説明

電子レンジ加熱用包装体

【課題】簡便に揚げ物様食品を作ることができる電子レンジ加熱用包装体を提供する。
【解決手段】電子レンジ加熱用包装体1は、食材Fを投入する開口10hが形成された袋体10を備える。袋体10は、少なくとも一部112aが吸水性及び吸油性を有する材料で形成されていると共に、電子レンジで使用可能な耐熱性を有する。さらに、袋体10に、袋体10の内部の蒸気を袋体10の外側に排出する蒸気抜き口を形成する蒸気抜口形成手段15が設けられている。而して、余分な水分及び油分を吸収しつつ加熱により生じた水蒸気を蒸気抜き口を介して電子レンジ加熱用包装体1から放出することができ、簡便に揚げ物様食品を作ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子レンジ加熱用包装体に関し、特に電子レンジを用いて簡便に揚げ物様食品を作ることができる電子レンジ加熱用包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
フライや唐揚げ等の揚げ物は、夕食や弁当等として提供されることが多い、家庭で好まれるおかずのひとつである。このような人気のある揚げ物を、揚げ油を用いることなく電子レンジで簡便に調理する手法が提案されている。ひとつの手法として、脱脂粉乳、食用油脂、保湿剤、調味料及び香辛料を含んでなる調味組成物であって、攪拌又は、加熱下での攪拌又は、攪拌と加熱を交互に繰り返す等により、食用油脂を十分に他の成分に馴染ませることができ、電子レンジ加熱調理でも衣組織の良好な結合が得られる電子レンジ調理用の粉末被覆調味組成物を用いて調理するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−253762号公報(段落0003−0005等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の電子レンジ調理用の粉末被覆調味組成物を用いて調理することにより、揚げ油を用いなくて済むようになるものの、依然として、食材に粉末被覆調味組成物をまぶす下ごしらえや、下ごしらえに使用した調理器具を洗浄等する後片付けがあり、面倒と感じる要素が残存する。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、より簡便に揚げ物様食品を作ることができる電子レンジ加熱用包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る電子レンジ加熱用包装体は、例えば図1に示すように、電子レンジで加熱される食材Fを投入する開口10hが形成された袋体10であって、少なくとも一部112aが吸水性及び吸油性を有する材料で形成されていると共に、電子レンジで使用可能な耐熱性を有する袋体10を備え;袋体10に、袋体10の内部の蒸気を袋体10の外側に排出する蒸気抜き口15h(例えば図2(A)参照)であって、開口10hとは別の蒸気抜き口15h(例えば図2(A)参照)を形成する蒸気抜口形成手段15が設けられている。
【0007】
このように構成すると、少なくとも一部が吸水性及び吸油性を有する材料で形成され、かつ、蒸気抜き口を形成することができるので、余分な水分及び油分を吸収しつつ加熱により生じた水蒸気を電子レンジ加熱用包装体から放出することができ、簡便に揚げ物様食品を作ることができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る電子レンジ加熱用包装体は、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様に係る電子レンジ加熱用包装体1において、蒸気抜口形成手段が切込誘導線15であり;蒸気抜き口15h(例えば図2(A)参照)が、切込誘導線15を切り込むことで形成されるスリットである。
【0009】
このように構成すると、水蒸気を効率的に蒸発させつつ加熱するため焼きムラを少なくすることができる。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係る電子レンジ加熱用包装体は、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係る電子レンジ加熱用包装体1において、少なくとも、蒸気抜口形成手段15が設けられた部分以外の袋体10の部分であって、予定された食材Fが投入されて載置台S(例えば図2(B)参照)に載置されたときに載置台Sに接する部分112bが、耐油シートで形成されている。
【0011】
このように構成すると、電子レンジで調理する際の、電子レンジ庫内や皿等の汚れを抑制することができる。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係る電子レンジ加熱用包装体は、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る電子レンジ加熱用包装体において、袋体が、シート状の第1の面と、第1の面と対向するシート状の第2の面とを有し;吸水性及び吸油性を有する材料が第2の面だけに採用されている。
【0013】
このように構成すると、食材に焦げ目を付けるために加熱を促進するフィルム等を第2の面に形成することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、少なくとも一部が吸水性及び吸油性を有する材料で形成され、かつ、蒸気抜き口を形成することができるので、余分な水分及び油分を吸収しつつ加熱により生じた水蒸気を包装体から放出することができ、簡便に揚げ物様食品を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)は本発明の実施の形態に係るレンジ調理バッグの正面斜視図、(B)は本発明の実施の形態に係るレンジ調理バッグの背面斜視図、(C)は(A)におけるC矢視図である。
【図2】(A)は本発明の実施の形態に係るレンジ調理バッグのミシン目を切断した状態の正面斜視図、(B)は(A)におけるB−B矢視断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の変形例に係るレンジ調理バッグの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0017】
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係る電子レンジ加熱用包装体としてのレンジ調理バッグ1を説明する。図1(A)はレンジ調理バッグ1の正面斜視図、図1(B)はレンジ調理バッグ1の背面斜視図、図1(C)は図1(A)におけるC矢視図である。レンジ調理バッグ1は、食材Fが投入される開口(投入開口10h)が形成された袋本体10に、切込誘導線としてのミシン目15が形成された概略構成を有している。レンジ調理バッグ1は、食材Fと所定の調味料を袋本体10に投入して混ぜ合わせた後に、電子レンジで加熱調理することで、揚げ物に似た食品である揚げ物様食品を作ることができる、下ごしらえから電子レンジによる加熱調理まで可能なバッグである。
【0018】
袋本体10は、1枚の矩形(長方形又は正方形)のシート112が、対向する辺が重なるように貼り付けられ、形成された両端の開口のうちの一方が折り曲げられて閉塞端14が形成されることで、全体として郵便用の封筒のような袋状に形成されている。閉塞端14の反対側が、投入開口10hとなる。以下、説明の便宜上、投入開口10hと閉塞端14とを最短で結ぶ方向を「縦方向」と、縦方向に直交して袋本体10の表面に沿って延びる方向を「横方向」ということもある。ミシン目15は、投入開口10hと閉塞端14との間を縦方向に延びるシート112の重なりが現れる面の、反対側の面に形成されている。説明の便宜上、ミシン目15が現れる面のシート112を表面シート11と、この反対側の面のシート112を裏面シート12と区別することもある。さらに、表面シート11と裏面シート12とをつなぐ部分を重複部13ということもある。本実施の形態では、表面シート11と裏面シート12とが対向しており、それぞれ第1の面及び第2の面に相当する。袋本体10は、重複部13が内側に入り込んだ横ガゼットタイプとなっている。
【0019】
シート112は、吸水性及び吸油性を有する内シート112aと、耐油性を有する外シート112bとが貼り合わせられた2層構造となっている。内シート112aは、パルプ及びPET(ポリエチレンテレフタレート)を原料とした繊維をエアレイド方式でシート状に形成した不織布である。パルプ及びPETの含有比率は、調理のしやすさや、出来上がる揚げ物様食品(例えば、唐揚げか、天ぷらか、等)に適した吸水量及び吸油量に応じて調節するとよい。ここで、内シート112aの機能である吸水性及び吸油性は、調理の過程で出現するが出来上がる揚げ物様食品には不要となる水分及び油分を吸収することができることである。内シート112aの目付量(単位面積あたりの重量)は、吸水及び吸油の効果を享受する観点から60g/m以上、より好ましくは70g/m以上とするとよく、製造の効率を向上させる観点から150g/m以下、より好ましくは90g/m以下とするとよい。
【0020】
外シート112bは、耐油性を有する耐油シートが用いられている。ここで、外シート112bの機能である耐油性は、調理の過程で実質的に油分を透過させない性質である。実質的に油分を透過させないとは、調理の過程でレンジ調理バッグ1が載置される電子レンジ庫内の皿や調理用皿を、許容できないほどの油分の付着がない状態に維持することを意味している。外シート112bは、例えば、紙又は耐熱フィルムからなることが好ましい。耐油性を有する紙は、例えば、シリコン樹脂をコーティングした紙、プラスチックをコーティングした紙、プラスチックをラミネートした紙、グラシン紙などの高密度化した紙、パーチメント紙、硫酸紙、擬羊皮紙などの化学変性した紙、パラフィン紙などの薬品を含浸させた紙のうち適切なものを用いることができる。耐熱フィルムの材料は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミドを用いることができる。これらの材料は、単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。また、耐熱フィルムは、単層とするか、又は積層としてもよい。ヒートシール性を必要とする場合は、耐熱フィルムであることが好ましく、ポリプロピレン製のフィルムがより好ましい。また、外シート112bには、エンボス加工を施してもよい。外シート112bの厚さは、50〜300μmであることが好ましく、本実施の形態では100μmである。
【0021】
シート112は、内シート112aと外シート112bとが水のりによって点接着されることにより貼り付けられているが、ヒートシールによって貼り付けられることとしてもよく、その他のドライラミネート法、エクストルージョンラミネート法、ホットメルトラミネート法、ウェットラミネート法、サーマルラミネート法によって貼り付けられることとしてもよい。本実施の形態では、袋本体10は、1枚のシート112が折り曲げられて形成されているので、表面シート11、裏面シート12、重複部13のすべての部位において、内シート112aと外シート112bとの2層構造になっている。袋本体10は、内シート112aが袋の内側に、外シート112bが袋の外側になるように、折り曲げられて形成されている。
【0022】
ミシン目15は、投入開口10hと閉塞端14との間を概ね2等分する位置で横方向に延びるように、直線状に形成されている。ミシン目15は、切断したときに袋本体10の内部と外部とが連通するように、外シート112b及び内シート112aの双方に形成されている。ミシン目15は、表面シート11の幅いっぱいに、換言すれば両側の重複部13との境界まで、形成されている。このように構成されていることにより、最大で表面シート11の幅の開口を形成することができる。表面シート11の幅と同じ長さの開口が不要な場合は、ミシン目15を切断する長さを調節することにより、開口の大きさを調節することができる。
【0023】
引き続き、図1に加えて図2を参照して、レンジ調理バッグ1の作用を説明する。図2(A)はミシン目15を切断した状態のレンジ調理バッグ1の正面斜視図、図2(B)は図2(A)におけるB−B矢視断面図である。レンジ調理バッグ1を用いて揚げ物様食品を作る際、まず、食材F及び所定の調味料を投入開口10hから袋本体10の内部に投入する。例えば、唐揚げを作る場合は、食材Fとして鶏肉を用い、調味料として衣材及び食用油、その他の必要なものや好みにあったもの等を用いる。袋本体10に投入される食材Fに対する調味料の種類及び量は、袋本体10の表層面に記載されていてもよい。
【0024】
袋本体10に食材F及び所定の調味料を投入したら、投入開口10h付近の端部を所定回数(典型的には2〜3回)畳むように折り曲げて、投入開口10hを封止する。なお、投入開口10h付近の端部を折り曲げることに代えて、投入開口10h付近の端部にジッパー等の閉鎖具を設けておいて、この閉鎖具を閉じることにより投入開口10hを封止してもよい。投入開口10hを封止したら、レンジ調理バッグ1を振り及び/又は揉み、食材Fに調味料を馴染ませる。袋本体10の内面となる内シート112aは、吸水性及び吸油性を有する不織布となっているが、吸水・吸油速度がゆるやかであるため、袋本体10の内部に投入された調味料を直ちに吸収することなく、投入開口10hの封止後にレンジ調理バッグ1が振られあるいは揉まれる過程で、余分な水分及び油分を徐々に吸収していく。したがって、レンジ調理バッグ1を振っている及び/又は揉んでいる時間は、余分な水分及び油分を内シート112aが吸収するのに適した時間に設定するとよい。
【0025】
レンジ調理バッグ1を振り及び/又は揉むことで食材Fに調味料を馴染ませたら、裏面シート12を下側にして調理台等の載置台Sの上に載置し、表面シート11に形成されているミシン目15を切断する。ミシン目15を切断することで、表面シート11に蒸気抜き口15hが形成される。このとき、蒸気抜き口15hは、切断前のミシン目15が直線状であったため、細長い切り込み、つまりスリットとなる。レンジ調理バッグ1は重複部13がガゼットタイプになっているので、蒸気抜き口15hが形成されても袋本体10内の液体がこぼれることはない。なお、載置台Sは、レンジ調理バッグ1を載置することができる平らな面を有する物体の総称であり、調理台のほか、電子レンジ庫内の底板や皿等を含む概念である。
【0026】
レンジ調理バッグ1に蒸気抜き口15hが形成されたら、そのレンジ調理バッグ1を電子レンジ庫内に入れ、種類に応じた揚げ物様食品を作るのに必要な所定時間の加熱処理をする。加熱処理が行われることで、袋本体10内に残存していた水分が蒸発するが、これによって生じた水蒸気は、蒸気抜き口15hから袋本体10の外に放出され、及び/又は内シート112aに吸収されるため、食材Fが水分過多になるのが抑制されて、食材Fの表面をからっとさせることができる。また、蒸気抜き口15hがスリットであるので、袋本体10の内外を連通する開口が比較的細くなり、袋本体10内の油が外に飛散してしまうことが抑制され、電子レンジ庫内が汚れることを抑制することができる。さらに、袋本体10の外表面を形成する外シート112bとして耐油シートが用いられているので、袋本体10内の油分が載置台Sまで透過して載置台Sを汚してしまうことを防ぐことができ、ひいては片付けの負担を軽減することができる。
【0027】
電子レンジにおける所定時間の加熱処理が終了したら、電子レンジからレンジ調理バッグ1を取り出す。その後、出来上がった揚げ物様食品を、蒸気抜き口15hから、あるいは封止を解いた投入開口10hから取り出し、皿に移す。皿に移された揚げ物様食品は、適宜、食卓に運ばれ、あるいは弁当箱に詰められて提供される。
【0028】
上述したレンジ調理バッグ1によれば、これ1つで、下ごしらえから加熱調理まで、揚げ油を用いることなく電子レンジで簡便においしい揚げ物様食品を作ることができる。さらに、調理器具等の汚れを抑制することができ、片付けの負担を軽減することができる。
【0029】
以上の説明では、袋本体10は、重複部13が内側に入り込んだ横ガゼットタイプになっているとしたが、重複部13が内側に入り込まずに表面シート11と裏面シート12とが重なり合っただけのシール袋としてもよく、あるいは閉塞端14が内側に入り込んだスタンディングパウチとしてもよい。
【0030】
あるいは図3に示すように、レンジ調理バッグ1(図1参照)の重複部13及び閉塞端14に相当する部分にマチを設けた、投入開口を封止したときに全体として三角柱状の外観を呈するレンジ調理バッグ1Aのような形状としてもよい。変形例に係るレンジ調理バッグ1Aは、レンジ調理バッグ1(図1参照)と比較して、外形が異なるものの、内シート112a(図1(C)参照)が内側になるようにシート112折って袋本体が形成されている点、及び袋本体にミシン目15が形成されている点は同様である。さらに図示は省略するが、シート112を加工して、袋本体の形状を直方体や正四面体の外観形状に形成してもよい。このように構成すると、袋本体内の空間を広くすることができる。しかしながら、製造容易の観点からは、表面シート11と裏面シート12とが平行に向かい合う形状にするのが好ましい。
【0031】
以上の説明では、内シート112aが、パルプ及びPETを原料とした繊維をエアレイド方式でシート状に形成した不織布であるとしたが、エアレイド方式以外の方法(例えばカーディング方式)で形成してもよく、パルプ及びPETのどちらか一方の単一原料、あるいはパルプ及びPET以外の原料を単一又はこれらに混合させて形成したものであってもよい。さらに、内シート112aは、不織布以外の、繊維を織ってシート状に形成したものでもよく、あるいは電子レンジによる耐熱性を有するスポンジ、ウレタン等の高分子化合物等で形成されていてもよい。
【0032】
以上の説明では、袋本体10の全体にわたって同質の内シート112aと同質の外シート112bとが貼り合わされた2層構造のシート112が用いられているとしたが、内シート112a及び/又は外シート112bの材質を部分的に変えて形成された袋本体としてもよい。例えば、内シート112aの吸水性及び吸油性を有する材質の部分を、調理過程において吸収すべき水分及び油分に照らして足りる面積とし、残りの部分を吸水性及び吸油性を不問にして選択した材質を用いることとしてもよい。具体例として、裏面シート12を構成する内シート112aの部分である裏内シート12a(図1(C)参照)を吸水性及び吸油性を有するものとし、表面シート11を構成する内シート112aの部分である表内シート11a(及び重複部13aの内シート112aの部分も対象としてもよい)を吸水性及び吸油性がないもの(例えば食材Fに焦げ目を付けるために加熱を促進するフィルム等)としてもよい。あるいは、表内シート11a(及び適宜重複部13の内シート112a部分)を省略して表面シート11を構成する外シート112bの部分である表外シート11bのみの1層構造としてもよい。他方、外シート112bの耐油性を有する材質の部分を、レンジ調理バッグ1を載置台Sに置いたときに載置台Sに油分が付着するのを防ぐことができる面積とし、残りの部分を耐油性を不問にして選択した材質を用い、あるいはこの残りの部分の外シート112bを省略した1層構造としてもよい。具体例として、裏面シート12を構成する外シート112bの部分である裏外シート12bを耐油性を有するものとし、表外シート11b(及び適宜重複部13の外シート112b部分)を耐油性がないものとしてもよい。なお、調理後に皿の油汚れを洗浄する手間を許容できる場合は、レンジ調理バッグ1を耐熱皿に載せて電子レンジで加熱することを前提として、袋本体10の外シート112b全体を省略してもよい。
【0033】
以上の説明では、切込誘導線がミシン目15であるとしたが、切断の目安を印刷した線としてハサミを用いて切断する構成としてもよい。このようにすると、液体の水分や油分が袋本体の外に漏れ出ることを抑制することができる。しかしながら、ミシン目15とすると、ハサミ等の道具を用いることなく蒸気抜き口15hを形成することができて簡便である。また、切込誘導線(ミシン目15)が横方向に延びる直線状であるとしたが、形成したい蒸気抜き口15hの大きさや位置等に応じて、延びる方向が縦方向に形成されていてもよく、X字状(縦方向に延びつつ横方向にも延びる直線が2本交差する形態)に形成されていてもよく、あるいは延びる方向にかかわらず曲線状や波線状に形成されていてもよい。
【0034】
以上の説明では、蒸気抜口形成手段が切込誘導線としてのミシン目15であるとしたが、切込誘導線以外の、例えば、周辺にIノッチ又はVノッチなどの切欠き(不図示)を設ける形態、周辺の一部に剥離し易い部分(不図示)を設ける形態、内圧が所定の圧力以上になると蒸気を放出するバルブ(不図示)を設ける形態で構成されていてもよい。
【0035】
また、出来上がる揚げ物様食品に適した調味料を適量分包して、レンジ調理バッグ1と組み合わせ、揚げ物様食品調理セットを構成してもよい。このように構成すると、調味料を計量するための計量スプーン等の計量器具を使わずに済むため計量器具が汚れずに済み、片付けの負担をより軽減することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 レンジ調理バッグ
10 袋本体
10h 投入開口
11 表面シート
12 裏面シート
15 ミシン目
15h 蒸気抜き口
112a 内シート
112b 外シート
F 食材
S 載置台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジで加熱される食材を投入する開口が形成された袋体であって、少なくとも一部が吸水性及び吸油性を有する材料で形成されていると共に、電子レンジで使用可能な耐熱性を有する袋体を備え;
前記袋体に、前記袋体の内部の蒸気を前記袋体の外側に排出する蒸気抜き口であって、前記開口とは別の蒸気抜き口を形成する蒸気抜口形成手段が設けられた;
電子レンジ加熱用包装体。
【請求項2】
前記蒸気抜口形成手段が切込誘導線であり;
前記蒸気抜き口が、前記切込誘導線を切り込むことで形成されるスリットである;
請求項1に記載の電子レンジ加熱用包装体。
【請求項3】
少なくとも、前記蒸気抜口形成手段が設けられた部分以外の前記袋体の部分であって、予定された食材が投入されて載置台に載置されたときに前記載置台に接する部分が、耐油シートで形成された;
請求項1又は請求項2に記載の電子レンジ加熱用包装体。
【請求項4】
前記袋体が、シート状の第1の面と、前記第1の面と対向するシート状の第2の面とを有し;
吸水性及び吸油性を有する材料が前記第2の面だけに採用されている;
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱用包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−95494(P2013−95494A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241530(P2011−241530)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)