電子内視鏡、および電子内視鏡システム

【課題】過電流検出用抵抗を設けることなく過電流を検出できるようにして、電源ラインの電圧降下を抑える。
【解決手段】撮像素子と、撮像素子に電源を供給する電源部と、電源部と撮像素子とを接続する電源ラインと、電源ラインにおけるノイズを除去するためのノイズ除去部と、ノイズ除去部による電圧降下を測定する電圧降下測定手段と、電圧降下測定手段による測定結果に応じて電源部による撮像素子に対する電源供給を制御する電源供給制御手段とを具備した電子内視鏡を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像素子を備えた電子内視鏡に関する。また、このような電子内視鏡と、当該電子内視鏡に接続され、撮像素子で撮像された映像をモニタ表示可能に処理する信号処理装置とを備えた電子内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
先端部に撮像素子を備えた電子内視鏡と、該撮像素子で取得された信号を処理してモニタに出力するプロセッサとを備えた電子内視鏡システムが広く知られ実用に供されている。
【0003】
このような電子内視鏡の先端部は、患者の負担を考慮して設計されており、小型化および細径化された構造を持つ。例えば撮像素子を駆動するための駆動回路は、先端部を小型化・細径化させるため、当該先端部でなく電子内視鏡の基端部に実装されている。この駆動回路と撮像素子は、電子内視鏡の可撓管内部に配線された信号ケーブルにより接続されている。この信号ケーブルと撮像素子(および駆動回路)は例えば半田で接続されている。
【0004】
ここで、例えばユーザ・オペレーションにより可撓管が屈曲されたとき、それに伴ってその内部の信号ケーブルも屈曲する。このような動作が繰り返されたとき、撮像素子と信号ケーブルとの半田による接続部分に繰り返し応力が作用することになる。このような繰り返し応力が過度に掛かる場合、当該接続部分での信号ケーブルの断線が懸念される。また、可撓管に対して外部から衝撃が加わることにより、信号ケーブルが他の部品に衝突したり擦れたりすることがある。さらには、信号ケーブルがこのような衝突や擦れを受ける度にその被覆部が徐々に摩耗し、内部(つまり電線)が露出することが考えられる。
【0005】
信号ケーブルの断線やその内部の露出は、撮像素子および駆動回路を含む電子内視鏡システム内の回路を短絡させ得る。このような短絡が発生した場合、例えば撮像素子等に過電流が流れて異常加熱することがある。
【0006】
上記の如き短絡による過電流を防止する構成として、例えば下記特許文献1に、電源回路周辺に電源遮断用回路を実装した電源装置が開示されている。下記特許文献1に記載の電源装置によれば、当該装置内の回路の電源ラインに過電流が流れたとき、電源回路の入力側に設置されたヒューズ、或いはその出力側に設置された過電流検出回路が作動して電流が遮断される。電子内視鏡システムにおいてもこのような電源遮断用回路を採用し、上記の如き短絡等に起因した過電流を防止するよう構成することが考えられる。
【特許文献1】特開2005−38281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の過電流検出回路では、当該回路に設けられた抵抗の両端の電位差を監視することによって過電流を検出するようにしている。ここで、この抵抗(以下、「過電流検出用抵抗」と記す)は、信号整形等に寄与せず、過電流の発生を想定しなければ不要とされる素子である。これは、電源装置が過電流検出用抵抗なしでも本来の機能を発揮することを意味する。上記特許文献1に記載の電源装置は、このように不要とされ得る過電流検出用抵抗による、電源ラインの電圧降下があるため望ましくないといえる。
【0008】
そこで、本発明は上記の事情に鑑みて、過電流検出用抵抗を設けることなく過電流を検出できるようにして、電源ラインの電圧降下を抑えることを可能とする電子内視鏡および電子内視鏡システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係る、撮像素子を備えた電子内視鏡は、撮像素子に電源を供給する電源部と、電源部と撮像素子とを接続する電源ラインと、電源ラインにおけるノイズを除去するためのノイズ除去部と、ノイズ除去部による電圧降下を測定する電圧降下測定手段と、電圧降下測定手段による測定結果に応じて、電源部による撮像素子に対する電源供給を制御する電源供給制御手段とを具備したことを特徴としたものである。
【0010】
このように、電源ラインにおけるノイズ除去を目的とした、電子内視鏡に元々備えられているノイズ除去部の電圧降下を測定して電源供給の制御を行うよう電子内視鏡を構成することにより、付加的な素子である過電流検出用抵抗を設けることなく過電流を検出し、それに対処することが可能となる。過電流検出用抵抗による電圧降下がないため、電源ラインの電圧降下を抑えることが可能となる。
【0011】
なお、上記ノイズ除去部は、例えば電源ラインからの不要輻射ノイズを除去するためのフェライトビーズであっても良い。また、例えば電源ラインを流れるノイズを除去するノイズ除去フィルタであっても良い。
【0012】
また、上記電源供給制御手段は、例えば電圧降下測定手段により測定された電圧降下の値が所定値を下回る場合には該電源供給を継続して行い、該測定された電圧降下の値が該所定値以上の場合には該電源供給を遮断するよう動作するものであっても良い。
【0013】
また、上記電子内視鏡は、例えば外部機器から入力される信号に基づいて撮像素子を駆動制御するための駆動制御信号を当該撮像素子に出力する駆動制御部と、電源供給制御手段により該電源供給が遮断されたときに、駆動制御部からの該駆動制御信号の出力を停止させる駆動制御停止手段とを更に具備したものであっても良い。
【0014】
また、上記の課題を解決する本発明の別の態様に係る電子内視鏡システムは、上記電子内視鏡と、当該電子内視鏡に接続され、撮像素子で撮像された映像をモニタ表示可能に処理する信号処理装置とを備えたものである。この電子内視鏡システムにおいては、電源供給制御手段により該電源供給が遮断されたとき、駆動制御停止手段が該電源供給の遮断を報知する報知信号を信号処理装置に出力する。そして、信号処理装置が、受け取った報知信号に呼応して、モニタ上において該映像に所定のキャラクタを重畳して表示させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電子内視鏡および電子内視鏡システムによれば、電源ラインにおけるノイズ除去を目的とした、電子内視鏡に元々備えられているノイズ除去部の電圧降下を測定して電源供給の制御を行うため、付加的な素子である過電流検出用抵抗を設けることなく過電流を検出し、それに対処することが可能となる。この結果、電源ラインの電圧降下を抑えることができ、例えば電子内視鏡の省電力化が実現される。また、部品点数が削減するため、電子内視鏡のコストダウンおよび小型化も実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の電子内視鏡システムの構成および作用について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態の電子内視鏡システム10の外観を概略的に示した図である。また、図2は、本発明の実施の形態の電子内視鏡システム10の構成を示したブロック図である。本実施形態の電子内視鏡システム10は、患者の体腔内を観察・診断するためのシステムであり、電子内視鏡100、プロセッサ200、およびモニタ300を有する。
【0018】
本実施形態の電子内視鏡100の基端部にはコネクタユニット110が設けられている。このコネクタユニット110には2本のプラグp1、p2が設けられている。また、プロセッサ200のフロント面にはプロセッサ側コネクタ部210が設けられている。このプロセッサ側コネクタ部210には2本のジャックj1、j2が設けられている。ピンプラグp1とジャックj1とが接続されることにより、電子内視鏡100とプロセッサ200とが光学的に接続される。また、ピンプラグp2とジャックj2とが接続されることにより、電子内視鏡100とプロセッサ200とが電気的に接続される。
【0019】
コネクタユニット110にはユニバーサルコード120の一端が結合している。ユニバーサルコード120は可撓性を有しており、もう一端が操作部130に結合している。すなわち、コネクタユニット110と操作部130がユニバーサルコード120を介して連結するよう構成されている。
【0020】
操作部130は、電子内視鏡100を術者に操作させるための入力インターフェースである。操作部130の操作釦を操作することにより、例えば体腔内に送気したり洗浄液を噴射させたりすることができる。操作部130には挿入部可撓管140の一端が結合している。
【0021】
挿入部可撓管140は患者の体腔内に挿入される管であり、可撓性を有している。挿入部可撓管140の先端には先端部150が設けられている。術者が操作部130のアングルノブを操作すると、その操作に応じて先端部150根元付近の挿入部可撓管140が屈曲する。これにより、先端部150のアングルが変化する。このアングルの変化によって先端部150の前面が正対する方向も変わり、これに伴って、術者が視認可能な観察領域も変わる。
【0022】
先端部150は硬質性の素材(例えば樹脂)で形成されている。この先端部150には撮像処理に必要とされる各要素が設けられている。本実施形態における上記要素は、配光レンズ152、対物レンズ154、およびCCD(Charge Coupled Device)156である。配光レンズ152および対物レンズ154は、先端部150の前面に設置されたレンズである。CCD156は例えばベイヤー方式のカラーCCDである。受光面には多数の画素(受光素子)がマトリクス状に配列されている。受光面前面にはオンチップカラーフィルタが搭載されている。カラーフィルタは、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の何れかのカラーチップが各画素に対応してマトリクス状に配列されたフィルタである。なお、ここで用いられるCCD156は原色フィルタを搭載したものに限定されず、例えば補色フィルタを搭載したものであっても良い。
【0023】
電子内視鏡100内部にはその長手方向に沿ってライトガイド160が設置されている。ライトガイド160は光ファイバ束である。ライトガイド160の一端はコネクタユニット110のピンプラグに接続されている。また、もう一端は配光レンズ152近傍に配置されている。
【0024】
コネクタユニット110内部には回路基板が設けられている。この回路基板上には、CCD156の駆動制御、およびCCD出力信号(後述)に対する処理を行うDSP(Digital Signal Processor)基板170が実装されている。
【0025】
プロセッサ200には、商用電源をDC電源に変換するための電源回路270が備えられている。プロセッサ200が商用電源に接続されているときに電源スイッチ(不図示)がオンされると、電源回路270で変換されたDC電源がプロセッサ200の各構成要素に供給され、当該プロセッサ200が動作可能となる。なお、図面の簡略化のため、図1において電源回路270と各構成要素との結線を省略するものとする。
【0026】
プロセッサ200は、装置全体の制御を統括的に行うシステムコントロールユニット220を有している。このシステムコントロールユニット220の制御下で、各構成要素での処理が実行される。また、プロセッサ200は、光源装置として、ランプ230、ランプ制御回路232、および集光レンズ234を有している。
【0027】
ランプ230は、体腔内を照射するための白色光の光源である。ランプ230には例えばメタルハライドランプや、キセノンランプ、ハロゲンランプ等が想定される。ランプ230は、ランプ制御回路232の制御により白色光を放射する。ランプ230からの放射光は、ランプ230の前方に設置された集光レンズ234によって集光される。集光された光は、プロセッサ側コネクタ部210を介して電子内視鏡100内部(より正確にはライトガイド160を成す光ファイバ束のコア)に入射する。
【0028】
ライトガイド160に入射した光はその内部を伝送して、先端部150側の端部から出射する。そして、この出射光は、配光レンズ152を介して外部に放射されて患者の体腔内を照明する。これにより、外部から光の届かない体腔内が明るく照らされる。
【0029】
配光レンズ152から放射された照明光は、体腔内の壁部等によって反射して対物レンズ154に入射する。ここで、CCD156は、その受光面が対物レンズ154の結像面と実質的に同位置となるように配置されている。従って、対物レンズ154に入射した光は、対物レンズ154のパワーによりCCD156の受光面上で体腔内の光学像として結像する。
【0030】
ここで、図3に、CCD156およびDSP基板170の構成を抽出したブロック図を示す。DSP基板170は、図3に示されるように、CCD電源回路171、チップフェライトビーズ172、FPGA(Field Programmable Gate Array)173、CCD駆動回路174、CCD信号処理回路175、および電圧検出回路176を有している。
【0031】
CCD電源回路171には、プロセッサ200の電源回路270からDC電源電圧が供給される。電子内視鏡100の電源スイッチ(不図示)がオンされると、CCD電源回路171は、この電源をDC/DC変換し、CCD用電源ラインLCCDを介してCCD156にDC電源電圧を供給する。なお、DSP基板170が有するCCD電源回路171以外の構成要素にも、電源回路270からDC電源電圧が供給される。これにより、電子内視鏡100が動作可能となる。
【0032】
電子内視鏡では、CCDとCCD駆動用基板とが離れて設置されているため、これらを接続するCCD用電源ラインからの不要輻射ノイズが、電子内視鏡内部の各部品やプロセッサ或いはモニタ等に影響を及ぼす可能性がある。また、所定のノイズ規格を満足する必要もある。従って、一般に、電子内視鏡には不要輻射ノイズを除去する構成要素が備えられている。本実施形態では、このような不要輻射ノイズを除去する構成要素として、チップフェライトビーズ172が備えられている。チップフェライトビーズ172は、周知の素子(例えばインターネット〈http://www.murata.co.jp/articles/ta0451.html〉等参照、なお、前記のURLは平成18年10月検索)であり、CCD用電源ラインLCCDからの不要輻射ノイズを除去する。このチップフェライトビーズ172は、例えば0.1乃至数Ω程度のDC抵抗成分を持つ。従って、CCD電源回路171からのDC電源電圧は、チップフェライトビーズ172により電圧降下して、CCD156に供給されることになる。
【0033】
電圧検出回路176は、チップフェライトビーズ172の入力および出力側の両端に接続されており、両接続部による電位差を測定する。そして、測定された電位差と予め保持した参照値とを比較して、その比較結果に応じた信号をFPGA173に所定のタイミング毎に出力する。なお、電圧検出回路176で測定される電位差は、CCD電源回路171からCCD156に供給される電流値に比例する。
【0034】
電圧検出回路176は、測定された電位差が予め定められた所定の参照値を下回るときには、CCD電源回路171からのDC電源電圧が例えばCCD156の定格電圧を下回り、正常値であるとして、「L」信号をFPGA173に出力する。また、測定された電位差が予め定められた所定の参照値以上のときには、CCD電源回路171からのDC電源電圧が例えばCCD156の定格電圧以上であり、異常値であるとして、「H」信号をFPGA173に出力する。電圧検出回路176は、電子内視鏡100に不具合等が発生しない限り、「L」信号をFPGA173に出力することになる。
【0035】
FPGA173には、プロセッサ200のシステムコントロールユニット220から出力された同期パルス(後述)が入力する。FPGA173は、電圧検出回路176からの信号が「L」信号であるときには、CCD電源回路171が供給するDC電源電圧が正常なレベルであると判断する。次いで、システムコントロールユニット220からの同期パルスに基づいて、CCD156の駆動を制御するための制御信号を生成する。そして、生成された制御信号をCCD駆動回路174に出力する。CCD駆動回路174は、この制御信号に従ってCCD156に駆動信号を出力する。
【0036】
CCD156は、CCD駆動回路174からの駆動信号に従って駆動し、各画素において結像された光学像をその光量に応じた電荷として蓄積してCCD出力信号に変換する。次いで、この変換したCCD出力信号をDSP基板170に出力する。
【0037】
CCD156から出力されたCCD出力信号は、CCD信号処理回路175に入力する。このCCD信号処理回路175は、周知の信号処理を実行し、入力される各画素のCCD出力信号を一つ一つ順次演算して、色成分(R成分、G成分、B成分の何れか)に関する信号(以下、「色成分信号」と記す)、および輝度信号を生成する。次いで、生成した信号をプロセッサ200に出力する。なお、説明の便宜上、この色成分信号および輝度信号を一括して表現するときは「画像信号」とする。
【0038】
次に、プロセッサ200で実行される信号処理について説明する。図2に示すように、プロセッサ200は、CCD出力信号の処理に関わる手段として、絶縁回路240、前段処理回路242、画像メモリ244、ビデオ信号処理回路246、キャラクタ重畳回路248、および出力回路250を有している。
【0039】
電子内視鏡100から出力された画像信号は、プロセッサ側コネクタ部210および絶縁回路240を介して前段処理回路242に入力する。なお、絶縁回路240は、電子内視鏡100とプロセッサ200との間を伝送する信号を、例えばフォトカップラ等で別の媒体(ここでは光)に一時的に変換することにより、電子内視鏡100とプロセッサ200とを電気的に絶縁させている。
【0040】
前段処理回路242は、入力した画像信号に対して増幅およびA/D変換等の処理を施して画像メモリ244に出力する。この画像メモリ244には画像信号がフレーム単位で格納される。格納されたフレーム単位の画像信号は所定のタイミング毎にビデオ信号処理回路246に出力される。この出力タイミングは、システムコントロールユニット220からの同期パルスに従って決定される。この同期パルスは上述したように、FPGA173にも実質的に同一のタイミングで出力される。つまり、この同期パルスにより、プロセッサ200側での信号処理のタイミングとCCD156の駆動タイミングとが同期する。
【0041】
ビデオ信号処理回路246は、画像メモリ244からの画像信号をモニタ300で表示可能な形態(カラー信号と輝度信号)に変換する。そして、変換して得られたカラー信号および輝度信号を出力回路250に出力する。
【0042】
キャラクタ重畳回路248は、電子内視鏡100で撮像された体腔内の映像に所定のキャラクタを重畳表示させるための回路である。キャラクタ重畳回路248は、システムコントロールユニット220の制御に従って、所定のキャラクタが該映像に重畳表示されるようビデオ信号処理回路246と連携して動作する。
【0043】
出力回路250は、カラー信号および輝度信号を各形式のビデオ信号(例えばコンポジットビデオ信号やSビデオ信号或いはRGBビデオ信号等)に変換してモニタ300に出力する。これにより、モニタ300に、患者の体腔内の映像(又は、該映像に所定のキャラクタが重畳された画像)が表示される。
【0044】
ここで、例えばCCD156とDSP基板170とを接続する信号ケーブルが断線或いはその内部が露出して、当該ケーブルに含まれる、CCD用電源ラインLCCDを成す信号線がグランドに短絡したとする。この場合、CCD電源回路171からCCD156に対して過電流が流れる。CCD用電源ラインLCCDに過電流が流れることにより、電圧検出回路176で測定される電位差が参照値以上となる。電圧検出回路176は、このような測定結果に従い、FPGA173に「H」信号を出力する。
【0045】
FPGA173は、電圧検出回路176から「H」信号を受け取ると、CCD用電源ラインLCCDに過電流が流れ込んだと判定する。そして、DC電源電圧の供給を遮断するための制御信号をCCD電源回路171に出力する。CCD電源回路171は、FPGA173からの制御信号を受け取ると、DC電源電圧の供給を遮断する。これにより、CCD用電源ラインLCCDに電流が流れなくなり、過電流によるCCD156の故障が防止される。
【0046】
すなわち、本実施形態によれば、電子内視鏡に元々備えられているDC抵抗成分を持つ素子(ここでは、EMI(Electromagnetic Interference)対策用部品であるチップフェライトビーズ172)による電圧降下を測定することにより、CCD用電源ラインLCCDに対する過電流の検出を実現している。従って、例えば過電流検出用の素子(例えば抵抗等)を別途実装する必要がなくなる。本実施形態では、上記特許文献1の過電流検出用抵抗のような付加的な素子による電圧降下がなくなるため、CCD用電源ラインLCCDの電圧降下を最小限に抑えることが可能となる。これにより、例えば電子内視鏡100の省電力化が実現可能となる。また、部品点数が削減するため、電子内視鏡100のコストダウンや小型化等も実現可能となる。
【0047】
また、FPGA173は、電圧検出回路176から「H」信号を受け取ったとき、CCD電源回路171に対する制御信号と共に、CCD駆動回路174に対しても制御信号を出力する。CCD駆動回路174に対する制御信号は、CCD156用の駆動信号の出力停止を指示する信号である。CCD駆動回路174は、FPGA173からの制御信号を受け取ると、CCD156に対する駆動信号の出力を停止する。すなわち、本実施形態では、CCD156への電源供給遮断と連動して当該CCD156への駆動信号の入力もなくなる。
【0048】
CCD156への電源供給遮断と共に駆動信号の出力停止も行うようにすることで、DC電源電圧(ここでは電源供給遮断時の0ボルトを意味する)よりも著しく高い電圧がCCD156に印加することがなくなり、CCD156のラッチアップ発生が防がれる。従って、本実施形態によれば、ラッチアップによりCCD156が過度に加熱することもなくなり、熱損傷によるCCD156の故障も防ぐことが可能になるという効果も得られる。
【0049】
また、FPGA173は、CCD電源回路171およびCCD駆動回路174に制御信号を出力した後、CCD156に過電流が流れてDC電源電圧の供給が遮断されたことを報知する信号をシステムコントロールユニット220に出力する。
【0050】
システムコントロールユニット220は、FPGA173からの報知信号に応答して、キャラクタ重畳回路248を制御する。このときキャラクタ重畳回路248は、電子内視鏡100で短絡等の故障が発生したことを報知するためのキャラクタが該映像に重畳表示されるようビデオ信号処理回路246と連携して動作する。術者は、モニタ300に写し出される上記キャラクタを視認することにより電子内視鏡100に不具合が出たことを知り、例えばメーカに修理を頼むことができる。
【0051】
以上が本発明の実施の形態である。本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。例えば本実施形態ではCCD信号処理回路175がDSP基板170内に備えられているが、別の実施の形態では、プロセッサ200側に備えられていても良い。この場合、CCD信号処理回路175は、例えば絶縁回路240と前段処理回路242との間に位置するよう実装される。
【0052】
また、別の実施の形態では、CCD用電源ラインLCCDの安全率を高めに設定しても良い。例えば電圧検出回路176で測定される電位差が参照値である場合には、CCD電源回路171からのDC電源電圧が、本実施形態ではCCD156の定格電圧と一致するレベルであったが、別の実施の形態では当該定格電圧の例えば50%のレベルとなるようにしても良い。このように安全率を高めに設定することにより、過電流検出の精度を向上させることが可能となる。
【0053】
また、更に別の実施の形態では、ローパスフィルタを用いて過電流の検出を行うようにしても良い。ここでいうローパスフィルタとは、CCD電源回路171とCCD156との間に実装された回路であり、CCD電源回路171で発生したノイズを除去する機能を有する。例えばこのようなローパスフィルタを構成するインダクタの両端に電圧検出回路176を接続し、その電位差を測定することにより、本実施形態と同様にCCD用電源ラインLCCDに過電流が流れたか否かを検出することができる。附言するに、過電流を検出するのに利用可能な素子や回路には、電子内視鏡に元々備えられており、かつDC電源電圧を降下させる、DC抵抗成分を持つ様々なものが想定される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態の電子内視鏡システムの外観を概略的に示した図である。
【図2】本発明の実施の形態の電子内視鏡システムの構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態のCCDおよびDSP基板の構成を抽出したブロック図を示す。
【符号の説明】
【0055】
10 電子内視鏡システム
100 電子内視鏡
156 CCD
170 DSP基板
171 CCD電源回路
172 チップフェライトビーズ
173 FPGA
174 CCD駆動回路
175 CCD信号処理回路
176 電圧検出回路
200 プロセッサ
300 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を備えた電子内視鏡において、
前記撮像素子に電源を供給する電源部と、
前記電源部と前記撮像素子とを接続する電源ラインと、
前記電源ラインにおけるノイズを除去するためのノイズ除去部と、
前記ノイズ除去部による電圧降下を測定する電圧降下測定手段と、
前記電圧降下測定手段による測定結果に応じて、前記電源部による前記撮像素子に対する電源供給を制御する電源供給制御手段と、を具備したこと、を特徴とする電子内視鏡。
【請求項2】
前記ノイズ除去部は、前記電源ラインからの不要輻射ノイズを除去するためのフェライトビーズであること、を特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡。
【請求項3】
前記ノイズ除去部は、前記電源ラインを流れるノイズを除去するノイズ除去フィルタであること、を特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡。
【請求項4】
前記電源供給制御手段は、前記電圧降下測定手段により測定された電圧降下の値が所定値を下回る場合には該電源供給を継続して行い、該測定された電圧降下の値が該所定値以上の場合には該電源供給を遮断すること、を特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の電子内視鏡。
【請求項5】
外部機器から入力される信号に基づいて前記撮像素子を駆動制御するための駆動制御信号を当該撮像素子に出力する駆動制御部と、
前記電源供給制御手段により該電源供給が遮断されたときに、前記駆動制御部からの該駆動制御信号の出力を停止させる駆動制御停止手段と、を更に具備したこと、を特徴とする請求項4に記載の電子内視鏡。
【請求項6】
請求項4又は請求項5の何れかに記載の電子内視鏡と、当該電子内視鏡に接続され、前記撮像素子で撮像された映像をモニタ表示可能に処理する信号処理装置とを備えた電子内視鏡システムであって、
前記電源供給制御手段により該電源供給が遮断されたとき、前記駆動制御停止手段が該電源供給の遮断を報知する報知信号を前記信号処理装置に出力し、
前記信号処理装置が、受け取った報知信号に呼応して、前記モニタ上において該映像に所定のキャラクタを重畳して表示させること、を特徴とする電子内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−161427(P2008−161427A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354124(P2006−354124)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】