21の側面の撮影レンズ2側に連動スイッチ28(図6参照)の操作釦26が配設されている。なお、図5の(B)は、図5の(A)のC〜C断面図であり、スイッチ釦26の裏面には該スイッチの接点28bが設けられ、基板27上に接点28aが対向して配設されている。そして、ファインダ部23の回動に伴い、該接点が導通状態になり、カメラは、セルフタイマ撮影モードに切り換えられる。
【0017】図6は、本実施例の電子カメラの主要ブロック構成図であるが、図に示すように、連動スイッチ28以外は、前記第1実施例のカメラと同様の構成を有している。図7は、本カメラのセルフタイマ撮影時のレリーズスイッチ,EVF等の動作のタイムチャ−トを示す。レリーズスイッチ2段目がオンとなった後、別途設定されている待ち時間Tw経過してシャッタが切れる。同時に、EVF7の特殊表示が時間tsだけ行われる。この時間tsは、前記第2実施例のもので用いた時間tsが適用され、シャッタ時間が長くなれば、表示時間も長くなり、撮影者は、シャッタ動作の開始と終了を被写体側から確認することができる。
【0018】以上のように、本実施例の電子カメラによれば、セルフタイマモードの設定がファインダの操作時に自動的に行われ、また、被写体側からシャッタの動作状態を観察することができる。ここでは、特殊表示としてA,Bの2つの態様を採用しており、Aの態様では点滅を行い、Bの態様ではAと異なった表示態様を持たせることにより、被写体側で撮影のタイミングを確実に認識できるようにしている。なお、この際、時間Twに対応する特殊表示Aと時間tsに対応する特殊表示Bの2つのうち一方だけを使用する構成としてもよい。
【0019】図8の(A)は、上記第4実施例の変形例を示す電子カメラのファインダ部の断面図であって、図8R>8の(B)は、図8の(A)のD〜D断面図である。上記第4実施例のものでは、セルフタイマモードに設定する場合、ファインダ部23を回動される必要があったが、本変形例のものは、EVF7を内蔵するファインダ部31を回動させず、図8の(A),(B)に示すように軸35で支持されるファインダ反射ミラー32のみをツマミ36により32′の位置に回動させるだけでセルフタイマモードへの切り換えが行われるものである。なお、図8の(A)において、通常のファインダ像は、接眼レンズ33側から観察されるが、セルフタイマモード時では、透明、または、有色アクリル板34を介して撮影レンズ(図示せず)側から、特殊表示を含むファインダ像が観察される。本変形例のカメラによれば、第4実施例のもののようにセルフタイマ撮影時に、ファインダ部全体を回動させる必要がなくカメラがコンパクトにまとめられる。
【0020】
【発明の効果】上述のように本発明の電子カメラは、イメージャ露光動作乃至画像記録動作に際して、それらの動作の態様に相応した特殊表示を電子ビュ−ファインダに表示させるようにしたので、本発明のものは、露光動作乃至画像記録動作の確認を専用の部材を設けることなく、電子ビュ−ファインダの特殊表示を用いて露光乃至記録動作を視覚的に確認でき、コスト上もスペース上も不利になることなく、更に、シャッタスピ−ドの認識やセルフタイマモードでのシャッタ動作の確認にも適用することができるなど数多くの顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す電子カメラの主要ブロック構成図。
【図2】上記図1の電子カメラの撮影状態でのスイッチ並びにEVFの動作のタイムチャ−ト。
【図3】上記図1の電子カメラの撮影シーケンス処理のフローチャート。
【図4】本発明の第2実施例を示す電子カメラのセルフタイマ撮影状態を示す斜視図。
【図5】上記図4の電子カメラのファインダ部を示す図であって、(A)は側面図であって、(B)は(A)のC〜C断面図。
【図6】上記図4の電子カメラの主要ブロック構成図。
【図7】上記図4の電子カメラの撮影状態でのスイッチ並びにEVFの動作のタイムチャ−ト。
【図8】上記図4の第2実施例の変形例を示す電子カメラのファインダ部を示す図であり、(A)は縦断面図、(B)は(A)のD〜D断面図。
【符号の説明】
1…………………システムコントローラ(切り換え手段)
3…………………イメ−ジャ
7…………………EVF(電子ビュ−ファインダ)
ts…………………表示の継続時間
T0 …………………認識でき、支障にならない短い時間(下限値)

【特許請求の範囲】
【請求項1】イメージャ露光動作乃至画像記録動作に際しては、電子ビュ−ファインダによる画面表示自体を、そのイメ−ジャ露光動作乃至画像記録動作の態様に相応した所定の特殊表示態様に切り換えるための切り換え手段を具備してなることを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】上記特殊表示態様による表示の継続時間は、確実に視認可能な所定の短時間をその下限値とするように設定されてなるものである請求項1の電子カメラ。
【請求項3】上記電子ビュ−ファインダは、撮像レンズの視野内からその画面表示を視認可能な状態に設定することが可能になされたものである請求項1の電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開平5−56312
【公開日】平成5年(1993)3月5日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−211037
【出願日】平成3年(1991)8月22日
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)